ところで、従来では、荷台4上の被運搬車輌Sを降ろす際の上記荷台後端部(接地ローラ43)の接地確認は、オペレータが接地ローラ43を直接目視によって確認するようにしていた。
ところが、荷台後端部の接地ローラ43は、接地時には車輌位置から後方側に遠く離れており且つ荷台下面の見えにくい位置にあるので、該接地ローラ43を直接目視する場合には、荷台後端部の近くから目線を低くして覗き込む必要がある。従って、該接地ローラ43の接地状態の確認がしにくいという問題があった。特に夜間には、周囲が暗いので接地ローラ43の接地状態を直接目視で確認するのは非常に困難になる。又、荷台の移動操作を固定位置(車輌に固定した操作装置)から行う構造のものでは、荷台後端部の接地確認が非常にしにくい。
そこで、本願発明は、この種の荷台移動式運搬車(例えば車輌運搬車)において、積載物(例えば被運搬車輌)の載せ降ろし作業時に、荷台後端部(接地ローラ)の接地部分を直接目視することなく、該荷台後端部(接地ローラ)の接地状態を容易に且つ確実に確認し得るようにした、荷台接地状態報知装置を提供することを目的としている。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、荷台を後方移動及び後傾させて荷台上に積載物(主として車輌)を載せ降ろし可能とした荷台移動式運搬車を対象としている。
又、本願で対象としている荷台移動式運搬車は、運搬対象物として車輌のほかに農業機械や小型船舶(ボート)や重機等の運搬にも適用できるものである。尚、以下の説明において、前方又は前部とは車輌の前方側のことであり、後方又は後部とは車輌の後方側のことであり、左右とは車輌の幅方向のことである。
[本願請求項1の発明]
本願請求項1の発明で使用される荷台移動式運搬車は、シャシフレームを有する車輌と、シャシフレームの後端部位置において傾動自在に支持された傾斜フレームと、傾斜フレーム上に車輌前後方向に移動自在に支持された荷台と、荷台を傾斜フレームに対して車輌前後方向に移動させる伸縮シリンダと、傾斜フレームを傾動させ得るようにした傾動装置とを備えたものである。
シャシフレームと傾斜フレームとは、それぞれ左右(車輌幅方向)に2組あり、傾動装置も左右に2組の部材を有する部分がある。
シャシフレーム上には、左右一対のサブフレームを設置することができるが、サブフレームを有しないものも採用できる。尚、本願の特許請求の範囲では、サブフレームを有したものにおいても、該サブフレームを含めてシャシフレームと表現している。
傾斜フレームは、長尺で左右一対有している。そして、この傾斜フレームは、シャシフレーム(又はサブフレーム)の後端部位置において傾動自在に支持されている。
傾斜フレームの後端部には、支持脚が取付けられる。この支持脚は、一定長さ(不変長さ)のものでもよいが、後述の実施例のように傾斜フレーム後端部の支持高さを「高支持状態」と「低支持状態」とに変化させ得るように構成したものも採用できる。
荷台の後端部下面には、一般に地面上を転動する接地ローラが設けられている。この接地ローラは、通常は荷台後端部の左右各端部寄り位置に一対設けられるが、中央部の1箇所だけでもよく、あるいは適宜の間隔をもった3箇所以上でもよい。又、荷台の後端部には、車輌乗込み用の煽り板を起伏自在に取付けることができる。
荷台を前後移動させる伸縮シリンダには、長尺の油圧シリンダが使用されている。又、この伸縮シリンダの伸縮ストロークだけでは荷台の前後移動量を十分に確保できない場合には、倍速装置を使用して伸縮シリンダの伸縮量に対して荷台を2倍の量だけ前後移動させ得るようにすることができる。尚、この倍速装置は、チエンやワイヤ等を滑車に巻き掛けたものを採用できる。
傾斜フレームを傾動させるための傾動装置としては、傾斜フレームを傾動させ得るものであれば、適宜の構成のものが採用できる。この傾動装置の動力源には、後述の実施例のように上記した荷台前後移動用の伸縮シリンダを利用してもよく、あるいは該伸縮シリンダとは別の傾動シリンダを使用してもよい。
尚、この荷台移動式運搬車では、荷台の前後移動を車輌の適所(例えば側方)からリモコン操作で行えるようになっており、荷台の状態を見ながらリモコンを発停操作することで、荷台を使用状態と格納状態との間で移動させ得るようになっている。尚、荷台の移動操作を車輌に固定した操作装置で行うものもあるが、その場合には、定位置から操作される。
ところで、荷台後端部(接地ローラ)が接地する前の状態で、荷台上の積載物(被運搬車輌で説明する)を降ろそうとすると、上記[背景技術]の項で説明したように、被運搬車輌が荷台後端部から脱落する危険があるとともに、荷台支持装置(特に、移動体部分)に過大な負担が発生して損傷する原因になることから、荷台を後傾させて荷台上の被運搬車輌を降ろす(移動させる)際には、荷台後端部(接地ローラ)が接地していることを確認しておく必要がある。そして、荷台後端部の接地確認をするのに、従来のように作業員が接地ローラの接地状態を直接目視によって確認する場合には、上記[発明が解決しようとする課題]の項で説明したように、その接地状態の確認がしにくかった。特に、荷台の移動操作を固定位置(車輌に固定した操作装置)から行う構造のものでは、荷台後端部の接地確認が非常にしにくい。
そこで、本願では、荷台移動式運搬車において、荷台を後方移動及び後傾させた積み込み姿勢状態で、荷台後端部が接地していることを報知する荷台接地状態報知装置を備えて接地状態の確認に利便を図っている。
本願請求項1では、荷台接地状態報知装置として、運搬車の適所に、荷台後端部が接地していることを報知する接地報知手段を設けている。
