JP2011127627A - 鉄道車両用軸ばね及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】型成形時に未加硫ゴムが注入ポット内で加硫され始める不都合のおそれを極力回避し、成形型に充填されてから加硫が開始されるようにして、不良率が減少されるとともに製品としての品質の安定化も図れるように改善された鉄道車両用軸ばねを提供する。
【解決手段】主軸1とこれと互いに同一又はほぼ同一の軸心Pを有する外筒2との間に、複数のゴム層4と一以上の硬質隔壁5とを軸心Pと同心又はほぼ同心状態で径内外方向で交互に積層する積層ゴム構造の弾性部3が介装されて成る鉄道車両用軸ばねにおいて、ゴム層4に用いられるゴムが、これの型成形時における注入ポットの温度よりも高い臨界温度を有する加硫促進剤の配合されたものに設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、主軸とこれと互いに同一又はほぼ同一の軸心を有する外筒との間に、複数のゴム層と硬質隔壁とを軸心と同心又はほぼ同心状態で径内外方向で交互に積層する積層ゴム構造の弾性部が介装されて成る鉄道車両用軸ばねに関するものである。
この種の鉄道車両用軸ばねの従来例としては、特許文献1において開示されるように、直円筒の積層ゴム構造を採るものや、特許文献2において開示される、断面形状がハ字状を呈するように傾斜した積層ゴム構造を採るもの(所謂「コニカルストッパー」とよ呼ばれる軸ばね)が知られている。次に、鉄道車両用軸ばねの代表例とその成形型について説明する。
まず、鉄道車両用軸ばねAは、図1,図2に示すように、主軸1と、主軸1と互いに同一(又はほぼ同一)の縦軸心Pを有する外筒2と、三層のゴム層4と二層の硬質隔壁5とを縦軸心Pと同心(又はほぼ同心)状態で径内外方向で交互に積層する積層ゴム構造に形成されて主軸1と外筒2との間に介装される弾性部3と、を有して構成されている。
主軸1は、金属製のものであって、下拡がり円錐筒状の軸上部1Aと、上部が円筒状を呈し下部が孔付中実円形断面を呈する軸下部1Bと、それらの上下間に大径状に形成されるフランジ部1Cと有している。この主軸1の周囲に配置される内側硬質隔壁5、外側硬質隔壁5、及び外筒2は、主軸1と同様に金属製のものであって、これらの筒5,5,2は上方に行くほど径が小さくなる円錐筒状に形成されている。尚、7は肉抜き部である。
軸上部1Aよりも内側硬質隔壁5がやや高い位置に、内側硬質隔壁5よりも外側硬質隔壁5がやや高い位置に、かつ、外側硬質隔壁5よりも外筒2がやや高い位置になるように縦軸心P方向に位置ズレさせた状態で配置されている。外筒2の外周部には、台車枠(図支省略)に嵌り込ませるための嵌合部6が形成されている。軸上部1A、内外の硬質隔壁5,5、外筒2と、これらの間に介装される内側ゴム層4、中間ゴム層4、外側ゴム層4とは、後述する加硫接着によって一体化される。
そして、鉄道車両用軸ばねAの成形型Kは、図3,図4に示すように、全体として有底筒状を呈する主金型8と平面視で円形の蓋型9とを備えて構成されている。主金型8は、円板状の底金具12、円筒状の外周金具13、円筒状の内部金具14、外周金具13と内部金具14との間に介装される円筒状の中間金具15、入れ子型16、芯棒型17、及び電熱装置(又はジャケット)18等を有して構成されている。内部金具14は主軸1の位置決め用のものであり、中間金具15や入れ子型16は硬質隔壁5の位置決めやゴム層4の形状設定を行うためのものである。蓋型9と注入受型10とには、各ゴム層4用空間部sに未加硫ゴムを流入するための注入孔19,20が形成されている。
