JP2011141542A - 静電潜像現像用キャリア、及び静電潜像現像用現像剤 - Google Patents

静電潜像現像用キャリア、及び静電潜像現像用現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】凹凸を有さない磁性粒子上に樹脂層を設けた場合に比べて、磁性粒子からの樹脂層の剥がれの抑制された静電潜像現像用キャリアを提供する。
【解決手段】本実施の形態の静電潜像現像用キャリアは、表面に凹凸を有する磁性粒子と、前記磁性粒子の表面に設けられ、導電性の金属ナノ粒子から構成され、表面に該磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層と、前記導電層上に設けられた樹脂層と、を有している。
【選択図】なし

Description

本発明は、静電潜像現像用キャリア、及び静電潜像現像用現像剤に関する。
特許文献1では、磁性を有する芯物質上に、トナーへの負帯電付与能力を向上させる機能を有する金属による層として、Al,Mg,Zn,及びPbの中の少なくとも1種の金属を含有する金属酸化物層を設けた構成の静電潜像現像用キャリアが提案されている。
特許文献2では、結晶粒の表面に微小の凹凸を有するフェライト粒子をキャリアとして用いることが提案されている。
特許文献3には、磁性酸化物キャリアコア粒子と金属亜鉛との混合物を不活性雰囲気中で加熱し、亜鉛蒸気と磁性酸化物との反応生成物からなる被覆を有する導電性キャリア粒子が提案されている。
特許文献4には、フェライトの表面に導電性の酸化錫の被膜を形成後、フッ素樹脂またはエポキシ樹脂によって被膜を形成することが提案されている。
特許文献5には、凹部を有する酸化鉄粉キャリア芯材の凹部に導電剤が埋め込まれ、且つその外表面がシリコーン樹脂またはフッ素樹脂で被覆された電子写真用キャリアが提案されている。
特許文献6には、磁性体を含有するコア材の表面を導電層で被覆し、さらに導電層の表面を高抵抗層で被覆した現像剤用キャリアが提案されている。
特許文献7には、キャリア芯粒子表面にアミノシランカップリング剤と抵抗制御剤を含有する0.5μm〜1.0μm厚の内部樹脂層を設け、更にその上に抵抗制御剤等を含有しない0.1μm〜0.5μm厚の表面樹脂層を設けた乾式二成分系現像剤用キャリアが提案されている。
特許文献8には、芯材表面に樹脂を被覆してなる静電潜像現像剤用キャリアにおいて、導電性材料が芯材表面に均一に存在し、且つ樹脂被覆層中には導電性材料が存在しない静電潜像現像剤用キャリアが提案されている。
特開平8−6309号公報 特開平10−104884号公報 特開平10−282726号公報 特開昭59−127057号公報 特開平1−133067号公報 特開平4−324457号公報 特開平5−134467号公報 特開平7−140723号公報
本発明の課題は、凹凸を有さない磁性粒子上に樹脂層を設けた場合に比べて、磁性粒子からの樹脂層の剥がれの抑制された静電潜像現像用キャリアを提供することである。
請求項1に係る発明は、表面に凹凸を有する磁性粒子と、前記磁性粒子の表面に設けられ、導電性の金属、ナノ粒子から構成され、表面に該磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層と、前記導電層上に設けられた樹脂層と、を有する静電潜像現像用キャリアである。
請求項2に係る発明は、前記磁性粒子の平均表面粗さRaが0.1μm以上10μm以下であり、且つ凹凸の平均間隔Smが0.1μm以上10μm以下である請求項1に記載の静電潜像現像用キャリアである。
請求項3に係る発明は、前記導電層の平均表面粗さRaが0.1μm以上10μm以下であり、且つ凹凸の平均間隔Smが0.1μm以上10μm以下である請求項1または請求項2に記載の静電潜像現像用キャリアである。
請求項4に係る発明は、前記導電性の金属ナノ粒子として、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であるスズ−亜鉛複合酸化物粉体を含有する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の静電潜像現像用キャリアである。
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーと、を有する静電潜像現像用現像剤である。
請求項1に係る発明によれば、凹凸を有さない磁性粒子上に樹脂層を設けた場合に比べて、磁性粒子からの樹脂層の剥がれの抑制された静電潜像現像用キャリアが提供される、という効果を奏する。
請求項2に係る発明によれば、磁性粒子の平均表面粗さが請求項2で規定される範囲外である場合に比べて、さらに、磁性粒子からの樹脂層の剥がれの抑制された静電潜像現像用キャリアが提供される、という効果を奏する。
請求項3に係る発明によれば、導電層の表面粗さが請求項3で規定される範囲外である場合に比べて、さらに、磁性粒子からの樹脂層の剥がれの抑制された静電潜像現像用キャリアが提供される、という効果を奏する。
請求項4に係る発明によれば、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であるスズ−亜鉛複合酸化物粉体を含まない場合に比べて、仮に導電層に剥がれが生じた場合であっても、形成される画像における色点や色のくすみなどの発生が更に抑制された静電潜像現像用キャリアが提供される、という効果を奏する。
請求項5に係る発明によれば、凹凸を有さない磁性粒子上に樹脂層を設けた構成のキャリアを含む場合に比べて、磁性粒子からの樹脂層の剥がれの抑制された静電潜像現像用キャリアを含む静電潜像現像用現像剤が提供される、という効果を奏する。
本実施の形態の静電潜像現像用キャリア(以下、単に「キャリア」と称す)は、表面に凹凸を有する磁性粒子と、前記磁性粒子の表面に設けられ、導電性の金属、ナノ粒子から構成され、表面に該磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層と、前記導電層上に設けられた樹脂層と、を有している。
ここで、詳細は後述するが、樹脂層は、主に、キャリアにトナーが付着することを抑制する機能を有しており、導電層は、樹脂層による磁性粒子の被覆によって生じるキャリアの絶縁化(導電性の低下)を抑制するために設けられている。従来では、磁性粒子上に、導電剤の分散された樹脂層を設けることで、キャリアの絶縁化の抑制とトナーへの付着防止が図られていたが、この樹脂層が磁性粒子から剥がれる場合があった。この樹脂層の樹脂粒子からの剥がれは、電子写真方式の画像形成装置において該キャリアを含む静電潜像現像用現像剤を用いた場合に、画質劣化につながる場合があった。また、樹脂層中に分散された導電剤は、概して分散性が悪いことから、樹脂層中における導電剤の分散性を考慮してキャリアの設計を行う必要があった。
一方、本実施の形態のキャリアは、表面に凹凸を有する磁性粒子上に、導電性の金属、ナノ粒子から構成され該磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層が設けられ、この導電層上に、樹脂層が設けられている。金属、ナノ粒子は、詳細は後述するが、一つの粒子の大きさがnmオーダーの金属、粒子である。このため、表面に凹凸を有する磁性粒子上に、金属、ナノ粒子から構成される導電層を設けることで、磁性粒子の表面には、金属、ナノ粒子による薄膜が形成された状態となり、導電層の表面には、磁性粒子の凹凸に添った凹凸が形成されることとなる。そして、樹脂層は、この磁性粒子の凹凸に添った凹凸を有する導電層上に設けられていることから、導電層の表面の凹凸によって、樹脂層が導電層を介して磁性粒子側に強固に保持され、所謂アンカー効果により樹脂層の剥がれが抑制されると考えられる。
また、凹凸を有する磁性粒子の表面に、導電性の金属、ナノ粒子から構成された導電層が設けられていることから、樹脂層中に導電剤を分散させなくてもキャリアの絶縁化の抑制が図れる。
また、本実施の形態のキャリアによれば、キャリアの絶縁化の抑制のために、樹脂層中に導電剤を分散させる必要がないことから、樹脂層中への導電剤の分散性を考慮する必要もない。
なお、導電層の表面における「磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸」とは、導電層の表面の凹凸が、磁性粒子の表面の凹凸に添った形状の凹凸となっていることを示している。この「磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸」とは、具体的には、導電層の表面の凹部の平均深さ及び平均径が、磁性粒子の表面の凹部の平均深さ及び平均径の1%以上100%以下の範囲内となっていることを示している(凹部の平均深さ及び平均径の算出方法については後述する)。
このような、「磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層」は、導電層を、導電性の金属ナノ粒子から構成することではじめて実現されると考えられる(詳細後述)。
磁性粒子の表面の凹凸は、金属、ナノ粒子により構成された導電層が、その表面に磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する構成となり、且つ、磁性粒子上に導電層を介して形成される樹脂層の剥がれが抑制される程度の凹凸であればよい。具体的には、磁性粒子の表面粗さRa(算術平均表面粗さ)は、0.1μm以上10μm以下であり、且つ、表面粗さSm(凹凸の平均間隔)が0.1μm以上10μm以下であることが良い。