この請求項1で採用できる接地報知手段としては、荷台後端部が接地していることを運搬車の適所から容易に確認できるものであればよく、例えばマーキングのような目視できる表示(請求項2)や、ランプ又はブザー等による報知器(請求項3,4)等が採用できる。
そして、この請求項1のように、荷台の接地報知手段を備えていると、荷台後端部の接地部分を直接目視することなく、該接地報知手段により荷台後端部が接地しているかどうかを運搬車の適所から確認できる。
[本願請求項2の発明]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の荷台接地状態報知装置において、接地報知手段として、傾斜フレームの長さ方向の適所で外部から目視できる位置にマーキングを施したものを採用している。そして、このマーキングは、荷台が後方移動して荷台後端部が接地する以前は荷台に遮蔽されて見えない位置にある一方、荷台後端部が接地している状態では荷台による遮蔽が解除されて外部から視認できる位置に現れるように設けている。
この請求項2において接地報知手段となるマーキングとしては、運搬車の適所(例えば運搬車の側方)から容易に視認できるものであれば適宜のものが採用できる。例えば、このマーキングは、傾斜フレームの適所(外側面や上面)に、傾斜フレームの色と識別し易い色の塗料を塗布したり、あるいは薄いプレートを固着させたりしたものを採用できる。又、このマーキングは、塗料を塗布するものでは蛍光塗料を使用し、プレートを固着させるものでは反射板を使用すると、夜間でも見え易くなる。
そして、この請求項2の荷台接地状態報知装置(接地報知手段)では、荷台を格納位置から積み降ろし作業位置に移動させる際に(荷台が傾斜フレームに対して順次後方移動していく)、傾斜フレームに設けたマーキングが外部から視認できる位置に現れたことを確認することで、荷台後端部が接地したことを確認できる。
[本願請求項3の発明]
本願請求項3の発明は、上記請求項1の荷台接地状態報知装置において、接地報知手段として、荷台が傾斜フレームに対して荷台後端部が接地するまで後方移動した時点での荷台位置を検出する荷台位置検出器と、該荷台位置検出器からの信号で作動する報知器とを有したものを採用している。
この請求項3の荷台接地状態報知装置(接地報知手段)では、荷台位置検出器として光センサーやリミットスイッチや近接スイッチ等が使用でき、報知器としてランプやブザー(音声発声器を含む)等が使用できる。
荷台位置検出器の取付位置は、荷台後端部が接地するまで荷台が後方移動した時点での荷台位置を検出し得る位置であればよく、例えば傾斜フレームや車輌のシャシフレームに設けることができる。又、この荷台位置検出器は、荷台自体に取付けて、該荷台側から傾斜フレームや車輌のシャシフレームに設けた被検出体を検出し得るようにしたものでもよい。
報知器は、荷台操作(リモコン操作)位置から容易に確認し得る位置(例えばシャシフレームの側面)に設けることができる。
そして、この請求項3の荷台接地状態報知装置(接地報知手段)では、荷台後端部の接地状態を荷台位置検出器が検出すると、その検出信号により報知器(ランプやブザー)を作動させて、荷台後端部が接地していることをオペレータに報知することができる。
[本願請求項4の発明]
本願請求項4の発明は、上記請求項1の荷台接地状態報知装置において、接地報知手段は、荷台後端部が接地していることを検出する荷台後端部接地検出器と、該荷台後端部接地検出器からの信号で作動する報知器とを有したものを採用している。
この請求項4の荷台接地状態報知装置(接地報知手段)に使用される荷台後端部接地検出器としては、例えば荷台後端部の下面に設置された接地ローラが接地したことを検出する圧力スイッチを使用できる。尚、報知器は、請求項3のものと同様にランプやブザー(音声発声器を含む)等が使用できる。
この請求項4の荷台接地状態報知装置(接地報知手段)では、荷台後端部接地検出器により荷台後端部の接地状態を直接検出して報知器で報知させることにより、荷台後端部が接地していることをオペレータに報知することができる。
[本願請求項1の発明の効果]
本願請求項1の発明の荷台接地状態報知装置は、荷台移動式運搬車において、荷台後端部が接地していることを接地報知手段により外部に表示できるので、積載物の載せ降ろし作業時に、荷台後端部の接地部分を直接目視することなく該荷台後端部の接地状態を容易に且つ確実に確認できるという効果がある。
[本願請求項2の発明の効果]
本願請求項2の発明は、上記請求項1の荷台接地状態報知装置(接地報知手段)として、傾斜フレームの適所にマーキングを施したものを採用している。
従って、この請求項2の荷台接地状態報知装置では、上記請求項1の効果に加えて、簡単且つ安価な施工で接地報知手段を設けることができるという効果がある。
[本願請求項3の発明の効果]
本願請求項3の発明は、上記請求項1の荷台接地状態報知装置(接地報知手段)として、荷台位置検出器と報知器とで構成したものを採用しているので、荷台後端部の接地状態を報知器で報知することができる。
従って、この請求項3の荷台接地状態報知装置では、上記請求項1の効果に加えて、報知器により荷台後端部の接地状態を確認できるので、該荷台後端部に接地確認が一層し易くなるという効果がある。
[本願請求項4の発明の効果]
本願請求項4の発明は、上記請求項1の荷台接地状態報知装置(接地報知手段)として、荷台後端部接地検出器と報知器とで構成したものを採用しているので、荷台後端部接地検出器により荷台後端部の接地状態を直接検出することができる。
従って、この請求項4の荷台接地状態報知装置では、上記請求項1の効果に加えて、荷台後端部接地検出器により荷台後端部の接地状態の検出精度が向上し、報知器による報知の信頼性が一層良好になるという効果がある。
