JP2011121913A - ビニルイミダゾール系化合物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、例えばエポキシ樹脂の硬化剤、ウレタン樹脂の反応促進剤、UV硬化樹脂やアクリル樹脂の原料モノマーとして使用され得るビニルイミダゾール系化合物を製造する方法に関する。
ビニルイミダゾール系化合物を製造する方法として、2−ヒドロキシエチルイミダゾール誘導体をアルカリ金属の水酸化物又はアルコラートの存在下で、液相にて脱水する方法が特許文献1に開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示の方法では、生成するビニルイミダゾール系化合物や水が反応液中から気体の状態で回収されるので、加熱状態の反応液中では反応の進行に伴い、液状の2−ヒドロキシエチルイミダゾール誘導体の反応液での割合が相対的に低下し、固体のアルカリ金属の水酸化物等の割合が相対的に上昇する。したがって、反応の進行に伴い、反応液の粘度が上昇し、途中で攪拌が困難となるので、原料の2−ヒドロキシエチルイミダゾール誘導体が残存する状態で反応を停止し、さらに原料を追加した後に、反応を再開する必要があった。すなわち、仕込んだ原料のうち反応に実質的に利用することができる原料の割合(原料利用率)が低く、製造効率に改善の余地があった。
そこで、本発明は、ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物からビニルイミダゾール系化合物を製造する方法において、原料であるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物が残存する状態で反応を停止する必要がなく、原料利用率を高め、収率良くビニルイミダゾール系化合物を得ることを目的とする。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、生成するビニルイミダゾール系化合物よりも高沸点である溶媒を反応系に共存させることによって、生成するビニルイミダゾール系化合物や水が反応液中から気体の状態で回収されても、反応液の粘度の上昇が抑えられるため、脱水反応を停止させる必要がなくなり、製造効率が上昇することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明の要旨は、下記一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物を脱水剤の共存下で脱水反応に付して、下記一般式(2)で示されるビニルイミダゾール系化合物を製造する方法であって、常圧における沸点が前記ビニルイミダゾール系化合物の常圧における沸点よりも30℃以上高い溶媒中で前記脱水反応を行なうことを特徴とするものである。
〔式中、R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基である。〕
〔式中、R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基である。〕
本発明によれば、従来の方法よりも原料利用率を向上させることができるので、製造効率の上昇が期待できる。また、従来の方法では、脱水反応の進行に伴って反応液の粘度が上昇するので、強力な撹拌翼を備えた装置が必要であったが、本発明では、反応液の粘度の上昇が抑えられるので、撹拌翼の無い循環式の蒸留設備での製造も可能となる。
以下に、本発明を詳細に述べる。なお、本発明における常圧とは通常1atmのことをさす。
本発明は、上記一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物を脱水剤の共存下で脱水反応に付して、上記一般式(2)で示されるビニルイミダゾール系化合物を製造する方法であって、常圧における沸点が前記ビニルイミダゾール系化合物の常圧における沸点よりも30℃以上高い溶媒中で前記脱水反応を行なうことを特徴とする。まず、ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物について説明する。
(A)ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物
本発明における原料であるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物は、上記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物である。一般式(1)中、R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、アルキル基及びアルコキシ基はそれぞれ置換基を有していても良い。置換基としては、通常、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる。
本発明における原料であるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物は、上記一般式(1)で示されるイミダゾール系化合物である。一般式(1)中、R1〜R3は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基であり、アルキル基及びアルコキシ基はそれぞれ置換基を有していても良い。置換基としては、通常、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基などが挙げられる。
