JP3564002B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式等によって像担持体上に形成された静電潜像を現像して可視画像を形成する複写機、プリンタ、記録画像表示装置、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【0002】
特に、帯電磁性キャリア粒子を磁気拘束して構成させた磁気ブラシ部を有する磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を像担持体に当接させ、帯電バイアスを該磁気ブラシ帯電部材に印加することで該像担持体の帯電を行う帯電装置と、帯電した該像担持体に静電潜像を形成する画像情報書き込み装置と、該静電潜像をトナー粒子と現像磁性キャリア粒子から成る二成分現像剤を用いてトナー画像として可視化する現像装置と、該トナー画像を転写材に転写する転写装置を具備し、前記現像装置が、前記転写装置により前記トナー画像を転写材に転写した後の前記像担持体上に残留したトナーを回収するクリーニング手段を兼ねる画像形成装置に関する。
【0003】
【従来の技術】
(A)現像装置
一般に、電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置が具備する現像装置(現像器)には、トナー粒子と現像磁性キャリア粒子(以下、現像キャリアと称す)を主成分とした二成分現像剤が用いられている。特に、電子写真方式によりフルカラーやマルチカラー画像を形成するカラー画像形成装置には、画像の色味などの観点から、殆どの現像装置が二成分現像剤を使用している。
【0004】
周知のように、この二成分現像剤のトナー濃度(即ち、現像キャリア粒子及びトナー粒子の合計重量に対するトナー重量の割合)は画像品質を安定化させる上で極めて重要な要素になっている。現像剤中のトナー粒子は現像時に消費され、現像剤のトナー濃度は変化する。このため、現像剤濃度制御装置(ATR)を使用して適時現像剤のトナー濃度を正確に検出し、その変化に応じてトナー補給を行ない、トナー濃度を常に一定に制御し(T/D比制御)、画像の品位を保持する必要がある。
【0005】
このように現像により現像装置の現像容器内の現像剤濃度が変化するのを補正するために、即ち、現像剤に補給するトナー量を制御するために、現像容器中の現像剤のトナー濃度の検知及び濃度制御装置は従来さまざまな方式の物が提案され実用化されている。
【0006】
例えば、(a)現像剤担持体(一般に現像スリーブが用いられる場合が多いので以下の説明は「現像スリーブ」と称す)、あるいは現像容器の現像剤搬送経路に近接し、現像スリーブ上に搬送された現像剤あるいは現像容器内の現像剤に光を当てたときの反射率がトナー濃度により異なることを利用してトナー濃度を検知し制御する現像剤濃度制御装置、あるいは(b)現像装置の側壁に磁性の現像キャリアと非磁性のトナー粒子の混合比率による見かけの透磁率を検知して電気信号に変換するインダクタンスヘッド(センサー)を設置し、このインダクタンスヘッドからの検出信号によって現像容器内の現像剤の実際のトナー濃度を検知し、基準値との比較によりトナーを補給するようにしたインダクタンス検知方式の現像剤濃度制御装置が使用されている。
【0007】
また、(c)像担持体(一般に感光体ドラムが用いられる場合が多いので以下の説明では「感光体ドラム」と称す)上に形成したパッチ画像濃度を、その表面に対向した位置に設けた光源及びその反射光を受けるセンサーにより読みとり、アナログーディジタル変換器でディジタル信号に変換した後CPUに送り、CPUで初期設定値と比較し、初期設定値より濃度が高い場合、初期設定値に戻るまでトナー補給が停止され、初期設定値より濃度が低い場合、初期設定値に戻るまで強制的にトナーが補給され、その結果トナー濃度が間接的に所望の値に維持される方式などがある。
【0008】
しかし、上記(a)の現像スリーブ上に搬送された現像剤あるいは現像容器内の現像剤に光を当てたときの反射率からトナー濃度を検知する方式は、トナー飛散等により検知手段が汚れてまった場合に正確にトナー濃度を検知できない等の問題がある。また(c)のパッチ画像濃度から間接的にトナー濃度を制御する方式は、複写機、或いは画像形成装置の小型化に伴い、パッチ画像を形成するスペースや検知手段を設置するスペースが確保できない等の問題がある
これに対し、(b)のインダクタンス検知方式は、センサー単体のコストも安価な事に加え、上記のようなスペースの問題、トナー飛散による汚れの問題の影響を受けないため、低コスト、小スペースの複写機、或いは画像形成装置において、最適なトナー濃度検知方式といえる。
【0009】
上記インダクタンス検知方式の現像剤濃度制御装置(インダクタンス検知方式ATR)は、例えば現像剤の見かけの透磁率が大きいと検知された場合、一定体積内で現像剤中の現像キャリアが占める割合が多くなりトナー濃度が低くなったことを意味するのでトナー補給を開始する、逆に見かけの透磁率が小さくなった場合、一定体積内で現像剤中の現像キャリアが占める割合が少なくなりトナー濃度が高くなったことを意味するのでトナー補給を停止する、というような制御に基づきトナー濃度を制御することになる。
【0010】
(B)磁気ブラシ帯電装置
また、電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置が具備する電子写真感光体・静電記録誘電体などの像担持体の帯電処理手段としては、一般にコロナ帯電器が使用されてきた。
【0011】
近年は、低オゾン・低電力等の利点を有することから、接触帯電装置、即ち被帯電体に電圧を印加した帯電部材を当接させて被帯電体の帯電を行う方式の装置の実用化がなされてきている。特に、帯電部材として導電ローラを用いたローラ帯電方式の装置が帯電の安定性という点から好ましく用いられている。
【0012】
しかし、上述のローラ帯電方式では、帯電が帯電部材から被帯電体への放電により行われるため、環境の変化による帯電ローラおよび電子写真感光体の電気抵抗の変動により感光体の表面電位も変動する。
【0013】
そこで、最近、環境変動の少ない帯電方式として、導電性の接触帯電部材(帯電ファーブラシ、帯電磁気ブラシ、帯電ローラ等)に電圧を印加し、トラップ準位となる導電粉(SnO 等)を分散させた電荷注入層を表面に持つ感光体に感光体電位と同極の電荷を注入して接触帯電を行う方法が提案されている。
