JP2010094830A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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岳志 太田
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武嗣 原
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Abstract

【課題】インク受容層の空孔分布を制御することにより、染料インクの高発色性、顔料インクの高発色性を両立させると共に、インク吸収性に優れたインクジェット記録用紙を提供することができる。
【解決手段】支持体と、支持体上にインク受容層と、を設けたインクジェット記録用紙であって、インク受容層は、水銀圧入法によるインク受容層の空孔分布曲線が、空孔半径0.4μm以上2μm以下の領域に1つ以上のピークを有し、空孔半径5μm以上10μm以下の領域に1つ以上のピークを有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
【選択図】図1

Description

本発明は、染料インクを用いたインクジェット記録方法と顔料インクを用いたインクジェット記録方法の両方に好適に利用し得るインクジェット記録用紙に関する。
インクジェット記録方法による画像形成に用いるインクジェット記録用紙として、これまで種々の構成のものが知られている。そして、今日ではインクジェット記録用紙は、コンピュータやネットワークにおける電子的な画像情報のアウトプットやデジタルカメラ、デジタルビデオ、スキャナ等で取り込んだ画像情報のアウトプット等に利用されている。このようにインクジェット記録方法による記録装置(プリンタ)の適用範囲の拡大や高機能化が著しい。このため、インクジェット記録用紙の性能に対する要求も更に多種多様、あるいは高度なものになってきている。
上記のような出力画像の多色化、高精細化に伴い、インクジェットプリンタからインクジェット記録用紙に印字されるインクの量は増える傾向にある。その為、多量のインクを受容できるインクジェット記録用紙として、支持体上に、シリカやアルミナ水和物等の多孔質無機粒子と水溶性樹脂等のバインダーを含むインク受容層を設けた記録用紙が用いられるようになってきている。この記録用紙は、いわゆるマットコートタイプのインクジェット記録用紙と言われるもので、上記多孔質無機粒子にインク中の染料を吸着させることでインク吸収性を高めることが可能である。そして、染料成分は一般に数nm程度の大きさを有するので、従来から、染料成分の大きさに合わせてインク受容層の細孔構造を調節することにより、インク吸収性を向上させる検討が行なわれている。
特許文献1には、多孔質無機顔料の1次粒子径により細孔分布を規定した多孔質構造中へ染料成分をトラップさせることにより、インクのにじみを抑えること等が可能なインクジェット記録用紙が提案されている。
特許文献2には、インク受容層が2つ以上の細孔分布のピークを備えることでインクの吸収速度を制御し、にじみの少ない多色印字に適したインクジェット記録用紙が提案されている。
特許文献3には、大きな空孔と小さな空孔を有するインク受容層を用いることにより、インクの吸収速度を上昇させ、印字直後においても見かけ上、インクを乾いた状態とできるインクジェット記録用紙が提案されている。
特許文献4には、画像再現性と鉛筆筆記性を両立させるために細孔半径の異なる二種類以上の多孔質無機顔料を適宜、併用したインクジェット記録用紙が提案されている。
特許文献5には、更に優れたインク吸収性を有するために、細孔分布曲線が特定の細孔半径に1つ以上のピークと最大のピークを有し、特定の細孔容積を有するインクジェット記録用紙が提案されている。
上記のように、従来からインクジェット記録用のインクとしては水溶性染料が広く用いられていた。しかし、その一方でインクジェット記録画像の耐候性向上を目的として、色材として顔料粒子を含む水性インクが用いられるようになってきている。インクジェット記録用紙に上記のような水性顔料インクを用いると、染料インクを用いた場合と比べて、紫外線等の光による褪色、および大気中に存在する微量のガスによる画像の褪色に関して、非常に優れた耐性を示す。
この水性顔料インク中の顔料粒子の粒径は、一般に約100nm程度である。このため、従来のインクジェット記録用紙へ水性顔料インクを印字すると、インク受容層が含有する多孔質無機顔料によって形成された細孔への顔料粒子の浸透や吸着はほとんど起こらない。
特許文献6には、透光性の支持体を用いた場合に顔料粒子の過凝集を防ぐ目的で、インク受容層への浸透を適度に促進させる空孔分布を規定したインクジェット記録用紙が提案されている。
また、染料インクと顔料インクの両方のインクに対して良好な印字特性を有するインクジェット記録用紙の検討も行なわれている。
特許文献7には、特定のサイズ度を持った支持体と、特定の細孔容積を持ったシリカと、を組み合わせて染料インクと顔料インクに対する印字適正を向上させたインクジェット記録用紙が提案されている。
特開昭55−51583号公報 特開昭58−110287号公報 特開昭63−22997号公報 特開平4−16379号公報 特開2000−71608号公報 特許第3542441号明細書 特開2006−264119号公報
