JP2011125081A - 回転機の制御装置の製造方法 - Google Patents

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彰宏 井村
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Abstract

【課題】インバータの操作状態を複数通りに設定した場合のそれぞれについてモータジェネレータの電気的な状態量を予測し、予測に基づきインバータを操作するモデル予測制御手段を備えるものにあって、製造工数が増大しやすいこと。
【解決手段】制御対象として選択されたモータジェネレータのd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqと抵抗Rとに基づき、電気時定数を算出する(ステップS18)。電気時定数に係数Kを乗算することで、モデル予測制御による操作状態の更新周期の逆数(更新周波数)の下限値を設定する(ステップS20)。更新周波数を下限値以上に設定して評価することで更新周波数を適合する。
【選択図】 図8

Description

本発明は、互いに相違する値を有する電圧を印加する複数の電圧印加手段と回転機の端子との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで前記回転機の制御量を制御する装置であって且つ、前記電力変換回路の操作状態を複数通りに設定した場合のそれぞれについて前記回転機の電気的な状態量を予測し、該予測に基づき前記電力変換回路を操作するモデル予測制御手段を備える回転機の制御装置について、これを製造する方法に関する。
回転機の制御装置としては、例えば下記特許文献1に見られるように、モデル予測制御を行うものもある。この装置は、回転機の固定子磁束を予測するものである。ただし、固定子磁束を予測する場合、予測に用いられるパラメータの誤差に起因して予測誤差が生じる。そこで、上記制御装置では、固定子磁束の予測値を補正する処理を行っている。
特許第3729734号公報
ただし、補正する処理を設計するには、その設計工数が多くなり、また、制御装置の制御精度が設計者のスキルに大きく左右されやすいという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、電力変換回路の操作状態を複数通りに設定した場合のそれぞれについて回転機の電気的な状態量を予測し、該予測に基づき前記電力変換回路を操作するモデル予測制御手段を備えるものにあって、製造工数を抑制しつつも制御精度の高い回転機の制御装置を製造する方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
請求項1記載の発明は、互いに相違する値を有する電圧を印加する複数の電圧印加手段と回転機の端子との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで前記回転機の制御量を制御する装置であって且つ、前記電力変換回路の操作状態を複数通りに設定した場合のそれぞれについて前記回転機の電気的な状態量を予測し、該予測に基づき前記電力変換回路を操作するモデル予測制御手段を備える回転機の制御装置について、該制御装置を製造する方法において、前記モデル予測制御手段の予測において想定されるq軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、および抵抗Rを用いて定まる「R/2πLd」および「R/2πLq」のうちの大きい方である電気時定数を算出する算出工程と、前記電力変換回路の操作状態の更新周期の逆数を、前記電気時定数の「1000」倍以上にするとの条件下、前記更新周期を適合する適合工程とを有することを特徴とする。
上記電気時定数は、回転機を流れる電流の応答性を左右するパラメータである。このため、モデル予測において想定されるパラメータが誤差を含む場合、モデル予測制御手段による予測誤差は、電気時定数に依存すると考えられる。そこで上記発明では、回転機の電気時定数に着目し、これに基づき更新周期の逆数を適合するうえでの下限値を設定した。このため、電気時定数に基づき予測誤差が大きいと考えられる更新周期によってモデル予測制御手段による予測精度等を実際に評価する手間を省くことができ、ひいては適合工数を低減することができる。このため、上記発明では、製造工数を抑制しつつも制御精度の高い回転機の制御装置を製造することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記モデル予測制御手段は、予測において想定するq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdを、前記回転機を流れる電流に応じて可変設定するものであり、前記算出工程は、可変設定される最小のq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdに応じて前記電気時定数を算出することを特徴とする。
