JP2011148694A - 化合物半導体単結晶基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】大口径で低転位密度のIII−V族化合物半導体単結晶を提供する。
【解決手段】n型ヒ化ガリウム基板は平均転位密度が30cm-2未満であってシリコン濃度が5×1016cm-3以上で5×1017cm-3未満であり、半絶縁性ヒ化ガリウム基板は平均転位密度が300cm-2未満であってシリコン濃度が5×1015cm-3未満でありかつ比抵抗が1×103Ωcm以上であり、n型リン化インジウム基板は平均転位密度が50cm-2未満であって硫黄濃度が1×1017cm-3以上で3×1018cm-3未満であり、n型リン化インジウム基板は平均転位密度が300cm-2未満であって錫濃度が1×1017cm-3以上で5×1018cm-3未満であり、半絶縁性リン化インジウム基板は平均転位密度が300cm-2未満であって比抵抗が1×103Ωcm以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)等の光電子分野やトランジスタ等の電子分野に利用されるGaAs、InP、GaP、InAs、GaSb、InSbなどのIII−V族化合物半導体単結晶、またはCdTeやZnSeなどのII−VI族化合物半導体単結晶の基板に関するものである。
化合物半導体単結晶としては、たとえばヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、アンチモン化インジウム(InSb)などのIII−V族化合物半導体単結晶、およびテルル化カドミウム(CdTe)、セレン化亜鉛(ZnSe)などのII−VI族化合物半導体単結晶があげられる。
これらの化合物半導体単結晶は、水平ブリッジマン法(HB法)、液体封止引上げ法(LEC法)、垂直ブリッジマン法(VB法)、垂直温度勾配凝固法(VGF法)、VB法とVGF法を併用する方法などのさまざまな工業的方法により製造されている。これらのうちでVB法とVGF法(それらを併用する方法を含む)は、他の製法では製造することができない低転位密度の結晶を製造できるので、近年特に注目を集めている。
VB法は、たとえば非特許文献1に記載されているように、化合物半導体原料を収容した坩堝をヒータなどの加熱手段を有する炉内に設置して原料を融解したのち、加熱手段を上昇させるか坩堝を下降させることによって、坩堝の下端に設置した種結晶側から融液を固化させることによって単結晶を成長させる方法である。坩堝には、一般に熱分解窒化ホウ素(pBN)や石英などの材料が使用される。これに対して、VGF法は、たとえば特許文献1に記載されているように、加熱手段と坩堝の位置関係を固定し、加熱手段の温度プロファイルを変化させることによって、種結晶側から温度を降下させて単結晶を成長させる方法である。
ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、リン化インジウム(InP)、ヒ化インジウム(InAs)などのIII−V族化合物半導体やテルル化カドミウム(CdTe)、セレン化亜鉛(ZnSe)などのII−VI族化合物半導体のVB法やVGF法による単結晶成長では、高蒸気圧成分の解離蒸発を防ぐ必要がある。そこで、原料の入った坩堝を石英アンプルに封入密閉してアンプル内の蒸気圧をコントロールする方法や、高耐圧のステンレス製チャンバ内で原料融液表面を酸化ホウ素(B23)などの液体封止剤で覆って、さらにアルゴンガスや窒素ガスで加圧封止することによって高蒸気圧成分が原料融液から解離蒸発するのを抑制する方法などが行われている。
特表2002−540051号公報 特開平7−10676号公報 特開平7−300386号公報 特開平5−124887号公報
干川圭吾、半導体研究35、化合物半導体の結晶育成と評価その6(工業調査会、1991年発行) T. Kawase, M. Tatsumi and T. Nishida, Crystal Growth Technology, Edited by H. J. Scheel and T. Fukuda, 2003 John Wiley & Sons, Ltd., p364-365.
VB法やVGF法などのように、縦型の単結晶成長用容器に化合物半導体の種結晶と原料を収容し、加熱手段によって種結晶の一部と原料を加熱融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製し、そして種結晶の未融解部分から原料融液側に向けて結晶成長させる単結晶の製造方法では、一般に単結晶成長用容器の周囲に複数の加熱手段が配置され、原料融液を融点より高温にして、固液界面から種結晶側に向かって温度が低くなるように温度勾配が形成される。
非特許文献2では、固液界面で発生する固化潜熱をQL、固液界面から結晶側へ流出する熱流束をQOUT、融液側から固液界面へ流入する熱流束をQIN、そして固液界面近傍において結晶側面から結晶に流入する熱流束をQRで表すとき、固液界面の形状は下記式(1)の熱流束バランスに依存し、QR>0のときに固液界面の形状が融液側に向かって凸形状になってQR<0のときに凹形状になると記載されている。化合物半導体の結晶成長においては、固液界面の形状が凹になればリニエジ(lineage)などの結晶欠陥が発生することが知られている。非特許文献2においては、固液界面の形状はできるだけ平坦にするのが好ましいとされ、下記式(2)の関係を満足するように、QL、QIN、およびQOUTを調整する必要があると記載されている。
R = QOUT −(QL + QIN) (1)
R = QOUT −(QL + QIN) > 0 (2)
また、非特許文献2には、「成長速度を小さくすることによって固化潜熱QLを減少させることは、凸形状の固液界面の実現に有効であるが、結晶の生産性を低下させるという欠点がある。したがって、QINとQOUTを調整することによって、凸形状の固液界面を実現するのが好ましい。」と記載されている。すなわち、凸形状の固液界面を実現するためには、QINを小さくするかQOUTを大きくするのが好ましい旨が述べられている。しかし、QINを小さくすることには限界があるので、実質的には、結晶側の温度勾配大きくしてQOUTを大きくすることによって、式(2)の関係を満足させなければならない。非特許文献2ではLEC法における熱流速バランスが示されているが、VB法やVGF法においては固体と液体の配置が上下反対になっているだけで、熱流束バランスに関する考え方は同じである。
化合物半導体結晶の低転位密度化は、結晶品質における最も重要な課題の一つである。また、結晶の成長速度を速くすれば、製造コストを削減できるだけでなくて生産性向上にも寄与するので、成長速度の高速化は結晶製造における重要な技術課題である。ところが従来の製法では、低転位密度化と成長速度の高速化という2つの条件を同時に満足させることは困難であった。その理由は、以下のように考えられる。
すなわち、結晶の成長速度を速くするほど、固化潜熱QLが大きくなる。したがって、適正な固液界面形状を維持しながら成長させるためには、結晶の縦方向の温度勾配を大きくしてQOUTを大きくする必要がある。その結果、結晶内部に大きな熱応力が生じて、結晶の転位密度が増加する。結晶の転位密度の増加は、その結晶を用いて作製されるデバイスの特性に悪影響を与えるので、固化潜熱QLの増加を伴う成長速度の増加には限界がある。固化潜熱の発生量が大きい大口径の結晶では、温度勾配や成長速度の制約が特に顕著になる。直径100mmのGaAs結晶の成長速度と転位密度の関係では、たとえば成長速度4mm/hの場合の転位密度は2,000〜5,000cm-2であるが、成長速度8mm/hの場合の転位密度は20,000〜50,000cm-2である。また、直径150mmのGaAs結晶の成長速度と転位密度の関係では、たとえば成長速度3mm/hの場合の転位密度は3,000〜10,000cm-2であるが、6mm/hの場合の転位密度は30,000〜100,000cm-2である。