【0014】
この注入帯電方式は、環境依存性が少ないだけでなく、放電を用いないため、印加電圧は感光体電位と同程度で充分であり、また感光体の寿命を縮めるオゾンを発生しない利点がある。
【0015】
また、放電を用いた接触帯電では被帯電体に所望の帯電電位Vsを得るために、その所望の帯電電位Vsに放電開始電圧Vth(接触帯電部材に直流電圧を印加して被帯電体の帯電が開始するときの接触帯電部材の印加電圧)を上乗せした直流バイアスVs+Vthを帯電部材に印加する必要があるが、電荷注入帯電では帯電部材に印加した直流バイアスとほぼ同じ帯電電位Vsが得られるため、帯電用の電源のコストダウンも可能になる。
【0016】
このような電荷注入方式の場合の接触帯電部材としては、帯電、接触の安定性などの点から、磁気ブラシ帯電部材やファーブラシ帯電部材が好ましく用いられる。
【0017】
磁気ブラシ帯電部材は、給電電極を兼ねる担持体に磁気拘束して形成保持させた導電性で磁性を有する帯電磁性キャリア粒子(以下、帯電キャリアと称す)の磁気ブラシ部を有し、該磁気ブラシを被帯電体に接触させ、担持体に給電するものである。
【0018】
より具体的には、帯電キャリアを直接マグネット、あるいはマグネットを内包するスリーブ上に磁気ブラシとして磁気的に拘束させて保持させ、該磁気ブラシ帯電部材を停止あるいは回転させながら磁気ブラシ部を被帯電体に接触させ、かつ電圧を印加する事によって被帯電体を帯電処理するものである。
【0019】
ファーブラシ帯電部材は、給電電極を兼ねる担持体に担持させた導電性繊維のブラシ部(ファーブラシ部)を有し、該導電性繊維ブラシ部を被帯電体に接触させ、担持体に給電するものである。
【0020】
帯電部材は、長期使用、長期放置による毛倒れが生じた場合に帯電性が悪化してしまい、また帯電の均一性がブラシ径の制約等から不均一になりやすいのに対し、磁気ブラシ帯電部材ではそのような現象は起きず、均一で安定した帯電を行うことが可能となる。
【0021】
磁気ブラシによる注入帯電は、図15のモデル図に示すように、磁気ブラシ帯電装置の帯電スリーブ201上に担持した帯電キャリア202からなる磁気ブラシを感光体ドラム200に接触させて帯電させる画像形成装置において、抵抗RとコンデンサCの直列回路と等価であると見ることができる。帯電キャリア202による注入帯電での理想的な帯電プロセスでは、感光体ドラム200表面のある点が帯電キャリア202と接触している時間(帯電ニップ部Nの幅×感光体ドラム200の周速)にコンデンサCが充電され、感光体ドラム200の表面電位が印加電圧とほぼ同電位になる。
【0022】
(C)クリーナーレスシステム(クリーナーレスプロセス)
最近は、転写方式の画像形成装置について、装置の小型化、簡易化、あるいはエコロジーの観点から廃トナーを出さないなどの目的で、上記した磁気ブラシ帯電装置で感光体ドラム上に残留した転写残トナーを現像装置でいったん回収するクリーナーレスシステムが実用化されている。
【0023】
これはトナーが磁気ブラシの帯電キャリアとの接触により感光体電位と同極の電荷を付与さていると、印加電圧と感光体表面電位間の電位差△Vによって生じる電界で、磁気ブラシに混入のトナーは磁気ブラシ中から感光体表面に吐き出される。感光体上に吐き出されたトナーは、再び現像装置によって回収される。その原理を図16に示す。現像のDCバイアスは、帯電装置(帯電器)がトナーの吐き出しを行っている時の感光体電位よりも低く設定されており、電位差と機械的摺擦力により感光体上の吐き出しトナーは現像装置(現像器)に回収される。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような磁気ブラシ帯電部材を用いた磁気ブラシ帯電装置における問題点として、磁気ブラシを構成している帯電キャリアの像担持体表面への付着、流出が起こることがある。
【0025】
特に、磁気ブラシ帯電部材(注入帯電器)で転写残トナーを回収するクリーナーレスシステムの場合においては、磁気ブラシにトナーが混入し、その電気抵抗は次第に大きくなっていく。そのため、帯電ニップ通過中に十分な電荷の移動が行われず、帯電ニップ通過後の感光体表面電位は印加電圧より小さくなってしまう(感光体表面電位と印加電圧との電位差を△V)。感光体電位の低下は、表面電位を検知する手段がなく現像バイアスをコントロールする手段がない場合において、現像で非画像部へのトナー付着、いわゆるカブリを引き起こし、また△Vが大きい場合は磁気ブラシの帯電キャリアが感光体表面に付着し、磁気ブラシ部から流出し、帯電不良を起こしてしまうと同時に流出した帯電キャリアが現像装置で回収されてしまい易い
【0026】
磁気ブラシ帯電装置側の帯電キャリアが現像装置に回収されると、インダクタンス検知方式センサーを用いた現像装置では、画像的には特に問題ない微量の帯電キャリア付着であっても、コピー枚数が大量になるにつれ、現像装置内に蓄積されることで、二成分現像剤の現像キャリアと帯電キャリアの透磁率が異なる場合に現像剤全体の見かけの透磁率が変化し、インダクタンス検知方式センサーによるトナー濃度制御に誤差が生じることがある。
【0027】
つまり、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率より大きい場合は、現像容器中の現像剤のトナー濃度は一定なのに、帯電キャリアが現像剤中に混入すると現像剤の平均透磁率は大きいとインダクタンス検知センサーには検知され、これは一定体積内で現像剤中のキャリア粒子が占める割合が多くなりトナー濃度が低くなったことを意味するので、トナー補給を開始してしまい、適正なトナー濃度より高い濃度制御をしてしまう。
【0028】
逆に、帯電キャリアの透磁率が現像キャリアの透磁率より小さい場合は、帯電キャリアが現像剤中に混入すると、現像剤の平均透磁率は小さいとインダクタンス検知センサーに検知され、これは一定体積内で現像剤中のキャリアが占める割合が少なくなりトナー濃度が高くなったことを意味するので、トナー補給を停止してしまい、適正なトナー濃度より低い濃度制御をしてしまう。
【0029】
