JP2011125601A - 下半身の拘縮防止装置 - Google Patents

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正樹 寺脇
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歩 來田
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弘昭 伊藤
Shiketsu Kaku
士傑 郭
Masao Inada
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Abstract

【課題】治療や加齢等に伴う下半身の拘縮を回復又は予防して股関節や膝関節の可動域を確保するための運動に用いられる、新規な構造とされた下半身の拘縮防止装置を提供すること。
【解決手段】座板部12と、背当部20と、座板部12から延び出した左右一対の大腿支持部24,24と、それら大腿支持部24,24の先端縁部からそれぞれ延び出した左右一対の下腿支持部34,34と、該一対の大腿支持部24,24をそれぞれ揺動変位せしめる大腿部駆動手段46,46と、該一対の下腿支持部34,34をそれぞれ揺動変位せしめる下腿部駆動手段48,48とを、含んで構成された下半身の拘縮防止装置10。
【選択図】図1

Description

本発明は、治療や加齢等に伴う下半身の拘縮を回復又は予防して股関節や膝関節の可動域を確保するための運動に用いられる下半身の拘縮防止装置に関するものである。
人体における下半身の骨や関節,靱帯,筋肉,膜等の治療に際しては、拘縮等によって膝や股関節の可動域が狭くなることから、その後のリハビリテーションによって拘縮を回復又は予防して関節可動域を確保することが重要となる。また、加齢に伴う筋肉や靱帯等の拘縮による柔軟性の低下を予防して怪我等を未然に防止する目的等においても、拘縮を回避して膝関節や股関節の可動域を確保することが有効である。
ところで、膝や股関節の運動には、脚部の屈伸運動が有効であるが、立位での脚部の屈伸運動では患者の体重によって無理な力が関節に作用してしまうおそれがる。そこで、特許文献1(特開平6−225912号公報)では、床面に仰向けで寝させた患者の脚部を支持させて下肢を屈伸運動させることにより、膝関節および股関節を運動させる装置が提案されている。
ところが、かかる従来構造の運動装置では、運動するに際して、当該装置が床面に設置された場所まで移動する必要があることに加えて、当該装置の設置場所で仰向けに寝る必要がある。そのために、運動にとりかかるまでに或る程度の体力が必要となり、治療後の患者や高齢者にとって使い勝手の良いものでは無かった。
しかも、床面上に仰向けに寝て使用することから、運動する下半身が上半身より上方に位置することとなって、運動中の心臓への負担が大きいことも、患者や高齢者にとって運動を行なうことが難しい原因となっていた。
特開平6−225912号公報
本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであり、その解決課題とするところは、治療や加齢等に伴う下半身の拘縮を回復又は予防して股関節や膝関節の可動域を確保するための運動に用いられる下半身の拘縮防止装置であって、特に、治療後の患者や高齢者でも簡単に使用することが出来、運動中の過大な心臓負担も回避しつつ、股関節及び膝関節に対して効果的な運動を実現せしめ得る、新規な構造の下半身拘縮防止装置を提供することにある。
本発明の特徴とするところは、(a)使用者の臀部を支持せしめて着座させる座板部と、(b)該座板部の後部上方に配設されて前記使用者の背部を支持せしめる背当部と、(c)前記座板部の前方縁部からそれぞれ延び出して設けられて前記使用者の左右の大腿部を支持せしめると共に座板部側を中心として延出先端側が上下方向に揺動変位可能とされた左右一対の大腿支持部と、(d)該一対の大腿支持部の先端縁部からそれぞれ延び出して設けられて前記使用者の左右の下腿部を支持せしめると共に大腿支持部側を中心として延出先端側が上下方向に揺動変位可能とされた左右一対の下腿支持部と、(e)前記一対の大腿支持部にそれぞれ駆動力を及ぼしめて該一対の大腿支持部をそれぞれ揺動変位せしめる大腿部駆動手段と、(f)前記一対の下腿支持部にそれぞれ駆動力を及ぼしめて該一対の下腿支持部をそれぞれ揺動変位せしめる下腿部駆動手段とを、含む下半身の拘縮防止装置にある。
