JP2011140684A - 溶鉄の脱硫精錬方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】設備費や処理コストの高いLF装置や真空脱ガス装置を使わず、また、環境に悪影響を与えず、より簡便に、高効率でかつ安定して極低硫黄濃度まで脱硫処理する。
【解決手段】精錬容器内の溶鉄を脱硫精錬する方法において、プラズマガスをプラズマトーチに導入し、プラズマ気流中の酸素濃度が1体積%以上100体積%以下となるようにプラズマアークを溶鉄表面に直接照射することを特徴とする溶鉄の脱硫精錬方法。また、前記プラズマガスとしてアルゴンまたは窒素を用い、プラズマトーチから溶鉄表面までのプラズマ気流中で周囲の酸素を含むガスを巻き込ませることを特徴とする溶鉄の脱硫精錬方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、極低硫鋼を溶製するための溶鉄の脱硫精錬方法に関する。
一般に、炭素鋼で極低硫鋼(溶鋼の硫黄濃度で[S]≦20ppm)を製造するには、まず、溶銑の段階で、ソーダ灰、金属Mg系又は石灰系の脱硫剤を用い、強力に予備脱硫を行ない、溶銑の硫黄濃度を20〜50ppm程度に低下させる。そして、溶銑に対し、転炉等で脱炭精錬を行なった後、得られた溶鋼に対し、更に、二次精錬を行って脱硫し、最終目標の硫黄濃度にする。
二次精錬で行う脱硫には、下記の方法が利用される。
(1)取鍋、蓋、及び、加熱用電極からなる、所謂「LF装置」を用い、電気エネルギーによる昇熱とスラグ−メタル精錬とを行い脱硫する方法。
(2)取鍋に保持した溶鋼に、ガス吹き込みノズルを介して、脱硫剤を、大気下で吹き込んで脱硫する方法。
(3)取鍋に保持した溶鋼を、RH等の真空脱ガス槽内で環流させ、上方より脱硫剤を吹き付けて脱硫する方法。
(4)取鍋に保持した溶鋼を、VOD真空脱ガス槽内にセットし、強撹拌して脱硫する方法。
また、LF装置やVOD真空脱ガス槽を用いない方法としては、予め、溶銑の予備処理段階で、硫黄濃度を10〜35ppmに低下させ、その後、プリメルトフラックスの利用と溶鋼中Al濃度の制御により、2ppm以下の硫黄濃度を安定して実現する方法が提案されている(特許文献1、参照)。
さらに、簡便に極低硫鋼を製造する方法として、フリーボード内の酸素濃度を低く制御しつつ、CaO系フラックスとAlを添加する方法が提案されている(特許文献2、参照)。
また、特許文献3には、平衡酸素分圧を0.2〜0.8に制御したガスをスラグに吹き付けることで、溶鉄からスラグへの脱硫に併せて、スラグからの気化脱硫を進行させる方法が提案されている。
なお、極低硫鋼を製造する場合には、スラグの脱硫能を高めるために、蛍石などのフッ素を含む脱硫剤を使用することが一般的に行われている。
特開平9−217110号公報 特開2004−107716号公報 特開平1−165709号公報
LF装置を用いる方法は、電力エネルギーで精錬用フラックスを溶かし、溶鋼浴面を覆い、保温に有効な技術である。また、溶融し難い精錬用フラックスでも利用でき、スラグの硫黄保持能力(サルファイドキャパシティ)を高めることができるので、脱硫反応効率が高いという利点がある。
しかしながら、LF装置を用いる場合は、多大な電力エネルギーを使うために、製造コストが高くなるばかりでなく、溶製時間が長く、生産性も低いという問題点があった。
一方、ガス吹き込みノズルを介して脱硫剤を大気下で吹き込む方法では、脱硫が還元反応で進行するため、大気中の酸素により反応が阻害され、脱硫効率が不十分という課題がある。
また、この方法では、還元脱硫反応を阻害する酸素を吹き付けることなく加熱する手段がなく、多量に脱硫剤を使用する場合には、溶鋼温度を保持することが困難であり、脱硫剤を十分に溶かすことも難しいため、溶融促進剤であるフッ素源を脱硫剤に混合する必要があった。
