JP2011124623A - 画像処理を画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム、画像処理装置及び印刷装置 - Google Patents

画像処理を画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム、画像処理装置及び印刷装置 Download PDF

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Abstract

【課題】特殊光沢インクによって表現される印刷媒体上の光沢感を容易に調整することのできる技術を提供する。
【解決手段】画像データを特殊光沢インクと着色インクとを用いて印刷媒体に印刷する印刷装置のための画像処理を、画像処理装置に実行させるコンピュータープログラムは、画像データのうち特殊光沢インクを用いて印刷する領域である特殊光沢領域を設定する機能と、画像データの各画素ごとに、複数の要素データに基づいて、明るさに相関を有する単一の値を求める機能と、特殊光沢領域における特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示と、単一の値とに基づいて、特殊光沢インク指標値を求める機能と、印刷装置が特殊光沢インクを用いて印刷を行なうための印刷データを、特殊光沢インク指標値に基づいて生成する機能とを画像処理装置に実行させる。
【選択図】図6

Description

本発明は、画像処理を画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム、画像処理装置及び印刷装置に関するものである。
従来、カラーインクの他に、メタリック感を表現するためのメタリックインクを用いて印刷を行なうプリンターが提案されている。こうしたメタリックインクを備えたプリンターに関する技術としては、例えば、特許文献1記載の技術が知られている。しかしながら、従来のプリンターや画像処理装置では、メタリックインクによって印刷物に光沢感を与えることはできても、その光沢感を調整したり、所望の光沢感を実現することは困難であった。
なおこのような問題は、メタリックインクを備えたプリンターのための画像処理に限らず、カラーインクとは異なる特殊な光沢を発現する特殊光沢インクを備えた印刷装置のための画像処理全般に共通する問題であった。
特開2009−17338号公報 特開2000−47846号公報
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、特殊光沢インクによって表現される印刷媒体上の光沢感を容易に調整することのできる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するために、以下の形態または適用例を取ることが可能である。
[適用例1]
複数の要素データを用いて表現される画素により構成された画像データを特殊光沢インクと着色インクとを用いて印刷媒体に印刷する印刷装置のための画像処理を、画像処理装置に実行させるコンピュータープログラムであって、
前記画像データのうち前記特殊光沢インクを用いて印刷する領域である特殊光沢領域を設定する機能と、
前記画像データの各画素ごとに、前記複数の要素データに基づいて、明るさに相関を有する単一の値を求める機能と、
前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示と、前記単一の値とに基づいて、前記印刷媒体の単位面積あたりにおいて形成される前記特殊光沢インクのドットの密度に相関を有する特殊光沢インク指標値を求める機能と、
前記印刷装置が前記特殊光沢インクを用いて印刷を行なうための印刷データを、前記特殊光沢インク指標値に基づいて生成する機能と
を前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
適用例1のコンピュータープログラムによれば、印刷装置の特殊光沢インクによって表現される印刷媒体上の光沢感をユーザーの指示により調整することができる。
[適用例2]
適用例1に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
前記特殊光沢領域における前記着色インクの使用量に関するユーザーからの指示と、前記複数の要素データとに基づいて、前記印刷媒体の単位面積あたりに形成される前記着色インクのドットの密度に相関を有する着色インク指標値を求める機能と、
前記着色インク指標値に基づいて、前記印刷装置が前記着色インクを用いて印刷を行なうための印刷データを生成する機能と
を前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
適用例2のコンピュータープログラムによれば、印刷装置の着色インクによって表現される特殊光沢領域における印刷媒体上の色調をユーザーの指示により調整することができる。
[適用例3]
適用例2に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値との合計が、所定の閾値を越える場合には、前記特殊光沢インクと前記着色インクのいずれか一方のインクを選択するユーザーからの指示を受け付けるとともに、前記ユーザーからの指示において選択されなかったインクの指標値を小さくする機能を、前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
適用例3のコンピュータープログラムによれば、印刷装置が用いるインクの量が過剰となることによるインクの滲みの発生を抑制することができるとともに、特殊光沢インクによる光沢感と着色インクによる色調のいずれを優先させたいかというユーザーの要望にも応じることができる。
[適用例4]
適用例2または3に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
前記特殊光沢領域に対して印刷される色として、前記特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値とが予め定められた光沢色がユーザーによって選択された場合に、前記ユーザーによって選択された光沢色に対応する識別子を、前記画像データの前記特殊光沢領域に対して付与する機能と、
前記付与された識別子に基づいて、前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値とを求める機能と
を前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
適用例4のコンピュータープログラムによれば、予め定められた光沢色をユーザーが選択した場合に、特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値を、複雑な処理を行うことなく、容易に求めることができる。
[適用例5]
適用例4に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
前記付与された識別子に従って求められた前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値とをユーザーからの指示に基づいて変更する機能を、前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
適用例5のコンピュータープログラムによれば、予め定められた光沢色の光沢感や色調をユーザーの指示により調整することができる。
[適用例6]
