JP2010278428A - 太陽電池用シート及び太陽電池モジュール - Google Patents

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陽 宮下
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潤 西岡
Koichiro Taniguchi
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和彦 北山
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Abstract

【課題】耐久性、難燃性、及び寸法安定性に優れ、封止樹脂層等との密着性が高い太陽電池用シート、及びこれを具備する太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】ポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層による単層構成の太陽電池用シートである。また、ポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層を両外層に有する複層構成の太陽電池用シートである。また、本発明は、上記太陽電池用シートが設けられてなる太陽電池モジュールである。
【選択図】なし

Description

本発明は、太陽電池モジュールの保護のために用いられる太陽電池用シート及びこれを具備する太陽電池モジュールに関する。
近年、地球温暖化等の環境問題に対する意識が高まる中、特に太陽光発電については、そのクリーン性や無公害性という点から期待が高まっている。太陽電池は太陽光のエネルギーを直接電気に換える太陽光発電システムの中心部を構成するものである。その構造としては一般的に、複数枚の太陽電池素子(セル)を直列、並列に配線し、セルを保護するために種々パッケージングが行われ、ユニット化されている。このパッケージに組み込まれたユニットを太陽電池モジュールと呼び、一般的に太陽光が当たる面を透明基材(ガラス/透光性太陽電池シート;フロントシート)で覆い、熱可塑性プラスチック(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体)からなる充填材(封止樹脂層)で間隙を埋め、裏面を裏面封止用シート(バックシート)で保護された構成になっている。
これらの太陽電池モジュールは主に屋外で使用されるため、その構成や材質構造等に種々の特性が必要とされる。上記バックシートおいても、屋外での使用を考慮して十分な耐久性、難燃性、寸法安定性、高い機械強度等が要求される。また、クリーン性や無公害性という点からは環境負荷を低減させることも求められている。さらに、封止樹脂層やジャンクションボックスとの密着性も重要な要求特性として挙げられる。特に、封止樹脂層中の発電素子を有効に保護するためには、当該封止樹脂層との密着性が非常に重要となる。
上記のバックシートとしては、特許文献1では、特定のIV値を有する二軸延伸されたポリエステルフィルムからなるバックシートが提案されている。特許文献2には、2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を有するポリエステルフィルム(以下「PENフィルム」ということがある)からなるバックシートが提案されている。しかし、これらのフィルムは実用的な面から、耐熱性、耐加水分解性といった耐久性や難燃性が劣ってしまう。また、封止材樹脂との密着性も必ずしも十分とされてはいない。
これらに対し、環状オレフィン共重合体フィルム(以下、「COCフィルム」ということがある)からなるバックシートが提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。特許文献5では、ポリメチルメタクリレートよりなるフィルムとCOCフィルムとの積層体からなるバックシートが提案されている。また、特許文献6では、ポリプロピレン系樹脂フィルムを積層してなるバックシートが提案されている。しかしながら、このバックシートでは耐加水分解性は改良され、封止材との密着性向上も期待できるが、難燃性、耐久性(特に、耐熱性)に劣るという問題がある。
また、耐候性、難燃性に優れたフッ素系樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献7及び8参照)。しかしながら、フッ素系樹脂は表面の滑り性が悪いためにシートのハンドリング性(加工性)に劣るという問題がある。さらにフッ素系樹脂は表面エネルギーが低いため隣接する層との接着性に劣り、上記ジャンクションボックスや封止材樹脂との密着性に劣るという問題があった。特許文献8は、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムをフッ素系樹脂からなるフィルムで挟んだバックシートを提案しているが、ポリエステルフィルムは耐加水分解性に劣るという問題があり、さらには、フッ素系樹脂からなるフィルムを外層に設けていることから、上述したフッ素系樹脂が有する問題を解消できない。
特開2007−70430号公報 特開2007−7885号公報 特開2006−294780号公報 特開2006−198922号公報 特開平8−306947号公報 特開2003−243679号公報 特許第4177590号公報 US5593532
以上から本発明は、耐久性、難燃性、及び寸法安定性に優れ、封止樹脂層等との密着性が高い太陽電池用シート、及びこれを具備する太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
上記課題に鑑み鋭意検討した結果、本発明者らは、下記本発明に想到し当該課題を解決した。すなわち、本発明は、ポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層による単層構成の太陽電池用シートである。また、本発明は、ポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層を両外層に有する複層構成の太陽電池用シートである。
さらに、本発明は、上記太陽電池用シートが設けられてなる太陽電池モジュールである。
本発明によれば、耐久性、難燃性、及び寸法安定性に優れ、封止樹脂層等との密着性が高い太陽電池用シート、及びこれを具備する太陽電池モジュールを提供することができる。
本発明の太陽電池モジュールの一例を示す概略断面図である。
[太陽電池用シート]
本発明の太陽電池用シートは、太陽電池モジュールを構成するために用いられるシートであり、特に表面または裏面封止シート(フロントシートまたはバックシート)や、基板シートなどが挙げられ、特にバックシートとして好適に使用できる太陽電池用シートである。
本発明の太陽電池用シートは、ポリフェニレンエーテル(以下PPEと略することがある)を主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層を有する。
ここで「主成分」とは、ポリフェニレンエーテル系樹脂層に含有される樹脂組成物のうち最大の割合を占めることを表し、下限値は特に決められないが、ポリフェニレンエーテルが50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。この範囲であれば、耐久性、難燃性、寸法安定性及び高い機械強度、封止樹脂層等との高い密着性を達成することができる。
