JP2011151348A - 積層配線基板及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子部品を絶縁性埋め込み部材で内蔵させた第1基板と第2基板の導体回路同士を単純な工程で簡単に接続させることのできる積層配線基板を提供する。
【解決手段】第1基板1に形成されたビアホール8内に充填された導電性ペースト9Aに、受動部品3Aと能動部品3Bと両面の配線回路24がメッキスルーホール25にて導通された個片化されてなる層間接続部材4とを仮保持させる。そして、能動部品3Bの高さに応じた収容凹部5Bと、受動部品3A及び層間接続部材4の高さに応じた収容貫通穴5A、5Cを形成した絶縁性埋め込み部材5を用い、収容凹部5Bに能動部品3Bを配置し、各収容貫通穴5A、5Cに受動部品3Aと層間接続部材4を配置する。絶縁性埋め込み部材5を第1基板1と第2基板2とで挟み込むようにして、層間接続部材4の他方の配線回路24に導電性ペースト14Aを接触させて第2基板2を積層した後、これらを加熱圧着する。
【選択図】図7

Description

本発明は、積層配線基板及びその製造方法に関し、特に、電子部品を挟んでその両側に配置された基板に形成される導体回路同士の接続技術に関する。
近年の携帯電子機器等の多機能化に伴い、半導体デバイスにも更なる小型化が要求され、IC/LSIの高集積化要求にも増してパッケージの小型化に焦点が当てられてきている。このような状況下において、プリント配線基板の小型化及び薄型化が求められている。
例えば、積層配線基板において、2つの配線基板間に半導体素子等の能動部品やコンデンサ等の受動部品を内蔵させる技術としては、特許文献1等に開示されたプリプレグを使用したものが知られている。
この特許文献1では、半導体素子を実装した一方の配線基板に、半導体素子と対応する部位に開口部を形成したプリプレグを挟んで、他方の配線基板を重ね合わせて加熱し加圧することにより、2つの配線基板間に半導体素子を内蔵させている。また、この特許文献1では、他方の配線基板に設けたバンプをプリプレグを貫通させて一方の配線基板に形成した電極と電気的に接続させることで、両配線基板の配線回路同士を接続させている。
特開2003−174141号公報
しかし、特許文献1に記載の技術では、両配線基板の配線回路同士を接続させるために、配線基板にプリプレグを貫通させて他方の配線基板の電極と接続させるためのバンプを形成する必要が有り、工数が多く工程も煩雑である。また、プリプレグが電極の上に設けられるため、このプリプレグが邪魔をして電極の位置を目視によって見ることができず、バンプを電極に接続させることは難しい。
そこで、本発明は、電子部品を絶縁性埋め込み部材で内蔵させた第1基板と第2基板の導体回路同士を単純な工程で簡単に接続させることのできる積層配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、絶縁層の一方の面に導体回路が形成され、且つ絶縁層の他方の面に該絶縁層を貫通し該導体回路の一部を露出させたビアホール内に導電物が形成されてなる第1基板及び第2基板と、前記導電物の露出面を重ね合わせ側として対向配置した前記第1基板及び前記第2基板間に配置される、電子部品、両面の配線回路がメッキスルーホールにて導通された個片化されてなる層間接続部材及びこれら電子部品と層間接続部材を埋め込む絶縁性埋め込み部材と、を備えた積層配線基板であって、前記第1基板の導体回路と前記第2基板の導体回路は、前記層間接続部材の両面に形成された各配線回路がこれと対向する前記導電物に接触して電気的に接続されたことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の積層配線基板であって、前記層間接続部材に形成された前記メッキスルーホールの内壁面が、該層間接続部材の側面に露出していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の積層配線基板であって、前記電子部品は、前記第1基板又は前記第2基板の何れか一方に形成された導電物に電極を接続させて前記導体回路と電気的に接続されたことを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に記載の積層配線基板であって、前記導電物は、ニッケル、銀、銅から選択される少なくとも1種類の金属粒子と、錫、ビスマス、インジウム、鉛から選択される少なくとも1種類の金属粒子を含んでいる導電性ペーストを硬化させたものであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に記載の積層配線基板であって、前記絶縁性埋め込み部材は、ガラス繊維或いはアラミド不織布にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂であるプリプレグからなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の積層配線基板であって、前記絶縁性埋め込み部材には、前記電子部品の高さに応じた収容凹部、収容貫通穴の両方又は何れか一方と、前記層間接続部材を貫通させる収容貫通穴とが形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、一方の面に導体回路が形成された絶縁層の他方の面から前記導体回路の一部を露出させたビアホールのそれぞれに導電性ペーストを充填してなる第1基板及び第2基板を形成する基板形成工程と、前記第1基板に形成された各前記導電性ペーストに、電子部品の電極を接続すると共に両面の配線回路がメッキスルーホールにて導通された個片化されてなる層間接続部材の一方の配線回路を接続することにより、前記電子部品及び前記層間接続