適用例1ないし5のいずれか一項に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
前記特殊光沢領域において、前記画像データのコントラストを圧縮した圧縮後画像と、前記画像データのコントラストを圧縮する前の圧縮前画像とを切り替えて、前記画像処理装置が利用する表示装置に表示させる表示機能を、前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
適用例6のコンピュータープログラムによれば、特殊光沢インクによって印刷媒体上の特殊光沢領域に表現される光沢感に対応した表示を、表示装置に表示させることができる。
[適用例7]
適用例6に記載のコンピュータープログラムであって、
前記表示機能は、前記画像データのコントラストを圧縮する場合における圧縮率を、前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示に基づいて定める機能を含む、コンピュータープログラム。
適用例7のコンピュータープログラムによれば、特殊光沢インクの使用量の違いによって変化する光沢感を、表示装置に適切に表示させることができる。
[適用例8]
適用例6または7に記載のコンピュータープログラムであって、
前記表示機能は、前記圧縮後画像と前記圧縮前画像とが切り替えて表示される周期を、前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示に基づいて定める機能を含む、コンピュータープログラム。
適用例8のコンピュータープログラムによれば、特殊光沢インクの使用量の違いによって変化する光沢感を、表示装置に適切に表示させることができる。
[適用例9]
複数の要素データを用いて表現される画素により構成された画像データを特殊光沢インクと着色インクとを用いて印刷媒体に印刷する印刷装置のための画像処理装置であって、
前記画像データのうち前記特殊光沢インクを用いて印刷する領域である特殊光沢領域を設定する特殊光沢領域設定部と、
前記画像データの各画素ごとに、前記複数の要素データに基づいて、明るさに相関を有する単一の値を求める第1の決定部と、
前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示と、前記単一の値とに基づいて、前記印刷媒体の単位面積あたりにおいて形成される前記特殊光沢インクのドットの密度に相関を有する特殊光沢インク指標値を求める第2の決定部と、
前記印刷装置が前記特殊光沢インクを用いて印刷を行なうための印刷データを、前記特殊光沢インク指標値に基づいて生成する印刷データ生成部と
を備える画像処理装置。
[適用例10]
複数の要素データを用いて表現される画素により構成された画像データを特殊光沢インクと着色インクとを用いて印刷媒体に印刷する印刷装置であって、
前記画像データのうち前記特殊光沢インクを用いて印刷する領域である特殊光沢領域を設定する特殊光沢領域設定部と、
前記画像データの各画素ごとに、前記複数の要素データに基づいて、明るさに相関を有する単一の値を求める第1の決定部と、
前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示と、前記単一の値とに基づいて、前記印刷媒体の単位面積あたりにおいて形成される前記特殊光沢インクのドットの密度に相関を有する特殊光沢インク指標値を求める第2の決定部と、
前記特殊光沢インクを用いて印刷を行なうための印刷データを、前記特殊光沢インク指標値に基づいて生成する印刷データ生成部と
を備える印刷装置。
本発明は、上記適用例9、10のように画像処理装置や印刷装置としても実現することができ、また、種々の態様で実現することが可能である。例えば、画像処理方法および装置、画像処理システム、それらの方法または装置の機能を実現するための集積回路、コンピュータープログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
本発明の一実施例における印刷システム10を示す説明図である。 プリンター200の構成を示す説明図である。 印刷設定画面300を示す説明図である。 色変換処理部136において実現される機能を示すブロック図である。 カラーインク処理部150において実現される機能を示すブロック図である。 メタリックインク処理部160において実現される機能を示すブロック図である。 メタリックインク指標値テーブル166を概念的に示した説明図である。 プリセットインク処理部170の機能を示すブロック図である。 プリセットカラーに対応したインデックステーブルを示す説明図である。 印刷設定画面300におけるプリセットカラー選択ボタンをユーザーが選択した場合に、表示部192に表示される詳細設定画面350を示す説明図である。 インク量削減部180における処理手順を示すフローチャートである。 カラーインクとメタリックインクのいずれを優先するかの指示をユーザーから受け付けるための指示受付画面370を示す説明図である。 プレビュー画像の表示処理を示すフローチャートである。 コントラストを圧縮する前と後におけるプレビュー画像の輝度分布の一例を示す説明図である。
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.実施例:
A1.印刷システムの概要:
A2.印刷設定画面および色変換処理:
A3.プレビュー画像の表示処理:
B.変形例:
A.実施例:
A1.印刷システムの概要:
図1は、本発明の一実施例における印刷システム10を示す説明図である。印刷システム10は、画像処理装置としてのコンピューター100と、コンピューター100の制御の下で実際に印刷を実行する印刷装置としてのプリンター200とを備えている。印刷システム10は、全体が一体となって広義の印刷装置として機能する。
印刷システム10は、メタリックインクとカラーインクとを用いて印刷媒体に印刷を行なう。このため、プリンター200は、メタリックインクSと、カラーインクとして、シアンインクCと、マゼンタインクMと、イエローインクYと、ブラックインクKと、ライトシアンインクLcと、ライトマゼンタインクLmとを備えている。本実施例において「カラーインク」という場合には、ブラックインクも含む意味であることとする。カラーインクは、本実施例においては、染料インクであるが、その種類は、特に限定するものではなく、例えば、顔料インクであってもよい。
メタリックインクとは、印刷物がメタリック感を発現するインクであり、このようなメタリックインクとしては、例えば、メタリック感を発現する金属顔料と有機溶剤と樹脂とを含む油性インク組成物を用いることができる。視覚的に金属的な質感を効果的に生じさせるためには、前述の金属顔料は、平板状の粒子であることが好ましく、この平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすことが好ましい。このような金属顔料は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金によって形成することができ、また、金属蒸着膜を破砕して作成することも可能である。メタリックインクに含まれる金属顔料の濃度は、例えば、0.1〜10.0重量%とすることができる。もちろん、メタリックインクはこのような組成に限らず、メタリック感が生じる組成であれば他の組成を適宜採用することが可能である。
本実施例では、メタリックインクSの組成は、アルミニウム顔料1.5重量%、グリセリン20重量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル40重量%、BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.1重量%とした。