なお、磁性粒子の表面粗さRa(算術平均表面粗さ)は、1μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよい。また、磁性粒子の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)は、1μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよい。
導電層の表面の凹凸は、上述のように磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸であり、且つ、導電層上に形成される樹脂層の剥がれが抑制される程度の凹凸であればよい。具体的には、導電層の表面粗さRa(算術平均表面粗さ)は、0.1μm以上10μm以下であり、且つ、表面粗さSm(凹凸の平均間隔)が0.1μm以上10μm以下であることが良い。
なお、導電層の表面粗さRa(算術平均表面粗さ)は、0.1μm以上10μm以下であってもよく、1μm以上10μm以下であってもよい。また、導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)は、1μm以上10μm以下であってもよく、2μm以上5μm以下であってもよい。
上記の表面粗さRa(算術平均粗さ)と表面粗さSm(凹凸の平均間隔)の具体的な測定方法は、樹脂層及び導電層の設けられていない磁性粒子、及び導電層の設けられた磁性粒子を各々50個について、超深度カラー3D形状測定顕微鏡(VK−9500、キーエンス社製)を用い、倍率3000倍で表面を観察することで求められる。
Ra(算術平均粗さ)は、観察した表面の3次元形状から、粗さ曲線を求め、該粗さ曲線の測定値と平均線までの偏差の絶対値を合計し、平均することで求める。Ra(算術平均粗さ)を求める際の基準長さは、10μmであり、カットオフ値は、0.08mmである。
Sm(凹凸の平均間隔)は、粗さ曲線を求め、該粗さ曲線が平均線と交差する交点から求めた山谷−周期の間隔の平均値を求める。Sm(凹凸の平均間隔)を求める際の基準長さは、10μmであり、カットオフ値は、0.08mmである。
これら表面粗さRa(算術平均粗さ)と表面粗さSm(凹凸の平均間隔)の測定は、JIS B 0601(1994年度版)に準じて行う。
以下、本実施の形態の静電潜像現像用キャリアを構成する材料や、その製造方法等について詳細に説明する。
−磁性粒子−
磁性粒子の構成材料としては、キャリア用の芯材として用いられる公知の多結晶材料が用いられる。具体的には、鉄、鋼、ニッケル、コバルト等の磁性金属、これらとマンガン、クロム、希土類等との合金、及びフェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。これらの中でも、フェライト、特にマンガン、リチウム、ストロンチウム、マグネシウム等との合金が良い。
さらにフェライトとしては、Mn、Ca、Li、Mg、Cu、Zn、Srなどの金属との混合物が挙げられる。フェライトとして、特に望ましくは、Mn−Mgフェライト、Li-Mnフェライトである。これらは、焼結工程において磁性粒子の強度と結晶成長、表面凹凸のバランスがとりやすいため良い。
磁性粒子は、その電気抵抗が1×10Ω・cm以上1×1010Ω・cm以下であることが良い。この電気抵抗が上記範囲内であると、キャリアへ電荷が注入されてキャリア自体が現像されてしまうことや、際立ったエッジ効果や擬似輪郭等の画質への悪影響が抑制される。
なお、磁性粒子の体積電気抵抗は、以下の方法で測定した値をいう。
中温中湿下(温度20℃、湿度50%RH)で、磁性粒子を2×10-42の断面積を有する容器に厚み約1mm程度になるように充填し、その後、充填した磁性粒子に、金属製部材により、1×104kg/m2の荷重をかける。該金属製部材と、容器の底面電極との間に106V/mの電界が生じる電圧を印加し、その際の電流値から算出した値を体積電気抵抗値とする。
磁性粒子の体積平均粒径としては、10μm以上500μm以下、30μm以上150μm以下、及び30μm以上100μm以下が挙げられる。キャリアにおける磁性粒子の体積平均粒径が上記範囲内であると、トナーの現像量の減少が抑制され、且つ磁気ブラシが荒くなることによる画質劣化が抑制される。なお、この磁性粒子の体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LS Particle Size Analyzer:LS13 320、BECKMAN COULTER社製)を用いて測定された値をいう。得られた粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、小粒径側から体積累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとする。
本実施の形態の磁性粒子は、上述のように、表面に凹凸を有している。
本実施の形態の磁性粒子は、凹凸を有さない状態の磁性粒子を高温(1300℃以上)で焼結することによって、表面に凹凸を有する磁性粒子とされる。具体的には、下記方法によって作製される。
例えば、磁性粒子としてフェライトを用いる場合には、所定量の金属酸化物と酸化鉄(Fe)および添加物として金属化合物を所定量秤量して混合する。次に、得られた混合物を800℃以上1000℃以下の範囲で0.4時間以上4時間以下仮焼し、その後、0.3μm以上3μm以下程度の粒径に粉砕する。得られた粉砕粉は、必要に応じて粘結剤を加えてから、100℃以上200℃以下の加熱雰囲気中で噴霧乾燥して造粒する。
そして、得られた粒子を、1000℃以上1300℃以下の焼結温度で2時間以上24時間以下焼結する。仮焼後に粉砕された微粉末は、造粒後の焼結の際に、焼結が十分に進むにつれてその形態を失い、微粉末同士が溶融して結晶粒を形成する。そして、この焼結フェライト粉を更に熱処理することによって、焼結フェライト粒子を構成する結晶粒の表面に微小な凹凸が形成され、上記凹凸を有する磁性粒子が形成される。
上記の熱処理は、酸素濃度5%以下(または2%以下)の窒素などの不活性ガス雰囲気中において、750℃以上1200℃以下(または800℃以上1150℃以下)で、0.5時間以上3時間以下放置することで行えばよい。または、ロータリーキルン等で不活性ガスを流しながら処理してもよい。この熱処理によって、結晶粒の表面に凹凸が形成される。この凹凸を有する磁性粒子上に、金属ナノ粒子によって、この磁性粒子の凹凸にそった凹凸を有する導電層が形成され、さらにこの導電層上に樹脂層が形成されることで、樹脂層の磁性粒子側への強固な固定化が図れ、樹脂層の磁性粒子側からの剥離が抑制されることとなる。
なお、この磁性粒子の表面の凹凸は、磁性粒子の製造工程における、焼結雰囲気、温度、時間を調整することで容易に調整される。
磁性粒子の表面の凹凸の凹部の平均深さは、導電層を構成する金属、ナノ粒子の平均粒径の2倍以上であることが良く、例えば、走査型電子顕微鏡による観察において、0.01μm以上10μm以下、0.1μm以上10μm以下が挙げられる。
また、磁性粒子の表面の凹凸の凹部の平均径(開口径の平均値)としては、導電層を構成する金属ナノ粒子の平均粒径の2倍以上であることが良く、例えば、走査型電子顕微鏡による観察において、0.01μm以上10μm以下、0.1μm以上10μm以下が挙げられる。この磁性粒子の表面の凹部の平均深さは、走査型電子顕微鏡による観察により、50個の凹部の各々の最大深さを測定した平均値によって求められる。磁性粒子の表面の凹部の平均径としては、走査型電子顕微鏡による観察により、50個の凹部の各々の最大開口径を測定した平均値によって求められる。
−導電層−
本実施の形態の導電層は、導電性の金属ナノ粒子から構成されている。
金属ナノ粒子は、一つの粒子の大きさがnmオーダーの金属粒子であり、この金属粒子としては、金属(合金を含む)または金属酸化物による粒子が挙げられる。
また、導電性を向上させるために、Ga,Al,Tb,Nb等をドープ(添加)したものを金属ナノ粒子として用いても良い。
なお、本実施の形態において「導電性」とは、体積抵抗率が1010Ωcm未満であることを意味している。
本実施の形態において用いられる金属ナノ粒子は、導電性でnmオーダーの金属であればよいが、コスト、安全性の理由から、周期律表の8族、9族、10族、11族、12族、13族、14族および15族から選択される1種以上の単体、合金、または酸化物が挙げられる。具体例としては、Au、Ag、Cu、Pt、Ni、Alの金属や、Au、Ag、Cu、Pt、Ni、Al、Sn、Bi、Zn、Fe、Coの中から選択される二種以上の金属からなる合金や、Ag、Cu、Pt、Ni、Al、Sn、Bi、Zn、Fe、Coの中から選択される金属の酸化物が挙げられる。また、上記金属、合金、または金属酸化物に、Ga,Al,Tb,Nb等をドープ(添加)したものが挙げられる。
また、本実施の形態における金属ナノ粒子としては、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であるスズ−亜鉛複合酸化物粉体も好適に用いられる。
導電層に十分な電気抵抗を付与し得る程度に抵抗率が低いスズ−亜鉛複合酸化物粉体を含有することにより、該スズ−亜鉛複合酸化物粉体は淡色であるため、該キャリアにおいては求められる電気抵抗を保持しつつ且つ淡色である導電層が得られる。導電層が淡色であることから、例え仮に導電層に剥がれが生じた場合であっても、形成される画像における色点や色のくすみなどの発生が更に抑制される。
