JP2019172525A - 単結晶育成用種結晶 - Google Patents

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勝彦 岡野
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Abstract

【課題】垂直ブリッジマン法や垂直温度勾配凝固法により原料融液にシーディングを行った場合、種結晶の側面への原料融液の流れ込みを種結晶の所定の高さで均一に留めることのできる単結晶育成用種結晶を提供する。【解決手段】円柱状の種結晶の環状側面または上底から下底へ縮径するテーパ形状の環状側面を有する逆円錐台状の種結晶の当該環状側面を周回する凹設されたリング状溝を備え、前記種結晶の高さ方向における前記リング状溝の溝幅が2mm〜3mmであり、前記リング状溝における溝の深さが3mm〜6mmである、垂直ブリッジマン法または垂直温度勾配凝固法による単結晶の育成に用いる単結晶育成用種結晶。【選択図】図1

Description

本発明は、垂直ブリッジマン法または垂直温度勾配凝固法による単結晶の育成に用いる単結晶育成用種結晶に関する。
単結晶の育成方法には、一般的にチョクラルスキー法(回転引き上げ法)が代表される。その他の育成方法として、リボン状結晶成長法(EFG法:Edge-defined Film-fed Growth Method)に代表される、融液から単結晶を引上げて固化させる引き上げ法、垂直ブリッジマン法(VB法:Vertical Bridgman Method)や垂直温度勾配凝固法(VGF法:Vertical Gradient Freeze Method)に代表される、融液を坩堝中で固化させる方法などがある。
これらのうち、チョクラルスキー法やEFG法等の引き上げ法は、育成された単結晶を引き上げるためのスペースと装置が必要であり、単結晶育成装置が大型化せざるを得ず、初期投資費用が大きくなる。これに対して、VB法やVGF法は、育成された単結晶を引き上げる必要がなく、装置内に引き上げのスペースは不要であるため、結晶育成装置の小型化や簡略化が可能であり、初期投資費用を抑えることができる。
VB法やVGF法により、一般的に単結晶を育成する場合、坩堝の底に種結晶を配置し、その上に必要量の原料を入れ、原料の融解を経て固化させるが、シーディング時、融解した原料が坩堝の内壁面と種結晶の側面との間にある隙間へ流れ込む場合がある。原料の流れ込みが偏ってしまった部分は、ねらいとする育成方位とは別の方位で結晶が成長する場合があり、この成長が本来得ようとする結晶方位に伝搬してしまうと、多結晶化してしまい育成不良となる。また、流れ込んだ融液が種結晶の底まで到達すると、ヒートショックにより、種結晶にクラックが発生してしまうおそれがある。
このような原料の流れ込みの問題に対して、例えば特許文献1では、種結晶の外側面に鉛直方向の上方から下方に向けて水平方向の径が徐々に小さくなるようなテーパを設けることで、シーディング時における原料融液の流れ込みを抑制できるとされている。
特開2010-064936号公報
しかしながら、一旦原料融液が偏って流れ込んでしまうと、原料融液は種結晶のテーパ形状の側面において均等には留まらない。そのため、例えば特許文献1に記載された種結晶であれば、原料融液の流れ込みを抑制できるとしても、原料融液が流れ込んでしまえば、多結晶化やクラックの発生等による結晶不良の問題は解消しないのが現実である。
本発明は、上述のような問題点に鑑み、VB法やVGF法により原料融液にシーディングを行った場合、種結晶の側面への原料融液の流れ込みを種結晶の所定の高さで均一に留めることのできる単結晶育成用種結晶を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の単結晶育成用種結晶は、円柱状の種結晶の環状側面または上底から下底へ縮径するテーパ形状の環状側面を有する逆円錐台状の種結晶の当該環状側面を周回する凹設されたリング状溝を備え、前記種結晶の高さ方向における前記リング状溝の溝幅が2mm〜3mmであり、前記リング状溝における溝の深さが3mm〜6mmであり、VB法またはVGF法による単結晶の育成に用いる。
前記種結晶の高さ方向と平行な方向の断面において、前記リング状溝の断面形状が矩形であってもよい。
