JP2011118164A - 定着装置、および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電磁誘導により発熱する導電発熱層を有する定着ベルト61の内部に、加圧ロール62からの押圧力により弾性変形してニップ部Nを形成する第1の弾性部材64と、第1の弾性部材64の外周面と定着ベルト61の内周面との間に第1の弾性部材64および定着ベルト61の双方に固定して配置され、ニップ部Nでの弾性変形率が第1の弾性部材64よりも大きく構成された第2の弾性部材65とを備える。
【選択図】図3
Description
例えば特許文献1には、磁束発生手段としての電磁誘導コイルが磁性金属製の芯金シリンダからなる定着ロールの内部に配置され、電磁誘導コイルにて生成した誘導磁界により定着ロールに渦電流を誘起させて、定着ロールを直接的に加熱する電磁誘導方式の定着装置が記載されている。
本発明は、ベルト部材で構成された定着部材を備えた定着装置において、定着可能状態に設定するまでの時間を低減することを目的とする。
請求項3に記載の発明は、前記第2の弾性部材は、前記第1の弾性部材よりも熱伝導度が低く構成されたことを特徴とする請求項2記載の定着装置である。
請求項4に記載の発明は、前記第2の弾性部材は、前記定着部材の幅方向の中心に対して当該定着部材の幅方向の両側に各々配置されたことを特徴とする請求項2記載の定着装置である。
請求項5に記載の発明は、前記第1の弾性部材は、前記第2の弾性部材が配置される領域が凹部で形成されたことを特徴とする請求項4記載の定着装置である。
請求項2の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、定着部材を定着可能状態に設定する際に定着部材からの熱の流出を抑制することができる。
請求項3の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、定着部材から定着部材の内部への熱の流出を抑制することができる。
請求項4の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、定着部材と第1の弾性部材との間に空隙を形成して、定着部材から定着部材の内部への熱の流出を抑制することができる。
請求項5の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、ニップ圧を定着部材の幅方向に均一に設定することができる。
請求項6の発明によれば、ベルト部材で構成された定着部材を備えた画像形成装置において、本発明を採用しない場合に比較して、定着可能状態に設定するまでの時間を低減することができる。
請求項7の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、定着部材を定着可能状態に設定する際に定着部材からの熱の流出を抑制することができる。
[実施の形態1]
<画像形成装置の説明>
図1は本実施の形態の定着装置(定着器)60が適用される画像形成装置1の構成例を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、画像データに基づき画像形成を行う画像形成部10と、画像形成装置1全体の動作を制御する主制御部31と、を備えている。さらには、例えばパーソナルコンピュータ(PC)3等との通信を行って画像データを受信する通信部32と、原稿から画像を読み取って読取画像データを生成する画像読取部33と、通信部32にて受信された画像データや画像読取部33によって生成された読取画像データ等に対し予め定めた画像処理を施し画像形成部10に転送する画像処理部34と、ユーザからの操作入力の受付やユーザに対する各種情報の表示を行うユーザインターフェース(UI)部35と、を備えている。
画像形成ユニット11各々は、現像器15に収容されるトナーを除いて略同様に構成され、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
このようにして、画像形成装置1での画像形成処理がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返し実行される。
次に、本実施の形態の定着器60について説明する。
図2および図3は、本実施の形態の定着器60の構成を説明する図である。図2は用紙Pの搬入側から見た定着器60の正面図であり、図3は定着器60の図2におけるIII−III断面図である。