上記スズ−亜鉛複合酸化物粉体は、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下である。尚、「粉体」とは、固体が粒子になって多数集合している状態であるものをさす。
スズ−亜鉛複合酸化物粉体は通常淡色であるものの抵抗率が高い。このスズ−亜鉛複合酸化物粉体を、導電層に十分な電気抵抗を付与し得る程度に低抵抗化する方法としては、特に限定されるものではないが、減圧下にて熱処理を施す方法によって達成されることを見出した。減圧下にて熱処理を施すことによりスズ−亜鉛複合酸化物粉体は低抵抗化され、淡色で且つ求められる範囲(即ち1×10Ω・cm以下)の体積抵抗率を有するスズ−亜鉛複合酸化物粉体が得られる。
前記スズ−亜鉛複合酸化物粉体の体積抵抗率は、更に1×10Ω・cm以下であることがより好ましく、1×10Ω・cm以下であることが特に好ましい。
尚、「スズ−亜鉛複合酸化物粉体の体積抵抗率」は、三菱化学アナリテック社製の粉体抵抗測定ユニット(MCP−PD51)を用い且つ測定条件を以下の通り設定することにより体積抵抗率が測定される。
(測定条件)
・印加電圧リミッタ:90V
・使用プローブ:四探針プローブ (電極間隔:3.0mm、電極半径:0.7mm、試料半径:10.0mm)
・荷重4.00kN:圧力12.7MPa
本明細書に記載の数値は上記の方法にて測定されたものである。
スズ−亜鉛複合酸化物粉体の具体例としては、特に限定されるものではないが、ZnSnOおよびZnSnO等が挙げられる。
また、前述の通り上記スズ−亜鉛複合酸化物粉体の体積抵抗率を1×10Ω・cm以下の範囲に制御する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば減圧下にて熱処理を施す方法が挙げられる。より具体的には、スズ−亜鉛複合酸化物粉体を減圧下にて450℃以上900℃以下の温度で熱処理を施すことが好ましく、更には450℃以上600℃以下の範囲がより好ましく、更に500℃以上600℃以下であることが特に好ましい。
減圧の範囲としては、真空度が10Pa以上3kPa以下が好ましく、更には180Pa以上3kPa以下がより好ましく、670Pa以上3kPa以下が特に好ましい。
尚、熱処理の際における真空度は、真空熱処理炉のポートにクリスタルイオンゲージを取り付け、それと接続した真空度表示計にて測定される。本明細書に記載の数値は該方法にて測定したものである。
熱処理の時間は0.5時間以上が好ましく、更には2時間以上がより好ましい。
また、スズ−亜鉛複合酸化物粉体は非晶質体であることが好ましい。
スズ−亜鉛複合酸化物粉体が非晶質体であることにより、良好に解砕し得るとの特性を有し、小粒径化することが容易となる。尚、後述するとおりスズ−亜鉛複合酸化物粉体を導電剤としてキャリアにおける導電層に含有させる場合、該導電層は通常0.5μm以上5μm以下の範囲に制御されるため、そこに添加される導電剤の粒径もより小粒径であることが好ましい。
尚、スズ−亜鉛複合酸化物粉体が非晶質体であるか否かは、X線回折測定により確認される。
また、スズ−亜鉛複合酸化物粉体を非晶質体に制御するには、乾燥、熱処理時の温度を結晶化温度以下にする等の方法が挙げられる。
また、スズ−亜鉛複合酸化物粉体は淡色であることが好ましく、具体的には、以下の測定による「色差ΔE」が20以下であることが好ましく、更には10以下であることがより好ましい。尚、下限値は特に限定されず低ければ低いほどよい。
0.1mg/ml濃度のポリエステル樹脂溶液に、0.1mg/ml濃度の導電剤試料の溶液を混合してサンプル溶液を得る。このサンプル溶液を、ミリポア社製フィルター(直径47mm、孔径0.05μm、セルロース)にて吸引ろ過し、トナーバインダー層を形成する(面積10cm)。その後、前記トナーバインダー層を自然乾燥させ、120℃にて熱定着を行って色評価パッチサンプルを形成する。作製した色評価パッチサンプルの測色をx−rite939(x−rite社製)を用いて行い、且つリファレンスとしてミリポア社製の前記フィルターのみの測色を行い、リファレンスと色評価パッチサンプルとの色差ΔEを、下記式(1)より算出する。
ΔE=((ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2 式(1)
(式(1)において、ΔL*=L*reference−L*sample、Δa*=a*reference−a*sample、Δb*=b*reference−b*sampleを表す。)
なお、これらの金属ナノ粒子は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施の形態における金属ナノ粒子の平均粒径は、金属ナノ粒子の焼結を容易にして、金属ナノ粒子により構成される導電層の抵抗を低くする観点から、投影面積における直径で表した場合の平均粒径として2nm以上1000nm以下、または2nm以上500nm以下が挙げられる。金属ナノ粒子の粒径は、カーボン膜を貼り付けたCuメッシュに希釈した金属ナノ粒子を載せて乾燥させ、透過型電子顕微鏡(TEM:例えば日本電子製1200EX)で撮影したネガを粒径測定器(例えばカールツァイス製KS−300)で測定される算術平均で示される。ナノ粒子の結晶系を決めるにはTEMによる電子回折でもよいが、X線回折を用いた方が、高精度であるため良い。金属ナノ粒子の内部の組成分析には、電子線を細く絞れるFE−TEMにEDXを付けて評価することが良い。
ここで金属ナノ粒子の形状は球形に限られるものではなく、三角形、五角形などの多角形、ロッド形状であってもかまわない。その場合、粒径とは、形状に限らずその粒子の最も長い辺を表す。
一般に、金属ナノ粒子が粉体、あるいは溶剤等に分散しているものを固化させたものの導電性(粉体抵抗率)は、そのものの単結晶や薄膜に比べて、10の5乗以上大きいことが知られている。これは、粉体に比べて単結晶や薄膜の結晶粒界が少ないことで、導電性のもとと成っているキャリアの移動を阻害しないためと考えられている。本発明における金属ナノ粒子は、粉体では10の1乗から2乗程度のものが多いが、これを金属ナノ粒子から成るナノインクとして薄膜に形成すると10の4乗から5乗程度導電性が向上することが分かっている。本発明では、金属ナノ粒子をナノインク化して磁性体に薄層付着させ、その後焼結することで、粉体を被覆したものより導電性の向上が期待できる。
本実施の形態における金属ナノ粒子は、一般的に知られた各種の方法で合成される。
合成法として沈殿法で分類すると、(1)1級アルコールを用いるアルコール還元法、(2)2級、3級、2価または3価のアルコールを用いるポリオール還元法、(3)熱分解法、(4)超音波分解法、(5)強力還元剤還元法、(6)水素還元法などを用いることができる。また、反応系で分類すると、(7)高分子存在法、(8)高沸点溶媒法、(9)正常ミセル法、(10)逆ミセル法、などを用いることができる。具体的には、高分子存在下でのポリオール還元、高分子存在下での強力還元剤還元、逆ミセル中での強力還元剤還元、高沸点溶媒中でのアルコールまたは水素還元、などが挙げられる。
本実施の形態における金属ナノ粒子からなる導電層を、磁性粒子の表面に設ける方法としては、湿式合成法が挙げられ、例えば、作製した金属ナノ粒子の溶剤への分散液と、磁性粒子と、を真空脱気型ニーダーに入れて、加熱攪拌した後に、減圧して溶剤を留去することで、金属ナノ粒子による層によって被覆された磁性粒子である被覆粒子を得る。そして、さらに、この被覆粒子を真空焼却炉において100℃以上1300℃以下で0.5時間以上24時間以下焼成処理することによって、金属ナノ粒子を磁性粒子の表面で焼結させて、磁性粒子の表面に導電層を設ける方法が挙げられる。
本実施の形態のキャリアにおける、「磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層」は、導電性の金属ナノ粒子を用い、上記製法で導電層を形成することで、はじめて実現される。
ここで、金属ナノ粒子を用いる場合には、焼結温度が上述のように100℃以上1300℃以下の範囲であるため、従来の金属ナノ粒子以外の金属粒子の焼結温度に比べて焼結温度が低く、キャリアの酸化劣化による磁気力低下を抑制するという効果も得られる。
ここで、上述のように、金属ナノ粒子は、一つの粒子の大きさがnmオーダーの金属粒子である。このため、表面に凹凸を有する磁性粒子上に、金属ナノ粒子から構成される導電層を設けることで、磁性粒子の表面に金属ナノ粒子による薄膜が形成された状態となり、導電層の表面には、磁性粒子の凹凸に添った凹凸が形成されることとなる。そして、樹脂層は、この磁性粒子の凹凸に添った凹凸を有する導電層上に設けられていることから、導電層の表面の凹凸によって、樹脂層が導電層を介して磁性粒子側に強固に保持され、樹脂層の剥がれが抑制されると考えられる。
また、導電層は、金属ナノ粒子から構成されているので、導電層の表面には、上記磁性粒子の凹凸に添った凹凸に加えて、金属ナノ粒子の外径に添った細かい凹凸が形成された状態となっていると考えられる。このため、単に凹凸を有する磁性粒子上に直接樹脂層を設けた場合に比べて、樹脂層の剥がれが効果的に抑制されると考えられる。
また、金属ナノ粒子は、上述のように、焼結によって磁性粒子の表面に強固に固定されるため、金属ナノ粒子の磁性粒子からの剥がれも抑制されると考えられる。このため、金属ナノ粒子から構成された導電層上に形成される樹脂層の磁性粒子側からの剥離が更に抑制されると考えられる。