蓋型9には、未加硫ゴムgを供給する注入ポットTが載置されている。注入ポットTは、芯棒型17に通されて蓋型9に嵌合載置される注入受型10と、注入受型10に上下スライド移動可能に内嵌合され、かつ、芯棒型17に通される注入中型11とを備えて構成されている。注入受型10に未加硫ゴムを必要量充填してから注入中型11を内嵌して押し下げることにより、多数の注入孔20から未加硫ゴムgを下方排出することができる構造となっている。
さて、図3は注入ポットTに所定量の未加硫ゴムgが装填されており、注入受型10に内嵌される注入中型11の下降移動(押込み移動)が開始された途端であって、未加硫ゴムgがゴム層用空間部sに注入される寸前の状態を示している。図4は、注入中型11の下降移動によってゴム層用空間部sが未加硫ゴムgで満たされた状態を示している。従来、成形型Kは勿論であり、注入ポットTも加硫温度(加硫するに必要な温度)に維持されており、主金型8に注入された未加硫ゴムgが図4に示す注入完了状態において迅速に加硫されるようにされている。これにより、ゴム成形工程に要する時間を極力短くして、鉄道車両用軸ばねAが効率良く生産できるように設定されていた。
即ち、ゴム品質の安定化のために多数の注入孔19,20を通しての一挙に未加硫ゴムgを注入するのであるが、それでも注入には数分の時間が掛かっていた。それにより、一部の未加硫ゴムgが注入ポット内において加硫が開始されてしまう場合があるとか、ゴムの流動性が高いことから注入圧力があまり上がらず主金型の一部にゴムの欠損が生じる場合もあった。従って、ある程度の不良率を見込まざるを得ないとともに、品質や性能の安定化にも芳しくない面があり、鉄道車両用軸ばねやその製造方法には改善の余地が残されているものであった。
特開2000−280903号公報 特開2003−341511号公報
本発明の目的は、型成形時に未加硫ゴムが注入ポット内で加硫され始める不都合のおそれを極力回避し、成形型に充填されてから加硫が開始されるようにして、不良率が減少されるとともに製品としての品質の安定化も図れるように改善された鉄道車両用軸ばね、並びにその製造方法を提供する点にある。
請求項1に係る発明は、主軸1とこれと互いに同一又はほぼ同一の軸心Pを有する外筒2との間に、複数のゴム層4と一以上の硬質隔壁5とを前記軸心Pと同心又はほぼ同心状態で径内外方向で交互に積層する積層ゴム構造の弾性部3が介装されて成る鉄道車両用軸ばねにおいて、
前記ゴム層4に用いられるゴムgが、これの型成形時における注入ポットTの温度tよりも高い臨界温度rを有する加硫促進剤の配合されたものに設定されていることを特徴とするものである。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の鉄道車両用軸ばねにおいて、前記臨界温度rが、前記弾性部3を加硫成形するための成形型Kの温度k以下に設定されていることを特徴とするものである。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の鉄道車両用軸ばねにおいて、前記加硫促進剤がスルフェンアミド系のものであることを特徴とするものである。
請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の鉄道車両用軸ばねにおいて、前記主軸1の外周面1a、前記弾性部3、及び前記外筒2の内周面2aそれぞれの前記軸心Pに沿う方向での断面視形状が互いに同じ向きに揃えられたハ字状に形成されるとともに、
前記弾性部3が前記軸心Pに沿う方向においては前記主軸1に対してその小径側に寄せて配置され、かつ、前記外筒2が前記軸心Pに沿う方向においては前記弾性部3に対してその小径側に寄せて配置されることで成るすり鉢状凹部21を有する円錐積層ゴム構造に構成されていることを特徴とするものである。