このような本発明に従う構造とされた拘縮防止装置においては、使用者が座板部に着座して背部を背当部で支えられることにより、あたかも椅子に座った状態で使用することが出来る。それ故、使用者の体重によって過度の負担がかかることを回避しつつ、股関節および膝関節の屈伸運動を行なわせて下半身の拘縮防止を図ることが可能となる。
しかも、本発明に従う構造とされた拘縮防止装置においては、その使用に際して、特許文献1に記載の従来構造の装置のように、わざわざ仰向けに寝る必要もなく、運動開始迄に必要とされる使用者の体力等の負担が軽減される。
また、着座状態で下半身の運動が行なわれることから、運動部位である股関節や膝関節が、何れも、使用者の心臓よりも低い位置に維持され得ることとなり、使用者の心臓への負担も軽減され得る。
さらに、着座姿勢での股関節の運動では、特許文献1に記載の如き仰向けに寝た状態に比して、使用者の腰椎や脊椎への拘束力の軽減が図られることなどにより、使用者の腹部等への圧迫感を軽減せしめつつ、大腿部を胸側に向かってより大きく持ち上げることが可能となる。それ故、特許文献1に記載の運動装置では実現が困難であった、股関節よりも膝を胸側に持ち上げる領域に至るまでの股関節の屈伸運動も、本発明の拘縮防止装置では、使用者に過度を負担を強いることなく実現可能とされて、一層優れた運動効果の達成が図られ得るのである。
加えて、本発明の拘縮防止装置は、座板部と背当部によって、使用者を着座状態に支持せしめ得ることから、例えば休憩や食事、談話等の際に使用する椅子としても用いることが可能であり、また、車輪や介助用ハンドル等を備えることで車椅子としての機能も備えることが可能である。即ち、日常生活で使用している椅子に対して拘縮防止機能を装備させることが出来るのであり、換言すれば、本発明に係る拘縮防振装置は、日常生活で使用している椅子としても提供され得ることとなる。
そして、これにより、拘縮防止運動に際して患者自身が特別な場所まで移動することも必要なくなり、運動開始に際して必要な体力が一層軽減されると共に、運動の機会が日常生活の中で与えられることとなる。また、椅子に腰掛けたような着座姿勢で下半身の運動だけを容易に行なうことが出来ることから、例えば他人と話をしたりテレビを観たり等といった他の行為を行いつつ、下半身の運動を行なうことも可能となる。その結果、使用者における精神的及び体力的な負担を大幅に軽減しつつ充分な機会をもって拘縮防止運動を行なわせ、且つそれを継続させることが可能となるのである。
なお、本発明の拘縮防止装置は、膝関節および股関節の運動に際して各種の目的で使用可能であり、例えば、治療段階を終えた疾病や外傷の後遺症を持つ人に対して行なわれるリハビリの目的や、高齢者の下半身の拘縮防止を図る目的での使用などに、特に好適に採用され得る。
また、本発明の下半身拘縮防振装置における別の態様は、前記大腿部駆動手段による前記一対の大腿支持部の駆動に伴う揺動反力をそれぞれ検出する大腿部検出手段と、前記下腿部駆動手段による前記一対の下腿支持部の駆動に伴う揺動反力をそれぞれ検出する下腿部検出手段と、それら大腿部検出手段と下腿部検出手段とにおける検出信号に基づいて該大腿部駆動手段と該下腿部駆動手段を作動制御する作動制御手段とを、更に含んで構成される。
本態様の下半身拘縮防止装置では、大腿支持部で支持されて屈伸運動させられる股関節の運動領域や、下腿支持部で支持されて屈伸運動させられる膝関節の運動領域を、それらの運動反力、即ち関節の硬さ等を考慮して設定することが出来る。それ故、使用者毎に相違する関節の硬さ等を考慮して、使用者に応じて個別に適当な運動領域を容易に且つ確実に設定することが可能となって、より効果的な運動を、客観的に把握しつつ、行なうことが可能となる。
また、本発明の下半身拘縮防止装置における別の態様では、前記一対の大腿支持部が前記大腿部駆動手段によって互いに独立して揺動変位可能とされる。
本態様の下半身拘縮防止装置では、例えば、右脚を動かすことなく左脚だけを屈伸運動させたり、左右の脚部を同時に且つ交互に屈伸運動させたりすることが可能となって、一層多様な運動が実現可能となる。