一方、この金属ナノ粒子を、キャリアにおける導電剤として用いることは、製造上の困難性から従来では考えられていなかった。ましてや、磁性粒子の表面を、金属ナノ粒子で覆うことは、製造上困難であると考えられていた。一方、本発明者らは、導電剤として金属ナノ粒子を用い、表面に凹凸を有する磁性粒子の表面に、金属ナノ粒子を用いて磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層を設けて、さらに樹脂層を設けることで、樹脂層の剥がれが抑制されることを見いだしたものである。
この金属ナノ粒子によって構成された導電層の厚みは、導電層の表面に、磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸が形成される厚みであればよいが、具体的には、0.01μm以上10μm以下、0.1μm以上10μm以下が挙げられる。
この導電層の厚みは、磁性粒子の表面に導電層を設ける上記製造工程において、磁性粒子と共に混合する、金属ナノ粒子の分散液中の金属ナノ粒子の濃度を調整することで容易に調整される。
この導電層の膜厚(μm)は、磁性粒子の比重をρD(g/μm3)、磁性粒子の平均粒径をD(μm)、導電層材料の平均比重をρC(g/μm3)、導電層材料の全被覆量をWC(wt%)としたとき、下式(3)に基づいて求められる。
・式(3)
導電層の膜厚=[磁性粒子上に導電層のみが設けられた状態の粒子1個当たりの導電層材料量/磁性粒子上に導電層のみが設けられた状態の粒子1個当たりの表面積]÷導電層材料の平均比重=[{4/(3π)}・(D/2)3 ・ρD ・WC ]/[4π(D/2)3]÷ρC=(1/6)・(D・ρD ・WC /ρC )
また、本実施の形態のキャリアにおいて、磁性粒子表面の導電層による被覆率は、50%以上であることが良く、導電層を均一に形成できる理由から、100%に近ければ近いほどよい。
導電層の被覆率は、例えば、透過型電子顕微鏡を用い、キャリアの断面を観察することで測定される。なお、この導電層の被覆率の測定には、コールターカウンター法により測定されたキャリアの平均粒径の±10%(μm)に相当する粒子径を有するキャリアの断面を選択的に用いればよい。
−樹脂層−
上記導電層上に設けられる樹脂層に用いられる樹脂(マトリックス樹脂)は、キャリア用の樹脂層材料として用いられているものであれば公知の樹脂が利用され、二種類以上の樹脂をブレンドして用いても良い。樹脂層を構成する樹脂としては、キャリアのトナーへの付着を抑制する機能を有する表面エネルギーの低い樹脂が挙げられる。
この表面エネルギーの低い樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等があげられる。
なお、この樹脂層を構成する樹脂として、トナーに帯電性を付与する機能を有する樹脂を用いてもよい。
トナーに負帯電性を付与する機能を有する樹脂としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、およびウレタン樹脂等があげられ、さらにポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エチルセルロース樹脂等のセルロース系樹脂等があげられる。
また、トナーに正帯電性を付与する機能を有する樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
本実施の形態のキャリアにおいては、磁性粒子上に導電層が形成され、この導電層上に樹脂層が設けられているため、樹脂層に導電性の粒子を添加する必要は無く、また添加しない方が画質劣化の抑制の観点からは良いが、この樹脂層に、さらに、抵抗値調整のために導電性の粒子を添加してもよい。
この導電性の粒子としては金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が挙げられる。
また、樹脂層には、帯電制御を目的として樹脂粒子を含有させても良い。樹脂粒子を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂が利用される。
熱可塑性樹脂の場合、ポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン;ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテルおよびポリビニルケトン;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;スチレン−アクリル酸共重合体;オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコン樹脂またはその変性品;フッ素樹脂、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン;ポリエステル;ポリカーボネート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂;アミノ樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。樹脂粒子の粒径としては0.1μm以上1.5μm以下、が挙げられる。
樹脂層の平均膜厚としては、0.1μm以上20μm以下、0.1μm以上10.0μm以下、または0.1μm以上5.0μm以下が挙げられる。
樹脂層の平均膜厚が上記範囲であると、キャリアのトナーとの付着が抑制され、且つ飽和帯電量に達するまでの時間がかかりすぎることも抑制される。
また、本実施の形態のキャリアにおいて、樹脂層による被覆率は、10%以上であることが良く、帯電の均一性、帯電劣化の抑制、剥がれにくさの理由から、100%に近ければ近いほどよい。
樹脂層の被覆率は、例えば、透過型電子顕微鏡を用い、キャリアの断面を観察することで測定される。なお、この樹脂層の被覆率の測定には、コールターカウンター法により測定されたキャリアの平均粒径の±10%(μm)に相当する粒子径を有するキャリアの断面を選択的に用いればよい。
この樹脂層を、表面に凹凸を有する磁性粒子上に設けられた導電層上に設ける方法としては、公知の方法を用いればよい。具体的には、樹脂層の形成用の溶液(溶剤中に、樹脂層を形成するマトリックス樹脂の他に、必要に応じて用いられる導電性粒子や樹脂粒子等を適宜含む溶液)を用い、例えば、導電層の設けられた磁性粒子を、樹脂層の形成用の溶液中に浸漬する浸漬法、樹脂層の形成用の溶液を導電層の設けられた磁性粒子の表面に噴霧するスプレー法、導電層の設けられた磁性粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で樹脂層の形成用の溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で導電層の設けられた磁性粒子と樹脂層の形成用の溶液を混合し、次いで溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられるが、特に溶液を用いたものに限定されるものではない。例えば、導電層の設けられた磁性粒子と樹脂粉末とを共に加熱混合するパウダーコート法などを適宜に採用してもよい。
また、樹脂層を形成するための樹脂層の形成用の溶液に使用する溶剤としては、マトリックス樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化物などが使用される。
なお、表面に凹凸を有する導電層上に設けられた樹脂層の表面は、凹凸を有していてもよいし、有していなくても良い。
−静電潜像現像用現像剤−
次に本実施の形態の正電荷現像用現像剤(以下、「現像剤」と称す場合がある)について説明する。上記現像剤は、本実施の形態のキャリアと、トナーとを含むものである。
ここで、トナーとキャリアとの混合比(重量比)としては、トナー:キャリア=1:100から20:100程度の範囲、3:100から15:100程度の範囲が挙げられる。
本実施の形態に用いられるトナーは、公知のものが利用され、その製造方法も特に限定されるものではない。トナーの製造方法としては、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤に加え、必要に応じて帯電制御剤等を混練、粉砕、分級する混練粉砕法、混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力または熱エネルギーにて形状を変化させる方法、結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と着色剤、離型剤また必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法、結着樹脂を得るための重合性単量体と着色剤、離型剤また必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法、結着樹脂と着色剤、離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等が使用される。また上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法など、公知の方法を使用される。これらの方法の中でも、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が良く、乳化重合凝集法が特に良い。
トナーは結着樹脂と着色剤とを含み、更に離型剤を含むことが良く、また、必要であれば、シリカや帯電制御剤を用いてもよい。なお、トナーの体積平均粒径としては、2μm以上12μm以下や、3μm以上9μm以下が挙げられる。