d軸インダクタンスLdやq軸インダクタンスLqが小さいほど電気時定数は大きくなる。このため、可変設定される最小のq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdに応じて電気時定数を設定するなら、これに基づき設定される更新周波数の下限値は、d軸インダクタンスLdやq軸インダクタンスLqの可変設定領域の全域において、モデル予測制御手段による予測誤差を小さくすることができる値であると考えられる。
なお、上記回転機は、電気時定数が「14.5Hz」以下であるものであることが望ましい。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記モデル予測制御手段は、予測において想定するq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdを、前記回転機の使用領域において取りうると想定される値の中央値とするものであり、前記適合工程は、前記更新周期の逆数を、前記電気時定数の「5000」倍以上にするとの条件下、前記更新周期を適合する工程であることを特徴とする。
上記発明では、モデル予測制御手段が想定するq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdを、回転機の使用領域において取りうると想定される値の中央値とすることで、想定されるd軸インダクタンスLdやq軸インダクタンスLqの誤差を極力低減することができる。
なお、上記回転機は、電気時定数が「26.5Hz」以下であるものであることが望ましい。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記電圧印加手段は、直流電源の正極および負極であり、前記電力変換回路は、前記直流電源の正極および負極と前記多相回転機の端子とを選択的に接続するスイッチング素子を備えることを特徴とする。
一実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかるインバータの操作状態を示す図。 同実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す流れ図。 モデルパラメータ誤差と制御誤差との関係のシミュレーション結果を示す図。 係数Kと制御誤差との関係のシミュレーション結果を示す図。 係数Kと制御誤差との関係のシミュレーション結果を示す図。 係数Kと制御誤差との関係のシミュレーション結果を示す図。 上記実施形態にかかる更新周波数の適合処理の手順を示す流れ図。 係数Kと制御誤差との関係の一例を示すタイムチャート。
以下、本発明にかかる回転機の制御装置をハイブリッド車の制御装置に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかるモータジェネレータの制御システムの全体構成を示す。モータジェネレータ10は、3相の永久磁石同期モータである。また、モータジェネレータ10は、突極性を有する回転機(突極機)である。詳しくは、モータジェネレータ10は、埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)である。
モータジェネレータ10は、インバータIVを介して高電圧バッテリ12に接続されている。インバータIVは、スイッチング素子Sup,Sunの直列接続体と、スイッチング素子Svp,Svnの直列接続体と、スイッチング素子Swp,Swnの直列接続体とを備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnとして、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードDup,Dun,Dvp,Dvn,Dwp,Dwnが逆並列に接続されている。
本実施形態では、モータジェネレータ10やインバータIVの状態を検出する検出手段として、以下のものを備えている。まずモータジェネレータ10の回転角度(電気角θ)を検出する回転角度センサ14を備えている。また、モータジェネレータ10の各相を流れる電流iu,iv,iwを検出する電流センサ16を備えている。更に、インバータIVの入力電圧(電源電圧VDC)を検出する電圧センサ18を備えている。
