JP2011146671A - 太陽電池用積層シート及び太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(I)層と下記(II)層とが積層一体化されてなり、乾燥気流中、150℃で30分間加熱処理した際の下記(II)層の寸法変化率が3%以下である太陽電池用積層シート。
(I)封止樹脂層
(II)前記(I)層と接する面にポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層を有する基材層
【選択図】なし
Description
さらに、外層シートについても、上記と同様に耐熱性(寸法安定性)、耐加水分解性といった耐久性や難燃性、耐候性、シートのハンドリング性(加工性)、封止樹脂層やジャンクションボックスとの接着性などの諸特性に関し必ずしも全てを満足するものではないという問題があった。
下記(I)層と下記(II)層とが積層一体化されてなり、乾燥気流中、150℃で30分間加熱処理した際の下記(II)層の寸法変化率が3%以下である太陽電池用積層シート。
(I)封止樹脂層
(II)前記(I)層と接する面にポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層を有する基材層
を提供するものである。
さらに、本発明は、上記太陽電池用積層シートを用いてなる太陽電池モジュールを提供するものである。
また、本発明の太陽電池用積層シートは、封止樹脂層とポリフェニレンエーテル系樹脂層を有する層があらかじめ積層化されていることによって、これを用いることで太陽電池モジュールを製造する工程において、積層、位置合わせ工程、トリミング工程などを簡便に実施することが出来る。
本発明の太陽電池用積層シートを構成する層のうち、(I)層は封止樹脂層である。ここで(I)層は特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂又は変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなることが好ましい。具体的なポリオレフィン系樹脂及び変性ポリオレフィン系樹脂については以下に例示するが、それらの樹脂は単独で用いられても良く、また2種類以上を混合して使用されても良い。また、(I)層は、各々がポリオレフィン系樹脂又は変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる層であれば、単層でも良く、2層以上積層してなるものでも構わない。
前記ポリオレフィン系樹脂の種類は特に限定されるものではないが、ポリエチレン系重合体、ポリプロピレン系重合体、環状オレフィン系重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。
前記ポリエチレン系重合体の種類としては、特に限定されるものではなく、具体的には超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、又は超高密度ポリエチレンなどが挙げられる。中でも線状低密度ポリエチレン(エチレン−α−オレフィン共重合体)が、結晶性が低く、透明性や柔軟性に優れるため、太陽電池素子の発電特性を阻害したり太陽電池素子に過剰な応力を加え損傷の原因になるなどの不具合を生じ難く、好ましい。
前記ポリプロピレン系重合体の種類としては、特に限定されるものではなく、具体的にはプロピレンの単独重合体、プロピレンの共重合体、リアクター型のポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、及びこれらの混合物などが挙げられる。
プロピレンの共重合体としてはプロピレンとエチレン又は他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、又はブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体などが挙げられる。前記プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、炭素原子数が4〜12のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセンなどが挙げられ、その1種又は2種以上の混合物が用いられる。
前記環状オレフィン系重合体の種類としては、特に限定されるものではなく、具体的には1種以上の環状オレフィンを開環重合して得られる環状オレフィン重合体や、その水素化物、さらに直鎖状α−オレフィンと環状オレフィンのブロック共重合体、及び直鎖状α−オレフィンと環状オレフィンのランダム共重合体などが挙げられる。
本発明における(I)層を構成する変性ポリオレフィン系樹脂の種類は特に限定されるものではないが、EVA(エチレン−酢酸ビニル共重合体)、EVOH(エチレン−ビニルアルコール共重合体)、E−MMA(エチレン−メチルメタアクリレート共重合体)、E−EAA(エチレン−エチルアクリレート共重合体)、E−GMA(エチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体)、アイオノマー樹脂(イオン架橋性エチレン−メタクリル酸共重合体、イオン架橋性エチレン−アクリル酸共重合体)、シラン架橋性ポリオレフィン、及び無水マレイン酸グラフト共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂であることが好ましい。
該樹脂としては、例えば、他のポリオレフィン系樹脂や各種エラストマー(オレフィン系、スチレン系など)、カルボキシル基、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基などの極性基で変性された樹脂及び粘着付与樹脂などが挙げられる。