上記前者の場合は、トナー過補給により画像濃度が濃くなる問題や、トナー量増加に伴い現像剤量が増加し、現像剤が現像容器から溢れてしまう問題、あるいは現像剤中のトナー比率の増加に伴うトナー帯電量低下によりトナー飛散等の問題を引き起こす。また後者の場合は、現像剤中のトナー量減少による画像劣化、画像濃度薄、或いはトナー帯電量増加による画像濃度薄等の問題を引き起こす。
【0030】
また、上記の問題は特に画像形成動作、すなわちコピー枚数が多くなっていくに従いその影響が増大する可能性がある。
【0031】
さらに本発明者等の検討によれば、帯電キャリアの感光体ドラムヘの付着は特に画像濃度が高い、あるいは画像比率が大きいものほど帯電キャリアの感光体ドラムヘの付着が促進されることがわかっている。例えばA4サイズで画像比率が0%、6%、15%、30%のべ夕画像を50000枚画像形成した時の帯電キャリアの現像装置への混入量はそれぞれ約5g、7g、10g、15gであった。これは画像比率が大きい、あるいは濃度が高いものほど帯電装置に回収される転写残トナーが増加し、先に述べたように、帯電キャリアの抵抗があがることにより△Vが増加し混入量が増加したと考えられる。混入量が画像比率に単純に比例しないのは画像形成動作中の帯電キャリアの感光体ドラム面への物理的な付着や遠心力によるキャリア飛散は画像比率に依存せず一様にすると考えられる(図11)。すなわち、上記の場合には画像比率が0%における帯電キャリア混入量5gが、50000枚画像形成したときに生じる像担持体への物理的な付着やキャリア飛散の影響による不可避な帯電キャリア混入量であると考えられる
【0032】
そこで本発明は、磁気ブラシ接触帯電方式・二成分現像方式・転写方式・クリーナーレスシステムの画像形成装置について、磁気ブラシ帯電装置側の帯電キャリアが現像装置側の二成分現像剤に混入しても、現像装置のインダクタンス検知センサーのトナ一濃度制御に生じる誤差を可及的に小さくすることを目的とする。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする画像形成装置である。
【0034】
(1)帯電磁性キャリア粒子を磁気拘束して構成させた磁気ブラシ部を有する磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を像担持体に当接させ、帯電バイアスを該磁気ブラシ帯電部材に印加することで該像担持体の帯電を行う帯電装置と、帯電した該像担持体に静電潜像を形成する画像情報書き込み装置と、該静電潜像をトナー粒子と現像磁性キャリア粒子から成る二成分現像剤を用いてトナー画像として可視化する現像装置と、該トナー画像を転写材に転写する転写装置を具備し、前記現像装置が、前記転写装置により前記トナー画像を転写材に転写した後の前記像担持体上に残留したトナーを回収するクリーニング手段を兼ねる画像形成装置において、
前記現像装置の二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と検出信号の基準値との比較結果からトナー補給制御の基準値をもとにトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置が、画像情報信号の濃度信号のビデオカウント数から予想される現像装置への帯電磁性キャリアの混入量から、それまでに設定されていた検出信号の基準値を、新たな検出信号の基準値に設定する検出信号基準値補正手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
(2)前記検出信号基準値補正手段は、前記新たな検出信号の基準値を設定する際に、更に、画像形成動作の時間または回数から予想される、前記磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を構成する帯電磁性キャリアの現像装置への混入量を用いることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
【0035】
(3)帯電磁性キャリア粒子を磁気拘束して構成させた磁気ブラシ部を有する磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を像担持体に当接させ、帯電バイアスを該磁気ブラシ帯電部材に印加することで該像担持体の帯電を行う帯電装置と、帯電した該像担持体に静電潜像を形成する画像情報書き込み装置と、該静電潜像をトナー粒子と現像磁性キャリア粒子から成る二成分現像剤を用いてトナー画像として可視化する現像装置と、該トナー画像を転写材に転写する転写装置を具備し、前記現像装置が、前記転写装置により前記トナー画像を転写材に転写した後の前記像担持体上に残留したトナーを回収するクリーニング手段を兼ねる画像形成装置において、
前記現像装置の二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と検出信号の基準値との比較結果からトナー補給制御の基準値をもとにトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置が、画像情報信号の濃度信号のビデオカウント数から予想される現像装置への帯電磁性キャリアの混入量から、それまでに設定されていたトナー補給制御の基準値を、新たなトナー補給制御の基準値に設定するトナー補給制御基準値補正手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
(4)前記トナー補給制御基準値補正手段は、前記新たなトナー補給制御の基準値を設定する際に、更に、画像形成動作の時間または回数から予想される、前記磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を構成する帯電磁性キャリアの現像装置への混入量を用いることを特徴とする(3)に記載の画像形成装置。
【0036】
(5)前記新たな検出信号の基準値の設定を既定のビデオカウント数に達したときに行うことを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0037】
(6)前記新たなトナー補給制御の基準値の設定を既定のビデオカウント数に達したときに行うことを特徴とする(3)または(4)に記載の画像形成装置。
【0038】
(7)前記画像情報書き込み装置が露光装置であることを特徴とする(1)ないし(6)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0039】
