以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、二成分現像剤のトナー濃度が上限を超えた場合にかぶり取り電圧が低下する限りにおいて、実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、二成分現像剤を用いる現像装置を搭載していれば、モノクロ、フルカラー、タンデム型、1ドラム型、中間転写方式、記録材搬送方式、直接転写方式の区別無く実施できる。実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1、2に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<画像形成装置>
図1は画像形成装置の構成の説明図である。図2は現像装置の構成の説明図である。図3は露光装置のパルス幅変調の説明図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、記録材搬送ベルト47に沿ってイエロー、マゼンタ、シアンの画像形成部Pa、Pb、Pcを配置したタンデム型記録材搬送ベルト方式のフルカラープリンタである。画像形成部Pa、Pb、Pcは、同様に構成されているが、説明を簡単にするために画像形成部Paのみを詳細に図示している。
画像形成部Paでは感光ドラム40にイエローのトナー像が形成されて記録材搬送ベルト47に担持された記録材Pに転写される。画像形成部Pbでは同様にマゼンタのトナー像が形成され、記録材搬送ベルト47に担持された記録材P上のイエローのトナー像に重ねて転写される。画像形成部Pcでは、同様にシアンのトナー像が形成されて、記録材搬送ベルト47に担持された記録材Pへ同様に転写される。
記録材カセット20から引き出された記録材Pは、分離ローラ21によって1枚ずつに分離されてレジストローラ22へ給送される。レジストローラ22は、停止状態で記録材Pを受け止め、感光ドラム40のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを送り出し、記録材搬送ベルト47に吸着させた状態で転写部T1へ送り込む。記録材搬送ベルト47は、2個のローラ45a、45b間に張架され、矢印R2方向に回転する。
画像形成部Pa、Pb、Pcで各色トナー像を重ねてフルカラートナー像を形成された記録材Pは、記録材搬送ベルト47から曲率分離されて定着装置23へ送り込まれる。定着装置23は、フルカラートナー像が形成された記録材Pを、一対のローラの加熱ニップで加熱・加圧しつつ搬送して、フルカラー画像を記録材Pの表面に定着させる。
ここでは、シアン、マゼンタ、イエローの画像形成部Pa、Pb、Pcを備えた3ステーション構成を説明したが、ブラックを加えた4ステーション構成、中間色又は中間濃度又は透明等のステーションを追加した多ステーション構成で実施してもよい。いずれにせよ、各画像形成部では、感光ドラム上に原稿の画像を色分解した各色毎(画像の各色成分毎)の静電像が形成され、対応する色のトナーを有する現像剤を用いる現像装置で現像され、転写材P上に順次に重ね合わせて転写される。
画像形成部Paは、像担持体の一例である感光ドラム40の周囲に、コロナ帯電器42、露光装置30、電位センサ24、現像装置44、転写帯電器49、ドラムクリーニング装置50e、除電露光ランプ41を配置している。感光ドラム40は、アルミニウムシリンダの外周面に負極性の帯電極性の感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
コロナ帯電器42は、コロナ放電に伴う荷電粒子を感光ドラム40に照射して、感光ドラム40の表面を一様な負極性の暗部電位VDに帯電させる。静電像形成手段の一例である露光装置30は、入力画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転多面鏡37で走査して、感光ドラム40の表面に画像の静電像を書き込む。
図2に示すように、現像装置44は、後述するように、二成分現像剤を用いて、感光ドラム40の静電像(露光部)にトナーを付着させて、トナー像を反転現像する。転写帯電器49は、コロナ放電に伴う荷電粒子を記録材搬送ベルト47に照射して正極性に帯電させ、感光ドラム40に担持されたトナー像を、記録材搬送ベルト47に担持されて転写部Taを通過する記録材Pへ転写させる。
図1に示すように、ドラムクリーニング装置50eは、感光ドラム40にクリーニングブレードを摺擦させて、記録材Pへの転写を逃れて感光ドラム40に残った転写残トナーを回収する。除電露光ランプ41は、感光ドラム40の表面を一様に露光して前回の静電像の残りを消去する。
<露光装置>
複写されるべき原稿31の画像は、レンズ32によってCCDなどの撮像素子33に投影される。撮像素子33は、原稿画像を多数の画素に分解し、各画素の濃度に対応した光電変換信号を発生する。撮像素子33から出力されるアナログ画像信号は、画像信号処理回路34に送られ、ここで各画素ごとに、その画素のイエロー濃度に対応した出力レベルを有する画素画像信号(入力画像濃度信号)に変換され、パルス幅変調回路35に送られる。
まず、原稿31の画像がCCDにより読みとられ、得られたアナログ画像信号が増幅器で所定のレベルまで増幅され、アナログ−デジタル変換器(A/D変換器)により例えば8ビット(0〜255階調)のデジタル画像信号に変換される。