コンピューター100は、CPU110と、ROMやRAMなどの内部記憶装置120と、表示部192と、マウスやキーボードなどの操作部194と、インターフェース部(I/F部)196とを備えている。I/F部196は、外部に設けられた種々の機器との間でデータ通信を行う。本実施例では、I/F部196は、ケーブルを介してプリンター200と接続され、プリンター200ーに印刷データを供給する。
内部記憶装置120には、画像処理部130として機能するコンピュータープログラム(プリンタードライバー)が格納されている。画像処理部130の機能は、このコンピュータープログラムをCPU110が実行することによって実現される。なお、コンピュータープログラムは、CD−ROMなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供されたり、あるいは、ネットワークを介して提供される。
画像処理部130は、メタリックインク使用領域設定部133と、解像度変換部134と、色変換処理部136と、ハーフトーン処理部138と、出力処理部140と、印刷設定画面提供部131と、プレビュー画像表示処理部132とを備えている。本実施例では、印刷対象として画像処理部130に与えられる画像データは、画像を構成する複数の画素毎の画素データによって構成されており、各画素データは、レッド(R),グリーン(G),ブルー(B)の3色の色成分から構成されている。すなわち、本実施例における画像データは、RGB形式の画像データである。
印刷設定画面提供部131は、印刷条件の設定をユーザーが行うための画面(以下、「印刷設定画面」ともいう)を、表示部192に表示させる。印刷条件の設定としては、例えば、印刷媒体の種類の選択や、印刷される画像の色調の調整、メタリックインクによる光沢感の調整等が挙げられる。プレビュー画像表示処理部132は、ユーザーによって設定された印刷条件を反映したプレビュー画像を生成するとともに、表示部192に表示された印刷設定画面上にプレビュー画像を表示する。印刷設定画面及びプレビュー画像の生成処理については、それぞれ図3及び図13を用いて後述する。
メタリックインク使用領域設定部133は、ユーザーからの指示に基づいて、画像データ内の任意の領域のうち、メタリックインクを用いて印刷を行う領域(以下、「メタリック領域」ともいう)の指定を行う。ユーザーは、表示部192に表示された画像データを見ながら、操作部194を操作することによって、画像データ内の任意の領域をメタリック領域として指定することができる。また、メタリックインク使用領域設定部133は、エッジ検出処理や特定図形の抽出処理等を行うことによって、画像データ内からメタリック領域を指定することもできる。
解像度変換部134は、印刷対象となる画像データの解像度をハーフトーン処理部138の処理に適した解像度に変換して、解像度変換済み画像データを生成する。画像データの解像度が印刷解像度よりも低い場合は、線形補間を行うことで隣接する画素データ間に新たなデータを生成し、逆に印刷解像度よりも高い場合は、一定の割合で画素データを間引くことによって画像データの解像度を印刷解像度に変換する。
なお、本実施例では、解像度変換部134は、メタリックインクによって形成されるドットの印刷解像度を、カラーインクによって形成されるドットの印刷解像度より低い値に変換する。具体的には、例えば、メタリックインクによって形成されるドットの印刷解像度を720×360dpiに設定し、カラーインクによって形成されるドットの印刷解像度を1440×720dpiに設定する。こうすれば、メタリックインクに関して扱われるデータ量が減るため、メタリックインクに関する画像処理を高速に行うことができる。なお、メタリックインクによって形成されるドットの印刷解像度を低い値に設定してもよい理由は、メタリックインクの金属的な質感は、低解像度であっても発現させることができるからである。
色変換処理部136は、R,G,Bの各階調値によって表現されたRGB画像データを、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)、ライトシアン(Lc)、ライトマゼンタ(Lm)の各階調値及びメタリックインク(S)の使用量に関する指標値(以下、「メタリックインク指標値」ともいう)により表現された色変換済み画像データに変換する。各カラーインクの階調値及びメタリックインク指標値は、「0」から「255」までの範囲の値を取り得る256階調のデータであり、印刷媒体に形成される各インクのドットの単位面積当たりの密度と相関関係を有している。なお、色変換処理部136の詳細については後述する。
ハーフトーン処理部138は、256階調を有するカラーインクの各階調値及びメタリックインク指標値を、各種ドットの形成の有無に対応した2階調のデータに変換する。ここで、本実施例のプリンター200は、印刷媒体上に形成するドットの大きさを幾段階かに切り換え可能なバリアブルドットプリンターであり、本実施例では、カラーインクについては、大ドット、中ドット、および小ドットの3種類のドットを形成可能である。したがって、本実施例のハーフトーン処理部138は、カラーインクについては、カラーインクの各階調値で表現されたデータを、大、中、小のそれぞれのドットの密度で表現されたドット密度データに変換し、カラーインクの大、中、小のそれぞれのドット密度データに基づいて、大、中、小のドットの分布を求めるハーフトーン処理を行う。さらに、ハーフトーン処理部138は、メタリックインク指標値に基づいて、メタリックインクのドットの分布を求めるハーフトーン処理も行なう。なお、本実施例のように、メタリックインクについては大ドットのみを形成する場合においては、メタリックインク指標値は、メタリックインクのドット密度データに相当する。
ハーフトーン処理としては、例えば、誤差拡散法や、ディザ法、濃度パターン法などの種々の手法が知られており、いずれの手法も適用することができる。誤差拡散法は、着目している画素にドットを形成したこと、あるいはドットを形成しなかったことによって生じる階調表現の誤差を周囲の画素に拡散するとともに、ドットの形成の有無の判断によって周囲から拡散されてきた誤差を解消するように、着目画素についてのドットの形成の有無を判断する手法である。これに対して組織的ディザ法は、ディザマトリックスの各画素に設定されている閾値とドット密度データとの大小関係を画素毎に比較することによって、着目画素のドットの形成の有無を判断する手法である。本実施例では、カラーインクに対しては誤差拡散法を適用し、メタリックインクに対してはディザ法を適用する。こうすれば、メタリックインクに関するハーフトーン処理を高速に行うことができる。
出力処理部140は、ハーフトーン処理によって各種ドットの形成の有無を表す形式に変換された2階調の画像データに基づいて、ドットの形成順序を考慮して並べ替えたドットのデータ、すなわち印刷データを生成し、当該印刷データをプリンター200に出力する。
プリンター200は、出力処理部140から供給された印刷データに基づいて、カラーインクやメタリックインクのドットを印刷媒体上に形成する。この結果、画像データに対応した画像が印刷媒体上に印刷される。
