JP2011126229A - 記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高画像濃度と高精細性とを両立する記録媒体およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】支持体と該支持体上にインク受容層とを有し該インク受容層がBET吸着法による細孔分布の異なる2種類以上の非晶質無機粒子を含み各種類の非晶質無機粒子のコールターカウンター法による平均凝集粒子直径は6μm以上、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布は細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有し該インク受容層のBET吸着法による細孔分布において細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比が0.5以上、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径と該インク受容層の乾燥後膜厚dとがいずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径を満たす記録媒体。その製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】支持体と該支持体上にインク受容層とを有し該インク受容層がBET吸着法による細孔分布の異なる2種類以上の非晶質無機粒子を含み各種類の非晶質無機粒子のコールターカウンター法による平均凝集粒子直径は6μm以上、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布は細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有し該インク受容層のBET吸着法による細孔分布において細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比が0.5以上、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径と該インク受容層の乾燥後膜厚dとがいずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径を満たす記録媒体。その製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録媒体などの記録媒体およびその製造方法に関する。
インクジェット記録方式に用いられる上質紙やコーテッド紙は、インクの吸収性に劣る場合があり、境界がにじむブリーディングが発生する等で、良好な画像再現性を得ることが困難な場合がある。
このような中、画像再現性と鉛筆筆記性とを両立させるため、細孔半径の異なる二種類以上の非晶質シリカを適宜併用する記録媒体が提案されている(特許文献1参照)。また、さらに高精細性を備えつつ、表面強度を上げるために異なる比表面積を持つ無機顔料を併用する記録媒体が提案されている(特許文献2参照)。
しかし近年、インクジェット記録方式においては、プリント速度、解像度、色彩性などが向上しており、記録媒体に対しては、吸収が高速で、吸収容量が大きく、高画像濃度を実現するさらに高度な特性が要求されている。
一般的に、吸収性を良くすると高精細な画像を得ることができるが、インクがインク受容層の内部へ入り込んでしまうために、高画像濃度を得ることができない傾向がある。また、高画像濃度を得ようとすると、インクをインク受容層の表面に留めなければいけないため、ブリード(境界にじみ)が発生する等、高精細性を得ることができない傾向があり、高精細性と高画像濃度とはトレードオフの関係にある。
上記の提案にある記録媒体は画像再現性、吸収性に対して一定の改善はみられるものの、高速インク吸収と画像濃度の十分な両立ができない場合があり、高精細性と高画像濃度とを共に満足しているとは言えない場合があった。本発明の目的は、吸収が高速で、吸収容量が大きく、高画像濃度と高精細性とを両立する記録媒体、および記録媒体の製造方法を提供することである。
本発明は、支持体と、該支持体上にインク受容層とを有する記録媒体であって、該インク受容層がBET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含み、各種類の非晶質無機粒子のコールターカウンター法による平均凝集粒子直径は6μm以上であり、かつ、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内であり、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布は細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有し、該インク受容層のBET吸着法による細孔分布において細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比が0.5以上であり、かつ各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径と該インク受容層の乾燥後膜厚dとが、いずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径、を満たす記録媒体である。
また、本発明は、支持体と、該支持体上にインク受容層とを有する記録媒体の製造方法であって、1)BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を用意する工程と、2)該少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含む塗工液を調製する工程と、3)該塗工液を該支持体上に塗工して、該インク受容層を得る工程とを有し、該非晶質無機粒子の各種類のコールターカウンター法による平均凝集粒子直径が6μm以上であり、かつ各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内であり、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布が細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有し、該インク受容層のBET吸着法による細孔分布において細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比が0.5以上であり、かつ各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径と該インク受容層の乾燥後膜厚dとが、いずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径、
を満たす記録媒体の製造方法である。
を満たす記録媒体の製造方法である。
本発明により、吸収が高速で、吸収容量が大きく、高画像濃度と高精細性とを両立する記録媒体、および記録媒体の製造方法が提供される。
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。
<記録媒体>
本発明の記録媒体は、図1に示したように、支持体101上にインク受容層102を形成してなる記録媒体100である。なお、本発明の記録媒体は、インクジェット記録媒体として用いることができる。また、本発明の記録媒体は、支持体およびインク受容層の他にコックリングを防ぐことを目的としてバックコート層などを含むことができる。
本発明の記録媒体は、図1に示したように、支持体101上にインク受容層102を形成してなる記録媒体100である。なお、本発明の記録媒体は、インクジェット記録媒体として用いることができる。また、本発明の記録媒体は、支持体およびインク受容層の他にコックリングを防ぐことを目的としてバックコート層などを含むことができる。
<支持体>
本発明に用いる支持体101としてはパルプ繊維を主体とする一般に市販されている紙類はもちろんのこと、フィルム基材等も使用可能であり、例えば、パルプ繊維及び填料を主体とする公知の方法によって抄造することで形成できる。繊維状パルプとしては通常の紙製造において用いられるものであれば特に制限は無く利用できるが、例えば、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)等に代表される化学パルプ、機械パルプ、古紙再生パルプ、非木材パルプあるいは2種類以上の混合物等を用いることができる。
本発明に用いる支持体101としてはパルプ繊維を主体とする一般に市販されている紙類はもちろんのこと、フィルム基材等も使用可能であり、例えば、パルプ繊維及び填料を主体とする公知の方法によって抄造することで形成できる。繊維状パルプとしては通常の紙製造において用いられるものであれば特に制限は無く利用できるが、例えば、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)等に代表される化学パルプ、機械パルプ、古紙再生パルプ、非木材パルプあるいは2種類以上の混合物等を用いることができる。