[実施例]
以下、図1〜図11を参照して本願実施例の荷台移動式運搬車における荷台接地状態報知装置を説明すると、図1〜図7には本願第1実施例の荷台接地状態報知装置を設けた荷台移動式運搬車を示し、図8〜図9には本願第2実施例の荷台接地状態報知装置を設けた荷台移動式運搬車を示し、図10〜図11には本願第3実施例の荷台接地状態報知装置を設けた荷台移動式運搬車を示している。
本願各実施例(第1実施例〜第3実施例)の荷台接地状態報知装置の機能の概略は、荷台後端部(左右の接地ローラ43)が接地状態にあるときに、その荷台後端部が接地状態であることを外部から確認し易くしたものである。
そして、この各実施例の荷台接地状態報知装置の詳細については後述するが、まずこの荷台接地状態報知装置を採用している荷台移動式運搬車の構成について説明する。尚、この実施例で使用している荷台移動式運搬車の基本構成は、図12及び図13に示す公知例のものと支持脚9を除いてほぼ同じものであり、公知例の説明と重複する部分があるが、本願実施例の荷台移動式運搬車の構成についてさらに詳細に説明する。
この実施例の荷台移動式運搬車は、図1〜図5に示すように、左右一対のシャシフレーム11,11を有する車輌1と、各シャシフレーム11,11上のサブフレーム12,12に固定されたガイドレール2,2と、サブフレーム12,12の後端部においてそれぞれ傾動自在に支持された左右一対の傾斜フレーム3,3と、各傾斜フレーム3,3上に車輌前後方向に移動自在に支持された荷台4と、荷台4を傾斜フレーム3,3に対して車輌前後方向に移動させる伸縮シリンダ51を有し且つ該伸縮シリンダ51の伸縮動によって傾斜フレーム3,3を荷台4と共にガイドレール2,2に対して傾動させる傾動装置5とを備えて構成されている。
尚、本願実施例の説明において、前方又は前部とは車輌1の前方側のことであり、後方又は後部とは車輌1の後方側のことであり、左右とは車輌1の幅方向のことである。
この実施例(図1〜図5)の荷台移動式運搬車では、左右のシャシフレーム11,11上にそれぞれサブフレーム12,12が固定されている。各サブフレーム12,12の後端部は連結部13で連結されている。各サブフレーム12,12の各上面には、それぞれサブフレーム長さ方向に適宜間隔を隔てた複数位置に、後述する荷台4の各縦根太42,42を摺動させるための摺接板14,14・・が取付られている(図2、図4参照)。尚、他の実施例では、シャシフレーム11上にサブフレーム12を設けないものも採用でき、その場合は各シャシフレーム11,11上に上記摺接板14,14・・を取付けるとよい。
左右の各ガイドレール2,2は、それぞれ所定長さを有する断面コ型のフレーム材が使用されている。この各ガイドレール2,2は、それぞれ車輌前後方向に向けた状態で左右の各サブフレーム12,12に固定している。尚、サブフレーム12,12を使用しない場合には、ガイドレール2,2を直接シャシフレーム11,11に取付ける。
この各ガイドレール2,2の形状(案内軌条)は、伸縮シリンダ51の伸縮時に傾斜フレーム3,3をスムーズに(ほぼ等速で)傾動させ得るように設定されている。具体的には、各ガイドレール2,2は、前部に後方に向けて上り傾斜する上り傾斜部21と中間部に水平部22と後部に後方に向けて下り傾斜する下り傾斜部23とを連続して形成している。又、各ガイドレール2,2には、それぞれ全長に亘って内向きガイド溝24が形成されている。尚、他の実施例では、各ガイドレール2,2に形成されるガイド溝を外向きガイド溝としてもよい。
各傾斜フレーム3,3には、前後に長いH型鋼(コ型材を背中合わせに結合させた構造の部材でもよい)が使用されている。尚、この各傾斜フレーム3,3は、シャシフレーム11の全長よりかなり長い長さを有している。この各傾斜フレーム3,3の左右両側には、それぞれ全長に亘って内向きガイド溝31と外向きガイド溝32とが形成されている。又、この両傾斜フレーム3,3は、長さ方向の後端部付近において連結材33(図3)で連結されている。
各傾斜フレーム3,3の後端部には、それぞれ下向きの支持脚9が取付けられている。尚、この支持脚9の詳細については後述する。
この各傾斜フレーム3,3は、長さ方向中央部よりやや後方寄り位置をサブフレーム12,12の後部連結部13上に傾動自在に支持(支持部8)している。この実施例では、該支持部8は、各傾斜フレーム3,3の下面に設けた各ブラケット82,82をサブフレーム12の後部連結部13に設けた各ブラケット81,81にそれぞれ支軸83で枢着している。そして、この各傾斜フレーム3,3は、図1に示すようにシャシフレーム11,11(サブフレーム12)上において水平状態となる格納姿勢と、図6、図7、図8、図10に示すよう支持部8を中心にして支持脚9が接地した後傾姿勢との間で傾動し得るようになっている。
荷台4は、車輌載せ台41の下面に左右2本の底フレーム42,42を有している。尚、この底フレーム42,42は一般に縦根太と称されており、以下の説明では、この底フレームを縦根太という。
この各縦根太42,42は、車輌載せ台41の左右幅の中心線から左右に所定等間隔を隔てた位置に配置されている。両縦根太42,42間の間隔は、前記両傾斜フレーム3,3間の間隔よりかなり広い間隔に設定している。
車輌載せ台41の後端部下面には、その左右各外端寄り位置にそれぞれ接地ローラ43が取付けられている。尚、この接地ローラ43は、左右各外端寄りの2箇所のほかにその中間部にも追加してもよい(例えば合計3箇所)。又、荷台4の後端部には、煽り板44を起伏自在に取付けている。
そして、この荷台4は、後述する移動体6を介して各傾斜フレーム3,3に対して車輌前後方向に移動させ得るようにしている。
