JP2011127243A - 制菌加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、繊維製品を複数回洗濯した後にも制菌効果が低減せずに維持される、カチオン性ポリペプチドを用いて繊維製品を制菌加工する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
濃度が250ppm以上で、液温が25℃以上のカチオン性ポリペプチドを含有する水溶液に、繊維製品を20分以上浸漬することにより、繊維製品に制菌効果を付与する。係る方法で制菌加工を施した繊維製品は、複数回洗濯した後にも制菌効果が低減せず維持される。
【選択図】なし
本発明は、繊維製品を複数回洗濯した後にも制菌効果が低減せずに維持される、カチオン性ポリペプチドを用いて繊維製品を制菌加工する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
濃度が250ppm以上で、液温が25℃以上のカチオン性ポリペプチドを含有する水溶液に、繊維製品を20分以上浸漬することにより、繊維製品に制菌効果を付与する。係る方法で制菌加工を施した繊維製品は、複数回洗濯した後にも制菌効果が低減せず維持される。
【選択図】なし
Description
本発明は、繊維製品を制菌加工する方法に関する。
人体に接触する衣類、タオル、寝具等の繊維製品は、発汗や空気中の汚れにより、細菌が繁殖しやすい。その結果、皮膚障害を起こしたり、細菌の分解物等が放つ悪臭で不快な現象が生じたり、繊維の変質、変色、劣化が生じたりする。特に合成繊維は、汗を吸収することが少ないため、該繊維製品を身につけた場合、汗の付着により、微生物が繁殖しやすく問題となる。
近年、消費者全般に衛生に関する認識及び衛生志向が高まっていることもあり、従来から繊維製品に抗菌性を付与する方法が多数考案されている。例えば、紡糸原液中に抗菌剤を練り込み紡糸して繊維を製造する方法や、抗菌剤溶液に繊維を含浸させる方法等がある。
近年、消費者全般に衛生に関する認識及び衛生志向が高まっていることもあり、従来から繊維製品に抗菌性を付与する方法が多数考案されている。例えば、紡糸原液中に抗菌剤を練り込み紡糸して繊維を製造する方法や、抗菌剤溶液に繊維を含浸させる方法等がある。
上記のような繊維製品に抗菌性を付与する方法に用いられる抗菌剤として、食品添加物としても用いられるε−ポリリジンやプロタミン等のカチオン性ポリペプチドは安全性も高く、有用である。なお、プロタミンは魚類精子核由来のヒストン様ペプチドの総称を指し、具体的にはアルギニンリッチな構造を有するポリペプチドである。
これまでにε−ポリリジンを利用した例では、ε−ポリリジンをポリプロピレンやポリエチレン等の紡糸原液に混練して紡糸した例や(特許文献1、2)、高分子にε−ポリリジンをグラフト重合させた例や(特許文献3)、ε−ポリリジン溶液と他の成分とを含む溶液に繊維を含浸させる方法(特許文献4〜6)がある。また、プロタミンを利用した例では、プロタミンを防カビ剤として不織布に塗布して付着させる方法(特許文献7)がある。
これまでにε−ポリリジンを利用した例では、ε−ポリリジンをポリプロピレンやポリエチレン等の紡糸原液に混練して紡糸した例や(特許文献1、2)、高分子にε−ポリリジンをグラフト重合させた例や(特許文献3)、ε−ポリリジン溶液と他の成分とを含む溶液に繊維を含浸させる方法(特許文献4〜6)がある。また、プロタミンを利用した例では、プロタミンを防カビ剤として不織布に塗布して付着させる方法(特許文献7)がある。
これらの方法のうち、含浸や塗布によって繊維に抗菌剤を付着させることによる制菌加工方法は特に簡便であるため、汎用化が望まれる。
しかしながら、上記先行技術の加工条件では、洗濯時に抗菌剤が脱落して制菌効果を維持することができず、カチオン性ポリペプチド以外の成分を加工の際に存在させることとしている。すなわち、繊維製品を複数回洗濯した後にも、抗菌剤の制菌効果が低減せずに維持されるように繊維製品を制菌加工する方法は、未だ達成されていない。
