JP2013211452A - 太陽電池用封止材及びそれを用いた太陽電池モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、ポリエチレン系樹脂を含む組成物からなる太陽電池用封止材であって、前記組成物が、水蒸気の吸脱着可能なフィラーを含有する太陽電池用封止材、およびこの太陽電池用封止材を用いて作製した太陽電池モジュールである。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の課題は、太陽電池用封止材としての特性を持ち、端面封止がない場合においてもセルの発電効率を低下させない太陽電池用封止材を提供することにある。
[1]ポリエチレン系樹脂を含む組成物からなる太陽電池用封止材であって、前記組成物が、水蒸気の吸脱着可能なフィラーを含有することを特徴とする太陽電池用封止材。
[2]前記フィラーが親水性フィラーである、上記[1]に記載の太陽電池用封止材。
[3]前記フィラーが含水二酸化ケイ素である、上記[1]又は[2]に記載の太陽電池用封止材。
[4]前記フィラーが、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、3〜100質量部配合されてなる、上記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
[5]前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンと、炭素数3〜20のαオレフィンとのランダム共重合体である、上記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
[6]上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材を用いて作製された太陽電池モジュール。
<太陽電池用封止材>
本発明の太陽電池用封止材は、太陽電池用セルの透明保護部材として用いられるポリエチレン系樹脂からなる封止材であって、ポリエチレン系樹脂に水蒸気の吸脱着可能なフィラーを添加したものである。
本発明の太陽電池用封止材は、ポリエチレン系樹脂に水蒸気の吸脱着が可能なフィラーを添加することにより、高湿度環境下における太陽電池モジュール内への水蒸気の侵入が抑制され、太陽電池モジュールの耐久性を向上することができ、また低湿度環境下においては、封止材内部に取り込んだ水蒸気を外部に放出し、封止材自身の水蒸気の透過率を初期の状態へ復帰させる作用効果もある。
これらの中でも、フィラー表面又は内部にシラノール基を有するフィラーが好ましく、更には式SiO2・nH2Oで表される含水二酸化ケイ素、特には分散性を有する含水二酸化ケイ素が好ましい。
これらの吸着剤の温度30℃、湿度80%RHにおける飽和吸着量(平衡吸着量)としては、フィラーの重量に対して5〜30重量%程度のものが好ましく、これらのものをフィラーとして用いることにより、樹脂組成物の水蒸気透過率を効率よく低下させることができる。
ここで、フィラーの平均粒子径が30μm未満であると、樹脂に添加しフィルム又はシート形状に成型した際のシート強度が損なわれるようなことがない。また、比表面積が上記の範囲内であると、樹脂組成物に添加した際の水分吸着量がフィラーの重量に対して5〜30重量%となり好ましいものとなる。
なお、平均粒子径はコールターカウンター(AP 50μm)を用いて測定したものであり、比表面積は、BET法を用いて測定したものである。
ビスフェノール系酸化防止剤としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカン等を挙げることができる。
酸化防止剤の添加量は、樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.1〜1質量部程度であり、0.2〜0.5質量部添加することが好ましい。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノール等を挙げることができる。
サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート等を挙げることができる。
ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、樹脂組成物100質量部に対し、通常、0.01〜0.5質量部程度であり、0.05〜0.3質量部添加することが好ましい。
Tダイを用いる共押出法での成形温度は、用いる樹脂組成物の流動特性や成膜性などによって、適宜調整されるが、概ね80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは140℃以上であり、かつ、300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは180℃以下であり、ラジカル発生剤やシランカップリング材などを添加する場合は架橋反応に伴う樹脂圧の増加やフィッシュアイの増加を抑制するために成形温度を低下させることが好ましい。
一方、低湿度環境下では、逆に、フィラーは水分を脱着するので、再度の高湿度環境下における水分の吸着に対応できるようになる。
このように、本発明の太陽電池用封止材は、環境に応じて水分を吸脱着することができ、いわば呼吸するような太陽電池用封止材であるといえ、これにより太陽電池モジュール内部への水分の浸入を抑制することができ、太陽電池モジュールの耐久性を向上するこが可能となる。