本発明者は、VB法やVGF法などによって、縦型の単結晶成長容器内に化合物半導体の種結晶と原料を収容し、加熱手段によって種結晶の一部と原料を融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製し、種結晶の未融解部分から原料融液側に向かって結晶成長させる単結晶の製造方法において、化合物半導体の融点温度においてその結晶に比べて小さな熱伝導率を有する部材を単結晶成長用容器の外周に配置することによって、良好な固液界面形状を維持しながら原料融液の温度を降下させて結晶成長させ得ることを見出した。
本発明者はまた、その小さな熱伝導率を有する部材を単結晶成長用容器の外周に配置して原料融液の温度を降下させるに際に、原料融液の少なくとも一部をその融液状態に保ったまま融点より低温の状態すなわち過冷却状態にして、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させれば、融液内に新たな固化相を発生させることなく種結晶から融液の最上部まで一方向に固化が進行し、さらに良好に固液界面形状を維持しながら結晶成長させ得ることを見出した。
本発明者はさらに、このような方法によって非常に小さな温度勾配の下で結晶を成長させることが可能となり、従来の製法では考えられなかった極めて転位密度の低い結晶を成長させ得ること、さらに、低温度勾配下の成長では不可能と考えられていた非常に速い成長速度での単結晶育成が可能なことを見出した。
VB法やVGF法などによって、縦型の単結晶成長用容器に化合物半導体の種結晶と原料を収容し、加熱手段によって種結晶の一部と原料を融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製し、種結晶の未融解部分から原料融液側に向かって結晶成長させる単結晶の製造方法においては、通常は多数のヒータによって所望の温度分布を形成して、式(2)の関係を満足するように固液界面で発生する固化潜熱QL、固液界面から結晶側へ流出する熱流束QOUT、および融液側から固液界面へ流入する熱流束QINを制御しなければ、固液界面を適正な形状に制御することができない。しかし、限られた個数のヒータで適正な温度分布を形成して、さらに結晶成長の最初から最後まで良好な固液界面形状を維持することは非常に難しい。
本発明では、化合物半導体の融点温度においてその結晶に比べて小さな熱伝導率を有する部材を単結晶成長用容器の外周に配置する。したがって、固液界面で発生した潜熱は固液界面近傍の温度を上昇させるが、その小さな熱伝導率を有する部材が単結晶成長用容器の外周に配置されているので、その容器内の径方向への放熱が抑制される。その結果、たとえば式(2)においてQR≒0となる。そこで、式(2)においてQR=0とおけば下記式(2a)の関係が得られる。
R = QOUT −(QL + QIN)=0
OUT =(QL + QIN) (2a)
ここで、固液界面近傍における融液側の温度勾配を可能な限り小さくなるように制御すればQIN≒0となるので、式(2a)でQIN=0とおけば下記式(2b)の関係が得られる。
OUT = QL (2b)
また、融液上部の温度を降下させて固液界面近傍の温度が最も高くなるように融液の温度を制御すれば、固液界面近傍から固体側と液体側の両方に向かう熱流が生じる。そこで、結晶側へ流出する熱流束をQOUT(SOLID)>0として、融液側へ流出する熱流束をQOUT(LIQUID)>0とすれば、固液界面近傍では下記式(3)のような熱流速バランスが成り立つ。
OUT(SOLID) + QOUT(LIQUID) = QL (3)
すなわち、QOUT(SOLID)とQOUT(LIQUID)を制御することによって、固液界面を適正な形状に制御することが可能になる。ここで、QOUT(SOLID)は結晶の温度勾配に関係し、結晶の温度勾配が大きいほど大きくなる。また、QOUT(LIQUID)は、融液の温度が低いほど大きくなる。
ところで、融液が融点よりも低温の状態にあることは、“過冷却状態”にあると言われる。そして、過冷却状態にある融液の温度と融点の差は、“過冷却度”と称される。通常は過冷却度がゼロに近く、融液の温度が融点以下に低下すれば、その融液は固化すると考えるのが一般的である。しかし、本発明者は、化合物半導体単結晶、たとえばヒ化ガリウム(GaAs)、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化インジウム(InAs)、リン化インジウム(InP)などのIII−V族化合物半導体単結晶、またはテルル化カドミウム(CdTe)、セレン化亜鉛(ZnSe)などのII−VI族化合物半導体単結晶の成長においては、原料融液部分を過冷却状態にしても容易には固化相が発生しないことを見出した。そして、このような過冷却状態を利用することによって、非常に大きなQOUT(LIQUID)が実現可能となり、その結果としてQOUT(SOLID)を非常に小さくして結晶成長させ得ることが見出された。
前述の従来製法における熱バランス式(1)は、
OUT = QL + QIN + QR (1a)
に変形でき、ここでQL>0、QIN>0、およびQR>0である。
他方、本発明の方法では、化合物半導体の融点温度においてその結晶に比べて小さな熱伝導率を有する部材を単結晶成長用容器の外周に配置し、融液側の温度勾配を小さくすることによってQR≒0およびQIN≒0となる。そこで、QR=0およびQIN=0とおけば、下記式(3a)が得られる。
OUT(SOLID) = QL − QOUT(LIQUID) (3a)
ここで、融液が融点以上の温度に保持されている場合には、QOUT(LIQUID)≒0となり、次式(3b)が得られ、
OUT(SOLID) ≒ QL (3b)
さらに、融液の温度を降下させて過冷却状態にした場合にはQOUT(LIQUID)>0となり、次式(3c)が得られる。
OUT(SOLID) < QL (3c)
そして、式(3b)、式(3c)、および式(1a)から、
OUT(1a) > QOUT(SOLID)(3b)> QOUT(SOLID)(3c)(過冷却状態)
の関係が見出される。
すなわち、本発明の方法では、従来製法と比較して、結晶の温度勾配をはるかに小さくして結晶を成長させることが可能となる。実際の熱流束バランスはもっと複雑であって、このような簡易な式で表現することはできなが、定性的には以上のように説明することができる。
なお、過冷却状態にしても化合物半導体の融液内に新たな固化相が発生しない理由は、以下のように考えることができる。すなわち、融液内に固化相を出現させるためには、融液内に結晶核を発生させるために必要な条件を満足させる必要がある。その一つが融液の温度であって、温度が低いほど結晶核が発生し易い。しかし、偶然に結晶核のエンブリオ(萌芽)が発生しても、その大きな表面エネルギのために大部分が消失してしまう。原料融液を過冷却状態にしても融液内に新たな固化相が容易に発生しないのは、このような結晶核発生のメカニズムと密接な関係があると考えられる。既に固相が存在する場合、たとえば種結晶を用いて単結晶を成長させるような場合には、新たな結晶核を発生させる必要がないので、大きな過冷却度の過冷却状態は生じないものと考えられる。
上述のような結晶核は、通常は容器壁に発生し易い。これは、融液内部で結晶核が3次元的に発生する場合に比べて、容器壁に付着するように2次元的に発生する方が結晶核の表面エネルギが小さくなり、核が安定成長し易いからである。このようにして容器壁に結晶核が発生する場合の過冷却度の大きさは、容器壁の状態に大きく依存すると考えられる。
本発明者は、縦型の単結晶成長用容器として熱分解窒化ホウ素(pBN)容器を用いた場合には容器壁に結晶核が発生しにくくて大きな過冷却度を実現し易いことを見出し、また結晶成長用容器と融液の間に酸化ホウ素の被膜が介挿されている場合にさらに大きな過冷却度が実現し得ることを見出した。本発明者が行った実験では、pBN容器を用いた場合に、融液の温度を融点よりも50℃以上低下させても、融液側に新たな固化相が発生しなかった。また、pBN容器と原料融液の間に酸化ホウ素の被膜が介挿されている場合には、融液の温度を融点よりも100℃以上低下させても、融液側に新たな固化相が発生しなかった。