RH等の真空脱ガス槽内で環流させ、上方より脱硫剤を吹き付ける方法では、脱硫剤の滞留時間が短いため、やはり、脱硫効率が不十分であった。この方法も、同様に、酸素を吹き付ける以外に加熱する手段がなく、保温しつつ反応効率の高い脱硫精錬を行うことが困難であった。
さらに、VOD真空脱ガス槽を用いる方法は、撹拌力が大きいので、脱硫反応効率は大きいが、溶製時間が長く、処理コストが高いという問題があった。また、溶鋼の強撹拌により、取鍋の内張り耐火物の溶損が著しく大きくなるという問題も生じていた。この方法でも、やはり、酸素を吹き付ける以外に加熱する手段がなく、保温しつつ反応効率の高い脱硫精錬を行うことが困難であった。
特許文献1に記載の方法では、溶銑予備処理と二次精錬の二段精錬が必須となるため、溶銑予備処理に要する時間と費用が莫大になる。また、目標達成が不十分の時には、RH真空脱ガス槽を用いたさらなる脱硫処理、つまり、二次精錬だけで2段階の脱硫処理が必要とされるという課題があった。
また、特許文献2に記載の方法では、Alを使用するため、材質上Al濃度規制がある鋼種やアルミナ系介在物の存在が許されない鋼種には適用できないという課題があった。
特許文献3に記載の方法では、平衡酸素分圧を0.2〜0.8に制御したガスをスラグに吹き付けて、スラグから気化脱硫させているため、気化脱硫の進行が遅く、このため、溶鉄からスラグへの脱硫も遅いという課題があった。また、脱硫と同時に、脱珪や脱りん精錬も行うため、脱硫能力に限界があり、硫黄濃度30ppm未満の低硫鋼には適用できないという課題があった。
さらに、極低硫鋼製造時には、通常、フッ素を含有するフラックスを用いて脱硫処理が行なわれているため、脱硫処理後のスラグにもフッ素が残留する。そのため、フッ素を含有するスラグは、フッ素が環境に及ぼす影響を考慮して、有効に利用されておらず、スラグの有効利用の観点から、鋼の精錬においても、フッ素源の使用を抑えることが要請されている。また、仮にフッ素を含有しないフラックスでの脱硫が可能としても、生成したスラグを精錬容器から排出する際に溶鉄の一部も不可避的に排出され歩留ロスが生じるとともに、排出したスラグを廃棄、リサイクル、資源化するための処理コストがかかる、という課題もあった。
本発明は、設備費や処理コストの高いLF装置や真空脱ガス装置を使うことなく、また、脱硫フラックスを一切用いることなく、より簡便に、高効率でかつ安定して、20ppm以下の極低硫黄濃度まで脱硫処理する精錬方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1) 精錬容器内の溶鉄を脱硫精錬する方法において、プラズマガスをプラズマトーチに導入し、プラズマ気流中の酸素濃度が1体積%以上100体積%以下となるようにプラズマアークを溶鉄表面に直接照射することを特徴とする溶鉄の脱硫精錬方法。
(2) 前記プラズマガスとしてアルゴンまたは窒素を用い、プラズマトーチから溶鉄表面までのプラズマ気流中で周囲の酸素を含むガスを巻き込ませることを特徴とする請求項1に記載の溶鉄の脱硫精錬方法。
本発明によれば、設備費や処理コストの高いLF装置や真空脱ガス装置を使うことなく、また、脱硫フラックスを一切用いることなく、より簡便に、高効率でかつ安定して、極低硫黄濃度まで脱硫処理を行うことが可能である。
通常の脱硫処理においては、CaO源を添加し、下記(A)式で還元脱硫反応を進行させる。
CaO+→CaS+ ・・・(A)
フラックスの溶融を促進して反応性を高めるため、また、スラグの脱硫能を高めるため、(a)アルミナ源やフッ素源をCaOに混合したり、(b)還元反応を阻害する溶鉄中の酸素活量を下げるために、金属Al等を添加して脱酸したり、(c)雰囲気の酸素分圧を下げて還元反応を促進するために減圧化、不活性ガス化したり、という工夫がなされている。