支持体となる紙の抄造には例えば、繊維状のパルプ、填料を主体とし、その他サイズ剤や抄紙助剤等を必要に応じて用いて抄紙する通常の方法を利用することができる。
填料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び二酸化チタン等が使用できる。サイズ剤としては、ロジンサイズ、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、石油樹脂系サイズ、エピクロルヒドリン、アクリルアミド等を使用することができる。
填料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び二酸化チタン等が使用できる。サイズ剤としては、ロジンサイズ、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、石油樹脂系サイズ、エピクロルヒドリン、アクリルアミド等を使用することができる。
<インク受容層>
本発明に用いるインク受容層は、BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含む。また、インク受容層には、非晶質無機粒子の他に、後述する結着剤、カチオン性物質および多価金属塩を含むことができる。なお、インク受容層中の非晶質無機粒子の合計の含有割合は、50質量%以上であることが好ましい。また、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。上限は100質量%以下であればよい。
本発明に用いるインク受容層は、BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含む。また、インク受容層には、非晶質無機粒子の他に、後述する結着剤、カチオン性物質および多価金属塩を含むことができる。なお、インク受容層中の非晶質無機粒子の合計の含有割合は、50質量%以上であることが好ましい。また、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。上限は100質量%以下であればよい。
本発明に用いる非晶質無機粒子は、非晶質シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムなどの無機物から成り、これら無機物が生成する時の最小単位である一次粒子の凝集物(二次粒子)を意味する。また、本発明における1種類の非晶質無機粒子とは、BET吸着法により測定した細孔分布及びコールカウンター法により測定した平均凝集粒子直径が測定装置による測定誤差を除いて同一である、すなわち一致する非晶質無機微粒子のことを意味する。すなわち、BET吸着法による細孔分布が異なるとは、細孔分布が測定装置による測定誤差を除いて、同一ではない、すなわち一致しないことを意味する。なお、これらの条件を満たしていれば、本発明に用いる少なくとも2種類の非晶質無機粒子は、物質が同一(例えば、非晶質シリカと非晶質シリカ)であっても、異なっていても(例えば、アルミナと非晶質シリカ)良い。本発明に使用される各種類の非晶質無機粒子はコールターカウンター法による平均凝集粒子直径が6μm以上であり、本発明で使用される各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差は全て3μm以内である。全種類の非晶質無機粒子のうちのどの2種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差も3μm以内となる。ここで、コールターカウンター法とは、定められた直径を持つアパーチャーに粒子を通すことにより、粒子が通過する際の電気信号の変化からその粒子直径を測定するものである。また本発明における非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径とは、非晶質無機粒子をコールターカウンター法によって測定した際の体積粒度分布からD50(メディアン径)として計算される非晶質無機粒子の体積平均粒子直径を意味する。
また、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布は細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有する。インク受容層の細孔分布において、細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比は0.5以上である。なお、本明細書においては、各種類の非晶質無機粒子およびインク受容層の細孔分布とはBET吸着法によってそれぞれ測定されたもので横軸が細孔直径、縦軸が細孔容積を表すものからなり、ある細孔直径のレンジに存在する細孔容積を示すものである。また、細孔分布におけるピークとは上述した細孔分布において最大の細孔容積を意味する。ここでBET吸着法とは、窒素雰囲気中にサンプルを置き、サンプル表面に吸着した窒素分子の量からそのサンプルの比表面積及び細孔容積を測定する方法である。BET吸着法による細孔分布の測定においては、一般的には100nmよりも大きな空隙の測定に対しては精度が低下する傾向がある。このため本発明における細孔とは細孔直径として100nm以下に細孔容積を持つものを指し、100nm以下の領域の細孔は、典型的には非晶質無機粒子を構成する1次粒子同士の隙間(1次粒子の凝集物の内部の空隙)によって形成される。
さらに、本発明で使用される各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径とインク受容層の乾燥後膜厚dとが、いずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径を満たす。ここで乾燥後膜厚dは記録媒体の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)などにより観察することによって測定されるものである。
上記構成とすることで、本発明のインク受容層は微多孔性の薄膜として形成することができる。なお、微多孔性とは、細孔直径として100nm以下に細孔容積を持つ細孔が存在するものを意味する。また、インク受容層は、非晶質無機粒子と結着剤とを含むことができる。本発明の記録媒体に対して記録を行った場合にはインクの溶媒分は先ずインク受容層に吸収、保持され、インク受容層内で保持できない分が支持体に到達し、その中で吸収される。この際、インク受容層は微多孔性の薄膜とすることができるため、インクの色材をすみやかにインク受容層で染着、吸着できれば、にじみの発生が起きにくい。一般的に、支持体までインク成分が吸収されてしまう場合には、結果的にインク受容層でトラップしたインク量が少なくなってしまうので、インク受容層だけでトラップできた場合に比べて、発色性能に劣ることになる。
一般的に、支持体がフィルムの場合は、支持体が吸収性能を持たないので、インク受容層でインクを吸収しきれない場合には、インクが受容層表面にあふれることになり、ブリード(境界にじみ)、ビーディング等の画像不良が発生してしまうことになる。
また、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布は細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有する。インク受容層の細孔分布において、細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比は0.5以上である。なお、本明細書においては、各種類の非晶質無機粒子およびインク受容層の細孔分布とはBET吸着法によってそれぞれ測定されたもので横軸が細孔直径、縦軸が細孔容積を表すものからなり、ある細孔直径のレンジに存在する細孔容積を示すものである。また、細孔分布におけるピークとは上述した細孔分布において最大の細孔容積を意味する。ここでBET吸着法とは、窒素雰囲気中にサンプルを置き、サンプル表面に吸着した窒素分子の量からそのサンプルの比表面積及び細孔容積を測定する方法である。BET吸着法による細孔分布の測定においては、一般的には100nmよりも大きな空隙の測定に対しては精度が低下する傾向がある。このため本発明における細孔とは細孔直径として100nm以下に細孔容積を持つものを指し、100nm以下の領域の細孔は、典型的には非晶質無機粒子を構成する1次粒子同士の隙間(1次粒子の凝集物の内部の空隙)によって形成される。