各サブフレーム12,12の各後端部(各ブラケット81,81部分)には、それぞれ荷台4の左右各縦根太42,42を受ける左右一対の受けローラ38,38(図2〜図4)が取付けられている。この各受けローラ38,38は、図1に示す荷台格納状態から図6に示す荷台後端部(ローラ43)が接地するまでの範囲で、荷台4の左右各縦根太42,42をそれぞれ下面側から支持して、該荷台4を安定状態で移動させるようにするものである。
傾動装置5は、上記ガイドレール2と、1本の伸縮シリンダ51と、該伸縮シリンダ51のチューブ52に取付けられていて各ガイドレール2,2の内向きガイド溝24,24に沿って移動する各ローラ55,55と、後述する各ローラ59,59で構成されている。尚、この実施例では、傾動装置5として後述の各ローラ59,59を構成要素の1つに入れているが、他の実施例では該各ローラ59,59を使用しないこともあり、その場合は該各ローラ59,59が傾動装置5の構成要素から外される。
伸縮シリンダ51のチューブ52には、図2及び図4に示すように、その前端部及び後端部にそれぞれ左右外向きに突出する軸を設けて該各軸の先端部にそれぞれ左右一対とする前後2組のローラ(前ローラ57,57、後ローラ58,58)を設けている。尚、他の実施例では、このローラ57,58に替えてスライダー(又はスライドプレート)で構成してもよい。そして、この伸縮シリンダ51は、シリンダロッド53を前部側に向けた状態で、該シリンダロッド53の先端部を各傾斜フレーム3,3の前端部に設けたブラケット36(図2、図4参照)に支軸35(図2参照)で連結するとともに、シリンダチューブ52の前後各端部に設けた前後2組の各ローラ57,57、58,58をそれぞれ左右の傾斜フレーム3,3の各内向きガイド溝31,31に沿って転動するようにして取付けている。従って、この伸縮シリンダ51は、伸縮時に傾斜フレーム3に対してシリンダチューブ52側が移動し、且つ前後・左右(合計4つ)の各ローラ57,57、58,58がそれぞれ各傾斜フレーム3,3の内向きガイド溝31,31に沿って移動するので、側面視において伸縮シリンダ51が傾斜フレーム3に対して平行姿勢を維持したままで伸縮するようになっている。
傾動装置5の一部となる左右1組のローラ55,55は、シリンダチューブ52の前部寄り位置においてそれぞれ短小な下向きアーム54,54の下端部に外向き状態で取付けられていて、それぞれガイドレール2,2の内向きガイド溝24,24内に嵌入されている。そして、この各ローラ55,55は、伸縮シリンダ51が伸縮すると、各ガイドレール2,2の内向きガイド溝24,24に沿って前後に移動し、そのとき伸縮シリンダ51を介して各傾斜フレーム3,3が支持部8を中心に傾動するようになっている。
尚、ガイドレール2の下り傾斜部23の傾斜角は、ローラ55が該下り傾斜部23の範囲を移動する際に傾斜フレーム3が略一定の傾斜姿勢を維持するように設定している。即ち、ローラ55が下り傾斜部23の始端部に達した時点から、図7に示すように該ローラ55が下り傾斜部23の終端部付近に達するまでは、傾斜フレーム3に対して傾動作用が働かないようにしている。
各下向きアーム54,54の外面には、図2〜図4に示すようにそれぞれローラ59,59が取付けられている。この各ローラ59,59は、シリンダチューブ52の前後に取付けている各ローラ57,58と同様に、左右の傾斜フレーム3,3のそれぞれ内向きガイド溝31,31内に嵌入させている。又、上記実施例では、各ローラ59,59を各ガイド溝31,31に1個ずつ嵌入させたが、該ローラ59を各アーム54,54の前後にそれぞれ2個ずつ配置してその各2個のローラ59をそれぞれ各ガイド溝31,31に嵌入させるようにしてもよい。その場合は、各アーム54,54が一層安定状態でガイドされるとともに、各アーム54,54に大きな負荷が加わったりこねる作用が生じたとき等にも該アーム54,54を安定状態に維持させることができる。尚、各アーム54,54に符号59のローラ(前後に1個ずつでも2個ずつでもよい)を取付ける場合は、符号57で示す前側の各ローラを省略してもよい。
荷台4は、各傾斜フレーム3,3上を倍速装置Aによって伸縮シリンダ51の伸縮量の2倍の量だけ前後に移動し得るように設置されている。この倍速装置Aは、移動体6と左右のチエン7,7を有して構成されている。
移動体6は、左右のフレーム61,61を連結板62で連結するとともに、各フレーム61,61の内面にそれぞれ前後2つずつ(合計4つ)のローラ63,63・・を取付けている。移動体6の左右各側のローラ63,63・・は、それぞれ各傾斜フレーム3,3の外向きガイド溝32,32に嵌合されていて、移動体6が各傾斜フレーム3,3に沿って前後に移動し得るようになっている。尚、この移動体6は、側面視において各傾斜フレーム3,3に対して常に平行姿勢を維持した状態で前後移動する。
左右の各チエン7,7は、図3及び図4に示すようにそれぞれ2分割された第1分割チエン71と第2分割チエン72とを有している。尚、他の実施例では、該チエン7は1本のエンドレス状のものを使用してもよい。又、他の実施例では、チエン7に代えてワイヤを使用してもよい。
この実施例では、各チエン7,7は、次のように取付けられている。まず伸縮シリンダ51のチューブ52の前端部及び後端部には、それぞれシリンダチューブ52の左右各外側にチエン巻掛け用の滑車(合計4つ)56,56・・が取付けられている。尚、この実施例では、各滑車56,56・・は、上記した前後2組のローラ57,57、58,58のそれぞれ内側において同軸上に設置されている。そして、図3及び図4に示すように、一方の各第1分割チエン71,71は、各後側の滑車56,56に巻掛けた状態で該各第1分割チエン71,71の前側端部を移動体6の連結板62に固定する一方、該各第1分割チエン71,71の後側端部を傾斜フレーム3,3に固定している。又、他方の各第2分割チエン72,72は、各前側の滑車56,56に巻掛けた状態で該各第2分割チエン72,72の前側端部を移動体6の連結板62に固定する一方、該各第2分割チエン72,72の後側端部を傾斜フレーム3,3に固定している。