つぎに、このデジタル画像信号はγ変換器(本例では、256バイトのRAMで構成され、ルックアップテーブル方式で濃度変換を行う変換器)に供給され、そこでγ補正された後、D/A変換器(デジタル−アナログ)に入力される。D/A変換器によりデジタル画像信号は再びアナログ画像信号に変換されて、コンパレータの一方の入力に供給される。コンパレータの他方の入力には、三角波発生回路から発生される所定周期の三角波信号が供給されており、コンパレータの一方の入力に供給されたアナログ画像信号は、この三角波信号と比較されてパルス幅変調される。このパルス幅変調された二値化画像信号は、露光装置30にそのまま入力され、レーザダイオード36の発光のオン・オフ制御用信号として使用される。
パルス幅変調回路35は、図3の(a)に示すように、入力される画素画像信号毎に、そのレベルに対応した幅(時間長)のレーザ駆動パルスを形成して出力する。
図3の(a)に示すように、高濃度の画素画像信号に対しては幅の広い駆動パルスWを、低濃度の画素画像信号に対しては幅の狭い駆動パルスSを、中濃度の画素画像信号に対しては中間の幅の駆動パルスIをそれぞれ形成する。
パルス幅変調回路35から出力されたレーザ駆動パルスは、半導体レーザ(レーザダイオード36)に補給され、半導体レーザ36をそのパルス幅に対応する時間だけ発光させる。従って、半導体レーザ36は高濃度画素に対してはより長い時間駆動され、低濃度画素に対してはより短い時間駆動されることになる。このため、図3の(d)に示すように、感光ドラム40は、高濃度画素に対しては主走査方向により長い範囲が露光され、低濃度画素に対しては主走査方向により短い範囲が露光される。図3の(d)では、低、中、高濃度画素の静電像をそれぞれL、M、Hで示した。
つまり、画素の濃度に対応して静電像のドットサイズが異なる。従って、当然のことながら、高濃度画素に対するトナー消費量は低濃度画素に対するそれよりも大である。
露光装置30は、レーザ光36aを感光ドラム40方向に指向させ、半導体レーザ36から照射されたレーザ光36aを感光ドラム40の回転軸とほぼ平行な方向(主走査方向)に走査して静電像を形成する。レーザ光36aは、回転多面鏡37によって主走査方向に掃引され、f/θレンズ38及び固定ミラー39によって、感光ドラム40上にスポット結像される。
<現像装置>
図2に示すように、現像装置44は、キャリア(磁性)とトナー(非磁性)を含む二成分現像剤を収容した現像容器50を備える。現像容器50の感光ドラム40に面した開口部に、現像剤担持体の一例である現像スリーブ51が感光ドラム40と300μmの間隙を開けて回転自在に設置されている。
現像スリーブ51は、アルミニウムなどの非磁性材料の円筒体からなり、その内側には、5つの磁極N1、S1、N2、N3、S2を有する磁界発生手段の一例であるマグネットローラ52が非回転に配置されている。
現像スリーブ51の上方の現像容器50に隣接する部分には、現像スリーブ51も担持させる二成分現像剤の層厚を規制するための規制ブレード53が取り付けられる。規制ブレード53は、磁性材料で形成され、マグネットローラ52の鉛直方向最上点に略位置した磁極S2の近傍に向けて、現像スリーブ51と非接触に配置されている。
現像容器50は、長手方向の隔壁55によって現像室50Aと攪拌室50Bに仕切られている。隔壁55の長手方向の両端部に設けた不図示の一対の開口部を通じて、現像室50Aと攪拌室50Bが連通して、現像容器50に現像剤の循環経路が構成される。
現像室50Aと攪拌室50Bには、搬送方向が逆方向に設定された搬送スクリュー54、56がそれぞれ配置されている。現像容器50内に収容された二成分現像剤は、搬送スクリュー54、56の撹拌、搬送によって現像容器50内を循環されながら、現像スリーブ51に供給される。
現像スリーブ51に供給された現像剤は、マグネットローラ52の磁極N3により現像スリーブ51上に汲み上げられる。そして、現像スリーブ51の矢印C方向の回転にともない、現像スリーブ51上を磁極N3→磁極S2→磁極N1と搬送され、現像スリーブ51と感光ドラム40とが対向した現像部Gに至る。その搬送の途上で、二成分現像剤は、規制ブレード53により磁極S2と協働して磁気的に層厚を規制され、現像スリーブ51上に二成分現像剤の薄層が形成される。
現像部Gに位置されたマグネットローラ52の磁極N1は現像主極であり、現像部Gに搬送された二成分現像剤は、磁極N1によって穂立ちして感光ドラム40の表面に接触し、感光ドラム40の表面に形成された静電像を現像する。
現像部Gを通過する過程で静電像を現像してトナーを消費した二成分現像剤は、現像スリーブ51の回転により搬送極S1を経て現像容器50内に戻り、磁極N2、N3の反発磁界で現像スリーブ51から落下して搬送スクリュー54に取り込まれる。
<トナー補給装置>
電子写真方式、静電記録方式の画像形成装置は、近年では、フルカラーで高速の印刷能力、イメージ画像印刷等が望まれ、その結果印刷画質も高品質で高精細なものが望まれるようになってきた。フルカラー対応の画像形成装置が具備する現像装置は、画像の色味などの観点から、トナー(非磁性)とキャリア(磁性)を主成分とした二成分現像剤を使用する傾向である。そして、二成分現像剤のトナー濃度(TD比:キャリアおよびトナーの合計重量に対するトナー重量の割合)は、画像品質を安定化させる上で極めて重要な要素になっている。