なお、トナーの体積平均粒径は、LS−Particle−Size−Analyzer(COULTER社)を用い、体積粒度分布に対し小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径として求めたものである。
上記結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体および共重合体が例示される。特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレンーアクリル酸アルキル共重合体、スチレンーメタクリル酸アルキル共重合体、スチレンーアクリロニトリル共重合体、スチレンーブタジエン共重合体、スチレンー無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン等をあげられる。さらに、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が挙げられる。
離型剤としては低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。
また、トナーには必要に応じて帯電制御剤が添加されてもよい。帯電制御剤としては、公知のものが使用される。帯電制御剤としては、例えば、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が挙げられる。なお、湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用するのが良い。
本実施の形態で用いられるトナーは、磁性材料を内包する磁性トナーであってもよく、磁性材料を含有しない非磁性トナーであってもよい。
トナーには種々の目的で微粒子を外添しても良い。付着力低減や帯電制御のため、体積平均粒径が20nm以上300nm以下の無機酸化物を添加してもよい。これらの無機酸化物粒子としては、シリカ、酸化チタン、メタチタン酸、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、アルミナ、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化クロム、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の粒子が挙げられる。
本実施の形態におけるトナーは、トナー粒子および外添剤をヘンシェルミキサーあるいはVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添してもよい。
―画像形成方法―
本実施の形態における現像剤は、公知の電子写真方式の画像形成方法を用いる画像形成装置で用いられる。
公知の電子写真方式の画像形成方法としては、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電された像保持体の表面を露光して潜像を形成する潜像形成工程と、本実施の形態の現像剤によって、像保持体表面に形成された潜像を現像してトナー像を形成する現像工程と、像保持体表面に形成されたトナー像を記録媒体表面に転写する転写工程と、記録媒体表面に転写されたトナー像を定着する定着工程と、転写工程を終えた後の像保持体表面に付着した付着物を除去する除去工程とを含むものが挙げられる。
本実施の形態の現像剤に含まれるキャリアは、上述のように、凹凸を有する磁性粒子と、磁性粒子の表面に設けられ導電層の金属ナノ粒子から構成され、表面に磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層と、該導電層上に形成された樹脂層と、を有する。このように、本実施の形態のキャリアは、樹脂層の磁性粒子側からの剥がれを抑制された構成とされていることから、電子写真方式の画像形成装置において、本実施の形態の現像剤を用いた場合には、キャリアから剥がれた樹脂層がトナーと共に像保持体側へ供給されて、各種機器を介して記録媒体上に転写されることが抑制される。このため、画質劣化が抑制される。
以下、本発明の実施例を具体的に挙げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「質量部」を意味する。
(実施例1)
―キャリアA1の調整―
<金属ナノ粒子の分散液(導電性酸化物ナノインク)A1の調整>
酸化亜鉛のガリウムドープ品(ハクスイテック社製:パセットGK−40、一次粒子径20nm以上40nm以下、体積平均径2μm以上4μm以下)1質量部、トルエン10質量部、ジルコニアビーズ(ビーズ径φ0.3mm)120質量部を遊星型ボールミルで2時間分散(解砕)処理を行ない、金属ナノ粒子分散液A1(酸化亜鉛のガリウムドープ分散液:ナノインク)を調整した。分散液を光散乱式粒度分析計で測定したところ、金属ナノ粒子としての酸化亜鉛のガリウムドープ粒子の平均粒子径(D50)は、40nmであった。
<磁性粒子A1の調整>
Fe 72部、MnO 18部、LiOH 10部を混合し、湿式ボールミルで10時間混合/粉砕してスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後ロータリーキルンを用いて900℃、8時間の仮焼成を行った。こうして得られた仮焼成物を、湿式ボールミルで7時間粉砕し、平均粒径を10〜100μmとした後、更にスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後電気炉で温度1250℃、10時間の本焼成を行った。解砕工程、分級工程を経て平均粒径50μmのMnフェライト粒子であるフェライト磁性粒子A1を作製した。
作製したフェライト磁性粒子A1の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが2.5μm、表面粗さRaが3.5μmであった。また、作製したフェライト磁性粒子A1の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが5.0μm、凹部の平均径が3.5μmであった。
<キャリアA1の調整>
上記に調整した磁性粒子A1を100質量部と、上記に調整した金属ナノ粒子分散液A1(固形分比:10%)を1.8質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してトルエン(溶剤)を留去することにより、酸化亜鉛のガリウムドープ(金属ナノ粒子)による層が、磁性粒子A1の表面に設けられた粒子を得た。さらに、この酸化亜鉛のガリウムドープ(金属ナノ粒子)による層が、磁性粒子A1の表面に設けられた粒子を、真空焼成炉において700℃で1時間、アルゴン97%/水素3%の還元雰囲気下で焼成処理する事により、酸化亜鉛のガリウムドープ(導電性被膜)がフェライト粒子に焼結(付着)した被覆粒子A1(磁性粒子A1の表面に、金属ナノ粒子(酸化亜鉛のガリウムドープ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A1)を得た。
作製された被覆粒子A1の表面の導電層の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが4.8μm、凹部の平均径が3.3μmであった。このように、導電層の凹部の平均深さ及び平均径は、該被覆粒子A1の磁性粒子A1の凹部の平均深さ及び平均径の1%以上100%以下の範囲内となっており、導電層の表面に、磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸が形成されていることが確認された。
また、作製された被覆粒子A1の表面の導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが2.7μm、表面粗さRaが3.7μmであった。
次に、上記調整した被覆粒子A1(磁性粒子A1の表面に金属ナノ粒子(酸化亜鉛のガリウムドープ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A1)上に、樹脂層を設けた。
具体的には、上記被覆粒子A1(磁性粒子A1の表面に金属ナノ粒子(酸化亜鉛のガリウムドープ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A1)を100質量部と、トルエンを7質量部と、シリコン樹脂を3質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してトルエン(溶剤)を留去することによって、磁性粒子A1の表面に金属ナノ粒子(酸化亜鉛のガリウムドープ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A1の表面に樹脂層の設けられたキャリアA1を得た。得られたキャリアA1における、樹脂層の膜厚(計算値)は、1μmであった。
<現像剤の調整>
本実施例1において調整したキャリアA1を100重量部と、トナー(富士ゼロックス社製、商品名A−Color935用マジェンタトナー,平均粒径8μm)を6質量部と、を混合して現像剤A1を調整した。
<評価>
−キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価−
キャリアにおける樹脂層の剥がれを評価するために、下記評価を行った。
――初期画質の評価――