なお、本態様では、更に、前記一対の下腿支持部が前記下腿部駆動手段によって互いに独立して揺動変位可能とされる構成が、組み合わされて採用され得る。その際、かかる下腿部駆動手段による一対の下腿支持部の変位は、前記大腿部駆動手段による一対の大腿支持部の変位からも独立して揺動変位可能とされることが望ましい。それにより、例えば、左右の同じ側の脚部において、大腿部と下腿部を同時に連動的に屈伸運動させたり、或いは大腿部を位置固定に支持せしめて股関節を動かすことなく、下腿部だけを揺動変位させて膝関節だけを屈伸運動させたりするなど、より一層多様な運動が実現可能となる。
また、本発明の下半身拘縮防止装置における別の態様では、前記座板部における前記使用者の着座面に対して、作用する圧力の大きさと領域を検出し得る面圧センサが設けられる。
本態様の下半身拘縮防止装置では、例えば、使用者の着座状態を検出することが可能となり、この検出結果に基づいて正しい着座状態を条件として駆動手段を作動させる等の安全機構の実現も可能である。なお、面圧センサとしては、例えば、適当な間隔で設定された測定ポイントでの作用圧力をキャパシタ変化や抵抗変化に基づいて検出する市販のシートセンサ等が、採用可能である。より具体的には、例えば特開平8−327474号公報や特開2000−018908号公報,特開2000−234975号公報,特開2000−337979号公報,特開2003−083820号公報,特開2005−331327号公報等に記載された、公知の面圧センサ等が何れも採用され得る。
また、本発明の下半身拘縮防止装置における別の態様では、前記大腿支持部が、その先端側が前記座板部における使用者の着座面よりも上方になる位置に至るまで、前記大体部駆動手段により揺動変位可能とされる。
本態様の下半身拘縮防止装置では、大臀筋や大腿二頭筋などの臀部及び大腿部後面の筋肉を伸長させて拘縮防止する効果を得ることが可能となる。特に、着座姿勢での運動となる本発明の装置では、特許文献1に記載の如き仰向けに寝た状態での運動となる装置に比して、使用者への過大な負荷を回避しつつ大腿部を胸側に向かってより大きく持ち上げることが出来るのであり、本態様では、股関節に対して一層優れた運動効果が達成可能となる。
また、本発明の下半身拘縮防止装置における別の態様では、前記大腿部検出手段と前記下腿部検出手段との少なくとも一方が、作用する圧力の大きさと領域を検出し得る面圧センサによって構成される。
本態様の下半身拘縮防止装置では、大腿部検出手段や下腿部検出手段として面圧センサを用いることにより、例えば、圧力の大きさの変化だけでなく圧力の作用面積の変化も利用することで、一層安全な制御が実現可能になる。即ち、例えば面圧センサによって検出される圧力値や作用面積値をモニタリングし、それらの検出値に基づいて大腿部駆動手段や下腿部駆動手段をフィードバック制御して、大腿支持部や下腿支持部の揺動速度や揺動領域を自動制御することも可能となる。その際、使用者の相違や日毎の体調相違などを考慮して、フィードバック制御における目標値(揺動速度や最大圧力,面積等)は、適宜に調節設定され得る。
さらに、上述のように検出手段として面圧センサを用いて大腿支持部や下腿支持部における圧力の作用領域(位置)を検出することで、使用が正常に(即ち効果的に)行なわれているか、姿勢がおかしくないか、といったこともより正確に判定可能になる。なお、面圧センサとしては、前述の座板部の面圧センサと同様に、公知のシートセンサ等が採用可能である。
また、本発明の下半身拘縮防止装置における別の態様では、前記大腿支持部が、前記座板部に着座した使用者の大腿部の長さ方向の中間位置から膝側部分を支持するようにされる。
本態様の下半身拘縮防止装置では、大腿部の付根側(骨盤側)を座板部で支持させることにより、使用者の着座状態や運動状態での座位安定性が向上され得る。
本発明に従う構造とされた拘縮防止装置では、使用者を着座姿勢にして股関節および膝関節の屈伸運動を行なわせることによって下半身の拘縮防止を図ることが可能となるのであり、それ故、仰向けでの寝姿勢での運動となる特許文献1記載の従来装置に比して、運動開始迄に必要とされる使用者の体力等の負担が軽減されると共に、運動中における使用者の心臓負担も軽減される。しかも、本発明によれば、使用者が日常生活で使用する椅子に対して拘縮防止用の運動機能を装備させることが可能となり、拘縮防止運動の機会を使用者の日常生活の中で与えることで、使用者における精神的及び体力的な負担を大幅に軽減して運動の機会を大幅に増大させることも容易に実現可能となる。