上記一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物としては、具体的には、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−エチル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−エチル−4−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−メトキシ−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール等が挙げられ、中でも、1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール、2−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールが好ましい。
上記一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物は、公知の方法により製造することができ、例えば特開2005−82551号公報に記載の方法に従って製造することができる。
上記一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物は、公知の方法により製造することができ、例えば特開2005−82551号公報に記載の方法に従って製造することができる。
(B)脱水剤
本発明においては、上記ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物を脱水剤の共存下で脱水反応に付して、上記一般式(2)で示されるビニルイミダゾール系化合物を製造する。
脱水剤としては、上記ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物の2−ヒドロキシエチル基をビニル基に脱水するものであれば特に限定されないが、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコラートが好適に使用され得る。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムが具体的に挙げられ、アルカリ金属のアルコラートとしては、炭素数1〜3のアルコラート、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチラート等が挙げられる。本発明においては、これら脱水剤の中から1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物を脱水剤の共存下で脱水反応に付して、上記一般式(2)で示されるビニルイミダゾール系化合物を製造する。
脱水剤としては、上記ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物の2−ヒドロキシエチル基をビニル基に脱水するものであれば特に限定されないが、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコラートが好適に使用され得る。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化カリウムや水酸化ナトリウムが具体的に挙げられ、アルカリ金属のアルコラートとしては、炭素数1〜3のアルコラート、例えばナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチラート等が挙げられる。本発明においては、これら脱水剤の中から1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
脱水剤の使用量は、原料であるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物に対して、通常0.01〜20当量、好ましくは0.05〜5当量、さらに好ましくは0.1〜1当量である。脱水剤が多すぎると、脱水反応が急激に進行し安全性に問題が生じたり、反応液の粘度が高くなり攪拌が困難になったりする傾向があり、少なすぎると、反応速度が遅くなったり、反応が途中で停止してしまう傾向がある。
(C)特定溶媒
本発明においては、上記一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物の脱水反応を特定の溶媒中で行なう。本発明における特定溶媒とは、常圧における沸点が上記一般式(2)で示されるビニルイミダゾール系化合物の常圧における沸点よりも30℃以上高い溶媒である。特定溶媒としては、上記ビニルイミダゾール系化合物の常圧における沸点よりも30℃以上高い溶媒であればよく、好ましくは30〜500℃、より好ましくは40〜400℃、特に好ましくは50〜300℃の範囲で上記ビニルイミダゾール系化合物の常圧における沸点よりも高いものが好適である。本発明においては、特定溶媒を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、上記一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物の脱水反応を特定の溶媒中で行なう。本発明における特定溶媒とは、常圧における沸点が上記一般式(2)で示されるビニルイミダゾール系化合物の常圧における沸点よりも30℃以上高い溶媒である。特定溶媒としては、上記ビニルイミダゾール系化合物の常圧における沸点よりも30℃以上高い溶媒であればよく、好ましくは30〜500℃、より好ましくは40〜400℃、特に好ましくは50〜300℃の範囲で上記ビニルイミダゾール系化合物の常圧における沸点よりも高いものが好適である。本発明においては、特定溶媒を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記特定溶媒として、具体的に、グリセリン、ポリエチレングリコール等のアルコール系溶媒、流動パラフィン等の炭化水素系溶媒、フッ素系溶媒、エチルメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホンイミド等のイオン液体等が挙げられる。