荷台4は、移動体6に対して荷台前端部寄り位置において支軸(同軸上に左右2本ある)64により一点で枢着されている。即ち、図3及び図4において、移動体6の左右各フレーム61,61に形成した軸穴64aと荷台4の左右各縦根太42,42の前端部寄り位置に形成した軸穴64bにそれぞれ支軸64(図1、図2、図5参照)を挿通することによって、荷台4を移動体6に対して側面視において一点で枢着している。
そして、この倍速装置Aは、伸縮シリンダ51が伸縮すると、移動体6を前後の各滑車56,56及びチエン7(第1分割チエン71及び第2分割チエン72)によって伸縮シリンダ51の伸縮量の2倍の長さだけ前後移動せしめ、従って荷台4も移動体6とともに伸縮シリンダ51の伸縮量の2倍の長さだけ前後移動せしめるようになっている。
支持脚9は、左右の各傾斜フレーム3,3のそれぞれ後端部に同じものが1つずつ設置されている。又、この左右の各支持脚9,9は、連結材で連結されていて、該各支持脚9,9が同時に前後揺動するようになっている。尚、左右の各支持脚9,9は同形のものが使用されているので、以下の説明では車輌後方側から見て左側の支持脚9で説明する。
この支持脚9は、図3に示すように、上部側に前後に向く横向き腕部90aと該横向き腕部90aの前端から下方に延出させた下向き脚部90bとを有した逆L形部材90を使用している。そして、この支持脚9は、横向き腕部90aの後端部を傾斜フレーム3の後端部下面において支軸91(図1)で枢着して、下向き脚部90bが前後に揺動し得るように装着している。尚、横向き腕部90aの後端部(枢着部分)は、左右の傾斜フレーム3,3の後端部を連結している連結部33の下面に取付けたブラケット39(図3)に支軸91で枢着している。
逆L形部材90における横向き腕部90aと下向き脚部90bとの角部には、荷台受けローラ92を設けている。この荷台受けローラ92は、荷台4の縦根太42を受ける(載せる)ものであり、該荷台受けローラ92上に荷台の縦根太42が載っている状態では、後述するように支持脚9の前方側揺動を禁止するようになっている。
逆L形部材90における下向き脚部90bの下端部には、接地ローラ93を設けている。この接地ローラ93は、地面に接地した状態で転動し、支持脚9の前後揺動動作をスムーズに行わせるものである。
尚、この支持脚9における荷台受けローラ92の上端から接地ローラ93の下端までの長さは、特に限定するものではないが50cm程度が適当である。
支持脚9の下向き脚部90bには、後述(図10及び図11)するように傾斜フレーム3が最大後傾し且つ支持脚9の下向き脚部90bが前方側に最大揺動した時点で、傾斜フレーム3の下面に衝合して該支持脚9がそれ以上、前方側に揺動するのを禁止するためのストッパー15(図6)を取付けている。尚、この実施例では、該ストッパー15を支持脚9側に設けているが、他の実施例では、該ストッパー15を傾斜フレーム3側に設けて、傾斜フレーム3が上記最大後傾したときに(支持脚9の下向き脚部90bも最大揺動している)、傾斜フレーム3側のストッパー15が支持脚9(下向き脚部90b)に衝合するようにしてもよい。
上記支持脚9には、後部バンパー16が装着されている。又、該支持脚9は、荷台格納状態において支持脚格納装置10により前方に揺動させた状態で格納されるようになっている。
後部バンパー16及び支持脚格納装置10の構成及び機能については、本件出願人が既に提案している特願2008−243831において詳細に説明しているが、本願の荷台接地状態報知装置に直接関係がないので、後部バンパー16及び支持脚格納装置10についての詳細な説明は省略する。尚、支持脚格納装置10を機能させる前提として、荷台4が格納位置にあるときには支持脚9が前方に揺動し得るようにする必要があるが、そのために荷台格納状態で支持脚9の荷台受けローラ92に対応する位置の荷台の縦根太42の下面に、図1及び図3に示すように上向き凹部(段差部)42aを設けている。
次に、この実施例で使用されている荷台移動式運搬車の基本的な作動方法を説明する。
図1に示す荷台格納状態では、伸縮シリンダ51が全縮小していて、下向きアーム54のローラ55がガイドレール2の前部寄り位置(上り傾斜部21の前方)にあって傾斜フレーム3が水平姿勢となっており、且つ荷台4も最前位置において水平姿勢を維持している。尚、荷台4が格納姿勢状態にあるときには、荷台の縦根太42,42の前端部寄り位置が上記支軸64で移動体6に支持されている一方、各サブフレーム12,12の上面に荷台の縦根太42,42の下面が摺動自在に載置されている。
荷台4を車輌積込み姿勢まで作動させるには、伸縮シリンダ51を伸長させる。すると、シリンダチューブ52が後方に移動し、下向きアーム54に取付けられているローラ(左右一対ある)55がガイドレール2の上り傾斜部21を経て水平部22まで移動すると、図6に示すように支持脚9(後述する)が接地するまで傾斜フレーム3を後傾させるとともに、荷台4が倍速装置Aにより伸縮シリンダ伸長量の2倍長さだけ後方移動して荷台後端部の接地ローラ43が地面に接地する。