本発明の太陽電池用封止材を用いて作製された太陽電池モジュールは、シワ入りやエア残りが少なく、品質に優れるものとなる。
太陽電池モジュールとしては、種々のタイプのものを例示することができ、具体的には、上部保護材(フロントシート)/本発明の封止材/太陽電池セル/本発明の封止材/下部保護材(バックシート)の構成のもの、下部保護材の内周面上に形成させた太陽電池セル上に本発明の封止シートと上部保護材とを形成した構成のもの、上部保護材の内周面上に形成させた太陽電池セル、例えばフッ素樹脂系透明保護材上にアモルファス太陽電池セルをスパッタリング等で作製したものの上に、本発明の封止材と下部保護材とを形成した構成のもの等を挙げることができる。
(吸放湿性)
25℃×65%RHで8時間以上放置したシート状の封止材(サイズ:100mm×100mm)を40℃×90%RHの環境下に24時間放置後のシートの重量変化率を測定した。また吸湿したシートを50℃×0%RHの環境下に5時間放置後のシートの重量変化率を測定した。
水蒸気透過試験機(MOCON社製、型式:PERMATRAN W3/33)を用い、厚さ0.45mmのシート状の封止材をサンプルとして、40℃、90%RHに1時間保持後に、30分毎に測定を繰り返し、変動率が1%以内となった点を、本発明における水蒸気透過率とした。
厚み3mmの白板ガラス(サイズ:75mm×25mm)2枚の間に厚みが0.45mmのシート状の封止材を重ね、真空プレス機を用いて、150℃、30分、圧力0.1MPaの条件で積層プレスした試料を作製し、該試料をJIS K7105に準じて全光線透過率を測定した。
エチレン−α−オレフィンランダム共重合体(A)として、エチレン−オクテンランダム共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:エンゲージ8200、MFR:5、オクテン含有量:10.1モル%)を95質量部とエチレン−α−オレフィンブロック共重合体(B)として、エチレン−オクテンブロック共重合体(ダウ・ケミカル(株)製、商品名:インフューズD9100、MFR:1、オクテン含有量:12.8モル%)とを5質量部の割合で混合した樹脂組成物に、含水二酸化ケイ素粉末(水澤化学工業(株)製、商品名:ミズカシル P−78A、平均粒径:3.3μm、吸油量:250ml/100g、比表面積:360m2/g)を5質量部添加し、Tダイを備えた40mmφ単軸押出機を用いて設定温度200℃で溶融混練し、20℃のキャストロールとの間にキャストし急冷製膜することにより、厚みが0.45mmのシート状の太陽電池用封止材(以下、単にシートと略する)を得た。得られたシートを用いて評価した結果を表1に示す。
実施例1において、含水二酸化ケイ素の添加量を50質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を行った。
実施例1において、含水二酸化ケイ素の添加量を0質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を行った。
実施例1において、樹脂組成物を、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル株式会社製、商品名:エバフレックスEV150、VA含有量:33wt%、MFR:30)に変更したこと以外は実施例1と同様にしてシートを作製し、評価を行った。
真空ラミネーター((株)エヌ・ピー・シー製、商品名:LM30×30)を用いて、熱板温度:150℃、加工時間:20分(内訳、真空引き:5分、プレス:5分、圧力保持:10分)、圧着速度:急速の条件で、熱板側から順に、上部保護材として厚みが3mmの白板ガラス(旭硝子(株)製、商品名:ソライト)、実施例1で採取した厚みが450μmのシート(封止材)、厚みが0.4mmの太陽電池セル(フォトワット社製、型式:101×101MM)、実施例1で採取した厚みが450μmのシート(封止材)、下部保護材として厚みが0.125mmの耐候性PETフィルム(東レ(株)製、商品名:ルミラーX10S)の5層を真空プレスして太陽電池モジュール(サイズ:150mm×150mm)を作製した。得られた太陽電池モジュールはシワやエアー残りもなく透明性や外観などに優れるものであった。また、太陽電池モジュールの端面は、封止材のはみ出しもなく、端面部分の外観も良好なものが得られた。
2 フロントガラス
3、3´ 封止材
4 太陽電池セル
5 バックシート
6 インターコネクター
7 出力端子
8 ジャンクションボックス
9 シール材
10 フレーム
Claims (6)
- ポリエチレン系樹脂を含む組成物からなる太陽電池用封止材であって、前記組成物が、水蒸気の吸脱着可能なフィラーを含有することを特徴とする太陽電池用封止材。
- 前記フィラーが親水性フィラーである、請求項1に記載の太陽電池用封止材。
- 前記フィラーが含水二酸化ケイ素である、請求項1又は2に記載の太陽電池用封止材。
- 前記フィラーが、ポリエチレン系樹脂100質量部に対して、3〜100質量部配合されてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
- 前記ポリエチレン系樹脂が、エチレンと、炭素数3〜20のαオレフィンとのランダム共重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の太陽電池用封止材を用いて作製された太陽電池モジュール。
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