さらに、本発明で使用される各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径とインク受容層の乾燥後膜厚dとが、いずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径を満たす。ここで乾燥後膜厚dは記録媒体の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)などにより観察することによって測定されるものである。
上記構成とすることで、本発明のインク受容層は微多孔性の薄膜として形成することができる。なお、微多孔性とは、細孔直径として100nm以下に細孔容積を持つ細孔が存在するものを意味する。また、インク受容層は、非晶質無機粒子と結着剤とを含むことができる。本発明の記録媒体に対して記録を行った場合にはインクの溶媒分は先ずインク受容層に吸収、保持され、インク受容層内で保持できない分が支持体に到達し、その中で吸収される。この際、インク受容層は微多孔性の薄膜とすることができるため、インクの色材をすみやかにインク受容層で染着、吸着できれば、にじみの発生が起きにくい。一般的に、支持体までインク成分が吸収されてしまう場合には、結果的にインク受容層でトラップしたインク量が少なくなってしまうので、インク受容層だけでトラップできた場合に比べて、発色性能に劣ることになる。
一般的に、支持体がフィルムの場合は、支持体が吸収性能を持たないので、インク受容層でインクを吸収しきれない場合には、インクが受容層表面にあふれることになり、ブリード(境界にじみ)、ビーディング等の画像不良が発生してしまうことになる。
本発明に用いるインク受容層は先述の通り、非晶質無機粒子を主体として構成され、この主成分としての非晶質無機粒子は支持体表面の全面を被覆するように結着剤によって固着することができる。高画像濃度と高精細性とを得るために、非晶質無機粒子によって形成されたインク受容層は、インク中の水などの溶媒を層全体ですばやく吸収し、かつ染料をインク受容層の上部に残しておく特性を持つものが望まれる。
染料をインク受容層の上部に残すためには、高い吸収性を持つ非晶質無機粒子が求められる。高い吸収性は非晶質無機粒子の一次粒子の凝集体の細孔分布を制御すること、すなわち本発明に用いる各種類の非晶質無機粒子の細孔分布が細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有することによって得ることができる。非晶質無機粒子が細孔直径10nm未満に細孔分布のピークを持つと、染料の非晶質無機粒子内部への吸収性が低下し、パス数の少ない高速印字を行った時にインクのにじみが発生する。
一方で、非晶質無機粒子が細孔直径20nmより大きい細孔分布のピークを持つと高画像濃度を得ることができない。これは、細孔直径20nmより大きい細孔分布のピークを持つ非晶質無機粒子中の内部にまでインク中の染料が入り込んでしまうためであると考えられる。
従って、インク受容層が十分な吸収性と発色性を有するためには、非晶質無機粒子の細孔分布ピークが10nm以上20nm以下であることが必要となる。
また、インクの種類によっても、それぞれのインクに最適なインク受容層の細孔直径は異なり、インクのにじみ、発色性に対する最適値が存在する。種々の染料に対して均一な吸収性を保つためには、インク受容層が10nm以上20nm以下の細孔直径に対して均等に細孔容積を持てばよい。すなわち、インク受容層の細孔分布において、細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内での最大細孔容積に対する最小細孔容積の比(最小細孔容積値/最大細孔容積値)が0.5以上である。この結果、細孔直径の10nm以上20nm以下において、ブロードな細孔容積のピークを持つこととなり、種々の染料に対して最適な吸収を行うことができ、染料をより多くインク受容層に残すことができる。
以上の構成を取るためには少なくとも2種の異なる細孔分布曲線を持つ非晶質無機粒子を用いなければならない。
インク中の溶媒をインク受容層全体ですばやく吸収するには、インク受容層全体の空隙を上げ、インク受容層の吸収性を上げれば良いと考えられる。インク受容層全体の空隙とは、非晶質無機粒子の一次粒子の凝集体同士の隙間によって生じる隙間の体積を指す。
一般的には、インクがインク受容層に着弾した時、先ずインクはインク受容層全体の空隙に入り、その後遅れて、インク受容層を形成する個々の凝集体の細孔(1次粒子同士の隙間)に入る。インク受容層全体の空隙にも凝集体の細孔にもインクが入りきらない場合は、支持体までインクが到達してしまい、支持体にインク吸収されて濃度低下が生じる。また、フィルム基材の場合は、吸収しきれないインクがインク受容層表面にあふれて、ビーディング、ブリード(境界にじみ)による画像不良をおこす。
用いた非晶質無機粒子の全種類が6μm以上の平均凝集粒子直径を有すれば、凝集体間の隙間が大きくなり、インク受容層全体の空隙も大きくなる。この場合、インク中の溶媒を素早くインク受容層内部へ浸透させることができるためにインクのにじみが軽減される。また、インクが支持体に到達する前にインク受容層中に多くのインクを吸収でき、インク受容層内でのインク保持時間も長いために染料を非晶質無機粒子に多く吸着させることができ、高画像濃度を得ることができる。
一方で、6μm未満の平均凝集粒子直径を有する非晶質無機粒子を含んだインク受容層は凝集体同士が密に詰ってしまい、インク受容層全体の空隙を大きくすることができない。この場合、インク受容層に十分なインクの保持容量を得ることができず、支持体にインクが到達してしまうためにインクの溢れが生じたり、ブリード(境界にじみ)が生じたりしてしまい、高精細性の持った画像を得ることができなくなる。また、発色に関しても、染料がインク中の溶媒と共に支持体中へと浸透してしまうために発色に寄与する染料が少なくなってしまい、高画像濃度を得ることができない。なお、非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径はコールターカウンター法にて測定した値である。
上述の通り細孔分布曲線の異なる2種類以上の非晶質無機粒子を用いる場合、平均凝集粒子直径をそろえた非晶質無機粒子を用いればインク受容層全体の空隙を損なうことは無い。すなわち、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内となる非晶質無機粒子を2種類以上組み合わせて用いる。平均凝集粒子直径が大きい無機顔料と小さい無機顔料とを組み合わせた場合、即ち平均凝集粒子直径同士の差が3μmを超える非晶質無機粒子を組み合わせて用いた場合、大きい無機顔料粒子の隙間に小さい無機顔料が充填され、大きな空隙を得ることができない。
これらのことより、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径が6μm以上で、各種類の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内の細孔分布曲線の異なる非晶質無機粒子を用いる。
またインク受容層に含まれる細孔分布の異なる2種類以上の非晶質無機粒子のうちの各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径とインク受容層の乾燥後膜厚dとはそれぞれ以下の条件を満たす。
1.0×平均凝集粒子直径< d < 4.0×平均凝集粒子直径。
染料をインク受容層の上部に残すためには、高い吸収性を持つ非晶質無機粒子が求められる。高い吸収性は非晶質無機粒子の一次粒子の凝集体の細孔分布を制御すること、すなわち本発明に用いる各種類の非晶質無機粒子の細孔分布が細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有することによって得ることができる。非晶質無機粒子が細孔直径10nm未満に細孔分布のピークを持つと、染料の非晶質無機粒子内部への吸収性が低下し、パス数の少ない高速印字を行った時にインクのにじみが発生する。
一方で、非晶質無機粒子が細孔直径20nmより大きい細孔分布のピークを持つと高画像濃度を得ることができない。これは、細孔直径20nmより大きい細孔分布のピークを持つ非晶質無機粒子中の内部にまでインク中の染料が入り込んでしまうためであると考えられる。
従って、インク受容層が十分な吸収性と発色性を有するためには、非晶質無機粒子の細孔分布ピークが10nm以上20nm以下であることが必要となる。
また、インクの種類によっても、それぞれのインクに最適なインク受容層の細孔直径は異なり、インクのにじみ、発色性に対する最適値が存在する。種々の染料に対して均一な吸収性を保つためには、インク受容層が10nm以上20nm以下の細孔直径に対して均等に細孔容積を持てばよい。すなわち、インク受容層の細孔分布において、細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内での最大細孔容積に対する最小細孔容積の比(最小細孔容積値/最大細孔容積値)が0.5以上である。この結果、細孔直径の10nm以上20nm以下において、ブロードな細孔容積のピークを持つこととなり、種々の染料に対して最適な吸収を行うことができ、染料をより多くインク受容層に残すことができる。