尚、図1に示す荷台格納状態から図6に示す荷台後端部の接地ローラ43が接地するまでの間は、荷台4が傾斜フレーム3に対して平行姿勢を維持している。又、荷台4が傾斜フレーム3に対して所定長さだけ後方移動した時点以降(図6の状態まで)は、支持脚9の荷台受けローラ92上に荷台の縦根太42の下面が衝合していて、支持脚9の下向き脚部90bが傾斜フレーム3に対して下向きに角度略90°方向に向いた姿勢で維持されている。即ち、支持脚9の荷台受けローラ92が荷台の縦根太42で上動するのを規制されていて、支持脚9が支軸91を中心にして前方側に揺動するのを禁止している。従って、図6の時点(荷台4が傾斜フレーム3に対して平行姿勢)では、支持脚9の姿勢が安定した状態で該支持脚9による傾斜フレーム後端部の支持高さが高くなっている。尚、図6の時点では、傾斜フレーム3の対地角が約10°であるので、支持脚9の下向き脚部90bも鉛直姿勢から角度約10°だけ前方側に揺動しているが、そのときの支持脚9による傾斜フレーム後端部の支持高さは、支持脚9の長さ(例えば50cm)よりごく短い程度の「高支持状態」となっている。その後、煽り板44を後方に倒伏して地面に接地させると、一般車高車Sを積込み得る姿勢(荷台対地角が10°程度)となる。
又、荷台4を図6の状態からさらに緩傾斜させるには、伸縮シリンダ51をさらに伸長させる。すると、荷台4の接地ローラ43が接地したまま荷台4がさらに後方移動して、荷台4の傾斜角が傾斜フレーム3の傾斜角より小さくなっていくが、荷台4は傾斜フレーム3(実質は移動体6)に対して荷台前端部の一点(支軸64の位置)を中心にして傾動し得るようになっているので、荷台4を傾斜フレーム3に対して支障なく傾動させることができる。又、荷台4の傾斜角が傾斜フレーム3の傾斜角より小さくなると、支持脚9の荷台受けローラ92に対する押圧規制が解除されて支持脚9が支軸91を中心にして前側に揺動可能となる。
そして、荷台4がさらに後方移動して、図7に示すように荷台前端部が傾斜フレーム3の後端部付近に達したときに、伸縮シリンダ51の伸長が停止して荷台4の後方移動が完了する。
この図7の状態では、支持脚9が前方側に大きく揺動して、支持脚9による傾斜フレーム後端部の支持高さが非常に低くなっている(「低支持状態」となる)。因に、図7の状態では、荷台4の前部がかなり低位置まで降下していて、荷台4が地上近傍の略水平位置まで降下しており、該荷台4が非常に緩い傾斜角(例えば2〜3°程度)で安定している。この図7の荷台緩傾斜状態では、一般車高車は当然であるが、低車高車であっても何ら問題なく乗り込ませることができる。
尚、荷台4は、図6に示す通常傾斜角状態から図7に示す緩傾斜角状態までの任意の傾斜状態で車輌を積込み得るようになっている。
荷台4を車輌積込み姿勢状態から格納するには、伸縮シリンダ51を縮小させることで車輌積込み時の動作とは逆順序で格納させることができる。
尚、本願で使用される荷台移動式運搬車は、上記実施例のものから次のように変更することができる。
まず、上記実施例では、1本の伸縮シリンダ51で、傾斜フレーム3の傾動と荷台4の前後移動とを同時に行えるようにしているが、大出力が必要でスペースが許される大型車では該伸縮シリンダ51を2本以上並列配置するようにしてもよい。
又、上記実施例の荷台移動式運搬車では、1本の伸縮シリンダ51で傾斜フレーム3の傾動と荷台4の前後動とを行わせるようにしているが、傾斜フレーム3の傾動と荷台4の前後動とを別々の伸縮シリンダで行わせるようにしてもよい。
ところで、この荷台移動式運搬車では、上記[背景技術]の項で説明したように、荷台後端部(接地ローラ43)が接地する前の状態(図6の直前状態)で、荷台4上の積載物(被運搬車輌S)を降ろそうとすると、該被運搬車輌Sが荷台後端部から脱落する危険があるとともに、荷台支持装置(特に、移動体6部分)に過大な負担が発生して損傷する原因になる。従って、荷台4を後傾させて荷台4上の被運搬車輌Sを降ろす際には、荷台後端部(接地ローラ43)が接地していることを確認しておく必要があるが、該接地ローラ43は、接地時には車輌位置から後方側に遠く離れており且つ荷台下面の見えにくい位置にあるので、該接地ローラ43の接地確認がしにくかった。特に、特に夜間には、周囲が暗いので接地ローラ43の接地状態を直接目視で確認するのは非常に困難になる。
そこで、本願実施例で使用される荷台移動式運搬車には、荷台4を後方移動及び後傾させた積み込み姿勢状態で、荷台後端部(接地ローラ43)が接地していることを報知する荷台接地状態報知装置を備えている。この荷台接地状態報知装置の内容は、運搬車の適所に荷台後端部が接地していることを報知する接地報知手段100を設けたものである。
尚、本願では、荷台接地状態報知装置として、以下に説明する3つの実施例を採用している。
図1〜図7に示す第1実施例の荷台接地状態報知装置では、接地報知手段100としてマーキング101を採用し、該マーキング101を傾斜フレーム3の長さ方向の適所で外部から目視できる位置に施している。この第1実施例で採用しているマーキング101は、図2〜図4に黒塗りしているように、左右の傾斜フレーム3,3の長さ方向の適所(後述の条件に適合する位置)における外側面及び(又は)上面に配置している。
そして、このマーキング101の設置位置は、荷台4が後方移動して荷台後端部(接地ローラ43)が接地する以前(図6の直前まで)は荷台4に遮蔽されて見えない位置にある一方、図6に示すように荷台後端部(接地ローラ43)が接地した時点で荷台4による遮蔽が解除されて外部から視認できる位置に現れるように設けている。