図2および図3に示すように、定着器60は、支持体69(図2参照)の内部に、交流磁界を生成する磁界生成部材の一例としてのIH(Induction Heating)ヒータ63と、IHヒータ63により電磁誘導加熱されてトナー像を定着する定着部材の一例としての定着ベルト61と、定着ベルト61の内部に配置された第1の弾性部材64および第2の弾性部材65(図3参照)と、定着ベルト61に対向するように配置された加圧部材の一例としての加圧ロール62と、定着ベルト61からの用紙Pの剥離を補助する剥離補助部材70(図3参照)と、を備えている。
定着ベルト61は、原形が円筒形状の無端のベルト部材で構成され、例えば原形(円筒形状)時の直径が30mm、幅方向長が370mmに形成されている。また、図4(定着ベルト61の断面層構成図)に示したように、定着ベルト61は、基材層611と、基材層611の上に積層された導電発熱層612と、トナー像の定着性を向上させる弾性層613と、最外層に被覆された表面離型層614と、からなる多層構造で構成されている。
まず、定着ベルト61の基材層611は、薄層の導電発熱層612を支持するとともに、定着ベルト61全体としての機械的強度を形成する耐熱性のシート状部材で構成される。また、基材層611は、磁界を通過させる物性(比透磁率、固有抵抗)を持った材質、厚さで形成され、基材層611自身は、磁界の作用により発熱しないか、または発熱し難く構成される。具体的には、基材層611は、例えば、厚さ30〜200μmの非磁性ステンレススチール等の非磁性金属や、厚さ60〜200μmの樹脂材料等が用いられる。
ここで、IHヒータ63により生成される交流磁界の周波数は、一般に使用される汎用電源による20k〜100kHzである。それにより、導電発熱層612は、周波数20k〜100kHzの交流磁界が侵入し通過するように構成される。導電発熱層612を構成する材料としては、例えば、Au,Ag,Al,Cu,Zn,Sn,Pb,Bi,Be,Sb等の金属や、これらの金属合金が用いられる。
具体的には、導電発熱層612の構成として、厚さ2〜20μm、固有抵抗2.7×10−8Ω・m以下の例えばCu等の非磁性金属(比透磁率が概ね1の常磁性体)が用いられる。また、定着ベルト61を定着可能温度まで加熱するまでに要する時間(以下、「ウォームアップタイム」)を短縮する観点からも、導電発熱層612を薄層にして熱容量を小さく構成する。
定着ベルト61の表面離型層614は、用紙P上に保持された未定着トナー像と直接接触するため、トナーに対する離型性の高い材質が使用される。例えば、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、シリコーン共重合体、またはこれらの複合層等が用いられる。表面離型層614の厚さとしては、薄すぎると、耐摩耗性の面で充分でなく、定着ベルト61の寿命を短くする。その一方で、厚すぎると、定着ベルト61の熱容量が大きくなりすぎ、ウォームアップタイムが長くなる。そこで、表面離型層614の厚さは、耐摩耗性と熱容量とのバランスを考慮し、1〜50μmに設定される。
本実施の形態の定着器60では、定着ベルト61の内部に、定着ベルト61の全幅に亘って第1の弾性部材64および第2の弾性部材65を配置している。第1の弾性部材64は、例えばゴム硬度25〜45°(JIS−A)のゴム、エラストマー等(例えば、シリコーンゴム)の弾性体で構成された外径が29mmの円筒状ロールで形成され、定着ベルト61の回転軸97に外嵌して固定(接合)されている。
第2の弾性部材65は、第1の弾性部材64を構成する弾性体よりも硬度の低い、例えばシリコーンゴムを発泡させたゴム硬度15〜35°(JIS−A)の弾性体(スポンジ層)で構成されている。すなわち、第2の弾性部材65は、定着ベルト61に加圧ロール62が圧接(押圧しながら接触)される領域であるニップ部Nでの圧力(ニップ圧)に対して、第1の弾性部材64よりも弾性変形率が大きく構成されるように、発泡率やゴム硬度が選択される。ここでの「弾性変形率」とは、ニップ部Nでのニップ圧が作用した際の単位体積当たりの弾性変形量をいう。
そして、第2の弾性部材65は、層厚が例えば0.5〜1mmで形成され、内周面が第1の弾性部材64の外周面を被覆するように第1の弾性部材64と接着されるとともに、外周面が定着ベルト61の内周面と接着されている。それにより、定着ベルト61は、内部に回転軸97と、第1の弾性部材64と、第2の弾性部材65とが一体的な弾性体ロールとなって嵌入された構成を有し、回転軸97の回転に伴って回転駆動される。