図2は、プリンター200の構成を示す説明図である。プリンター200は、紙送りモーター235によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモーター230によってキャリッジ240をプラテン236の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ240に搭載された印刷ヘッド250を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、これらの紙送りモーター235,キャリッジモーター230,印刷ヘッド250及び操作パネル266との信号のやり取りを司る制御回路260とから構成されている。
キャリッジ240をプラテン236の軸方向に往復動させる機構は、プラテン236の軸と並行に架設され、キャリッジ240を摺動可能に保持する摺動軸233と、キャリッジモーター230との間に無端の駆動ベルト231を張設するプーリー232と、キャリッジ240の原点位置を検出する位置検出センサー234等から構成されている。
キャリッジ240には、カラーインクとして、シアンインクCと、マゼンタインクMと、イエローインクYと、ブラックインクKと、ライトシアンインクLcと、ライトマゼンタインクLmとをそれぞれ収容したカラーインク用のインクカートリッジ242〜247が搭載される。また、キャリッジ240には、同一種類のメタリックインクSを収容したメタリックインク用のインクカートリッジ241,248が搭載される。キャリッジ240の下部の印刷ヘッド250には、上述の各色のカラーインクに対応する6種類のノズル列252〜257、メタリックインクSに対応するノズル列251,258が形成されている。キャリッジ240にこれらのインクカートリッジ241〜248を上方から装着すると、各カートリッジからノズル列251〜258へのインクの供給が可能となる。また、プリンター200には、同一種類のメタリックインクSを吐出するノズル列251及び258のそれぞれに対応させて、メタリックインク用のインクカートリッジ241,248を個別的に装着する構成としたが、これらのカートリッジは、1つのカートリッジで兼用してもよい。
プリンター200の制御回路260は、CPUや、ROM、RAM、PIF(周辺機器インターフェース)等がバスで相互に接続されて構成されており、キャリッジモーター230及び紙送りモーター235の動作を制御することによってキャリッジ240の主走査動作及び副走査動作の制御を行う。また、PIFを介してコンピューター100から出力された印刷データを受け取ると、キャリッジ240が主走査あるいは副走査する動きに合わせて、印刷データに応じた駆動信号を印刷ヘッド250に供給することによって、各色のヘッドを駆動することが可能となっている。
以上のようなハードウェア構成を有するプリンター200は、キャリッジモーター230を駆動することによって、印刷ヘッド250(各色のノズル列251〜258)を印刷媒体Pに対して主走査方向に往復動させ、また紙送りモーター235を駆動することによって、印刷媒体Pを副走査方向に移動させる。制御回路260は、キャリッジ240が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体の紙送りの動き(副走査)に合わせて、コンピューター100から受けとった印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体P上の適切な位置に適切な色のインクドットを形成する。こうすることによって、プリンター200は印刷媒体P上にカラー画像を印刷することが可能となっている。
なお、上述の構成では、各色のインクは、プリンター200に搭載される脱着可能なカートリッジに収容されているが、少なくとも一部のインクについてプリンター200とは分離して構成されたインク収容タンクなどに収容し、当該収容タンクとプリンター200とを接続してもよい。あるいは、脱着不可能にプリンター200と一体的に構成された収容容器に収容されていてもよい。また、プリンター200は、印刷媒体Pとして、普通紙、コート紙などの不透明な印刷媒体のほか、OHPフィルムなどの透明な印刷媒体も使用可能である。
A2.印刷設定画面および色変換処理:
図3は、印刷設定画面300を示す説明図である。印刷設定画面300は、印刷設定画面提供部131によって表示部192に表示される画面である。印刷設定画面300には、メタリックインク用スライダー302と、色調補正用スライダー304,306,308,310と、カラーサークル312と、プリセットカラー選択ボタン314,315,316,317と、プレビュー画像表示部320とが設けられている。なお、本明細書において「プリセットカラー」とは、金色や銀色等のように、単位面積当たりにおいて使用されるカラーインク及びメタリックインクの量が予め定められている光沢色を意味する。
メタリックインク用スライダー302は、メタリック領域におけるメタリック感(メタリックインクの使用量)を設定するためのメタリックパラメーターPmを、ユーザーが入力するために用いられる。ユーザーがメタリックインク用スライダー302のスライドバーを左端の0%に設定すると、メタリックパラメーターPmは0に設定される。ユーザーがメタリックインク用スライダー302のスライドバーを中央の50%に設定すると、メタリックパラメーターPmは、0.5に設定される。そして、ユーザーがメタリックインク用スライダー302のスライドバーを右端の100%に設定すると、メタリックパラメーターPmは、1.0に設定される。このメタリックパラメーターPmとメタリックインクの使用量との関係については後述する。
色調補正用スライダー304,306,308,310及びカラーサークル312は、印刷する画像データに対してユーザーが色調補正を行うためのものである。各スライダーの中央の値は、ニュートラルの色調に対応している。
プリセットカラー選択ボタン314,315,316,317は、指定されたメタリック領域に対してプリセットカラーを印刷する場合に、ユーザーが複数のプリセットカラーの中から所望のプリセットカラーを選択するためのボタンである。具体的には、例えば、ユーザーがメタリック領域に対して金色のプリセットカラーを印刷したい場合には、ユーザーは、金色のプリセットカラーに対応するプリセットカラー選択ボタン314を選択する。
プレビュー画像表示部320には、ユーザーが設定した印刷条件に応じて生成されたプレビュー画像が表示される。このプレビュー画像は、プレビュー画像表示処理部132によって生成される。ユーザーは、このプレビュー画像表示部320に表示されるプレビュー画像を見ながら、好みのメタリックインクの量や色調等を設定することができる。
図4は、色変換処理部136において実現される機能を示すブロック図である。色変換処理部136は、カラーインク処理部150と、メタリックインク処理部160と、プリセットインク処理部170と、インク量削減部180とを備えている。カラーインク処理部150は、カラーインクが用いられる領域において使用されるC,M,Y,K,Lc,Lmのカラーインクに関する処理を行う。すなわち、カラーインク処理部150は、カラーインクが用いられていれば、メタリック領域においても、カラーインクに関する処理を行う。
メタリックインク処理部160は、メタリック領域において使用されるメタリックインクに関する処理を行う。プリセットインク処理部170は、メタリック領域に対してプリセットカラーがユーザーによって選択された場合に、カラーインクおよびメタリックインクに関する処理を行う。インク量削減部180は、印刷媒体の単位面積当たりに使用されるカラーインクとメタリックインクの合計量が、印刷媒体毎に設定されている許容量(限界値)を超えている場合に、使用されるインクの量を削減するための処理を行う。このインク量削減部180の処理については後述する。