このマーキング101は、塗料を塗布したものでも、あるいは薄プレートを固着させたものでもよい。このマーキング101として塗料を塗布する場合は、明るい色を用いるとよく、特に蛍光塗料を用いると夜間等の暗い場所でも見え易くなる。このマーキング101として薄いプレートを使用する場合には、光反射機能を有したものが好ましい。又、傾斜フレーム3に施すマーキング101は、図6に示す荷台通常傾斜角状態で見え始める位置から、図7に示す荷台緩傾斜角状態で見える範囲の全長に亘って連続して表示させたものでもよい。
この第1実施例の荷台接地状態報知装置(接地報知手段100)は、荷台4を格納位置(図1)から積み降ろし作業位置(図6、図7)に移動させる際に、次のように機能する。尚、荷台移動操作は、オペレータが車輌1の側方位置から固定操作装置やリモコン操作等によって荷台4の動きを見ながら行うが、この第1実施例の接地報知手段100を採用したものでは、オペレータは傾斜フレーム3に接地報知用のマーキング101が表示されているのを認知しており、荷台4の後方移動操作時には、後方移動していく荷台先端部付近の傾斜フレーム3を注視しながら行う。
荷台4を格納位置(図1)から積み降ろし作業位置に移動させていく(伸縮シリンダ51を伸長させる)と、荷台4が傾斜フレーム3に対して順次後方移動(及び後傾)していくが、荷台後端部の接地ローラ43が接地する直前までは傾斜フレーム3に設けたマーキング101が荷台4で遮蔽されていて外部から見えない状態である。このように、傾斜フレーム3のマーキング101が見えない状態では、荷台後端部の接地ローラ43がまだ接地していないこと容易に認知できる。
そして、荷台4がさらに後方移動(及び後傾)して、図6に示すように荷台後端部の接地ローラ43が接地した時点では、荷台前端部が傾斜フレーム3のマーキング101表示位置より僅かに後方に位置する(マーキング101が荷台4による遮蔽から開放される)。このとき、該マーキング101が外部から視認できる位置に現れ(接地ローラ43が接地した時点でマーキング101が現れ始めるようにしてもよい)、そのマーキング101をオペレータが視認することで荷台後端部(接地ローラ43)が接地したことを確認できる。尚、この実施例の荷台移動式運搬車は、荷台4を図6に示す通常傾斜角状態から図7に示す緩傾斜角状態まで後方移動させることができるが、図6に示す荷台通常傾斜角状態以降は、傾斜フレーム3のマーキング101が外部から視認できる状態である。
このように、第1実施例の荷台接地状態報知装置(接地報知手段100)を使用した荷台移動式運搬車では、荷台後方移動操作時に、傾斜フレーム3に設けているマーキング101が現れるのを注視することで、荷台後端部(接地ローラ43)が接地したかどうかを確認できるので、積載物(被運搬車輌S)の載せ降ろし作業時に荷台後端部の接地部分を直接目視することなく該荷台後端部の接地状態を容易に確認できる。
又、この第1実施例の接地報知手段100では、傾斜フレーム3に単にマーキング101を施したものであるので、簡単且つ安価な施工で接地報知手段100を設けることができる。
図8及び図9に示す第2実施例の荷台接地状態報知装置では、接地報知手段100として、荷台4が傾斜フレーム3に対して荷台後端部(接地ローラ43)が接地するまで後方移動した時点での荷台位置を検出する荷台位置検出器111と、該荷台位置検出器111からの信号で作動する報知器112とを有したものを採用している。
荷台位置検出器111としては、近接スイッチや光センサーやリミットスイッチ等が使用できるが、この第2実施例では光センサーを使用している。そして、この第2実施例では、荷台位置検出器(光センサー)111を傾斜フレーム3の適所(荷台移動の障害にならない場所で後述の条件に適合する位置)に取付けて、該荷台位置検出器111で荷台4を下面側から監視するようにしている(図9の矢印B参照)。
この荷台位置検出器111は、図8に示すように荷台後端部(接地ローラ43)が接地するまで荷台4が後方移動した時点で、ON(荷台検出状態)からOFF(荷台非検出状態)になるように作動する位置に取付けている。
この荷台位置検出器111からのON・OFF信号は、コントローラ113(シャシフレーム11の側面に取付けている)に入力される。そして、コントローラ113に荷台位置検出器111からのOFF信号が入力されると、該コントローラ113からの信号で報知器112を作動させるようになっている。
報知器112としては、ランプやブザー(音声発声器を含む)等が使用できるが、この第2実施例では報知器112としてランプを使用したもので説明する。この報知器112は、この第2実施例では、シャシフレーム11の側面における外部から見える位置に取付けており、荷台位置検出器111がOFF(荷台非検出状態)になると、コントローラ113により作動せしめられる(点灯する)ようになっている。尚、報知器112としてブザーのような音発生器を使用したものでは、該報知器112をオペレータから見えない位置に設置してもよい。
この第2実施例の荷台接地状態報知装置(接地報知手段100)は、荷台4を格納位置(図1)から積み降ろし作業位置(図8)に移動させる際に、次のように機能する。
荷台4を格納位置(図1)から積み降ろし作業位置に移動させていくと、荷台4が傾斜フレーム3に対して順次後方移動(及び後傾)していくが、荷台後端部の接地ローラ43が接地する直前までは荷台位置検出器111が荷台4を検出してON状態であるので、報知器112は作動しない(消灯状態のままである)。このように、報知器112が作動しない状態(消灯状態)では、荷台後端部の接地ローラ43がまだ接地していないこと容易の認知できる。
そして、荷台4がさらに後方移動(及び後傾)して、図8に示すように荷台後端部の接地ローラ43が接地した時点では、荷台前端部が荷台位置検出器111の監視位置より僅かに後方まで移動していて該荷台位置検出器111がOFF(荷台非検出状態)になり、このOFF信号でコントローラ113を介して報知器112を作動させる(点灯する)。