図3に示すように、加圧ロール62は、例えば発泡させたシリコーンゴム等からなる耐熱性弾性体層621と、例えば厚さ50μmのカーボン配合のPFA等の耐熱性樹脂被覆または耐熱性ゴム被覆による離型層622と、で構成されている。また、加圧ロール62は、直径が28mm、幅方向長が380mmに形成されている。そして、加圧ロール62は、定着ベルト61の回転軸97方向に沿って定着ベルト61と並行して配置され、次段で説明するように、接離機構により定着ベルト61に対して接離するように構成されている。
また図2(後段図6も参照)に示すように、加圧ロール62には、加圧ロール62の回転中心を貫通するように回転軸95が設けられている。そして、回転軸95の一方の端部側には、駆動伝達ギヤ94が固定されるとともに、回転軸95は、支持体69において定着ベルト61方向に関して予め定められた範囲内で移動自在に支持され、かつ回転自在に支持されている。それにより、加圧ロール62は、接離機構により定着ベルト61に圧接する位置に配置されると、駆動伝達ギヤ94を介して駆動源である駆動モータ90からの駆動力を受けて、自らが図3の矢印C方向に回転する。それにより、定着ベルト61は加圧ロール62に従動して回転する。その際には、加圧ロール62は定着ベルト61を押圧しながら定着ベルト61との接触位置にニップ部Nを形成し、このニップ部Nに未定着トナー像を保持した用紙Pを通過させることで、熱および圧力によって未定着トナー像を用紙Pに定着する。
ここで、上記した加圧ロール62を定着ベルト61に対して接離させる接離手段の一例としての接離機構(以下、「リトラクト機構」)について説明する。
図2に示すように、本実施の形態の定着器60は、リトラクト機構として、支持体69に回転自在に支持される回転軸81と、予め定められた角度範囲内で回転軸81を変位させる変位モータ80と、回転軸81の両端部領域であって加圧ロール62の回転軸95に対向する位置に固定され、回転軸81の変位により揺動するカム82,83と、を備えている。さらに、加圧ロール62の回転軸95の両端部領域に接続され、加圧ロール62を定着ベルト61から離間する方向(矢印方向)に付勢するバネ84,85を備えている。
続いて、図5(b)に示すように、カム82(カム83)の頂部F0が定着ベルト61の回転軸97方向とは角度θだけ傾くように、変位モータ80が回転軸81を変位させた状態では、加圧ロール62の回転軸95はバネ84,85(図2参照)の付勢力によりカム82(カム83)の側面F1に沿って、支持体69に設定された移動制限領域Wの範囲内で定着ベルト61側から離間する方向(図5(b)矢印方向)に移動する。それにより、加圧ロール62は、定着ベルト61から離間した位置に設定される。
次に、定着ベルト61および加圧ロール62を駆動する機構(以下、「駆動機構」)について説明する。
まず、上記図2に示すように、本実施の形態の定着器60は、駆動機構として、駆動源としての駆動モータ90と、駆動モータ90の回転軸91に固定された駆動伝達ギヤ92および駆動伝達ギヤ93と、加圧ロール62の回転軸95に固定された駆動伝達ギヤ94と、定着ベルト61の回転軸97に固定された駆動伝達ギヤ96と、を備えている。さらに、定着ベルト61側の駆動伝達ギヤ96と駆動モータ90側の駆動伝達ギヤ93とを結合する伝達ギヤ98を備えている。伝達ギヤ98は、トルクリミッタ100(次段図6参照)を介して回転軸99に支持されている。
図6は、駆動モータ90から定着ベルト61および加圧ロール62への駆動力の伝達を説明する図である。図6(a)は、リトラクト機構によって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接された状態での駆動力の伝達を示し、(b)は、加圧ロール62が定着ベルト61から離間された状態での駆動力の伝達を示している。
その場合には、駆動伝達ギヤ92と駆動伝達ギヤ94との結合により、駆動モータ90からの回転駆動力が駆動伝達ギヤ92および駆動伝達ギヤ94を介して加圧ロール62側に伝達され、加圧ロール62が回転駆動される。そして、加圧ロール62は、定着ベルト61を従動回転させる。
このように、図6(a)に示す加圧ロール62が定着ベルト61に圧接された状態では、駆動モータ90からの回転駆動力は、加圧ロール62にのみ伝達される。そして、それにより、定着ベルト61は加圧ロール62によって従動回転するので、定着ベルト61の回転速度は、加圧ロール62のみによって設定されることとなる。そのため、定着ベルト61の回転速度は安定する。
一方、定着動作が開始され加圧ロール62がリトラクト機構によって定着ベルト61に圧接された状態においては、定着ベルト61は、駆動モータ90からの回転駆動力によって回転する加圧ロール62に従動して間接的に回転する。
次に、定着ベルト61の導電発熱層612に交流磁界を作用させて電磁誘導加熱するIHヒータ63について説明する。