このようにして、本発明者は、原料融液を過冷却状態にしても固化相が発生しない条件を見出したのである。そして、このような融液側への大きな放熱効果を利用することによって、従来の常識では考えられなかった大きな成長速度においても、適正な固液界面形状を維持しながら、高品質の結晶を成長させることが可能になった。さらに、従来法では不可能と考えられていたが、本発明では直径200mmの超大型結晶においても低転位密度化や成長速度の高速化が可能になった。
ところで、特許文献1においては、「[請求項1(補正後)]・・・異なる温度に制御可能な本質的に水平なフロアヒータ(2)と本質的に水平なカバーヒータ(3)とを有し、さらにファーネス(1)の回転軸(M)に垂直な放射状の方向における熱流を予め設定した速度に制限できる態様で設定される断熱装置が企画され、前記断熱装置(6)はその断熱効果をカバーヒータ(3)からフロアヒータ(2)に向けて減少させるよう設計されることを特徴とする、装置。」、「[請求項10(補正後)]たとえばグラファイトで作られた断熱装置を特徴とする、・・・」、「[0011]単結晶を製造するための装置は円筒形のファーネス1を有し、それはフロアヒータ2として下側の加熱プレートと、カバーヒータ3として上側の加熱プレートとを有する。この高温の熱伝導プレート(たとえばCFC)は円形の断面を有する。・・・」、「[0012]図示されない制御器具が企画され、それによってフロアヒータ2およびカバーヒータ3を始動できることにより、カバーヒータ3をほぼ処理される材料の溶融温度において保ち、フロアヒータ2をそれより少し低い温度に保つことができる。加えてコントローラは、フロアヒータ2の温度がカバーヒータの温度に比べて成長プロセスにおいて継続的に減少可能であるよう設計され、それによって坩堝4中の原材料の溶融物は底部から頂部へと継続的に硬化できる。」、「「0013」加えて円筒形のファーネス1は、たとえばファーネスの円筒形の境界壁に形成されるジャケットヒータ5を坩堝中の原材料の溶融点に近い温度に保ち得るように設定される。」、「[0014]放射状の方向における熱の流れを防ぐために、ファーネス1は断熱性の材料で作られる軸対称の断熱材6を付加的に有する。断熱材6は、頂部および底部が開いた同軸の円筒形の内部を有する先細になった本体の形を有する。したがって断熱材6の外壁7は先端を切った円錐のような形であり、内壁8は円筒のような形である。・・・この断熱材はグラファイトでできていることが好ましい。・・・」、「[0015]前述のファーネス1における断熱材6の設計および配置は、坩堝4中の原材料の溶融物とジャケットヒータ5との間の放射状の方向をカバーヒータ3からフロアヒータ2に移動する断熱を減少させる。」、「[0017]生長プロセスは以下のように行われる。カバーヒータ3は約1300℃の温度にされ、フロアヒータ2は約1200℃の温度にされる。カバーヒータ3とフロアヒータ2との間に温度勾配が形成され、これは事実上2つの無限に平行な水平プレートの間に見られる温度勾配である。次にフロアヒータの温度を継続的に減少させることによって、坩堝4中の溶融物11を底部から頂部へと均一に結晶化させる。カバーヒータ3の温度に対するフロアヒータ2の温度を制御および/または調整することによって、2つのヒータ間の溶融等温線の垂直位置を移動させることが可能であり、したがって結晶化を制御できる。システム全体のエネルギレベルが減少するため、ジャケットヒータを通じて補償される放射状の損失を減少させることを確実にするために、プロセス時間においてジャケットヒータをわずかに訂正して理想的な軸方向の温度を維持することが必要である。」、「[0018]ジャケットヒータ5は全体の熱損失を補償し、放射状の熱流を防ぐ働きをする。断熱材6を通して、カバーヒータ3の領域における放射状の方向の高いレベルの断熱が達成される。このことは、結晶化プロセスにおけるファーネスの回転軸に平行な軸方向の熱流を保証する。」、「[0021]製造される単結晶に依存して、たとえばその材料または直径に関して、断熱材6は中空の円筒として設計されてもよい。そのねらいは単に、厳密に軸方向の熱流を保証し、かつ放射状の方向への熱の流出を防ぐことである。この態様で、時間単位当りの一定の速度の結晶生長を得るという目標に到達できる。」、「[0022]変更形においては、熱伝導円筒6は先細になった円錐の形ではなく、所望の軸方向の等温線コースが達成されるように成形される。ここではあらゆる特定の形が考えられ、所望の等温線コースによって算出される。材料の形および材料のタイプを通じて、あらゆるタイプの所望の熱流を設計できる。この態様で、時間単位当り一定の速度の結晶生長を得るという目標に到達できる。」などの記載がある。
また、特許文献2においては、「[請求項5]・・・混晶半導体単結晶の成長方法において、固液界面位置から上方に、少なくとも坩堝直径の長さを有する断熱材を坩堝の外周に密着配置して結晶成長する・・・」、「[0013]・・・δTは融液の坩堝中心部と外周部の温度差である・・・」、「[0015]このδTを小さくするには、坩堝外周からの熱の出入りを小さくしてやれば良い。したがって、坩堝壁に断熱材を張り付けてやれば良い。固液界面近傍の対流を抑制するには、上記の断熱材を固液界面から上方に少なくとも坩堝の直径の長さだけ延長する必要がある。なお、断熱材を直径の2倍以上長くしても効果は代わらないので、坩堝上部の温度をあまり上げたくない場合は、坩堝の上部は断熱材で覆う必要はない。・・・」、「[0017]・・・坩堝の周囲を図3のようにアルミナ粉末の断熱材で取り囲んだところ、坩堝の中心部と外周部の融液温度の差δTは約1℃となり、・・・」などの記載がある。
さらに、特許文献3においては、「[請求項2]坩堝の外周を断熱材によって覆う・・・」、「[請求項4]固液界面近傍にある中間部の温度センサの温度をT2、融液側の温度センサの温度をT1、固体側の温度センサの温度をT3とし、融液側温度センサと、固液界面温度センサの距離をL1、固体側の温度センサと固液界面の温度センサの距離をL2とし、固体の熱伝導率をλs、液体の熱伝導率をλlとして、λl(T1−T2)/L1>λs(T2−T3)/L2とした・・・」、「[0015]更には、坩堝と温度センサの外周を断熱材で覆うとなお一層良い。ヒータからの輻射が温度センサに当ると、測定値が高めに出るが、断熱材で包むと、輻射が遮られる。熱伝導のみになるので、融液の温度をより正確に測定することができる。図2にそのような装置の概略を示す。坩堝6と熱電対挿入管9を囲むように断熱材12が設けられる。これは下軸8の上頂にあり、下軸8、坩堝6と共に昇降する。ヒータ2、3、4、5からの輻射熱は断熱材の表面に当りこれを強熱する。表面が高温になるので、熱が熱伝導により内部に伝達される。伝導した熱により坩堝と原料が加熱される。坩堝や原料融液からも伝導により熱が外向きに伝わる。断熱材9を、ヒータと坩堝の中間に設けることは、ヒータからの熱の伝達を遮断するので、加熱の効率が悪い。しかし反面、坩堝内の温度分布の変化を抑えるので、温度分布が安定する。また熱電対で温度を測定する時、輻射を受けないのでより精密に測温することができる。」、「[0018]さらに、優れた結晶性のものを作ろうとすると、図4に示すように、原料の固液界面は固体側が凸に、融液側が凹になっている方が良い。つまり、固液界面が中央で高く、周辺で低くなるような曲面になっているのが結晶性の点で望ましい。このためには、固液界面へ上方から流入する熱量Q1と固液界面から下方へ流れ去る熱量Q2とを比較し、Q1がQ2より大きくすると良い。図5に熱流の関係を示す。Q1がQ2より大きいと、その差Q3=Q1−Q2は、坩堝の中心へ向かう熱流となる。」、「[0019]このような中心に向かう熱流が存在するということは、原料結晶、融液の外周の方が、中央部よりも温度が高いということである。温度は下方で低く、上方で高いのであるから、上向きに凸の等温線が形成される。このため固液界面が、上向きに凸となる。これにより良好な結晶性を持つ結晶ができる。Q1>Q2という条件を温度分布によって書き表わしてみよう。」、「[0020]縦方向上向きにZ軸を定義する。上向きの熱流の大きさは、−λ(∂T/∂z)によって表現することができる。ここでλは熱伝導率である。Tは温度、zはZ軸上の座標である。温度センサを上(融液)、中(固液界面)、下(結晶)の3つの異なる高さに設けている場合は、これらの点での温度を実測できる。上の温度センサと、中(固液界面)の温度センサの距離をL1、中の温度センサと下(固体)の温度センサの距離をL2とする。上記の熱流Q1、Q2は、これら3点の温度T1(融液)、T2(固液界面)、T3(結晶)と距離によって次のように表すことができる。」、「[0021]融液側から固液界面に向かう下向きの熱流Q1は、Q1=λl(T1−T2)/L1となる。ここでλlは融液中の熱伝導率である。固液界面から結晶側に流れる下向きの熱流Q2は、Q2=λs(T2−T3)/L2である。λsは固体中の熱伝導率である。固液界面を上向きに凸型にするためには、Q1>Q2であれば良いので、結局λl(T1−T2)/L1>λs(T2−T3)/L2であれば良い。」などの記載がある。