電子写真複写機(A−Color935、富士ゼロックス(株)製)により、上記調整した現像剤A1を現像剤として用いて、中温中湿(26℃,55%RH)の環境下で画像面積率5%の画像を、A4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製社製、PPC用紙)に連続100000枚形成するテストを実施し、1枚目の印字サンプルについて、目視観察することにより、エッジ効果の有無を評価した。なお、ここでいう「エッジ効果」とは、黒ベタのように画像密度が高いとき、画像のエッジ部分のみトナーが付着し、画像の中心部分の画像密度が低くなってしまう現象を意味している。
評価結果を表1に示した。なお、表1中に示す初期画質の評価基準は以下の通りである。
G1:エッジ効果無く良好未発生。
G2:エッジ効果発生(エッジ効果がわずかに認められる場合)。
G3:エッジ効果顕著(エッジ効果が顕著に観察される場合)。
−―トナーの帯電量の評価―
電子写真複写機(A−Color935、富士ゼロックス(株)製)により、上記調整した現像剤A1を現像剤として用いて、高温高湿(28℃、85%RH)、中温中湿(26℃,55%RH)、及び低温低湿(10℃、15%RH)の各々の環境下で画像面積率5%の画像を、A4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製社製、PPC用紙)に連続形成するプリントテストを実施し、10枚形成した後に、現像装置内におけるトナーの帯電量をブローオフ法にて測定した。測定結果を表1に示した。
また、該電子写真複写機を用いて、上記調整した現像剤A1を現像剤として用い、中温中湿(26℃,55%RH)の環境下で画像面積率5%の画像を、A4用紙(210×297mm、富士ゼロックス社製社製、PPC用紙)に1万枚連続形成するプリントテストを実施し、この1万枚連続形成の後に、現像装置内におけるトナーの帯電量をブローオフ法にて測定した。測定結果を表1に示した。
――スペント性の評価――
スペント性について評価を行った。なお、「スペント性」とは、ここでは、トナー成分のキャリアへの汚染を示している。
このスペント性の評価は、キャリア表面をSEM観察することによって評価した。評価結果を表1に示した。なお、表1中に示す初期画質の評価基準は以下の通りである。
G1:耐スペント性良好(トナー付着が殆ど見られない場合)。
G2:耐スペント性が軽微な程度(トナー付着が見られる場合)。
G3:耐スペント性不良(トナー付着が多く見られる場合)。
―色くすみの評価―
この色くすみ性の評価は、画像濃度を変えたサンプル画像を1万枚プリントテストした後、画像が存在しない白紙部分を目視観察することにより行った。評価結果を表1に示した。なお、表1中に示す初期画質の評価基準は以下の通りである。
G1:色くすみ無し(キャリアコートに基づくと思われる付着物(キャリアコートかす)がない場合)。
G2:色くすみが軽微な程度にキャリアコートかすが存在している場合)。
G3:色くすみが発生(かなりの数のキャリアコートかすが存在する場合)。
(実施例2)
―キャリアA2の調整―
<金属ナノ粒子の分散液(導電性酸化物ナノインク)A2の調整>
酸化亜鉛のガリウムドープ品(ハクスイテック社製:パセットGK−40、一次粒子径20nm以上40nm以下、体積平均径2μm以上4μm以下)を1質量部、メチルメタクリレート樹脂 0.1質量部、トルエン10質量部、ジルコニアビーズ(ビーズ径φ0.3mm)120質量部を、遊星型ボールミルで2時間分散(解砕)処理を行ない、金属ナノ粒子分散液A2(酸化亜鉛のガリウムドープ分散液:ナノインク)を調整した。この分散液A2を光散乱式粒度分析計で測定したところ、金属ナノ粒子としての酸化亜鉛のガリウムドープ粒子の平均粒子径(D50)は50nmであった。
<キャリアA2の調整>
実施例1で調整した磁性粒子A1を100質量部と、上記に調整した金属ナノ粒子分散液A2(固形分比:10%)を1.8質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してトルエン(溶剤)を留去することにより、酸化亜鉛のガリウムドープ(金属ナノ粒子)による層が、磁性粒子A1の表面に設けられた粒子を得た。さらに、この酸化亜鉛のガリウムドープ(金属ナノ粒子)による層が、磁性粒子A1の表面に設けられた粒子を、真空焼成炉において500℃で1時間焼成して、分散液中のメチルメタクリレート樹脂を完全に熱分解除去した後、さらに700℃で1時間、アルゴン97%/水素3%の還元雰囲気下で焼成処理する事により、酸化亜鉛のガリウムドープ(導電性被膜)がフェライト粒子に焼結(付着)した被覆粒子A2(磁性粒子A1の表面に、金属ナノ粒子(酸化亜鉛のガリウムドープ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A2)を得た。
作製された被覆粒子A2の表面の導電層の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが5.0μm、凹部の平均径が3.4μmであった。このように、導電層の凹部の平均深さ及び平均径は、該被覆粒子A2の磁性粒子A1の凹部の平均深さ及び平均径の1%以上100%以下の範囲内となっており、導電層の表面に、磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸が形成されていることが確認された。
また、作製された被覆粒子A2の表面の導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが2.8μm、表面粗さRaが3.9μmであった。
次に、上記調整した被覆粒子A2上に、樹脂層を設けた。
具体的には、上記被覆粒子A2を100質量部と、トルエンを7質量部と、フッ素化メタクリル樹脂を3質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してトルエン(溶剤)を留去することによって、被覆粒子A2の表面に樹脂層の設けられたキャリアA2を得た。得られたキャリアA2における、樹脂層の膜厚(計算値)は、1μmであった。
<現像剤の調整>
本実施例1において調整したキャリアA2を実施例1と同様にして現像剤A2を調整した。
実施例1で行った「キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価」において用いた現像剤A1に換えて、実施例2で調整した現像剤A2を用いた以外は、実施例1と同じ条件でキャリアにおける樹脂層の剥がれの評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例3)
―キャリアA3の調整―
<金属ナノ粒子の分散液(導電性酸化物ナノインク)A3の調整>
酸化スズ(三菱マテリアル社製:S2000、一次粒子径20nm)、1質量部、トルエン10質量部、ジルコニアビーズ(ビーズ径φ0.3mm)120質量部を遊星型ボールミルで2時間分散(解砕)処理を行ない、金属ナノ粒子分散液A3(酸化スズ分散液:ナノインク)を調整した。分散液を光散乱式粒度分析計で測定したところ、金属ナノ粒子としての酸化スズ粒子の平均粒子径(D50)は、20nmであった。
<磁性粒子A3の調整>
Fe 72部、Mn 28部、を混合し、湿式ボールミルで10時間混合/粉砕してスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後ロータリーキルンを用いて900℃、8時間の仮焼成を行った。こうして得られた仮焼成物を、湿式ボールミルで7時間粉砕し、平均粒径を10〜100μmとした後、更にスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後電気炉で温度1150℃、3時間の本焼成を行った。解砕工程、分級工程を経て平均粒径35μmのMnフェライト粒子であるフェライト磁性粒子を作製した。
このフィライト粉末をプロパンガスと酸素ガス中で燃焼炎を発生させた中に投入し、表面が比較的平滑なMnフェライト粒子A3を得た。
作製したMnフェライト磁性粒子A3の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが0.2μm、表面粗さRaが0.2μmであった。また、作製したフェライト磁性粒子A3の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが0.5μm、凹部の平均径が0.3μmであった。
<キャリアA3の調整>
実施例3で調整した磁性粒子A3を実施例2と同様の方法で酸化スズ(導電性被膜)がMnフェライト粒子に焼結(付着)した被覆粒子A3(磁性粒子A3の表面に、金属ナノ粒子(酸化スズ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A3)を得た。
作製された被覆粒子A3の表面の導電層の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが0.3μm、凹部の平均径が0.2μmであった。このように、導電層の凹部の平均深さ及び平均径は、該被覆粒子A3の磁性粒子A3の凹部の平均深さ及び平均径の1%以上100%以下の範囲内となっており、導電層の表面に、磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸が形成されていることが確認された。
また、作製された被覆粒子A3の表面の導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが0.3μm、表面粗さRaが0.4μmであった。
次に、上記調整した被覆粒子A3上に、樹脂層を設けた。