請求項5に係る発明は、主軸1とこれと互いに同一又はほぼ同一の軸心Pを有する外筒2との間に、複数のゴム層4と一以上の硬質隔壁5とを前記軸心Pと同心又はほぼ同心状態で径内外方向で交互に積層する積層ゴム構造の弾性部3が介装されて成る鉄道車両用軸ばねの製造方法において、
前記主軸1、前記一以上の硬質隔壁5、及び前記外筒2が装填された状態で流入される未加硫ゴムgを成形する成形型Kの温度kを未加硫ゴムgに配合される加硫促進剤の臨界温度r以上に設定し、かつ、前記成形型Kへ未加硫ゴムgを供給する注入ポットTの温度tを前記臨界温度r以下に設定した状態で、前記注入ポットTから前記成形型Kへ未加硫ゴムgを注入することを特徴とするものである。
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の鉄道車両用軸ばねの製造方法において、前記注入ポットTの温度tを、未加硫ゴムgの流動性を阻害しない程度の温度以上に設定することを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、ゴム層に用いられるゴムが、これの型成形時における注入ポットの温度よりも高い臨界温度を有する加硫促進剤の配合されたものに設定されているから、注入ポットから成形型への未加硫状態のゴムの注入に多少時間を要したとしても、注入ポット内にて加硫され始める不都合は回避されるか或は殆ど生じないようになる。つまり、成形型に注入されてから加硫される温度に昇温されるようになるから、所定の形状に収まった後に加硫される正規の状態になり、ゴムが一部欠損するとか性状が部分的に変化するといったことが防止又はより抑制されるようになる。その結果、型成形時に未加硫ゴムが注入ポット内で加硫され始める不都合のおそれを極力回避し、成形型に充填されてから加硫が開始されるようにして、不良率が減少されるとともに製品としての品質の安定化も図れるように改善された鉄道車両用軸ばねを提供することができる。
請求項2のように、成形型の温度を臨界温度以上としておけば、注入されてから温度を臨界温度以上に上昇させる場合に比べて迅速に成形処理させることができ、生産性も改善することができる。また、請求項3のように、「注入ポットの温度よりも高い臨界温度を有する加硫促進剤」としてはスルフェンアミド系のものが好適である。
請求項4の発明によれば、いわゆる「コニカルストッパー」と呼ばれるせん断構造に圧縮構造が加えられた複合構造の鉄道車両用軸ばねの品質を改善することができる。
請求項5の発明によれば、注入ポットの温度≦加硫促進剤の温度≦成形型の温度、に設定した状態で未加硫ゴムの成形型への注入による成形及び成形型での加硫が行われるから、注入に要する時間内に注入ポット内に残っている未加硫ゴムが加硫され始める不都合がまず生じないようになる。従って、成形型に注入されてから加硫される温度に昇温されるようになるから、所定の形状に収まった後に加硫される正規の状態になり、ゴムが一部欠損するとか性状が部分的に変化するといったことが防止又はより抑制されるようになる。その結果、型成形時に未加硫ゴムが注入ポット内で加硫され始める不都合のおそれを極力回避し、成形型に充填されてから加硫が開始されるようにして、不良率が減少されるとともに製品としての品質の安定化も図れるように改善された鉄道車両用軸ばねの製造方法を提供することができる。
請求項6の発明によれば、注入ポットから成形型への未加硫ゴムの注入を円滑に行うことができ、ゴム層が部分的に性状が変化するといった流動性の悪さに起因する不都合が解消され、鉄道車両用軸ばねの品質がより改善される製造方法を提供することができる。
鉄道車両用軸ばねを示す断面図 図1の鉄道車両用軸ばねの平面図 鉄道車両用軸ばねの型成形開始直後の状態を示す断面図 鉄道車両用軸ばねの型成形時の未加硫ゴム注入完了状態を示す断面図
以下に、本発明による鉄道車両用軸ばね及びその製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