前記リング状溝は、前記種結晶の高さの0.5倍の高さまでの間に設置されてもよい。
前記リング状溝を複数備え、前記種結晶の高さ方向における前記リング状溝の間隔は4mm〜8mmであってもよい。
前記環状側面は、前記種結晶の高さ方向において、複数の前記リング状溝の溝と溝との間を構成する平坦な溝間部を備え、前記種結晶の高さ方向における前記溝間部の幅が2mm〜6mmであってもよい。
前記溝間部を複数備え、複数の前記溝間部の前記幅が均一であり、複数の前記リング状溝の前記溝幅、前記溝の深さおよび前記間隔が、いずれもそれぞれ均一であってもよい。
本発明の単結晶育成用種結晶であれば、VB法やVGF法により原料融液にシーディングを行った場合、種結晶の側面への原料融液の流れ込みを種結晶の所定の高さで均一に留めることができる。
本発明の単結晶育成用種結晶の実施態様の一例を示す概略斜視図である。 図1のAA’線で切断した本発明の単結晶育成用種結晶の概略断面図である。 リング状溝の断面形状の変形例を示す概略断面図である。 本発明の単結晶育成用種結晶を備える単結晶育成装置の概略断面図である。 比較例1の種結晶の概略斜視図である。
本発明者らは、特許文献1に開示されたような外側面にテーパを設けた種結晶を用いても、原料融液の流れ込みが偏って多結晶化することや、原料融液が種結晶の底まで到達することによる多結晶化やクラックの発生等により、安定した品質の良い単結晶が得られない原因について検討した。その結果、坩堝と種結晶の熱膨張を計算して、シーディング時における坩堝と種結晶との間への原料融液の流れ込みを抑えつつ、坩堝の締め付けによる種結晶へのクラックが入らないような隙間(空間)を、坩堝と種結晶との間に得ようとしても、坩堝の作製精度および種結晶の加工精度には限界があるため、満足できる隙間を設けることは困難であった。種結晶の加工精度が悪くなると、原料融液の流れ込みも不均一となり、流れ込みが生じた部分は多結晶化する可能性が非常に高くなった。
また、毎回の単結晶の育成において行うシーディングの操作についても多少なりともバラツキがある。そのため、原料融液と種結晶との境界付近において種結晶の中心部まで十分に溶解するように、種結晶をやや過剰気味に融解してしまうと、種結晶の底部まで原料融液が到達し、ヒートショックによりクラックが生じてしまうことの知見を得た。
なお、原料融液と種結晶との境界付近から種結晶の底部までの距離が長くなるように、種結晶の高さを大きくすれば、原料融液が種結晶の底部まで到達することを抑制できる。ただし、育成した単結晶の一部を切り出して次回の単結晶の育成に用いる種結晶を得ようとすると、単結晶から種結晶を多めに切り出すこととなるため、歩留まりが低下するおそれがある。さらに、坩堝の容量は一定であるため、種結晶を高くすると原料の仕込み量が減り、生産効率が低下するおそれがある。
本発明者は、これらの知見を出発点として、単結晶育成用種結晶の形状について鋭意研究を重ねた結果、坩堝と種結晶の加工精度が少々悪く、原料融液が流れ込む場合であっても、原料融液を種結晶の所定の高さで均一に留めることのできる種結晶形状の知見を得て、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、種結晶側面の表面に凹み部を設けることで、惰性的に流れ込んできた原料融解をその凹み部で留めることができるため、融解の流れ込みが種結晶の所定の高さで均一になる。
以下、本発明の一実施形態にかかる単結晶育成用種結晶について、図1〜図4を参照しつつ説明する。
[単結晶育成用種結晶の形状]
図1は、本発明の単結晶育成用種結晶の実施態様の一例を示す概略斜視図である。種結晶100は、坩堝の底に種結晶を配置し、その上に必要量の原料を入れて単結晶を育成する、VB法またはVGF法に用いる単結晶育成用種結晶である。
種結晶100は、坩堝への収まりが良いように、上面10と下面20が同一の円形であり、上面10と下面20を垂直に繋ぐ環状側面30を備える円柱状を基本とする。なお、VB法またはVGF法に用いる坩堝としては、上部から下部へ縮径するテーパ形状の環状内壁を有する坩堝を用いる場合がある。この場合には、坩堝の環状内壁のテーパ形状と対応するように、上底から下底へ縮径するテーパ形状の環状側面を有する逆円錐台状の種結晶を使用することができる。このような逆円錐台状の種結晶であれば、坩堝の環状内壁との隙間を均等にすることで、原料融液の流れ込みを抑制する効果が期待できる。