部材を前記第1基板に仮保持させる仮保持工程と、前記電子部品及び前記層間接続部材の高さに応じた収容凹部と収容貫通穴を形成した絶縁性埋め込み部材を形成する埋め込み部材形成工程と、前記収容凹部又は前記収容貫通穴に前記電子部品を配置させると共に前記収容貫通穴に前記層間接続部材を配置させて前記絶縁性埋め込み部材を前記第1基板に貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記絶縁性埋め込み部材を前記第1基板とで挟み込むようにして、前記層間接続部材の他方の配線回路に前記導電性ペーストを接触させて前記第2基板を積層した後、これら第1基板及び絶縁性埋め込み部材並びに第2基板を加熱圧着して接合一体化する積層工程とを備えたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の積層配線基板の製造方法であって、前記積層工程では、前記加熱圧着により前記絶縁性埋め込み部材を硬化させると同時に、前記導電性ペーストを硬化及び合金化させることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7又は請求項8に記載の積層配線基板の製造方法であって、前記層間接続部材は、絶縁層の両面に銅箔が形成されたリジッド両面板にスルーホールを形成し、該スルーホール内部にメッキした後、両面の銅箔を所定の配線回路として得られた層間接続基板を個片化して形成したものであることを特徴とする。
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の積層配線基板の製造方法であって、前記層間接続基板を個片化する時に、前記メッキスルーホールの内壁面が、該層間接続部材の側面に露出するように個片化することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、絶縁層の一方の面に形成された導体回路に対して該絶縁層の他方の面に開口されたビアホール内に形成された導電物が電気的に接続されてなる第1基板と第2基板間に、絶縁性埋め込み部材にて電子部品と共に個片化された層間接続部材が内蔵され、その層間接続部材の両面に形成されたメッキスルーホールで接続された各配線回路が、これと対向する導電物に接触して第1基板の導体回路と第2基板の導体回路に対して電気的に接続された構造であるため、層間接続部材の各配線回路がそれぞれに対応する導電物に接続するだけで、簡単に第1基板と第2基板の導体回路同士を電気的に接続させることができる。従って、請求項1に記載の積層配線基板によれば、積層構造自体を簡略化することができ、薄型化することもできる。また、この積層配線基板によれば、個片化された層間接続部材を使用しているので、当該層間接続部材の周囲が絶縁性埋め込み部材によって隙間無く埋め込まれる。
請求項7に記載の発明によれば、一方の面に導体回路が形成された絶縁層の他方の面から該導体回路の一部を露出させたビアホールのそれぞれに導電性ペーストを充填してなる第1基板に対して、内蔵部品である電子部品と両面の配線回路がメッキスルーホールにて導通された個片化されてなる層間接続部材とを、該電子部品の電極と該層間接続部材の一方の配線回路とを前記第1基板のそれぞれに対応する導電性ペーストに接続させているため、第1基板に電子部品と層間接続部材を仮保持させることができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、絶縁性埋め込み部材に電子部品及び層間接続部材の高さに応じた収容凹部と収容貫通穴を形成しているので、この収容凹部又は収容貫通穴に電子部品を収容させると共に収容貫通穴に層間接続部材を配置させれば、隙間無く電子部品及び層間接続部材をこの絶縁性埋め込み部材で埋め込むことができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、第2基板の導電性ペーストを層間接続部材の他方の配線回路に接触させて前記絶縁性埋め込み部材を前記第1基板と第2基板とで挟み込むように積層して、これらを加熱圧着することで第1基板と第2基板の導体回路を電気的に接続させることができる。したがって、請求項7に記載の発明によれば、両面の配線回路がメッキスルーホールにて導通された層間接続部材を第1基板と第2基板間に電子部品と共に内蔵させるだけで、煩雑な工程を経ることなく第1基板と第2基板の導体回路同士を電気的に接続させることができる。
図1は本実施形態の積層配線基板の断面図である。 図2は本実施形態の積層配線基板の製造工程のうち基板形成工程を示す工程別断面図である。 図3は本実施形態の積層配線基板の製造工程のうちICチップ形成工程を示す工程別断面図である。 図4は本実施形態の積層配線基板の製造工程のうち層間接続部材形成工程を示す工程別断面図である。 図5は本実施形態の積層配線基板の製造工程のうち仮保持工程を示す断面図である。 図6は本実施形態の積層配線基板の製造工程のうち埋め込み部材形成工程を示す工程別断面図である。 図7は本実施形態の積層配線基板の製造工程のうち貼り合わせ工程を示す断面図である。 図8は第1基板の絶縁層を利用して2つの積層配線基板を接続した例を示す積層配線基板の断面図である。 図9はメッキスルーホールの内壁面を層間接続部材の側面に露出させた層間接続部材を用いた積層配線基板の断面図である。 図10はメッキスルーホールの内壁面を層間接続部材の側面に露出させた層間接続部材の斜視図である。 図11はメッキスルーホールを層間接続部材の側面に露出させない構造の層間接続部材の斜視図である。 図12はメッキスルーホールの内壁面を層間接続部材の側面に露出させた層間接続部材を用いた積層配線基板の製造工程のうち層間接続部材形成工程を示す工程別断面図である。 図13はメッキスルーホールの内壁面を層間接続部材の側面に露出させた層間接続部材をダイシングして個片化する工程を示す図である。 図14はメッキスルーホールの内壁面を層間接続部材の側面に露出させた層間接続部材を用いた積層配線基板の製造工程のうち仮保持工程を示す断面図である。 図15はメッキスルーホールの内壁面を層間接続部材の側面に露出させた層間接続部材を用いた積層配線基板の製造工程のうち貼り合わせ工程を示す断面図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