また、本明細書において、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚みが極めて小さく、最大厚みが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(JIS K6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚みが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
ポリフェニレンエーテルの具体的な例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好適に使用される。
また、ポリフェニレンエーテルに、スチレン系化合物がグラフトした共重合体であってもよい。スチレン系化合物がグラフト化したポリフェニレンエーテルとしては、上記ポリフェニレンエーテルにスチレン系化合物として、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレンなどをグラフト重合して得られる共重合体が挙げられる。
さらに、ポリフェニレンエーテルは、極性基を有する変性剤により変性されていてもかまわない。例えば、酸ハライド、カルボニル基、酸無水物、酸アミド、カルボン酸エステル、酸アジド、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基などが挙げられる。
本発明において使用するポリフェニレンエーテルは、30℃のクロロホルム中で測定した粘度から求めた極限粘度の下限値が0.2dl/g以上であることが好ましく、0.3dl/g以上がより好ましく、0.4dl/g以上であることがさらに好ましい。極限粘度の値がこの範囲であれば、耐熱性、難燃性、機械強度に劣るなどの不具合を生じがたい。また、上限値は0.8dl/g以下であることが好ましく、0.7dl/g以下がより好ましく、0.6dl/g以下がさらに好ましい。極限粘度の値がこの範囲であれば、剪断粘度が高くなりすぎ生産性に劣る等の不具合を生じがたい。
また、成形性を改良するなどの目的で、異なる極限粘度を持つポリフェニレンエーテルを組み合わせて用いても構わない。
商業的に入手可能なポリフェニレンエーテルとしては、SABICイノベーションプラスチックス社より商品名「PPO646」「PPO640」「PPO630」として、旭化成ケミカルズ社より商品名「S201A」「S202」として、それぞれ販売されており入手可能である。
前述のポリフェニレンエーテルに、押出成形性や耐衝撃性、耐熱性、難燃性、接着性等の物性を向上させる目的で、GPPS(汎用ポリスチレン)、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、SEBS(水素添加スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SBS(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体)、SEPS(水素添加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体)等のスチレン系樹脂や、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体及びエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系樹脂、ポリエステルポリエーテルエラストマー、ポリエステルポリエステルエラストマー等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂を適量配合することが好ましい。これらの添加量は、前述するポリフェニレンエーテルの質量%を超えない範囲で適量配合することが好ましい。例えば、ポリスチレン系樹脂とポリエチレン系樹脂は1質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、この範囲で配合することにより溶融加工性、耐衝撃性を向上させることができ、また、40質量%以下、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下の添加であれば耐熱性を低下しすぎたり、難燃性を阻害するなどの問題がなく好ましい。
ポリフェニレンエーテルは単位骨格中に芳香族環と酸素原子を有しているため、燃焼時に炭化層を形成させやすく、また、活性水素の存在によりラジカル捕捉能を有し、分子鎖の切断を抑制しやすいという特徴から、溶融樹脂の滴下(ドリップ)を発生させることなく難燃性に優れた樹脂である。
さらに、臭化ビフェニルエーテル等のハロゲン系難燃剤、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物難燃剤、窒素系化合物、アンチモン系化合物等の無機系難燃剤等を添加することで難燃性の向上が可能であるが、環境負荷や、難燃性の付与、機械強度の確保などの観点から下記に記すようなリン系難燃剤が好ましい。
リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリエチルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、キシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホスフェートなどのリン酸エステル系難燃剤、芳香族縮合リン酸エステル等の縮合リン酸エステル系難燃剤、ホスホニトリル酸フェニルエステル等のホスファゼン化合物、赤リン等が好ましく使用される。これらは30質量%以下で添加されることが好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。この範囲であれば、難燃剤を添加することによって耐熱性が低下しすぎることや、溶融加工中に揮発ガスとして環境を汚染することがなく好適である。また、添加部数の下限値としては0.1質量%以上であり、好ましくは1.0質量%以上であり、さらに好ましくは3.0質量%以上である。この範囲であれば、難燃性を向上させる効果が得られるため好適である。
後述するように、ポリフェニレンエーテル系組成物を押出成形する場合、比較的高温(260℃〜320℃)で押出成形をすることから、添加する成分にも耐熱性が要求される場合がある。耐熱性の指標としては熱重量分析による重量減少温度が挙げられる。上述したリン系難燃剤については、不活性ガス雰囲気下、昇温速度10℃/分で常温から400℃まで加熱した時の5%重量減少温度が、好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは200℃以上であり、より好ましくは250℃以上であり、特に好ましくは275℃以上である。上記範囲であれば、成形加工中にリン系難燃剤が揮発して作業環境を悪化させたり、成形後のシートの難燃性を低下させたり、押出成形中に基材と反応を促進させシート外観を悪化させるなどの不具合を生じがたい。また、上限値は特に制限がなく、押出成形温度以上であれば好ましい。