以上の構成を取るためには少なくとも2種の異なる細孔分布曲線を持つ非晶質無機粒子を用いなければならない。
インク中の溶媒をインク受容層全体ですばやく吸収するには、インク受容層全体の空隙を上げ、インク受容層の吸収性を上げれば良いと考えられる。インク受容層全体の空隙とは、非晶質無機粒子の一次粒子の凝集体同士の隙間によって生じる隙間の体積を指す。
一般的には、インクがインク受容層に着弾した時、先ずインクはインク受容層全体の空隙に入り、その後遅れて、インク受容層を形成する個々の凝集体の細孔(1次粒子同士の隙間)に入る。インク受容層全体の空隙にも凝集体の細孔にもインクが入りきらない場合は、支持体までインクが到達してしまい、支持体にインク吸収されて濃度低下が生じる。また、フィルム基材の場合は、吸収しきれないインクがインク受容層表面にあふれて、ビーディング、ブリード(境界にじみ)による画像不良をおこす。
用いた非晶質無機粒子の全種類が6μm以上の平均凝集粒子直径を有すれば、凝集体間の隙間が大きくなり、インク受容層全体の空隙も大きくなる。この場合、インク中の溶媒を素早くインク受容層内部へ浸透させることができるためにインクのにじみが軽減される。また、インクが支持体に到達する前にインク受容層中に多くのインクを吸収でき、インク受容層内でのインク保持時間も長いために染料を非晶質無機粒子に多く吸着させることができ、高画像濃度を得ることができる。
一方で、6μm未満の平均凝集粒子直径を有する非晶質無機粒子を含んだインク受容層は凝集体同士が密に詰ってしまい、インク受容層全体の空隙を大きくすることができない。この場合、インク受容層に十分なインクの保持容量を得ることができず、支持体にインクが到達してしまうためにインクの溢れが生じたり、ブリード(境界にじみ)が生じたりしてしまい、高精細性の持った画像を得ることができなくなる。また、発色に関しても、染料がインク中の溶媒と共に支持体中へと浸透してしまうために発色に寄与する染料が少なくなってしまい、高画像濃度を得ることができない。なお、非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径はコールターカウンター法にて測定した値である。
上述の通り細孔分布曲線の異なる2種類以上の非晶質無機粒子を用いる場合、平均凝集粒子直径をそろえた非晶質無機粒子を用いればインク受容層全体の空隙を損なうことは無い。すなわち、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内となる非晶質無機粒子を2種類以上組み合わせて用いる。平均凝集粒子直径が大きい無機顔料と小さい無機顔料とを組み合わせた場合、即ち平均凝集粒子直径同士の差が3μmを超える非晶質無機粒子を組み合わせて用いた場合、大きい無機顔料粒子の隙間に小さい無機顔料が充填され、大きな空隙を得ることができない。
これらのことより、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径が6μm以上で、各種類の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内の細孔分布曲線の異なる非晶質無機粒子を用いる。
またインク受容層に含まれる細孔分布の異なる2種類以上の非晶質無機粒子のうちの各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径とインク受容層の乾燥後膜厚dとはそれぞれ以下の条件を満たす。
1.0×平均凝集粒子直径< d < 4.0×平均凝集粒子直径。
インク受容層を形成するときに、非晶質無機粒子混合液(インク受容層用塗工液)(必要に応じ結着剤、カチオン性物質等を含む)の塗布量を、dが1.0×平均凝集粒子直径以下となる量とした場合、以下のことが言える。すなわち、支持体に対して非晶質無機粒子を均一に付着することができず、均一なインク受容層を得ることができない。このために、十分な吸収性を得ることができなくなる。その結果、インクの溢れやブリード(境界にじみ)が発生してしまい、画像再現性が著しく低下する。
支持体に対して少なくとも各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径よりも厚い乾燥後膜厚で、均一に付着することができる塗布量が好ましい。より好ましくは非晶質無機粒子を1.5×平均凝集粒子直径以上形成できるように塗布できれば、画像再現性は特に良好なものとなる。
一方で非晶質無機粒子混合液をdが4.0×平均凝集粒子直径以上となる量塗布してしまうと、以下のようになる。すなわち、先述の通りインクのにじみに関しては、インク受容層の吸収性が良くなるために改善されるものの、吸収容量も大きくなるために、インクが必要以上にインク受容層の支持体方向に浸透する。この結果、インク受容層の表面に残るインク色材が少なくなり、十分な画像濃度を得ることができなくなる。
即ち、画像濃度の低減を優れて防ぐ観点から、非晶質無機粒子を4.0×平均凝集粒子直径よりも薄い乾燥後膜厚、好ましくは2.5×平均凝集粒子直径以下となるように塗布することが望まれる。
支持体に対して少なくとも各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径よりも厚い乾燥後膜厚で、均一に付着することができる塗布量が好ましい。より好ましくは非晶質無機粒子を1.5×平均凝集粒子直径以上形成できるように塗布できれば、画像再現性は特に良好なものとなる。
一方で非晶質無機粒子混合液をdが4.0×平均凝集粒子直径以上となる量塗布してしまうと、以下のようになる。すなわち、先述の通りインクのにじみに関しては、インク受容層の吸収性が良くなるために改善されるものの、吸収容量も大きくなるために、インクが必要以上にインク受容層の支持体方向に浸透する。この結果、インク受容層の表面に残るインク色材が少なくなり、十分な画像濃度を得ることができなくなる。
即ち、画像濃度の低減を優れて防ぐ観点から、非晶質無機粒子を4.0×平均凝集粒子直径よりも薄い乾燥後膜厚、好ましくは2.5×平均凝集粒子直径以下となるように塗布することが望まれる。
以上より、非晶質無機粒子混合液は、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径とインク受容層の乾燥後膜厚dとがそれぞれ1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径となるように支持体上に塗布する。
また本発明の記録媒体において、インク受容層に十分なインク吸収性を持たせるべく上記のような構成にするためには、以下の項目を適宜調製すれば良い。すなわち、インク受容層を形成する非晶質無機粒子の種類、必要に応じて添加する結着剤の種類、更にはこれらの配合比率、成膜時における乾燥条件等を適宜選択すればよく、この結果インク中の溶媒分の十分な通過吸収作用を得ることができる。
また本発明の記録媒体において、インク受容層に十分なインク吸収性を持たせるべく上記のような構成にするためには、以下の項目を適宜調製すれば良い。すなわち、インク受容層を形成する非晶質無機粒子の種類、必要に応じて添加する結着剤の種類、更にはこれらの配合比率、成膜時における乾燥条件等を適宜選択すればよく、この結果インク中の溶媒分の十分な通過吸収作用を得ることができる。
以下に、本発明の記録媒体を構成するインク受容層の形成材料について説明する。
(非晶質無機粒子)
まず、インク受容層の形成に用いる非晶質無機粒子としては、非晶質のシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、ゼオライト、ケイソウ土、カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、水酸化アルミニウム、コロイダルアルミナ、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト類等、従来一般の塗工紙のコート層に使用されている粒子が挙げられる。特に好ましい非晶質無機粒子はインク受容層が高い透明性及び吸収性を有するものとなるようにするために、非晶質のシリカ粒子又はアルミナ水和物粒子を使用することが好ましい。
この場合、非晶質のシリカ粒子としては、天然シリカ、合成シリカ、非晶質シリカ等や化学修飾されたシリカ系を用いることができる。
本発明で使用する非晶質無機粒子は上記に挙げたような材料からなることができる。更に先述した通り、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布の観点から、異なる細孔分布を持つ2種以上の非晶質無機粒子において、そのBET比表面積がそれぞれ10m2以上500m2以下である非晶質無機粒子を使用することが望ましい。BET比表面積が上記範囲内であれば、上述した細孔径範囲内に細孔容積のピークを持つことが困難になることを優れて防ぐことができる。