〔実施例1〕
実施例1による鉄道車両用軸ばねAは、先に述べた図1及び図2に示す従来品と同構造であり、主軸1とこれと互いに同一(又はほぼ同一)の軸心Pを有する外筒2との間に、三層(複数の一例)のゴム層4と二層(一以上の一例)の円筒状の金属環(硬質隔壁の一例)5とを軸心Pと同心(又はほぼ同心)状態で径内外方向で交互に積層する積層ゴム構造の弾性部3が介装されて構成されている。尚、弾性部3が積層ゴム構造を採る場合、金属環5の数はゴム層4の数から1減じた値になる。
図1、図2に示すように、主軸1の外周面(軸上部1Aの外周面)1a、弾性部3、及び外筒2の内周面2aそれぞれの軸心Pに沿う方向(図1では上下方向)での断面視形状が互いに同じ向きに揃えられたハ字状に形成されている。そして、弾性部3が軸心Pに沿う方向においては主軸1に対してその小径側に寄せて配置され、かつ、外筒2が軸心Pに沿う方向においては弾性部3に対してその小径側に寄せて配置されることで成るすり鉢状凹部21を有する円錐積層ゴム構造の鉄道車両用軸ばねAに構成されている。その他の説明は、従来品と同じであり、ここでのこれ以上の構造的説明は割愛する。
従来品との違いは、ゴム層4に用いられるゴム(未加硫ゴム)gが、これの型成形時における注入ポットTの温度tよりも高い臨界温度rを有する加硫促進剤(以下、単に「促進剤」と略称する)の配合されたものに設定されている点である。具体的には、注入ポットTの温度tは、「90℃≦t≦130℃」に設定され、成形型Kの温度kは、140℃≦k≦170℃に設定されている。また、促進剤の一例としては、臨界温度が134℃のジベンゾチアジルジスルフィドや、臨界温度が141℃のN‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミドを使っている。
未加硫ゴムgの成分及びその配合比率の例としては、素練りゴム(NR;Rss#3)100に対して、亜鉛華5、ステアリン酸1、ワックス1、老化防止剤2、カーボンブラック (N550)55、アロマ系オイル5、硫黄1.5、促進剤1.5である。そして、促進剤とその臨界温度の例としては、N‐シクロヘキシル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(141℃)、N‐オキシジエチレン‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(145℃)、N‐t‐ブチル‐2‐ベンゾチアジルスルフェンアミド(143℃)、ジベンゾチアジルジスルフィド(134℃)、メルカプトベンゾチアゾール(125℃)が挙げられる。
ゴム層4(未加硫ゴムg)のゴム材料としては、天然ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)やそれら二以上のものがブレンドされて成るものでも良い。ゴム材料として硫黄
ここで臨界温度について説明する。促進剤が促進効果(加硫促進効果)」を発揮するに必要な最低温度を臨界温度(Criticaru Temperature : CT)という。促進剤にそれぞれ特有の鋭敏な臨界温度があるわけではなく、どんな安全性の高い促進剤でも加硫温度以下の低温で、例えば70℃に長時間放置すれば、多少の差はあるが加硫現象を示すようになる。即ち、臨界温度とは、それ以下では加硫せず、それ以上では加硫する、といった具合にはっきりとした温度というものではなく、いわば概念的な温度であるということができる。
例えば、ジフェニル・チオ尿素は弱促進剤(加硫作用の弱い促進剤)であるが低温で加硫が進行し、スコーチの傾向が強い。この例で分かるように、超促進剤(加硫作用の超強い促進剤)が低いというわけではないが、一般的に強促進剤(加硫作用の強い促進剤)ほどCTが低い。スルフェンアミド系のような遅滞性のものは準超促進剤(加硫作用の準超強い促進剤)が多いが、他の促進剤に比べると比較的にCTがはっきりしている傾向がある。