上記各種センサの検出値は、図示しないインターフェースを介して低電圧システムを構成する制御装置20に取り込まれる。制御装置20では、これら各種センサの検出値に基づき、インバータIVを操作する操作信号を生成して出力する。ここで、インバータIVのスイッチング素子Sup,Sun,Svp,Svn,Swp,Swnを操作する信号が、操作信号gup,gun,gvp,gvn,gwp,gwnである。
上記制御装置20は、モータジェネレータ10のトルクを要求トルクTrに制御すべく、インバータIVを操作する。詳しくは、要求トルクTrを実現するための指令電流となるようにインバータIVを操作する。すなわち、本実施形態では、モータジェネレータ10のトルクが最終的な制御量となるものであるが、トルクを制御すべく、モータジェネレータ10を流れる電流を直接の制御量としてこれを指令電流に制御する。特に、本実施形態では、モータジェネレータ10を流れる電流を指令電流に制御すべく、インバータIVの操作状態を複数通りのそれぞれに設定した場合についてのモータジェネレータ10を流れる電流を予測し、上記操作状態のうち予測電流が指令電流に近くなるものをインバータIVの実際の操作状態として採用するモデル予測制御を行う。
詳しくは、電流センサ16によって検出された相電流iu,iv,iwは、dq変換部22において、回転座標系の実電流id,iqに変換される。また、角度センサ14によって検出される電気角θは、速度算出部23の入力となり、これにより、回転速度(電気角速度ω)が算出される。一方、指令電流設定部24は、要求トルクTrを入力とし、dq座標系での指令電流idr,iqrを出力する。これら指令電流idr,iqr、実電流id,iq、及び電気角θは、モデル予測制御部30の入力となる。モデル予測制御部30では、これら入力パラメータに基づき、インバータIVの操作状態を規定する電圧ベクトルViを決定し、操作部26に入力する。操作部26では、入力された電圧ベクトルViに基づき、上記操作信号を生成してインバータIVに出力する。
ここで、インバータIVの操作状態を表現する電圧ベクトルは、図2に示す8つの電圧ベクトルとなる。例えば、低電位側のスイッチング素子Sun,Svn,Swnがオン状態となる操作状態(図中、「下」と表記)を表現する電圧ベクトルが電圧ベクトルV0であり、高電位側のスイッチング素子Sup,Svp,Swpがオン状態となる操作状態(図中、「上」と表記)を表現する電圧ベクトルが電圧ベクトルV7である。これら電圧ベクトルV0,V7は、モータジェネレータ10の全相を短絡させるものであり、インバータIVからモータジェネレータ10に印加される電圧がゼロとなるものであるため、ゼロベクトルと呼ばれている。これに対し、残りの6つの電圧ベクトルV1〜V6は、上側アーム及び下側アームの双方にオン状態となるスイッチング素子が存在する操作パターンによって規定されるものであり、非ゼロベクトルと呼ばれている。なお、図2(b)に示すように、電圧ベクトルV1、V3,V5のそれぞれがU相、V相、W相の正側にそれぞれ対応している。
次に、モデル予測制御部30の処理の詳細について説明する。先の図1に示す操作状態設定部31では、インバータIVの操作状態を設定する。ここでは、先の図2に示した電圧ベクトルV0〜V7をインバータIVの操作状態として設定する。dq変換部32では、操作状態設定部31によって設定された電圧ベクトルをdq変換することで、dq座標系の電圧ベクトル(vd,vq)を算出する。こうした変換を行うべく、操作状態設定部31における電圧ベクトルV0〜V7を、例えば、先の図2において、「上」を「VDC/2」として且つ「下」を「−VDC/2」とすることで表現すればよい。この場合、例えば、電圧ベクトルV0は、(−VDC/2、−VDC/2、−VDC/2)となり、電圧ベクトルV1は、(VDC/2、−VDC/2、−VDC/2)となる。
予測部33では、電圧ベクトル(vd、vq)と、実電流id,iqと、電気角速度ωとに基づき、インバータIVの操作状態を操作状態設定部31によって設定される状態とした場合の電流id,iqを予測する。ここでは、下記(c1)、(c2)にて表現される電圧方程式を、電流の微分項について解いた下記の状態方程式(式(c3)、(c4))を離散化し、1ステップ先の電流を予測する。
vd=(R+pLd)id −ωLqiq …(c1)
vq=ωLdid (R+pLq)iq +ωφ …(c2)
pid
=−(R/Ld)id +ω(Lq/Ld)iq +vd/Ld …(c3)