本発明の一実施形態としての拘縮防止装置を示す斜視図。 図1に示した拘縮防止装置の背面図。 図1に示した拘縮防止装置の右側面図。 図2におけるIV−IV断面図。 図1に示した拘縮防止装置の使用状態を示す説明図。 図1に示した拘縮防止装置の別の作動状態を示す正面図。 図6におけるVII−VII断面図。 図6におけるVIII−VIII断面図。 図1に示した拘縮防止装置の更に別の作動状態を示す図7に対応する断面図。 図1に示した拘縮防止装置の更に別の作動状態を示す図9に対応する断面図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。先ず、図1〜4には、本発明の一実施形態としての下半身の拘縮防止装置10が示されている。この拘縮防止装置10は、全体として椅子の構造を呈している。
より具体的には、かかる拘縮防止装置10は、略水平に広がる平板形状の座板部12を備えている。この座板部12の左右両側には、一対の側板14,14が固着されており、これら一対の側板14,14が、座板部12の幅方向に対向位置して互いに平行に立設されている。そして、一対の側板14,14の下半分が、座板部12から下方に延び出しており、かかる一対の側板14,14の下半分によって合計4本の椅子脚部16,16,16,16が形成されている。なお、一対の側板14,14の上半分は、座板部12から上方に延び出して、左右一対の肘掛部18,18を形成している。また、座板部12の後方(図3中の右方)には、該座板部12の後方端縁部から上方に向かって立ち上がる板状の背当部20が設けられている。
なお、座板部12と背当部20は、座板部12の下側から背当部の裏側に亘って延びる剛性フレーム22によって連結固定されている。そして、この剛性フレーム22が、座板部12の下方において、左右一対の側板14,14の高さ方向中間部分に固定されている。これにより、座板部12及び背当部20と一対の側板14,14によって、全体として、着座できる椅子の基本構造が構成されている。なお、左右一対の側板14,14は、対向面間に跨がって延びる前後二つの補強材23,23で連結されており、これらの補強材23,23の上に載置されて剛性フレーム22と座板部12が固着されている。
また、座板部12には、その前端縁部からそれぞれ延び出す左右一対の大腿支持部24,24が設けられている。これら一対の大腿支持部24,24は、座板部12の幅方向の左右両側に配されており、それぞれ、剛性フレーム22の前方端縁部に対して、左右方向に延びる回動支軸26の回りで揺動可能に取り付けられている。
なお、本実施形態では、複数のプレート28,28を一体的に連結することによって、全体として略矩形の長手板形状の大腿支持部24が形成されている。また、本実施形態では、座板部12の奥行長さ(図4中の左右方向長さ)が一般的な椅子よりも短くされており、図5にモデル的に示されているように、座板部12に着座した使用者30の大腿部32を、その長さ方向の中間部分までしか支えないようになっている。これにより、座板部12に骨盤を載せて着座した使用者30の大腿部32は、その長さ方向の中間部分よりも付根側(骨盤側)だけが座板部12で支持されるようになっており、大腿部32の長さ方向の中間部分よりも先端側(膝側)が、座板部12の前方端縁部から更に前方に突き出されるようになっている。そして、この座板部12から前方に突き出された大腿部32の先端側部分が、大腿支持部24に載置されて後面側から支持されるようになっている。
さらに、左右一対の大腿支持部24,24には、その先端縁部に対して左右一対の下腿支持部34,34が、それぞれ連結されて取り付けられている。そして、左側の大腿支持部24とその先端縁部に連結された左側の下腿支持部34とによって、左脚の大腿部と下肢部を支持せしめる左脚支持部36が構成されている。また、右側の大腿支持部24とその先端縁部に連結された右側の下腿支持部34とによって、右脚の大腿部と下肢部を支持せしめる右脚支持部38が構成されている。
また、左右の各脚支持部36,38において、下腿支持部34は、大腿支持部24の先端縁部に対して、左右方向に延びる回動支軸40の回りで揺動可能に取り付けられている。