上記特許文献1〜5の提案は、各々、インク吸収性を向上させるといった点で一定の改善効果が認められるものの、近年のプリンタの高速化に伴い、この程度の改善効果では十分な吸収性能とは言えない場合があった。また、これらの提案は、顔料インクに関する発色性に関しては未だ十分とは言えない場合があった。
特許文献6は、透光性基材側からの発色性について論じているものであり、インク受容層の空孔および細孔構造については十分に検討されていなかった。また、特許文献7は、高発色性を満たすために、色材をインク受容層内に配合することが不可欠となり、印字後の色味が異なったものとなってしまうという欠点があった。
また、上記のとおり近年では、染料インクを用いたプリンタと顔料インクを用いたプリンタが混在しているが、いずれのインクジェット記録方式においても、プリント速度、解像度、色彩性等がより高いレベルで求められている。このため、インクジェット記録用紙には、インク吸収が高速でその吸収容量が大きく、高画像濃度と高精細性を両立させた、更なる高度な特性が要求されている。また、染料インク、顔料インクの何れを用いた場合でも高画像濃度を得ることが可能であれば、用紙の生産時のコスト、工程等の軽減等においても利点がある。
そこで、本発明者は上記課題について鋭意検討を行った結果、インクジェット記録用紙を構成するインク受容層のある特定領域の空孔および細孔の構造が、染料インクと顔料インクの発色性に大きく影響することを見出した。すなわち、本発明は、特定領域の空孔分布と細孔分布を有するインク受容層とすることにより、染料インクと顔料インクの高発色性を両立させ、更にインク吸収性に優れたインクジェット記録用紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一実施形態は、支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録用紙であって、
前記インク受容層は、多孔質無機顔料を含有し、
前記インク受容層の水銀圧入法による空孔分布曲線が、空孔半径0.4μm以上2μm以下の領域に1つ以上のピークを有し、空孔半径5μm以上10μm以下の領域に1つ以上のピークを有することを特徴とするインクジェット記録用紙である。
本発明によれば、多孔質無機顔料によって形成されたインク受容層が特別な空孔構造を持つことにより、染料インク、顔料インクの何れのインクを用いてプリントを行った場合においても高発色性を得ることができる。また、高速印字を行った時に、インクのにじみを低減させることができる。
以下、好適な実施形態を挙げて本発明のインクジェット記録用紙について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録用紙は、支持体と、この支持体上にインク受容層と、を有する。また、このインク受容層は、多孔質無機顔料を含有し、インク受容層の水銀圧入法による空孔分布曲線が、空孔半径0.4μm以上2μm以下の領域に1つ以上のピークを有し、空孔半径5μm以上10μm以下の領域に1つ以上のピークを有する。
図2は、本発明のインクジェット記録用紙の一例を示したものである。図2に示したように、インクジェット記録用紙は、支持体101上にインク受容層102が形成されている。以下、この支持体101およびインク受容層102について、より詳細に説明する。
(支持体)
この支持体101としては、パルプ繊維を主体とする一般に市販されている紙類はもちろんのこと、フィルム基材等も使用することが可能である。支持体101としては例えば、繊維状パルプ及び填料を主体として公知の方法によって抄造することで形成できる。
この繊維状パルプは、通常の紙製造において用いるものであれば特に制限は無く利用できる。例えば、LBKP、NBKP等に代表される化学パルプ、機械パルプ、及び古紙再生パルプ、非木材パルプあるいは、これらの2種類以上の混合物等を用いることができる。
また、支持体として紙を用いる場合、この紙の抄造には例えば、繊維状パルプ、填料を主体とし、その他サイズ剤や抄紙助剤等を必要に応じて用いて抄紙する通常の方法を利用することができる。この填料としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、タルク及び二酸化チタン等が使用できる。また、サイズ剤としては、ロジンサイズ、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、石油樹脂系サイズ、エピクロルヒドリン、アクリルアミド等を使用することができる。
(インク受容層)
上記のような支持体101上に設けられたインク受容層102は、多孔質無機顔料を含有し、例えば、多孔質無機顔料と結着剤の組み合わせによる微多孔性の薄膜として形成される。この多孔質無機顔料は、支持体表面の全面を被覆するように結着剤によって固着されていることが好ましい。
また、このインク受容層102の水銀圧入法による空孔分布曲線は、空孔半径0.4μm以上2μm以下の領域に1つ以上のピークを有し、空孔半径5μm以上10μm以下の領域に1つ以上のピークを有する。インク受容層がこのような構造を有するため、染料インクを付与した場合、インク中の溶媒がインク受容層中を浸透していく過程で、溶媒中に含まれる染料成分をインク受容層の内部に速やかに染着、吸着させることができる。この結果、にじみの発生を抑制することができる。また、顔料インクを付与した場合、顔料粒子はインク受容層の表面に留まり、顔料粒子の溢れによるにじみの発生を抑制することができる。