上記の成分の他に、本発明の特徴及び効果を損なわない範囲で必要に応じて他の附加的成分、例えば、耐熱性や機械強度の向上ため、カーボンフィラー、ガラスフィラー、タルク、マイカ等の無機充填材、押出成形性向上のため、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤(オイル、低分子量ポリエチレン、エポキシ化大豆油、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル類等)、難燃性向上のため、難燃助剤、耐久性改良のため、耐候(光)性改良剤、造核剤及び各種着色剤を添加してもかまわない。
上述のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテルに上述の成分を加えて形成されるが、あらかじめ混合されている市販品を購入して使用しても構わない。
商業的に入手可能なポリフェニレンエーテル系樹脂組成物としては、SABICイノベーションプラスチックス社より商品名「ノリルPX9406」「ノリルLTA1350」「ノリルN300」として、旭化成ケミカルズ社より商品名「ザイロン540Z」「ザイロン640Z」「ザイロン740Z」として、三菱エンジニアリングプラスチックス社より「ユピエースLN91」「ユピエースAN70」「ユピエースAH90」「ユピエースTX903B」「レマロイBX528−A3」として、それぞれ販売されており入手可能である。
本発明の太陽電池用シートは、ポリフェニレンエーテル系樹脂層のみからなる構成でも、他の層と積層した構成でもよい。積層する場合の他の層としては、機械強度、絶縁性、耐熱性を発現するための中間層や、ガスバリア性層等が挙げられる。
中間層を形成することにより、太陽電池用シート全体としての厚みを増すことができ、機械強度、絶縁性、耐熱性をさらに向上させることができるため、好ましい。中間層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。上記の中でも、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂などのオレフィン系樹脂は耐加水分解性に優れるため耐久性に優れ、また比重が軽いことからシート全体の軽量化にもつながるため好ましく、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂のうち、特に二軸延伸してなるものは非常に高い機械強度(弾性率)を有するため好ましい。フッ素系樹脂は難燃性と耐久性を兼ね備えており物性を向上させる目的では好ましい。
ガスバリア性層としては、無機薄膜層を含む層構成のものが好適に使用できる。また、ガスバリア性層として、アルミ箔等の金属薄膜や、熱可塑性高分子を使用することも可能で、通常の包装材料に使用しうる材料であれば特に制限なく用いることができる。
具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体などのポリオレフィン、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート等のポリエステル、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体部分加水分解物(部分けん化物、EVOH)、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、アクリレート樹脂などが挙げられる。これらの中では、フィルム物性の点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンが好ましい。なかでも、フィルム強度の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートがより好ましい。更には、耐候性、耐加水分解性の点で、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
無機薄膜層を構成する無機物質としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン、水素化炭素等、あるいはこれらの酸化物、炭化物、窒化物またはそれらの混合物が挙げられる。好ましくは酸化珪素、酸化アルミニウム、水素化炭素を主体としたダイアモンドライクカーボンである。特に、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素、酸化アルミニウムは、高いガスバリア性が安定に維持できる点で好ましい。
化学気相蒸着に使用し得る材料ガスは、少なくとも1種以上のガスからなることが好ましい。例えば、珪素化合物薄膜の形成においては、珪素を含む第一原料ガスに対する第二原料ガスとして、アンモニア、窒素、酸素、水素やアルゴンなどの希ガスを使用することが好ましい。
珪素を含む第一原料ガスとしては、モノシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等を単独、或いは2種組み合わせて使用することができる。
また、原料ガスは、室温において液体でも気体でもよく、液体原料は、原料気化機により気化して装置内へ供給することができる。触媒化学気相成長法においては、加熱触媒体の劣化や反応性・反応速度の点から、モノシランガスが好ましい。
ガスバリア性フィルムの無機薄膜層の形成方法としては、蒸着法、コーティング法などの方法がいずれも使用できるが、ガスバリア性の高い均一な薄膜が得られるという点で蒸着法が好ましい。この蒸着法には、物理気相蒸着(PVD)、あるいは化学気相蒸着(CVD)などの方法が含まれる。物理気相蒸着法には、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングなどが挙げられ、化学気相蒸着法には、プラズマを利用したプラズマCVD、加熱触媒体を用いて材料ガスを接触熱分解する触媒化学気相成長法(Cat−CVD)等が挙げられる。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂は単層で用いても、両外層をポリフェニレンエーテル系樹脂層として形成し、さらに上述の中間層やガスバリア性層複層を形成した複層構成として用いても良い。表面をポリフェニレンエーテル系樹脂層により形成することで封止材やジャンクションボックスとの長期にわたる密着性、耐久性、難燃性を発現しやすくすることができる。
複層構成として用いられる際のポリフェニレンエーテル系樹脂層の厚みは、全体の厚みの50%を超えることが好ましく、65%以上とすることがより好ましく、80%以上とすることがさらに好ましい。本発明において、ポリフェニレンエーテル系樹脂層の厚み比率が全体の厚みの50%を超えるとは、少なくとも両外層を含む各ポリフェニレンエーテル系樹脂層の合計の厚みがシート全体の厚みの50%を超えることを意味する。ポリフェニレンエーテル系樹脂層を50%を超える範囲で形成することで、難燃性、耐熱性、機械強度等、厚みが影響する特性を良好に発揮することができる。