図5は、カラーインク処理部150において実現される機能を示すブロック図である。カラーインク処理部150は、カラーインク階調値取得部152と、色変換テーブル154と、色調補正部156とを備えている。色変換テーブル154は、3次元のルックアップテーブル(3D−LUT)であり、R,G,Bの階調値の組み合わせに対応して、C,M,Y,K,Lc,Lmの階調値の組み合わせを格納している。カラーインク階調値取得部152は、この色変換テーブル154を参照し、R,G,Bの各色の階調値で表現された画像データを、C,M,Y,K,Lc,Lmの各色の階調値で表現された画像データに色変換する。
色調補正部156は、印刷設定画面300(図3)の色調補正用スライダー304,306,308,310又はカラーサークル312から入力されるユーザーからの色調補正に関する指示に基づいて、画像データの色調を補正する。本実施例では、色調補正部156は、ユーザーからの色調補正に関する指示に基づいて、色変換テーブル154における格子点をずらす再構築をすることによって、色調補正を実行する。ただし、色調補正部156は、他の手法によって色調補正を実行することもできる。例えば、色調補正部156は、色変換後におけるC,M,Y,K,Lc,Lmの各色の階調値で表現されたデータを補正したり、あるいは、色変換される前のR,G,Bの各色の階調値を補正することによって、色調補正を実行してもよい。
色変換テーブル154は、R軸,G軸,B軸を直交3軸とする色空間内に取った一辺の長さが「255」の色立体を格子状に細分し、各格子点にC,M,Y,K,Lc,Lm各色の階調値を格納したテーブルとして構成されている。なお、本実施例では、色変換テーブル154のサイズを小さくするため、R軸,G軸,B軸のそれぞれの格子点の数は17個となっており、カラーインク階調値取得部152は、補間演算を行なうことによって色変換を行なう。例えば、R画像の階調値がRA、G画像の階調値がGA、B画像の階調値がBAであるようなRGB画像データを色変換する場合は、カラーインク階調値取得部152は、色空間上の座標値(RA,GA,BA)の周囲にある格子点を検出し、これら格子点に記憶されているC,M,Y,K,Lc,Lm各色の階調値を読み出す。カラーインク階調値取得部152は、こうして読み出した階調値から補間演算することによって、R,G,Bの各色の階調値で表現された画像データから、C,M,Y,K,Lc,Lmの各色の階調値で表現された画像データを得ることができる。なお、カラーインク処理部150は、メタリック領域において参照する色変換テーブルと、メタリックインクを用いない領域において参照する色変換テーブルの2種類の色変換テーブルを備えていてもよい。
図6は、メタリックインク処理部160において実現される機能を示すブロック図である。メタリックインク処理部160は、輝度算出部162と、メタリックインク指標値取得部164と、メタリックインク指標値テーブル166と、メタリック感調整部168とを備えている。輝度算出部162は、メタリック領域の各画素における3つの色成分(R,G,B)の階調値を用いて、輝度Inを算出する。本実施例では、輝度算出部162は、以下の式(1)に基づいて、メタリック領域における各画素の輝度Inを算出する。
In=αR+βG+γB …(1)
ここで、R,G,Bは、それぞれ各色の階調値であり、α,β,γは、所定の定数である。本実施例では、α=0.30、β=0.59、γ=0.11に設定されている。
図7は、メタリックインク指標値テーブル166を概念的に示した説明図である。メタリックインク指標値テーブル166には、輝度Inに対応して、メタリックインク指標値が格納されている。メタリックインク指標値取得部164(図6)は、輝度Inをキーとしてメタリックインク指標値テーブル166を参照することにより、メタリック領域におけるメタリックインク指標値を取得する。
メタリック感調整部168(図6)は、メタリックインク用スライダー302(図3)によってユーザーから入力されるメタリックパラメーターPmに基づいて、メタリックインク指標値テーブル166における輝度Inとメタリックインク指標値との対応関係を変更し、メタリックインク指標値の調整を行う。具体的には、例えば、メタリックパラメーターPmが1.0に設定された場合には、メタリック感調整部168は、メタリックインク指標値テーブル166における輝度Inとメタリックインク指標値との対応関係を、曲線L1に従ったものとする。メタリックパラメーターPmが0.5に設定された場合には、メタリック感調整部168は、メタリックインク指標値テーブル166における輝度Inとメタリックインク指標値との対応関係を、曲線L2に従ったものとする。曲線L2は、曲線L1のメタリックインク指標値にメタリックパラメーターPmを乗じて得られる曲線である。そして、メタリックパラメーターPmが0に設定された場合には、メタリック感調整部168は、輝度Inの値に関わらずメタリックインク指標値が0を示すように、メタリックインク指標値テーブル166を変更する。すなわち、同一の輝度Inに対するメタリックインク指標値は、メタリックパラメーターPmの値に比例している。
なお、図7に示すように、メタリックインク指標値テーブル166では、輝度Inが大きくなるに従って、すなわち画像データのハイライト側に近づくに従って、メタリックインク指標値が次第に大きくなるように設定されている。こうすれば、ハイライト側ほど、メタリックインクの使用量が多くなり、ハイライト側においてメタリックインクによる光沢感を顕著に表すことができる。一方、輝度Inが小さいほど、すなわち画像データのシャドー側ほど、メタリックインク指標値が小さくなるように設定されている。シャドー側では、カラーインクが多く使われているため、メタリックインクによる光沢感の発現具合は、メタリックインクの使用量との相関が低い。したがって、こうすれば、光沢感への影響を抑えつつ、メタリックインクの使用量を節約することができる。なお、メタリックパラメーターPmが1.0の場合におけるメタリックインク指標値の最大値は、75(75/255×100=約30%)となっている。この理由は、所定量を超えてメタリックインクを使用しても、光沢感にあまり変化が生じないからである。
なお、本実施例では、輝度Inは、0から255までの256段階の値として算出され、メタリックインク指標値テーブル166は、0から255までの256段階の入力を受け付けることができる。したがって、メタリックインク指標値テーブル166を用いれば、上述した色変換テーブル154のような補間演算を要しないため、高速に、輝度Inからメタリックインク指標値を生成することができる。
図8は、プリセットインク処理部170の機能を示すブロック図である。プリセットインク処理部170は、インデックス付与部174と、プリセットインク値取得部176と、インデックステーブル177と、インク量調整部178とを備えている。インデックス付与部174は、ユーザーによってプリセットカラーが選択された場合に、メタリック領域の各画素のαチャンネルを1に設定するとともに、選択されたプリセットカラーに対応したインデックスとしてのR,G,B値を付与する。
図9は、プリセットカラーに対応したインデックステーブルを示す説明図である。この図9に示すように、本実施例では、「金色」に対応するインデックスは、「α=1、R=0、G=0、B=0」であり、「銀色」に対応するインデックスは、「α=1、R=0、G=0、B=1」である。すなわち、本実施例では、「B」の値が、それぞれのプリセットカラーを区別するために用いられている。プリセットインク値取得部176は、メタリック領域に付与されたインデックスをキーとしてインデックステーブル177を参照し、選択されたプリセットカラーに対応した各カラーインクの階調値及びメタリックインク指標値を取得する。このように、インデックスを用いれば、複雑な処理を行うことなく、選択されたプリセットカラーに対応した各カラーインクの階調値及びメタリックインク指標値を容易に取得することができる。