本発明は、縦型の単結晶成長用容器内に原料を収容して加熱手段でその原料を融解して原料融液を作製し、その原料融液を固化させる結晶の製造方法において、化合物半導体の融点温度においてその結晶に比べて小さな熱伝導率を有する部材を前記単結晶成長用容器の外周に配置するという点では、特許文献1から3に類似している。しかし、本発明は、原料融液の温度を降下させることによって固化を進行させる点に大きな特徴がある。すなわち、ある時間tにおける融液の平均温度をTtとして、dt時間後の融液の平均温度をTdtで表したとき、T>Tdtの条件を保つように融液の温度を制御することによって固化を進行させる。
結晶の固液界面では、融液から流入する熱と結晶側へ流出する熱のほかに、固化潜熱が発生する。成長速度が速いほど、その固化潜熱の発生量も多くなる。ところが、特許文献1、2、および3のように、結晶成長用容器の外周に断熱材を配置する方法では、容器の側面方向への熱流出がその断熱材によって妨げられる。 特許文献3では、固液界面付近の熱流に関する記載があるが、固化潜熱の発生を考慮していない。特許文献3の段落[0022]の[実施例1]および段落[0025]の[実施例2]には、成長用容器として内径12mmの石英坩堝を用いたと記載されている。このように育成する結晶の直径が小さい場合には、発生する固化潜熱の総量が比較的小さい。したがって、特許文献3では、結晶の外周部に断熱材を配置しても問題にならなかったと考えられる。しかし、直径50mm以上の実用サイズの結晶成長においては、固化潜熱の影響を無視することはできない。このように固液界面で発生する固化潜熱は、結晶の温度を低下させて結晶側への放熱量を増加させることによって放熱され、固液界面での熱バランスが維持される。
特許文献1においては、「[0012]図示されない制御器具が企画され、それによってフロアヒータ2およびカバーヒータ3を始動できることにより、カバーヒータ3をほぼ処理される材料の溶融温度において保ち、フロアヒータ2をそれより少し低い温度に保つことができる。加えてコントローラは、フロアヒータ2の温度がカバーヒータの温度に比べて成長プロセスにおいて継続的に減少可能であるよう設計され、それによって坩堝4中の原材料の溶融物は底部から頂部へと継続的に硬化できる。」、および「[0017]生長プロセスは以下のように行なわれる。カバーヒータ3は約1300℃の温度にされ、フロアヒータ2は約1200℃の温度にされる。カバーヒータ3とフロアヒータ2との間に温度勾配が形成され、これは事実上2つの無限に平行な水平プレートの間に見られる温度勾配である。次にフロアヒータの温度を継続的に減少させることによって、坩堝4中の溶融物11を底部から頂部へと均一に結晶化させる。カバーヒータ3の温度に対するフロアヒータ2の温度を制御および/または調節することによって、2つのヒータの間の溶融等温線の垂直位置を移動させることが可能であり、したがって結晶化を制御できる。・・・」と記載されている。
しかし、これは、坩堝の上方に配置されたカバーヒータ3によってガリウム砒素融液の温度を融点よりも高い1300℃に保持したまま、坩堝の下方に配置されたフロアヒータ2の温度を降下させて結晶側の放熱を促進させることにより、固化を進行させることを意味している。すなわち、本発明の特徴である「原料融液の温度を降下させることによって、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させる」ことは、特許文献1において記載も示唆もされていない。
さらに、特許文献1の方法では、周囲に断熱材が配置されているので、側面方向への放熱が困難である。したがって、実用的結晶成長速度で固化を進行させようとすれば、結晶内に非常に大きな温度勾配を生じさせる必要がある。その結果、結晶内に大きな熱応力が発生して、転位密度が増加する。このような転位密度増加による結晶品質の低下を防ぐためには、結晶の成長速度を小さくして固化潜熱の発生量を少なく抑える必要がある。そのようにすれば、結晶品質の低下をある程度抑制することができるが、生産性が著しく低下する。すなわち、特許文献1は、結晶の品質と生産性において、上述のような致命的問題を抱えている。
本発明者は、「化合物半導体融液の熱伝導率がその結晶に比べてはるかに大きく、通常は結晶の2倍以上であること」、「融液対流による大きな熱輸送が可能であること」などに着目し、単結晶成長用容器の外周に熱伝導率が小さい部材を配置した場合でも、原料融液の温度を降下させることによって、固液界面で発生する固化潜熱を充分に放熱させることが可能であることを見出した。
そこで、本発明では、このような融液の大きな熱輸送効果利用して、原料融液の温度を降下させることによって固化を進行させる。このようにして固化を進行させることにより、大きな結晶成長速度においても、固液界面における熱流束バランスを適正に維持しながら、良好な結晶成長を行なうことが可能となる。また、結晶側の放熱量を増加させる必要がなく、結晶内の温度勾配を小さくして結晶成長させ得るので、転位の少ない高品質の化合物半導体単結晶を育成することができる。
本発明ではさらに、原料融液の少なくとも一部を融液状態に保ったまま融点より低温の状態すなわち過冷却状態にして、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させる方法を提案する。大きな熱伝達効果を有する融液を過冷却状態にすれば、固液界面で発生する固化潜熱をさらに効果的に放熱させることができる。
特許文献4においては、融液内の対流を抑制する方法が提案されており、その段落[0011]の13行目から17行目には「固液界面位置制御用ヒータ1と融液形成用ヒータ2との間には、寸法l=約20mmの隙間14が設けてあり、温度分布の谷TL(=約1233〜1237℃)を形成している。」と記載されており、図1にはその概念図が示されている。このように、特許文献4には、あたかもGaAs融液の温度を融点(m.p.=1238℃)以下にしているかのような記載があるが、これはそのような意味ではない。特許文献4の記載を以下に引用する。
すなわち、「[0003][発明が解決しようとする課題]前述したように従来の垂直ブリッジマン法は、固液界面部10より上部の高温域21の温度分布は固液界面10より除々に温度が高くなる分布を使用しているため、融液6の対流(矢印で示す)が固液界面10位置まで影響を及ぼす。従って、図3(B)に示すように固液界面形状9は、種結晶8の反対の融液方向(矢印a)に対し凹面になりがちであった。その結果、(1)坩堝壁から欠陥を取込みやすく単結晶収率が悪い、(2)成長速度を遅くさせざるをえない(たとえば1〜3mm/h)、という欠点があった。」、「本発明の目的は、融液の対流が固液界面に影響を及ぼすのを防ぐバッファゾーンを設けることによって、前記した従来技術の欠点を解消し、・・・」、「[0009][作用]界面加熱部と高温加熱部との間を広げる等して、これらの間に温度分布の谷を形成する隙間や冷却手段を設けると、融液内の対流が上下で遮断され、しかも温度勾配が0℃/cmとなることにより、固液界面形状が融液方向に凸になり、単結晶収率が向上する。これは、従来は凸にするために成長速度を抑えていたことから、実質的には成長速度が速くなることを意味する。」、「[0010]温度分布の谷部と固液界面との距離LをL≧0.5dとしたのは、L<0.5dの場合は温度分布の谷部を設けても、融液の対流が固液界面まで達してしまうため、有効ではないからである。また、L≦2dとしたのは、L>2dの場合は、融液の高さが高すぎるため、その間の融液の軸方向の温度匂配を0℃/cmに保つのは難しくなり、温度の谷部と固液界面の中間部で新たな対流を形成したり、温度の谷部の温度を下げすぎて、その部分で融液が固化してしまうという様な不具合の発生する確率が高くなるからである。好ましくは、実用的に安定しているL=約dとするのがよい。・・・」などと記載されている。