これらの中でも、原料のヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物との相溶性に優れる点で親水性の溶媒を用いることが好ましく、具体的には、アルコール系溶媒やイオン液体を用いることが好ましい。
これらの中でも、原料のヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物との相溶性に優れる点で親水性の溶媒を用いることが好ましく、具体的には、アルコール系溶媒やイオン液体を用いることが好ましい。
特定溶媒(C)と反応生成物のビニルイミダゾール系化合物との組み合わせの具体例としては、例えば、ビニルイミダゾール系化合物が1−ビニルイミダゾールの場合、沸点が196℃(常圧)であるため、好適に使用できる特定溶媒としては、例えば、ジエチレングリコール(常圧での沸点245℃)、トリエチレングリコール(常圧での沸点287℃)、グリセリン(常圧での沸点290℃)が挙げられる。
特定溶媒の使用量は、原料であるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物1質量部に対して、通常0.01〜100質量部(等量)、好ましくは0.02〜50質量部(等量)、特に好ましくは0.05〜10質量部(等量)である。特定溶媒の使用量が多すぎると、脱水反応の速度が遅くなったり、反応が途中で停止したりして、生産効率の悪化や収率低下を来す傾向があり、少なすぎると、脱水反応が進行するにつれて、粘度が上昇し、反応を正常に行なうことが困難になる傾向がある。
なお、本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記特定以外の溶媒が脱水反応の際に含まれていても良い。また、特定溶媒には、BHT(3,5-ジブチル-4- ヒドロキシトルエン)、MEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)、フェノチアジンなどの重合禁止剤が加えられていても良い。
なお、本発明においては、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記特定以外の溶媒が脱水反応の際に含まれていても良い。また、特定溶媒には、BHT(3,5-ジブチル-4- ヒドロキシトルエン)、MEHQ(ハイドロキノンモノメチルエーテル)、フェノチアジンなどの重合禁止剤が加えられていても良い。
一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物を脱水反応に付す際に用いられる反応器としては、例えば、温度計、還流冷却器、撹拌装置、滴下漏斗、不活性ガス流入設備、及び仕込装置を備えたオートクレーブや通常の反応器を用いて行うことができる。撹拌方法は、内容物を十分に混合できるものであれば、特に限定されない。また、本発明においては、反応液の粘度の上昇が抑えられるので、撹拌翼の無い循環式の蒸留設備での製造も可能である。
一般式(1)で示されるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物を脱水反応に付す際には、例えば、原料であるヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物を製造した反応器内に、脱水剤および特定溶媒を仕込み、所定の反応温度、反応圧力条件に調整して、所定の時間で反応を進行させる。なお、脱水剤の仕込みは、一括仕込みでも分割仕込みでも良い。
反応温度(液温)は、通常80〜350℃、好ましくは120〜300℃、特に好ましくは150〜250℃である。温度が低すぎると、反応速度が遅くなったり、もしくは反応が停止する傾向があり、高すぎると、原料のヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物の分解が起きたり、生成したビニルイミダゾール系化合物が重合したりして、収率が低下する傾向がある。
反応圧力は、通常0.01hPa〜1013hPa、好ましくは0.1hPa〜100hPaである。圧力が高すぎる場合(すなわち、常圧に近い場合)は、生成したビニルイミダゾールが反応容器中に滞留するので、熱により分解する傾向がある。
反応時間は、通常0.5〜30時間、好ましくは1〜20時間である。短すぎると、反応が十分に進行せずに収率が低下し、長すぎると、反応には特に問題は無いが、生産性が低下する傾向がある。
ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物の脱水反応により生成されたビニルイミダゾール系化合物や水は、反応液中から気化し、凝縮管中を通過して液化して、留出液となって回収される。この留出液には、原料のヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物、特定溶媒や副生成物が混入することがあるので、さらに蒸留により精製して高純度品を得ることが好ましい。精留の方法については回分精留でも連続精留でもよく、精留塔については棚段塔でも充填塔でもよい。
上記の精留操作により、純度99.5%以上のビニルイミダゾール系化合物を得ることができ、さらに純度99.9%以上の高純度のビニルイミダゾール系化合物を得ることも可能となる。また、精留により得られたビニルイミダゾール系化合物の原料(ヒドロキシエチル基含有イミダゾール系化合物)に対する収率(原料利用率)は70%以上であり、精留前の粗ビニルイミダゾール系化合物に対する収率は95%以上である。ビニルイミダゾール系化合物の純度や収率は、ガスクロマトグラフィーを用いて測定することができる。