「積層配線基板の構成」
先ず、本発明を適用した積層配線基板の構造を、図1を参照しながら説明する。図1は本実施形態の積層配線基板の断面図である。本実施形態の積層配線基板は、第1基板1と、第2基板2と、これら第1基板1と第2基板2間に内蔵される電子部品3(3A、3B)及び層間接続部材4と、これら電子部品3及び層間接続部材4を埋め込む絶縁性埋め込み部材5と、を主たる構成としている。
第1基板1は、フレキシブルプリント配線板を構成する例えばポリイミド樹脂フィルムからなる絶縁層6を有している。この絶縁層6の一方の面6aには、銅箔製の導体回路7が形成されている。また、絶縁層6の他方の面6bには、該絶縁層6を貫通して前記導体回路7(実際には導体回路7のランド部)の一部を露出させたビアホール8が形成されている。このビアホール8には、導電性ペーストを充填し加熱することで硬化且つ合金化させた導電性ペースト硬化物質である導電物9が形成されている。また、絶縁層6の他方の面6bには、電子部品3及び層間接続部材4を第1基板1に仮保持させるための接着層10が形成されている。
第2基板2は、第1基板1と基本的にほぼ同一の構成とされている。第2基板2は、フレキシブルプリント配線板を構成する例えばポリイミド樹脂フィルムからなる絶縁層11の一面11aに銅箔製の導体回路12を形成し、他面11bに該絶縁層11を貫通して前記導体回路(実際には導体回路12のランド部)12の一部を露出させたビアホール13に導電性ペーストを充填し加熱して硬化且つ合金化させた導電物14を形成すると共に接着層15を形成している。
第1基板1と第2基板2は、接着層10、15及び導電物9、14を内側に向けて対向配置される。これら第1基板1と第2基板2の対向距離は、これら基板間に内蔵される層間接続部材4の高さ寸法とされる。
電子部品3は、抵抗やコンデンサ等の受動部品3Aと、ICやダイオード或いはトランジスタ等の能動部品3Bとからなる。ここで定義する電子部品3は、受動部品3Aと能動部品3Bの両方を含む概念である。本実施形態では、受動部品3Aとしてコンデンサを使用し、能動部品3BとしてICを使用した。受動部品3Aであるコンデンサは、コンデンサ本体16の両側に設けた電極17を第1基板1の導電物9に接続させている。また、受動部品3Aは、第1基板1の接着層10によって接合されている。能動部品3BとしてのICは、ウエハ状IC18の表面に形成された電極パッド19と、この電極パッド19上に形成された導体回路20と、この導体回路20にコンタクトホール21を形成する絶縁層22を有して構成されている。能動部品3BであるICは、導体回路(実際には導体回路20のランド部)20を第1基板1の導電物9に接続させている。
層間接続部材4は、ガラスクロスにエポキシ樹脂が含浸されて硬化された絶縁層23の両面に銅箔製の配線回路24が形成され、その両面の配線回路24、24がメッキスルーホール25にて導通されたものである。この層間接続部材4は、一般的な電子部品搭載機(例えば、半導体チップ用搭載機)にて取り扱うことのできる大きさに個片化されている。個片化された層間接続部材4は、例えば縦横それぞれ1mm〜20mm程度の四角形状をなす大きさである。
絶縁性埋め込み部材5は、ガラスクロスにエポキシ樹脂が含浸された半硬化状のシートであるプリプレグを加熱することにより硬化したものである。この絶縁性埋め込み部材5は、電子部品3である受動部品3Aと能動部品3Bの周囲を取り囲むようにして、これら電子部品3を第1基板1と第2基板2間に埋め込んでいる。また、絶縁性埋め込み部材5は、同様に層間接続部材4の周囲を取り囲むようにして、該層間接続部材4を第1基板1と第2基板2間に埋め込んでいる。この絶縁性埋め込み部材5には、電子部品3の高さに応じた収容凹部5Bと収容貫通穴5Aと、層間接続部材4を貫通させる収容貫通穴5Cとが形成されている。
なお、層間接続部材4のメッキスルーホール25内には、第1基板1及び第2基板2の接着層10、15が、これら積層体を加熱圧着したときに流れ込んで埋まっている。
以上のように構成された積層配線基板は、第1基板1及び第2基板2の導体回路7、12と電気的に接続した導電性ペーストからなる導電物9、14の先端である露出面9a、14aに、メッキスルーホール25で接続された個片化されてなる層間接続部材4の配線回路24を接触させることで、簡単に第1基板1と第2基板2の導体回路7、12同士を電気的に接続させることができる。従って、本実施形態の積層配線基板によれば、積層構造自体を簡略化することができ、薄型化することができる。
また、本実施形態の積層配線基板では、第1基板1に形成された導電物9に電極17を接続させてこの第1基板1に形成される導体回路7と電気的に電子部品3を接続させているため、メッキ等の工程を行うことなく簡単に電子部品3を第1基板1の導体回路7に接続させることができる。
また、本実施形態の積層配線基板では、第1基板1及び第2基板2に形成した導電物9、14には、ニッケル、銀、銅から選択される少なくとも1種類の金属粒子と、錫、ビスマス、インジウム、鉛から選択される少なくとも1種類の金属粒子を含んでいる導電性ペーストを硬化させたものを使用しているので、加熱することで硬化すると同時に合金化することにより電子部品3及び層間接続部材4との電気的接続性を高めることができ、しかも取り扱い性も向上する。