まず、インク受容層の形成に用いる非晶質無機粒子としては、非晶質のシリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、ゼオライト、ケイソウ土、カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、水酸化アルミニウム、コロイダルアルミナ、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト類等、従来一般の塗工紙のコート層に使用されている粒子が挙げられる。特に好ましい非晶質無機粒子はインク受容層が高い透明性及び吸収性を有するものとなるようにするために、非晶質のシリカ粒子又はアルミナ水和物粒子を使用することが好ましい。
この場合、非晶質のシリカ粒子としては、天然シリカ、合成シリカ、非晶質シリカ等や化学修飾されたシリカ系を用いることができる。
本発明で使用する非晶質無機粒子は上記に挙げたような材料からなることができる。更に先述した通り、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布の観点から、異なる細孔分布を持つ2種以上の非晶質無機粒子において、そのBET比表面積がそれぞれ10m2以上500m2以下である非晶質無機粒子を使用することが望ましい。BET比表面積が上記範囲内であれば、上述した細孔径範囲内に細孔容積のピークを持つことが困難になることを優れて防ぐことができる。
(結着剤)
本発明の記録媒体の受容層を形成する場合に、上記した非晶質無機粒子と組み合わせて使用することのできる結着剤としては、水溶性、水分散性、水/有機溶剤、混合系樹脂等が挙げられ、特に限定されることはない。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)またはその変性体(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性)、澱粉またはその変性体、ゼラチンまたはその変性体、カルボキシメチルセルロース等のセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリートーブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸、又はその共重合体アクリル酸エステル共重合体等を使用することが望ましい。これらの結着剤は単独で、あるいは複数混合して用いることができる。
本発明の記録媒体の受容層を形成する場合に、上記した非晶質無機粒子と組み合わせて使用することのできる結着剤としては、水溶性、水分散性、水/有機溶剤、混合系樹脂等が挙げられ、特に限定されることはない。例えば、ポリビニルアルコール(PVA)またはその変性体(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性)、澱粉またはその変性体、ゼラチンまたはその変性体、カルボキシメチルセルロース等のセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリートーブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸、又はその共重合体アクリル酸エステル共重合体等を使用することが望ましい。これらの結着剤は単独で、あるいは複数混合して用いることができる。
(カチオン性物質)
本発明におけるインク受容層中に含むことができるカチオン性物質としては以下に挙げるような、カチオン性分子物質を使用することができる。具体的にはラウルアミン、ヤシアミン、ステアリンアミン、ロジンアミン等の塩酸塩や酢酸塩等の1級、2級または3級アミン塩型の化合物、ポリアリルアミン、あるいはその塩酸塩、ポリアミンスルホンあるいは塩酸塩、ポリビニルアミンあるいはその塩酸塩、キトサンあるいはその酢酸塩等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。当然のことながら、上記に挙げたものの混合系でも構わない。上記したカチオン性物質は水溶性もしくは水有機溶剤混合に溶解するものであることが好ましいが、ラテックスやエマルジョンのような分散体であっても構わない。その添加量はインクの色材成分を不溶化し、耐水化の効果を発現できる量以上が好ましく、非晶質無機粒子や結着剤と異常凝集を起こし、粘度の上昇やゲル化が生じない程度の添加量とすることが望ましい。
本発明におけるインク受容層中に含むことができるカチオン性物質としては以下に挙げるような、カチオン性分子物質を使用することができる。具体的にはラウルアミン、ヤシアミン、ステアリンアミン、ロジンアミン等の塩酸塩や酢酸塩等の1級、2級または3級アミン塩型の化合物、ポリアリルアミン、あるいはその塩酸塩、ポリアミンスルホンあるいは塩酸塩、ポリビニルアミンあるいはその塩酸塩、キトサンあるいはその酢酸塩等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。当然のことながら、上記に挙げたものの混合系でも構わない。上記したカチオン性物質は水溶性もしくは水有機溶剤混合に溶解するものであることが好ましいが、ラテックスやエマルジョンのような分散体であっても構わない。その添加量はインクの色材成分を不溶化し、耐水化の効果を発現できる量以上が好ましく、非晶質無機粒子や結着剤と異常凝集を起こし、粘度の上昇やゲル化が生じない程度の添加量とすることが望ましい。
(塗工方法)
本発明の記録媒体に用いるインク受容層用塗工液は、BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含む塗工液であることができる。また、インク受容層用塗工液は、BET吸着法による細孔分布の異なる2種類以上の非晶質無機粒子と、結着剤と、カチオン性物質等とを混合して調製することができる。その塗工液を支持体上に塗布(塗工)して塗工層を形成し、その塗工層に必要に応じて加熱による乾燥処理を行うことで、本発明において所望の細孔分布及び乾燥後膜厚を有するインク受容層を得ることができる。この際使用する塗工液は、上記に挙げた構成成分を混ぜて、通常の方法で水中に均一に分散、または溶解して得ることができる。なお、塗工液中の非晶質無機粒子の合計含有割合は、全固形分に対して50質量%以上であることが好ましい。また、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。上限は100質量%以下であればよい。
塗工液を支持体上に塗布する方法としては、例えばブレードコート方式、エアナイフ方式、ロールコート方式、フラッシュコート方式、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、エクストル−ジョン方式、スライドホッパー方式、カーテンコート方式、スプレー方式、サイズプレス方式、シムサイザーコート方式、ゲートロールコート方式等が挙げられる。
この際、乾燥処理により、水性媒体が蒸発すると共に、結着剤の融着による結合により造膜が起こる。乾燥処理条件は用いる塗工液の組成に応じて適宜選択することができる。乾燥は一般に用いられる熱風乾燥炉、赤外線乾燥炉を単独で又は組み合わせて用いればよい。 <記録媒体の製造方法>
本発明の記録媒体に用いるインク受容層用塗工液は、BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含む塗工液であることができる。また、インク受容層用塗工液は、BET吸着法による細孔分布の異なる2種類以上の非晶質無機粒子と、結着剤と、カチオン性物質等とを混合して調製することができる。その塗工液を支持体上に塗布(塗工)して塗工層を形成し、その塗工層に必要に応じて加熱による乾燥処理を行うことで、本発明において所望の細孔分布及び乾燥後膜厚を有するインク受容層を得ることができる。この際使用する塗工液は、上記に挙げた構成成分を混ぜて、通常の方法で水中に均一に分散、または溶解して得ることができる。なお、塗工液中の非晶質無機粒子の合計含有割合は、全固形分に対して50質量%以上であることが好ましい。また、65質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。上限は100質量%以下であればよい。
塗工液を支持体上に塗布する方法としては、例えばブレードコート方式、エアナイフ方式、ロールコート方式、フラッシュコート方式、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、エクストル−ジョン方式、スライドホッパー方式、カーテンコート方式、スプレー方式、サイズプレス方式、シムサイザーコート方式、ゲートロールコート方式等が挙げられる。
この際、乾燥処理により、水性媒体が蒸発すると共に、結着剤の融着による結合により造膜が起こる。乾燥処理条件は用いる塗工液の組成に応じて適宜選択することができる。乾燥は一般に用いられる熱風乾燥炉、赤外線乾燥炉を単独で又は組み合わせて用いればよい。 <記録媒体の製造方法>