このように本発明では、インク受容層の内部および表面にそれぞれ、染料成分および顔料粒子を定着させることができる。この結果、染料成分および顔料粒子が支持体まで浸透してしまい、インク受容層中に定着する染料成分および顔料粒子の量が少なくなり、発色性能が低下するといったことを抑制することができる。特に、従来の記録用紙では、支持体がフィルムである場合、支持体が染料成分および顔料粒子を吸収しにくいため、インク受容層中で吸収、定着しきれない染料成分および顔料粒子は、インク受容層の表面に溢れることとなる。この結果、ブリード(境界にじみ)、ビーディング等の画像不良が発生してしまうことになる。これに対して、本発明では支持体がフィルムである場合もブリード、ビーディング等の画像不良を防止することができる。
なお、本明細書における「空孔分布曲線」、「空孔半径」は、水銀圧入法によって測定されたものであり、図1で示されるように横軸が空孔半径を、縦軸が空孔容積を表すものである。典型的には、この空孔は、多孔質無機顔料の2次凝集体の隙間によって形成される。
空孔半径の各々の範囲における1つ以上のピークは、多孔質無機顔料の2次凝集体間の隙間の状態に起因して生じるものと考えられる。すなわち、これらのピークの一つは、インク受容層を構成する多孔質無機顔料が最密充填することによって生じる空孔のピーク(最も空孔半径が小さなピーク;以下、「ピークA」と記載する場合がある)であると推測される。また、これらのピークの他の一つは、多孔質無機顔料の最密充填ではない状態での充填により生じる空孔のピーク(複数のピークのうち空孔半径が最小ではないピーク;以下、「ピークB」と記載する場合がある)であると推測される。
このように、ピークAは、多孔質無機顔料の2次凝集径の大きさや凝集状態に依存するものと考えられ、多孔質無機顔料の種類によって決定される固有のものとなる。従って、多孔質無機顔料として特定の種類のものを選択することによって、ピークAの位置を制御することができる。
また、2次凝集径の異なる2種類以上の多孔質無機顔料を混ぜ合わせた場合、一般にそれぞれの多孔質無機顔料の最密充填のピークが別々に現れる訳ではなく、それぞれの多孔質無機顔料の2次凝集径の大きさや配合の割合に応じた位置に1つのピークが生じる。この理由は、大きい2次凝集体間の隙間に小さい2次凝集体が入りこむことによって新たに生じる、異なる2次凝集体間の隙間により最密充填状態が形成されるためと考えられる。一方で、何らかの処理を施して2つ以上のピークAを生じさせた場合においても、0.4μm以上2μm以下の範囲内であれば、後述する理由により顔料インクを用いた際に高発色な画像を得ることができる。
(ピークBの形成方法)
ピークBは、最密充填されていない空孔によって生じるものと推測される。このため、ピークBの位置もピークAと同様、多孔質無機顔料の2次凝集径の大きさや凝集状態に依存する。
このように、インク受容層の空孔分布曲線が空孔半径0.4μm以上2μm以下、及び5μm以上10μm以下の領域に有するピークの位置は、使用する多孔質無機顔料の種類・量、結着剤の種類・量、インク受容層の形成方法等を適宜、調節することによって、制御することができる。
次に、本発明のメカニズムについて、以下に詳細に説明する。インクジェット記録用紙に対して顔料インクを印字する場合、インク成分を速やかに吸収し、かつ、高発色性を得るためには、顔料粒子をインク受容層の表層近傍に留めておくことが有効となる。一般に顔料粒子は、着弾後の凝集サイズも含めて考えると100nm以上500nm以下である。一般的には粒子サイズに対して4〜5倍程度の空孔半径であると、静電気的な力や分子間力等が3次元的に働くことによって最も吸着力が強くなるものと考えられる。
本発明のインク受容層は、空孔半径0.4μm以上2μm以下の領域に1つ以上のピークを有しているが、このピーク値は顔料粒子の粒径に対して4〜5倍程度のものとなっている。そこで、本発明では、インク受容層の上記数値範囲の空孔内に顔料粒子を効率的にトラップして、インク受容層内部の奥深くまで顔料粒子が浸透することを防止することが可能となる。この結果、顔料粒子をインク受容層の表面近傍に効率よく留めることができるので、顔料インクの発色性を高めることができる。
これに対して、インク受容層が2μmを超え5μm未満の領域、特には10μmを超える領域に空孔分布曲線のピークを有すると、インク受容層内に顔料粒子を効率的にトラップできなくなる。そして、顔料粒子がインク受容層内部の奥深くや支持体内へと浸透してしまうこととなる。この結果、発色性が著しく低下してしまう。
一方、空孔分布曲線が空孔半径0.4μm未満の範囲にピークを有する場合、顔料粒子の粒子径の大きさによっては、静電気的な力や分子間力等が3次元的に働きにくく、インク受容層が顔料粒子を十分に吸着しにくくなってしまう。その結果、インク受容層内部の顔料インク粒子は発色への寄与が小さくなり、発色が低下してしまう。
本発明においては、空孔半径0.4μm以上1μm以下の領域に1つ以上のピークを有することがより好ましい。この数値範囲は顔料粒子の粒子経の数倍程度であることから、上記理由により、顔料粒子をインク受容層の空孔内により効率良くトラップさせることができる。また、1μm以下の領域にピークを有することにより、空孔半径を顔料粒子の粒子経に近い径とすることができ、インク受容層表面近傍の空孔内により効果的に顔料粒子を留まらせることができる。