具体的には、上記被覆粒子A3を実施例1と同様にしてキャリアA3を得た。得られたキャリアA3における、樹脂層の膜厚(計算値)は、1μmであった。
<現像剤の調整>
本実施例3において調整したキャリアA3を実施例1と同様にして現像剤A3を調整した。
実施例1で行った「キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価」において用いた現像剤A1に換えて、実施例3で調整した現像剤A3を用いた以外は、実施例1と同じ条件でキャリアにおける樹脂層の剥がれの評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例4)
<磁性粒子A4の調整>
Fe 70部、Mn34 30部、を混合し、湿式ボールミルで10時間混合/粉砕してスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後ロータリーキルンを用いて900℃、8時間の仮焼成を行った。こうして得られた仮焼成物を、湿式ボールミルで7時間粉砕し、平均粒径を10〜100μmとした後、更にスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後電気炉で温度1300℃、3時間の本焼成を行った。解砕工程、分級工程を経て平均粒径55μmのMnフェライト粒子であるフェライト磁性粒子を作製した。
作製したMnフェライト磁性粒子A4の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが8.5μm、表面粗さRaが9.5μmであった。また、作製したフェライト磁性粒子A4の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが10.0μm、凹部の平均径が6.5μmであった。
<キャリアA4の調整>
実施例4で調整した磁性粒子A4を実施例2の10倍量の酸化亜鉛のガリウムドープ(導電性被膜)がMnフェライト粒子に焼結(付着)した被覆粒子A4(磁性粒子A4の表面に、金属ナノ粒子(酸化亜鉛のガリウムドープ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A4)を得た。
作製された被覆粒子A4の表面の導電層の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが0.15μm、凹部の平均径が0.2μmであった。このように、導電層の凹部の平均深さ及び平均径は、該被覆粒子A4の磁性粒子A4の凹部の平均深さ及び平均径の1%以上100%以下の範囲内となっており、導電層の表面に、磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸が形成されていることが確認された。
また、作製された被覆粒子A4の表面の導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが0.3μm、表面粗さRaが0.4μmであった。
次に、上記調整した被覆粒子A4上に、樹脂層を設けた。
具体的には、上記被覆粒子A4を実施例1のシリコン樹脂の代わりにシクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレート樹脂の共重合体に変更した以外は実施例1と同様にしてキャリアA4を得た。得られたキャリアA4における、樹脂層の膜厚(計算値)は、1μmであった。
<現像剤の調整>
本実施例4において調整したキャリアA4を実施例1と同様にして現像剤A4を調整した。
実施例1で行った「キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価」において用いた現像剤A1に換えて、実施例4で調整した現像剤A4を用いた以外は、実施例1と同じ条件でキャリアにおける樹脂層の剥がれの評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例5)
<キャリアA5の調整>
実施例3で調整した磁性粒子A3を実施例3の5倍量の酸化スズ(導電性被膜)がMnフェライト粒子に焼結(付着)した被覆粒子A5(磁性粒子A3の表面に、金属ナノ粒子(酸化スズ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A5)を得た。
作製された被覆粒子A5の表面の導電層の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが0.05μm、凹部の平均径が0.05μmであった。このように、導電層の凹部の平均深さ及び平均径は、該被覆粒子A5の磁性粒子A3の凹部の平均深さ及び平均径の1%以上100%以下の範囲内となっており、導電層の表面に、磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸が形成されていることが確認された。
また、作製された被覆粒子A5の表面の導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが0.2μm、表面粗さRaが0.3μmであった。
次に、上記調整した被覆粒子A5上に、樹脂層を設けた。
具体的には、上記被覆粒子A5を実施例1と同様にしてキャリアA5を得た。得られたキャリアA5における、樹脂層の膜厚(計算値)は、0.8μmであった。
<現像剤の調整>
本実施例5において調整したキャリアA5を実施例1と同様にして現像剤A5を調整した。
実施例1で行った「キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価」において用いた現像剤A1に換えて、実施例5で調整した現像剤A5を用いた以外は、実施例1と同じ条件でキャリアにおける樹脂層の剥がれの評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例6)
―キャリアA6の調整―
<金属ナノ粒子の分散液(導電性酸化物ナノインク)A6の調整>
スズ酸亜鉛(株式会社デーケーファイル社製:Flamtard S(ZnSnO、一次粒子径20nm以上40nm以下、体積平均径2.5μm)1質量部、メチルメタクリレート樹脂0.1質量部、エタノール10質量部、ジルコニアビーズ(ビーズ径φ0.2mm)120質量部を、遊星型ボールミルで2時間分散(解砕)処理を行ない、金属ナノ粒子分散液A6(スズ酸亜鉛の分散液:ナノインク)を調整した。この分散液A6を光散乱式粒度分析計で測定したところ、金属ナノ粒子としてのスズ酸化亜鉛粒子の平均粒子径(D50)は150nmであった。
<キャリアA6の調整>
実施例1で調整した磁性粒子A1を100質量部と、上記に調整した金属ナノ粒子分散液A6(固形分比:10%)を2.0質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してエタノール(溶剤)を留去することにより、スズ酸亜鉛(金属ナノ粒子)による層が、磁性粒子A1の表面に設けられた粒子を得た。さらに、このスズ酸化亜鉛(金属ナノ粒子)による層が、磁性粒子A1の表面に設けられた粒子を、真空焼成炉において600℃で1時間焼成して、分散液中のメチルメタクリレート樹脂を完全に熱分解除去した後、さらに500℃で1時間、減圧(1kPa)の雰囲気下で焼成処理する事により、スズ酸化亜鉛(導電性被膜)がフェライト粒子に焼結(付着)した被覆粒子A6(磁性粒子A1の表面に、金属ナノ粒子(スズ酸化亜鉛)から構成された導電層の形成された被覆粒子A6)を得た。
作製された被覆粒子A6の表面の導電層の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが5.0μm、凹部の平均径が3.5μmであった。このように、導電層の凹部の平均深さ及び平均径は、該被覆粒子A6の磁性粒子A1の凹部の平均深さ及び平均径の1%以上100%以下の範囲内となっており、導電層の表面に、磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸が形成されていることが確認された。
また、作製された被覆粒子A6の表面の導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが3.2μm、表面粗さRaが4.0μmであった。
次に、上記調整した被覆粒子A6上に、樹脂層を設けた。
具体的には、上記被覆粒子A6を100質量部と、トルエンを7質量部と、フッ素化メタクリル樹脂を3質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してトルエン(溶剤)を留去することによって、被覆粒子A6の表面に樹脂層の設けられたキャリアA6を得た。得られたキャリアA6における、樹脂層の膜厚(計算値)は、1μmであった。
<現像剤の調整>
本実施例1において調整したキャリアA6を実施例1と同様にして現像剤A6を調整した。
実施例1で行った「キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価」において用いた現像剤A1に換えて、実施例6で調整した現像剤A6を用いた以外は、実施例1と同じ条件でキャリアにおける樹脂層の剥がれの評価を行った。評価結果を表1に示した。
(実施例7)
―キャリアA7の調整―
<金属ナノ粒子の分散液(導電性酸化物ナノインク)A7の調整>