本発明の記録媒体の製造方法は、支持体と、支持体上にインク受容層とを有する記録媒体の製造方法であり、以下の工程を有する。
すなわち、1)BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を用意する工程。
2)前記少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含む塗工液を調製する工程。
3)前記塗工液を支持体上に塗工して、インク受容層を得る工程。
なお、本発明の記録媒体の製造方法に用いる少なくとも2種類の非晶質無機粒子は以下の条件を満たす。
すなわち、非晶質無機粒子の各種類のコールターカウンター法による平均凝集粒子直径は6μm以上であり、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差は全て3μm以内である。また、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布が細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有する。さらに、インク受容層のBET吸着法による細孔分布において細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比が0.5以上である。各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径とインク受容層の乾燥後膜厚dとが、いずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径を満たす。
なお、本発明の効果を得るためには、BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を用意することが必要となる。
すなわち、1)BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を用意する工程。
2)前記少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含む塗工液を調製する工程。
3)前記塗工液を支持体上に塗工して、インク受容層を得る工程。
なお、本発明の記録媒体の製造方法に用いる少なくとも2種類の非晶質無機粒子は以下の条件を満たす。
すなわち、非晶質無機粒子の各種類のコールターカウンター法による平均凝集粒子直径は6μm以上であり、各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差は全て3μm以内である。また、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布が細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有する。さらに、インク受容層のBET吸着法による細孔分布において細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比が0.5以上である。各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径とインク受容層の乾燥後膜厚dとが、いずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径を満たす。
なお、本発明の効果を得るためには、BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を用意することが必要となる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例において何ら限定されることはない。なお各例において示す部および%は質量部および質量%を意味する。なお、各例では、インクジェット記録媒体を作製した。各例の諸物性値の測定方法及び評価基準を以下に示す。
<画像濃度>
キヤノン社製インクジェットプリンターiPF500(商品名)を用いて、インクジェット記録媒体に対して1200dpi×1200dpiの記録密度でシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)計4色の印字を行い印字物を作製した。各単色について100%の印字Duty部分の画像濃度をX−rite(商品名、X−rite社)にて測定し、評価を行った。シアンに関しては1.45以上の画像濃度の場合は○、1.45に満たない画像濃度の場合は×とした。マゼンタに関しては1.5以上の画像濃度の場合は○、1.5に満たない画像濃度の場合は×とした。イエロー、ブラックに関しては1.55以上の画像濃度の場合は○、1.55に満たない画像濃度の場合は×とした。
キヤノン社製インクジェットプリンターiPF500(商品名)を用いて、インクジェット記録媒体に対して1200dpi×1200dpiの記録密度でシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)およびブラック(K)計4色の印字を行い印字物を作製した。各単色について100%の印字Duty部分の画像濃度をX−rite(商品名、X−rite社)にて測定し、評価を行った。シアンに関しては1.45以上の画像濃度の場合は○、1.45に満たない画像濃度の場合は×とした。マゼンタに関しては1.5以上の画像濃度の場合は○、1.5に満たない画像濃度の場合は×とした。イエロー、ブラックに関しては1.55以上の画像濃度の場合は○、1.55に満たない画像濃度の場合は×とした。
<ブリード(境界にじみ)>
キヤノン社製インクジェットプリンターiPF500(商品名)を用いて、インクジェット記録媒体に対して1200dpi×1200dpiの記録密度でイエロー(Y)を用いて印字を行い印字物を作製した。その印字物のイエロー150%印字部分に対して、ブルー240%(シアン120%Dutyとマゼンタ120%Dutyとの混色)で画像データ上250μmとなる細線を印字し、目視でブルー細線のにじみを調べた。にじみがない場合は○、若干のにじみがある場合を△、にじみが目立つ場合を×とした。
キヤノン社製インクジェットプリンターiPF500(商品名)を用いて、インクジェット記録媒体に対して1200dpi×1200dpiの記録密度でイエロー(Y)を用いて印字を行い印字物を作製した。その印字物のイエロー150%印字部分に対して、ブルー240%(シアン120%Dutyとマゼンタ120%Dutyとの混色)で画像データ上250μmとなる細線を印字し、目視でブルー細線のにじみを調べた。にじみがない場合は○、若干のにじみがある場合を△、にじみが目立つ場合を×とした。
<細孔分布測定>
BET吸着法により、各種類の非晶質無機粒子およびインク受容層の細孔分布曲線を測定した。また、インク受容層の細孔分布において、細孔径10nm以上20nm以下の細孔分布の細孔容積の最大値と最小値を調べ、最小細孔容積/最大細孔容積の値を求めた。
BET吸着法により、各種類の非晶質無機粒子およびインク受容層の細孔分布曲線を測定した。また、インク受容層の細孔分布において、細孔径10nm以上20nm以下の細孔分布の細孔容積の最大値と最小値を調べ、最小細孔容積/最大細孔容積の値を求めた。
<非晶質無機粒子分散液の調製>
以下の実施例及び比較例では、用いる各種類の非晶質無機粒子の分散液は以下のようにして作製した。各例では、インク受容層に用いる非晶質無機粒子として、非晶質のシリカ粒子を用いた。
各例で挙げる各種類の非晶質シリカ粒子の粉末をイオン交換水にそれぞれ混合し、ロータリー攪拌機で1時間攪拌分散し、固形分濃度15%の非晶質シリカ粒子分散液をそれぞれ調製した。
以下の実施例及び比較例では、用いる各種類の非晶質無機粒子の分散液は以下のようにして作製した。各例では、インク受容層に用いる非晶質無機粒子として、非晶質のシリカ粒子を用いた。
各例で挙げる各種類の非晶質シリカ粒子の粉末をイオン交換水にそれぞれ混合し、ロータリー攪拌機で1時間攪拌分散し、固形分濃度15%の非晶質シリカ粒子分散液をそれぞれ調製した。
(実施例1)
以下の組成の材料(質量部数は固形分換算での値)を混合した液にイオン交換水を混合して固形分濃度10質量%の塗工液1を得た。
<塗工液1の材料>
・非晶質シリカ粒子分散液1
非晶質シリカ粒子(商品名:X−60、平均凝集粒子直径6.2μm、細孔分布ピーク17nm、トクヤマ製)100部。
・非晶質シリカ粒子分散液2
非晶質シリカ粒子(商品名:P−78D、平均凝集粒子直径6.85μm、細孔分布ピーク 11nm、水澤化学製)20部。
・PVA(商品名:JM−26、日本酢ビ・ポバール製)10質量%水溶液 97部。
・カチオン性物質(商品名:PAA−HCL−01、日東紡製)42質量%水溶液 9部。