〈作 用〉
本発明によれば、磁気ブラシ帯電に用いている帯電キャリアが、画像形成動作が繰り返されることで、像担持体への帯電キャリア付着等により現像装置内へ持ち運ばれて二成分現像剤に混入して蓄積される場合において、画像濃度の相違により現像装置内への混入割合に相違が生じ、その結果帯電キャリアと現像キャリアの透磁率の相違により最適なトナー濃度である現像剤全体の平均透磁率が変化する割合が画像濃度の相違で異なっても、画像濃度信号のビデオカウント数からの情報によりインダクタンス検知センサーの検出信号の基準値あるいはトナー補給制御の基準値を補正する割合を変えることで、様々な画像濃度の原稿において画像形成動作が繰り返されていっても、常にトナー補給が適切に行われるため、より誤差の少ないトナー濃度制御(T/D比制御)が可能となる。
【0040】
【発明の実施の形態】
〈実施例1〉
(1)画像形成装置例(図1)
図1は画像形成装置例の概略構成図である。本実施例の画像形成装置は、転写式電子写真プロセス、磁気ブラシ帯電方式、二成分現像方式、クリーナーレスプロセスのレーザービームプリンタである。
【0041】
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(感光体ドラム)である。本実施例の感光体ドラム1は負帯電性・電荷注入帯電性のOPC感光体(有機光導電性感光体)であり、矢示の時計方向に150mm/sec.のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0042】
2は感光体ドラム1の面を所定の極性・電位に一様に帯電処理する接触帯電装置としての磁気ブラシ帯電装置(帯電器)である。回転する感光体ドラム1の面はこの磁気ブラシ帯電装置2によりほぼ−700Vに電荷注入帯電方式で一様に帯電処理される。
【0043】
3は画像情報書き込み手段としてのレーザービームスキャナーである。このレーザービームスキャナー3は、図8のように、半導体レーザー31、ポリゴンミラー32、F−θレンズ33偏向ミラー34等を有してなり、CCD等の光電変換素子70を有する原稿読み取り装置70、電子計算機、ワードプロセッサー等の不図示のホスト装置から入力する目的の画像情報の時系列電気ディジタル画素信号に対応して変調されたレーザー光Lを射出して、回転感光体ドラム1の一様帯電処理面をレーザー光走査露光する。このレーザー光走査露光により回転感光体ドラム1の周面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0044】
4は、非磁性トナーと、磁性キャリアを混合した現像剤による二成分接触現像方式の現像装置(現像器)であり、回転感光体ドラム1面の静電潜像をトナー画像として反転現像する。
【0045】
5は感光体ドラム1の下側に配設した転写装置であり、本実施例の該転写装置は転写ベルトタイプである。5aは無端状の転写ベルト(例えば、膜厚75μmのポリイミドのベルト)であり、駆動ローラ5bと従動ローラ5c間に懸回張設されていて、感光体ドラム1の回転方向に順方向に感光体ドラム1の回転周速度とほぼ同じ周速度で回動される。5dは転写ベルト51の内側に配設した導電性ブレードであり、転写ベルト5aの上行側ベルト部分を感光体ドラム1の下面部分に加圧して転写部位としての転写ニップ部Tを形成させている。
【0046】
6は給紙カセットであり、紙などの転写材Pを積載収納させてある。給紙ローラ61の駆動により給紙カセット6内に積載収納の転写材Pが1枚分離給紙され、搬送ローラ62等を含むシートパス63を通って所定の制御タイミングにて回転感光体ドラム1と転写装置5の転写ベルト5aとの間の転写ニップ部Tに給送される。
【0047】
転写ニップ部Tに給送された転写材Pは回転感光体ドラム1と転写ベルト5aの間を挟持搬送され、その間、導電性ブレード5dに転写バイアス印加電源E3から所定の転写バイアスが印加されて、転写材Pの裏面からトナーと逆極性の帯電がなされる。これにより、転写ニップ部Tを通る転写材Pの表面側に回転感光体ドラム1面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。
【0048】
転写ニップ部Tを通ってトナー画像の転写を受けた転写材Pは回転感光体ドラム1面から順次に分離されてシートパス64を通って定着装置(例えば熱ローラ定着装置)7に導入されてトナー画像の定着処理を受けてプリントアウトされる。
【0049】
本実施例のプリンタはクリーナーレスプロセスであり、転写ニップ部Tで転写材Pに転写されずに回転感光体ドラム1の表面に残ったトナーを除去する専用のクリーナーは配設していないが、転写残トナーは引き続く感光体ドラム1の回転で、感光体ドラム1に接触している導電性ブラシ8の位置を通って磁気ブラシ帯電装置2の位置に至り、感光体ドラム1に接触している磁気ブラシ帯電部材21の磁気ブラシ部に一時的に回収され、その回収トナーが再び感光体ドラム1面に吐き出されて最終的に現像装置4に現像同時クリーニングで回収され、感光体ドラム1は繰り返して作像に供される。
【0050】
導電性ブラシ8は転写残トナーを除電または逆帯電させて磁気ブラシ帯電部材21での回収効率を向上させるものであり、電源E4から、ACバイアス、帯電と逆極性のDCバイアス、またはACを重畳した帯電と逆極性のDCバイアスを印加してある。
【0051】
現像同時クリーニングとは、転写後に感光体上に若干残留したトナーを次工程以後の現像時にかぶり取りバイアス(現像手段に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像手段に回収されて次工程以後用いられているため、廃トナーをなくし、メンテンナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。またクリーナーレスであることでスペース面での利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになる。
【0052】
(2)感光体ドラム1(図2)
本実施例の感光体ドラム1は前述したように負帯電性・電荷注入帯電性のOPC感光体であり、図2に層構成模型図を示したように、φ30mmのアルミニウム製のドラム基体11上に第1〜第5の機能層12〜16を下から順に設けたものである。