二成分現像剤を用いる現像装置では、現像時にトナーが消費されて二成分現像剤のトナー濃度が減少するため、適時、トナー補給を行う必要がある。トナー濃度が減少した現像装置内の二成分現像剤にトナーを補給してトナー濃度(又は画像濃度)を一定に制御するために、さまざまな方式のトナー補給(ATR)制御が実用化されている。
例えば、二成分現像剤のトナー濃度を反射光量にて検知してトナー補給を制御する現像剤反射ATRが知られている。感光ドラムにパッチ画像を作像し、パッチ画像のトナー載り量を反射光センサにより検知してトナー補給を制御するパッチ検ATRも知られている。また、ビデオカウンタを用いて、画素ごとのデジタル画像信号の出力レベルから必要トナー量を演算してトナー補給を制御するビデオカウンタATRも知られている。
さらに、現像剤反射ATRの初期値をパッチ検ATRにより補正する方式、さらにはビデオカウントATRを主に用い、適宜パッチ検ATRによりトナー補給量を補正する方式等が種々提案されている。
図1に示すように、画像形成装置100でも、画像形成に伴ってトナーが感光ドラム40へ取り出されると、現像装置44内の二成分現像剤43のトナー濃度が低下する。このため、制御部25は、モータ70を制御してトナー搬送スクリュー62を所定の回転角度だけ回転させることにより、トナー補給槽60から補給用トナー63を現像装置44へ必要なだけ補給する。
現像装置44の上部には、補給用トナー63を収容したトナー補給槽60が取り付けられている。トナー補給手段の一例であるトナー補給槽60内の下部には、トナー搬送スクリュー62が設置されている。モータ70は、ギア列71を介してトナー搬送スクリュー62に接続している。モータ70を作動させると、トナー搬送スクリュー62が回転して、トナー補給槽60内から補給用トナー63を引き出して現像装置44に供給する。
トナー補給制御手段を兼ねる制御部25は、モータ駆動回路69を介してモータ70の回転速度と回転タイミングを制御することにより、トナー搬送スクリュー62によるトナーの供給を実行する。制御部25のCPU67に接続されたRAM68には、モータ駆動回路69に供給する制御データ等が記憶されている。トナー搬送スクリュー62の回転量に対するトナー補給量は、予め実験的に把握してテーブル化されている。
制御部25は、1枚の画像形成ごとに現像で消費されるトナー量をビデオカウントATRによって求めて、直ちにトナー搬送スクリュー62を求めたトナー量に見合った角度だけ回転させて、補給用トナー63を現像装置44に供給する。
図1に示すように、ビデオカウンタ66は、パルス幅変調回路35から出力されたレーザ駆動パルスのビデオカウント処理を行う。ビデオカウンタ66は、図3の(b)に示すクロックパルスと図3の(a)に示すレーザ駆動パルスの論理和を計算して図3の(c)のようにビデオカウントパルスを形成し、カウントする。
制御部25は、ビデオカウンタ66が1枚の画像の画像形成中にカウントしたパルス数から1枚の画像のトナー消費量の計算結果を計算することにより、現像装置44から取り出されるトナー量に見合ったトナー補給量を求める。このトナー補給量は、消費したトナーを補って画像形成後の現像装置44内の二成分現像剤のトナー濃度を、画像形成前のトナー濃度に一致させるために必要な量の計算結果である。
制御部25は、1枚の画像形成中に、1枚前の画像形成中に求めたトナー補給量の計算結果に応じた時間だけモータ70を作動させて、トナー補給槽60から、1枚前の画像形成中に消費しただけの必要な量の補給用トナー63を現像装置44に供給する。
しかし、ビデオカウントATRに補給量と実際のトナー消費量との誤差の累積によって、現像装置44内の二成分現像剤のトナー濃度は少しずつ変化する。また、二成分現像剤のトナー濃度が一定に維持されていても、トナー帯電量Q/Mが変化すると、同じ現像コントラストの静電像でもトナーの付着量が変化して画像濃度は違ってくる(図9参照)。
このため、画像形成装置100では、ビデオカウントATRにパッチ検ATRと現像剤反射ATRとを組み合わせて、二成分現像剤中のトナー濃度の変動を所定範囲で許容しつつトナー帯電量Q/Mを一定に保つトナー補給制御を採用している。
<トナー補給制御>
現像剤反射ATR、インダクタンス方式ATR、ビデオカウントATRは、二成分現像剤のトナー濃度(T/D比)の安定性を主目的とする。このため、トナー濃度は安定するものの、キャリアの帯電能力の変化や、長時間放置、或いは画像形成装置の設置環境の急激な変化等が発生すると、トナー帯電量が変化する。その結果、許容範囲を大きく外れたフルカラー画像の色味変動や濃度変動を引き起こす場合があり、検討の余地が残されていた。トナー濃度の一定化を念頭においたトナー補給制御の場合、フルカラー画像の色味変動に主眼を置いたものでなく、検討の余地が残されていた。
これに対して、パッチ検ATRは、所定の濃度目標のパッチ画像を形成してパッチ画像のトナー載り量を測定し、初期のパッチ画像のトナー載り量と比較した結果に基いてトナー補給制御を行う。パッチ検ATRでは、感光ドラムに形成されるパッチ画像のトナー載り量を一定にすることで、濃度変動、色見変動を防止し、かつトナー濃度制御も行うという二面性を併せ持っている。
パッチ検ATRによりパッチ画像のトナー載り量を一定に保つことで、トナー帯電量の変動も小さくできるため、現像の後に続く静電転写の安定にもつながり、結果として良好に濃度を推移させ、色味変動も小さくできる。