ラジカル発生剤(架橋剤/架橋助剤)は、ポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂を封止樹脂層に使用する場合、耐熱性向上や機械強度を高めるなどの目的のため架橋構造を持たせるのに有用である。ラジカル発生剤としては特に制限はないが、有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、高分子アゾ化合物などのアゾ化合物、アリル錫、トリエチルボランなどの有機金属化合物などが挙げられる。中でも、有機過酸化物であって、特に100℃以上でラジカルを発生し、半減期10時間の分解温度が70℃以上であるものが反応速度と配合時の安全性の観点から好適に使用される。
このようなラジカル発生剤としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ジクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイドなどを好ましく用いることができる。これらのラジカル発生剤の添加量は、成形加工上、樹脂圧の増加やゲル、フィッシュアイなどの異物の発生を抑制するため、また、成形品からのブリードアウトなどの不具合を抑制するためには、本発明における(I)層を構成する樹脂組成物100質量%に対して5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。また、架橋反応を効率的に進行させるためには0.25質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.75質量%以上であることがさらに好ましい。
シランカップリング剤は、封止樹脂層の保護材(ガラス、樹脂製のフロントシート、バックシートなど)や太陽電池素子などに対する接着性を向上させるのに有用であり、その例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基などとともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変などの変色が少ないことなどからγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。該シランカップリング剤の添加量は、本発明における(I)層を構成する樹脂組成物100質量%に対して、樹脂圧の増加やゲル、フィッシュアイなどの異物の発生を抑制するため、また、成形品からのブリードアウトなどの不具合を抑制するためには、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。また、接着性を発現させるためには0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。
また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物などのカップリング剤も有効に活用できる。
接着性が特に良好となる機構は明確ではないが、ポリフェニレンエーテル系樹脂層の主成分であるポリフェニレンエーテル系樹脂に含まれる活性水素とラジカル発生剤や、シランカップリング剤の反応性基(アルコキシシラン基)とが反応し架橋構造を形成することで、両層の接着性を著しく向上させているものと推定される。
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系など各種タイプのものを挙げることができる。モノフェノール系としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンなどを挙げることができる。
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する耐候安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。ヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く本発明における(I)層には好ましくない。
次に、本発明における(I)層の製膜方法について説明する。厚みは特に限定されるものではないが、通常0.03mm以上、好ましくは0.05mm以上、より好ましくは0.1mm以上であり、かつ、1mm程度以下、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下であればよい。
本発明の太陽電池用積層シートは、柔軟性のある(I)層と剛性のある(II)層との積層構成であるため、厚みが薄くてもハンドリング性を低下させることがなく、適用する太陽電池の種類や構成に応じ、また、経済性を鑑みて(I)層を薄肉化しても良い。
(I)層の製膜方法としては、公知の方法、例えば単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなどの溶融混合設備を有し、Tダイを用いる押出キャスト法やカレンダー法などを採用することができ、特に限定されるものではないが、本発明においては、ハンドリング性や生産性などの面からTダイを用いる押出キャスト法が好適に用いられる。Tダイを用いる押出キャスト法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や製膜性などによって適宜調整されるが、概ね80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上であり、かつ、概ね300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下であり、ラジカル発生剤やシランカップリング剤などを添加する場合は架橋反応に伴う樹脂圧の増加やフィッシュアイの増加を抑制するために成形温度を低下させることが好ましい。