piq
=−ω(Ld/Lq)id−(Rd/Lq)iq+vq/Lq−ωφ/Lq…(c4)
ちなみに、上記の式(c1)、(c2)において、抵抗R、微分演算子p、d軸インダクタンスLd,q軸インダクタンスLq及び電機子鎖交磁束定数φを用いた。
上記電流の予測は、操作状態設定部31によって設定される複数通りの操作状態のそれぞれについて行われる。
一方、操作状態決定部34では、予測部33によって予測された電流ide,iqeと、指令電流idr,iqrとを入力として、インバータIVの操作状態を決定する。ここでは、操作状態設定部31によって設定された操作状態のそれぞれを評価関数Jによって評価し、評価のもっとも高かった操作状態を選択する。この評価関数Jとして、本実施形態では、評価が低いほど値が大きくなるものを採用する。具体的には、評価関数Jを、指令電流ベクトルIdqr=(idr,iqr)と、予測電流ベクトルIdqe=(ide,iqe)との差の内積値に基づき算出する。これは、指令電流ベクトルIdqrと予測電流ベクトルIdqeとの各成分の偏差が正、負の双方の値となりうることに鑑み、値が大きいほど評価が低いことを表現するための一手法である。これにより、指令電流ベクトルIdqrと予測電流ベクトルIdqeとの各成分の差が大きいほど、評価が低くなる評価関数Jを構築することができる。
図3に、本実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す。この処理は、所定周期(更新周期Tc)で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS10において、電気角θ(n)と、実電流id(n),iq(n)とを検出するとともに、前回の更新周期で決定された電圧ベクトルV(n)を出力する。続くステップS12においては、1更新周期先における電流(ide(n+1),iqe(n+1))を予測する。これは、上記ステップS10によって出力された電圧ベクトルV(n)によって、1更新周期先の電流がどうなるかを予測する処理である。ここでは、上記の式(c3)、(c4)にて表現されたモデルを前進差分法にて更新周期Tcで離散化したものを用いて、電流ide(n+1)、iqe(n+1)を算出する。この際、電流の初期値として、上記ステップS10において検出された実電流id(n),iq(n)を用いるとともに、dq軸上の電圧ベクトルとして、電圧ベクトルV(n)を、上記ステップS10において検出されたθ(n)によってdq変換したものを用いる。
続くステップS14〜S22では、次回の更新周期における電圧ベクトルを複数通りに設定した場合のそれぞれについて、2更新周期先の電流を予測する処理を行う。すなわち、まずステップS14において、電圧ベクトルを定める数jを「0」に設定する。続くステップS16においては、電圧ベクトルVjを、次回の更新周期における電圧ベクトルV(n+1)として設定する。続くステップS18においては、上記ステップS12と同様にして予測電流ide(n+2)、iqe(n+2)を算出する。ただし、ここでは、電流の初期値として、上記ステップS12において算出された予測電流ide(n+1),iqe(n+1)を用いるとともに、dq軸上の電圧ベクトルとして、電圧ベクトルV(n+1)を、上記ステップS10において検出された電気角θ(n)にωTcを加算した角度によってdq変換したものを用いる。
続くステップS20においては、数jが「7」であるか否かを判断する。この処理は、インバータIVの操作状態を決定する電圧ベクトルV0〜V7の全てについて、電流の予測処理が完了したか否かを判断するためのものである。そして、ステップS20において否定判断される場合には、ステップS22において、数jをインクリメントし、ステップS16に戻る。これに対し、ステップS20において肯定判断される場合には、ステップS24に移行する。
ステップS24においては、次回の更新周期における電圧ベクトルV(n+1)を決定する処理を行う。ここでは、上記評価関数Jを最小化する電圧ベクトルを最終的な電圧ベクトルV(n+1)とする。すなわち、ステップS20において肯定判断される時点で、電圧ベクトルV0〜V7のそれぞれについての予測電流ide(n+2),iqe(n+2)が算出されている。このため、これら8通りの予測電流ide(n+2),iqe(n+2)を用いて、評価関数Jの値を8つ算出することができる。続くステップS26においては、電圧ベクトルV(n),V(n+1)を、それぞれ電圧ベクトルV(n−1),V(n)とし、電気角θ(n)を電気角θ(n−1)とし、実電流id(n),iq(n)を、それぞれ実電流id(n−1)、iq(n−1)とする。