なお、本実施形態では、下腿支持部34も、前述の大腿支持部24と同様に、複数のプレート42,42を一体的に連結することによって、全体として略矩形の長手板形状の下腿支持部34が形成されている。また、本実施形態では、下腿支持部34の延出長さが、図5にモデル的に示されているように、座板部12に着座した使用者30の下腿部44を、その膝下からくるぶし近くに至る裏面側のふくらはぎ部分において支え得るように設定されている。
更にまた、左右の各脚支持部36,38には、それぞれ、大腿支持部24を回動支軸26回りで揺動駆動せしめる大腿部駆動手段46と、下腿支持部34を回動支軸40回りで揺動駆動せしめる下腿部駆動手段48とが、装着されている。
大腿部駆動手段46は、直線上で伸縮駆動せしめられる出力ロッド50を備えたアクチュエータである。具体的には、例えば、油圧や空気圧を利用した圧力流体による駆動力を出力ロッド50の直線運動として出力させるシリンダ型アクチュエータが採用可能である。或いは、電動モータの回転駆動力をギヤやリンク等を利用して出力ロッド50の直線運動に変換して出力させる電動型アクチュエータ等も採用可能である。
そして、かかる大腿部駆動手段46は、その本体と出力ロッド50との一方が、座板部12の裏面で剛性フレーム22に取り付けられている。また、大腿部駆動手段46の本体と出力ロッド50との他方が、大腿支持部24の裏面の略中央に対して取り付けられている。なお、これら本体及び出力ロッド50は、座板部12や大腿支持部24への取付部において、左右方向に延びる支持ピン回りで回動可能とされている。これにより、大腿部駆動手段46の出力ロッド50の収縮作動に伴って、大腿支持部24が回動支軸26回りで下方に垂れ下がる方向に回動駆動される一方、大腿部駆動手段46の出力ロッド50の伸長作動に伴って、大腿支持部24が回動支軸26回りで上方に持ち上げられる方向に回動駆動されるようになっている。
また、下腿部駆動手段48も、大腿部駆動手段46と同様に直線上で伸縮駆動せしめられる出力ロッド52を備えたアクチュエータであって、例えばシリンダ型アクチュエータや電動型アクチュエータ等が採用され得る。そして、この下腿部駆動手段48は、その本体と出力ロッド52との一方が、大腿支持部24の裏面の略知希有負うに対して取り付けられている。また、その本体と出力ロッド52との他方が、下腿支持部34の裏面の略中央に対して取り付けられている。なお、これら本体及び出力ロッド52は、座板部12や下腿支持部34への取付部において、左右方向に延びる支持ピン回りで回動可能とされている。これにより、下腿部駆動手段48の出力ロッド52の収縮作動に伴って、下腿支持部34が回動支軸40回りで下方に垂れ下がる方向に回動駆動される一方、大腿部駆動手段48の出力ロッド52の伸長作動に伴って、下腿支持部34が回動支軸40回りで上方に持ち上げられる方向に回動駆動されるようになっている。
要するに、上述の大腿部駆動手段46及び下腿部駆動手段48の作動に基づいて、大腿支持部24及び下腿支持部34を、回動支軸26及び回動支軸40の回りで、それぞれ往復回動変位させることが出来るようになっている。特に、本実施形態では、左脚支持部36と右脚支持部38とにおいて、それぞれ装着された大腿部駆動手段46及び下腿部駆動手段48が互いに異なる作動を許容されている。これにより、例えば図6〜8に示されているように、左脚支持部36における大腿支持部24及び下腿支持部34の態様と、右脚支持部38における大腿支持部24及び下腿支持部34の態様とを、互いに異なる状態で発現させることが可能となっている。
また、特に本実施形態では、図6〜8の右脚支持部38に示されているように、大腿支持部24が、大腿部駆動手段46で回動支軸26回りで回動駆動されることにより、俯角を持つ下方だけでなく仰角を持つ上方に向けても傾斜する領域まで、回動変位せしめられるようになっている。即ち、大腿支持部24は、下腿支持部34の連結された先端部位が、座板部12に連結された基端部位に比して、鉛直方向上方に位置する領域まで、水平方向よりも上方に向かって回動変位可能とされている。
そして、使用者が着座した状態で、大腿支持部24を水平方向よりも仰角をもって(図7中、δ>0度)上方に回動させることにより、使用者の大腿部32が、その骨盤側の付根部分に比して膝側の先端部分の方が鉛直上方に高く持ち上げられてることとなる。これにより、使用者の股関節を、膝が胸に近づく方向にまで効果的に折り曲げて運動させることが可能とされる。