また、本発明においては、インク受容層の空孔分布曲線の空孔半径0.1μm以上1μm以下の領域における空孔容積が、0.2ml/g以上であることが好ましい。上記空孔半径の範囲において、上記量の空孔容積を有することによって、空孔内により効果的に顔料粒子をトラップさせることが可能となる。また、顔料粒子は、インク受容層内の大きな空孔から小さな空孔へ向かって順にトラップされていくものと考えられる。空孔半径0.1μm以上1μm以下の空孔は最密充填された多孔質無機顔料間の隙間に相当し、まず、この空孔半径の空孔内に顔料粒子がトラップされるものと考えられる。従って、このような空孔半径の範囲における空孔容積を0.2ml/g以上と大きくすることによって、インク受容層の表面近傍でより効果的に顔料粒子をトラップさせることができる。この結果、にじみ等の現象を低減させる効果を得ることができる。
また、インクジェット記録用紙に対して染料インクを印字する場合、高速印字を行った際にも、瞬間的なインク容量の増大に対して速やかにインク受容層の内部まで染料成分を浸透させ、にじみを発生させないことが有効となる。ここで、本発明のインク受容層は空孔半径0.4μm以上2μm以下及び5μm以上10μm以下の領域に空孔分布曲線のピークを有するので、染料成分の大きさよりも十分に大きい。このため、インクジェット記録用紙に対して大量の染料インクを打ち込んだ場合であっても、染料インクをインク受容層の内部まで浸透させることが可能となり、優れたインク吸収性を有することができる。
更に、このように染料成分がインク受容層の内部まで浸透、定着された場合であっても、染料成分はその大きさが小さいため、優れた発色性、高画像濃度および高精細性を有することができる。この理由は、染料成分は分子レベルの微細なサイズであるため光の散乱因子にならず、多孔質無機顔料の内部またはインク受容層の内部に存在する場合であっても、高い発色性を有することができるためである。
本発明においては、空孔分布曲線が空孔半径5μm以上10μm以下の領域に1つ以上のピークを有することにより、染料成分を効率的にインク受容層の内部にまで浸透させることができる。
本発明においては、染料成分に対して高い吸収性を有している多孔質無機顔料を用いているので、染料成分をインク受容層中に十分に残すことができる。この染料成分の吸収性は、多孔質無機顔料の凝集体の細孔分布を制御することによって調節することができる。多孔質無機顔料凝集体の細孔は、主にこの凝集体を構成する1次粒子の隙間によって形成される。この細孔の細孔分布は窒素分子を吸着させるBET吸着法によって測定することが可能である。
本発明においては、インク受容層のBET吸着法における細孔分布曲線が細孔半径8nm以上50nm以下の領域に細孔容積のピークを有することが好ましい。細孔分布曲線が細孔半径8nm以上に細孔容積のピークを有することにより、染料成分の多孔質無機顔料内部への吸収量を大きくして、インクの吸収速度を速くすることができる。また、特にパス数の少ない高速印字を行った時に、インクにじみが発生するといったことがない。また、細孔分布曲線が細孔半径50nm以下に細孔容積のピークを有することにより、高画像濃度を得ることができる。この理由は、50nm以下に細孔容積のピークを有することにより、多孔質無機顔料に効率よく染料成分を定着させることができるためであると考えられる。
このように、染料インクを用いてインクジェット記録用紙に記録した場合は、インク受容層の細孔分布曲線が細孔半径8nm以上50nm以下の領域に細孔容積のピークを有することが好ましい。これによって、インク受容層は十分な吸収性と発色性を有することができる。また、インク受容層は、細孔半径8nm以上20nm以下の領域に細孔容積のピークを有することがより好ましい。
なお、本明細書において「細孔分布曲線」、「細孔半径」とはBET吸着法によって測定されたもので、「細孔分布曲線」とは横軸が細孔径、縦軸が細孔容積を表す曲線である。典型的には、この細孔は、多孔質無機顔料凝集体を構成する1次粒子の隙間によって形成される。従って、本明細書における「空孔分布曲線」および「空孔半径」と、「細孔分布曲線」および「細孔半径」とは異なる方法により測定された異なる物性である。
以上のように、本発明においては、空孔半径0.4μm以上2μm以下、5μm以上10μm以下の領域の空孔構造を特定の状態にする。これにより、染料および顔料インクの記録に対して優れた画像特性を有するインクジェット記録用紙とすることができる。
また、本発明においては、インク受容層は、支持体の一方の面上に設けられていても、支持体の両面上に設けられていても良い。
以下に、インク受容層の構成材料について説明する。
まず、多孔質無機顔料としては例えば、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、炭酸カルシウム、ゼオライト、ケイソウ土、カオリン、クレー、焼成クレー、タルク、水酸化アルミニウム、コロイダルアルミナ、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト類等を使用することができる。これらの多孔質無機顔料は単独で、または複数種を混合して用いることができる。