しかしながら、上記先行技術の加工条件では、洗濯時に抗菌剤が脱落して制菌効果を維持することができず、カチオン性ポリペプチド以外の成分を加工の際に存在させることとしている。すなわち、繊維製品を複数回洗濯した後にも、抗菌剤の制菌効果が低減せずに維持されるように繊維製品を制菌加工する方法は、未だ達成されていない。
T.Motohiro: Bio Industry, 6(2), 5(1989)
本発明は、繊維製品を複数回洗濯した後にも制菌効果が低減せずに維持される、カチオン性ポリペプチドを用いて繊維製品を制菌加工する方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った。その結果、特定の濃度範囲のカチオン性タンパク質を含有する水溶液に、特定の温度で、特定の時間、浸漬した繊維製品が、複数回の洗濯後も高い抗菌性を維持することを見出した。本発明者らは係る知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)カチオン性ポリペプチドを含有する水溶液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の制菌加工方法であって、前記水溶液のカチオン性ポリペプチド濃度が250ppm以上であり、前記水溶液の液温が25℃以上であり、前記浸漬時間が20分以上であることを特徴とする、繊維製品の制菌加工方法。
(2)前記カチオン性ポリペプチドが、ε−ポリリジン及びプロタミンから選ばれる、(1)に記載の制菌加工方法。
(3)前記液温が50℃以上である、(1)又は(2)に記載の制菌加工方法。
(4)前記カチオン性ポリペプチド濃度が2500ppm以上である、(1)〜(3)の何れかに記載の制菌加工方法。
(5)前記浸漬時間が2時間以上である、(1)〜(4)の何れかに記載の制菌加工方法。
(6)前記カチオン性ポリペプチド以外の成分の総濃度が5000ppm以下である、(1)〜(5)の何れかに記載の制菌加工方法。
(7)(1)〜(6)の何れかに記載の方法により、抗菌繊維製品を製造する方法。
(1)カチオン性ポリペプチドを含有する水溶液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の制菌加工方法であって、前記水溶液のカチオン性ポリペプチド濃度が250ppm以上であり、前記水溶液の液温が25℃以上であり、前記浸漬時間が20分以上であることを特徴とする、繊維製品の制菌加工方法。
(2)前記カチオン性ポリペプチドが、ε−ポリリジン及びプロタミンから選ばれる、(1)に記載の制菌加工方法。
(3)前記液温が50℃以上である、(1)又は(2)に記載の制菌加工方法。
(4)前記カチオン性ポリペプチド濃度が2500ppm以上である、(1)〜(3)の何れかに記載の制菌加工方法。
(5)前記浸漬時間が2時間以上である、(1)〜(4)の何れかに記載の制菌加工方法。
(6)前記カチオン性ポリペプチド以外の成分の総濃度が5000ppm以下である、(1)〜(5)の何れかに記載の制菌加工方法。
(7)(1)〜(6)の何れかに記載の方法により、抗菌繊維製品を製造する方法。
本発明の方法で繊維製品を制菌加工することによって、該繊維製品を複数回洗濯した後にもカチオン性ポリペプチドによる制菌効果を低減せずに維持させることができる。
本発明の方法に用いるカチオン性ポリペプチドは、塩基性アミノ酸を主体とするポリペプチドであり、その構成の60%モル以上、好ましくは70%モル以上、より好ましくは80%モル以上が塩基性アミノ酸である。係るカチオン性ポリペプチドとしては、ε−ポリリジン、プロタミン等が好ましい。また、これらのカチオン性ポリペプチドの重合度は特に限定はしないが、1000〜5000が好ましい。
本発明の方法に用いることができるε−ポリリジンは、例えば特開昭59−20359号公報に記載のε−ポリリジン生産菌であるストレプトマイセス属に属するポリリジン生産菌であるストレプトマイセス・アルブラスサブスピーシーズ・リジノポリメラスを培地に培養し、得られた培養物からε−ポリリジンを分離・採取することによって得られる。
本発明において、ε−ポリリジンは遊離の形で用いることができるが、塩酸、硫酸、リン酸および臭化水素酸から選ばれた少なくとも1種の無機酸、または酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれた少なくとも1種の有機酸の塩の形で用いることもできる。ε−ポリリジンの抗菌剤としての効果は、遊離の形でも、塩の形でも本質的に差異はない。