更に、膝を上方に持ち上げた図7に示す状態から、大腿支持部24をそのままとして、図9に示されているように、下腿部駆動手段48で下腿支持部34を回動支軸40回りで回動変位させることが出来る。これにより、大腿二頭筋や半腱様筋等の大腿部後面の筋肉に対して一層効果的な伸縮運動を加えることが可能となる。
また、大腿支持部24は、回動支軸26回りで回動変位可能とされていることから、例えば図10に示されているように、大腿支持部24が座板部12の前方に略水平に延び出す回動位置等に設定変更し、かかる状態下において、下腿部駆動手段48で下腿支持部34を回動支軸40回りで回動変位させることも出来る。このように大腿支持部24の回動支軸26回りの回動位置を調節することにより、下腿支持部34の揺動に伴って使用者の大腿部後面の筋肉に及ぼされる伸縮運動効果の程度を適宜に調節することが可能となる。
なお、上述の大腿支持部24及び下腿支持部34の駆動に伴う運動態様はあくまで具体例であり、大腿支持部24及び下腿支持部34の駆動態様は、何等限定されることなく設定可能であり、それによって多様な運動が実現され得る。その際、左右の各脚支持部36,38における大腿支持部24及び下腿支持部34の変位を相互に連動させることも可能であり、例えば半周期の位相差で左右の脚支持部36,38を交互に変位させたり、左右の脚支持部36,38において位相差を持たないで同一の動きをさせることも可能である。
そして、このような左右の各脚支持部36,38における大腿支持部24及び下腿支持部34の変位を、使用者の着座状態下で行なうことにより、使用者の膝関節だけでなく、股関節に対して、効果的な屈伸運動を施すことが出来るのであり、それによって拘縮防止効果が発揮され得るのである。
特に本実施形態の拘縮防止装置10においては、椅子の形態を呈しており、使用者30の臀部を座板部12に載せて体重を支持せしめた状態下で、左右の大腿支持部24及び下腿支持部34を運動させることが出来ることから、股関節や膝関節に無理な力が及ぼされることを防止することが出来る。
しかも、床に寝たりすることに比して、椅子に腰掛けるという容易な動作で運動姿勢に至ることが出来て運動を開始することが出来ることから、運動開始に際しての介助の必要も軽減されると共に、運動開始に際して使用者に大きな覚悟も不要となって気軽に運動を行なうことが出来、運動回数の向上も無理なく達成され得る。また、運動部位が使用者の心臓よりも下方に位置せしめられることから、床に寝て行なう運動に比して、使用者の振動への負担も軽減され得る。
ところで、大腿支持部24及び下腿支持部34を駆動する大腿部駆動手段46及び下腿部駆動手段48の作動制御は、例えば、使用者がボタンやレバー等の操作手段によって手動でON/OFFすることで、任意の回動位置まで回動操作させるマニュアルモードでも、実現可能である。尤も、その場合でも、操作間違い等に起因する不慮の怪我等を防止するために、非常停止ボタンを設けることが望ましく、より好適には、大腿部駆動手段46や下腿部駆動手段48による大腿支持部24や下腿支持部34の駆動反力を検出し、かかる検出値が所定のしきい値を超えた場合には直ちに停止する自動停止制御装置が備えられる。このような自動停止制御装置は、例えば大腿部駆動手段46や下腿部駆動手段48の駆動力を、例えばシリンダ式アクチュエータなら圧力センサ等で圧力媒体の圧力を検出したり、電動モータ式アクチュエータなら電流センサ等で電力を検出し、かかる検出値が予め設定されたしきい値を超えた場合に作動を停止させること等によって容易に実現可能である。
なお、上述の如きマニュアルモードで操作する場合にも、例えば高齢者やリハビリ患者等の使用者は日々の体調が異なることから、それに対応することが望ましい。具体的には、例えば、使用開始に際して、先ず、使用者が着座した状態で大腿支持部24や下腿支持部34を介護者がゆっくりと手動で揺動させて、使用者の様子を見たり使用者と相談したりしながら介護者自身の感覚で操作反力を看取し、介護者が適当と判断した運動が出来るように、前述のしきい値や揺動速度などを設定できるようにすること等が効果的である。