この塗工液1を支持体(商品名:キンマリSW154、北越製紙製)上にバーコーターで均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で乾燥してインク受容層を塗工形成し、インクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。なお、各種材料の物性については、上述した測定方法を用いて測定した。以下の各例についても同様に測定した。
以下の組成の材料(質量部数は固形分換算での値)を混合した液にイオン交換水を混合して固形分濃度10質量%の塗工液1を得た。
<塗工液1の材料>
・非晶質シリカ粒子分散液1
非晶質シリカ粒子(商品名:X−60、平均凝集粒子直径6.2μm、細孔分布ピーク17nm、トクヤマ製)100部。
・非晶質シリカ粒子分散液2
非晶質シリカ粒子(商品名:P−78D、平均凝集粒子直径6.85μm、細孔分布ピーク 11nm、水澤化学製)20部。
・PVA(商品名:JM−26、日本酢ビ・ポバール製)10質量%水溶液 97部。
・カチオン性物質(商品名:PAA−HCL−01、日東紡製)42質量%水溶液 9部。
この塗工液1を支持体(商品名:キンマリSW154、北越製紙製)上にバーコーターで均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で乾燥してインク受容層を塗工形成し、インクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。なお、各種材料の物性については、上述した測定方法を用いて測定した。以下の各例についても同様に測定した。
(実施例2)
実施例1の非晶質シリカ粒子分散液1を同質量部数の非晶質シリカ粒子分散液3(非晶質シリカ粒子(商品名:X−69、平均凝集粒子直径9μm、細孔分布ピーク17nm、トクヤマ製))に変更した。また、実施例1の非晶質シリカ粒子分散液2の質量部数を20部から60部に変更した。さらに、実施例1のPVA水溶液の質量部数を97部から185部に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例1)
上記の通り作製した非晶質シリカ粒子分散液を1種類のみ使用し、インク受容層の細孔分布における最小細孔容積/最大細孔容積の値が0.5よりも低いインクジェット記録媒体3を作製した。実施例1の非晶質シリカ粒子分散液1の質量部数を100部から130部に変更し、非晶質シリカ粒子分散液2は加えなかった。また、実施例1のPVA水溶液の質量部数を97部から105部に変更し、カチオン性物質水溶液の質量部数を9部から11部に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例2)
上記の通り作製した非晶質シリカ粒子分散液を1種類のみ使用し、インク受容層の細孔分布における最小細孔容積/最大細孔容積の値が0.5よりも低いインクジェット記録媒体を作製した。比較例1の非晶質シリカ粒子分散液1を同質量部数の非晶質シリカ粒子分散液2に変更した以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例3)
上記の通り作製した非晶質シリカ粒子分散液を1種類のみ使用し、インク受容層の細孔分布における最小細孔容積/最大細孔容積の値が0.5よりも低いインクジェット記録媒体を作製した。比較例1の非晶質シリカ粒子分散液1を同質量部数の非晶質シリカ粒子分散液3に変更した以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例4)
非晶質シリカ粒子の平均凝集粒子直径同士の差が3μmを超える非晶質シリカ粒子分散液を混合することにより、インク受容層の空隙を小さくしたインクジェット記録媒体を作製した。実施例1の非晶質シリカ粒子分散液2を同質量部数の非晶質シリカ粒子分散液4(非晶質シリカ粒子(商品名:P−78A、平均凝集粒子直径2.5μm、細孔分布ピーク12.6nm、水澤化学製))に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例5)
本発明の乾燥後膜厚の条件を満たさないインクジェット記録媒体を作製した。実施例1で用いた塗工液1の塗布量を乾燥後膜厚が5.9μmとなる量に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
(比較例6)
本発明の乾燥後膜厚の条件を満たさないインクジェット記録媒体を作製した。実施例1で用いた塗工液1の塗布量を乾燥後膜厚が30μmとなる量に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
実施例1の非晶質シリカ粒子分散液1を同質量部数の非晶質シリカ粒子分散液3(非晶質シリカ粒子(商品名:X−69、平均凝集粒子直径9μm、細孔分布ピーク17nm、トクヤマ製))に変更した。また、実施例1の非晶質シリカ粒子分散液2の質量部数を20部から60部に変更した。さらに、実施例1のPVA水溶液の質量部数を97部から185部に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例1)
上記の通り作製した非晶質シリカ粒子分散液を1種類のみ使用し、インク受容層の細孔分布における最小細孔容積/最大細孔容積の値が0.5よりも低いインクジェット記録媒体3を作製した。実施例1の非晶質シリカ粒子分散液1の質量部数を100部から130部に変更し、非晶質シリカ粒子分散液2は加えなかった。また、実施例1のPVA水溶液の質量部数を97部から105部に変更し、カチオン性物質水溶液の質量部数を9部から11部に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例2)
上記の通り作製した非晶質シリカ粒子分散液を1種類のみ使用し、インク受容層の細孔分布における最小細孔容積/最大細孔容積の値が0.5よりも低いインクジェット記録媒体を作製した。比較例1の非晶質シリカ粒子分散液1を同質量部数の非晶質シリカ粒子分散液2に変更した以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例3)
上記の通り作製した非晶質シリカ粒子分散液を1種類のみ使用し、インク受容層の細孔分布における最小細孔容積/最大細孔容積の値が0.5よりも低いインクジェット記録媒体を作製した。比較例1の非晶質シリカ粒子分散液1を同質量部数の非晶質シリカ粒子分散液3に変更した以外は比較例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例4)
非晶質シリカ粒子の平均凝集粒子直径同士の差が3μmを超える非晶質シリカ粒子分散液を混合することにより、インク受容層の空隙を小さくしたインクジェット記録媒体を作製した。実施例1の非晶質シリカ粒子分散液2を同質量部数の非晶質シリカ粒子分散液4(非晶質シリカ粒子(商品名:P−78A、平均凝集粒子直径2.5μm、細孔分布ピーク12.6nm、水澤化学製))に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。このときインク受容層の乾燥後膜厚は23μmであった。
(比較例5)
本発明の乾燥後膜厚の条件を満たさないインクジェット記録媒体を作製した。実施例1で用いた塗工液1の塗布量を乾燥後膜厚が5.9μmとなる量に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
(比較例6)
本発明の乾燥後膜厚の条件を満たさないインクジェット記録媒体を作製した。実施例1で用いた塗工液1の塗布量を乾燥後膜厚が30μmとなる量に変更した。それ以外は実施例1と同様にしてインクジェット記録媒体を得た。
実施例、比較例で作製した各インクジェット記録媒体に対して評価を行った結果を表1に示す。実施例1、2においては、本発明の請求の範囲を満足するものであり、高画像濃度と高精細性とを共に満足している。
比較例1、比較例2、比較例3は上記した通り、非晶質シリカ粒子分散液を1種類のみ使用して作製したインクジェット記録媒体である。そのため、インク受容層の細孔径10nm以上20nm以下の細孔分布曲線はシャープなピークを持ち、最小細孔容積/最大細孔容積の値は0.5未満となり、全てのインクに対して最適な吸収性を得ることは難しい。比較例1は細孔分布ピークが17nmにある非晶質シリカ粒子を用いてインク受容層を形成した例であり、イエローの画像濃度が低い結果となっている。これは、色材サイズが小さいイエローがシリカ内部に取り込まれてしまい、発色に寄与できなくなったと考えられる。比較例2の場合、最小細孔容積/最大細孔容積の値が特に小さく、非常にシャープな細孔分布を持つ。そのため種々のインクに対応することができず、マゼンタのみ最適な吸収性を得ることができていると考えられる。比較例3では、平均凝集粒子直径が大きい非晶質シリカ粒子を使用しているためにインク受容層内の空隙は大きなものとなる。そのため、インク受容層中でのインクの保持時間が長くなり、シリカ内部だけでなく、シリカ凝集体表面にも十分染着、吸着することができる。その結果、各インクに対して高画像濃度を得ることができる。しかし、ブリード(境界にじみ)に関しては比較例1、比較例2、比較例3においては最小細孔容積/最大細孔容積の値が0.5未満であるために吸収性が低いインクが存在し、その結果、若干の境界にじみが生じてしまう。