【0053】
第1層12;下引き層であり、アルミニウムドラム基体11の欠陥などをならすため、またレーザー露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電層である。
【0054】
第2層13;正電荷注入防止層であり、アルミニウムドラム基体11から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、アミラン樹脂とメトキシメチル化ナイロンによって10 Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0055】
第3層14;電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0056】
第4層15;電荷輸送層であり、ポリカーボネイト樹脂にヒドラゾンを分散したものであり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層14で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0057】
第5層16;電荷注入層であり、バインダーとしての光硬化性のアクリル樹脂に光透過性の導電フィラーであるアンチモンをドーピングして低抵抗化(導電化)した粒径0.03μmの酸化錫SnO の超微粒子17を樹脂に対して70重量パーセント分散した材料の厚さ約3μmの塗工層である。この電荷注入層16の電気抵抗値は、充分な帯電性と画像流れを起こさない条件である1×1010〜1×1014Ω・cmである必要がある。本実施例では表面抵抗が1×1011Ω・cmの感光体ドラムを用いた。
【0058】
(3)磁気ブラシ帯電装置2(図3)
図3は磁気ブラシ帯電装置2の拡大横断面模型図である。本実施例の磁気ブラシ帯電装置2は、大きく分けて、磁気ブラシ帯電部材21、該磁気ブラシ帯電部材21と帯電キャリア(帯電磁性キャリア)caを収容させた容器(ハウジング)25、磁気ブラシ層厚規制ブレード26、磁気ブラシ帯電部材21に対する帯電バイアス印加電源E1等からなる。
【0059】
磁気ブラシ帯電部材21は本実施例のものはスリーブ回転タイプであり、マグネットロール(磁石)22と、このマグネットロールに外嵌させた非磁性ステンレス製スリーブ(電極スリーブ、導電スリーブ、帯電スリーブなどと称される)23と、該スリーブ23の外周面にスリーブ内部のマグネットロール22の磁気力で磁気拘束させて形成保持させた帯電キャリアcaの磁気ブラシ部24からなる。
【0060】
マグネットロール22は非回転の固定部材であり、スリーブ23はこのマグネットロール22の外回りを矢示の時計方向に不図示の駆動系により所定の周速度、本実施例では225mm/sec.の周速で回転駆動される。またスリーブ23は感光体ドラム1に対してスペーサコロ等の手段で500μm程度の隙間を保たせて対向させて配設してある。
【0061】
磁気ブラシ層厚規制ブレード26は容器25に取り付けた非磁性ステンレス製ブレードであり、スリーブ23表面とのギャップが900μmになるように配置されている。
【0062】
容器25内の帯電キャリアcaはその一部がスリーブ23の外周面にスリーブ内部のマグネットロール22の磁気力で磁気拘束されて磁気ブラシ部24として保持される。磁気ブラシ部24はスリーブ23の回転駆動に伴い、スリーブ23と一緒にスリーブ23と同方向に回転する。このとき磁気ブラシ部24の層厚はブレード26により均一厚さに規制される。そしてその磁気ブラシ部24の規制層厚はスリーブ23と感光体ドラム1との対向隙間部の間隔より大きいから、磁気ブラシ部24はスリーブ23と感光体ドラム1との対向部において感光体ドラム1に対して所定幅のニップ部を形成して接触する。この接触ニップ部が帯電ニップ部Nである。従って、回転感光体ドラム1は帯電ニップ部Nにおいて磁気ブラシ帯電部材21のスリーブ23の回転に伴ない回転する磁気ブラシ部24で摺擦される。この場合、帯電ニップ部Nにおいて感光体ドラム1の移動方向と磁気ブラシ部24の移動方向は逆方向となり、相対移動速度は速くなる。
【0063】
スリーブ23と磁気ブラシ層厚規制ブレード26には電源E1から所定の帯電バイアスが印加される。
【0064】
而して、感光体ドラム1が回転駆動され、磁気ブラシ帯電部材21のスリーブ23が回転駆動され、電源E1から所定の帯電バイアスが印加されることで、回転感光体ドラム1の周面が本実施例の場合は電荷注入帯電方式で所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。
【0065】
スリーブ23内に固定配置されているマグネットロール22は、スリーブ23と感光体ドラム1の最近接位置gから感光体ドラム回転方向上流側10°の位置に約900Gの磁極(主極)N1を配置してある。
【0066】
この主極N1は、スリーブ23と感光体ドラム1の最近接位置gとの角度θを感光体ドラム回転方向上流側20°から下流側10°の範囲に入るようにすることが望ましく、上流側15°〜0°であればさらに良い。それより下流だと主極N1位置に帯電キャリアcaが引きつけられ、帯電ニップ部Nの感光体ドラム回転方向下流側に帯電キャリアcaの滞留が発生しやすくなり、また上流すぎると、帯電ニップ部Nを通過した帯電キャリアcaの搬送性が悪くなり、滞留が発生しやすくなる。
【0067】
また、帯電ニップ部Nに磁極がない場合には、帯電キャリアcaに働くスリーブ23への拘束力が弱くなり、帯電キャリアcaが感光体ドラム1に付着しやすくなるのは明らかである。
【0068】
ここで述べている帯電ニップ部Nは、帯電時に磁気ブラシ部24の帯電キャリアcaが感光体ドラム1と接触している領域を示す。
【0069】
帯電バイアスは電源E1によってスリーブ23と規制ブレード26に印加される。本実施例ではDC成分にAC成分が重畳しているバイアスを用いている。
【0070】
帯電ニップ部Nにおける、磁気ブラシ帯電部材21の磁気ブラシ部24による感光体ドラム1面の摺擦と、磁気ブラシ帯電部材21への帯電バイアスの印加により、磁気ブラシ部24を構成している帯電キャリアcaから電荷が感光体ドラム1上に与えられ、感光体ドラム1面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される。本例の場合は前述したように感光体ドラム1はその表面に電荷注入層16を具備させたものであるから、電荷注入帯電により感光体ドラム1の帯電処理がなされる。即ち、感光体ドラム1面が帯電バイアスDC+ACのDC成分に対応した電位に帯電される。スリーブ23は回転速度が速いほど帯電均一性が良好になる傾向にある。