図10は、印刷設定画面300(図3)におけるプリセットカラー選択ボタンをユーザーが選択した場合に、表示部192に表示される詳細設定画面350を示す説明図である。詳細設定画面350には、選択されたプリセットカラーに設定されている各カラーインクの階調値及びメタリックインク指標値を表示する7つのウインドウ351,352,353,354,355,356,357が設けられている。このウインドウに表示される各カラーインクの階調値及びメタリックインク指標値を、ユーザーが操作部194によって調整すると、インク量調整部178(図8)は、プリセットカラーが選択されたメタリック領域における各カラーインクの階調値及びメタリックインク指標値を変更する。したがって、ユーザーは、金色や銀色等のプリセットカラーの色調及びメタリック感を、好みに応じて調整することができる。
図11は、インク量削減部180(図4)における処理手順を示すフローチャートである。ステップS100では、インク量削減部180は、メタリック領域において、メタリックインク指標値が、所定のメタリックインク限界値を超えている画素があるか否かを判定する。このメタリックインク限界値は、単位面積当たりにおけるメタリックインクの使用量を制限するためのものであり、印刷対象となる印刷媒体毎に異なる値が設定されている。
メタリックインク指標値がメタリックインク限界値を超えている画素があると判定した場合(ステップS100:Yes)には、インク量削減部180は、メタリックインクの指標値がメタリックインク限界値を超えた画素におけるメタリックインク指標値の値を、メタリックインク限界値に設定する(ステップS102)。メタリックインク指標値がメタリックインク限界値を超えている画素がないと判定した場合(ステップS100:No)には、インク量削減部180は、ステップS108の処理に移行する。なお、このステップS102における処理は、詳細設定画面350によって過剰なメタリックインク指標値が設定された場合に実行される。
ステップS108では、インク量削減部180は、メタリック領域において、カラーインクの各色の階調値とメタリックインク指標値とを合計した値が、所定の限界値を超えている画素があるか否かを判定する。この所定の限界値は、単位面積当たりにおけるインクの合計の使用量が過剰となって、インクの滲みが発生するのを抑制するためのものであり、印刷対象となる印刷媒体毎に異なる値が設定されている。
カラーインクの各色の階調値とメタリックインク指標値とを合計した値が、所定の限界値を超えている画素があると判定した場合(ステップS108:Yes)には、インク量削減部180は、カラーインクとメタリックインクのいずれを優先するかの指示をユーザーから受け付けるための指示受付画面を、表示部192に表示させる(ステップS110)。カラーインクの各色の階調値とメタリックインク指標値とを合計した値が、所定の限界値を超えている画素がないと判定した場合(ステップS108:No)には、インク量削減部180は、処理を終了する。
図12は、カラーインクとメタリックインクのいずれを優先するかの指示をユーザーから受け付けるための指示受付画面370を示す説明図である。指示受付画面370には、カラーインクを優先させるためのカラーインク選択ボタン371と、メタリックインクを優先させるためのメタリックインク選択ボタン372と、決定ボタン373とが設けられている。ユーザーは、2つの選択ボタン371,372のいずれかのボタンを選択した状態で決定ボタン373を選択(クリック)することによって、いずれのインクを優先するかの指示をインク量削減部180に与えることができる。
ユーザーが、指示受付画面370においてメタリックインクを優先する指示を行った場合(図11 ステップS120:Yes)には、インク量削減部180は、カラーインクの各色の階調値とメタリックインク指標値とを合計した値が所定の限界値を超えた画素におけるカラーインクの階調値を小さくすることによって、カラーインクの使用量を削減する(ステップS130)。なお、カラーインクの使用量の削減方法としては、色調の変化を抑制するために、例えば、C,M,Yの階調値を同じ値だけ小さくしたり、あるいは、Kの階調値のみを単独で小さくすることが好ましい。
一方、ユーザーが、指示受付画面370においてカラーインクを優先する指示を行った場合(ステップS120:No)には、インク量削減部180は、カラーインクの各色の階調値とメタリックインク指標値とを合計した値が所定の限界値を超えた画素におけるメタリックインク指標値を小さくすることによって、メタリックインクの使用量を削減する(ステップS140)。このようにすれば、単位面積当たりにおけるインクの使用量が所定の限界値を超えることによるインク滲みの発生を抑制することができる。また、カラーインクによる色調とメタリックインクによるメタリック感のうちのいずれを優先したいかというユーザーの意向を反映させることができる。
以上のようにして、色変換処理部136は、R,G,Bの各階調値によって表現されたデータから、カラーインクの各色の階調値及びメタリックインク指標値により表現されたデータに変換する。そして、色変換処理部136による処理が完了すると、上述したように、ハーフトーン処理部138(図1)及び出力処理部140による処理が実行され、プリンター200は、出力処理部140から供給された印刷データに基づいて、カラーインク及びメタリックインクによるドットの形成を印刷媒体Pに対して行なう。
A3.プレビュー画像の表示処理:
図13は、プレビュー画像の表示処理を示すフローチャートである。プレビュー画像表示処理部132(図1)は、ステップS210において、設定された印刷条件が適切か否かを判定する。プレビュー画像表示処理部132は、印刷条件が適切ではないと判定すると(ステップS210:No)、ステップS220において、表示部192に警告メッセージを表示する。プレビュー画像表示処理部132が印刷条件は適切ではないと判定する一例としては、例えば、メタリックインクを使用してもメタリック感を表現することが困難な印刷媒体(例えば普通紙)が選択されているにもかかわらず、メタリック領域が指定されている場合等である。
プレビュー画像表示処理部132は、印刷条件が適切であると判定すると(ステップS210:Yes)、コントラストを圧縮したプレビュー用の画像(以下、「プレビュー画像」ともいう)を生成する(ステップS230)。
図14は、コントラストを圧縮する前と後におけるプレビュー画像の輝度分布の一例を示す説明図である。図14(A)は、ある画像データにおいて、コントラストを圧縮する前におけるプレビュー画像(以下、「コントラスト圧縮前プレビュー画像」ともよぶ)の輝度分布を示しており、図14(B)は、コントラストを圧縮した後におけるプレビュー画像(以下、「コントラスト圧縮後プレビュー画像」ともよぶ)の輝度分布を示している。この図14に示すように、プレビュー画像表示処理部132は、画像データにおける輝度の最小値が大きくなり、かつ、輝度の最大値が小さくなるように、コントラスト圧縮を行う。本実施例では、プレビュー画像表示処理部132は、輝度の最小値が20、輝度の最大値が235となるように、コントラスト圧縮を行っている。