なお、ステップS26の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。
上記態様にてモータジェネレータ10の制御量を制御することができる。ただし、制御量の制御精度は、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、抵抗Rおよび電機子鎖交磁束定数φについてのモデル予測において想定する値に対する制御対象としてのモータジェネレータ10の実際の値の誤差に依存する。すなわち、これらのパラメータの値としてモータジェネレータ10の運転領域において想定される最大値および最小値間の中央値を想定してモデル予測制御を行なう場合、中央値から離間するにつれて制御誤差が大きくなると考えられる。また、これらパラメータをモータジェネレータ10を流れる電流等、モータジェネレータ10の運転領域に応じて可変設定する場合、可変設定に際して想定したモータジェネレータ10の特性と実際のモータジェネレータ10の特性との個体差に依存して制御誤差が生じる。
図4に、上記各パラメータをモータジェネレータ10の運転領域において想定される最大値および最小値間の中央値としてモデル予測制御を行なう場合について、各パラメータの誤差(横軸)と、制御誤差(縦軸)との関係を示す。ここでは、上記中央値が、Ld=0.0023[H]、Lq=0.0052[H]、R=0.21[Ω]、φ=0.059[Wb]となるものを用いた。この例では、q軸インダクタンスLqの誤差が制御誤差に最も大きな影響を及ぼして且つ、q軸インダクタンスLqの誤差が大きいほどd軸電流の誤差が大きくなった。
この誤差を低減するうえでは、モデル予測制御における更新周期Tcを短くすることが有効である。ただし、モータジェネレータ10の制御装置の開発の都度、制御量の誤差を許容範囲とするうえで適切な更新周期Tcを適合することは、適合工数の増大を招く。そこで本実施形態では、モータジェネレータ10が与えられた場合に、その挙動をある程度予測可能なパラメータとして、電気時定数に着目した。ここで、電気時定数は、「R/2πLd」および「R/2πLq」のうちの大きい方であると定義する。電気時定数は、モータジェネレータ10を流れる電流の応答性を左右するパラメータであるため、パラメータ誤差がモデル予測制御の誤差に与える影響は、電気時定数に依存すると考えられる。そこで本実施形態では、電気時定数に係数Kを乗算することで、更新周期Tcの逆数(更新周波数fc)の下限値を設定する。
図5に、3種のモータジェネレータ10について、制御誤差に最大の影響を及ぼすパラメータに最大の誤差(50%)があるとした場合についてのモデル予測制御の誤差と、係数Kとの関係を示す。ここで、図5(a)は、上記中央値が、Ld=0.0003[H]、Lq=0.0003[H]、R=0.05[Ω]となる小型モータに関するものである。また、図5(b)は、上記中央値が、Ld=0.0023[H]、Lq=0.0052[H]、R=0.21[Ω]となる中型モータに関するものである。さらに、図5(c)は、上記中央値が、Ld=0.001[H]、Lq=0.003[H]、R=0.027[Ω]となる大型モータに関するものである。なお、小型モータ、中型モータ、および大型モータのそれぞれの電気時定数Fmotorは、「26.5Hz」、「14.5Hz」、「4.3Hz」である。
図に示されるように、いずれのモータの場合であっても、係数Kを大きくしていくことで制御誤差は低減している。換言すれば、更新周期Tcを短くすることで制御誤差は低減している。ここで、様々なモータジェネレータ10の制御装置を開発するに際して基準となる係数Kを定義することを考える。すなわち、一度係数Kを定めた後には、制御対象として新たなモータジェネレータ10が採用される都度、その電気時定数に係数Kを乗算した値を更新周波数fcの下限値とすることができるなら、それよりも小さい更新周波数fcについて実際に試してみる必要がないことから、制御装置の製造工数が低減すると考えられる。
図5から、同一の誤差において要求される係数Kは、小型モータで最小となることがわかる。そこで小型モータについて、制御の誤差を「10%」以下に抑えることを考える。この場合、係数Kは、「5000」以上とすることが必要と考えられる。そして、中型モータ、大型モータにおいても、係数Kが「5000」以上であることは、制御誤差を「10%」以下に抑えるための必要条件となる。実際、中型モータでは、制御誤差を「10%」以下に抑えるためには、係数Kが「10000」以上であることが要求され、また大型モータでは、係数Kが「40000」以上であることが要求される。