ラジカル発生剤、シランカップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤などの各種添加剤は、予め樹脂とともにドライブレンドしてからホッパーに供給しても良いし、予め全ての材料を溶融混合してペレットを作製してから供給しても良いし、添加剤のみを予め樹脂に濃縮したマスターバッチを作製し供給しても構わない。また、シート状で得られた本発明における(I)層の表面及び/又は裏面には、必要に応じて、シートを巻物とした場合のシート同士のブロッキング防止や太陽電池素子の封止工程でのハンドリング性やエア抜きのし易さ向上などの目的のためエンボス加工や種々の凹凸(円錐や角錐形状や半球形状など)加工を行っても構わない。さらに、シートを製膜する際に、シート製膜時のハンドリング性を向上するなどの目的のため、別の基材フィルム(延伸ポリエステルフィルム(OPET)や延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)など)と押出ラミネート法やサンドラミネート法などの方法で積層しても構わない。
また、後述するように(II)層におけるポリフェニレンエーテル系樹脂層上に押出ラミネートする、(II)層におけるポリフェニレンエーテル系樹脂層と共押出するなども製造工程を短縮できて好適である。
本発明の太陽電池用積層シートにおける(II)層は、前記(I)層と接する面にポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層を有する基材層である。(II)層は、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂層のみからなるものでも良く、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂層において前記(I)層と接している面とは反対の面に、他の層を1層以上設けてなるものでもよい。他の層としては、機械強度、絶縁性、耐熱性を発現するための中間層や、ガスバリア性層などが挙げられる。
前記ポリフェニレンエーテル系樹脂層の主成分であるポリフェニレンエーテルの含有量は、下限値は特に決められないが、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、耐久性、難燃性、寸法安定性及び高い機械強度、封止樹脂層などとの高い接着性を達成することができる。
中でも、ポリフェニレンエーテル系樹脂に対する相溶性が優れている上、(I)層との接着性も良好となることから、スチレン系樹脂が好適に使用され、さらに、ブタジエンなどの不飽和炭化水素部位を含まないSEBS(水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)などの水素添加系エラストマーが押出成形時のゲル化やブツなどの不具合が少なく、好適に使用される。
これらの添加量は、前述するポリフェニレンエーテルの質量%を超えない範囲で適量配合することが好ましい。例えば、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂は1質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、この範囲で配合することにより溶融加工性、耐衝撃性を向上させることができ、また、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下の添加であれば耐熱性を低下しすぎたり、難燃性を阻害したりするなどの問題がなく好ましい。
さらに、臭化ビフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物難燃剤、窒素系化合物、アンチモン系化合物などの無機系難燃剤などを添加することで難燃性の向上が可能であるが、環境負荷や、難燃性の付与、機械強度の確保などの観点から下記に記すようなリン系難燃剤が好ましい。
これらは30質量%以下で添加されることが好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。この範囲であれば、難燃剤を添加することによって耐熱性が低下しすぎることや、溶融加工中に揮発ガスとして環境を汚染することがなく好適である。また、添加部数の下限値としては0.1質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。この範囲であれば、難燃性を向上させる効果が得られるため好適である。
また、成形性を改良するなどの目的で、異なる極限粘度を持つポリフェニレンエーテルを組み合わせて用いても構わない。
また更に、黒色化を始めとする各種着色により太陽電池モジュールの意匠性、装飾性を向上することができる。
なお、光反射性着色層における「光反射」には、光反射とともに光散乱も包含する。
上記白色顔料の中でも、安定性、非重金属化合物の点から、ルチル型酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び二酸化珪素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機微粒子が好ましく、硫酸バリウム、ルチル型酸化チタンがより好ましく、硫酸バリウムが更に好ましい。
商業的に入手可能なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物としては、SABICイノベーションプラスチックス社より商品名「ノリルPX9406」「ノリルLTA1350」「ノリルN300」として、旭化成ケミカルズ社より商品名「ザイロン540Z」「ザイロン640Z」「ザイロン740Z」として、三菱エンジニアリングプラスチックス社より「ユピエースLN91」「ユピエースAN70」「ユピエースAH90」「ユピエースTX903B」「レマロイBX528−A3」として、それぞれ販売されており入手可能である。
各配合剤は事前に混練しても、製膜時に一括して混練しても良い。