しかし、パッチ検ATRは、キャリアの帯電能力の変化や、長時間放置、或いは画像形成装置の設置環境の急激な変化が発生すると、画像濃度は維持されても様々な画像不良が発生し易くなる。後述するように、トナー濃度が上昇した場合はトナー飛散を引き起こし、トナー濃度が下降した場合は濃度ムラの大きい、がさついた画像が出力されてしまう。
このような状況を鑑みて、特許文献2には、インダクタンスATRとパッチ検ATRを併用し、トナー濃度をある一定範囲に抑えつつ、パッチ検ATRを行うというトナー補給制御が提案されている。ここでは、インダクタンスATRにより検知されたトナー濃度が、予め決められた上限又は下限を超えた場合に、パッチ検ATRを中止又は制限するTD比リミット制御を行っている。トナー濃度が上限を超えた場合は結果的にトナー補給を抑制し、逆に下限を下回った場合はトナー補給を多めに行うことで、トナー濃度を所定の範囲内に収める制御を行っている。
特許文献2に示されるトナー補給制御は、トナー濃度(TD比)が大きく変動することなく、かつパッチ検ATRにより画像濃度を一定に保つ制御を行うため、安定した画像濃度/トナー濃度制御を行うことができる。しかし、トナー濃度が上限又は下限を超えた場合に、トナー濃度を適正範囲に引き戻すべくトナー補給の割り増し又は抑制を行うため、トナーの帯電量を一定に保つことが難しくなる。結果として、トナー帯電量を略一定に保てなくなって画像濃度が変化してしまう。
具体的には、トナー濃度が上限を超えると、トナーのチャージアップによるトナー帯電量の上昇が発生する。逆にトナー濃度が下限を割り込むと、TD比上昇によるトナー帯電量の下降が発生する。
そして、トナー帯電量の上昇が発生すると、後述するようにキャリア付着に起因する画像不良が発生し易くなり、トナー帯電量の下降が発生すると画像の白地部にトナーが付着する白地かぶりの画像不良が発生し易くなる。
<パッチ検ATR>
図4はパッチ検ATRによるトナー補給量の決定の説明図である。制御部25は、感光ドラム40に一定の現像コントラストで形成した静電像が目標とする所定量のトナー載り量で現像されるように、トナー搬送スクリュー62によるトナーの供給を制御する。現像装置44内を循環して現像スリーブ51に担持されるトナーの帯電量が一定に保たれるように、二成分現像剤に占めるトナー濃度を変化させて、出力画像の濃度変化を抑制する。
このような出力画像の濃度制御を目的としたトナー補給を行うために、制御部25は、パッチ検ATR制御を実行する。制御部25は、所定の帯電・露光条件を用いて所定の測定用トナー像(パッチ画像)を作像し、画像濃度センサ73で光学的な検出を行ってトナー載り量を測定する。そして、測定したトナー載り量が目標とするトナー載り量に誘導されるように、現像装置44に対する補給用トナーの補給量を変化させる。
制御部25は、中間調の画像濃度に対応させて形成した参照用のパッチ画像の濃度が適正化するように、現像装置44へのトナー補給量を制御する。これにより、市場で重要視されている、その後に形成される中間調(ハーフトーン)の画像の濃度を適正化する。従来の単純なトナー濃度制御とは異なり、現像装置44内のトナー濃度にはある程度の変動を許す一方、感光ドラム40上に形成されるパッチ画像のトナー載り量については、常時適正化すべくトナー補給制御を行っている。
画像濃度センサ73は、感光ドラム40上で光軸が90度の交差角を持つように、感光ドラム40に対向させて発光ダイオードの発光部73aと光電変換素子の受光部73bを配置している。画像濃度センサ73は、感光ドラム40に照射した参照光の正反射光を検知して、トナー像のトナー載り量に対応した電圧を出力する。
受光部73bからの実際のパッチ画像のトナー載り量を検知した出力信号は、比較器75の一方の入力に供給される。比較器75の他方の入力には、基準電圧信号源76からパッチ画像の規定トナー載り量(初期濃度)に対応する基準信号が入力されている。比較器75は、測定したパッチ画像のトナー載り量と初期画像のトナー載り量とを比較して差分の出力信号を制御部25に供給する。
図4に示すように、制御部25は、差分の出力信号に基づいて現像装置44内の二成分現像剤43へのトナー補給量を制御する。差分が正方向に大きい場合は、トナー載り量が不足して反射光量が多い場合であるからトナー補給量を増して、トナー帯電量を低下させて、同じ現像コントラストのパッチ画像に付着するトナー量を増やす。差分が負方向に大きい場合は、トナー載り量が過剰で反射光量が少ない場合であるからトナー補給量を減らしてトナー帯電量を上昇させて、同じ現像コントラストのパッチ画像に付着するトナー量を減らす。
図1に示すように、画像形成装置100では、イエロー、マゼンタ、シアンの3色分の画像形成部Pa、Pb、Pcを備えている。各色の画像形成部Pa、Pb、Pcにおいて、各色のパッチ画像のトナー載り量の検出と初期画像のトナー載り量との比較が独立に行なわれ、各色のパッチ画像における差分の出力信号が制御部25に供給される。
パッチ検ATRでは、感光ドラム40上のパッチ画像のトナー載り量を一定に保つので、トナー帯電量の変動が小さくなる。このため、現像の後に続くトナー像の転写工程の安定にもつながり、結果として良好に出力画像の濃度を推移させ、フルカラー画像の色味変動を小さくできる。