これらの中でも、多孔質無機顔料としては、高い透明性及び吸収性をインク受容層に付与するためにシリカ又はアルミナ水和物が好ましく、特にはシリカが好ましい。シリカとしては、天然シリカ、合成シリカ、非晶質シリカ等や化学修飾されたシリカ系を用いることができるが、非晶質シリカを用いることがより好ましい。非晶質シリカを用いることにより、空孔分布曲線が空孔半径0.4μm以上2μm以下の領域にピークを形成することが容易となる。
多孔質無機顔料のBET比表面積は、10m2/g以上500m2/g以下であることが好ましい。BET比表面積が上記範囲内にあることによって、効果的に顔料粒子をインク受容層の表面近傍に定着させることができる。
上記のような多孔質無機顔料は、公知の方法で製造することができる。以下では、一例として、非晶質シリカの製造例を述べる。
まず、Na2SO4を含有する珪酸ソーダ水溶液(液温20℃以上40℃以下)に、硫酸を添加して中和(中和率30%以上70%以下)する。この後、上記水溶液を昇温(70℃以上100℃以下)、熟成(5分以上90分以下)した後、pHが2以上4以下になるまで硫酸を加えて反応を終了させる。この後、乾燥して水等の溶媒を除去する。このようにして無定形の非晶質シリカ微粉末を得た後、濾過、水洗、乾燥後、更に所定の粒子径になるまで粉砕、分級を行う。
上記非晶質シリカの製造方法において、反応温度、硫酸の中和率・添加時間、SiO2濃度、Na2SO4濃度、粉砕、分級の条件等を適宜、調整する。これによって、1次粒子間の細孔径分布・細孔容積量、平均2次粒子径を所望の値とすることができる。
インク受容層中には、上記多孔質無機顔料と組み合わせて結着剤を使用することができる。この結着剤としては、水溶性、水分散性、水/有機溶剤、混合系樹脂等を用いることができるが、特にこれらに限定されるわけではない。結着剤としては例えば、ポリビニルアルコール又はその変性体(カチオン変性、アニオン変性、シラノール変性)、澱粉又はその変性体、ゼラチン又はその変性体、カルボキシメチルセルロース等のセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体ラテックス、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸、又はその共重合体、アクリル酸エステル共重合体等を使用することが望ましい。これらの結着剤は単独で、または複数種を混合して用いることができる。
また、インク受容層中には、カチオン性物質を添加することができる。このカチオン性物質を添加することにより色材成分の凝集状態を制御することができる。このカチオン性物質としては、以下に挙げるような、カチオン性低分子物質やカチオン性高分子物質等を使用することができる。
具体的にカチオン性低分子物質としては、分子量が1000以下でラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリンアミン、ロジンアミン等の塩酸塩や酢酸塩等の1級、2級又は3級アミン塩型の化合物、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム等の4級アンモニウム塩型化合物、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン等のイミダゾリン型カチオン性化合物、ジヒドロキシエチルステアリンアミン等の高級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物等を挙げることができる。
また、カチオン性低分子物質として金属化合物も使用することが可能である。この金属化合物としては、例えば、乳酸アンモニウム、塩基性ポリ水酸化アンモニウム、塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、アクリル酸アルミニウム等を挙げることができる。
カチオン性高分子物質としては、分子量2000以上のもので、例えば、ポリアリルアミン、或いはその塩酸塩、ポリアミンスルホン酸塩或いは塩酸塩、ポリビニルアミン或いはその塩酸塩、キトサン或いはその酢酸塩等を挙げることができるが、勿論これらに限定されるものではない。また、ノニオン性高分子物質の一部をカチオン化してもよい。具体的にはビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレート4級塩との共重合体、アクリルアマイドとアミノメチルアクリルアマイド4級塩との共重合体等を挙げられるが、これらの化合物に限定されないことはいうまでもない。
また、カチオン性物質としては分子量が1000を超え2000未満の範囲のものも使用することが可能である。更には、上記カチオン性低分子物質やカチオン性高分子物質の混合系を用いることもできる。
カチオン性物質は、水溶性もしくは水と有機溶剤の混合液に溶解するものが好ましいが、ラテックスやエマルジョンのような分散体であっても良い。このカチオン性物質の添加量はインクの色材成分を不溶化し、耐水化の効果を発現できる量以上とすることが好ましい。また、多孔質無機顔料や結着剤と異常凝集を起こし、粘度の上昇やゲル化が生じない程度の添加量とすることが好ましい。
インク受容層は、上記多孔質無機顔料、結着剤、カチオン性物質を適宜組み合わせて構成することができるが、インク受容層の膜強度と細孔によるインク吸収性を阻害しない固形分比率で使用することが好ましい。具体的には多孔質無機顔料に対して結着剤とカチオン性物質を組み合わせた成分が固形分の質量比率(多孔質無機顔料:結着剤とカチオン性物質)で1:1から2:1の範囲であることが好ましい。