溶銑段階では、金属Mgを添加して脱酸しつつ、MgSの形で脱硫する場合もあるが、MgSは不安定であり、最終的に、SはCaSの形でスラグ中に固定される。
いずれにしても、平衡硫黄濃度は、スラグの硫黄保持能力(サルファイドキャパシティ)と溶鉄中の酸素活量に依存し、フラックス(スラグ)のみによる極低硫黄濃度までの脱硫能力には限界がある。
また、フラックス(スラグ)のみによる脱硫方法以外では、特許文献3に記載の通り、硫黄を含むスラグに酸素を含有するガスを吹き付け、下記(B)式で示す酸化反応により気化脱硫を進行させることが知られている。
CaS+3/2O→CaO+SO↑ ・・・(B)
しかし、上述の通り、この方法では、上記(B)式で示す気化脱硫の進行が遅く、このため、溶鉄からスラグへの脱硫も遅いという課題がある。
そこで、本発明者らは、スラグを用いずに溶鉄中のS(以下と記す)を直接気化させる脱硫方法について鋭意検討した。その結果、本発明者らは、酸素を、数千〜1万℃という極めて高温のプラズマアークのプラズマガスとして使用すると、(i)下記(C)式に示すように、酸素が解離してと反応し、気化脱硫が顕著に進行すること、及び、(ii)低濃度の酸素ガスでも気化脱硫が大幅に進行すること、を知見した。
+2O→SO↑ ・・・(C)
本発明は、この、プラズマ気流中の酸素による、メタルからの直接酸化気化脱硫反応を活用したものである。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明する。
本発明では、脱硫処理を施していない溶鉄、又は、ある程度、脱硫処理を施した溶鉄(溶銑と溶鋼を総称して「溶鉄」という)を対象として、精錬容器内に収容した後、プラズマトーチを上部から挿入し、溶鉄表面にプラズマアークを直接照射することにより、脱硫処理を施す。
精錬容器は、トーピードカー、転炉、及び、取鍋のいずれでもよいが、本発明は、転炉のような、大きなフリーボードを必須としないので、トーピードカーや取鍋でも実施できる点が特徴である。
取鍋は、浸漬方式の円筒状の蓋(浸漬管)を溶湯表面に浸漬できる、浸漬管内部の溶湯表面を、脱硫に有利な酸化性ガス雰囲気にし易い利点がある。
なお、精錬容器は、プラズマトーチからプラズマアークを照射するので、構造的にも電源容量的にも取鍋が望ましい。
本発明者らは、プラズマアークを照射する際に、高温の酸素を含むプラズマガスを溶鉄表面に照射すると、上記(C)式の反応により、の気化脱硫反応が顕著に進行することを、実験的に知見した。また、本発明者らは、酸素濃度を変更して行った脱硫実験から、プラズマ気流中の酸素濃度が1体積%以上であれば、気化脱硫速度が、大幅に向上することも知見した。
さらに、気化脱硫反応により、が気化してSO2ガスとして排気ダクトから系外に排出されるため、処理後にスラグは全く生成しないというメリットも享受できる。
ちなみに、プラズマ気流中の酸素濃度が高いほど、脱硫速度も促進されるため、プラズマ気流中の酸素濃度の上限は100体積%とする。
プラズマ気流中へ酸素濃度の調整方法としては、精錬容器内が空気あるいは酸素雰囲気であれば、プラズマトーチに導入するプラズマガスは、空気、酸素、アルゴン、または窒素のいずれでも良く、所望の酸素濃度となる様に、設定することで実施できる。一方、精錬容器内がアルゴン雰囲気の場合、プラズマトーチに導入するプラズマガスは、酸素源を供給する観点から、空気または酸素を用いる必要があり、所望の酸素濃度となる様に、設定することで実施できる。
この様に、精錬容器内のガス雰囲気に応じて、プラズマトーチに導入するプラズマガスを、適宜、設定することで、プラズマ気流中の酸素濃度を所望の値に調整することができる。