特に本実施形態では、面圧センサが好適に採用される。具体的には、大腿支持部24において大腿部32を支持する前面の略全体に亘って面圧センサ54が配設されていると共に、下腿支持部34において下腿部44を支持する前面の略全体に亘って面圧センサ56が配設されている。
かかる面圧センサ56は、多数の測定ポイントでの作用圧力を検出する市販のシートセンサが採用可能であり、作用圧力に関して、その大きさの情報と共に位置の情報も与えるものである。具体的には、例えば特開平8−327474号公報や特開2000−018908号公報,特開2000−234975号公報,特開2000−337979号公報,特開2003−083820号公報,特開2005−331327号公報等に記載された、公知の面圧センサ等が採用可能である。
一層好適には、伸縮柔軟性のある面センサを採用することが望ましい。これにより、面圧センサ56を装着する大腿支持部24や下腿支持部34における当接面にクッション性を付与して、使用感を向上させることが出来る。なお、伸縮柔軟性のある面圧センサとしては、例えば誘電体層として発泡ウレタン等の弾性、より好適には弾性収縮性を備えた材質を採用し、この誘電体層の両面に柔軟な電極、例えば導電性のエラストマーやゴム等の層からなる電極を形成してそこに電圧を印加することにより、複数の各測定ポイントでの作用圧力をキャパシタ変化や抵抗変化として検出するようにした面圧センサが採用される。
そして、このような面圧センサ56を採用したことにより、例えば、大腿支持部24において、大腿部32の当接圧力のトータルの大きさだけでなく、かかる当接反力が全体の広い領域に作用しているか否かを併せて判定して、正しい使用状態にあるか否かまで判定することが可能となる。下腿支持部34においても同様な判定が可能である。これにより、大腿支持部24や下腿支持部34の面上で面圧の著しい偏在が検出された場合には、使用状態が正しくないと判断して、大腿部駆動手段46や下腿部駆動手段48の作動を停止させる等して、危険を未然に防止することも可能となる。なお、上述の如き各種作動を実現する制御手段は、例えば公知のプログラミングIC等を利用して必要に応じてソフトウエアを適当に調整することで容易に実現され得る(図面上では、制御手段は単なるボックスとして表されて、各面圧センサ54,56による検出信号の入力線や、大腿部駆動手段46及び下腿部駆動手段48への給電線等が接続されることとなるが、図中への表示を割愛する)。
また、座板部12や背当部20でも、使用に際して使用者30が接触する面に対して、前述の如き面圧センサ58,60を設けても良い。これにより、使用者30が、正しい着座状態にあるか否かを、かかる面圧センサ58,60による圧力分布態様に基づいて判定すること等も可能となる。そして、この判定結果を利用することにより、正しい着座状態に無い状態下で、大腿部駆動手段46や下腿部駆動手段48が予想外に駆動を開始する等の暴走的作動の回避も容易に実現可能となる。
さらに、このような各種センサを設けることにより、大腿部駆動手段46や下腿部駆動手段48による大腿支持部24や下腿支持部34の揺動変位を自動制御することも可能となる。具体的には、例えば、使用者が着座した状態で作動開始スイッチを入れることで、大腿部駆動手段46や下腿部駆動手段48を、予め設定された最低駆動反力値から最大駆動反力値の間で繰り返すように反復作動せしめて、大腿支持部24や下腿支持部34を所定ストローク範囲で所定回数だけ繰り返して揺動変位させること等も可能となる。その際、揺動の所定回数毎に、設定される駆動反力値を変化させることで、大腿支持部24や下腿支持部34の揺動ストローク量を次第に変化させること等も可能となる。
具体的には、例えば大腿支持部24や下腿支持部34において、その駆動反力や駆動速度又は加速度等を検出するセンサを装着し、目的とする駆動反力や駆動速度又は加速度、最大駆動力、揺動角度領域等が実現されるように、かかるセンサによる検出値を参照して、大腿部駆動手段46や下腿部駆動手段48の作動をフィードバック制御することが可能である。また、その際、使用者の相違や日毎の体調相違などを考慮して、フィードバック制御における目標値を、適宜に調節設定可能とすることが望ましい。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明は上述の実施形態における具体的な記載によって何等限定して解釈されるものでない。例えば、座板部12の奥行方向長さを小さくし、その分だけ大腿支持部24の長さを大きくすることも可能であり、それによって、大腿支持部24による使用者の大腿部の支持面積を大きくして駆動時に大腿部へ作用する力の分散軽減を図ることも可能である。