インク受容層中には、上記材料の他、耐水化剤、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、蛍光染料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤等を発明の効果を損なわない範囲で適宜、添加することができる。
以下に、本発明のインクジェット記録用紙の製造方法の一例を示す。まず、支持体を準備する。次に、上記多孔質無機顔料と結着剤、及び所望に応じてカチオン性物質等を加えて調製した塗工液を、支持体上に塗布、乾燥させることによってインク受容層を形成する。この塗工液は、上記材料を所望の割合、混ぜて、通常の方法で水中に均一に分散、溶解することにより得ることができる。
また、支持体上に、塗工液を塗布する方法としては例えば、ブレードコート方式、エアナイフ方式、ロールコート方式、フラッシュコート方式、グラビアコート方式、キスコート方式、ダイコート方式、エクストル−ジョン方式、スライドホッパー方式、カーテンコート方式、スプレー方式、サイズプレス方式、シムサイザーコート方式、ゲートロールコート方式等を用いることができる。
更に、上記したようにして支持体上に設けた塗工液の層に対して、必要に応じて加熱による乾燥処理を行うことで、所望するインク受容層を得ることができる。この際、乾燥処理により、水性媒体が蒸発すると共に、結着剤の融着による結合により造膜が起こる。この際の乾燥処理条件は、使用する塗工液の組成に応じて適宜、選択することができる。また、乾燥には、一般的に用いられる熱風乾燥炉、赤外線乾燥炉を単独で又は組み合わせて用いれば良い。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されることはない。なお、実施例において示す部数および%は質量部及び質量%を意味する。
実施例および比較例で用いる多孔質無機顔料の分散液を、以下のようにして作製した。
実施例、比較例では、多孔質無機顔料として、沈殿法によって作成した非晶質シリカを用いた。実施例、比較例で挙げる各非晶質シリカの粉末をイオン交換水に混合し、ロータリー攪拌機で1時間、攪拌分散し、15%の分散液を得た。なお、分散状態の確認のため、それぞれの分散液を更に1%となるようイオン交換水により希釈した。この後、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置LA910(株式会社堀場製作所製)の体積基準モードを用いて測定できるメジアン径を2次凝集径とした。
また、ポリビニルアルコール(日本酢ビ・ポバール株式会社 JP−24)の10%水溶液を、攪拌を行いながら常温から80℃となるまでゆっくりと昇温させ、80℃の状態で更に1時間攪拌を行った。その後、常温になるまで放置してポリビニルアルコール水溶液を得た。
(実施例1)
下記の液の混合液に対して、イオン交換水を混合することにより12%の塗工液を得た。
非晶質シリカA(メジアン径10.4μm、BET比表面積272m2/g)の分散液 100部
非晶質シリカB(メジアン径7.8μm、BET比表面積265m2/g)の分散液 30部
ポリビニルアルコール(JP−24、日本酢ビ・ポバール株式会社)の10%水溶液 120部
カチオン性物質(スミレーズレジン1001、田岡化学株式会社)の30%水溶液 15部。
次に、この塗工液を、支持体(キンマリSW154、北越製紙)上にバーコーター法で均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で10分間乾燥してインク受容層を形成することによりインクジェット記録用紙を得た。乾燥後のインク受容層の固形分は15g/m2であった。実施例1で形成したインクジェット記録用紙のインク受容層の空孔分布曲線を図1に示す。
(実施例2)
下記の液の混合液に対して、イオン交換水を混合することにより12%の塗工液を得た。
非晶質シリカC(メジアン径10.4μm、BET比表面積300m2/g)の分散液 100部
ポリビニルアルコール(JP−24、日本酢ビ・ポバール株式会社)の10%水溶液 92部
カチオン性物質(スミレーズレジン1001、田岡化学株式会社)の30%水溶液 11.5部。
この塗工液を、支持体(キンマリSW154、北越製紙)上にバーコーター法で均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で10分間乾燥してインク受容層を形成することによりインクジェット記録用紙を得た。乾燥後のインク受容層の固形分は15g/m2であった。
(実施例3)
下記の液の混合液に対して、イオン交換水を混合することにより12%の塗工液を得た。
非晶質シリカA(メジアン径10.4μm、BET比表面積272m2/g)の分散液 100部
非晶質シリカBの分散液(メジアン径7.8μm、BET比表面積265m2/g) 13部
ポリビニルアルコール(JP−24、日本酢ビ・ポバール株式会社)の10%水溶液 104部
カチオン性物質(スミレーズレジン1001、田岡化学株式会社)の30%水溶液 13部。
この塗工液を、支持体(キンマリSW154、北越製紙)上にバーコーター法で均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で10分間乾燥してインク受容層を形成することによりインクジェット記録用紙を得た。乾燥後のインク受容層の固形分は15g/m2であった。