【0071】
帯電バイアスDC+ACにおいて、DC成分は必要とされる感光体ドラム1の表面電位と同値、本実施例では−700Vとした。
【0072】
画像形成時(作像時)におけるAC成分は、そのピーク間電圧Vppは、100V以上2000V以下、特に300V以上1200V以下が好ましい。ピーク間電圧Vppがそれ以下では、帯電均一性、電位の立ち上がり性向上の効果が薄く、それ以上では、帯電キャリアcaの滞留や感光体ドラムへの付着が悪化する。
【0073】
周波数は100Hz以上5000Hz以下、特に500Hz以上2000Hz以下が好ましい。それ以下では、帯電キャリアcaの感光体ドラムへの付着悪化や、帯電均一性、電位の立ち上がり性向上の効果が薄くなり、それ以上でも帯電均一性、電位の立ち上がり性向上の効果が得られにくくなる。
【0074】
AC成分の波形は矩形波、三角波、sin波などがよい。
【0075】
磁気ブラシ部24を構成させる帯電キャリアcaは、本実施例では、燒結した強磁性体(フェライト)を還元処理したものを用いたが、他に樹脂と強磁性体粉を混練して粒子状に整形したもの、もしくはこれに抵抗値調節のために導電性カーボン等を混ぜたものや、表面処理を行ったものも同様に用いることができる。
【0076】
磁気ブラシ部24の帯電キャリアcaは感光体ドラム表面のトラップ順位に電荷を良好に注入する役割と、感光体ドラム上に生じたピンホールなどの欠陥に帯電電流が集中してしまうことに起因して生じる帯電部材及び感光体ドラムの通電破壊を防止する役割を兼ね備えていなければならない。
【0077】
従って、磁気ブラシ帯電部材21の抵抗値は1×10 Ω〜1×10 Ωであることが好ましく、特には1×10 Ω〜1×10 Ωであることが好ましい。磁気ブラシ帯電部材21の抵抗値が1×10 Ω未満ではピンホールリークが生じやすくなる傾向があり、1×10 Ωを越えると良好な電荷の注入がしにくくなる傾向にある。また、抵抗値を上記範囲内に制御するためには、帯電キャリアcaの体積抵抗値は1×10 Ω・cm〜1×10 Ω・cmであることが好ましく、特には1×10 Ω・cm〜1×10 ・cmであることが好ましい。
【0078】
帯電キャリアcaの体積抵抗値は図4に示す要領で測定した。すなわち、セル100に帯電キャリアcaを充填し、該充填帯電キャリアcaに接するように主電極101及び上部電極102を配し、該電極101・102間に定電圧電源E5から電圧を印加し、そのとき流れる電流を電流計103で測定することにより求めた。104は絶縁物、105は電圧計、106はガイドリングを示す。
【0079】
その測定条件は、23℃、65%の環境で、充填帯電キャリアcaのセルとの接触面積S=2cm 、厚みd=1mm、上部電極102の荷重10kg、印加電圧100Vである。
【0080】
帯電キャリアcaの平均粒径及び粒度分布測定におけるピークは5〜100μmの範囲にあることが、粒子表面の汚染による帯電劣化防止の観点から好ましい。帯電キャリアcaの平均粒径は、水平方向最大弦長で示し、測定法は顕微鏡法により磁性粒子300個以上をランダムに選び、その径を実測して算術平均をとる。
【0081】
本実施例で用いた帯電キャリアcaの透磁率は270emu/cm であり、磁気ブラシ帯電部材21の抵抗値は1×10 Ω・cmであり、帯電バイアスのDC成分として−700Vを印加することで、感光体ドラム1の表面電位も−700Vとなった。
【0082】
(4)現像装置4(図5)
図5は現像装置4の拡大模型図である。現像装置4は感光体ドラム1に対向して配置されており、その内部は垂直方向に延在する隔壁41によって第1室(現像室)42と第2室(攪拌室)43とに区画されている。
【0083】
第1室42には矢印の時計方向に回転する現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ44が配置されており、この現像スリーブ44内にマグネット45が固定配置されている。
【0084】
現像スリーブ44はブレード46によって層厚規制された、現像キャリア(磁性現像キャリア)cbと非磁性トナーtを含む二成分現像剤47の層を担持搬送し、感光体ドラム1と対向する現像領域mで現像剤を感光体ドラム1に供給して静電潜像をトナー画像として現像する。本実施例では反転現像である。
【0085】
現像効率、即ち潜橡へのトナーの付与率を向上させるために、現像スリーブ44には電源E2から直流電圧DCを交流電圧ACに重畳した現像バイアス電圧が印加されている。
【0086】
第1室42及び第2室43にはそれぞれ現像剤攪拌スクリュー48及び49が配置されている。スクリュー48は第1室42中の二成分現像剤47(cb+t)を攪拌搬送し、また、スクリュー49は、後述するトナー補給槽50(図1)のトナー排出口51から搬送スクリュー52の回転によって供給されたトナーtと既に現像装置内にある現像剤47とを攪拌搬送し、トナー濃度を均一化する。
【0087】
隔壁41には図5おける手前側と奥側の端部において第1室42と第2室43とを相互に連通させる現像剤通路(図示せず)が形成されており、上記スクリュー48・49の搬送力により、現像によってトナーが消費されてトナー濃度の低下した第1室42内の現像剤47が一方の通路から第2室43内へ移動し、第2室43内でトナー濃度の回復した現像剤47が他方の通路から第1室42内へ移動するように構成されている。
【0088】
本実施例では、静電潜像の現像により現像装置内の現像剤濃度(トナー濃度)が変化するのを補正するために、即ち、現像装置4に補給するトナー量を制御するために、現像装置4の第1室(現像室)42の底壁にインダクタンスヘッド(インダクタンス検知センサー)53が設置され、このインダクタンスヘッド53からの検出信号によって現像装置4内の現像剤47のトナー濃度、より具体的には第1室42内の現像剤47の実際のトナー濃度を検知し、基準値との比較によりトナーを補給するようにしたインダクタンス検知方式ATRが設けられている。
【0089】
a)二成分現像剤47