六水酸化スズ亜鉛(株式会社デーケーファイル社製:Flamtard H(ZnSn(OH))、一次粒子径20nm以上40nm以下、体積平均径2.5μm)1質量部、メチルメタクリレート樹脂0.1質量部、エタノール10質量部、ジルコニアビーズ(ビーズ径φ0.2mm)120質量部を、遊星型ボールミルで2時間分散(解砕)処理を行ない、金属ナノ粒子分散液A7(六水酸化スズ亜鉛の分散液:ナノインク)を調整した。この分散液A7を光散乱式粒度分析計で測定したところ、金属ナノ粒子としての六水酸化スズ亜鉛粒子の平均粒子径(D50)は100nmであった。
<キャリアA7の調整>
実施例1で調整した磁性粒子A1を100質量部と、上記に調整した金属ナノ粒子分散液A7(固形分比:10%)を2.0質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してエタノール(溶剤)を留去することにより、六水酸化スズ亜鉛(金属ナノ粒子)による層が、磁性粒子A1の表面に設けられた粒子を得た。さらに、この六水酸化スズ亜鉛(金属ナノ粒子)による層が、磁性粒子A1の表面に設けられた粒子を、真空焼成炉において300℃で1時間(この処理で六水酸化スズ亜鉛がスズ酸化亜鉛へと変化)、600℃で1時間焼成して、分散液中のメチルメタクリレート樹脂を完全に熱分解除去した後、さらに500℃で1時間、減圧(1kPa)の雰囲気下で焼成処理する事により、スズ酸化亜鉛(導電性被膜)がフェライト粒子に焼結(付着)した被覆粒子A7(磁性粒子A1の表面に、金属ナノ粒子(スズ酸化亜鉛)から構成された導電層の形成された被覆粒子A7)を得た。
作製された被覆粒子A7の表面の導電層の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが4.8μm、凹部の平均径が3.5μmであった。このように、導電層の凹部の平均深さ及び平均径は、該被覆粒子A7の磁性粒子A1の凹部の平均深さ及び平均径の1%以上100%以下の範囲内となっており、導電層の表面に、磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸が形成されていることが確認された。
また、作製された被覆粒子A7の表面の導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが3.5μm、表面粗さRaが4.1μmであった。
次に、上記調整した被覆粒子A7上に、樹脂層を設けた。
具体的には、上記被覆粒子A7を100質量部と、トルエンを7質量部と、メチルメタクリレート樹脂を3質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してトルエン(溶剤)を留去することによって、被覆粒子A7の表面に樹脂層の設けられたキャリアA7を得た。得られたキャリアA7における、樹脂層の膜厚(計算値)は、1μmであった。
<現像剤の調整>
本実施例1において調整したキャリアA7を実施例1と同様にして現像剤A7を調整した。
実施例1で行った「キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価」において用いた現像剤A1に換えて、実施例7で調整した現像剤A7を用いた以外は、実施例1と同じ条件でキャリアにおける樹脂層の剥がれの評価を行った。評価結果を表1に示した。
(比較例1)
<磁性粒子A5の調整>
Fe 72部、Mn 28部、を混合し、湿式ボールミルで10時間混合/粉砕してスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後ロータリーキルンを用いて900℃、8時間の仮焼成を行った。こうして得られた仮焼成物を、湿式ボールミルで7時間粉砕し、平均粒径を10〜100μmとした後、更にスプレードライヤーにより造粒、乾燥した後電気炉で温度1000℃、3時間の本焼成を行った。解砕工程、分級工程を経て平均粒径36μmのMnフェライト粒子であるフェライト磁性粒子を作製した。
このフィライト磁性粒子をプロパンガスと酸素ガス中で燃焼炎を発生させた中に投入し、表面が平滑なMnフェライト磁性粒子A5を得た。
作製したMnフェライト磁性粒子A5の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが0.01μm、凹部の平均径が0.01μmであった。また、表面粗さSmを上記の方法で測定したところ、0.02μmであった。このため、Mnフェライト磁性粒子A5の表面には凹凸が形成されていなかった。
次に、この表面が平滑なMnフェライト磁性粒子A5を100質量部と、上記実施例1で調整した金属ナノ粒子分散液A1(固形分比:10%)を1.8質量部と、を真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において10分撹拌した後、減圧してトルエン(溶剤)を留去することにより、酸化亜鉛のガリウムドープ(金属ナノ粒子)による層が、Mnフェライト磁性粒子A5の表面に設けられた粒子を得た。さらに、この酸化亜鉛のガリウムドープ(金属ナノ粒子)による層が、Mnフェライト磁性粒子A5の表面に設けられた粒子を、真空焼成炉において700℃で1時間、アルゴン97%/水素3%の還元雰囲気下で焼成処理する事により、酸化亜鉛のガリウムドープ(導電性被膜)がMnフェライト磁性粒子A5に焼結(付着)した被覆粒子A8(表面が平滑なMnフェライト磁性粒子A5の表面に、金属ナノ粒子(酸化亜鉛のガリウムドープ)から構成された導電層の形成された被覆粒子A8)を得た。
この被覆粒子A8の表面の導電層の凹部の平均深さ及び平均径は、凹部の平均深さが0.01μm、凹部の平均径が0.01μmであった。このため、導電層の表面にも凹凸がほとんど形成されておらず、平滑となっていることが確認された。
また、作製された被覆粒子A8の表面の導電層の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが0.02μm、表面粗さRaが0.01μmであった。
次に、上記調整した被覆粒子A8上に、実施例4と同様にして樹脂層を設けて、キャリアA8を得た。得られたキャリアA8における、樹脂層の膜厚(計算値)は、1μmであった。
<現像剤の調整>
本比較例1において調整したキャリアA8を実施例1と同様にして現像剤A8を調整した。
実施例1で行った「キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価」において用いた現像剤A1に換えて、比較例1で調整した現像剤A8を用いた以外は、実施例1と同じ条件でキャリアにおける樹脂層の剥がれの評価を行った。評価結果を表1に示した。
(比較例2)
<キャリアA9の調整>
実施例1で調整したキャリアA1の作製において、磁性粒子A1の表面に導電層を設けなかった(酸化亜鉛のガリウムドープによる金属ナノ粒子からなる導電層を設けなかった)以外は、実施例1と同じ条件を用いて、キャリアA9(磁性粒子A1上の直接樹脂層の設けられたキャリアA9)を得た。
作製された、導電層による被覆がなされておらず、磁性粒子A1上に直接樹脂層の設けられたキャリアA9の表面の凹部の平均深さ及び平均径について、記述の方法で測定したところ、凹部の平均深さが5.0μm、凹部の平均径が3.5μmであった。
また、作製されたキャリアA9の表面の表面粗さSm(凹凸の平均間隔)、表面粗さRa(算術平均粗さ)を既述の方法で測定したところ、表面粗さSmが2.5μm、表面粗さRaが3.5μmであった。また、得られたキャリアA9における、樹脂層の膜厚(計算値)は、1μmであった。
<現像剤の調整>
本比較例2において調整したキャリアA9を用いて、実施例1と同様にして現像剤A9を調整した。
実施例1で行った「キャリアにおける樹脂層の剥がれの評価」において用いた現像剤A1に換えて、比較例2で調整した現像剤A9を用いた以外は、実施例1と同じ条件でキャリアにおける樹脂層の剥がれの評価を行った。評価結果を表1に示した。
Figure 2011141542
上記表1に示すように、実施例1〜実施例7では、初期画質、10枚プリント後のトナー帯電量、1万枚プリント後のトナー帯電量、スペント性、及び色くすみの全ての評価において、比較例1〜比較例2より良好な結果が得られた。
これは、実施例で用いたキャリアが、比較例で用いたキャリアに比べて、樹脂層の剥がれが抑制されていたためと考えられる。従って実施例で用いたキャリアは、比較例で用いたキャリアに比べて、樹脂層の剥がれが抑制される、という効果が得られたといえる。

Claims (5)

  1. 表面に凹凸を有する磁性粒子と、
    前記磁性粒子の表面に設けられ、導電性の金属ナノ粒子から構成され、表面に該磁性粒子の表面の凹凸に添った凹凸を有する導電層と、
    前記導電層上に設けられた樹脂層と、
    を有する静電潜像現像用キャリア。
  2. 前記磁性粒子の表面粗さRaが0.1μm以上10μm以下であり、且つ表面粗さSmが0.1μm以上10μm以下である請求項1に記載の静電潜像現像用キャリア。
  3. 前記導電層の表面粗さRaが0.1μm以上10μm以下であり、且つ表面粗さSmが0.1μm以上10μm以下である請求項1または請求項2に記載の静電潜像現像用キャリア。
  4. 前記導電性の金属ナノ粒子として、体積抵抗率が1×10Ω・cm以下であるスズ−亜鉛複合酸化物粉体を含有する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の静電潜像現像用キャリア。
  5. 請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の静電潜像現像用キャリアと、トナーと、を有する静電潜像現像用現像剤。
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