上述した各層を複層化した構成の場合、もしくはポリフェニレンエーテル系樹脂単層の場合の全体の厚みは25μm以上であることが好ましく、50μm以上がより好ましく、75μm以上であることがさらに好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。厚みがこの範囲であれば機械強度が不足する等の不具合を生じがたく、また、上限値は特に決まっていないが、厚くなりすぎるとハンドリング性が低下するため、実用的には500μm以下であることが好ましく、400μm以下がより好ましく、300μm以下がさらに好ましい。
なお、ポリフェニレンエーテル系樹脂層のみからなる構成の場合、組成の異なるポリフェニレンエーテル系樹脂層が複数ある場合も当然構成に含まれる。
さらに、本発明の太陽電池用シートに追加して、易接着層、光反射性着色層、ハードコート層などを表面に設けても構わない。
後述するように、本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂層は封止材に対し良好な接着性を発現するが、更なる接着性を発現させるべく易接着層を設けても構わない。易接着層は共押出、ドライラミネーション、コーティング等の公知の手法によって形成される。
共押出により形成する場合は、ポリオレフィン系樹脂(例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンやポリプロピレン、環状ポリオレフィン)や変性ポリオレフィン系樹脂(例えば、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン系樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の共重合ビニル化合物を使用することが好ましい。
これらの樹脂は、共押出によって形成されるほか、単独のフィルムとして形成した後に、ポリウレタン系接着剤等の公知の接着剤によってドライラミネーションされ形成されても構わない。
コーティングにより形成する場合は、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂を使用することが好ましい。易接着層の厚みは、共押出やドライラミネーションによって形成される場合は5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、25μm以上がさらに好ましい。この範囲であれば良好な接着性を発現することができ好ましい。上限値は特に定まっていないが、150μm以下であればハンドリング性の観点から好ましい。コーティングにより形成する場合は0.5μm以上が好ましく、1μm以上が好ましく、2μm以上が好ましい。上限
値は特に定まっていないが、20μm以下であれば生産性を落としすぎることがなく好適である。
また、光反射性着色層を設けても構わない。光反射性着色層は、太陽電池セルを透過した太陽光線を反射させ、発電効率を高める目的と、紫外線を反射或いは吸収させることにより当該太陽電池用バックシート構成材の紫外線劣化を防ぎ、バックシートの耐候性、耐久性、耐熱性、熱的寸法安定性、強度等の諸特性を向上させる目的で、太陽電池用バックシートの裏面側封止材に接する側の構成材として用いられるものである。特に、太陽光を反射し、発電効率を向上させる点においては、白色化が有効である。
また更に、黒色化を始めとする各種着色により太陽電池モジュールの意匠性、装飾性を向上することができる。
なお、光反射性着色層における「光反射」には、光反射とともに光散乱も包含する。
光反射性着色層の着色方法としては、着色剤として顔料を分散添加する方法及び/又は基材に非相溶なポリマーや微粒子を添加し、フィルム延伸時にブレンド界面で空隙、気泡を形成させる方法を用いることができる。
光反射性着色層を構成する樹脂としては、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。
上記樹脂の中でも、高い耐熱性、強度、耐候性、耐久性、水蒸気等に対するガスバリア性を有するポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂が好ましい。特にポリエステル系樹脂からなる層は、銀蒸着などが容易で反射率を高める機能を付加し易く、ポリプロピレン系樹脂からなるフィルムは、耐加水分解性や耐候性が高く、経時安定性に優れ、且つ太陽電池モジュールの封止樹脂層との熱溶融接着性が良好であるという特徴を有する。
上記ポリエステル系樹脂としては、例えばポリ乳酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。これらのポリエステル系樹脂の中でも、耐熱性、耐候性等の諸機能面及び価格面のバランスが良好なポリエチレンテレフタレートが特に好ましく用いられる。また、ポリエステルの黄変を防ぐ為にフィルム表面処理を施したものも好ましく用いられる。
上記環状ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、シクロペンタジエン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体、シクロヘキサジエン及びその誘導体、ノルボルナジエン及びその誘導体等の環状ジエンを重合させてなるポリマー、当該環状ジエンとエチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系モノマーの1種又は2種以上とを共重合させてなるコポリマー等が挙げられる。これらの環状ポリオレフィン系樹脂の中でも、強度、耐熱性、耐候性等に優れるシクロペンタジエン及びその誘導体、ジシクロペンタジエン及びその誘導体又はノルボルナ
ジエン及びその誘導体等の環状ジエンのポリマーが好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、低密度ポリエチレン、直線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン系触媒を用いて重合して得られたエチレン−α−オレフィン共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
また、上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンの共重合体、リアクター型のポリプロピレン系熱可塑性エラストマー、及びこれらの混合物が挙げられる。
プロピレンの単独重合体としては、例えば、アイソタクチックポリプロピレン系樹脂、シンジオタクチックポリプロピレン系樹脂、アタクチックポリプロピレン系樹脂等を例示することができる。また、2種類以上のポリプロピレン系樹脂の混合物を用いることができる。なかでも、広範囲の使用環境に適用し得る太陽電池モジュール用シートを作製することが容易になる点において、アイソタクチックポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
プロピレンの共重合体としてはプロピレンとエチレンまたは他のα−オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)、またはブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。前記プロピレンと共重合可能な他のα−オレフィンとしては、炭素原子数が4〜12のものが好ましく、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、1−デセン等が挙げられ、その1種または2種以上の混合物が用いられる。通常、α−オレフィンの混合割合は1〜10質量%程度である。