(実施例4)
下記の液の混合液に対して、イオン交換水を混合することにより12%の塗工液を得た。
非晶質シリカD(メジアン径7.9μm、BET比表面積278m2/g)の分散液 100部
ポリビニルアルコール(JP−24、日本酢ビ・ポバール株式会社)の10%水溶液 92部
カチオン性物質(スミレーズレジン1001、田岡化学株式会社)の30%水溶液 12部。
この塗工液を、支持体(キンマリSW154、北越製紙)上にバーコーター法で均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で10分間乾燥してインク受容層を形成することによりインクジェット記録用紙を得た。乾燥後のインク受容層の固形分は15g/m2であった。
(比較例1)
下記の液の混合液に対して、イオン交換水を混合することにより12%の塗工液を得た。
非晶質シリカA(メジアン径10.4μm、BET比表面積272m2/g)の分散液 100部
ポリビニルアルコール(JP−24、日本酢ビ・ポバール株式会社)の10%水溶液 92部
カチオン性物質(スミレーズレジン1001、田岡化学株式会社)の30%水溶液 12部。
この塗工液を、支持体(キンマリSW154、北越製紙)上にバーコーター法で均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で10分間乾燥してインク受容層を形成することによりインクジェット記録用紙を得た。乾燥後のインク受容層の固形分は15g/m2であった。比較例1で形成したインクジェット記録用紙のインク受容層の空孔分布曲線を図1に示す。
(比較例2)
下記の液の混合液に対して、イオン交換水を混合することにより12%の塗工液を得た。
非晶質シリカB(メジアン径7.8μm、BET比表面積265m2/g)の分散液 100部
ポリビニルアルコール(JP−24、日本酢ビ・ポバール株式会社)の10%水溶液 92部
カチオン性物質(スミレーズレジン1001、田岡化学株式会社)の30%水溶液 12部。
この塗工液を、支持体(キンマリSW154、北越製紙)上にバーコーター法で均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で10分間乾燥してインク受容層を形成することによりインクジェット記録用紙を得た。乾燥後のインク受容層の固形分は15g/m2であった。
(比較例3)
下記の液の混合液に対して、イオン交換水を混合することにより12%の塗工液を得た。
非晶質シリカE(メジアン径5.8μm、BET比表面積267m2/g)の分散液 100部
ポリビニルアルコール(JP−24、日本酢ビ・ポバール株式会社)の10%水溶液 92部
カチオン性物質(スミレーズレジン1001、田岡化学株式会社)の30%水溶液 12部。
この塗工液を、支持体(キンマリSW154、北越製紙)上にバーコーター法で均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で10分間乾燥してインク受容層を形成することによりインクジェット記録用紙を得た。乾燥後のインク受容層の固形分は15g/m2であった。
(比較例4)
下記の液の混合液に対して、イオン交換水を混合することにより12%の塗工液を得た。
非晶質シリカF(メジアン径12.3μm、BET比表面積254m2/g)の分散液 100部
ポリビニルアルコール(JP−24、日本酢ビ・ポバール株式会社)の10%水溶液 92部
カチオン性物質(スミレーズレジン1001、田岡化学株式会社)の30%水溶液 12部。
この塗工液を、支持体(キンマリSW154、北越製紙)上にバーコーター法で均一に塗工した。塗工後、熱風乾燥炉を用いて120℃で10分間乾燥してインク受容層を形成することによりインクジェット記録用紙を得た。乾燥後のインク受容層の固形分は15g/m2であった。
実施中の諸物性値の測定方法及び評価基準を以下に示す。
<空孔分布曲線、細孔容積の測定>
オートポアIII9420(MICROMETRITICS社製)を用いて水銀圧入法により測定を行った。測定サンプルは、支持体の影響を受けないように、PETフィルム上に、上記実施例及び比較例で挙げた塗工液を、バーコーター法により塗布、乾燥させることにより作成した。また、測定前の前処理として、室温で24時間真空乾燥を行った。更に、測定した空孔分布曲線に対して、空孔半径0.1μm以上1μm以下の領域の空孔容積を測定した。
<細孔分布曲線の測定>
トライスター3000(島津製作所社製)を用いて、BET吸着法により細孔分布曲線を測定した。測定サンプルは、上記空孔分布測定用サンプルと同様、PETフィルム上に、上記実施例及び比較例に挙げる塗工液を、バーコーター法により塗布、乾燥させることにより作成した。また、各々のサンプルに対して前処理として、80℃で4時間以上の真空乾燥を行った後、窒素をパージさせた。測定は、吸着等温線、脱着等温線から共に求めることができるが、モル自由エネルギーの変化から安定な吸着状態に対応しているとされる脱着等温線から細孔分布曲線を得た。また、測定した細孔分布曲線に対して、細孔容積を測定して、その細孔容積のピーク位置を特定した。
以下、実施例及び比較例で作成したサンプルの物性値を表1に示す。なお、各実施例及び比較例では、表1に記載の位置以外にピークは認められなかった。