画像比率が低くてトナー消費量が少ない画像を多量に形成し続けた場合、二成分現像剤中のトナーの入れ替わりが抑えられることで、トナー帯電量が増加する(いわゆるチャージアップ)。これにより、パッチ画像のトナー載り量も落ちるので、パッチ検ATR上、トナー不足と判断し、図4に示すように割り増したトナー補給を行ってトナー濃度を上昇させる。トナー濃度が上昇すると、キャリアの総表面積に対してトナーの総表面積比が上昇するため、トナーの帯電量は下がる方向となる。従って、上記のチャージアップ現象を緩和する方向にトナー補給が施され、結果としてトナー帯電量変動は小さくなる。すなわち、トナーの帯電量が上昇すると所定の現像コントラストで形成した画像の濃度が低下するので、二成分現像剤に占めるトナー濃度を高めて、トナーのキャリアに対する摩擦機会を減らしてトナーの帯電量を低下させる。
一方、画像比率が高くてトナー消費量の高い画像を多量に形成し続けた場合、二成分現像剤中のトナーの入れ替わりが激しくなることで、トナー帯電量が減少する傾向がある。この場合、パッチ画像のトナー載り量は上昇するため、パッチ検ATR制御上トナー過多と判断し、図4に示すようにトナー補給を抑制する。トナー補給を抑制すると、トナー濃度は画像形成に従って下降し、トナー帯電量が上昇する方向に転じる。従って、トナー帯電量の減少作用と相殺し、結果としてトナー帯電量の変動が小さくなる方向となる。すなわち、トナーの帯電量が低下すると所定の現像コントラストで形成した画像の濃度が上昇するので、二成分現像剤に占めるトナー濃度を下げて、トナーのキャリアに対する摩擦機会を増やしてトナーの帯電量を高める。
<トナー濃度制御>
図5はトナー濃度制御におけるトナー補給量の説明図である。図6はキャリア付着及び白地かぶりを抑制するためのかぶり取り電圧の調整の説明図である。
パッチ検ATRでは、トナー濃度を積極的に変化させてパッチ画像のトナー載り量を一定に制御するため、トナー濃度を一定に保つことはできない。上述のように、トナー消費量の低い画像を多量に形成し続けた場合、トナー帯電量の増加を抑制するために割り増しのトナー補給が続けられ、トナー濃度は上昇を続ける。しかし、トナー濃度が上昇しすぎると、現像スリーブ51の回転に伴って周囲に飛散する飛散トナー量が極度に増加して好ましくない。
一方、長期間停止させた状態から画像形成を再開した場合、攪拌を続けてもトナー帯電量がなかなか上がらないため、トナー帯電量を上昇させるべくトナー補給が絞り込まれ続けてトナー濃度が下降し続ける。しかし、トナー濃度が下降しすぎると、がさついた濃度ムラの目立つ出力画像となり、これも好ましくない。
そこで、制御部25は、このようなパッチ検ATRの弊害を回避するために、トナー濃度センサ80の出力に基づいて二成分現像剤43のトナー濃度を上限12%下限5%の一定範囲内に制御する。現像装置44内にトナー濃度センサ80を設置して、制御部25は、画像形成中にトナー濃度を適宜監視している。
トナー濃度センサ80は、イエローの二成分現像剤に占めるイエロートナーの比率(TD比:トナー濃度)が変化すると、イエロー光に対する二成分現像剤の反射光量が変化することを利用して、トナー濃度を反射光量にて検知する。このように検知してトナー濃度を制御する方式は、現像剤反射ATRと呼ばれる。
なお、トナー濃度を検出して一定に保つ制御としては、この他に、二成分現像剤の見かけの透磁率を検知して制御する方式(インダクタンス方式ATR)、或いは非接触でトナー濃度を反射光量/見かけの透磁率等を検知して制御する方式(非接触ATR)もある。こちらを代わりに用いてもよい。
制御部25は、上述したように、ビデオカウントATRを行って、1枚の画像の画像形成を通じたトナー消費量を計算して、そのトナー消費量に見合ったトナー補給量を求める。制御部25は、画像形成中に、1枚前の画像形成中に求めたトナー補給量に応じた時間だけモータ70を作動させて、トナー補給槽60から、1枚前の画像形成で消費しただけの補給用トナー63を現像装置44に供給する。
制御部25は、上述したように、パッチ検ATRを行って、二成分現像剤のトナー濃度の変動に目をつぶって、トナー帯電量Q/Mが一定に維持されるようにビデオカウントATRで求めたトナー補給量に対する割り増し又は絞り込みを行う。トナー帯電量Q/Mが上昇してパッチ画像のトナー載り量が初期画像の規準値を下回ると割り増しを行い、トナー帯電量Q/Mが下降してパッチ画像のトナー載り量が初期画像の規準値を上回ると絞り込みを行う。
制御部25は、トナー濃度に上下限の閾値(リミット)を設け、割り増しの結果としてトナー濃度が上限を超えた場合は、割り増しを止めてトナー補給を適正に抑制する。逆に絞り込みの結果としてトナー濃度が下限を下回った場合は、絞り込みを中止してトナー補給を適正に増加させる。具体的には、図5に示すように、トナー濃度が上限の12%に達すると、トナー補給を計算された必要な量の50%とし、トナー濃度が下限の5%を割り込むと、トナー補給を計算された必要な量の120%とする。
しかし、温度湿度条件、画像比率等を異ならせて画像形成を累積する実験を行ったところ、トナー濃度が上限を超えた際にトナー補給を抑制し始めると、感光ドラム40にキャリアが付着し易くなることが判明した。一方、トナー濃度が下限を下回った際にトナー補給を適正量増加させると、画像の白地部にトナーが付着するかぶり画像が発生し易くなることが判明した。
図6に示すように、トナー帯電量Q/M(トリボ)が変化すると、感光ドラム40上の白地かぶり(トナー付着)とキャリア付着が変化するため、これらを抑制するためのかぶり取り電圧Vbackの適正値が変化する。