ちなみに、プラズマトーチへ酸素を導入する場合、プラズマガス中の酸素濃度が高いほど脱硫速度が促進できるものの、トーチ電極の酸化溶損が進行しやすく電極寿命が低下するため、プラズマトーチへ導入する酸素濃度は0体積%以上5体積%以下とすることが好適である。
また、電極の耐久性の観点から、プラズマトーチ以外から酸素を導入することも可能であり、例えば、二重ノズル等を用いて、プラズマガス噴出ノズルの周囲のノズルから酸素を含むガスを導入し、プラズマガスがプラズマトーチを出た直後に、酸素をプラズマ気流中へ巻き込ませる方法や、精錬容器内を大気雰囲気にしたり、精錬容器内に酸素含有ガスを導入したりして、プラズマ気流中に周囲の酸素を含むガスを巻き込ませる方法を用いても良い。
なお、照射するプラズマ気流中の酸素以外の非酸化性ガスは、高炭素濃度の溶鉄を処理する場合には、後の脱炭精錬工程で、脱窒が進行するので、安価な窒素ガスが望ましいが、低炭素溶鉄を処理する場合には、吸窒を避けるため、プラズマ化効率が高いアルゴンガスが望ましい。
ちなみに、本発明では、上述の通り、プラズマ気流中に酸素を含むプラズマアークを直接溶鉄表面に照射することにより、溶鉄中のSの気化脱硫反応を行うものである。従って、高炉や転炉などの前工程から脱硫精錬容器に溶鉄を移し替えた際に、スラグが多少残留する場合には、プラズマ気流がスラグ厚みを突き抜けて溶鉄表面に到達するように、プラズマアークを照射する必要がある。この様に、プラズマ気流がスラグ厚みを突き抜けて溶鉄表面に到達する場合も、プラズマアークを溶鉄表面に直接照射する形態であるため、本発明の範囲内である。
プラズマ気流がスラグ厚みを突き抜けて溶鉄まで到達しているか否かは、ダストの発生により把握することができ、ダストの発生が起こらない場合は、プラズマアークが溶鉄表面まで到達していないため、プラズマガス流量を増やしたり、プラズマトーチ高さを下げることで、溶鉄表面まで到達するように調整できる。また、ダストの発生有無を確認できない場合は、あらかじめ処理ステーション外での予備試験により、スラグ厚みとプラズマガスのガス流量およびプラズマトーチの高さとの経験式を作成し、処理前にスラグ厚みを測定してプラズマガス流量やトーチ高さを決定することも可能である。
プラズマガス流量やトーチ高さは、電源容量や溶鉄量、プラズマガス種、目標脱硫量等に応じて適宜選択可能であるが、プラズマガス流量は通常溶鉄1トンあたり、30〜500(Nl/時)、トーチ高さは100〜1000(mm)程度が例示できる。
また、脱硫処理中は、プラズマ気流により、溶鉄は攪拌されるが、底吹きガス等による攪拌により、のプラズマ照射面への移動をより促進できるため望ましい。例えば、取鍋を精錬容器として使用する場合、溶鉄表面へのの移動が脱硫反応の律速段階とならないように攪拌し、かつ、溶鉄が取鍋外部へ飛散しないようにするためには、溶鉄1トンあたり、0.1〜0.5(Nl/分)の吹込みガス量が好ましい。
本発明では、プラズマ気流が高温であることで、酸素が解離することを活用しているので、プラズマ方式は、移行式でも非移行式でもよい。精錬容器の底部に電極を必要とせず、設備が簡略化できる点で、非移行式が好適である。
(実施例1)
高炉から出銑した溶銑を溶銑取鍋(350トン)に装入し、脱硫精錬処理を行った。脱硫精錬前の溶銑中S濃度は、0.021〜0.023質量%であった。
溶銑取鍋直上に設置したプラズマトーチを挿入して、溶銑面から上方の200mmもしくは500mmの位置にプラズマトーチ下端部をセットし、酸素ガス単独、酸素濃度の異なる酸素とアルゴンの混合ガス、アルゴンガス単独、窒素ガス単独、をそれぞれ100Nm3/時の供給速度で5〜15分間吹き付けて、プラズマアークの溶銑への照射処理を行った。プラズマ装置は電源容量2MWの直流非移行型とした。また、プラズマアークを照射せずに、酸素ガスを15分間吹き付けた場合(比較例9)も、併せて実施した。