次に、鉄道車両用軸ばねAの製造方法について説明する。本発明による鉄道車両用軸ばねAは、基本的には図3,図4に示す従来の方法と同一の型成形によって作製される。違いは、従来では成形型Kも注入ポットTもゴム層4の臨界温度rよりも高い温度に設定されていたのに対して、本発明による製造方法では、主軸1、内外の金属環5,5、及び外筒2が装填された状態で流入される未加硫ゴムgを成形する成形型Kの温度kを未加硫ゴムgに配合される促進剤の臨界温度r以上に設定し、かつ、成形型Kへ未加硫ゴムgを供給する注入ポットTの温度tを前記臨界温度r以下に設定した状態で、注入ポットTから成形型Kへ未加硫ゴムgを注入する点にある。
注入ポットTの温度範囲について:未加硫ゴムgを一定期間の間に放置しても、加硫が促進され難く、かつ、未加硫ゴムg自体の流動性を良くする効果を発生させるため、注入ポットTの温度tは、90℃≦t≦130℃に、好ましくは、100℃≦t≦120℃に設定するのが望ましい。90℃以下の場合、注入ポットTから未加硫ゴムgを注入する際に未加硫ゴムgの流れ性が悪くなる。また、130℃以上の温度にした場合、放置時間が長くなることで、スコーチ(早期加硫)が起こり易くなり、型流れ性も悪くなり、製品物性に悪い影響を与える。つまり、「未加硫ゴムgの流動性を阻害しない程度の温度」とは90℃である。
成形型Kの温度範囲について:成形型Kの温度kは、通常未加硫ゴムgが加硫でき得る範囲の温度で設定することができるが、一般的には、140℃≦k≦170℃の温度が好ましい。何故なら、成形型Kの温度kが140℃以下では、適正な加硫時間が多くかかりコスト面で不利となり、170℃以上では天然ゴム系の場合、リバージョン(加硫戻り現象)を起こし物性低下を起こし易いからである。尚、促進剤の臨界温度rは、記載されているように臨界温度rより低くても長時間放置で加硫が徐々に進行するので、注入ポットTに比較的長時間未加硫ゴムgが保持されていても、その臨界温度rが高い場合には加硫の進行状態が遅くなる。
以上説明したように、鉄道車両用軸ばねAのゴム層4に使用される未加硫ゴムgに配合される加硫促進剤として、その臨界温度rが125℃〜145℃のものを用いるとともに、成形型Kの温度kを140℃〜170℃に、かつ、注入ポットTの温度tを90℃〜130℃に、好ましくは100℃〜120℃にそれぞれ設定して型成形を行うという製造方法を採っている。従って、流動性の悪さや早期加硫のおそれなく未加硫ゴムgを注入ポットTから成形型Kに充填させることができて、成形型Kに注入されてから加硫される温度に昇温されるように、即ち、所定の形状に収まった後に加硫される正規の状態になり、ゴムが一部欠損するとか性状が部分的に変化するといったことが防止又はより抑制されるようになる。
その結果、型成形時に未加硫ゴムgが注入ポットT内で加硫され始める不都合のおそれが極力回避され、成形型Kに充填されてから加硫が開始されるようにして、不良率が減少されるとともに製品としての品質の安定化も図れるように改善された鉄道車両用軸ばねAを提供することができている。
〔補足説明〕
鉄道車両用軸ばねでは数リットルのゴムを要する比較的縦長で円錐形状を呈するゴム製品であり、一般的に安定的製法とされる大型ゴム金型製品のような圧縮成形加硫が採用できない。また、加硫時間が長く注入経路も長いのでインジェクションにも不適であることから、注入ポットを用いての多数の注入孔からゴムを一挙に各ゴム層用空間に注入させる方式、即ち、注入ポットと成形型(金型)とを用いた型成形方法(トランスファー成形)が採られている。そのためには注入ポット温度を高くしてゴム(未加硫ゴム)の流動性を良く(高く)しておくのであるが、従来では、それでも注入には数分を要するので未加硫ゴムの一部が不測の加硫開始が生じて安定的な性能が得られないとか、流動性が良いことから圧力があまり上がらず一部にゴムの欠損が生じたりする不都合があった。