ここで、プレビュー画像表示処理部132は、コントラスト圧縮の圧縮率を、メタリックインク用スライダー302(図3)によってユーザーから入力されるメタリックパラメーターPmに基づいて設定することが好ましい。具体的には、例えば、プレビュー画像表示処理部132は、メタリックパラメーターPmが大きいほど、コントラスト圧縮の圧縮率を高く設定し、メタリックパラメーターPmが小さいほど、コントラスト圧縮の圧縮率を低く設定する。また、プレビュー画像表示処理部132によるコントラスト圧縮は、プレビュー画像における輝度の平均値が、コントラストを圧縮する前と後において同一の値となるように行われることが好ましい。
図13のステップS240において、プレビュー画像表示処理部132は、画像データの領域のうち、プレビュー表示させる領域がメタリック領域か否かを判定する。プレビュー画像表示処理部132は、プレビュー表示させる領域がメタリック領域ではないと判定すると(ステップS240:No)、コントラスト圧縮前プレビュー画像を表示する(ステップS260)。
ステップS240において、プレビュー画像表示処理部132は、プレビュー表示させる領域がメタリック領域であると判定すると(ステップS240:Yes)、コントラスト圧縮前プレビュー画像と、コントラスト圧縮後プレビュー画像とを周期的に(例えば0.2秒毎に)変更して表示する(ステップS250)。ここで、上述したように、メタリックパラメーターPmが大きいほど、コントラスト圧縮の圧縮率を高く設定し、メタリックパラメーターPmが小さいほど、コントラスト圧縮の圧縮率を低く設定すれば、メタリック感の違いをプレビュー画像において適切に表現することが可能となる。さらに、プレビュー画像表示処理部132は、コントラスト圧縮前プレビュー画像と、コントラスト圧縮後プレビュー画像とを切り替えて表示させる周期を、メタリックパラメーターPmに基づいて設定することが好ましい。具体的には、例えば、メタリックパラメーターPmが大きいほど、コントラスト圧縮前プレビュー画像と、コントラスト圧縮後プレビュー画像とを切り替えて表示させる周期を短くする。このようにしても、メタリック感の違いをプレビュー画像において適切に表現することが可能となる。
このように、本実施例では、メタリックインクによって表現される印刷媒体上の光沢感及びカラーインクによって表現される色調をユーザーの好みに応じて容易に調整することができる。
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
変形例1:
上記実施例では、メタリック感調整部168は、メタリックパラメーターPmに基づいて、メタリックインク指標値テーブル166における輝度Inとメタリックインク指標値との対応関係を変更することによって、メタリックインク指標値の調整を行っていたが、この代わりに、メタリック感調整部168は、メタリックインク指標値取得部164がメタリックインク指標値テーブル166を参照することによって取得したメタリックインク指標値に対して、メタリックパラメーターPmを乗じることによって、メタリックインク指標値の調整を行ってもよい。
変形例2:
上記実施例では、輝度算出部162は、式(1)を用いて輝度Inを算出していたが、輝度算出部162は、明度などのように、明るさに相関を有する単一の値を算出することとしてもよい。
変形例3:
上記実施例における画像処理部130の機能は、プリンター200が備えていることとしてもよい。また、画像処理部130の機能は、電気通信回線を通じて、コンピューター100やプリンター200に供給されることとしてもよい。
変形例4:
上記実施例においてソフトウェアで実現されている機能の一部をハードウェアで実現してもよく、あるいは、ハードウェアで実現されている機能の一部をソフトウェアで実現してもよい。
変形例5:
上記実施例では、プリンター200は、カラーインクとして、C,M,Y,K,Lc,Lmの6色のインクを備えていたが、これら以外の色をさらに備えていてもよく、また、これらのうちの何色かを省略することとしてもよい。
変形例6:
上記実施例では、プリンター200は、大ドット、中ドット、および小ドットの3種類のドットを形成可能であるが、プリンターが形成可能なドットのサイズは、大ドットのみの1種類であってもよく、また4種類以上であってもよい。
変形例7:
上記実施例では、RGB形式の画像データが画像処理部130に入力されるものとして説明したが、入力される画像データは、各画素を表現する複数の要素データの組み合わせの形式で表現された画像データであればよい。すなわち、画像処理部130に入力される画像データは、RGB形式の画像データ以外に、CMY形式や、CMYK形式、YUV形式、HLS形式等の他の形式の画像データであってもよい。
変形例8:
上記実施例では、印刷設定画面300には、4つのプリセットカラー選択ボタン314,315,316,317が設けられていたが、プリセットカラーの色数は4つに限られない。例えば、印刷設定画面300には、金色を選択するためのプリセットカラー選択ボタンのみが設けられていてもよく、また、緑の色味を帯びた銀色や紫の色味を帯びた銀色等のようなプリセットカラーを選択可能なボタンがさらに設けられていてもよい。また、上記実施例では、印刷設定画面300には、メタリックインク用スライダー302や色調補正用スライダー304等が設けられており、メタリック感の調整や色調の補正を行なうことが可能であったが、これらの機能を省略し、印刷設定画面300にはプリセットカラー選択ボタンのみが設けられている構成としてもよい。
変形例9:
上記実施例では、プレビュー画像表示処理部132は、図13のステップS260において、コントラスト圧縮前プレビュー画像を表示していたが、この代わりに、コントラスト圧縮後プレビュー画像を表示しても良い。また、プレビュー画像の生成方法も上記実施例に限られるものでない。例えば、上記実施例では画像の明度(輝度)範囲を圧縮する際に、平均値を中心にして明度の高い領域、明度の低い領域、両側を圧縮する処理としたが、画像または印刷条件などに応じて、RGB入力範囲:0〜255の範囲に対して、明度の平均値を高くする補正をして出力RGB範囲:10〜255へ圧縮する処理であってもよく、逆に、明度の平均値を低くする補正をかけて出力RGB範囲:0〜245へ圧縮する処理であってもどちらでも良い。換言すれば、プレビュー画像表示処理部132は、画像データにおける明度(輝度)の範囲が狭くなるようにコントラスト圧縮を行なえばよい。具体的には、プレビュー画像表示処理部132は、画像データにおける明度(輝度)の分布を低輝度側にシフトさせるトーンカーブを用いて、コントラスト圧縮後プレビュー画像を生成してもよく、あるいは、プレビュー画像表示処理部132は、画像データにおける明度(輝度)の分布を高輝度側にシフトさせるトーンカーブを用いて、コントラスト圧縮後画像を生成してもよい。
10…印刷システム
100…コンピューター
110…CPU
120…内部記憶装置
130…画像処理部
131…印刷設定画面提供部
132…プレビュー画像表示処理部
133…メタリックインク使用領域設定部
134…解像度変換部
136…色変換処理部
138…ハーフトーン処理部
140…出力処理部
150…カラーインク処理部
152…カラーインク階調値取得部
154…色変換テーブル
156…色調補正部
160…メタリックインク処理部
162…輝度算出部
164…メタリックインク指標値取得部
166…メタリックインク指標値テーブル
168…メタリック感調整部
170…プリセットインク処理部
174…インデックス付与部
176…プリセットインク値取得部
177…インデックステーブル
178…インク量調整部
180…インク量削減部
192…表示部
194…操作部
200…プリンター
230…キャリッジモーター
231…駆動ベルト
232…プーリー
233…摺動軸
234…位置検出センサー