なお、特許文献1の実施例1では、仕込んだ原料(2−ヒドロキシエチルイミダゾール)0.34mmolに対して生成物(1−ビニルイミダゾール)0.21mmolが得られているので、原料利用率は約63%に過ぎない。
なお、特許文献1の実施例1では、仕込んだ原料(2−ヒドロキシエチルイミダゾール)0.34mmolに対して生成物(1−ビニルイミダゾール)0.21mmolが得られているので、原料利用率は約63%に過ぎない。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下に記載する常圧での沸点予想値はAdvanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solarisによる計算値である。また、得られたビニルイミダゾール系化合物の純度や収率は、下記の測定条件によりガスクロマトグラフィーを用いて測定したものである。
カラム:DB−WAX 30m×0.53mmI.D.、 膜厚1μm
昇温条件:100℃(保持0min )〜220℃(保持19min)、昇温20℃/min
注入口温度:230℃、スプリットレス
検出器温度:230℃、FID(水素炎イオン検出器)
キャリアガス:ヘリウム 90kPa
注入量:1μL
分析サンプル調製法:生成物(ビニルイミダゾール系化合物)200mgを10mLメスフラスコに量り取り、メタノールでメスアップし、分析サンプルとした。
昇温条件:100℃(保持0min )〜220℃(保持19min)、昇温20℃/min
注入口温度:230℃、スプリットレス
検出器温度:230℃、FID(水素炎イオン検出器)
キャリアガス:ヘリウム 90kPa
注入量:1μL
分析サンプル調製法:生成物(ビニルイミダゾール系化合物)200mgを10mLメスフラスコに量り取り、メタノールでメスアップし、分析サンプルとした。
〔1−ビニルイミダゾール(一般式(2)におけるR1〜R3がいずれも水素原子)の製造〕
1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール114g(純度98%、1mol、常圧での沸点予想値316.5±25℃)、グリセリン11g(常圧での沸点290℃)および水酸化カリウム16.8g(0.3mol)を200mL丸底フラスコに量り採り、内温220℃、27hPaで脱水反応を行った。反応の進行により生成した気体を凝縮することで、1−ビニルイミダゾール89g(0.95mol、常圧での沸点196℃)と水を含む液体を得た。原料、特定溶媒および生成物に関する量的記載を表1にまとめた。
なお、得られた液体をさらに、マクマホン15cmを充填した塔を備えた蒸留装置にて還流比5、真空度40hPaで精留を行ったところ、塔頂温度90℃で純度99.9%の1−ビニルイミダゾール85g(0.90mol)を無色液体として得た。すなわち、精留により得られた1−ビニルイミダゾールの原料(1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール)に対する収率(原料利用率)は90%である。
1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール114g(純度98%、1mol、常圧での沸点予想値316.5±25℃)、グリセリン11g(常圧での沸点290℃)および水酸化カリウム16.8g(0.3mol)を200mL丸底フラスコに量り採り、内温220℃、27hPaで脱水反応を行った。反応の進行により生成した気体を凝縮することで、1−ビニルイミダゾール89g(0.95mol、常圧での沸点196℃)と水を含む液体を得た。原料、特定溶媒および生成物に関する量的記載を表1にまとめた。
なお、得られた液体をさらに、マクマホン15cmを充填した塔を備えた蒸留装置にて還流比5、真空度40hPaで精留を行ったところ、塔頂温度90℃で純度99.9%の1−ビニルイミダゾール85g(0.90mol)を無色液体として得た。すなわち、精留により得られた1−ビニルイミダゾールの原料(1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール)に対する収率(原料利用率)は90%である。
〔2−メチル−1−ビニルイミダゾール(一般式(2)におけるR1がメチル基、R2,R3がいずれも水素原子)の製造〕
実施例1において、原料を2−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール128.7g(純度98%、1mol)に変更し、特定溶媒としてのグリセリンの使用量を13gに変更したことを除いて同様に操作して、2−メチル−1−ビニルイミダゾール97.1g(0.89mol、常圧での沸点予想値215.6±23℃)と水を含む液体を得た。原料、特定溶媒および生成物に関する量的記載を表1にまとめた。
なお、得られた液体をさらに、マクマホン15cmを充填した塔を備えた蒸留装置にて還流比5、真空度13hPaで精留を行ったところ、塔頂温度86℃で純度99.3%の2−メチル−1−ビニルイミダゾール93g(0.85mol)を無色液体として得た。すなわち、精留により得られた2−メチル−1−ビニルイミダゾールの原料(2−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール)に対する収率(原料利用率)は85%である。
実施例1において、原料を2−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール128.7g(純度98%、1mol)に変更し、特定溶媒としてのグリセリンの使用量を13gに変更したことを除いて同様に操作して、2−メチル−1−ビニルイミダゾール97.1g(0.89mol、常圧での沸点予想値215.6±23℃)と水を含む液体を得た。原料、特定溶媒および生成物に関する量的記載を表1にまとめた。