▲1▼.トナー粒子t:トナー粒子は、特に限定されるものではなく、例えば球形重合トナーで、その製法は重合法のモノマーに着色剤及び荷電制御剤を添加したモノマー組成物を水系の媒体中で懸濁し重合させることで球形状のトナー粒子を得た。この方法は安価に球形状のトナーを作製するには好適である。また従来多く用いられている粉砕法で作製したトナーを使用してもかまわない。
【0090】
▲2▼.現像キャリアcb:現像キャリアは、低磁化キャリアが用いられており、上記球形重合トナーtとの組み合わせで高画質化が達成される。
【0091】
本発明者らの実験によると、現像剤担持体(現像スリーブ44)と像担持体(感光体ドラム1)との距離(以下、S−Dgapと称す)が300〜1000μm、単位面積当たりの現像剤担持体上の現像剤量(以下、M/Sと称す)が20〜50mg/cm 、トナーtと現像キャリアの混合量比(T/D比)が5〜12%の範囲内では、現像キャリアcbの磁化の強さは、磁場1キロエルステッドにおける磁化の強さ(σ1000)が200emu/cm 以下、好ましくは140emu/cm 以下であれば、隣り合う磁気ブラシの磁気的な相互作用が低磁化量のために小さく、その結果、磁気ブラシの穂が緻密にかつ短くなることにより、磁気ブラシが潜像上のトナー付着面をソフトにはくので、現像トナーがかき取られる、いわゆるスキャベンジングを防ぎ、画像として解像度の高いものを提供できる。本実施例では現像キャリアcbの磁化の強さ(σ1000)は135emu/cm である。
【0092】
なお、上記した磁化特性は理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定した。キャリア粉体の磁気特性値は1キロエルステッドの外部磁場を作り、その時の磁化の強さを求める。キャリアは円筒状のプラスチック容器に十分密になるようなパッキングした状態に作製する。この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の重量を測定して、磁化の強さ(emu/g)を求める。ついで、キャリア粒子の真比重を乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)社製)により求め、磁化の強さ(emu/g)に真比重をかけることで、単位体積あたりの磁化の強さ(emu/cm )を求めた。
【0093】
本実施例で用いている、磁気ブラシ帯電装置の帯電キャリアca及び二成分現像装置の現像キャリアcbはともに軟磁性体であり、1キロエルステッド程度の磁場中までは磁化の強さは磁場の増加と共に線形的に増加する。
【0094】
従って透磁率は、図6に示す傾きtanα、tanβに比例することになる。帯電キャリアcaは現像キャリアcbと比較して磁化の強さ(σ1000)がほぼ2倍なので、透磁率も2倍になる。このことから同じトナー濃度であっても透磁率の異なる磁性キャリアであった場合、インダクタンス検知センサーの検知出力信号は異なるものとなることがわかる。
【0095】
b)インダクタンス検知方式ATR
上述したように、二成分現像剤47は磁性の現像キャリアcbと非磁性のトナーtを主成分としており、現像剤47のトナー濃度(現像キャリア粒子及びトナー粒子の合計重量に対するトナー粒子重量の割合)が変化すると、現像キャリアcbとトナーtの混合比率による見かけの透磁率が変化する。
【0096】
この見かけの透磁率をインダクタンスヘッド53によって検知して電気信号に変換すると、図7に示すように、この電気信号はトナー濃度に応じてほぼ直線的に変化する。即ち、インダクタンスヘッド53からの出力電気信号は現像装置内の二成分現像剤47の実際のトナー濃度に対応する。
【0097】
このインダクタンスヘッド53からの出力電気信号の処理を図8を用いて説明する。
【0098】
インダクタンスヘッド53からの出力電気信号を比較器54の一方の入力に供給する。この比較器54の他方の入力には基準電圧信号源55から、現像剤47の規定のトナー濃度(初期設定値におけるトナー濃度)における見かけの透磁率に対応する基準電気信号が入力されている。従って、比較器54は規定トナー濃度と現像装置内の実際のトナー濃度とを比較することになるので、両人力信号の比較結果として、比較器54の検出信号はCPU56に供給される。
【0099】
CPU56は、比較器54からの検出信号に基づいて、次回のトナー補給時間を補正するように制御する。
【0100】
例えば、インダクタンスヘッド53によって検出された現像剤47の実際のトナー濃度が規定値よりも小である場合には、つまり、トナーが補給不足である場合には、CPU56は不足分のトナーを現像装置4に補給するようにトナー補給槽50の搬送スクリュー52を作動させる。即ち、比較器54からの検出信号に基づいて、不足分のトナーを現像装置4に補給するに要するスクリュー回転時間を算出し、モータ駆動回路57を制御してその時間だけモータMを回転駆動し、不足分のトナーを現像装置4に補給する。
【0101】
また、インダクタンスヘッド53によって検出された現像剤47の実際のトナー濃度が規定値よりも大である場合には、つまり、トナーが過剰補給である場合には、CPU56は比較器54からの検出信号に基づいて現像剤中の過剰トナー量を算出する。そして、その後の原稿による画像形成に際しては、この過剰トナー量が無くなるようにトナーを補給させるか、或は過剰トナー量が消費されるまでトナーを補給せずに画像を形成させ、即ち、トナー無補給で画像を形成して過剰トナー量を消費させ、過剰トナー量が消費されたらトナー補給動作を前述の通り行なわせる等の制御を行なう。
【0102】
次に、図9のフローチャートを参照して上記インダクタンス検知方式ATRの動作についてさらに説明する。
【0103】
ブロック(ステップ)S501で画像形成装置をスタートさせると、ブロックS502でトナー濃度検出がスタートする。
【0104】
ブロックS503にてインダクタンスヘッド53からの検出電圧信号aを比較器54に入力し、ブロックS504で比較器54にて基準電圧信号源55による基準電圧信号bと比較され、ブロックS505にてその検出信号差(a−b)をCPU56に送る。
【0105】
ブロックS506ではCPU56において(a−b)>0かどうかを判断し、トナー濃度が基準値より低い場合(YES)、ブロックS507でトナー補給時間が決定される。