また、本実施形態の積層配線基板では、絶縁性埋め込み部材5としてガラス繊維或いはアラミド不織布にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂であるプリプレグを使用したので、第1基板1と第2基板2間に内蔵する電子部品3及び層間接続部材4を隙間無く埋め込むことができる。
また、本実施形態の積層配線基板では、電子部品3の高さに応じた収容凹部5B又は収容貫通穴5Aと、層間接続部材4を収容させる収容貫通穴5Cとを絶縁性埋め込み部材5に形成しているので、それぞれの部品の高さに応じた凹部又は穴に収容(嵌合)される電子部品3及び層間接続部材4の周囲が隙間無く絶縁性埋め込み部材5で埋め込まれることになる。特に、層間接続部材4を個片化しているため、小さな部品となった層間接続部材4の周囲に絶縁性埋め込み部材5が隙間無く埋まる。従って、この積層配線基板を電子機器等に実装した場合、第1基板1と第2基板2間に隙間を有していないことから外部負荷を受けても変形し難くなる。
「積層配線基板の製造工程説明」
次に、上述した積層配線基板の製造方法について、図2〜図7を参照しながら説明する。図2は基板形成工程を示し、図3はICチップ形成工程を示し、図4は層間接続部材形成工程を示し、図5は仮保持工程を示し、図6は埋め込み部材形成工程を示し、図7は貼り合わせ工程を示す。
先ず、第1基板1及び第2基板2を形成する基板形成工程を行う。先ず、図2(a)の工程では、フレキシブルプリント配線板を構成する例えばポリイミド樹脂フィルムからなるフレキシブルな絶縁層6の一方の面(上面)に銅箔製の配線材料層7Aが設けられた片面銅張板(CCL:Copper Clad Laminate)を用意する。前記絶縁層6及び配線材料層7Aには、それぞれ厚さ20μm及び12μmのものを使用した。
また、前記片面銅張板(CCL)は、銅箔にポリイミドワニスを塗布してワニスを硬化させた、いわゆるキャスティング法により作製したもの、或いは、ポリイミドフィルム上にめっきシード層をスパッタし、電解銅めっきを成長させたもの、他にも圧延や電解銅箔とポリイミドフィルムとを貼り合わせたものなどを使用することができる。前記絶縁層6は、ポリイミド樹脂に代えて、液晶ポリマーなどのプラスチックフィルムを使用することもできる。
図2(b)の工程では、前記配線材料層7Aの表面にフォトリソグラフィにより所望の回路パターンに対応するエッチングレジストパターン(エッチングマスク)を形成した後、前記配線材料層7Aに化学的選択エッチングを行うことによって、所望回路にパターニングされた導体回路7を形成する。前記エッチングには、例えば塩化第二鉄を主成分とするエッチャントを用いるが、塩化第二銅を主成分とするエッチャントを用いることもできる。
図2(c)の工程では、前記絶縁層6の導体回路7とは反対側となる他方の面(下面)に接着層10及び樹脂フィルムFを順次重ねて加熱圧着により貼り合わせる。前記接着層10には、素材厚さ25μmのエポキシ系熱硬化性樹脂フィルム接着材を使用した。また、前記樹脂フィルムFには、厚さ25μmのポリイミド樹脂フィルムを使用した。前記加熱圧着は、真空ラミネータを用い、減圧下の雰囲気中にて、前記接着材の硬化温度以下の温度で、0.3MPaの圧力によるプレスを行った。
前記接着層10の素材としては、前記エポキシ系熱硬化性樹脂に代えてアクリル系樹脂などの接着材、或いは熱可塑性ポリイミドに代表される熱可塑性接着材を使用することもできる。また、前記接着層10は、フィルム状素材に代えて例えばワニス状の樹脂接着剤を前記絶縁層6の下表面に塗布して形成することもできる。
前記樹脂フィルムFは、ポリイミドに代えてPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)などのプラスチックフィルムを使用してもよく、前記接着層10の表面にUV照射によって接着や剥離が可能なフィルムを被着形成してもよい。
次に、図2(d)の工程では、前記絶縁層6、接着層10及び樹脂フィルムFを下面側から貫通するようにYAGレ−ザで穿孔することによって、直径100μmのビアホール8を複数(図中では6箇所)形成する。その後、穴開け加工時に発生したスミアを除去するために、CF4及びO2混合ガスによるプラズマデスミア処理を施す。
前記ビアホール8は、炭酸ガスレーザやエキシマレーザなどによるレーザ加工、或いはドリル加工や化学的エッチングによって形成することもできる。
また、前記プラズマデスミア処理は、使用ガスの種類として、CF4及びO2混合ガスに限定されず、Arなどの他の不活性ガスを使用することもできるし、ドライ処理に代えてウエットデスミア処理を適用してもよい。
そして、図2(e)の工程では、前記ビアホール8に、スクリーン印刷法により導電性ペースト9Aをそれぞれの空間を埋め尽くすまで充填する。前記導電性ペースト9Aは、ニッケル、銀、銅から選択される少なくとも1種類の低電気抵抗の金属粒子と、錫、ビスマス、インジウム、鉛から選択される少なくとも1種類の低融点金属粒子とを含み、エポキシ樹脂を主成分とするバインダ成分を混合したペーストで構成される。導電性ペースト9Aは、接着層10の硬化温度程度の低温で、前記金属粒子がその粒子同士で拡散接合できたり、電子部品3及び層間接続部材4と拡散接合できたりして合金化し易い金属組成を用いることにより、バルクの金属やめっきによる層間接続と同等の接続信頼性を確保できる。なお、前記導電性ペースト9Aは、熱伝導性にも優れているので、発生熱を外部へ熱伝導並びに放散させる効果を得ることもできる。