以上の記載から明らかなように、特許文献4では、融液を過冷却にすることが提案されているわけではない。特許文献4の段落[0010]の8行目から10行目の「・・・温度の谷部の温度を下げすぎて、その部分で融液が固化してしまうという様な不具合の発生する確率が高くなるからである。・・・」という記載は、明らかに「融液の温度を下げすぎると、融液の温度が融点よりも低くなって、その部分で融液が固化してしまうという様な不具合の発生する確率が高くなる。」ことを意味しているのである。
さらに、特許文献4におけるTLがヒータの温度であることは、その図1中の温度分布18(図1(B))がヒータの長さ分だけ示されていること、および種結晶8よりも下側の空間部分にも温度分布が示されていることからも明らかである。このようにヒータの温度を部分的に融点以下にしても、融液の温度は融点以下になるわけではない。坩堝4の設置された部分の温度は、温度の高い部分からの強い輻射熱を受けるので、融点よりも高い温度になるのが一般的である。
そのTLの温度に関して、段落[0011]の実施例1のL=約d([0011]の最終行)の場合に関して、段落[0011]の16行目に「谷TL(=約1233〜1237℃)」と記載されているものの、段落[0014]の実施例3における「L=約2dにした以外は、実施例1と同一条件で成長を行った。その結果、TLの温度を1237℃近辺にしないと、その付近の融液が固化しやすく、成長の継続が困難になることが多かった。そのため、TLを1238〜1239℃に上げて成長を行ったところ、今度は融液の対流が大きくなり、成長条件が不安定になることがわかった。但し、TL=約1237℃で融液が固化しなかった場合は単結晶が得られた。・・・」という記載から、TL=約1237℃でも融液の固化が起こることがわかる。
特許文献4の段落[0011]の11行目に「融点(m.p.=1238℃)」と記載されているので、「TL=約1237℃」は融点よりも1℃低いだけである。図1(B)のヒータの温度分布の谷部を1237℃近辺に設定した場合、融液の温度が1238℃以上になるというのは当業者の常識である。このような事実と、特許文献4の段落[0014]の2行目から3行目における「その結果、TLの温度を1237℃近辺にしないと、その付近の融液が固化しやすく、成長の継続が困難になることが多かった。」という記載を考慮すれば、特許文献4は、融液を融点以下の温度にすれば融液が固化して単結晶が得られなくなるので「融液を融点以下の温度にしてはならない。」と考えていることが明らかであり、融液を過冷却にすることを示唆するものではない。
本発明では、融液の温度降下量が大きいほど、また過冷却度が大きいほど、融液側へ流出する熱流束QOUT(LIQUID)を大きくすることができて、より大きな効果が得られる。過冷却度に関しては、好ましくは原料融液の少なくとも一部を融点よりも10℃以上、より好ましくは30℃以上、さらに好ましくは50℃以上低温にして、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させる。
また、本発明では、原料融液の最上部の温度が最も低くなるような温度分布を形成して、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させるのが好ましい。このように融液の最上部で冷却された温度の低い融液は対流によって運ばれて、融液側へ流出する熱流束QOUT(LIQUID)を増加させ、固化潜熱QLを効果的に奪い得る。ただし、融液の深さが非常に大きい場合には、融液対流が乱れて結晶成長が不安定になる可能性が考えられる。
そこで、原料融液の温度がほぼ均一になるような温度分布を形成して、種結晶の未融解部分から融液側に向かって固化を進行させてもよい。このように、融液の温度をほぼ均一にすることによって、深さの大きい融液においても、安定した結晶成長が可能になる。ただし、このように融液の温度をほぼ均一にした場合でも、固液界面近傍の融液側の温度は、融点以上の適正な温度に維持する必要がある。固液界面の融液側の温度が融点に近づき過ぎれば、融液の温度揺らぎの影響を受け易くなるので、結晶成長が不安定になることが考えられる。しかし、固化潜熱QL、結晶側へ流出する熱流束QOUT(SOLID)、および融液側へ流出する熱流束QOUT(LIQUID)のバランスを取ることによって、固液界面近傍の融液側の温度を適正にコントロールすることができる。
また、本発明では、種結晶と原料を収容した縦型の単結晶成長用容器を加熱手段に対して相対的に下方に移動させることによって、下方から上方に向かって固化を進行させるのが好ましい。このようにすれば、固液界面近傍の温度分布を安定に維持することができるので、安定した固液界面形状と成長速度を維持しながら結晶成長させることができる。
本発明は、50mm径よりも大きな胴部を有する単結晶の成長において特に有効である。すなわち、その胴部の直径が大きいほど単位時間当たりに発生する固化潜熱の量が大きいので、融液側に放熱させることによって大きな放熱量が得られる本発明が特に有効である。また、本発明を適用することにより、従来法では困難と考えられていた5mm/hよりも大きな成長速度(=固液界面の移動速度)で、結晶胴部の成長を行なうことができる。さらに、より洗練された結晶成長条件の下では、結晶胴部の成長速度を10mm/hよりも大きく、さらには15mm/hよりも大きくしても、良好な特性を有する化合物半導体単結晶が得られる。
通常では、種結晶の断面積は、育成される単結晶胴部の断面積の0.5〜5%程度である。このように断面積の小さな種結晶を用いる理由は、種結晶にかかるコストをできるだけ少なくするためである。通常、種結晶は、単結晶の胴部から切断して採取する。すなわち、直径の小さい種結晶の方が、直径の大きな種結晶に比べて多数本採取できるので、1本当たりのコストが少なくて済む。しかし、このように小さな種結晶から胴部まで増径させて結晶を成長させる場合、増径部では結晶成長が進むにしたがって単位時間当たりに発生する固化潜熱の量が増加していく。したがって、安定した固液界面形状や成長速度を維持するためには、固化潜熱発生量の増加に合わせて放熱量を増加させていく必要がある。このような複雑な放熱量制御は、再現性に乏しいので、結晶を製造する際に大きな問題となる。
たとえば、5mm/hより大きな速度、さらに10mm/hより大きな速度、さらには15mm/hよりも大きな速度で結晶成長させようとすれば、増径部における固化潜熱の単位時間当たりの変化量が非常に大きなものになる。大きな速度で結晶成長させるためには、増径部における結晶径の変化率が小さい方が有利であり、結晶中心軸を含む縦断面において、種結晶から結晶胴部に至る増径部の結晶中心軸に対するテーパ角は30°以下が好ましく、22.5°以下がより好ましく、15°以下がさらに好ましい。このように、種結晶から結晶胴部に至る増径部の結晶中心軸に対するテーパ角を小さくすれば、結晶成長の進行に伴う結晶断面積の変化が小さくなり、固化潜熱の変化率を小さくすることができる。このように、種結晶から結晶胴部にかけての直径変化を緩やかにすることによって、固化潜熱の変化量を小さく抑えることが可能になり、5mm/h、さらに10mm/h、さらには15mm/hより大きな成長速度においても、安定した固液界面形状を維持しながら単結晶を育成することが可能になる。