成形方法は、押出、カレンダー、流延のいずれの方式でも良いが、薄膜品採取のしやすさと生産効率の観点から、押出成形が好ましい。この時、比較的高温(260℃〜320℃程度)で押出成形をすることから、成形時にメヤニ(樹脂付着物)や異物などの熱分解生成物を発生し、得られるフィルム又はシートの外観が損なわれ易い。この対策としては、口金のリップギャップを開放し剪断速度を落とす方法や口金流路面にメッキを施す方法、ポリフェニレンエーテル系樹脂層と金属との滑り性が良いその他の樹脂(例えば高密度ポリエチレン樹脂)を共押出する方法や、ポリフェニレンエーテル系樹脂層と前記(I)層と共押出し、本発明の太陽電池用積層シートを得る方法などがある。その他の樹脂を共押出する場合、通常は冷却固化後にその他の樹脂を剥離する。但し、その他の樹脂を本発明の太陽電池用シートに積層して使用する場合には、当該その他の樹脂を片面だけ剥離しない態様を取ることもできる。
剪断粘度を上述の値に調整するためには、ポリフェニレンエーテルの分子量を調整する、スチレン系樹脂やエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などの成分比率を調整する、難燃剤の種類と添加量を調整する、その他可塑剤などを添加する手法がある。
本発明における(II)層には、中間層を形成することにより、太陽電池用積層シート全体としての厚みを増すことができ、機械強度、絶縁性、耐熱性をさらに向上させることができるため、好ましい。中間層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系重合体、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂などが挙げられる。
上記の中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系重合体などのオレフィン系樹脂は耐加水分解性に優れるため耐久性に優れ、また比重が軽いことからシート全体の軽量化にもつながるため好ましく、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂のうち、特に二軸延伸してなるものは非常に高い機械強度(弾性率)を有するため好ましい。フッ素系樹脂は難燃性と耐久性を兼ね備えており物性を向上させる目的では好ましい。
ガスバリア性層としては、無機薄膜層を含む層構成のものが好適に使用できる。また、ガスバリア性層として、アルミ箔などの金属薄膜や、熱可塑性高分子を使用することも可能で、通常の包装材料に使用しうる材料であれば特に制限なく用いることができる。
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテンなどの単独重合体又は共重合体などのポリオレフィン、環状ポリオレフィンなどの非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロンなどのポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(部分けん化物、EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、アクリレート樹脂などが挙げられる。これらの中では、フィルム物性の点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましい。なかでも、フィルム強度の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートがより好ましい。更には、耐候性、耐加水分解性の点で、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
また、原料ガスは、室温において液体でも気体でもよく、液体原料は、原料気化機により気化して装置内へ供給することができる。触媒化学気相成長法においては、加熱触媒体の劣化や反応性・反応速度の点から、モノシランガスが好ましい。
複層構成として用いられる際のポリフェニレンエーテル系樹脂層の厚みは、特に制限されるものではないが、難燃性、耐熱性、機械強度などのポリフェニレンエーテル系樹脂層の持つ特性を良好に発揮するためには全体の厚みの50%を超えることが好ましく、65%以上とすることがより好ましく、80%以上とすることがさらに好ましい。本発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂層の厚み比率が全体の厚みの50%を超えるとは、少なくとも(I)層と接する面を含む各ポリフェニレンエーテル系樹脂層の合計の厚みが(II)層全体の厚みの50%を超えることを意味する。
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂層のみからなる構成の場合、組成の異なるポリフェニレンエーテル系樹脂層が複数ある場合も当然構成に含まれる。
また、表面の滑り性を向上させ、モジュール組み立て時や施工時のハンドリング性を向上させる目的で、表面に凹凸を形成する処理を施しても構わない。表面に凹凸を形成するためには、フィルム成形時にエンボスを施す方法や、表面層にシリカやタルクなどの無機粒子を入れる方法、無機粒子を含有する層を共押出して、冷却固化後に剥離する方法など、任意の手段を用いて構わない。もちろん、意匠性などの観点からコーティングなど公知の手法を用いて表面を平滑化しても構わない。
難燃性の評価は燃焼試験による燃焼挙動によって判断される。ポリフェニレンエーテルは前述のとおり難燃性に優れる樹脂であり、難燃性を付与するためにはポリフェニレンエーテル系樹脂層におけるポリフェニレンエーテルの含有量を上げる、難燃剤の添加量を上げる、滑剤など成分を少なくする、ポリフェニレンエーテル系樹脂層の全体に対する厚み比率を大きくするなどの手法がある。