又、この場合も、荷台4が図8に示す通常傾斜角状態からさらに後方移動して緩傾斜角状態(図7の状態)まで変化できるが、図8の通常傾斜角状態以降は、荷台位置検出器111がOFFのままであるので報知器112は作動を継続している(荷台後端部が接地状態であることが確認できる)。尚、報知器112の作動を停止する(消灯する)場合は、該報知器112をOFFにすればよい。又、報知器112は、格納位置から通常傾斜角状態までの間で作動し、通常傾斜角以降では作動を停止する方式のものを採用してもよい。
この第2実施例の荷台接地状態報知装置では、上記のように荷台後端部(接地ローラ43)が接地したことを報知器112でオペレータに報知できるので、荷台後端部の接地状態の確認が一層容易になる。特に、夜間等の暗い環境では、荷台後端部の接地状態を目視で確認しにくいが、報知器(ランプやブザー)112を使用することにより、暗くても明確に報知できる。
図10及び図11に示す第3実施例の荷台接地状態報知装置では、接地報知手段100として、荷台後端部(接地ローラ43)が接地していることを検出する荷台後端部接地検出器121と、該荷台後端部接地検出器121からの信号で作動する報知器112とを有したものを採用している。
荷台後端部接地検出器121は、この第3実施例では、荷台後端部の下面の左右各端部寄りに設置された左右一対の接地ローラ43,43(図11)の接地圧力を検出する2つの圧力スイッチを使用している。そして、この各荷台後端部接地検出器121,121は、各接地ローラ43,43が非接地状態ではOFFになっているが、各接地ローラ43,43が接地したときに発生する接地圧力をそれぞれ検出して(ONになる)、その検出信号をコントローラ113に出力するようになっている。そして、コントローラ113に荷台後端部接地検出器121,121からのON信号が入力されると、該コントローラ113からの信号で報知器112を作動(点灯)させるようになっている。
尚、このように、各荷台後端部接地検出器121,121を荷台後端部の各接地ローラ43,43部分に設けると、荷台4が前後動する関係で電線の繰出し・巻取りが必要となるので、各荷台後端部接地検出器121,121とコントローラ113とを結ぶ電線間にコードリール122,122を介設している。尚、実際には、荷台4側に各種装置用の電線が配線されており、この第3実施例で使用する荷台後端部接地検出器121用の電線もまとめてケーブルベアを介して配線することができる。
又、この第3実施例のように、2つの荷台後端部接地検出器121,121を使用したものにおいて、コントローラ113から報知器112への作動信号は、OR回路で少なくとも1つの荷台後端部接地検出器121がONになったときに発信するようにしてもよく(荷台強度に余裕がある場合)、あるいはAND回路で2つの荷台後端部接地検出器121,121が共にONになったときに発信させるようにしてもよい(荷台4を安定姿勢で接地させた状態で作業を行いたい場合)。又、両荷台後端部接地検出器121,121を個別に発信することによって、片方の報知器112だけが作動したときに接地面が不整地であることをオペレータに認知させ得るようにすることも可能である。
報知器112は、上記第2実施例のものと同様にランプやブザー(音声発声器を含む)等が使用できるが、この第3実施例でもランプを使用したもので説明する。
この第3実施例の荷台接地状態報知装置(接地報知手段100)は、荷台4を格納位置(図1)から積み降ろし作業位置(図10)に移動させる際に、荷台後端部の接地ローラ43が非接地状態では各荷台後端部接地検出器121,121がそれぞれOFF状態であるので、報知器112は作動しない(消灯状態のままである)。このように、報知器112が作動しない状態(消灯状態)では、荷台後端部の接地ローラ43がまだ接地していないこと容易の認知できる。
そして、荷台4がさらに後方移動(及び後傾)して、図10に示すように荷台後端部の接地ローラ43が接地した時点では、その接地圧力により荷台後端部接地検出器121がONになり、このON信号でコントローラ113を介して報知器112を作動させる(点灯する)。
又、この場合も、荷台4が図8に示す通常傾斜角状態からさらに後方移動して緩傾斜角状態(図7の状態)まで変化できるが、図8の通常傾斜角状態以降は、荷台後端部接地検出器121がON状態を維持するので報知器112は連続して点灯している(接地ローラ43が接地状態であることが確認できる)。尚、報知器112の作動を停止する(消灯する)場合は、該報知器112をOFFにすればよい。又、報知器112は、格納位置から通常傾斜角状態までの間で作動し、通常傾斜角以降では作動を停止する方式のものを採用してもよい。
この第3実施例の荷台接地状態報知装置では、荷台後端部(接地ローラ43)が接地したことを報知器112でオペレータに報知できるので、荷台後端部(接地ローラ43)の接地状態の確認が一層容易になる。特に、夜間等の暗い環境では、荷台後端部の接地状態を目視で確認しにくいが、報知器(ランプやブザー)112を使用することにより、暗くても明確に報知できる。
又、この第3実施例のものでは、荷台後端部接地検出器121により荷台後端部(接地ローラ43)の接地状態を直接検出することができるので、その接地状態の検出精度が向上し、報知器による報知の信頼性が一層良好になる。
尚、本願実施例で使用されている荷台移動式運搬車は、荷台4を通常傾斜角状態(図6、図8、図10)からさらに緩傾斜角状態(図7)まで変化させ得るものであるが、上記第1〜第3の各実施例の荷台接地状態報知装置は、荷台4を通常傾斜角状態までしか傾斜てきないものにも適用できることは勿論である。