しかし、上述のように増径部のテーパ角を小さくすれば、製品ウエハを採取できる単結晶胴部が短くなり、製品ウエハ径に満たない部分(=増径部)の割合が大きくなって、製品ウエハの収率が低下する恐れがある。そこで、断面積の大きな種結晶を用いれば、増径部のテーパ角を小さくした場合でも、種結晶から単結晶胴部までを短くできるので、製品ウエハ径に満たない部分の割合を少なくできる。具体的には、種結晶の断面積が単結晶胴部の断面積の25%以上とするのが好ましく、50%以上とするのがより好ましく、75%以上とするのがさらに好ましい。
さらに、本発明では、結晶側への熱流束QOUT(SOLID)を小さく抑えることができるので、従来法よりもはるかに小さな温度勾配下で結晶を成長させることができる。具体的には、坩堝外壁面における成長軸方向すなわち縦方向の温度勾配を好ましくは2℃/cm未満にし、より好ましくは1℃/cm未満にして、単結晶胴部の固化を進行させることができる。また、固化の開始から終了までにおいて、成長中の結晶の温度を絶対温度において融点の0.94倍、より好ましくは0.97倍よりも高温に維持した状態で固化を進行させる。このように、胴部成長時の坩堝外壁面における成長軸方向の温度勾配を小さくすることによって、また、固化の開始から終了までにおいて結晶を所定の温度以上に保持しながら成長させることによって、結晶成長中の熱応力の発生を抑制することができ、転位密度の少ない結晶を成長させることができる。
さらに、本発明において、縦型の単結晶成長用容器は熱分解窒化ホウ素(pBN)製であり、その単結晶成長用容器と融液の間に酸化ホウ素の被膜が介挿されることが好ましい。前述したように、熱分解窒化ホウ素(pBN)容器の壁面には結晶核が発生し難く、また単結晶成長用容器と融液の間に酸化ホウ素の被膜が介挿されていれば、その容器の壁面にさらに結晶核が発生しにくくなる。したがって、融液を過冷却にした際に、不所望な結晶核が新たに発生するのを確実に防ぐことができる。単結晶成長用容器と融液の間に酸化ホウ素の被膜を介挿させるために、単結晶成長用容器に種結晶と原料と共に固形の酸化ホウ素を収容してもよいが、種結晶と原料を収容するのに先だって成長用容器の少なくとも融液と接触する部分に酸化ホウ素被膜を予め形成しておけばより効果的である。
本発明は、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、リン化ガリウム(GaP)などの化合物半導体単結晶の成長に適用すれば特に効果的である。これらの化合物半導体では、結晶の熱伝導率が小さいので、結晶側への放熱量を大きくすることが難しい。また、比較的容易に無転位結晶が得られるシリコン(Si)に比べて、化合物半導体結晶は塑性変形して転位が発生し易い。したがって、従来の方法では、化合物半導体結晶の成長速度の増加や低転位密度化を実現することが困難だったのである。また、これらの化合物半導体の融液は過冷却度を大きくしても固化相が生じにくいので、本発明は化合物半導体の単結晶育成に適しているのである。
本発明によれば、平均値転位密度が30cm-2未満であってシリコン濃度が5×1016cm-3以上で5×1017cm-3未満であるn型ヒ化ガリウム基板を提供することができる。n型の電気伝導性を有するヒ化ガリウム基板には、所望の電気特性に制御するためのドーパントとしてシリコンが添加される。n型ヒ化ガリウム基板は、主にLEDやLDなどの光デバイスに用いられる。光デバイスでは転位がその特性に悪影響を及ぼすので、低転位密度であることが必要とされている。ヒ化ガリウム結晶にシリコンを添加すれば、固溶強化作用によってヒ化ガリウム結晶内の転位密度が減少する。しかし、5×1017cm-3未満の低いシリコン濃度の場合には固溶強化の効果が充分に得られず、従来では平均転位密度が30cm-2未満の低転位密度のn型ヒ化ガリウム結晶を成長させることができなかった。
本発明では、縦型の単結晶成長用容器内に種結晶と原料を収容し、加熱手段によって種結晶の一部と原料を融解して実質的に化学量論組成に調整した原料融液を作製し、種結晶の未融解部分から原料融液を固化させる単結晶の製造方法において、化合物半導体の融点温度においてその結晶に比べて小さな熱伝導率を有する部材を単結晶成長用容器の外周に配置し、原料融液の温度を降下させてヒ化ガリウム結晶を成長させることによって、5×1017cm-3未満の低シリコン濃度においても、平均転位密度が30cm-2未満、より精密に制御された条件では15cm-2未満の低転位密度のn型ヒ化ガリウム基板が得られる。また、低転位密度化がより困難な直径100mm以上さらには直径125mm以上の大口径基板においても同様に、5×1017cm-3未満の低シリコン濃度で、平均転位密度が30cm-2未満、さらに良好なものでは15cm-2未満、最も良好なものでは5cm-2未満の非常に低い転位密度のn型ヒ化ガリウム基板が得られる。
同様にして、硫黄ドープのリン化インジウム結晶を成長させることによって、3×1018cm-3未満の低硫黄濃度においても、平均転位密度が50cm-2未満、より精密に制御された条件では25cm-2未満の低転位密度のn型リン化インジウム基板が得られる。また、低転位密度化がより困難な直径100mm以上さらには直径125mm以上の大口径基板においても同様に、3×1018cm-3未満の低硫黄濃度で、平均転位密度が50cm-2未満、さらに良好なものでは25cm-2未満、最も良好なものでは10cm-2未満の非常に低い転位密度のn型リン化インジウム基板が得られる。
このようにして得られた低転位密度のn型ヒ化ガリウム基板やn型リン化インジウム基板を光デバイス用基板として用いることにより、従来法で得られた結晶では予想し得なかった良好なデバイス特性が得られるだけでなく、デバイス製造において高い歩留りが安定して得られる。
さらに、本発明では、転位密度の平均値が300cm-2未満で、シリコン濃度が5×1015cm-3未満で、そして比抵抗が1×103Ωcm以上の半絶縁性ヒ化ガリウム基板を提供することができる。比抵抗が1×103Ωcm以上の半絶縁性ヒ化ガリウム基板には、電気特性を制御するためのドーパントとしてクロムまたはカーボンがごく微量添加される。これらのドーパントをヒ化ガリウム結晶に添加しても、シリコンの場合のように固溶強化作用によってヒ化ガリウム結晶の転位密度が顕著に減少することはない。したがって、従来では、平均転位密度が300cm-2未満の低転位密度の半絶縁性ヒ化ガリウム結晶を成長させることは困難であった。
本発明の方法で半絶縁性ヒ化ガリウム結晶を成長させることによって、平均転位密度が300cm-2未満、さらに良好なものでは200cm-2未満、最も良好なものでは100cm-2未満の低転位密度の半絶縁性ヒ化ガリウム基板を得ることができる。低転位密度化がより困難な直径150mm以上さらには直径200mm以上の大口径基板においても同様に、平均転位密度が300cm-2未満、さらに良好なものでは200cm-2未満、最も良好なものでは100cm-2未満の低転位密度の半絶縁性ヒ化ガリウム基板を得ることができる。
さらに、本発明では、転位密度の平均値が300cm-2未満で比抵抗が1×103Ωcm以上の半絶縁性リン化インジウム基板を提供することができる。比抵抗が1×103Ωcm以上の半絶縁性リン化インジウム基板には、電気特性を制御するためのドーパントとして鉄がごく微量添加される。しかし、リン化インジウム結晶に鉄を添加しても、硫黄のような固溶強化作用によってリン化インジウム結晶の転位密度が顕著に減少することはない。したがって、従来では平均転位密度が300cm-2未満の低転位密度の半絶縁性リン化インジウム結晶を成長させることは困難であった。
本発明の方法で半絶縁性リン化インジウム結晶を成長させることによって、平均転位密度が300cm-2未満、さらに良好なものでは200cm-2未満、最も良好なものでは100cm-2未満で比抵抗が1×103Ωcm以上の低転位密度の鉄ドープ半絶縁性リン化インジウム基板を得ることができる。低転位密度化がより困難な直径150mm以上さらには直径200mm以上の大口径基板においても同様に、平均転位密度が300cm-2未満、さらに良好なものでは200cm-2未満、最も良好なものでは100cm-2未満で比抵抗が1×103Ωcm以上の低転位密度の鉄ドープ半絶縁性リン化インジウム基板を得ることができる。