ポリリジン塩は常法により製造される。例えば含水メタノール溶液に前記ε−ポリリジンを溶解させ、これに前記酸を加え、溶液が中和点を過ぎたところで、冷アセトンを加えて沈澱した塩を乾燥させることによって得られる。
本発明において、ε−ポリリジンは遊離の形で用いることができるが、塩酸、硫酸、リン酸および臭化水素酸から選ばれた少なくとも1種の無機酸、または酢酸、プロピオン酸、フマル酸、リンゴ酸およびクエン酸から選ばれた少なくとも1種の有機酸の塩の形で用いることもできる。ε−ポリリジンの抗菌剤としての効果は、遊離の形でも、塩の形でも本質的に差異はない。
ポリリジン塩は常法により製造される。例えば含水メタノール溶液に前記ε−ポリリジンを溶解させ、これに前記酸を加え、溶液が中和点を過ぎたところで、冷アセトンを加えて沈澱した塩を乾燥させることによって得られる。
本発明の方法に係るプロタミンは、市販のものを利用することができ、サケ、ニシン等
種々の魚類由来であってよい。
製造方法としては、魚類の精巣を磨砕し、その磨砕物から鉱酸で抽出する方法、あるいは磨砕せずに直接鉱酸で抽出する方法があり、さらにアルカリ剤の添加による塩析法、縮合リン酸塩の添加による沈殿法、エタノール等による有機溶媒沈殿法、酵素法、遊離化した後にイオン交換や電気透析をする精製方法など多数が提案されている。さらに鉱酸抽出液に酸可溶性カチオン系高分子凝集剤を加えて夾雑物を除去する方法なども報告されている(特公平7−86119号公報、特許252161号公報、特許2685424号公報)。本発明にはこれらの抽出、精製方法を用いて得たプロタミンを用いることができる。
種々の魚類由来であってよい。
製造方法としては、魚類の精巣を磨砕し、その磨砕物から鉱酸で抽出する方法、あるいは磨砕せずに直接鉱酸で抽出する方法があり、さらにアルカリ剤の添加による塩析法、縮合リン酸塩の添加による沈殿法、エタノール等による有機溶媒沈殿法、酵素法、遊離化した後にイオン交換や電気透析をする精製方法など多数が提案されている。さらに鉱酸抽出液に酸可溶性カチオン系高分子凝集剤を加えて夾雑物を除去する方法なども報告されている(特公平7−86119号公報、特許252161号公報、特許2685424号公報)。本発明にはこれらの抽出、精製方法を用いて得たプロタミンを用いることができる。
本発明の方法において、カチオン性ポリペプチドを含有する水溶液に繊維製品を浸漬する工程は、カチオン性ポリペプチド水溶液のプールに繊維製品を浸すことによって行うことができる。その際、繊維製品が水溶液中に完全に浸っている(液面から露出している部分が無い)状態であることが好ましい。本工程の結果、該水溶液は該繊維製品の繊維に十分に浸透する。
本発明の方法において、カチオン性ポリペプチド水溶液の濃度は、250ppm以上が好ましく、より好ましくは1000ppm以上、さらに好ましくは2500ppm以上である。また、該濃度の上限は、効果が頭打ちになるため5000ppmとする。また、前記水溶液に含有されるカチオン性ポリペプチド以外の成分の総濃度は、5000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは実質的に含有しない。
カチオン性ポリペプチド以外の成分の濃度が上記範囲であれば、カチオン性ポリペプチドの制菌効果に対する悪影響が極小化されるからである。具体的には、有機酸等による水溶液のpH低下を防ぐことができるため、当該成分の含有割合は上記の範囲であることが好ましい。イオン強度を上昇させ制菌効果に影響を与えやすい有機酸塩についても同様である。また、洗浄剤に汎用の成分であるドデシル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤についても同様である。
カチオン性ポリペプチド以外の成分の濃度が上記範囲であれば、カチオン性ポリペプチドの制菌効果に対する悪影響が極小化されるからである。具体的には、有機酸等による水溶液のpH低下を防ぐことができるため、当該成分の含有割合は上記の範囲であることが好ましい。イオン強度を上昇させ制菌効果に影響を与えやすい有機酸塩についても同様である。また、洗浄剤に汎用の成分であるドデシル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤についても同様である。
また、繊維製品とカチオン性ポリペプチド水溶液の重量比は、1:5から1:20であることが好ましい。
また、カチオン性ポリペプチド水溶液のpHは、5より大きいことが好ましい。より好ましくは、pH6以上、さらに好ましくはpH7以上である。カチオン性ポリペプチド水溶液がアルカリ性側である場合、制菌効果は低下し難い。
本発明の方法において、カチオン性ポリペプチド水溶液の液温は25℃以上であり、好ましくは50℃以上である。その上限は特に限定されるものではないが、好ましくは120℃であり、より好ましくは75℃である。上限がこの範囲であれば、仮に20分間加熱した場合であってもカチオン性ポリペプチドは安定であり、本発明の効果が損なわれ難い。
本発明の方法において、カチオン性ポリペプチド水溶液に繊維製品を浸漬する時間は20分以上である。当該浸漬時間は、カチオン性ポリペプチド水溶液が繊維製品の繊維に十分に浸透するのに十分な長さがあればよく、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上であり、24時間以内の工程時間で十分に効果を得ることができる。
本発明の方法を適用する繊維製品の素材には特に制限はなく、綿、ウール、麻、絹、竹等の天然繊維、又はレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、アセテート、プロミックス等の半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイミド、ナイロン等の合成繊維、及びこれらの繊維の複合繊維が挙げられる。また、これらの繊維製品の形態にも特に制限はなく、例えば、短繊維、長繊維、糸、織物、編物、不織布、紙等が挙げられる。
本発明の方法において、カチオン性ポリペプチド水溶液に繊維製品を浸漬する時間は20分以上である。当該浸漬時間は、カチオン性ポリペプチド水溶液が繊維製品の繊維に十分に浸透するのに十分な長さがあればよく、より好ましくは1時間以上、さらに好ましくは2時間以上であり、24時間以内の工程時間で十分に効果を得ることができる。
本発明の方法を適用する繊維製品の素材には特に制限はなく、綿、ウール、麻、絹、竹等の天然繊維、又はレーヨン、キュプラ等の再生セルロース繊維、アセテート、プロミックス等の半合成繊維、ポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリイミド、ナイロン等の合成繊維、及びこれらの繊維の複合繊維が挙げられる。また、これらの繊維製品の形態にも特に制限はなく、例えば、短繊維、長繊維、糸、織物、編物、不織布、紙等が挙げられる。
本発明の方法により繊維製品に制菌加工を施すと、複数回洗濯した後にも制菌効果が維持される。具体的には、所定の手順による洗濯を所定の回数経た後に検定される抗菌性試験において、殺菌活性値L値が0以上となる。本発明の方法は、一般に繊維製品に付着・繁殖しうる細菌に対して制菌効果があり、係る細菌は例えば大腸菌、黄色ブドウ球菌、肺炎桿菌、緑膿菌、MRSA等である。従って、本発明の制菌加工方法により、上記細菌に対して抗菌効果を有する繊維製品(抗菌繊維製品)を製造することができる。
なお、大腸菌およびブドウ球菌に対しては、カチオン性ポリペプチド水溶液の濃度を250ppm以上とすることが好ましい。
なお、大腸菌およびブドウ球菌に対しては、カチオン性ポリペプチド水溶液の濃度を250ppm以上とすることが好ましい。
ここで、殺菌活性値Lは次式で定義される(詳細は社団法人繊維評価技術協議会(JTETC)の抗菌防臭加工繊維製品認証基準を参照されたい)。このL値が≧0の場合、抗菌効果があるとされ、制菌加工繊維製品の認証対象(SEKマーク付与)となる。
L(殺菌活性値)=(Ma−Mc)
Ma:標準布の試験菌接種直後の3検体の生菌数またはATP量の常用対数値の平均値
Mc:抗菌加工布の18時間培養後の3検体の生菌数またはATP量の常用対数値の平均値
L(殺菌活性値)=(Ma−Mc)