図2に示すように、現像スリーブ51に印加される直流電圧Vdcと感光ドラム40の白地部の暗部電位VDとの電位差がかぶり取り電圧Vbackである。かぶり取り電圧Vbackにより、現像スリーブ51に担持されたトナーは現像スリーブ51方向へ静電力を受け、キャリアは感光ドラム40方向へ静電力を受ける。このため、トナー帯電量Q/Mの上昇あるいは下降により、現像スリーブ51と感光ドラム40の間のトナー・キャリアの挙動が変化する。その結果、図6に示すように、トナー帯電量Q/Mが高まると、感光ドラム40に対する白地かぶりが減る一方でキャリア付着が増加するため、適正なかぶり取り電圧Vbackが下がる傾向となる。逆に、トナー帯電量Q/Mが下がると、感光ドラム40に対するキャリア付着が減る一方で白地かぶりが増加するため、適正なかぶり取り電圧Vbackが上がる傾向となる。
従来、かぶり取り電位Vbackは、一定値で制御を行っていた。このため、トナー濃度に上下限を設けてトナー補給制御を行う場合、トナー帯電量Q/Mの一定が保てなくなると、白地かぶり・キャリア付着に関する適正値が変化して、表1に示すように、白地かぶりやキャリア付着が発生する可能性がある。
そこで、以下の実施例では、トナー濃度に上下限を設けてトナー補給制御を行う際に、トナー帯電量Q/Mの変化に応じてかぶり取り電圧を適正に変化させ、白地かぶり・キャリア付着の発生を最小限に抑えている。フルカラー画像の色味変動・濃度変動を小さく抑えつつ、かつ白地かぶり及びキャリア付着の発生を防止して、良好な画像を長期にわたって安定して形成することができる。
<実施例1>
図7は実施例1のかぶり取り電圧制御のフローチャートである。図8は実施例1におけるかぶり取り電圧の制御の説明図である。図9は実施例1による制御例のタイムチャートである。
図2を参照して図7に示すように、制御部25は、画像形成を行いつつ、露光装置30を制御してパッチ画像を形成し、画像濃度センサ73によりパッチ画像のトナー載り量を検出する。そして、パッチ画像のトナー載り量を所定値に誘導するために必要なトナー補給量を求める。そして、トナー濃度センサ80の出力を読み込んでトナー濃度が上下限リミット内であれば、トナー補給量を100%にしてパッチ画像濃度を維持するために必要なだけのトナー補給を行うとともに、かぶり取り電圧Vbackを150Vにする(S11)。
現像制御手段を兼ねる制御部25は、トナー濃度センサ80の出力を読み込んで、トナー濃度が上下限リミット内か否かを判断する(S12、S15)。制御部25は、トナー濃度が上限リミットを超える場合(S12のYES)、トナー補給量を50%に抑制して(S13)、図8の(b)に示すようにかぶり取り電圧Vbackを徐々に130Vまで低下させる(S14)。一方、トナー濃度が下限リミットを下回る場合(S15のYES)、トナー補給を120%に制御して(S16)、図8の(d)に示すようにかぶり取り電圧Vbackを徐々に170Vまで上昇させる(S17)。
現像制御手段を兼ねる制御部25は、トナー補給量とかぶり取り電圧Vbackを適正に制御しながらトナー濃度センサ80の出力によりトナー濃度を適宜監視する。そして、トナー濃度が上限リミットを超えた状態から上限リミット以下に復帰した場合(S18のYES)、トナー補給量を100%に戻して(S19)、図8の(c)に示すようにかぶり取り電圧Vbackを徐々に元の150Vに戻す。一方、トナー濃度が下限リミットを下回る状態から下限リミット以上へ復帰した場合(S21のYES)、トナー補給量を100%に戻して(S22)、かぶり取り電圧Vbackを徐々に150Vへ復帰させる(S23)。
現像制御手段を兼ねる制御部25は、S12、S15、S18、S21のいずれにも該当せず、トナー濃度が上下限リミット範囲内にあり続けるときは、トナー補給を100%にする。そして、図8の(a)に示すように、かぶり取り電圧Vbackを150Vにする(S11)。
図2を参照して図8に示すように、制御部25は、電位センサ24により感光ドラム40の表面電位を検出してコロナ帯電器42のグリッド42gに印加する直流電圧を調整することで、感光ドラム40の暗部電位VDを設定する。図8に示すように、制御部25は、現像スリーブ(51)に印加される直流電圧Vdcを一定に保って、暗部電位VDを変化させることにより、暗部電位VDと直流電圧Vdcの差電圧であるかぶり取り電圧Vbackを任意に設定可能である。暗部電位VDの設定後、制御部25は、露光装置30を制御して全面露光を行って電位センサ24により明部電位VLを検出し、明部電位VLが所定値に収束するように露光装置30のレーザービーム強度を設定する。これにより、かぶり取り電圧Vbackを変更しても、トナー載り量を規定する直流電圧Vdcと明部電位VLの差電圧である現像コントラストVcontが一定に保たれる。
図9の(a)は、画像形成枚数に応じた実施例1でのトナー濃度の推移を示し、図9の(b)は、パッチ検ATRのトナー載り量(画像濃度)推移を示している。図9の(c)はトナー帯電量Q/Mの推移を示し、図9の(d)はかぶり取り電圧の推移を示している。
図9の(a)に示すように、時刻Aに至るまでは、トナー濃度が上下限の範囲内にあるため、図9の(b)に示すように、パッチ濃度を一定にすべくトナー補給制御が行われた結果、パッチ濃度は略一定となっている。トナー濃度が上下限の範囲内である場合、図9の(c)に示すように、トナー帯電量Q/Mも略一定の推移を示し、かぶり取り電圧Vbackを150Vとしている。
図9の(a)の時刻Aに至ったとき、トナー濃度が上限とほぼ等しくなり、トナー濃度の上限リミット制御が働き始める。トナー濃度が上限を超えた場合は、トナー補給を計算された必要な量の50%とし、補給量を消費量に対して抑制することで、トナー濃度の上昇を抑える。抑制量は、50%には限らないが、30〜90%の範囲が好ましい。