図7は、本実施の形態のIHヒータ63の構成を説明する断面図である。図7に示すように、IHヒータ63は、例えば耐熱性樹脂等の非磁性体から構成される支持体631と、交流磁界を生成する励磁コイル632と、励磁コイル632を支持体631上に固定する例えばシリコーンゴム等の弾性体で構成された弾性支持部材633と、定着ベルト61の幅方向に沿って複数配置され、励磁コイル632にて生成された交流磁界の磁路を形成する磁心634と、を備えている。またIHヒータ63は、定着ベルト61の幅方向に沿って複数配置され、励磁コイル632にて生成された交流磁界を支持体631の長手方向に均すための調整用磁心639と、磁心634を上部から覆うように保持する磁心保持部材637と、磁心保持部材637を介して磁心634を支持体631側に加圧する例えばシリコーンゴム等の弾性体で構成された加圧部材636と、磁界を遮蔽して外部への漏洩を抑制するシールド635と、励磁コイル632に交流電流を供給する励磁回路638と、を備えている。
励磁コイル632は、相互に絶縁された例えば直径0.17mmの銅線材を例えば90本束ねたリッツ線が長円形状や楕円形状、長方形状等の中空きの閉ループ状に巻かれて構成されている。そして、励磁コイル632に励磁回路638から予め定めた周波数の交流電流が供給されることにより、励磁コイル632の周囲には、閉ループ状に巻かれたリッツ線を中心とする交流磁界が生成される。励磁回路638から励磁コイル632に供給される交流電流の周波数は、一般的な汎用電源により生成される20k〜100kHzが用いられる。
弾性支持部材633は、例えばシリコーンゴム等やフッ素ゴム等の弾性体で構成されたシート状部材である。弾性支持部材633は、励磁コイル632が支持体631の支持面631aに密着して固定されるように、励磁コイル632を支持体631に対して押圧するように設定されている。
磁心保持部材637の各々は、SUSや樹脂等の非磁性体で形成され、磁心634の一部または全部を覆うようにして磁心634各々を保持する。
調整用磁心639は、例えば焼成フェライト、フェライト樹脂等の高透磁率材質で構成される直方体形状(ブロック形状)の強磁性体が用いられる。そして、調整用磁心639は、磁心634により形成される交流磁界の支持体631長手方向(=定着ベルト61の幅方向)に生じる強弱を均すことにより、定着ベルト61の幅方向の温度むら(温度のばらつき、温度リップル)を低減している。
次に、定着ベルト61の内部に配置された第1の弾性部材64および第2の弾性部材65の機能について説明する。
上記したように、本実施の形態の定着器60は、加圧ロール62を定着ベルト61に対して接離させるリトラクト機構を備えている。そして、定着動作を開始する前に定着ベルト61をIHヒータ63により定着可能温度まで上昇させる動作(ウォームアップ動作)を行う際には、リトラクト機構によって加圧ロール62を定着ベルト61から離間させた位置に設定しておく。それにより、熱容量の小さな定着ベルト61から加圧ロール62に熱の流出が生し難い状態を設定することで定着ベルト61を効率的に加熱し、定着ベルト61を定着可能温度まで上昇させる時間(以下、「ウォームアップ時間」)を低減している。なお、ウォームアップ動作中は、定着ベルト61は、上記した駆動機構により駆動モータ90からの回転駆動力によって直接、回転駆動される。
図8(a)に示すように、定着動作中においては、リトラクト機構によって加圧ロール62が定着ベルト61に圧接して配置される。その際に、第2の弾性部材65は、ニップ部Nでのニップ圧に対して第1の弾性部材64よりも弾性変形率が大きく構成されている。すなわち、第2の弾性部材65は、層厚が第1の弾性部材64の外径(29mm)に対して無視できる程度に薄層(0.5〜1mm)に形成され、さらにゴム硬度が第1の弾性部材64よりも低い材質で構成されている。それにより、第2の弾性部材65はニップ圧によってその弾性が殆ど消失する程度に圧縮され、加圧ロール62からの押圧力を第1の弾性部材64の弾性力が受けることとなる。そのため、第2の弾性部材65はニップ部Nの形成に殆ど影響を与えず、ニップ部Nは、主として、弾性変形しながら定着ベルト61を押圧する加圧ロール62と、加圧ロール62からの押圧力によって弾性変形する第1の弾性部材64とによって、予め定められたニップ圧を持って形成される。
このように、第2の弾性部材65がニップ部Nでのニップ圧に対して第1の弾性部材64よりも弾性変形率が大きく構成されることで、加圧ロール62が定着ベルト61に圧接して配置された際には、加圧ロール62からの押圧力の殆どを第1の弾性部材64の弾性力が受け、第2の弾性部材65はニップ部Nの形成に殆ど影響を与えない。そのため、ニップ部Nのニップ圧は、弾性変形する加圧ロール62と弾性変形する第1の弾性部材64との双方によって予め定められた圧力に安定的に設定される。