その後、前記樹脂フィルムFを剥離する。その結果、印刷充填した導電性ペースト9Aの先端(下面)の部分は、剥離した樹脂フィルムFの厚さ寸法分の高さをもって前記接着層10の下面側に突出した状態で露出される。このように、前記樹脂フィルムFは、その厚さを適宜選定することによって後に導電物9となる導電性ペースト9Aの突出高さを調整する。以上の工程を経て第1基板1が形成される。
ところで、前記第2基板2は、前記第1基板1同様の工程を経て形成される。この第2基板2の製造工程は、第1基板1と同一工程であるため、その説明及びその工程図は省略する。
次に、能動部品3Bの製造工程を図3を参照して説明する。図3(a)の工程では、酸化珪素や窒化珪素製の無機絶縁膜が形成されたダイシング前のウエハ状IC18Aを用意する。次に、図3(b)の工程で、前記ウエハ状IC18Aの表面にセミアディティブ法によって、ICの電極パッド19上及び無機絶縁膜上に例えば銅めっき層によるパターン化された導体回路20を形成する。
その後、図3(c)の工程で、前記ウエハ状IC18Aの表面全体に亘って例えば液状感光性ポリイミド前駆体をスピンコートし、フォトリソグラフィによりコンタクトホール21を形成した後に焼成して絶縁層22を形成する。最後に、図3(d)の工程で、プロービングにより検査を行った後、ウエハ状IC18Aの裏面を研磨してウエハを薄型化した後、ダイシングして複数個のICチップである能動部品3Bを得る。
なお、前記絶縁層22の形成に際しては、他の感光性樹脂素材としてベンゾシクロブテン(BCB)やポリベンゾオキサゾール(PBO)などを用いることができる。また、感光性樹脂は、必ずしもスピンコートによって塗布される必要はなく、カーテンコートやスクリーン印刷、スプレーコートなどを用いてもよい。更に、感光性樹脂は、液状に限定されることはなく、フィルム状の樹脂をウエハIC18A上にラミネートしてもよい。このようにして形成されたICチップの回路には、通常の導電用回路の他、インダクタ、キャパシタ、抵抗等の機能を付与させることも可能である。
次に、層間接続部材4の製造工程を、図4を参照して説明する。先ず、図4(a)の工程では、例えばガラスクロスにエポキシ樹脂が含浸されて硬化された絶縁層23の両面に銅箔製の配線材料層24A及び24Bがそれぞれ設けられた両面銅張板を用意する。次に、図4(b)の工程では、例えばドリルによって前記両面銅張板を貫通するスルーホールTHを形成し、CF4及びO2混合ガスによるプラズマデスミア処理を施す。
その後、図4(c)の工程で、前記両面銅張板の両表面及びスルーホールTH内壁に全体的に銅めっきを成長させて配線材料層24ABを形成する。このとき、スルーホールTH内壁に、メッキスルーホール25が形成される。
そして、図4(d)の工程で、前記両面銅張板の両面において、前記第1基板1の形成と同様な方法により、前記配線材料層24ABに回路パターニングを施して、配線回路24を絶縁層23の上下両面にそれぞれ形成する。最後に、この両面銅張板(層間接続基板)をダイシングして個片化し、複数個の層間接続部材4を得る。この時、個片化する大きさは、一般的な電子部品搭載機(例えば、半導体チップ用搭載機)にて取り扱える大きさに加工することが望ましい。具体的には、平面視での面積が1〜400mm程度になるように個片化する。個片化する際の形状は、平面視で正方形や長方形になることが望ましいが、これらに限定されることはない。
次に、第1基板1に形成された各導電性ペースト9Aに、受動部品3Aと能動部品3Bと層間接続部材4を仮保持させる仮保持工程を、図5を参照して説明する。受動部品3Aと能動部品3Bと層間接続部材4を、半導体チップ用搭載機で位置合わせして、前記第1基板1の各導電性ペースト9Aに受動部品3Aの電極17、能動部品3Bの導体回路20のランド部、層間接続部材4の配線回路24のランド部をそれぞれ接触させることで、前記第1基板1に仮保持させる。そして、接着層10の材料及び導電性ペースト9Aの硬化温度以下で加熱圧着することによって、これら受動部品3A、能動部品3B及び層間接続部材4は、第1基板1に仮保持されることになる。
次に、絶縁性埋め込み部材5を形成する埋め込み部材形成工程を、図6を参照して説明する。先ず、図6(a)の工程で、ガラスクロスにエポキシ樹脂が含浸された半硬化状態のシート、いわゆるプリプレグ5Dを用意する。本実施形態では、第1基板1と第2基板2間に内蔵する最も高さの高い受動部品3Aと層間接続部材4の高さ寸法となるように、3枚のプリプレグ5Dを重ねて積層する。例えば、受動部品3Aと層間接続部材4の高さが共に300mmである場合、100mm厚のプリプレグ5Dを3枚重ねたものを使用する。
次に、図6(b)の工程で、プリプレグ5Dを3枚重ね合わせた積層体に、受動部品3A、能動部品3B及び層間接続部材4の高さに応じた収容凹部5Bと収容貫通穴5A、5Cを形成する。能動部品3Bと対応する位置には、この能動部品3Bを収容配置(嵌合配置)させる大きさ且つ深さの収容凹部5Bを形成する。受動部品3Aと対応する位置には、この受動部品3Aを収容配置(嵌合配置)させる大きさとした収容貫通穴5Aを形成する。層間接続部材4と対応する位置には、この層間接続部材4を収容配置(嵌合配置)させる大きさとした収容貫通穴5Cを形成する。
なお、絶縁性埋め込み部材5は、ガラスクロスの代わりにアラミド不織布を用いることもできるし、繊維材料を含まない材料を用いることもできる。また、前記収容凹部5Bと収容貫通穴5A、5Cの加工は、レーザやドリルにて加工することができる。
次に、絶縁性埋め込み部材5を第1基板1に貼り合わせる貼り合わせ工程を、図7を参照して説明する。3枚のプリプレグ5Dを積層した積層体に形成した収容凹部5Bに能動部品3Bを、収容貫通穴5Aに受動部品3Aを、中央の収容貫通穴5Cに個片化された層間接続部材4を収容配置させるようにして絶縁性埋め込み部材5を第1基板1に貼り合わせる。