次に、環状側面30には、水平方向と平行に環状側面30を一回りする複数のリング状溝40が凹んだ状態に設けられている。リング状溝40が環状側面30を周回するように凹設されることにより、上面10に載置された原料融液が環状側面30へ流れ込んだ場合において、リング状溝40に原料融液を侵入させることができる。
そして、リング状溝40が水平方向と平行に環状側面30を一回りすることにより、リング状溝40へ侵入した原料融液がリング状に流動して環状側面30を周回する。そのため、種結晶100のリング状溝40が設けられた高さで、流れ込んだ原料融液を均一に留めることができる。
原料融液を均一に留める効果を得るためには、リング状溝40は1つ設ければよいが、複数設けてもよい。リング状溝40を複数設けることで、あるリング状溝40に原料融液が十分に侵入して、さらに原料融液が下方へ流れ込むような場合であっても、次のリング状溝40へ原料融液を侵入させることができる。そのため、流れ込んだ原料融液が種結晶100の底まで到達することを防止することが可能となり、ヒートショックによる種結晶へのクラックの発生や多結晶化を防ぐことができる。
また、単結晶の育成条件にもよるが、種結晶100は、シーディングにおいて上面10から高さHの半分程度まで融解させる場合がある。融解した領域では、リング状溝40は流れ込んだ原料融液を留めておくことのできる溝形状を保持することができないため、種結晶へのクラックの発生や多結晶化を防ぐことができないおそれがある。すなわち、リング状溝40で原料融液を留めておくためには、種結晶100において融解しない領域にリング状溝40を設けておくことが好ましい。例えば、種結晶100が融解しない高さHの下面20から0.5倍の高さhまでの間の環状側面30に、リング状溝40を設置しておけば、原料融液を均一に留めておくことができる。
環状側面30は、種結晶100の高さH方向において、複数のリング状溝40の溝と溝との間を構成し、水平方向と平行に環状側面30を一回りする複数の平坦な溝間部50を備える。すなわち、環状側面30において、リング状溝40の他は平坦であることにより、原料融液の流れ込みの偏りを抑制することができる。
図2は、図1のAA’線で切断した種結晶100の概略断面図である。種結晶100の高さH方向における溝間部50の幅W1は、いずれの溝間部50においても均一であり、高さH方向におけるリング状溝40の溝幅W2は、いずれのリング状溝40においても均一である。また、高さH方向と垂直な方向において、リング状溝40の深さdは、いずれのリング状溝40においても均一である。さらに、高さH方向におけるリング状溝40の間隔Sは、いずれのリング状溝40においても均一である。
幅W1、溝幅W2、深さd、間隔Sのそれぞれは、いずれも均一であることを要しないが、均一であればリング状溝40の加工が容易である。また、図1、2のように種結晶100の上面10から下面20まで、環状側面30に同形状の複数のリング状溝40と同形状の複数の溝間部50が交互に連続して設けられている蛇腹形状であることで、シーディングの際の種結晶100の融解状態や原料融液の流れ込み具合の多様性に対応することができ、単結晶の育成条件に従来以上の幅を持たせることができる。
種結晶100の高さH方向と平行な方向の断面、例えば図2に示す断面において、リング状溝40の断面形状41は矩形である。断面形状41が矩形であれば、他の形状と比べて、流れ込んだ原料融液を留めておくことのできる有効容積が最も大きくなるため、より好ましい。特に、下面43が水平方向と平行な面となっていることで、侵入した原料融液がこぼれて流れ出すことを抑制できる。
ただし、図2の領域Pを拡大した図3に示す、リング状溝40の断面形状の変形例を示す概略断面図のように、断面形状41は矩形でなくても、原料融液を均一に留める効果を得ることができる。例えば、図3(a)に示すように、断面形状41の上面42aは高さH方向から斜め45度に傾斜した面となっており、原料融液がリング状溝40へ侵入しやすくなっている。さらに、下面43aが水平方向と平行な面となっていることで、侵入した原料融液がこぼれて流れ出すことを抑制できる。