本発明の太陽電池用積層シートは、前記(I)層と前記(II)層を積層一体化させてなるものである。前記(I)層と前記(II)層の各々の厚みの好ましい範囲は前述した通りであって、その厚み比は特に制限するものではない。但し、本発明の太陽電池用積層シートの全体厚みとしては、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.15mm以上、さらに好ましくは0.2mm以上であれば太陽電池モジュールを作製する際のハンドリング性を低下させず、また、好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.8mm以下、さらに好ましくは0.5mm以下であれば生産性を阻害するなどの不具合が生じ難く、好適である。
これらは組み合わせて用いても良い。このうち、前記(II)層を事前に製膜した上で、前記(I)層を押出ラミネート法によって積層する方法が、生産性に優れる上、(I)層である封止樹脂層そのもののハンドリング性も向上するため好適である。
本発明の太陽電池用積層シート(以下、本積層シートともいう)を用い、太陽電池素子を上部の保護材である透明基板(フロントシート)及び封止樹脂層、下部を本積層シートで固定することにより本発明の太陽電池モジュールを作製することができる。このような太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができる。
具体的な例としては、図1に示すように、太陽光受光側から順に、透明基板10、封止樹脂層12、太陽電池素子14A,14B、本発明の太陽電池用積層シート(この場合は、前記太陽電池素子側に(I)層16Aが配置される)16A,16Bが積層されてなり、さらに、(II)層16Bの下面にジャンクションボックス18(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子14A及び14Bは、発電電流を外部へ電導するために配線20により連結されている。配線20は、太陽電池用積層シート16A,16Bに設けられた貫通孔(不図示)を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックス18に接続されている。
太陽電池モジュールは内部へ水分が浸入すると劣化が生じるため、ジャンクションボックスのような付属品を取り付ける際には、太陽電池モジュールの内部に外気が侵入することのないよう、シール性を十分に確保する必要があるが、本発明の太陽電池用積層シートによれば、加熱処理だけで接着できるため、容易で確実に外気の浸入を防ぐことが可能となる。
EVA1:ETIMEX製VISTASOLAR(架橋剤含有EVA樹脂)(厚さ0.5mm)
EVA2:三井デュポン製EVAFLEX150を用い、φ25mm二軸押出機にて押出し、20℃のキャストロールで冷却固化することにより厚さ0.5mmのシートを得た。
PO1:三井化学製タフマーA4085を100質量部に対し、架橋剤としてアルケマ吉冨製ルペロックスTBECを1.0質量部添加した原料を用い、同様に厚さ0.5mmのシートを得た。
PO2:三井化学製タフマーA4085を100質量部に対し、シランカップリング剤としてモメンティブ製SILQUESTを0.5質量部添加した原料を用い、同様に厚さ0.5mmのシートを得た。
PO3:住友化学製ボンドファスト7Mを用い、φ25mm二軸押出機にて押出し、40℃のキャストロールで冷却固化することにより厚さ0.5mmのシートを得た。
PPE1:ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(荷重たわみ温度;150℃、ポリフェニレンエーテル89質量%含有、リン酸トリフェニル7質量%含有 SABICイノベーションプラスチックス社製、商品名「ノリルN300」)を用い、φ65mm押出機、バレル設定温度240〜300℃に設定し、1150mm巾単層口金(設定温度300℃)で押出、80℃に設定したキャストロールで冷却固化することにより0.05mmの厚みのシートを作製した。
PPE3:ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(荷重たわみ温度;90℃)を用い、キャストロールの設定温度を60℃に設定した他はPPE2と同様にして0.05mmの厚みのシートを作製した。
PET1:ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム(東レ(株)製 ルミラーX10S、厚み0.05mm)。
PEN1:ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂フィルム(帝人デュポン(株)製 テオネックスQ51C、厚み0.025mm)。
ETFE1:ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)樹脂フィルム(旭硝子(株)製 アフレックス、厚み0.025mm)。
PET2:白色PET樹脂フィルム(東レ(株)製 ルミラーE20、厚み0.188mm)。
COC1:環状オレフィン系共重合体(COC)樹脂(トパス・アドバンストポリマーズ(株)製 TOPAS6015、厚み0.05mm)を用い、φ25mm二軸押出機にて押出し、80℃のキャストロールで冷却固化することにより厚さ0.05mmのシートを得た。
PC1:ポリカーボネート(PC)樹脂(住友ダウ(株)製 カリバー301)を用いた他はCOC1と同様にして厚さ0.05mmのシートを得た。
PMMA1:ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂フィルム(住友化学(株)製 スミペックスMH)を用いた他はCOC1と同様にして厚さ0.05mmのシートを得た。