しかし、トナー濃度の上限リミット制御中は、トナーがチャージアップすることにより、トナー帯電量Q/Mが上昇してキャリア付着が増化するため、図6に示すように、かぶり取り電圧Vbackを低下させる必要がある。このため、上限リミット制御を行っている間、図9の(d)に示すように、かぶり取り電圧Vbackを130Vに設定し、キャリア付着の発生を抑えて良好な画像を提供する。
時刻Aからトナー濃度の上限リミット制御を行い始めたら、図9の(d)に示すように、かぶり取り電圧Vbackを一度に130Vに低下させず、徐々に130Vに向かって変化させることで、ハイライト画像の急激な変化を抑制している。実施例1では、A4サイズ横送り画像100枚の画像形成につき1Vづつかぶり取り電圧Vbackを変化させている。
図9の(a)の時刻Bにおいて、トナー濃度が上限とほぼ等しくなり、その後、トナー濃度は上下限の範囲内を推移している。時刻Aを過ぎてから作動していたトナー濃度の上限リミット制御は、時刻Bを超えた後は作動しない。図9の(d)に示すように、時刻B以降、上限リミット制御の作動中に130Vに制御されていたかぶり取り電圧Vbackを、A4サイズ横送り画像100枚の画像形成につき1Vづつ徐々に150Vに戻す。これにより、上限リミット制御の作動時と同様、ハイライト画像の急激な濃度変化を抑えている。
図9の時刻Aから時刻Bに至るまでの間、トナー濃度が上限リミットを超えたため、トナー補給をトナーの比率を維持するために必要な量以下の50%に抑制することでトナー濃度の上昇を抑える。トナー補給を抑え続けると、トナー濃度が減少に転じて上限リミットを下回る場合がある。トナー濃度が上下限の間に入った場合は、50%の抑制を中断して通常の100%トナー補給に戻る。
ここで、仮にチャージアップ状態が続いていれば、トナー帯電量が上昇し、結果としてパッチ画像のトナー載り量が基準値よりも少なくなるため、トナー補給が増加方向に補正され、再度トナー濃度が上昇する。その場合、再度トナー濃度が上限を越えた時点で、上限リミット制御が作動して再びトナー補給が50%に抑制される。このような動作を繰り返すことで、時刻Aから時刻Bに至るまでの間、トナー濃度は上限値の近傍を推移することになる。
図9の時刻Bに至ると、トナー濃度が上限を超えてトナー補給が50%に抑制された状態から、トナー濃度が上限を下回り、かつパッチ画像のトナー載り量が基準値近傍あるいは基準値より多い状態となる。このとき、トナー補給は画像形成ごとの消費量と等量に制御され、トナー濃度が再度上昇に転じることなく、その後、上下限の間を推移している。
図9の時刻Cに至ると、トナー濃度は下限とほぼ等しくなり、今度はトナー濃度の下限リミット制御が作動する。下限リミット制御では、トナー補給量をトナーの比率を維持するために必要な量以上の120%とし、補給量を消費量に対して増加させることで、トナー濃度の下降を抑えている。そして、下限リミット制御を行っている間は、図9の(d)に示すように、かぶり取り電圧Vbackを170Vに設定する。
下限リミット作動中は、トナー帯電量Q/Mが下降気味となり、図6に示すようにキャリア付着の発生は緩和するものの、白地かぶりが増化する傾向がある。しかし、トナー帯電量Q/Mの変化に伴ってかぶり取り電圧Vbackも適正に変化させることで、トナー帯電量Q/Mの変化に対しても画像上影響されることなく、良好な画像を提供することが可能である。
また、上限リミット作動中と同様、下限リミット制御が作動し始めたら、かぶり取り電圧Vbackを徐々に適正値に変化させることで、ハイライトの急激な濃度変化を防止している。
実施例1では、上限リミット制御時と同様、A4サイズ横送り画像100枚の画像形成につき1Vづつかぶり取り電圧Vbackを変化させている。
<実施例2>
図10は実施例2におけるかぶり取り電圧の制御の説明図である。実施例2では、図1〜図7、及び図9に示す画像形成装置100において実施例1と同様にトナー補給制御を行い、実施例1と同様に、トナー補給制御に伴うかぶり取り電圧Vbackの最適化を実行する。しかし、かぶり取り電圧Vbackを画像形成変更する際に、帯電条件を変化させる代わりに現像条件(現像スリーブ51に印加する直流電圧Vdc)を変化させている。従って、実施例1と重複する部分の説明は省略する。
図2を参照して図10に示すように、感光ドラム40は、電位センサ24の出力を参照してコロナ帯電器42の出力を調整することにより、一定の暗部電位VDに帯電される。電源D4は、可変の直流電圧Vdcに交流電圧を重畳した振動電圧を現像スリーブ51に印加することにより、暗部電位VDと直流電圧Vdcの差電圧であるかぶり取りコントラストVbackを可変に設定する。
暗部電位VDに帯電された感光ドラム40の表面を露光装置30が露光することで、露光部分の表面電位が明部電位VLに低下して静電像が形成される。直流電圧Vdcと明部電位VLの差電圧がトナー載り量を規定する現像コントラストVcontである。
<実施例3>
図11は実施例3におけるかぶり取り電圧の制御の説明図である。図12は実施例3のかぶり取り電圧制御のフローチャートである。図13は第1実施例と第3実施例との制御の比較の説明図である。
実施例3では、図1〜図7、及び図9に示す画像形成装置100において実施例1と同様にトナー補給制御を行う。そして、トナー濃度が上限値を超えた場合にはかぶり取り電圧Vbackを低下させてキャリア付着を抑制し、トナー濃度が下限値を割り込んだ場合にはかぶり取り電圧Vbackを上昇させて白地かぶりを抑制する。