別の断面形状41として、図3(b)に示すように、リング状溝40の奥の壁44が円弧状となっていることで、壁44への原料融液の濡れ性が向上し、リング状溝40へ侵入した原料融液がこぼれ難くなる効果が期待できる。また、下面43bが水平方向と平行な面となっていることで、侵入した原料融液がこぼれて流れ出すことを抑制できる。
また、図3(c)に示すように、断面形状41の上面42cおよび下面43cのいずれも、高さH方向から斜め45度に傾斜した面となって、断面形状41をその奥から開口部45へ向けて均等なテーパ形状とすることができる。溝の加工が容易であると共に、原料融液がリング状溝40へ侵入しやすくなる。
本発明の単結晶育成用種結晶は、種結晶の高さ方向における前記リング状溝の溝幅が2mm〜3mmであり、すなわち、種結晶100において、高さH方向におけるリング状溝40の溝幅W2を2mm〜3mmとする。溝幅W2が狭いと、リング状溝40への原料融液の流れ込みが均一にならず、多結晶化する場合がある。また、リング状溝40へ原料融液が侵入し難くなり、更に下方へ流れ込みが進行するおそれがある。一方、溝幅W2が広くなりすぎても、リング状溝40へ侵入した原料融液を均一に留める効果は向上しない場合がある。
次に、本発明の単結晶育成用種結晶は、リング状溝における溝の深さが3mm〜6mmであり、すなわち、種結晶100において、リング状溝40における溝の深さdを3mm〜6mmとする。溝の深さdが浅いと、流れ込んだ原料融液を留めておく効果が十分に得られず、流れ込みが不均一となって多結晶化する場合がある。また、溝の深さdが深すぎても、リング状溝40へ侵入した原料融液を均一に留める効果は向上しない場合があり、溝間部50の強度が低下して種結晶100が割れてしまうおそれがある。
そして、本発明の単結晶育成用種結晶は、種結晶の高さ方向におけるリング状溝の間隔は4mm〜8mmであることが好ましく、種結晶100を例とすれば、高さH方向におけるリング状溝40の間隔Sを4mm〜8mmとすることが好ましい。間隔Sが狭いと、溝間部50の幅W1も狭くなってしまう場合があり、溝間部50の強度が低下して種結晶100が割れてしまうおそれがある。また、間隔Sが広いと、次のリング状溝40までの距離が長くなり、溝間部50の幅W1が長くなることで溝間部50において原料融液の流れ込みが不均一となって多結晶化してしまう場合がある。
また、本発明の単結晶育成用種結晶は、種結晶の高さ方向における溝間部の幅が2mm〜6mmであることが好ましく、種結晶100を例とすれば、高さH方向における溝間部50の幅W1を2mm〜6mmとすることが好ましい。幅W1が狭いと、溝間部50の強度が低下して種結晶100が割れてしまうおそれがある。また、幅W1が広いと、次のリング状溝40までの距離が長くなり、溝間部50において原料融液の流れ込みが不均一となって多結晶化してしまう場合がある。
[単結晶育成用種結晶の材料種]
本発明の種結晶は、特に坩堝から単結晶を取り出しやすく、また、熱膨張により坩堝の環状内壁との隙間を減らすことのできるサファイア製の種結晶を採用することができる。なお、VB法やVGF法によって育成することのできる単結晶の種結晶であればよく、ニオブ酸リチウム製、タンタル酸リチウム製、鉄ガリウム合金製の種結晶も採用可能である。
[単結晶育成用種結晶の製造方法]
製造方法に特に限定はなく、所定のリング状溝を備えるように種結晶を加工することのできる方法であれば、問題ない。例えば、既に育成した円柱状の単結晶から、環状側面が平坦な円柱状の種結晶を切り出し、この環状側面を切削してリング状溝を形成することで、本発明の種結晶を得ることができる。切削の方法も特に限定されないが、例えばレーザーソーによってサファイア等を加工することができる。
[単結晶育成装置]
以下、図4に示す単結晶育成装置1000の概略断面図を参照しつつ、本発明の単結晶育成用種結晶を備える単結晶育成装置の一例について説明する。
図4では、単結晶育成装置1000における単結晶育成用坩堝200と種結晶100、単結晶の原料300との位置関係を模式的に示している。単結晶育成装置1000は、上段ヒーター400a、中段ヒーター400b、下段ヒーター400c、坩堝受け500を備えており、更に図4では図示していないが、断熱材、坩堝受け500を上下に移動可能な可動用ロッド、単結晶育成用坩堝200の温度を確認するための熱電対、真空ポンプおよびチャンバー等を備えている。チャンバー内の上部が高温、下部が低温となる温度分布を実現可能な構成となっており、VB法やVGF法等の一方向凝固結晶成長法により、原料300の融解物を単結晶育成用坩堝200中で固化させることで、単結晶を育成することができる。