次に、第1基板1及び層間接続部材4並びに第2基板2を加熱圧着して接合一体化する積層工程を、図7を参照して説明する。先ず、絶縁性埋め込み部材5を前記第1基板1とで挟み込むようにして、前記層間接続部材4の他方の配線回路24に導電性ペースト14Aを接触させて第2基板2を積層する。そして、第1基板1と第2基板2間に絶縁性埋め込み部材5で埋め込んだ受動部品3A、能動部品3B及び層間接続部材4からなる積層体に対して、真空キュアプレス機を用いて、1kPa以下の減圧雰囲気中で積層方向に一括して加熱圧着することによって、図1に示す積層配線基板を完成させる。
前記積層体を一括して加熱圧着すると、第1基板1及び第2基板2の接着層10、15が塑性流動して層間接続部材4に形成されたメッキスルーホール25内に充填される。この一方、3枚重ねられたプリプレグ5Dは、加熱により受動部品3A、能動部品3B及び層間接続部材4の周囲に隙間無く密着すると共に互いに密着して界面が無くなり単一層の絶縁性埋め込み部材5となって硬化する。また、導電性ペースト9A、14Aは、前記絶縁性埋め込み部材5が硬化するのと同時に硬化及び合金化されて導電物9、14になる。以上の工程を経ることで、図1に示す積層配線基板が得られる。
なお、前記した製造工程の中で、例えば第1基板1のうちフレキシブルプリント配線板を構成する絶縁層6を、図8に示すように第2基板2に対して長く形成しておくことで、2つの積層配線基板を、その可撓性のある絶縁層6にて積層配置するようなこともできる。図8は、2つの積層配線基板を共通の絶縁層6で連結させた例としているが、3つ以上の積層配線基板を接続し、それら積層配線基板を使用形態に応じて一列に配列しても複数段に重ねるようにしてもよい。
また、本実施形態の製造方法によれば、絶縁性埋め込み部材5に受動部品3A、能動部品3B及び層間接続部材4の高さに応じた収容凹部5B及び収容貫通穴5A、5Cを形成しているので、この収容凹部5Bに能動部品3Bを収容(嵌合)させると共に収容貫通穴5A、5Cに受動部品3A、層間接続部材4を収容配置(嵌合配置)させれば、隙間無く受動部品3A、能動部品3B及び層間接続部材4をこの絶縁性埋め込み部材5で埋め込むことができる。
また、本実施形態の製造方法によれば、第2基板2の導電性ペースト14Aを層間接続部材4の他方の配線回路24に接触させて前記絶縁性埋め込み部材5を前記第1基板1と第2基板2とで挟み込むように積層して、これらを一括して加熱圧着することで第1基板1と第2基板2の導体回路7、12を電気的に接続させることができる。したがって、本実施形態によれば、両面の配線回路24、24がメッキスルーホール25にて導通された層間接続部材4を第1基板1と第2基板2間に電子部品3と共に内蔵させるだけで、煩雑な工程を経ることなく第1基板1と第2基板2の導体回路7、12同士を電気的に接続させることができる。なお、この実施形態では、2つの基板の例であるが、それ以上の基板を積層して多層基板を製造する場合にも、同様に一括して加熱圧着することで各基板の導体回路を電気的に接続させることができる。
従来の工程では、受動部品3Aや能動部品3B等の電子部品3をリジッド基板に一旦実装してから第1基板と第2基板の間に内蔵するため、事前にカウンターペーストの印刷やアンダーフィル充填等の煩雑な工程が必要である上、各種部品を内蔵した後の工程においても、ドリルによるスルーホール形成やメッキ工程、回路形成工程などが必要で、歩留まりが低下する恐れがあった。しかしながら、本実施形態では、電子部品3を内蔵した後のメッキ工程などを省略することができ、製造工程を簡略化することができ、歩留まりの向上を図ることができる。
また、本実施形態の製造方法では、第1基板1と第2基板2の導体回路7、12を電気的に接続するための層間接続部材4を個片化して用いると共にプリプレグ5Dからなる絶縁性埋め込み部材5を使用しているので、電子部品3及び個片化されて小さくなった層間接続部材4の周囲が絶縁性埋め込み部材5で埋め尽くされることによって気泡等が侵入する隙間が生じない。
この一方で、層間接続部材4を個片化せずにシート状に加工し、そのシート状をなす大きな基板である層間接続部材4の一部に電子部品3(ここでは受動部品3A)を埋め込むためのキャビティー26を形成し、そのキャビティー26内に受動部品3Aを内蔵させて第1基板1と第2基板2を加熱圧着させて前記キャビティー26内に接着剤を流動させた場合は、接着剤の供給量の関係から電子部品3(受動部品3A)の厚みが増加する程、接着剤が電子部品3の周囲に廻り込み難くなる。
しかしながら、本実施形態では、層間接続部材4を個片化して小さな部品とし且つこの層間接続部材4を収容させる収容貫通穴5Cを形成したプリプレグ5Dからなる絶縁性埋め込み部材5を使用しているため、当該層間接続部材4の周囲に隙間が生じない。そのため、本実施形態の製造方法で製造された積層配線基板を電子機器等に組み込んだ場合に、前記気泡等の侵入による隙間が要因となって、電子機器で発する熱等により第1基板1及び第2基板2が剥がれるような不具合を無くせる。
本実施形態の製造方法では、第1基板1と第2基板2の層間接続が必要とされる極一部に個片化した層間接続部材4を配置し、それ以外の箇所には絶縁性埋め込み部材5を配置するため、加熱圧着時に流動して供給される接着剤は充分にある。また、本実施形態の製造方法では、キュアプレス後には内蔵基板を作製する工程がほぼ終了しているため、工程の累積歩留まりという概念を排除することができる。さらに、本実施形態の製造方法では、層間接続用の導電性ペースト9A、14Aには、層間接着剤の硬化温度程度の低温で合金化するものを使用することで、ペースト内の金属粒子同士、また、銅の接続パッドとペーストの金属粒子が拡散接合し、バルクの金属やメッキによる層間接続と同等の接続信頼性を確保することができる。
「その他の実施形態」