また、大腿部駆動手段や下腿部駆動手段として、例示の如き出力ロッドを備えたアクチュエータの他、大腿支持部24を回動支軸26の回りで駆動せしめるギヤードモータや、下腿支持部34を回動支軸40の回りで駆動せしめるギヤードモータ等を採用しても良い。或いは、それら大腿部駆動手段や下腿部駆動手段として、剛性フレーム22に取り付けられた電動モータやシリンダ機構等のアクチュエータの出力を大腿支持部24や下腿支持部34に伝達する適当なリンク機構等を採用することも可能である。
更にまた、左右の各下腿支持部34の先端縁部に対して、それぞれ、ステップ板を連結せしめ、これら左右一対のステップ板の上に使用者の左右の足を載せて、足裏をステップ板で支持せしめるようにしても良い。その際、かかるステップ板を、下腿支持部34の先端縁部に対して、左右方向に延びる回動支軸回りで揺動可能にすると共に、該ステップ板を下腿支持部34に対して回動支軸回りに揺動駆動せしめるステップ板駆動手段を設けることも可能である。そして、使用者の着座状態で、ステップ板を下腿支持部34に対して揺動駆動させることにより、ステップ板に載置せしめた足をくるぶし回りで往復上下運動させて、くるぶし部分の拘縮防止効果や、ふくらはぎの筋肉への刺激運動効果を得ることも可能となる。
10:拘縮防止装置,12:座板部,20:背当部,24:大腿支持部,26:回動支軸,30:使用者,34:下腿支持部,40:回動支軸,46:大腿部駆動手段,48:下腿部駆動手段

Claims (7)

  1. 使用者の臀部を支持せしめて着座させる座板部と、
    該座板部の後部上方に配設されて前記使用者の背部を支持せしめる背当部と、
    前記座板部の前方縁部からそれぞれ延び出して設けられて前記使用者の左右の大腿部を支持せしめると共に座板部側を中心として延出先端側が上下方向に揺動変位可能とされた左右一対の大腿支持部と、
    該一対の大腿支持部の先端縁部からそれぞれ延び出して設けられて前記使用者の左右の下腿部を支持せしめると共に大腿支持部側を中心として延出先端側が上下方向に揺動変位可能とされた左右一対の下腿支持部と、
    前記一対の大腿支持部にそれぞれ駆動力を及ぼしめて該一対の大腿支持部をそれぞれ揺動変位せしめる大腿部駆動手段と、
    前記一対の下腿支持部にそれぞれ駆動力を及ぼしめて該一対の下腿支持部をそれぞれ揺動変位せしめる下腿部駆動手段と
    を、含むことを特徴とする下半身の拘縮防止装置。
  2. 前記大腿部駆動手段による前記一対の大腿支持部の駆動に伴う揺動反力をそれぞれ検出する大腿部検出手段と、
    前記下腿部駆動手段による前記一対の下腿支持部の駆動に伴う揺動反力をそれぞれ検出する下腿部検出手段と、
    それら大腿部検出手段と下腿部検出手段とにおける検出信号に基づいて該大腿部駆動手段と該下腿部駆動手段を作動制御する作動制御手段と
    を、含む請求項1に記載の下半身の拘縮防止装置。
  3. 前記一対の大腿支持部が前記大腿部駆動手段によって互いに独立して揺動変位可能とされている請求項1又は2に記載の下半身の拘縮防止装置。
  4. 前記座板部における前記使用者の着座面に対して、作用する圧力の大きさと領域を検出し得る面圧センサが設けられている請求項1〜3の何れか1項に記載の下半身の拘縮防止装置。
  5. 前記大腿支持部が、その先端側が前記座板部における使用者の着座面よりも上方になる位置に至るまで、前記大体部駆動手段により揺動変位されるようになっている請求項1〜4の何れか1項に記載の下半身の拘縮防止装置。
  6. 前記大腿部検出手段と前記下腿部検出手段との少なくとも一方が、作用する圧力の大きさと領域を検出し得る面圧センサによって構成されている請求項1〜5の何れか1項に記載の下半身の拘縮防止装置。
  7. 前記大腿支持部が、前記座板部に着座した使用者の大腿部の長さ方向の中間位置から膝側部分を支持するようになっている請求項1〜6の何れか1項に記載の下半身の拘縮防止装置。
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