いずれの脱硫処理においても、溶銑面にわずかにスラグが残留していたため、プラズマアーク照射時に、ダストの発生を観察し、プラズマアークが溶銑表面に直接照射されていることを確認した。
各実施例の結果を、脱硫処理条件とともに表1に示す。大気雰囲気下でプラズマアークを照射しているため、プラズマ気流中に空気が巻き込まれ、溶鉄面直上からガスをポンプで吸引採取して分析したガス中酸素濃度は、プラズマトーチに導入したプラズマガス組成とは異なっている。なお、表1に示す各平均値は各条件での15〜20ch(チャージ)の脱硫処理での値を平均したものである。いずれも実施例では、安定して処理後のS濃度0.002質量%未満となっていることが確認された。
Figure 2011140684
(実施例2)
転炉から出鋼した溶鋼を溶鋼取鍋(350トン)に装入し、浸漬管を有するCAS装置(溶鋼取鍋内の溶鋼上部から浸漬管を挿入して、取鍋底に設置したポーラスプラグからArガスを吹込むことで浸漬管内部をArガス雰囲気とした上で合金添加等の二次精錬を行う装置)を用いて脱硫精錬処理を行った。脱硫精錬前の溶鋼中S濃度は、0.005〜0.020質量%であった。
浸漬管内の雰囲気をアルゴンガスで置換した後、CAS装置に設置したプラズマトーチを取鍋上方から挿入して、溶鋼面から上方の200mmの位置にプラズマトーチ下端部をセットし、酸素ガス単独、酸素濃度の異なる酸素とアルゴンの混合ガス、をそれぞれ50Nm3/時の供給速度で5〜15分間吹き付けて、プラズマアークの溶鋼への照射処理を行った。プラズマ装置は電源容量2MWの直流移行型とし、取鍋底のポーラスプラグに導電性のものを使用して正極とし、トーチ側を負極とした。
また、プラズマアークを照射せずに、酸素ガスを15分間吹き付けた場合(比較例8)も、併せて実施した。
なお、脱硫処理中は、ポーラスプラグからArガスを100(Nl/分)の流量で吹き込み、溶鋼を撹拌した。
いずれの脱硫処理においても、溶鋼面にわずかにスラグが残留していたため、プラズマアーク照射時に、ダストの発生を観察し、プラズマアークが溶鋼表面に直接照射されていることを確認した。
各実施例の結果を、脱硫処理条件とともに表2に示す。Arガス雰囲気下でプラズマアークを照射しているため、プラズマ気流中にArが巻き込まれ、溶鉄面直上からガスをポンプで吸引採取して分析したガス中酸素濃度は、プラズマトーチに導入したプラズマガス組成とは異なっている。なお、表2に示す各平均値は各条件での15〜20ch(チャージ)の脱硫処理での値を平均したものである。いずれも実施例では、安定して処理後のS濃度0.002質量%未満となっていることが確認された。
Figure 2011140684
前述したように、本発明によれば、設備費や処理コストの高いLF装置や真空脱ガス装置を使うことなく、また、脱硫フラックスを一切用いることなく、より簡便に、高効率でかつ安定して、極低硫黄濃度まで脱硫処理を行うことが可能である。よって、本発明は、鉄鋼産業における利用可能性が大きいものである。

Claims (2)

  1. 精錬容器内の溶鉄を脱硫精錬する方法において、プラズマガスをプラズマトーチに導入し、プラズマ気流中の酸素濃度が1体積%以上100体積%以下となるようにプラズマアークを溶鉄表面に直接照射することを特徴とする溶鉄の脱硫精錬方法。
  2. 前記プラズマガスとしてアルゴンまたは窒素を用い、プラズマトーチから溶鉄表面までのプラズマ気流中で周囲の酸素を含むガスを巻き込ませることを特徴とする請求項1に記載の溶鉄の脱硫精錬方法。
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