以上、本発明を適用した具体的な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に制限されることなく種々の変更が可能である。
例えば、層間接続部材4の構造を、図9及び図10に示すように、前記した実施形態の図1で示した構造とは異なる構造とする。図9及び図10では、層間接続部材4に形成したメッキスルーホール25の内壁面25aを、層間接続部材4の側面(具体的には層間接続部材4を構成する絶縁層23の側面23a)に露出させた構造としている。
この実施形態では、メッキスルーホール25は、前記した図1の層間接続部材4を斜視図として表した図11に示す絶縁層23の側面23aから内側へ離れた位置に平面視円形状をなす貫通孔として形成された形状ではなく、絶縁層23の側面23aの一部を半円弧状に削り取ったスルーホールの内部にメッキして形成され、そのメッキスルーホール25の内壁面25aを、絶縁層23の側面23aに露出させた構造としている。図10では、絶縁層23の3つの側面23aにそれぞれ1つづつメッキスルーホール25を形成した。
このように、メッキスルーホール25の内壁面25aを層間接続部材4の側面に露出させると、メッキスルーホール25の内部へ接着剤がスムーズに流れ易くなる。また、接着剤がスムーズにメッキスルーホール25内部に流れ込むため、メッキスルーホール25内に気泡等が入り込むのを防止することができる。したがって、メッキスルーホール25の内部に気泡が入り込むことにより、はんだリフロー時に気泡が膨張して積層配線基板全体が膨れ上がるのを防止することができる。
ところで、図9に示した積層配線基板を製造するには、以下のようにする。ここでは、図1の構造の積層配線基板の製造工程と異なる工程のみ説明するものとし、同一工程に関してはその説明は省略するものとする。
第1基板1及び第2基板2を形成する基板形成工程(図2参照)、能動部品3Bの製造工程(図3参照)は、先の実施形態と同一である。層間接続部材4の製造工程は、先の実施形態と異なる。層間接続部材4を製造するには、先ず図12(a)に示すように、ガラスクロスにエポキシ樹脂が含浸されて硬化された絶縁層23の両面に銅箔製の配線材料層24A及び24Bがそれぞれ設けられた両面銅張板を用意する。次に、図12(b)の工程において、ドリルにより両面銅張板を貫通するスルーホールTHを形成し、CF4及びO2混合ガスによるプラズマデスミア処理を施す。
その後、図12(c)の工程で、前記両面銅張板の両表面及びスルーホールTH内壁に全体的に銅めっきを成長させて配線材料層24ABを形成する。このとき、スルーホールTH内壁に、メッキスルーホール25が形成される。
そして、図12(d)の工程で、前記配線材料層24ABに回路パターニングを施して、配線回路24を絶縁層23の上下両面にそれぞれ形成する。最後に、この両面銅張板(層間接続基板)をダイシングして個片化し、複数個の層間接続部材4を得る。前記両面銅張板を個片化するには、図13に示すように、ダイシングする分割線C上に全てのメッキスルーホール25の中心が配置されるようにし、この分割線Cに沿って両面銅張板をダイシングする。その結果、図10で示したように、各メッキスルーホール25の内壁面25aが、個片化された層間接続部材4の側面23aに露出する。全ての層間接続部材4の側面23aには、各メッキスルーホール25の内壁面25aが露出することになる。
次に、第1基板1に形成された各導電性ペースト9Aに、受動部品3Aと能動部品3Bと層間接続部材4を仮保持させる仮保持工程を行う。この仮保持工程は、先の実施形態と同じである。本実施形態では、層間接続部材4の構造が違うので、図14には、第1基板1に受動部品3Aと能動部品3Bと先の実施形態とは構造が異なる層間接続部材4を仮保持させた状態を示してある。
次に、絶縁性埋め込み部材5を形成する埋め込み部材形成工程を行うが、この工程は先の実施形態と同一(図6参照)であるので、その説明は省略する。次に、絶縁性埋め込み部材5を第1基板1に貼り合わせる貼り合わせ工程を行う。この貼り合わせ工程は、先の実施形態と同じである。本実施形態では、層間接続部材4の構造が違うので、図15には、3枚のプリプレグ5Dを積層した積層体に形成した収容凹部5Bに能動部品3Bを、収容貫通穴5Aに受動部品3Aを、中央の収容貫通穴5Cに先の実施形態とは構造が異なる層間接続部材4を収容配置させるようにして絶縁性埋め込み部材5を第1基板1に貼り合わせる状態を示してある。
次に、第1基板1及び層間接続部材4並びに第2基板2を一括して加熱圧着して接合一体化する積層工程を行うが、この積層工程も先の実施形態と同一である。但し、層間接続部材4の構造が先の実施形態のものとは異なるので、加熱圧着した時の第1基板1及び第2基板2の接着層10、15の塑性流動によるメッキスルーホール25内部への流れ方が異なる。
具体的には、加熱されて溶けた接着剤10、15は、図10にしたように全てのメッキスルーホール25の内壁面25aが層間接続部材4の側面(実際には層間接続部材4を構成する絶縁層23の側面23a)に露出しているため、溶け出した接着剤10、15がスムーズにメッキスルーホール25内部に流れ込む。そのため、メッキスルーホール25内への気泡の入り込みが抑制される。キュアプレス後に気泡が残留すると、はんだリフロー時に気泡が膨張して基板全体に膨れが発生する等、信頼性に影響が生じる。しかし、本実施形態では、メッキスルーホール25の内壁面25aが大気に開放されていることから、接着剤10、15の流れによって気泡が大気に押し出されて当該メッキスルーホール25内部に残留することはない。
前記積層体の加熱圧着により、3枚重ねられたプリプレグ5Dは、加熱により受動部品3A、能動部品3B及び層間接続部材4の周囲に隙間無く密着すると共に互いに密着して界面が無くなり単一層の絶縁性埋め込み部材5となって硬化する。そして、導電性ペースト9A、14Aは、前記絶縁性埋め込み部材5が硬化するのと同時に硬化及び合金化されて導電物9、14になる。以上の工程を経ることで、図9に示す積層配線基板が得られる。