着色に用いる顔料としては、白色顔料、黒色顔料等が好ましく挙げられる。白色顔料としては、特に限定されるものではないが、例えば炭酸カルシウム、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸鉛、硫酸バリウム、塩基性炭酸鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性けい酸鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、リトポンなどを使用することができる。酸化チタンとしては、ルチル型の方がアナターゼ型よりも光線を長時間ポリエステルフィルムに照射した後の黄変が少なく、色差の変化を抑制するのに適していることから好ましい。
上記白色顔料の中でも、安定性、非重金属化合物の点から、ルチル型酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウムおよび二酸化珪素からなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機微粒子が好ましく、硫酸バリウム、ルチル型酸化チタンがより好ましく、硫酸バリウムが更に好ましい。
硫酸バリウムは、物理的にも化学的にも安定であり、可視光線のほぼ全領域にわたって99%以上の反射率を示す良好な白色素材であり、白色の基準として用いられる物質である。また、着色化性、隠蔽性の高い材質であり、効率的に白色化が行われ、太陽電池用バックシートとして光線反射性効果が高い。
また、黒色顔料としては、特に限定されるものではないが、カーボンブラック、黒色酸化鉄などが用いられ、中でも、長期安定性などの観点からカーボンブラックが好ましく用いられる。その他の色(青色、赤色、黄色など)を発現させるためには、染料や顔料を添加させること上述した樹脂に添加することが挙げられるが、長期安定性の観点から顔料の添加のほうが好ましい。
上述した各層を複層化する際は、共押出による方法をとっても、公知の接着剤や粘着剤を用いても構わない。本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂層は接着剤や粘着剤に対し親和性を記し、強固な密着力を有するため容易に複層化が可能である。
また、太陽電池モジュールとして形成されるときに最表面となる側に、耐擦傷性や防汚性などの表面特性を発現させるために公知のハードコート処理や防汚処理を施しても構わない。
また、表面の滑り性を向上させ、モジュール組み立て時や施工時のハンドリング性を向上させる目的で、表面に凹凸を形成する処理を施しても構わない。表面に凹凸を形成するためには、フィルム成形時にエンボスを施す方法や、表面層にシリカやタルク等の無機粒子を入れる方法、無機粒子を含有する層を共押出して、冷却固化後に剥離する方法など、任意の手段を用いて構わない。もちろん、意匠性等の観点からコーティング等公知の手法を用いて表面を平滑化しても構わない。
本発明の太陽電池用シートは従来公知の方法により作製することができる。
各配合剤は事前に混練しても、製膜時に一括して混練しても良い。
成形方法は、押出、カレンダー、流延のいずれの方式でも良いが、薄膜品採取のしやすさと生産効率の観点から、押出成形が好ましい。
高温で押出成形をすることから、メヤニや異物を発生し外観が損なわれる。これを防止するために、口金のリップギャップを開放し剪断速度を落とす方法や口金流路面にメッキを施す方法、ポリフェニレンエーテル系樹脂層と金属との滑り性が良いその他の樹脂を共押出する方法などがある。その他の樹脂を共押出する場合、通常は冷却固化後にその他の樹脂を剥離する。但し、その他の樹脂を本発明の太陽電池用シートに積層して使用する場合には、当該その他の樹脂を片面又は両面剥離しない態様を取ることもできる。
押出成形をおこなうためには、フローテスターによって測定される剪断粘度が、300℃における剪断速度100sec−1のときに50Pa・s(500poise)以上が好ましく、100Pa・s(1000poise)以上がより好ましく、500Pa・s(5000poise)以上がさらに好ましい。剪断粘度がこの範囲であれば物性が劣りすぎる等の不具合を生じがたく、また、5000Pa・s(50000poise)以下が好ましく、3500Pa・s(35000poise)以下がより好ましく、2000Pa・s(20000poise)以下がさらに好ましい。剪断粘度がこの範囲であれば押出性に欠け、成形機に負荷がかかりすぎることがなく、生産性の観点から好ましい。
剪断粘度を上述の値に調整するためには、ポリフェニレンエーテルの分子量を調整する、スチレン系樹脂やエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の成分比率を調整する、難燃剤の種類と添加量を調整する、その他可塑剤等を添加する手法がある。
本発明の太陽電池用シートは難燃性に優れている。難燃性を有することで、火災が発生した際の延焼を防止することができる。難燃性の評価は燃焼試験による燃焼挙動によって判断される。ポリフェニレンエーテルは前述のとおり難燃性に優れる樹脂であり、難燃性を付与するためにはポリフェニレンエーテルの含有量を上げる、難燃剤の添加量を上げる、滑剤等成分を少なくする、ポリフェニレンエーテル系樹脂層の全体に対する厚み比率を大きくするなどの手法がある。
太陽電池用シートは、外部環境にさらされるため、太陽電池セルを長期間安定して保護するためには、耐久性の1つである耐加水分解性が必要になる。これは、任意の環境下における促進評価後の物性を測定することで評価される。耐加水分解性を付与するには、(添加剤等の)低分子量成分を少なくしたり、加水分解性を有する組成(ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート等)を少なくしたりすればよい。また、加水分解防止剤(カルボジイミドなど)を混合することも可能である。
引張弾性率や引張破断伸度などで代表される機械強度は、モジュール形成工程におけるハンドリング性や、モジュール設置後の外部衝撃からのセルの保護等のために必要となるが、これ付与するには太陽電池シートの厚みを大きくしたり、エラストマー等の耐衝撃性を有する成分を添加したりすればよい。
また、一般的な封止樹脂である架橋EVAは、架橋工程が150℃程度で、30分ほどである。従って、太陽電池モジュール形成工程においてトラブルを回避するためには、耐熱性を有し、寸法変化が小さいことが必要となる。この耐熱性を発現するためには、荷重たわみ温度が100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがさらに好ましく、140℃以上であることがより好ましい。荷重たわみ温度が100℃以上であれば耐熱性に不足し寸法変化が大きくなる等の不具合を生じがたく、また、上限値は特に定められていないが、200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好
ましく、160℃以下でることがさらに好ましい。荷重たわみ温度が200℃以下であれば上述の剪断粘度が高くなりすぎ生産性に劣る等の不具合を生じがたい。