Figure 2010094830
<画像濃度>
上記で得られたインクジェット記録用紙に対して、1200dpi×1200dpiの記録密度で印字を行った。なお、この印字には、キヤノン社製インクジェットプリンタ染料インク機imagePROGRAF500(以下、iPF500)及び顔料インク機imagePROGRAF5000(以下、iPF5000)を用いた。印字後、24時間放置し、十分乾燥させた。
この後、iPF500に関しては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各単色について100%の印字Duty部分の画像濃度を測定した。また、iPF5000に関しては、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各単色について150%の印字Duty部分の画像濃度を測定した。また、画像濃度の測定には、X−rite(X−rite社)を用い、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの平均値(CMYK平均値)を算出することで評価を行った。
IPF500では、
画像濃度の平均値が1.65以上の場合を◎、
1.55以上1.65未満の場合を○、
1.55未満の場合を×
とした。
また、IPF5000では、
画像濃度の平均値が1.5以上の場合を◎、
1.45以上1.5未満の場合を○、
1.45未満の場合を×
とした。
<ブリード(境界にじみ)>
一般に顔料インクの場合よりも染料インクの方がインクのにじみが激しいため、iPF500においてブリードの評価を行った。イエロー150%印字部分に対して、ブルー240%印字(シアン120%Dutyとマゼンタ120%Dutyの混色)の細線を印字し、目視でにじみを調べた。
にじみがない場合は○、
若干のにじみがある場合を△、
にじみが目立つ場合を×
とした。
各実施例及び比較例の画像濃度及びブリードの測定結果を表2に示す。
Figure 2010094830
表1,2の結果より、実施例1〜4では「染料インクCMYK平均値」、「顔料インクCMYK平均値」、「染料にじみ」が何れも「○」又は「◎」であった。この結果より、本発明のインクジェット記録用紙を用いると、染料インク及び顔料インクを用いてプリントを行った場合に高発色性が得られることが分かる。また、インクのにじみを低減できることが分かる。
これに対して、比較例1、比較例2においては、染料インクもしくは、顔料インクいずれかの発色性能が損なわれている。比較例1では、顔料インク発色のための空孔径ピーク位置が所定の領域になく、そのため、顔料インクによる発色性が損なわれている。また、比較例2では、更にピーク2の空孔半径が小さいためにインク受容層の奥深くまでは浸透は起こらなかった。このため、染料インクに対しては先述の通り、効率の良い発色性能を得られなかったものと推察される。
比較例3では、空孔分布曲線における2つのピークの位置が、共に0.4μm以上2μm以下及び5μm以上10μm以下の領域にはなかった。このため、染料インク、顔料インクを印字した場合に共に、インク受容層の内部へと浸透してしまい発色性能が低下して、「染料インクCMYK平均値」、「顔料インクCMYK平均値」が「×」となった。また、大きな径の空孔に沿ってインクが浸透するため、ブリードも悪化しているものと考えられ、「染料にじみ」も「×」となった。
比較例4では、空孔分布曲線における2つのピークの位置が、共に0.4μm以上2μm以下及び5μm以上10μm以下の領域にはなかった。このため、比較例3と同様の理由によって「顔料インクCMYK平均値」が「×」となった。また、大きな径の空孔に沿ってインクが浸透するため、ブリードも悪化しているものと考えられ、「染料にじみ」も「×」となった。
以上の結果により、本発明の構成とすることにより、インクジェット記録用紙は染料インク、顔料インクに対して共に高発色性を示し、インク吸収性も良好なことがわかる。
実施例1および比較例1で形成したインクジェット記録用紙のインク受容層の空孔分布曲線を示す図である。 本発明のインクジェット記録用紙の一例を示す図である。
符号の説明
100 インクジェット記録用紙
101 支持体
102 インク受容層

Claims (4)

  1. 支持体上にインク受容層を有するインクジェット記録用紙であって、
    前記インク受容層は、多孔質無機顔料を含有し、
    前記インク受容層の水銀圧入法による空孔分布曲線が、空孔半径0.4μm以上2μm以下の領域に1つ以上のピークを有し、空孔半径5μm以上10μm以下の領域に1つ以上のピークを有することを特徴とするインクジェット記録用紙。
  2. 前記インク受容層の空孔分布曲線の空孔半径0.1μm以上1μm以下の領域における空孔容積が0.2ml/g以上である請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記インク受容層のBET吸着法による細孔分布曲線が、細孔半径8nm以上50nm以下の領域に細孔容積のピークを有する請求項1または2に記載のインクジェット記録用紙。
  4. 前記多孔質無機顔料が非晶質シリカである請求項1から3の何れか1項に記載のインクジェット記録用紙。
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