比較例4は、平均凝集粒子直径同士の差が3μmを超える非晶質シリカ粒子の組み合わせである。先述の通り、大きな平均凝集粒子直径を持つものの中に小さな凝集径のものを混合すると、その平均凝集粒子直径同士の差が3μmを超えた場合、インク受容層の空隙は小さなものとなってしまう。空隙が小さいと、インク受容層内での保持容量が小さいために、インク溶媒分と共に支持体へと染料が吸収されてしまい、高画像濃度を得ることができない。合わせて、色材サイズの比較的小さいマゼンタ、イエローは後に打たれて着弾したインクにより押し流されやすいために、凝集体表面に染着吸着するための保持時間が特に短くなり、十分な画像濃度を得ることができない。
比較例5では、実施例1の塗工液を用いてインク受容層の乾燥後膜厚dが平均凝集粒子直径以下になるように塗工したものである。この場合、支持体上に均一に非晶質シリカ粒子を付着することができない。そのため、支持体が露出している部分では、支持体の繊維に沿ってにじみが生じてしまうフェザリングが発生する等、画像の精細性は著しく低下してしまう。また、インク受容層の保持容量が小さいために、支持体に吸収されてしまうインク量も多くなり、インク受容層の表面に残る染料も少なくなり、高画像濃度も得ることができなくなる。
比較例6では、実施例1の塗工液を用いてインク受容層の乾燥後膜厚dが4.0×平均凝集粒子直径以上になるように塗工したものである。この場合、インクの保持容量は大きくなるために、インクの溢れやブリード(境界にじみ)は生じにくくなる。一方で、インク受容層内でインクが支持体方向へも浸透してしまうために、インク受容層表面に残る染料が少なくなり、高画像濃度を得ることができない。
比較例1、比較例2、比較例3は上記した通り、非晶質シリカ粒子分散液を1種類のみ使用して作製したインクジェット記録媒体である。そのため、インク受容層の細孔径10nm以上20nm以下の細孔分布曲線はシャープなピークを持ち、最小細孔容積/最大細孔容積の値は0.5未満となり、全てのインクに対して最適な吸収性を得ることは難しい。比較例1は細孔分布ピークが17nmにある非晶質シリカ粒子を用いてインク受容層を形成した例であり、イエローの画像濃度が低い結果となっている。これは、色材サイズが小さいイエローがシリカ内部に取り込まれてしまい、発色に寄与できなくなったと考えられる。比較例2の場合、最小細孔容積/最大細孔容積の値が特に小さく、非常にシャープな細孔分布を持つ。そのため種々のインクに対応することができず、マゼンタのみ最適な吸収性を得ることができていると考えられる。比較例3では、平均凝集粒子直径が大きい非晶質シリカ粒子を使用しているためにインク受容層内の空隙は大きなものとなる。そのため、インク受容層中でのインクの保持時間が長くなり、シリカ内部だけでなく、シリカ凝集体表面にも十分染着、吸着することができる。その結果、各インクに対して高画像濃度を得ることができる。しかし、ブリード(境界にじみ)に関しては比較例1、比較例2、比較例3においては最小細孔容積/最大細孔容積の値が0.5未満であるために吸収性が低いインクが存在し、その結果、若干の境界にじみが生じてしまう。
比較例4は、平均凝集粒子直径同士の差が3μmを超える非晶質シリカ粒子の組み合わせである。先述の通り、大きな平均凝集粒子直径を持つものの中に小さな凝集径のものを混合すると、その平均凝集粒子直径同士の差が3μmを超えた場合、インク受容層の空隙は小さなものとなってしまう。空隙が小さいと、インク受容層内での保持容量が小さいために、インク溶媒分と共に支持体へと染料が吸収されてしまい、高画像濃度を得ることができない。合わせて、色材サイズの比較的小さいマゼンタ、イエローは後に打たれて着弾したインクにより押し流されやすいために、凝集体表面に染着吸着するための保持時間が特に短くなり、十分な画像濃度を得ることができない。
比較例5では、実施例1の塗工液を用いてインク受容層の乾燥後膜厚dが平均凝集粒子直径以下になるように塗工したものである。この場合、支持体上に均一に非晶質シリカ粒子を付着することができない。そのため、支持体が露出している部分では、支持体の繊維に沿ってにじみが生じてしまうフェザリングが発生する等、画像の精細性は著しく低下してしまう。また、インク受容層の保持容量が小さいために、支持体に吸収されてしまうインク量も多くなり、インク受容層の表面に残る染料も少なくなり、高画像濃度も得ることができなくなる。
比較例6では、実施例1の塗工液を用いてインク受容層の乾燥後膜厚dが4.0×平均凝集粒子直径以上になるように塗工したものである。この場合、インクの保持容量は大きくなるために、インクの溢れやブリード(境界にじみ)は生じにくくなる。一方で、インク受容層内でインクが支持体方向へも浸透してしまうために、インク受容層表面に残る染料が少なくなり、高画像濃度を得ることができない。
100 記録媒体
101 支持体
102 インク受容層
101 支持体
102 インク受容層
Claims (2)
- 支持体と、該支持体上にインク受容層とを有する記録媒体であって、
該インク受容層がBET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含み、各種類の非晶質無機粒子のコールターカウンター法による平均凝集粒子直径は6μm以上であり、かつ各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内であり、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布は細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有し、該インク受容層のBET吸着法による細孔分布において細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比が0.5以上であり、かつ各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径と該インク受容層の乾燥後膜厚dとが、いずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径、
を満たす記録媒体。 - 支持体と、該支持体上にインク受容層とを有する記録媒体の製造方法であって、
1)BET吸着法による細孔分布の異なる少なくとも2種類の非晶質無機粒子を用意する工程と、
2)該少なくとも2種類の非晶質無機粒子を含む塗工液を調製する工程と、
3)該塗工液を該支持体上に塗工して、該インク受容層を得る工程とを有し、
該非晶質無機粒子の各種類のコールターカウンター法による平均凝集粒子直径が6μm以上であり、かつ各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径同士の差が全て3μm以内であり、各種類の非晶質無機粒子の細孔分布が細孔直径10nm以上20nm以下にピークを有し、該インク受容層のBET吸着法による細孔分布において細孔直径10nm以上20nm以下の範囲内の最大細孔容積に対する最小細孔容積の比が0.5以上であり、かつ各種類の非晶質無機粒子の平均凝集粒子直径と該インク受容層の乾燥後膜厚dとが、いずれも1.0×平均凝集粒子直径<d<4.0×平均凝集粒子直径、
を満たす記録媒体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009288873A JP2011126229A (ja) | 2009-12-21 | 2009-12-21 | 記録媒体およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009288873A JP2011126229A (ja) | 2009-12-21 | 2009-12-21 | 記録媒体およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011126229A true JP2011126229A (ja) | 2011-06-30 |
Family
ID=44289343
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009288873A Pending JP2011126229A (ja) | 2009-12-21 | 2009-12-21 | 記録媒体およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011126229A (ja) |
-
2009
- 2009-12-21 JP JP2009288873A patent/JP2011126229A/ja active Pending
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