一般的にポリフェニレンエーテルとポリスチレンとの2成分ブレンド系では、配合比率によって荷重たわみ温度が線形に推移し、ポリフェニレンエーテルが100%から0%までの間で、荷重たわみ温度は約190℃から約80℃まで変化する。従って、荷重たわみ温度を向上させるためには、ポリフェニレンエーテルの含有量を上げることが有効であり、また、荷重たわみ温度を低下させる難燃剤や可塑剤等の添加量を下げたり、ポリフェニレンサルファイドやポリアミド等の高耐熱性樹脂をブレンドしたり、無機充填材を配合したりすることも有効である。
また、ポリフェニレンエーテルは汎用エンプラとして大量に供給されているため、今後の需要の増加が予想される太陽電池用途として、今後さらに消費量が拡大しても供給安定性を有するという点でも好ましい。
[太陽電池モジュール]
本発明の太陽電池モジュールは、既述の本発明の太陽電池用シートが設けられてなる。具体的には、図1に示すように、太陽光受光側から順に、透明基板10、封止樹脂層12A、太陽電池素子14A,14B、封止樹脂層12B、本発明の太陽電池用シート(この場合は、バックシート)16が積層されてなり、さらに、太陽電池用シート16の下面にジャンクションボックス18(太陽電池素子から発電した電気を外部へ取り出すための配線を接続する端子ボックス)が接着されてなる。太陽電池素子14A及び14Bは、発電電流を外部へ電導するために配線20により連結されている。配線20は、太陽電池用シート16に設けられた貫通孔(不図示)を通じて外部へ取り出され、ジャンクションボックス18に接続されている。
太陽電池モジュールは内部へ水分が浸入すると劣化が生じるため、ジャンクションボックスのような付属品を取り付ける際には、太陽電池モジュールの内部に外気が侵入することのないよう、シール性を十分に確保する必要があるが、本発明の太陽電池用シートによれば、加熱処理だけで接着できるため、容易で確実に外気の浸入を防ぐことが可能となる。
透明基板としては、ガラス、又はアクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、フッ素含有樹脂などの単層もしくは多層のプラスチックシートが使用される。プラスチックの場合は、ガスバリア性を付与する目的で、これに当該太陽電池用シートを構成するガスバリア性フィルムと同様にして無機薄膜を形成したり、耐熱性、耐候性、機械強度、帯電性、寸法安定性等を改良する目的で、架橋剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、強化繊維、難燃剤、防腐剤等を添加したり、また、これに各種シート及び/又はフィルムを積層することができる。透明基板の厚みは、強度、ガスバリア性、耐久性等の点から適宜設定できる。
封止樹脂層には、透光性、衝撃吸収性や、透明基板、太陽電池素子、太陽電池用シートとの接着性を兼ね備える各種樹脂が使用される。例えば、ポリオレフィン系樹脂(1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテンのようなα−オレフィンなどの1種又は2種以上の共重合成分とエチレンの共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/プロピレン/非共役ジエン共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体及びエチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系樹脂)、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、アイオノマー樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられる。なかでも、ポリオレフィン系樹脂及びエチレン−酢酸ビニル系樹脂が好ましい。なお、封止樹脂層の厚みは50μm〜600μmのものが一般に用いられている。
また、封止樹脂層には、ラジカル発生剤、架橋剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
ポリフェニレンエーテル系樹脂層はオレフィン系樹脂やエチレン−酢酸ビニル系樹脂と親和性を有するため、良好な密着性を発現でき好ましい。さらに、これらの樹脂に後述するラジカル発生剤を含有させることで、ポリフェニレンエーテルが有する活性水素とラジカルとが反応し架橋構造を形成することで、両層の密着性を著しく向上させることができる。
ラジカル発生剤としては、特に制限はないが、有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、高分子アゾ化合物等のアゾ化合物、アリル錫、トリエチルボラン等の有機金属化合物等が挙げられる。中でも、後述する有機過酸化物を用いることが好ましい。
なお、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂を封止樹脂層に使用する場合には、耐熱性向上や機械強度を高めるなどの目的のため架橋剤を配合して架橋構造を持たせることが好ましく、この架橋剤としては、有機過酸化物や、シランカップリング剤等が用いられるが、中でも、有機過酸化物を使用すれば上述のラジカル発生剤としても作用し好ましい。特に100℃以上でラジカルを発生し、半減期10時間の分解温度が70℃以上であるものが反応速度と配合時の安全性の観点から好適に使用される。
このような有機過酸化物としては、例えば2,5−ジメチルヘキサン;2,5−ジハイドロパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン;3−ジ−t−ブチルパーオキサイド;t−ジクミルパーオキサイド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシベンゾエート;ベンゾイルパーオキサイド等を用いることができる。これらの有機過酸化物の配合量は、成形加工上、基材樹脂100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることがより好ましく、架橋反応を進行させるためには0.25質量部以上であることが好ましく、0.5質量部以上であることがより好ましく、0.75質量部以上であることがさらに好ましい。
なお、シランカップリング剤は、封止樹脂層の保護材(ガラス、樹脂製のフロントシート、バックシートなど)や太陽電池素子などに対する接着性を向上させるのに有用であり、その例としては、ビニル基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基のような不飽和基、アミノ基、エポキシ基などとともに、アルコキシ基のような加水分解可能な基を有する化合物を挙げることができる。シランカップリング剤の具体例としては、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどを例示することができる。本発明においては、接着性が良好であり、黄変などの変色が少ないことなどからγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。該シランカップリング剤の添加量は、層を構成する樹脂組成物100質量%に対して、樹脂圧の増加やゲル、フィッシュアイなどの異物の発生を抑制するため、また、成形品からのブリードアウトなどの不具合を抑制するためには、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。また、接着性を発現させるためには0.1質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。