ちなみに、図5に示した例は、制御誤差に最も大きな影響を及ぼすパラメータが最大の誤差を有する場合についてのシミュレーション結果であるが、それ以外のパラメータに更に誤差が加わった場合であっても以上の考察にはほとんど影響がないことが、図6からわかる。図6は、q軸インダクタンスLqが制御誤差に最も大きな影響を及ぼすモータである上記中型モータについて、更にもう1つのパラメータに最大の誤差を持たせた場合について、係数Kと制御誤差との関係を示す。図示されるように、更にもう1つのパラメータに最大の誤差が生じても、制御誤差にはほとんど影響しない。
以上により、制御対象として新たな仕様のモータジェネレータが選択される都度、モデル予測制御の更新周期Tcの逆数である更新周波数fcは、電気時定数×「5000」をその下限値として適合すれば適合工数を低減できることがわかる。なお、図5および図6は、モータジェネレータ10の使用領域における最大出力点におけるものであるため、図5、図6に基づく考察は、モータジェネレータ10の運転領域の全領域において成立すると考えられる。これは、電気角速度ωや電流が小さいほどパラメータ誤差によって生じる制御誤差が小さくなると考えられることに基づいている。
次に、モデル予測制御において、d軸インダクタンスLdやq軸インダクタンスLqとして想定される値を運転状態に応じて可変設定する場合を考える。図7に、上記中型モータにおいて、図中右上に示すようにインダクタンスを運転領域(電流)に応じて可変設定する場合について、係数Kと制御誤差との関係を示す。ここで、A条件、B条件、およびC条件は、図の右上に示すA,B,Cにおける電気時定数をそれぞれ用いることを示す。図示されるように、可変設定される値のうち電気時定数が最大となる値(d軸インダクタンスLdの想定最小値)を用いて係数Kを定めるなら、想定されるインダクタンスが変化しても、制御誤差を許容範囲内に抑えることができると考えられる。これは、直感的には、これに係数Kを乗算した場合に更新周波数fcが最大となることが理由となっていると考えられる。
ここで制御誤差を「10%」以下に抑えるための必要条件は、係数Kが「1000」以上であることであるとすることができる。なお、少なくとも大型モータにおいては係数Kを更に大きくする必要があると考えられるため、この条件を満たす。また、図7は、モータジェネレータ10の使用領域における最大出力点におけるものであるため、図7に基づく考察は、モータジェネレータ10の運転領域の全領域において成立すると考えられる。これは、電気角速度ωや電流が小さいほどパラメータ誤差によって生じる制御誤差が小さくなると考えられることに基づいている。
図8に、本実施形態にかかる制御装置の製造工程を示す。
図示されるように、ここではまずステップS10において、モデル予測制御手段として、d軸インダクタンスLdやq軸インダクタンスLqを運転領域に応じて可変設定する手段(Ld,Lqマップ)を有するか否かを判断する。これは、制御装置の要求仕様等に応じて定まるものである。そしてステップS10において、可変設定する手段を有すると判断される場合、ステップS12において、係数Kを「1000」とする。続くステップS14では、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとのそれぞれについての上記可変設定する手段による最小値のうちの小さい方を選択する。一方、上記ステップS10において可変設定する手段を有しないと判断される場合、ステップS16において係数Kを「5000」に設定する。
ステップS14,S16の処理が完了する場合、ステップS18において電気時定数を算出する。続くステップS20では、更新周波数fcの下限値を、上記ステップS18において算出された電気時定数に上記ステップS12、S16によって定義された係数Kを乗算することで算出する。そして、ステップS22では、更新周波数fcを下限値以上に設定して、モータジェネレータを稼動させるなどすることで、更新周期Tcを適合する。
こうした一連の工程を経ることで、制御装置の製造工数を低減することができる。
すなわち、上記可変設定をする手段を有しない制御装置を製造する場合、例えば図9に示すように、係数Kが「1380」に相当する更新周期Tcを実際に試すことなく、制御誤差が許容できるものとなる更新周期Tcである係数Kが「6900」となる更新周期を迅速に見出すことができる。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)制御対象されるモータジェネレータが選択される都度、モデル予測制御において想定されるq軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、および抵抗Rを用いて定まる「R/2πLd」および「R/2πLq」のうちの大きい方である電気時定数を算出し、これに「1000」以上の係数Kを乗算したものを、更新周波数fcの下限値とするとの条件下、更新周期Tcを適合した。これにより、製造工数を抑制しつつも制御精度の高い制御装置を製造することができる。