ところで、化合物半導体基板を用いて作製されるOEIC(光電子集積回路)は、光デバイスと電子デバイスを一つのチップ上に作製したデバイスである。前述したように、転位は光デバイスの特性に悪影響を及ぼす。本発明によって得られる低転位密度の半絶縁性ヒ化ガリウム基板や半絶縁性リン化インジウム基板を特にOEICなどの光・電子デバイス用基板として用いることにより、従来法で得られた結晶からは予想し得なかった良好なデバイス特性が得られるだけでなく、デバイス製造において高い歩留りが安定して得られる。また、このように良好なデバイス特性と高い歩留りは、半絶縁性ヒ化ガリウム基板の場合には、カーボンを1×1014cm-3以上添加した基板で顕著に見られる。
(A)は本発明におけるn型ヒ化ガリウム単結晶を製造する装置一例の模式的な断面図であり、(B)はその装置の坩堝外壁における温度分布の一例を示すグラフである。 実施例1の方法において、ヒ化ガリウム多結晶原料、酸化ホウ素、及びドーパント(固体シリコン)をpBN製坩堝に収容する方法の一例を示す模式的な断面図である。 実施例1の方法で育成した単結晶の外観と各部の名称を示す模式的な正面図である。 実施例2において、半絶縁性ヒ化ガリウム単結晶を製造する装置の一例を示す模式的断面図である。 実施例3において、n型リン化インジウム単結晶を製造する装置の一例を示す模式的断面図である。 実施例4において、半絶縁性リン化インジウム単結晶を製造する装置の一例を示す模式的断面図である。
(実施例1)
本発明の実施例1として、n型ヒ化ガリウム(GaAs)の単結晶が育成される。図1(A)と(B)において、本発明に用いる単結晶製造装置の一例の模式的断面図とその装置中の坩堝外壁の温度分布のグラフの一例がそれぞれ示されている。この単結晶製造装置には、原料融液を形成するためのヒータ3、固液界面近傍を加熱するためのヒータ4、成長した結晶の温度分布をコントロールするためのヒータ5が設けられている。ヒータ3と4の間には断熱板6が設けられるとともに、ヒータ4と5の間には断熱板7が設けられ、それぞれの領域が熱的に遮断されるように配慮されている。
実施例1においては、図2に示すように、予め酸化処理によって内表面を酸化ホウ素膜15aで被覆した内径約105mmのpBN坩堝8をステンレス製チャンバ1の下軸9の上部に設けた坩堝台10上に設置し、坩堝8の外周にグラファイト断熱材11を配置する。坩堝8の下端の種結晶収容部12に直径95mmの種結晶13を収容し、さらにその上に、予備合成したヒ化ガリウム多結晶原料14の約15kgと、酸化ホウ素(B23)15の約700gと、さらにドーパントとしての固体シリコン16を収容する。この固体シリコンは高純度シリコンウエハを破砕したものであり、ヒ化ガリウム結晶の肩部(増径部と胴部の境界)におけるシリコン濃度が5×1016cm-3となるように分量を秤量して用いられる。
その後、速やかにステンレス製チャンバ1を密閉し、そのチャンバ内部を真空ポンプで排気する。さらに、結晶成長時の圧力がゲージ圧で0.5MPaになるようにチャンバ内に窒素ガスを導入し、ヒータの温度を上昇させて加熱を行なう。加熱昇温の過程でまず酸化ホウ素が軟化融解して、ヒ化ガリウム多結晶原料14と種結晶13を完全に封止する。さらに昇温を続けて、ヒータ3〜5の温度を調整しながら、種結晶13の下部を融点以下の温度に保持する一方で多結晶原料14と種結晶13の上部を融点よりも高温に加熱して原料融液17を生成させる。この状態に一定時間保持することによって、原料融液の組成と温度を安定化させる。
その後、下軸9を3rpmで回転させながらヒータ3の温度をゆっくり降下させる。そして、坩堝外壁面の融液上端に相当する部分の温度が融点よりも約30℃だけ低温になるまでゆっくりと温度降下させる一方で5.5mm/hの速度で下軸9を下降させることによって、直径約105mmのシリコンドープのヒ化ガリウム単結晶18を成長させる。この時の坩堝8の外壁面における固液界面近傍の成長軸方向の温度勾配は、0.8℃/cmである。
図3において、このようにして育成された単結晶の外観と、その各部の名称が示されている。単結晶の肩部から、シリコンの濃度が5×1016cm-3であって平均転位密度が約30cm-2である低転位密度のn型ヒ化ガリウム基板が得られる。また同じ結晶の尾部(上端部)から、シリコン濃度が1×1017cm-3であって平均転位密度が約15cm-2である低転位密度のn型ヒ化ガリウム基板が得られる。
(実施例2)
本発明の実施例2として、図4に示されているように実施例1と同様の装置を用いて、半絶縁性ヒ化ガリウム(GaAs)単結晶が育成される。本実施例2においては、予め酸化処理によって内表面を酸化ホウ素膜で被覆された内径約155mmのpBN坩堝28をステンレス製チャンバ21の下軸29の上部に設けられた坩堝台30上に設置し、坩堝28の外周にグラファイト断熱材31を配置する。坩堝28の下端の種結晶収容部32内に直径145mmの種結晶33を収容し、さらにその上に、予備合成したヒ化ガリウム多結晶原料の約30kgと、酸化ホウ素(B23)35の約1500gと、さらにドーパントとしての固体カーボン(図示せず)を収容する。この固体カーボンは、ヒ化ガリウム結晶の肩部におけるカーボン濃度を5×1015cm-3にするのに必要な分量を秤量して用いられる。
その後、速やかにステンレス製チャンバを密閉し、そのチャンバ内部を真空ポンプで排気する。さらに、結晶成長時の圧力がゲージ圧で0.5MPaになるようにチャンバ内に窒素ガスを導入し、ヒータの温度を上昇させて加熱を行なう。加熱昇温の過程で、まず酸化ホウ素が軟化融解してヒ化ガリウム多結晶原料と種結晶33を完全に封止する。さらに昇温を続け、ヒータ23〜25の温度を調整しながら、種結晶の下部を融点以下の温度に保持する一方で多結晶原料と種結晶33の上部を融点よりも高温に加熱して原料融液37を生成させる。この状態に一定時間保持することによって、原料融液の組成と温度を安定化させる。
その後、下軸29を3rpmで回転させながらヒータ23の温度をゆっくり降下させて、坩堝28外壁面の融液上端に相当する部分の温度が融点よりも約10℃だけ低温になるまでゆっくりと温度降下させる一方で8mm/hの速度で下軸29を下降させることによって、直径約155mmのカーボンドープのヒ化ガリウム単結晶38を成長させる。この時の坩堝28外壁面における固液界面近傍の成長軸方向の温度勾配は、2.0℃/cmである。
このようにして得られるヒ化ガリウム単結晶から、カーボン濃度が5×1015cm-3で平均転位密度が約300cm-2である低転位密度の半絶縁性ヒ化ガリウム基板が得られる。なお、この結晶の不純物シリコンの濃度は5×1015cm-3未満であって、低転位密度化には寄与していない。
(実施例3)
本発明の実施例3として、図5に示されているように実施例1と同様の装置を用いて、n型リン化インジウム(InP)の単結晶が育成される。本実施例3においては、予め酸化処理によって内表面を酸化ホウ素膜で被覆した内径約105mmのpBN坩堝48をステンレス製のチャンバ41の下軸49の上部に設けられた坩堝台50上に設置し、坩堝48の外周にグラファイト断熱材51を配置する。坩堝48の下端の種結晶収容部52内に直径70mmの種結晶53を収容し、さらにその上に、予備合成したリン化インジウム多結晶原料の約10kgと、酸化ホウ素(B23)55の約700gと、さらにドーパントとしての硫化インジウムを収容する。この硫化インジウムは、リン化インジウム結晶の肩部における硫黄の濃度が1×1018cm-3となるように分量を秤量して用いられる。
その後、速やかにステンレス製チャンバを密閉し、そのチャンバ内部を真空ポンプで排気する。さらに、結晶成長時の圧力がゲージ圧で5MPaになるようにチャンバ内に窒素ガスを導入し、ヒータの温度を上昇させて加熱を行なう。加熱昇温の過程で、まず酸化ホウ素が軟化融解し、リン化インジウム多結晶原料と種結晶53を完全に封止する。さらに昇温を続け、ヒータ43〜45の温度を調整しながら、種結晶の下部を融点以下の温度に保持する一方で多結晶原料と種結晶53の上部を融点よりも高温に加熱して原料融液57を生成させる。この状態に一定時間保持することによって、原料融液の組成と温度を安定化させる。