また、シランカップリング剤と同様に、有機チタネート化合物などのカップリング剤も有効に活用できる。
酸化防止剤としては、種々の市販品が適用でき、モノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系、ホスファイト系など各種タイプのものを挙げることができる。モノフェノール系としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノールなどを挙げることができる。ビスフェノール系としては、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス〔{1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル}2,4,9,10−テトラオキサスピロ〕5,5−ウンデカンなどを挙げることができる。
高分子フェノール系としては、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ビドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−{メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキスフェニル)プロピオネート}メタン、ビス{(3,3’−ビス−4’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グルコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トリフェノール(ビタミンE)などを挙げることができる。
硫黄系としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピオネートなどを挙げることができる。
ホスファイト系としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(モノ及び/又はジ)フェニルホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナスレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−tert−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどを挙げることができる。
本発明においては、酸化防止剤の効果、熱安定性、経済性などからフェノール系及びホスファイト系の酸化防止剤が好ましく用いられ、両者を組み合わせて用いることが、添加量に対する酸化防止剤としての効果を高めることができるためさらに好ましい。該酸化防止剤の添加量は、層を構成する樹脂組成物100質量%に対し、通常0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上であり、かつ、1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下の範囲で添加することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、種々の市販品が適用でき、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、サリチル酸エステル系など各種タイプのものを挙げることができる。ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクタデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5− クロロベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニル置換ベンゾトリアゾール化合物であって、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メチル−5−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2− ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。
またトリアジン系紫外線吸収剤としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−(ヘキシルオキシ)フェノールなどを挙げることができる。サリチル酸エステル系としては、フェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどを挙げることができる。該紫外線吸収剤の添加量は、層を構成する樹脂組成物100質量%に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上であり、かつ、2.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下の範囲で添加することが好ましい。
上記の紫外線吸収剤以外に耐候性を付与する光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定化剤が好適に用いられる。ヒンダードアミン系光安定化剤は、紫外線吸収剤のようには紫外線を吸収しないが、紫外線吸収剤と併用することによって著しい相乗効果を示す。ヒンダードアミン系以外にも光安定化剤として機能するものはあるが、着色している場合が多く好ましくない。
ヒンダードアミン系光安定化剤としては、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ}]、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパレート、2−(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)などを挙げることができる。該ヒンダードアミン系光安定化剤の添加量は、層を構成する樹脂組成物100質量%に対し、通常0.01質量%以上、好ましくは0.05質量%以上であり、かつ、0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下の範囲で添加することが好ましい。
上記の酸化防止剤、紫外線吸収剤及び耐侯安定剤は、一般的に添加量が多くなるほど黄変を引き起こしやすいため、必要最少量の添加にとどめることが好ましく、無添加であることも好ましい実施形態である。
太陽電池素子は、封止樹脂層間に配置され配線される。例えば、単結晶シリコン型、多結晶シリコン型、アモルファスシリコン型、各種化合物半導体型、色素増感型、有機薄膜型等が挙げられる。
本発明の太陽電池用シートをバックシートとして用いた場合の太陽電池モジュールの製造方法としては、特に限定されないが、一般的に、透明基板、封止樹脂層、太陽電池素子、封止樹脂層、太陽電池用シートの順に積層する工程と、それらを真空吸引し加熱圧着する工程を有する。