235…モーター
236…プラテン
240…キャリッジ
241〜248…インクカートリッジ
250…印刷ヘッド
251〜258…ノズル列
260…制御回路
266…操作パネル
300…印刷設定画面
302…メタリックインク用スライダー
304…色調補正用スライダー
312…カラーサークル
314…プリセットカラー選択ボタン
320…プレビュー画像表示部
350…詳細設定画面
351…ウインドウ
370…指示受付画面
371…カラーインク選択ボタン
372…メタリックインク選択ボタン
373…決定ボタン
P…印刷媒体

Claims (10)

  1. 複数の要素データを用いて表現される画素により構成された画像データを特殊光沢インクと着色インクとを用いて印刷媒体に印刷する印刷装置のための画像処理を、画像処理装置に実行させるコンピュータープログラムであって、
    前記画像データのうち前記特殊光沢インクを用いて印刷する領域である特殊光沢領域を設定する機能と、
    前記画像データの各画素ごとに、前記複数の要素データに基づいて、明るさに相関を有する単一の値を求める機能と、
    前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示と、前記単一の値とに基づいて、前記印刷媒体の単位面積あたりにおいて形成される前記特殊光沢インクのドットの密度に相関を有する特殊光沢インク指標値を求める機能と、
    前記印刷装置が前記特殊光沢インクを用いて印刷を行なうための印刷データを、前記特殊光沢インク指標値に基づいて生成する機能と
    を前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
  2. 請求項1に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
    前記特殊光沢領域における前記着色インクの使用量に関するユーザーからの指示と、前記複数の要素データとに基づいて、前記印刷媒体の単位面積あたりに形成される前記着色インクのドットの密度に相関を有する着色インク指標値を求める機能と、
    前記着色インク指標値に基づいて、前記印刷装置が前記着色インクを用いて印刷を行なうための印刷データを生成する機能と
    を前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
  3. 請求項2に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
    前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値との合計が、所定の閾値を越える場合には、前記特殊光沢インクと前記着色インクのいずれか一方のインクを選択するユーザーからの指示を受け付けるとともに、前記ユーザーからの指示において選択されなかったインクの指標値を小さくする機能を、前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
  4. 請求項2または3に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
    前記特殊光沢領域に対して印刷される色として、前記特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値とが予め定められた光沢色がユーザーによって選択された場合に、前記ユーザーによって選択された光沢色に対応する識別子を、前記画像データの前記特殊光沢領域に対して付与する機能と、
    前記付与された識別子に基づいて、前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値とを求める機能と
    を前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
  5. 請求項4に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
    前記付与された識別子に従って求められた前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インク指標値と前記着色インク指標値とをユーザーからの指示に基づいて変更する機能を、前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
  6. 請求項1ないし5のいずれか一項に記載のコンピュータープログラムであって、さらに、
    前記特殊光沢領域において、前記画像データのコントラストを圧縮した圧縮後画像と、前記画像データのコントラストを圧縮する前の圧縮前画像とを切り替えて、前記画像処理装置が利用する表示装置に表示させる表示機能を、前記画像処理装置に実行させるコンピュータープログラム。
  7. 請求項6に記載のコンピュータープログラムであって、
    前記表示機能は、前記画像データのコントラストを圧縮する場合における圧縮率を、前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示に基づいて定める機能を含む、コンピュータープログラム。
  8. 請求項6または7に記載のコンピュータープログラムであって、
    前記表示機能は、前記圧縮後画像と前記圧縮前画像とが切り替えて表示される周期を、前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示に基づいて定める機能を含む、コンピュータープログラム。
  9. 複数の要素データを用いて表現される画素により構成された画像データを特殊光沢インクと着色インクとを用いて印刷媒体に印刷する印刷装置のための画像処理装置であって、
    前記画像データのうち前記特殊光沢インクを用いて印刷する領域である特殊光沢領域を設定する特殊光沢領域設定部と、
    前記画像データの各画素ごとに、前記複数の要素データに基づいて、明るさに相関を有する単一の値を求める第1の決定部と、
    前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示と、前記単一の値とに基づいて、前記印刷媒体の単位面積あたりにおいて形成される前記特殊光沢インクのドットの密度に相関を有する特殊光沢インク指標値を求める第2の決定部と、
    前記印刷装置が前記特殊光沢インクを用いて印刷を行なうための印刷データを、前記特殊光沢インク指標値に基づいて生成する印刷データ生成部と
    を備える画像処理装置。
  10. 複数の要素データを用いて表現される画素により構成された画像データを特殊光沢インクと着色インクとを用いて印刷媒体に印刷する印刷装置であって、
    前記画像データのうち前記特殊光沢インクを用いて印刷する領域である特殊光沢領域を設定する特殊光沢領域設定部と、
    前記画像データの各画素ごとに、前記複数の要素データに基づいて、明るさに相関を有する単一の値を求める第1の決定部と、
    前記特殊光沢領域における前記特殊光沢インクの使用量に関するユーザーからの指示と、前記単一の値とに基づいて、前記印刷媒体の単位面積あたりにおいて形成される前記特殊光沢インクのドットの密度に相関を有する特殊光沢インク指標値を求める第2の決定部と、
    前記特殊光沢インクを用いて印刷を行なうための印刷データを、前記特殊光沢インク指標値に基づいて生成する印刷データ生成部と
    を備える印刷装置。
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