なお、得られた液体をさらに、マクマホン15cmを充填した塔を備えた蒸留装置にて還流比5、真空度13hPaで精留を行ったところ、塔頂温度86℃で純度99.3%の2−メチル−1−ビニルイミダゾール93g(0.85mol)を無色液体として得た。すなわち、精留により得られた2−メチル−1−ビニルイミダゾールの原料(2−メチル−1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾール)に対する収率(原料利用率)は85%である。
〔1−ビニルイミダゾールの製造〕
実施例1において、流動パラフィン11g(常圧での沸点300℃以上)に変更したことを除いて同様に操作して、1−ビニルイミダゾール88.4g(0.94mol、常圧での沸点196℃)と水を含む液体を得た。原料、特定溶媒および生成物に関する量的記載を表1にまとめた。
実施例1において、流動パラフィン11g(常圧での沸点300℃以上)に変更したことを除いて同様に操作して、1−ビニルイミダゾール88.4g(0.94mol、常圧での沸点196℃)と水を含む液体を得た。原料、特定溶媒および生成物に関する量的記載を表1にまとめた。
〔1−ビニルイミダゾールの製造〕
実施例1において、特定溶媒としてのグリセリンをEMITFSI〔1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド〕11g(分解点350℃以上)に変更したことを除いて同様に操作して、1−ビニルイミダゾール89g(0.95mol、常圧での沸点196℃)と水を含む液体を得た。原料、特定溶媒および生成物に関する量的記載を表1にまとめた。
実施例1において、特定溶媒としてのグリセリンをEMITFSI〔1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド〕11g(分解点350℃以上)に変更したことを除いて同様に操作して、1−ビニルイミダゾール89g(0.95mol、常圧での沸点196℃)と水を含む液体を得た。原料、特定溶媒および生成物に関する量的記載を表1にまとめた。
〔1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールの製造工程を含む1−ビニルイミダゾールの製造〕
撹拌器、滴下漏斗の付いた500mLの4つ口フラスコに、モノエタノールアミン61.1g(1.0モル)を仕込み、37%ホルムアルデヒド水溶液81.2g(1.0モル)を冷却しながら25℃で仕込み、1時間撹拌した。イミン化合物の生成を液体クロマトグラフィーで確認後、80℃へ昇温し、40%グリオキザール水溶液145.1g(1.0モル)と28%アンモニア水溶液60.8g(1.0モル)を同時に滴下(滴下時間2時間)、80℃で1時間熟成させた。反応終了後、水及び残った原料を留去してオイル状反応物を得た。かかる反応物中には1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールが98%、イミダゾールが2%含まれていた。
撹拌器、滴下漏斗の付いた500mLの4つ口フラスコに、モノエタノールアミン61.1g(1.0モル)を仕込み、37%ホルムアルデヒド水溶液81.2g(1.0モル)を冷却しながら25℃で仕込み、1時間撹拌した。イミン化合物の生成を液体クロマトグラフィーで確認後、80℃へ昇温し、40%グリオキザール水溶液145.1g(1.0モル)と28%アンモニア水溶液60.8g(1.0モル)を同時に滴下(滴下時間2時間)、80℃で1時間熟成させた。反応終了後、水及び残った原料を留去してオイル状反応物を得た。かかる反応物中には1−(2−ヒドロキシエチル)イミダゾールが98%、イミダゾールが2%含まれていた。
次いで、グリセリン20g(常圧での沸点290℃)および水酸化カリウム16.8g(0.3mol)を加え、内温220℃、27hPaで脱水反応を行った。反応の進行により生成した気体を凝縮することで、1−ビニルイミダゾール85g(0.9mol、常圧での沸点196℃)と水を含む液体を得た。
なお、得られた液体をさらに、マクマホン15cmを充填した塔を備えた蒸留装置にて還流比5、真空度40hPaで精留を行ったところ、塔頂温度90℃で純度99.8%の1−ビニルイミダゾール81g(0.86mol)を無色液体として得た。
なお、得られた液体をさらに、マクマホン15cmを充填した塔を備えた蒸留装置にて還流比5、真空度40hPaで精留を行ったところ、塔頂温度90℃で純度99.8%の1−ビニルイミダゾール81g(0.86mol)を無色液体として得た。
実施例1において、グリセリンを加えないことを除いて同様に操作した。しかし、反応途中で粘度が上昇して撹拌できなくなったので、操作を中断した。得られた留出液には1−ビニルイミダゾールが70g(0.75mol)含まれていた。
本発明により得られるビニルイミダゾール系化合物は、例えばエポキシ樹脂の硬化剤、ウレタン樹脂の反応促進剤、UV硬化樹脂やアクリル樹脂の原料モノマーとして使用することができる。また、これらの樹脂は、粘着剤、ヘアケア剤、洗浄剤などに広く使用することができる。
Claims (2)
- 前記脱水剤がアルカリ金属の水酸化物であることを特徴とする請求項1に記載のビニルイミダゾール系化合物の製造方法。
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---|---|---|---|
JP2009281926A JP5523076B2 (ja) | 2009-12-11 | 2009-12-11 | ビニルイミダゾール系化合物の製造方法 |
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