太陽電池モジュールは、当該太陽電池用シートの優れた耐久性、難燃性、寸法安定性及び高い機械強度により、小型、大型や屋内、屋外に関わらず各種用途に好適に使用できる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物(荷重たわみ温度;150℃、ポリフェニレンエーテル89質量%含有、リン酸トリフェニル7質量%含有、SABICイノベーションプラスチックス社製、商品名「ノリルN300」)を用い、φ65mm押出機、バレル設定温度240〜300℃に設定し、1150mm巾単層口金(設定温度300℃)で押出、80℃に設定したキャストロールで冷却固化し、キャストロールの速度を調整することで、50μmの厚みの太陽電池用シートを作製した(PPE1と表記)。
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム(東レ製ルミラーX10S、厚み50μm)を太陽電池用シートとした(PET1と表記)。
(比較例2)
ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂フィルム(帝人デュポン製テオネックスQ51C、厚み25μm)を太陽電池用シートとした(PEN1と表記)。
実施例1及び比較例1,2の太陽電池用シートについて、下記評価を行った。結果を下記表1に示す。
・耐熱性
100mm×100mm角にサンプルを切り取り、150℃に設定した循環式オーブン中で30分サンプルを処理した後、寸法変位量の原寸に対する割合の絶対値%値で測定し、フィルムの長手方向と直行方向のいずれか大きいほうの値を記し、下記基準で評価した。
◎:0.5%以下
○:1.0%以下
△:3.0%以下
×:3.0%を超える
・耐久性
高度加速寿命試験機(プレッシャークッカー試験機;エスペック製EHS−211M)中、温度120℃、湿度100%、2気圧の条件にて144時間サンプルを処理し、取り出したサンプルの引張破断応力値をJISK7127に準じて、温度23℃、試験速度200mm/分の条件で測定した。
初期の測定値に対する加速試験後の測定値の割合を%値で測定し、下記基準で評価した。
○:保持率が80%以上
△:保持率が50%以上80%未満
×:保持率が50%未満またはサンプル形状を維持できない
・難燃性
長さ200mm×幅50mmに試験片を切り出し、巾方向に円筒状にまき、側面を接着テープで固定した。この円筒をクランプで垂直に固定しクランプを用いて垂直にサンプルを固定し、ガスバーナを用いて20mm炎を下端に3秒間接炎を2回実施し、以下の判断基準に基づいてその難燃性を評価した。
○:燃焼持続時間が30秒以内で、溶融樹脂の滴下がない
×:燃焼持続時間が30秒を超える、あるいは溶融樹脂の滴下がある
実施例1より本発明の太陽電池用シートは優れた耐熱性と耐久性、難燃性を示すことを明らかにした。比較例1,2よりポリエステル系樹脂を用いた場合、耐久性および難燃性に劣った。
(実施例2〜6、比較例3〜5)
[太陽電池用シート]
実施例1で作製した太陽電池用シート(PPE1)以外は、以下の太陽電池用シートを用いた。
・PPE2:キャストロールの速度を調整することで、50μmの厚みを220μmとした以外は実施例1と同様にして太陽電池用シートを作製した。
・ETFE1:ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)樹脂フィルム(旭硝子製アフレックス、厚み25μm)を太陽電池用シートとした。
・PET2:白色PET(東レ製ルミラーE20、厚み188μm)樹脂フィルムを太陽電池用シートとした。
[封止材]
封止材としては、以下のものを用いた。
・EVA1:ETIMEX製VISTASOLAR(EVA樹脂)(厚み500μm)
・EVA2:三井デュポン製EVAFLEX150を用い、φ25mm二軸押出機にて押出し、40℃のキャストロールで冷却固化することにより厚み500μmのシートを得た。
・PO1:三井化学製タフマーを100質量部に対し、架橋剤としてアルケマ吉冨製ルペロックスTBECを1.0質量部添加した原料を用い、同様に厚み500μmの架橋剤入りシートを得た。
・PO2:住友化学製ボンドファスト7Mを用い、φ25mm二軸押出機にて押出し、40℃のキャストロールで冷却固化することにより厚み500μmのシートを得た。
上記太陽電池用シートと、上記封止材とを、下記表2に示す組み合わせにより、太陽電池用シートと封止材との密着性を下記のようにして評価した。
まず、150mm×150mmに切り出したサンプル2枚に、封止材シートを挟み込んだ。その後、加熱プレス装置を用いて10kgf/cm2以下の圧力に調整し、設定温度150℃、30分間処理した。得られたサンプルを上述のプレッシャークッカー試験機にて温度120℃、湿度100%、2気圧の条件にて48時間処理した。
未処理のサンプルおよび処理済のサンプルについて、15mm巾に切り出し、試験速度50mm/minにて180°剥離強度を測定した結果を下記表2に示す。なお、表2中の評価指標は下記の通りである。
◎:剥離強度が30N以上
○:剥離強度が20N以上
△:剥離強度が10N以上
×:剥離強度が10N未満
実施例2では、基材(太陽電池用シート)が破壊してしまうほど強密着しており、正確な値を得ることができなかった。実施例3,5より、架橋剤(ラジカル発生剤)が入った封止材では強力な接着性を発現した。実施例4,6より、架橋剤(ラジカル発生剤)が入っていない系でも、ETFEおよびPET基材のもの以上の接着性を示した。
10・・・透明基板
12A,12B・・・封止樹脂層
14A,14B・・・太陽電池素子
16・・・太陽電池用シート
18・・・ジャンクションボックス
20・・・配線

Claims (9)

  1. ポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層による単層構成の太陽電池用シート。
  2. ポリフェニレンエーテルを主成分とする樹脂組成物からなるポリフェニレンエーテル系樹脂層を両外層に有する複層構成の太陽電池用シート。
  3. 前記ポリフェニレンエーテル系樹脂層の厚み比率が全体の厚みの50%を超える請求項2に記載の太陽電池用シート。
  4. リン系難燃剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の太陽電池用シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の太陽電池用シートが設けられてなる太陽電池モジュール。
  6. 太陽電池用シートの一方の面が封止樹脂層に接着されてなる請求項5に記載の太陽電池モジュール。
  7. 前記封止樹脂層が、ポリオレフィン系樹脂及びエチレン−酢酸ビニル系樹脂のいずれかを含んでなる請求項6に記載の太陽電池モジュール。
  8. 前記封止樹脂層が、ラジカル発生剤を含んでなる請求項6又は7に記載の太陽電池モジュール。
  9. 太陽電池用シートの一方の面にジャンクションボックスが接着されてなる請求項5〜8のいずれか1項に記載の太陽電池モジュール。
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