その後、下軸49を3rpmで回転させながらヒータ43の温度をゆっくり降下させて、坩堝外壁面の融液上端に相当する部分の温度が融点よりも約40℃だけ低温になるまでゆっくりと温度降下させる一方で10.5mm/hの速度で下軸49を下降させることによって、直径約105mmの硫黄ドープのリン化インジウム単結晶58を成長させる。この時の坩堝48外壁面における固液界面近傍の成長軸方向の温度勾配は、1.0℃/cmである。
このようにして得られるリン化インジウム単結晶の肩部から、硫黄濃度が1×1018cm-3で平均転位密度が約45cm-2である低転位密度のn型リン化インジウム基板が得られる。また同じ結晶の尾部から、硫黄濃度が3×1018cm-3で平均転位密度が約20cm-2である低転位密度のn型リン化インジウム基板が得られる。
(実施例4)
本発明の実施例4として、図6に示されているように実施例1と同様の装置を用いて、半絶縁性リン化インジウム(InP)の単結晶が育成される。本実施例4においては、予め酸化処理によって内表面を酸化ホウ素膜で被覆した内径約155mmのpBN坩堝68をステンレス製チャンバ61の下軸69の上部に設けられた坩堝台70上に設置し、坩堝68の外周にグラファイト断熱材71を配置する。坩堝68の下端の種結晶収容部72内に直径110mmの種結晶73を収容し、さらにその上に、予備合成したリン化インジウム多結晶原料の約20kgと、酸化ホウ素(B23)75の約1500gと、さらにドーパントとしての高純度鉄を収容する。この高純度鉄は、リン化インジウム結晶の肩部における鉄の濃度が1×1016cm-3となるような分量を秤量して用いられる。
その後、速やかにステンレス製チャンバを密閉し、チャンバ内部を真空ポンプで排気する。さらに、結晶成長時の圧力がゲージ圧で5MPaになるようにチャンバ内に窒素ガスを導入し、ヒータの温度を上昇させて加熱を行なう。加熱昇温の過程でまず酸化ホウ素が軟化融解し、リン化インジウム多結晶原料と種結晶73を完全に封止する。その後さらに昇温を続け、ヒータ63〜65の温度を調整しながら、種結晶の下部を融点以下の温度に保持する一方で多結晶原料と種結晶73の上部を融点よりも高温に加熱して原料融液77を生成させる。この状態に一定時間保持することによって、原料融液の組成と温度を安定化させる。
その後、下軸69を3rpmで回転させながらヒータ63の温度をゆっくり降下させて、坩堝68外壁面の融液上端に相当する部分の温度が融点よりも約50℃だけ低温になるまでゆっくりと温度降下させる一方で15.5mm/hの速度で下軸69を下降させることによって、直径約155mmの鉄ドープリン化インジウム単結晶78を成長させる。この時の坩堝68外壁面における固液界面近傍の成長軸方向の温度勾配は、1.5℃/cmである。
このようにして得られるリン化インジウム単結晶の肩部から、鉄濃度が1×1016cm-3で平均転位密度が約300cm-2である低転位密度の半絶縁性リン化インジウム基板が得られる。また、同じ結晶の尾部から、鉄濃度が1×1017cm-3で平均転位密度が約150cm-2である低転位密度の半絶縁性リン化インジウム基板が得られる。
1 ステンレス製チャンバ、2 断熱材、3、4、5 ヒータ、6、7 断熱板、8 pBN坩堝、9 下軸、10 坩堝台、11 グラファイト断熱材、12 種結晶収容部、13 種結晶、14 ヒ化ガリウム多結晶原料、15 酸化ホウ素(B23)、15a 酸化ホウ素膜、16 固体シリコン、17 原料融液、18 ヒ化ガリウム単結晶、21 ステンレス製チャンバ、22 断熱材、23、24、25 ヒータ、26、27 断熱板、28 pBN坩堝、29 下軸、30 坩堝台、31 グラファイト断熱材、32 種結晶収容部、33 種結晶、35 酸化ホウ素(B23)、37 原料融液、38 ヒ化ガリウム単結晶、41 ステンレス製チャンバ、42 断熱材、43、44、45 ヒータ、46、47 断熱板、48 pBN坩堝、49 下軸、50 坩堝台、51 グラファイト断熱材、52 種結晶収容部、53 種結晶、55 酸化ホウ素(B23)、57 原料融液、58 リン化インジウム単結晶、61 ステンレス製チャンバ、62 断熱材、63、64、65 ヒータ、66、67 断熱板、68 pBN坩堝、69 下軸、70 坩堝台、71 グラファイト断熱材、72 種結晶収容部、73 種結晶、75 酸化ホウ素(B23)、77 原料融液、78 リン化インジウム単結晶。

Claims (20)

  1. 平均転位密度が30cm-2未満であり、シリコン濃度が5×1016cm-3以上で5×1017cm-3未満であることを特徴とするn型ヒ化ガリウム基板。
  2. 前記平均転位密度が15cm-2未満であることを特徴とする請求項1に記載のn型ヒ化ガリウム基板。
  3. 直径が100mm以上であることを特徴とする請求項2に記載のn型ヒ化ガリウム基板。
  4. 前記直径が125mm以上であることを特徴とする請求項3に記載のn型ヒ化ガリウム基板。
  5. 平均転位密度が300cm-2未満であり、シリコン濃度が5×1015cm-3未満であり、そして比抵抗が1×103Ωcm以上であることを特徴とする半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  6. 前記平均転位密度が100cm-2未満であることを特徴とする請求項5に記載の半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  7. カーボンを1×1014cm-3以上添加したことを特徴とする請求項5または6に記載の半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  8. 直径が150mm以上であることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  9. 前記直径が200mm以上であることを特徴とする請求項8に記載の半絶縁性ヒ化ガリウム基板。
  10. 平均転位密度が50cm-2未満であり、硫黄濃度が1×1017cm-3以上で3×1018cm-3未満であることを特徴とするn型リン化インジウム基板。
  11. 前記平均転位密度が25cm-2未満であることを特徴とする請求項10に記載のn型リン化インジウム基板。
  12. 平均転位密度が300cm-2未満であり、錫濃度が1×1017cm-3以上で5×1018cm-3未満であることを特徴とするn型リン化インジウム基板。
  13. 前記平均転位密度が100cm-2未満であることを特徴とする請求項12に記載のn型リン化インジウム基板。
  14. 直径が100mm以上であることを特徴とする請求項10から13のいずれかに記載のn型リン化インジウム基板。
  15. 前記直径が125mm以上であることを特徴とする請求項14に記載のn型リン化インジウム基板。
  16. 平均転位密度が300cm-2未満であり、比抵抗が1×103Ωcm以上であることを特徴とする半絶縁性リン化インジウム基板。
  17. 前記平均転位密度が100cm-2未満であることを特徴とする請求項16に記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
  18. 鉄を1×1015cm-3以上添加したことを特徴とする請求項16または17に記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
  19. 直径が100mm以上であることを特徴とする請求項16から18のいずれかに記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
  20. 前記直径が150mm以上であることを特徴とする請求項19に記載の半絶縁性リン化インジウム基板。
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