(2)モデル予測において想定するq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdを、モータジェネレータ10の使用領域において取りうると想定される値の中央値とするものについて、上記係数Kを「5000」とした。これにより、電気時定数が「26.5Hz」以下であって且つその使用領域におけるパラメータ誤差の最大値が中央値の「50%」以下となるものについて、製造工数を抑制しつつも制御精度の高い制御装置を製造することができる。
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
<更新周波数の下限値について>
更新周波数の下限値としては、制御装置20が、モデル予測において想定するd軸インダクタンスLdおよびq軸インダクタンスLqを可変設定する場合には、係数Kを「1000」とし、可変設定しない場合には、係数Kを「5000」として定められるものに限らない。例えば可変設定しない場合であっても、係数Kを「1000」として下限値を設定してもよい。特に、モデル予測において用いるモデルにおいて鉄損を考慮する等、モデル予測手法を改良する場合には、更新周波数が低くても予測精度が向上すると考えられるため、係数Kを「5000」よりも小さくして下限値を設定することに技術的な意義が生じうる。
<モデル予測手法について>
・上記各実施形態では、インバータIVの操作状態についての次の更新タイミング(1更新周期先のタイミング)におけるインバータIVの操作による制御量を予測したがこれに限らない。例えば数更新周期先の更新タイミングにおけるインバータIVの操作による制御量まで順次予測することで、1更新周期先の更新タイミングにおける操作状態を決定してもよい。特に、モデル予測制御に用いる初期値を予測する処理(図3のステップS12)を行わない場合には、制御精度が低下しやすいため、数更新周期先まで予測することは有効である。なお、数更新周期先まで予測するなら、初期値の予測を行わなくても行った場合と同程度の制御精度へと近づけることができることが発明者らによって見出されている。このため、数更新周期先までの予測を行う場合には上記初期値の予測処理を行わない場合であっても、上記係数Kによって定まる下限値によって更新周波数を設定する処理の適用が上記実施形態と同程度に有効となる。
・上記各実施形態では、電流の検出タイミングをインバータIVの操作状態の更新タイミングに同期させたがこれに限らない。例えば、時系列的に隣接する各一対の更新タイミング間の中央のタイミングにおいて電流を検出するようにしてもよい。この場合であっても、次回の更新タイミングにおける操作状態の設定に伴う電流の予測の初期値として、次回の更新タイミングにおける電流を上記検出された電流に基づき予測することは有効である。
・上記各実施形態では、インバータIVの操作状態の更新タイミングから1更新周期先の制御量を予測したがこれに限らない。例えば、操作状態の更新タイミングから1更新周期経過するまでの期間内の中間の時点における制御量を予測してもよい。
・連続系でのモデルを離散化する手法としては、前進差分法等の差分法を用いるものに限らない。例えば、N(≧2)段階の線形多段階法や、ルンゲ・クッタ型公式等を用いるものであってもよい。
・電流を予測するために用いるモデルとしては、鉄損を無視したモデルに限らず、これを考慮したモデルであってもよい。
・電流等を予測するために用いるモデルとしては、基本波を前提としたモデルに限らない。例えば、インダクタンスや誘起電圧について高次成分を含むモデルを用いてもよい。また、電流等の予測手段としては、モデル式を用いるものに限らず、マップを用いるものであってもよい。この際、マップの入力パラメータとしては、電圧(vd、vq)および電気角速度ωであってもよく、また温度等を更に含めてもよい。こうした場合であっても、想定されるインダクタンスLd、Lq等を可変設定するかしないかに応じて、係数Kを「1000」とするか「5000」とするかして更新周波数の下限値を設定することは有効である。なお、ここでマップとは、入力パラメータについての離散的な値に対応した出力パラメータの値が記憶された記憶手段のこととする。