抵抗加熱ヒーター400として、例えばカーボン製の抵抗加熱ヒーターを配置し、単結晶の育成時に抵抗加熱ヒーター400によりホットゾーンを形成することができる。上段ヒーター400a、中段ヒーター400bおよび下段ヒーター400cへの投入電力を調整することにより、ホットゾーン内の温度勾配を制御することが可能である。
抵抗加熱ヒーター400の内側には、単結晶育成用坩堝200が配置され、上下方向に移動可能な可動用ロッドが設けられた坩堝受け500(支持台)に載置されている。単結晶育成用坩堝200内の下部に、本発明の種結晶100が充填され、この種結晶100の上に、粒子状やフレーク状等の原料300が充填される。
単結晶育成装置1000には、チャンバーと真空ポンプが設置されており、原料300をアルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気や真空雰囲気に調整して単結晶を育成することができる。
単結晶育成用坩堝200の材質は、育成対象となる単結晶との化学的反応性が低く、高融点材料であるものを用いることができる。例えば、タングステン、アルミナ、マグネシア、熱分解窒化ホウ素(Pyrolitic Boron Nitride)、白金等の坩堝が挙げられる。
また、育成後の単結晶の取り出し易さを考慮して、単結晶育成用坩堝200の内壁は上部から下部へ0.1°〜2°のテーパ角で縮径するテーパ形状となっている。なお、このテーパ角が3.0°を超えると、育成後の単結晶の取り出しは容易となるものの、育成の歩留まりが悪化するおそれがある。
[単結晶の育成方法]
次に、単結晶育成装置1000を用いたVB法による単結晶育成方法について、図4を参照しつつ説明する。まず、単結晶育成用坩堝200の下部に所定方位の種結晶100を配置する。そして、種結晶100の上には、単結晶の原料300を必要量配置する。
次に、チャンバー内にアルゴンや窒素等の不活性ガスを流し、チャンバー内を不活性雰囲気に調整する。チャンバー内が不活性雰囲気となった後、単結晶育成用坩堝200を囲むように配置された上段ヒーター400a、中段ヒーター400bおよび下段ヒーター400cを作動して昇温し、原料300の融解を開始する。
原料300がほぼ融解して融解物となったら、単結晶育成用坩堝200の内部で単結晶の育成を開始する。具体的には、抵抗加熱ヒーター400を用いて、種結晶100および融解物が収納された単結晶育成用坩堝200を、高さ方向の上方の温度が高く、下方の温度が低い温度分布となるように加熱する。この状態で、チャンバー内の温度を、種結晶100が高さH方向の上半分位まで融解するまで昇温し、シーディングを行う。なお、種結晶100は、単結晶育成の核となるものであり、種結晶100を原料300の融解物と一体化させるために一部を融解させるが、種結晶100の全部を融解させないようにしなければならない。その後、そのままのチャンバー内の温度勾配を維持しながら、抵抗加熱ヒーター400の出力を徐々に低下させ、すべての融解物を固化させた後、所定速度で冷却を行って単結晶を得る。
次に、チャンバー内の温度が室温程度になったことを確認した後、育成された単結晶が入った単結晶育成用坩堝200を坩堝受け500から取り外し、さらに単結晶育成用坩堝200から育成された単結晶を取り出す。
上記では、単結晶育成装置1000を用いたVB法による単結晶育成方法について説明したが、同じ単結晶育成装置1000を用いて、単結晶育成中に単結晶育成用坩堝200を上下に移動させることに替えて、抵抗加熱ヒーター400を調整して温度制御するVGF法によっても、単結晶を育成することができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例等によって何ら限定されることはない。
[サファイア単結晶育成用種結晶の形状]
実施例1〜12、比較例2〜19の種結晶として、図1、2に示すような形状を有する、高さHが30mm、直径Dが100mmのサファイア製種結晶100を用意した。環状側面30にある断面形状41(溝形状)は矩形であり、溝幅W2、溝の深さd、溝の間隔S、溝間部50の幅W1および環状側面30におけるリング状溝40の本数は、表1、2に示すとおりである。断面形状41の溝加工は、旋盤などの加工機で行った。