Ma:標準布の試験菌接種直後の3検体の生菌数またはATP量の常用対数値の平均値
Mc:抗菌加工布の18時間培養後の3検体の生菌数またはATP量の常用対数値の平均値
以下に実施例を掲げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
後述の各試験において、制菌加工方法による抗菌効果は以下の手順に従って検討した。
<ポリカチオン性ポリペプチドの含浸方法>
0.4gずつにカットした糸を繊維サンプルとし、所定の温度(25、50又は75℃)に加熱した所定の濃度のポリカチオン性ポリペプチド水溶液に、所定の時間浸漬した。ポリカチオン性ポリペプチドは以下のものを用いた。
・ε−ポリリジン:ポリリジン25%水溶液:(チッソ株式会社)
・プロタミン:プロタミン硫酸塩・サケ由来(和光純薬工業)
その後、繊維サンプルをJIS L−0217 103に係る洗濯方法を改変した簡便法(「センカの抗菌剤」;抗菌のすべてp.595-598,1997年,繊維社)で洗濯し、自然乾燥させた。洗濯方法は、以下の工程により行った。
(1)洗濯機水槽の一番上の水位線まで液温40℃の水を入れ、これに水30Lに対して40mLの割合で「JAFET標準洗剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)」を添加して洗濯液とする。
(2)洗濯液に、浴比(浸漬後の繊維を洗濯するときの繊維と洗濯液の重量比)が1:30になるよう繊維サンプルを投入して25分間運転する。
(3)繊維サンプルを脱水機で脱水する。脱水は7−8分行なった。
(4)洗濯液を常温の新しい水に替えて、同一の浴比で4分間溜めすすぎ洗いを行う。
(5)繊維サンプルを脱水機で脱水する。脱水は7−8分行なった。
(6)2分間注水すすぎ洗いを行う。
(8)(1)〜(6)を5回分とし、これを2回繰り返して「洗濯10回」とする。
(7)繊維サンプルを脱水機で脱水する。
<抗菌試験方法>
普通ブイヨンで30℃、18時間培養した菌液を混合・希釈して、106個/mLの希釈菌液を調製した。洗濯0回又は10回後の繊維サンプル0.4gを、バイアル瓶に取り、希釈菌液を400μL接種し、サンプルに浸みこませて37℃で培養した。18時間後にバイアル瓶に生理食塩水を20mL添加し、ミキサーで5秒×5回攪拌して菌を懸濁した。懸濁液を適宜希釈し、菌数を数え、前述の式により殺菌活性値Lを算出した。なお、
試験菌は大腸菌(Escherichia coli)及びブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を用いた。
<ポリカチオン性ポリペプチドの含浸方法>
0.4gずつにカットした糸を繊維サンプルとし、所定の温度(25、50又は75℃)に加熱した所定の濃度のポリカチオン性ポリペプチド水溶液に、所定の時間浸漬した。ポリカチオン性ポリペプチドは以下のものを用いた。
・ε−ポリリジン:ポリリジン25%水溶液:(チッソ株式会社)
・プロタミン:プロタミン硫酸塩・サケ由来(和光純薬工業)
その後、繊維サンプルをJIS L−0217 103に係る洗濯方法を改変した簡便法(「センカの抗菌剤」;抗菌のすべてp.595-598,1997年,繊維社)で洗濯し、自然乾燥させた。洗濯方法は、以下の工程により行った。
(1)洗濯機水槽の一番上の水位線まで液温40℃の水を入れ、これに水30Lに対して40mLの割合で「JAFET標準洗剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)」を添加して洗濯液とする。
(2)洗濯液に、浴比(浸漬後の繊維を洗濯するときの繊維と洗濯液の重量比)が1:30になるよう繊維サンプルを投入して25分間運転する。
(3)繊維サンプルを脱水機で脱水する。脱水は7−8分行なった。
(4)洗濯液を常温の新しい水に替えて、同一の浴比で4分間溜めすすぎ洗いを行う。
(5)繊維サンプルを脱水機で脱水する。脱水は7−8分行なった。
(6)2分間注水すすぎ洗いを行う。
(8)(1)〜(6)を5回分とし、これを2回繰り返して「洗濯10回」とする。
(7)繊維サンプルを脱水機で脱水する。
<抗菌試験方法>