本発明は、電子部品を挟んでその両側に配置された基板に形成される導体回路同士の接続技術に利用することができる。
1…第1基板
2…第2基板
3…電子部品
3A…受動部品(電子部品)
3B…能動部品(電子部品)
4…層間接続部材
5…絶縁性埋め込み部材
6…絶縁層(第1基板の絶縁層)
7…導体回路(第1基板に形成された導体回路)
8…ビアホール(第1基板に形成されたビアホール)
9…導電物(第1基板の導電物)
10…接着層(第1基板の接着層)
11…絶縁層(第2基板の絶縁層)
12…導体回路(第2基板に形成された導体回路)
13…ビアホール(第2基板に形成されたビアホール)
14…導電物(第2基板の導電物)
15…接着層(第2基板の接着層)
23…絶縁層
23a…絶縁層の側面(層間接続部材の側面)
25…メッキスルーホール
25a…メッキスルーホールの内壁面

Claims (10)

  1. 絶縁層の一方の面に導体回路が形成され、且つ絶縁層の他方の面に該絶縁層を貫通し該導体回路の一部を露出させたビアホール内に導電物が形成されてなる第1基板及び第2基板と、
    前記導電物の露出面を重ね合わせ側として対向配置した前記第1基板及び前記第2基板間に配置される、電子部品、両面の配線回路がメッキスルーホールにて導通された個片化されてなる層間接続部材及びこれら電子部品と層間接続部材を埋め込む絶縁性埋め込み部材と、
    を備えた積層配線基板であって、
    前記第1基板の導体回路と前記第2基板の導体回路は、前記層間接続部材の両面に形成された各配線回路がこれと対向する前記導電物に接触して電気的に接続された
    ことを特徴とする積層配線基板。
  2. 請求項1に記載の積層配線基板であって、
    前記層間接続部材に形成された前記メッキスルーホールの内壁面が、該層間接続部材の側面に露出している
    ことを特徴とする積層配線基板。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の積層配線基板であって、
    前記電子部品は、前記第1基板又は前記第2基板の何れか一方に形成された導電物に電極を接続させて前記導体回路と電気的に接続された
    ことを特徴とする積層配線基板。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の積層配線基板であって、
    前記導電物は、ニッケル、銀、銅から選択される少なくとも1種類の金属粒子と、錫、ビスマス、インジウム、鉛から選択される少なくとも1種類の金属粒子を含んでいる導電性ペーストを硬化させたものである
    ことを特徴とする積層配線基板。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の積層配線基板であって、
    前記絶縁性埋め込み部材は、ガラス繊維或いはアラミド不織布にエポキシ樹脂を含浸させた樹脂であるプリプレグからなる
    ことを特徴とする積層配線基板。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の積層配線基板であって、
    前記絶縁性埋め込み部材には、前記電子部品の高さに応じた収容凹部、収容貫通穴の両方又は何れか一方と、前記層間接続部材を貫通させる収容貫通穴とが形成されている
    ことを特徴とする積層配線基板。
  7. 一方の面に導体回路が形成された絶縁層の他方の面から前記導体回路の一部を露出させたビアホールのそれぞれに導電性ペーストを充填してなる第1基板及び第2基板を形成する基板形成工程と、
    前記第1基板に形成された各前記導電性ペーストに、電子部品の電極を接続すると共に両面の配線回路がメッキスルーホールにて導通された個片化されてなる層間接続部材の一方の配線回路を接続することにより、前記電子部品及び前記層間接続部材を前記第1基板に仮保持させる仮保持工程と、
    前記電子部品及び前記層間接続部材の高さに応じた収容凹部と収容貫通穴を形成した絶縁性埋め込み部材を形成する埋め込み部材形成工程と、
    前記収容凹部又は前記収容貫通穴に前記電子部品を配置させると共に前記収容貫通穴に前記層間接続部材を配置させて前記絶縁性埋め込み部材を前記第1基板に貼り合わせる貼り合わせ工程と、
    前記絶縁性埋め込み部材を前記第1基板とで挟み込むようにして、前記層間接続部材の他方の配線回路に前記導電性ペーストを接触させて前記第2基板を積層した後、これら第1基板及び絶縁性埋め込み部材並びに第2基板を加熱圧着して接合一体化する積層工程とを備えた
    ことを特徴とする積層配線基板の製造方法。
  8. 請求項7に記載の積層配線基板の製造方法であって、
    前記積層工程では、前記加熱圧着により前記絶縁性埋め込み部材を硬化させると同時に、前記導電性ペーストを硬化及び合金化させる
    ことを特徴とする積層配線基板の製造方法。
  9. 請求項7又は請求項8に記載の積層配線基板の製造方法であって、
    前記絶縁層の両面に銅箔が形成されたリジッド両面板にスルーホールを形成し、該スルーホール内部にメッキした後、両面の銅箔を所定の配線回路として得られた層間接続基板を個片化して、前記層間接続部材を形成した
    ことを特徴とする積層配線基板の製造方法。
  10. 請求項9に記載の積層配線基板の製造方法であって、
    前記層間接続基板を個片化する時に、前記メッキスルーホールの内壁面が、該層間接続部材の側面に露出するように個片化する
    ことを特徴とする積層配線基板の製造方法。
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