そして、実施例13〜15の種結晶として、図3(a)に示すように、断面形状41の上面42aは高さH方向から斜め45度に傾斜した面となっており、下面43aが水平方向と平行な面となっている種結晶(実施例13 表1において溝形状45°テーパ)、図3(b)に示すように、リング状溝40の奥の壁44が円弧状となっている種結晶(実施例14 表1において溝形状丸目)、および図3(c)に示すように、断面形状41の上面42cおよび下面43cのいずれも、高さH方向から斜め45度に傾斜した面となって、断面形状41をその奥から開口部45へ向けて均等なテーパ形状となっている種結晶(実施例15 表1においてVノッチ)を用意した。実施例13〜15の種結晶のいずれも、高さHが30mm、直径Dが100mmのサファイア製種結晶であり、溝幅W2、溝の深さd、溝の間隔S、溝間部50の幅W1および環状側面30におけるリング状溝40の本数は、表1に示すとおりである。
また、比較例1の種結晶として、図5の概略斜視図に示すように、凹凸が無く平坦な環状側面31を有する円柱形状の種結晶110を用意した。なお、種結晶110は、高さHが30mm、直径Dが100mmのサファイア製種結晶である。
[サファイア単結晶の育成]
図4に示す単結晶育成装置1000を使用し、実施例1〜15および比較例1〜19の種結晶を用いてサファイア単結晶の育成を行った。具体的には、坩堝受け500の上に坩堝200を置き、坩堝200内の一番下に実施例1〜15および比較例1〜19の種結晶を収納した。次に、種結晶の上に顆粒もしくは結晶を粉砕した原料300を必要量入れた。そして、坩堝200の周りにはカーボン製発熱体を備える抵抗加熱ヒーター400a、400bおよび400cがあり、これらの発熱体によって坩堝200の上方が高く、下方が低い温度分布となるよう整備した。この状態で、発熱体の出力を上げて、炉内の温度を、原料を融解させるのみならず種結晶の上面10から下面20へ高さHの半分位まで融解するように調製し、シーディングを行った。なお、炉内は低酸素雰囲気(Arガス注入)でシーディングを行った。その後、そのままの炉内温度分布を維持しながら、育成速度が5mm/hとなるよう発熱体の出力を徐々に低下させ、すべての原料融液を固化させて結晶化させた後、50℃/hの速度で冷却を行った。結晶が室温程度になったことを確認した後、結晶を取り出して、種結晶の環状側面への原料融液の流れ込みの具合と、育成後の種結晶周辺の外観を確認する評価を行った。
単結晶の育成条件は、比較例1の種結晶110を使用した際に、環状側面31への原料融液の不均一な流れ込みがみられ、種結晶周辺で多結晶化した条件とした。
また、坩堝200はW(タングステン)製で、内壁は上部から下部へ1.0°のテーパ角で縮径するテーパ形状となっており、坩堝200内部の底の直径は102mmである。なお、種結晶の直径と坩堝の底の直径の寸法については、比較例1の溝加工がない種結晶110を用いてシーディングした場合に、環状側面31への原料融液の部分的な流れ込みが見られ、また、発熱体の出力を上げて種結晶を過剰融解した際には、種結晶の底まで原料融液が到達するよう、本発明の効果を顕著化させた寸法値とした。
サファイア単結晶を育成した結果を表1、2に示す。表1、2の流れ込み具合の項目について、環状側面への原料融液の流れ込み具合が均一であるものを〇、同流れ込み具合がやや不均一であるものを△、同流れ込み具合が不均一であるものを×と評価した。
Figure 2019172525
Figure 2019172525
(評価)
実施例1〜15の結果より、溝幅W2が2mm〜3mm、溝の深さdが3mm〜6mm、リング状溝40の間隔Sが4mm〜8mm、溝間部50の幅W1が2mm〜6mmであることにより、環状側面への原料融液の流れ込みが均一となり、多結晶化することなく良好な単結晶を育成することができた。また、種結晶の高さHが30mmと低くても、原料融液が種結晶の底部まで到達することがなかった。すなわち、種結晶を実施例1〜15の形状とすれば、ヒートショックが生じないように単結晶から種結晶の高さを長めに切り出すことは不要であり、単結晶の歩留まりの向上を見込めることができた。