上記したように、ウォームアップ動作中は、リトラクト機構によって加圧ロール62を定着ベルト61から離間させることにより、定着ベルト61の外側において、定着ベルト61から加圧ロール62に熱の流出が生じない状態を設定している。さらに、本実施の形態では、定着ベルト61の内側においても、定着ベルト61と第1の弾性部材64との間に第2の弾性部材65を介在させることにより、定着ベルト61から第1の弾性部材64に熱の流出が生じない状態を設定している。それによって、定着ベルト61を定着可能温度まで上昇させるウォームアップ時間をさらに低減する構成を実現している。
この場合に、第2の弾性部材65を例えばシリコーンゴムを発泡させた弾性体(スポンジ層)で構成することにより、第2の弾性部材65の熱伝導度を第1の弾性部材64よりも低く構成している。それにより、定着ベルト61と第1の弾性部材64との間に第2の弾性部材65を介在させた構成は、第1の弾性部材64と定着ベルト61とが直接的に接触する構成よりも、定着ベルト61から第1の弾性部材64への熱の流出を抑制する作用を高める。
続いて、画像形成動作の流れについて説明しておく。
図9は、主制御部31が行う画像形成処理の内容の一例を説明するフローチャートである。
図9に示したように、主制御部31は、画像読取部33やUI部35や通信部32からの信号等に基づいて、画像読取部33に原稿が置かれるなどのユーザによる画像形成指示前に行われる操作(以下、「ユーザによる操作」)を監視する(ステップ101)。そして、主制御部31は、ユーザによる操作を認識した場合には(ステップ101でYes)、定着器60に対し、駆動モータ90(上記図2参照)をオンして、リトラクト機構により加圧ロール62が定着ベルト61に圧接されていない状態にて定着ベルト61を回転させるように指示する(ステップ102)。さらにその後、主制御部31は、ウォーミングアップ動作の実行を指示する(ステップ103)。
それにより、ウォームアップ動作中は、定着ベルト61の外側において、定着ベルト61から加圧ロール62に熱の流出が生じ難い状態を設定している。さらに、定着ベルト61の内側においても、定着ベルト61と第1の弾性部材64との間に第2の弾性部材65を介在させることにより、定着ベルト61から第1の弾性部材64に熱の流出が生じない状態を設定している。それによって、熱容量の小さい定着ベルト61から外部への熱の流出を抑制し、定着ベルト61を定着可能温度まで上昇させるウォームアップ時間を従来よりもさらに低減している。
実施の形態1の定着器60では、定着ベルト61の全幅に亘って、定着ベルト61の内部に第1の弾性部材64および第2の弾性部材65を配置した構成を説明した。本実施の形態では、第2の弾性部材65を定着ベルト61の幅方向における両端部領域に配置した構成を説明する。なお、実施の形態1と同様な構成については同様な符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
まず、図10(a)に示すように、本実施の形態の定着器60では、定着ベルト61の幅方向における両端部領域に、例えば幅10〜15mmに亘って第2の弾性部材65を配置している。また第2の弾性部材65は、内周面が第1の弾性部材64の外周面と接着されるとともに、外周面が定着ベルト61の内周面と接着されている。そして、第2の弾性部材65が配置された両端部領域以外の領域では、両端部領域の第2の弾性部材65によって定着ベルト61と第1の弾性部材64との間に空隙部gapを形成している。この空隙部gapが形成される領域の幅長は、画像形成装置1にて使用される最大サイズの用紙P幅を含むように設定されている。
また、加圧ロール62が定着ベルト61から離間して配置された状態において、上記した駆動機構により、定着ベルト61の幅方向の両端部領域に配置した第2の弾性部材65を介して定着ベルト61が回転する。
本実施の形態の構成では、定着ベルト61の幅方向における両端部領域にのみ第2の弾性部材65を配置している。そこで、図10(c)に示すように、加圧ロール62が定着ベルト61に圧接された際に、第2の弾性部材65が配置された定着ベルト61の両端部領域と、それ以外の第2の弾性部材65が配置されていない領域との間で段差が生じないように、第1の弾性部材64の第2の弾性部材65が配置される領域に、凹部の一例である切り欠き部64aを形成している。それにより、加圧ロール62が定着ベルト61に圧接された際に、第2の弾性部材65が切り欠き部64a内で圧縮されるように構成して、上記の段差が生じ難いように構成している。これによって、ニップ部Nの圧力(ニップ圧)に幅方向の不均一が生じるのを抑制している。