<制御量について>
・指令値と予測値とに基づきインバータIVの操作を決定するために用いる制御量としては、電流に限らない。例えば、トルクのみまたは磁束のみであってもよい。また例えば、トルクおよび磁束、またはトルクおよび電流であってもよい。ここで、制御量を電流以外とする場合等において、センサによる直接の検出対象を電流以外としてもよい。
・上記各実施形態では、回転機の究極の制御量(予測対象であるか否かにかかわらず、最終的に所望の量とされることが要求される制御量)を、トルクとしたが、これに限らず、例えば回転速度等としてもよい。
<その他>
・回転機としては、埋め込み磁石同期機に限らず、表面磁石同期機や、界磁巻線型同期機等、任意の同期機であってよい。更に、同期機にも限らず、誘導モータ等、誘導回転機であってもよい。
・回転機としては、ハイブリッド車に搭載されるものに限らず、電気自動車に搭載されるものであってもよい。また、回転機としては車両の主機として用いられるものに限らない。
・直流電源としては、高電圧バッテリ12に限らず、例えば高電圧バッテリ12の電圧を昇圧するコンバータの出力端子であってもよい。
・互いに相違する値を有する電圧を印加する複数の電圧印加手段と多相回転機の各端子との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路としては、インバータIVに限らない。例えば、多相回転機の各端子に3つ以上の互いに相違する値の電圧を印加する電圧印加手段と多相回転機の各端子とを選択的に開閉するスイッチング素子を備えるものであってもよい。なお、多相回転機の各端子に3つ以上の互いに相違する値の電圧を印加するための電力変換回路としては、例えば特開2006−174697号公報に例示されているものがある。
10…モータジェネレータ、12…高電圧バッテリ(直流電源の一実施形態)、14…制御装置(多相回転機の制御装置の一実施形態)。

Claims (4)

  1. 互いに相違する値を有する電圧を印加する複数の電圧印加手段と回転機の端子との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路を操作することで前記回転機の制御量を制御する装置であって且つ、前記電力変換回路の操作状態を複数通りに設定した場合のそれぞれについて前記回転機の電気的な状態量を予測し、該予測に基づき前記電力変換回路を操作するモデル予測制御手段を備える回転機の制御装置について、該制御装置を製造する方法において、
    前記モデル予測制御手段の予測において想定されるq軸インダクタンスLq、d軸インダクタンスLd、および抵抗Rを用いて定まる「R/2πLd」および「R/2πLq」のうちの大きい方である電気時定数を算出する算出工程と、
    前記電力変換回路の操作状態の更新周期の逆数を、前記電気時定数の「1000」倍以上にするとの条件下、前記更新周期を適合する適合工程とを有することを特徴とする回転機の制御装置の製造方法。
  2. 前記モデル予測制御手段は、予測において想定するq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdを、前記回転機を流れる電流に応じて可変設定するものであり、
    前記算出工程は、可変設定される最小のq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdに応じて前記電気時定数を算出することを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置の製造方法。
  3. 前記モデル予測制御手段は、予測において想定するq軸インダクタンスLqおよびd軸インダクタンスLdを、前記回転機の使用領域において取りうると想定される値の中央値とするものであり、
    前記適合工程は、前記更新周期の逆数を、前記電気時定数の「5000」倍以上にするとの条件下、前記更新周期を適合する工程であることを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置の製造方法。
  4. 前記電圧印加手段は、直流電源の正極および負極であり、
    前記電力変換回路は、前記直流電源の正極および負極と前記回転機の端子とを選択的に接続するスイッチング素子を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転機の制御装置の製造方法。
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