高度加速寿命試験機(プレッシャークッカー試験機;エスペック製EHS−211M)中、温度120℃、湿度100%、2気圧の条件にて144時間サンプルを処理し、取り出したサンプルの引張破断応力値をJISK7127に準じて、温度20℃、試験速度200mm/分の条件で測定した。初期の測定値に対する加速試験後の測定値の割合(保持率)を%値で測定し、その耐久性を下記基準で評価した。
○:保持率が80%以上
△:保持率が50%以上80%未満
×:保持率が50%未満又はサンプル形状を維持できない
長さ200mm×幅50mmに試験片を切り出し、巾方向に円筒状にまき、側面を接着テープで固定した。この円筒をクランプで垂直に固定しクランプを用いて垂直にサンプルを固定し、ガスバーナを用いて20mm炎を下端に3秒間接炎を2回実施し、その難燃性を下記基準で評価した。
○:燃焼持続時間が30秒以内で、溶融樹脂の滴下がない。
×:燃焼持続時間が30秒を超える、あるいは溶融樹脂の滴下がある。
サンプルにおいて、(I)層とは反対側の面にシリコーンシーラント(モメンティブ社製「TSE392」)を塗布(乾燥後膜厚み:0.5mm)し、その接着力を下記基準で評価した。
○:良好に接着している
×:浮きや剥がれがある 又は、接着しているが容易に剥がれる
100mm×100mm角にサンプルを切り取り、150℃に設定した循環式オーブン中で30分サンプルを処理した後、(II)層の寸法変位量の原寸に対する割合の絶対値%値で測定し、フィルムの長手方向と直行方向のいずれか大きいほうの値を記し、その寸法安定性を下記基準で評価した。
◎:0.5%以下
○:0.5%を超えて1.0%以下
△:1.0%を超えて3.0%以下
×:3.0%を超える
アイティ計測(株)製の粘弾性測定装置、商品名「粘弾性スペクトロメーターDVA−200」を用いて、試料(縦4mm、横60mm)を振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで横方向(シートの押出機からの流れ方向に直交する方向又はロールの長手方向に直交する方向)について、−150℃から試料が融解して測定が不可になるまで動的粘弾性を測定し、得られたデータから20℃における貯蔵弾性率(E’)(MPa)を求め下記基準で評価した。
◎:2000MPa以上
○:1500MPa以上2000MPa未満
△:1000MPa以上1500MPa未満
×:1000MPa未満
150mm×150mm角にサンプルを切り取り、プレッシャークッカー試験機にて温度120℃、湿度100%、2気圧の条件にて48時間処理した。
未処理のサンプル及び処理済のサンプルについて、15mm巾に切り出し、試験速度50mm/minにて180°剥離強度を測定した結果を下記基準で評価した。
◎:剥離強度が30N/15mm以上
○:剥離強度が20N/15mm以上30N/15mm未満
△:剥離強度が10N/15mm以上20N/15mm未満
×:剥離強度が10N/15mm未満
また、実施例1〜6より、耐熱性及び貯蔵弾性率が十分に所望の値を満たしており、太陽電池用積層シートとしての耐熱性やハンドリング性に優れるものであった。
12・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池素子
16A・・・太陽電池用積層シート(I)層
16B・・・太陽電池用積層シート(II)層
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線
Claims (9)
- 下記(I)層と下記(II)層とが積層一体化されてなり、乾燥気流中、150℃で30分間加熱処理した際の下記(II)層の寸法変化率が3%以下である太陽電池用積層シート。
(I)封止樹脂層
(II)前記(I)層と接する面にポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層を有する基材層 - 前記(I)層がポリオレフィン系樹脂又は変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする樹脂組成物からなる層であることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池用積層シート。
- 前記(I)層にラジカル発生剤又はシランカップリング剤を含んでなることを特徴とする、請求項1又は2に記載の太陽電池用積層シート。
- 前記(I)層と前記(II)層の層間における剥離強度が10N/15mm以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の太陽電池用積層シート。
- 前記(II)層の動的粘弾性測定における振動周波数10Hz、歪み0.1%、昇温速度3℃/分の条件で測定した際の、温度20℃の貯蔵弾性率(E’)が1000MPa以上であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の太陽電池用積層シート。
- 前記(II)層が、前記(I)層と接する面の反対面にもポリフェニレンエーテル系樹脂層を有する基材層であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の太陽電池用積層シート。
- 前記(II)層において、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂層の厚みが前記(II)層全体の厚みの50%を超える比率となることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の太陽電池用積層シート。
- 請求項1から7のいずれか1項に記載の太陽電池用積層シートを用いてなることを特徴とする、太陽電池モジュール。
- 前記太陽電池用積層シートにおいて、前記(II)層における前記(I)層と接する面と反対の面にジャンクションボックスが接着されてなることを特徴とする、請求項8に記載の太陽電池モジュール。
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