それにより、ウォームアップ動作中は、定着ベルト61の外側において、定着ベルト61から加圧ロール62に熱の流出が生じない状態を設定している。さらに、定着ベルト61の内側においても、定着ベルト61と第1の弾性部材64との間に第2の弾性部材65を介在させることにより、定着ベルト61から第1の弾性部材64に熱の流出が生じ難い状態を設定している。それによって、熱容量の小さい定着ベルト61からの熱の流出を抑制し、定着ベルト61を定着可能温度まで上昇させるウォームアップ時間を従来よりもさらに低減している。
Claims (7)
- 電磁誘導により発熱する発熱層を有し、当該発熱層が電磁誘導加熱されることで記録材にトナーを定着する定着部材と、
前記定着部材に対して接離自在に構成され、押圧しながら当該定着部材に接触することにより、当該定着部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材と、
前記定着部材の内部に配置され、前記加圧部材からの押圧力により弾性変形して前記ニップ部を形成する第1の弾性部材と、
前記第1の弾性部材の外周面と前記定着部材の内周面との間に当該第1の弾性部材および当該定着部材の双方に固定して配置され、前記ニップ部での弾性変形率が当該第1の弾性部材よりも大きく構成された第2の弾性部材と
を備えたことを特徴とする定着装置。 - 前記加圧部材を前記定着部材に接離させる接離手段をさらに備え、
前記接離手段は、前記定着部材が予め定められた温度に加熱されるまで前記加圧部材を当該定着部材から離間した位置に設定し、当該定着部材が当該予め定めた温度に加熱されることにより、当該加圧部材を当該定着部材に接触する位置に設定することを特徴とする請求項1記載の定着装置。 - 前記第2の弾性部材は、前記第1の弾性部材よりも熱伝導度が低く構成されたことを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 前記第2の弾性部材は、前記定着部材の幅方向の中心に対して当該定着部材の幅方向の両側に各々配置されたことを特徴とする請求項2記載の定着装置。
- 前記第1の弾性部材は、前記第2の弾性部材が配置される領域が凹部で形成されたことを特徴とする請求項4記載の定着装置。
- トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段によって形成された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、
前記記録材上に転写された前記トナー像を当該記録材に定着する定着手段とを有し、
前記定着手段は、
電磁誘導により発熱する発熱層を有し、当該発熱層が電磁誘導加熱されることで前記記録材に前記トナー像を定着する定着部材と、
前記定着部材に対して接離自在に構成され、押圧しながら当該定着部材に接触することにより、当該定着部材との間に前記記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材と、
前記定着部材の内部に配置され、前記加圧部材からの押圧力により弾性変形して前記ニップ部を形成する第1の弾性部材と、
前記第1の弾性部材の外周面と前記定着部材の内周面との間に当該第1の弾性部材および当該定着部材の双方に固定して配置され、前記ニップ部での弾性変形率が当該第1の弾性部材よりも大きく構成された第2の弾性部材と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 前記定着手段は前記加圧部材を前記定着部材に接離させる接離手段をさらに備え、
前記定着手段の前記接離手段は、前記定着部材が予め定められた温度に加熱されるまで前記加圧部材を当該定着部材から離間した位置に設定し、当該定着部材が当該予め定めた温度に加熱されることにより、当該加圧部材を当該定着部材に接触する位置に設定することを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
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- 2009-12-03 JP JP2009275624A patent/JP2011118164A/ja active Pending
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