一方で、溝幅W2が2mmを下回った場合(比較例1、2、6、10、12、13、15)や、溝の深さdが3mmを下回った場合(比較例1〜9)には、原料融液の流れ込みが均一にならず、多結晶化してしまった。また、溝幅W2が4mm以上となると(比較例5、9、11、12、14、16)、溝間部50の幅W1が1mm以下と薄くなることにより、溝間部50にクラックが発生し、その影響で育成した結晶にクラックが入っていた。溝の間隔Sを狭くした場合も、間隔Sが3mmになると(比較例17)、溝間部50の幅W1が1mm以下と薄くなり、溝間部50にクラックが発生し、その影響で育成した結晶にクラックが入っていた。また、間隔Sが9mmと広すぎると(比較例18)、次のリング状溝40までの距離が長過ぎて、流れ込みが均一にならず多結晶化していた。
[溝形状の比較]
実施例1、実施例11、実施例12および実施例13で用いた種結晶と同じものを使用し、環状側面にある断面形状(溝形状)だけが異なる種結晶を用いてサファイアを育成し、溝形状の違いが与える育成への影響を評価した。この場合のシーディング条件は、上記の実施例1〜15および比較例1〜19の場合よりも、種結晶を過剰に融解するシーディング条件とした。試験を行った結果を表3に示す。表3において、実験例1〜4では、それぞれ実施例1、11、12、13と同じ種結晶を使用した。また、表3の流れ込み具合の項目の評価基準は、表1、2と同様である。
Figure 2019172525
(評価)
表3の結果より、矩形の溝形状のときは、種結晶を過剰に融解する条件でも融液の流れ込みが均一であったことから、溝形状としては矩形であることがより好ましいことが分かった。
[まとめ]
以上より、本発明によれば、VB法やVGF法によりシーディングを行う際、原料融液の種結晶の環状側面への流れ込みが均一に留まるような単結晶育成用種結晶を提供することができる。このような単結晶育成用種結晶を用いれば、シーディングに起因する結晶の育成不良を大幅に低減することができ、生産性を向上させることができる。また、種結晶の底部まで原料融液が流れることが無くヒートショックのおそれがないことから、種結晶の高さを従来よりも低くすることができるため、単結晶から種結晶の高さが高くなるよう長めに切り出すことは不要であり、単結晶の歩留まりの向上を見込めることができた。
10 上面
20 下面
30 環状側面
31 環状側面
40 リング状溝
41 断面形状
42a 上面
42c 上面
43 下面
43a 下面
43b 下面
43c 下面
44 壁
45 開口部
50 溝間部
100 種結晶
110 種結晶
200 単結晶育成用坩堝
300 原料
400 抵抗加熱ヒーター
400a 上段ヒーター
400b 中段ヒーター
400c 下段ヒーター
500 坩堝受け
1000 単結晶育成装置
d 深さ
D 直径
H 高さ
h 高さ
P 領域
S 間隔
W1 幅
W2 溝幅

Claims (6)

  1. 円柱状の種結晶の環状側面または上底から下底へ縮径するテーパ形状の環状側面を有する逆円錐台状の種結晶の当該環状側面を周回する凹設されたリング状溝を備え、
    前記種結晶の高さ方向における前記リング状溝の溝幅が2mm〜3mmであり、
    前記リング状溝における溝の深さが3mm〜6mmである、
    垂直ブリッジマン法または垂直温度勾配凝固法による単結晶の育成に用いる単結晶育成用種結晶。
  2. 前記種結晶の高さ方向と平行な方向の断面において、前記リング状溝の断面形状が矩形である、請求項1に記載の単結晶育成用種結晶。
  3. 前記リング状溝は、前記種結晶の高さの0.5倍の高さまでの間に設置される、請求項1または2に記載の単結晶育成用種結晶。
  4. 前記リング状溝を複数備え、前記種結晶の高さ方向における前記リング状溝の間隔は4mm〜8mmである、請求項1〜3のいずれかに記載の単結晶育成用種結晶。
  5. 前記環状側面は、前記種結晶の高さ方向において、複数の前記リング状溝の溝と溝との間を構成する平坦な溝間部を備え、前記種結晶の高さ方向における前記溝間部の幅が2mm〜6mmである、請求項4に記載の単結晶育成用種結晶。
  6. 前記溝間部を複数備え、複数の前記溝間部の前記幅が均一であり、
    複数の前記リング状溝の前記溝幅、前記溝の深さおよび前記間隔が、いずれもそれぞれ均一である、請求項5に記載の単結晶育成用種結晶。
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