普通ブイヨンで30℃、18時間培養した菌液を混合・希釈して、106個/mLの希釈菌液を調製した。洗濯0回又は10回後の繊維サンプル0.4gを、バイアル瓶に取り、希釈菌液を400μL接種し、サンプルに浸みこませて37℃で培養した。18時間後にバイアル瓶に生理食塩水を20mL添加し、ミキサーで5秒×5回攪拌して菌を懸濁した。懸濁液を適宜希釈し、菌数を数え、前述の式により殺菌活性値Lを算出した。なお、
試験菌は大腸菌(Escherichia coli)及びブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を用いた。
<実施例1>
綿糸又はウール糸を繊維サンプルとして、抗菌効果が得られる(L≧0となる)ポリカチオン性ポリペプチド濃度を検討した。ポリカチオン性ポリペプチドはε−ポリリジンを用い、水溶液の液温は50℃又は75℃とし、浸漬時間は2〜24時間とし、ε−ポリリジン濃度は500〜30,000ppmとした。
結果を表1に示す。綿糸及びウールでは、大腸菌に対しては50℃で、2時間以上、2500ppmのε−ポリリジン水溶液という浸漬条件で、ブドウ球菌に対しては50℃で、2時間以上、500ppmのε−ポリリジン水溶液という浸漬条件で、制菌効果が得られた。
綿糸又はウール糸を繊維サンプルとして、抗菌効果が得られる(L≧0となる)ポリカチオン性ポリペプチド濃度を検討した。ポリカチオン性ポリペプチドはε−ポリリジンを用い、水溶液の液温は50℃又は75℃とし、浸漬時間は2〜24時間とし、ε−ポリリジン濃度は500〜30,000ppmとした。
結果を表1に示す。綿糸及びウールでは、大腸菌に対しては50℃で、2時間以上、2500ppmのε−ポリリジン水溶液という浸漬条件で、ブドウ球菌に対しては50℃で、2時間以上、500ppmのε−ポリリジン水溶液という浸漬条件で、制菌効果が得られた。
<実施例2>
種々の素材の糸を繊維サンプルとして、抗菌効果が得られる(L≧0となる)ポリカチオン性ポリペプチド濃度を検討した。ポリカチオン性ポリペプチドはε−ポリリジンを用い、水溶液の液温は25℃とし、浸漬時間は2〜24時間とし、ε−ポリリジン濃度は250〜30,000ppmとした。
結果を表2に示す。大腸菌・ブドウ球菌の何れに対しても25℃で、2時間以上、500ppmのε−ポリリジン水溶液という浸漬条件で、制菌効果が得られた。
種々の素材の糸を繊維サンプルとして、抗菌効果が得られる(L≧0となる)ポリカチオン性ポリペプチド濃度を検討した。ポリカチオン性ポリペプチドはε−ポリリジンを用い、水溶液の液温は25℃とし、浸漬時間は2〜24時間とし、ε−ポリリジン濃度は250〜30,000ppmとした。
結果を表2に示す。大腸菌・ブドウ球菌の何れに対しても25℃で、2時間以上、500ppmのε−ポリリジン水溶液という浸漬条件で、制菌効果が得られた。
本発明の方法によれば、繊維製品を複数回洗濯した後にもカチオン性ポリペプチドによる制菌効果が低減せずに維持するように繊維製品を制菌加工することができるので、産業上非常に有用である。
Claims (7)
- カチオン性ポリペプチドを含有する水溶液に繊維製品を浸漬する工程を含む、繊維製品の制菌加工方法であって、前記水溶液のカチオン性ポリペプチド濃度が250ppm以上であり、前記水溶液の液温が25℃以上であり、前記浸漬時間が20分以上であることを特徴とする、繊維製品の制菌加工方法。
- 前記カチオン性ポリペプチドが、ε−ポリリジン及びプロタミンから選ばれる、請求項1に記載の制菌加工方法。
- 前記液温が50℃以上である、請求項1又は2に記載の制菌加工方法。
- 前記カチオン性ポリペプチド濃度が2500ppm以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載の制菌加工方法。
- 前記浸漬時間が2時間以上である、請求項1〜4の何れか1項に記載の制菌加工方法。
- 前記カチオン性ポリペプチド以外の成分の総濃度が5000ppm以下である、請求項1〜5の何れか1項に記載の制菌加工方法。
- 請求項1〜6の何れか1項に記載の方法により、抗菌繊維製品を製造する方法。
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