しかし、実施例1では、画像濃度の急変を防止するために、画像形成の累積に伴って次第にかぶり取り電圧Vbackを変化させたが、実施例3では、パッチ検知ATRの測定結果に応じたかぶり取り電圧Vbackを印加する。かぶり取り電圧Vbackを変更する際に、直前のパッチ検ATRの測定結果に応じたかぶり取り電圧Vbackの設定を行うことで、結果的に、かぶり取り電圧Vbackを少しずつ変化させて、ハイライト画像の急激な濃度変化を抑えている。上下限リミット制御中にもパッチ検ATRを継続し、検出したパッチ画像のトナー載り量に応じたかぶり取り電位Vbackを設定することで、より安定した良質な画像形成を可能にする。
図2を参照して図11に示すように、パッチ検ATRで検出したパッチ画像のトナー載り量と初期画像のトナー載り量との差分値に応じてかぶり取り電圧Vcontが補正される。
図9の(b)に示すように、時刻Aから時刻Bに至るまでの間、トナー濃度が上限リミットを超えているため、上限値リミット制御に入っている。このとき、図9の(b)に示すようにトナー帯電量Q/Mが高まるため、パッチ画像のトナー載り量は少なくなり、散乱光タイプの画像濃度センサ73では、パッチ画像を検出した検出結果は、図9の(b)に示すように大きくなる。ここで、図6に示すように、トナー帯電量Q/Mが高いと白地かぶりは良化し、キャリア付着は増化傾向にある。
そこで、実施例2では、図11に示すように、トナー帯電量Q/Mが高くてパッチ画像のトナー載り量が少ない時、キャリア付着を抑制するために、かぶり取り電圧Vbackを小さくする。散乱光タイプの画像濃度センサ73によるパッチ画像の検出結果と初期画像の検出結果との差分値に応じて、かぶり取り電圧を小さくする方向に適正に補正する。
一方、図9の(b)に示すように、時刻C以降は、トナー濃度が下限リミットを下回るため、下限リミット制御に入っている。
図11に示すように、下限リミット制御中は、時刻Aから時刻Bに至るまでとは逆に、パッチ検ATRの検出値と初期画像の検出値との差分が大きいほど(パッチ画像のトナー載り量が多いほど)、かぶり取り電圧Vbackを大きくする方向に補正を行う。実施例3では、かぶり取り電圧Vbackの補正値は、上下限をそれぞれ±20Vとして、補正が過剰に行われないように保護を設けた。
図2を参照して図12に示すように、制御部25は、トナー濃度センサ80の出力を読み込んでトナー濃度が上下限リミット内であれば、トナー補給量を100%にするとともにかぶり取り電圧Vbackを150Vにする(S31)。
現像制御手段を兼ねる制御部25は、トナー濃度が上限リミットを超える場合(S32のYES)、トナー補給量を50%に抑制して(S33)、図11に示すように直前のパッチ検知結果に応じた電圧分、かぶり取り電圧Vbackを低下させる(S34)。一方、トナー濃度が下限リミットを下回る場合(S35のYES)、トナー補給を120%に制御して(S36)、図11に示すように直前のパッチ検知結果に応じた電圧分、かぶり取り電圧Vbackを上昇させる(S37)。
その結果、図13の(a)に示すように実施例1では、かぶり取り電圧が一方向に少しずつ変化するのに対して、実施例3では、かぶり取り電圧が直前のパッチ検知結果に応じて上下に変化する。
制御部25は、ハーフトーン画像の濃度が原画像の濃度に対して視感的にリニアな特性を実現できるようにディザ濃度テーブルを設定している。ディザ濃度テーブルは、入力濃度レベルをディザマトリックスへの入力レベルに変換するテーブルである。
制御部25は、入力濃度レベルをディザ濃度テーブルのディザマトリックスの入力として、ディザマトリックスによるドットパターンを形成し、ハーフトーン画像を形成している。
制御部25は、予め標準的な濃度特性状態において、ディザマトリックスをそれぞれ異ならせて複数段階の濃度のドットパターンのパッチ画像を形成する。そして、画像濃度センサ73を用いて複数段階の濃度のパッチ画像の反射光を測定することにより、ディザマトリックスの濃度特性を算出する。そして、ディザマトリックスの濃度特性から、入力濃度レベルに対して目標の濃度特性(リニアな特性)となるようなディザ濃度テーブルを作成している。
制御部25は、画像濃度の変動に対しては、特定のタイミングで数点の濃度レベルの濃度のパッチ画像を形成して反射光を測定し、測定したパッチ画像の濃度値から濃度特性の変動を求める。そして、濃度特性が目標の濃度特性となるような濃度補正テーブルを作成することで、画像濃度の補正を行っている。
また、画像形成ジョブの途中或いはジョブ終了前後で、濃度特性はそのままで、簡易的な測定で濃度レベルのみを調整する簡易濃度測定処理(ARCDAT)を併用し、できるだけ経時変化による濃度変動を抑えるよう制御している。
実施例3では、かぶり取り電圧Vbackを調整する際に、上記の簡易濃度測定処理を併用することにより、画像濃度の変動を抑えるように制御している。さらに、濃度制御をより適正に行うため、かぶり取り電圧を変更するタイミングに応じて、電位変更後に上記の濃度補正テーブルを再作成することが好ましい。
実施例3では、画像濃度センサ73の検出結果と初期画像の検出結果との差分値に応じてかぶり取り電圧の可変幅を制御する。これにより、トナー濃度が上限を超えそうな場合又は下限を下回りそうな場合においても、白地かぶりやキャリア付着等を抑制して、安定して良好な画像を提供できる。