また、予め金属環等に塗布されている接着剤が比較的高温で注入されてくるゴムの流動によって剥れ易い面もあった。さらに、内外3箇所の略円錐台状に分断されてそれぞれボリュームの異なるゴム層用空間を持ち、それらに均一にゴムを注入開始し、かつ、注入完了するようにしないと金属環が変形するおそれもある。そこで、注入孔の径や数(周方向の数や径方向の数)を適宜に変更設定する等の面倒な操作が行われていたが、前述の良過ぎる流動性による欠損や早期加硫の問題は依然として残り、製品不良を引き起こす要因となっていた。
そこで、本発明においては、促進剤の工夫並びに注入ポット温度設定の工夫により、促進剤による臨界温度よりも低く、かつ、未加硫ゴムの流動性を阻害しない程度の温度範囲(90℃〜130℃)に注入ポット温度を設定したものである。これにより、注入ポットの温度を下げたことで、未加硫ゴムの成形型への注入は適正な温度及び適正な圧力でもって行えるようになり、従来の種々の問題が解決されて品質の安定する鉄道車両用軸ばねを提供することができている。
1 主軸
1a 外周面
2 外筒
2a 内周面
3 弾性部
4 ゴム層
5 硬質隔壁
21 すり鉢状凹部
K 成形型
P 軸心
T 注入ポット
g ゴム(未加硫ゴム)
k 成形型Kの温度
r 臨界温度
t 注入ポットの温度

Claims (6)

  1. 主軸とこれと互いに同一又はほぼ同一の軸心を有する外筒との間に、複数のゴム層と一以上の硬質隔壁とを前記軸心と同心又はほぼ同心状態で径内外方向で交互に積層する積層ゴム構造の弾性部が介装されて成る鉄道車両用軸ばねであって、
    前記ゴム層に用いられるゴムが、これの型成形時における注入ポットの温度よりも高い臨界温度を有する加硫促進剤の配合されたものに設定されている鉄道車両用軸ばね。
  2. 前記臨界温度が、前記弾性部を加硫成形するための成形型の温度以下に設定されている請求項1に記載の鉄道車両用軸ばね。
  3. 前記加硫促進剤がスルフェンアミド系のものである請求項1又は2に記載の鉄道車両用軸ばね。
  4. 前記主軸の外周面、前記弾性部、及び前記外筒の内周面それぞれの前記軸心に沿う方向での断面視形状が互いに同じ向きに揃えられたハ字状に形成されるとともに、
    前記弾性部が前記軸心に沿う方向においては前記主軸に対してその小径側に寄せて配置され、かつ、前記外筒が前記軸心に沿う方向においては前記弾性部に対してその小径側に寄せて配置されることで成るすり鉢状凹部を有する円錐積層ゴム構造に構成されている請求項1〜3の何れか一項に記載の鉄道車両用軸ばね。
  5. 主軸とこれと互いに同一又はほぼ同一の軸心を有する外筒との間に、複数のゴム層と一以上の硬質隔壁とを前記軸心と同心又はほぼ同心状態で径内外方向で交互に積層する積層ゴム構造の弾性部が介装されて成る鉄道車両用軸ばねの製造方法であって、
    前記主軸、前記一以上の硬質隔壁、及び前記外筒が装填された状態で流入される未加硫ゴムを成形する成形型の温度を未加硫ゴムに配合される加硫促進剤の臨界温度以上に設定し、かつ、前記成形型へ未加硫ゴムを供給する注入ポットの温度を前記臨界温度以下に設定した状態で、前記注入ポットから前記成形型へ未加硫ゴムを注入する鉄道車両用軸ばねの製造方法。
  6. 前記注入ポットの温度を、前記未加硫ゴムの流動性を阻害しない程度の温度以上に設定する請求項5に記載の鉄道車両用軸ばねの製造方法。
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