【0106】
ブロックS508でコピー動作が開始された後、ブロックS509でブロックS507で決定されたトナー補給時間だけ像間でトナー補給が行われ、スタートに戻る。
【0107】
また、ブロックS506でトナー濃度が基準値より高い場合(NO)、ブロックS510のコピー動作が開始され、トナーが補給されないでスタートに戻る。
【0108】
なお、トナー濃度検出のタイミングはコピー動作再開直前でも、コピー動作中でも構わない。例えば、画像形成装置動作1枚目はコピー動作再開直前、それ以後はコピー動作中に検出しても構わない。
【0109】
また本実施例に用いているインダクタンス検知方式ATRにおいては、最適なトナー濃度(本実施例では6%である。この値より高すぎるとトナーの飛散等が生じ、低すぎると画像濃度が薄くなる等の問題が生じることがある。)における検出信号の基準値を2.5Vになるように調整しており、基準値よりセンサー53の検出信号が大きければ(例えば3.0V)トナーを補給し、センサー53の検出信号が小さければ(例えば2.0V)トナー補給を停止することになっているが、本発明は当然上記の信号処理に限定されるものではなく、回路の構成を変更して基準値が2.5V以外の値であってもよく、またトナー濃度が最適値より低いときセンサー53の基準値よりセンサー53の検出信号が小さくなるようにし、トナー濃度が最適値より高い時センサー53の検出信号が大きくなるようにしても構わない。
【0110】
c)検出信号基準値補正手段
さて上記のような構成においては、前記の[発明が解決しようとする課題]の項で述べたように、磁気ブラシ帯電装置2における問題点として、磁気ブラシ帯電部材21の磁気ブラシ部24を構成している帯電キャリアcaの感光体ドラム1表面への付着・流出が起こることがある。これが二成分現像装置4に回収されると、インダクタンス検知方式センサー53を用いた現像装置4では、画像的には特に問題ない微量の帯電キャリア付着であっても、コピー枚数が大量になるにつれ、その回収帯電キャリアcaが現像装置4内に蓄積されることで、現像キャリアcbと帯電キャリアcaの透磁率が異なる場合に現像剤全体の見かけの透磁率が変化し、インダクタンス検知方式センサー53によるトナー濃度制御に誤差が生じることがある。
【0111】
例えば、図10の(b)に示すように、現像剤の最適なトナー濃度6%においてはインダクタンスヘッド53からの検出信号の初期値は2.5Vに設定されている。しかし、画像形成動作が繰り返されるにつれて現像装置4内に帯電キャリアcaが徐々に蓄積されてくると、帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率より大きい場合は、現像剤47の見かけの透磁率は図10の(a)の点線(i)のように徐々に大きくなっていき、帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率より小さい場合は点線(ii)のように徐々に小さくなっていくことになる。
【0112】
従って、もしトナー濃度が初期の6%に制御されているとすると、その出力は、帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率よりも大きい場合は図10の(b)の点線(i)のように徐々に大きくなっていき、帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率よりも小さい場合は点線(ii)のように徐々に小さくなっていくことになる。
【0113】
しかし実際はインダクタンス検知センサー53ではあくまでも初期の基準値2.5Vになるように(図10の(b)の(iii) )トナー補給がなされる結果、図10の(c)に示すように、帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率よりも大きい場合は図10の(c)の点線(i)のようにトナー濃度は徐々に高くなってしまい、帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率よりも小さい場合は図10の(c)の点線(ii)のようにトナー濃度が徐々に低くなってしまうことになる。
【0114】
上記では、帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率より大きい場合と小さい場合のそれぞれについてその現象を述べたが、以下には本実施例に用いているように、帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率より大きい場合(約2倍)について、より具体的にのべることにする。ただし本発明は帯電キャリアcaの透磁率が現像キャリアcbの透磁率より大きい場合に限定されるものではなく、当然両者の透磁率が異なれば適用することが可能である。
【0115】
本発明者らの検討では、本実施例に示した画像形成装置は、画像濃度の異なる原稿において画像形成動作を50000回繰り返すと、帯電キャリアcaの現像装置4への混入量は、その画像濃度により異なることが分かっている。具体的には図11に示すように、画像濃度が高いほど、厳密にはトナー消費量が多く帯電装置に回収される転写残トナーが多いほど帯電キャリアcaや感光体ドラム1の抵抗が高くなるため、前記に示した理由により帯電キャリアcaの感光体ドラム1への付着及び現像装置4の二成分現像剤47への混入が増加することになる。
【0116】
例えば、画像比率が15%の画像において、帯電キャリアcaの現像装置4への混入量は約10g/50000回程度であった。そこで最適なトナー濃度に設定し、その時のインダクタンス検知センサー53の検出信号を2.5Vに設定した場合に、その現像剤47に強制的に帯電キャリアcaを10gを混入させると、現像剤47の見かけの透磁率が大きくなるので、初期の最適なトナー濃度を維持した場合のインダクタンス検知センサー53の検出信号は初期の基準値2.5Vから3.0Vへ0.5V上昇してしまっていた。
【0117】
従って、実際は検出信号が2.5Vになるようにトナー補給がなされるため、結果的にトナー補給が過剰に行われ、本画像形成装置に用いたインダクタンス検知センサー53の感度は0.5V/%(図7)なので、画像形成動作を50000回繰り返した結果、最終的にはトナー濃度が最適なトナー濃度6%から1%ずれてしまい、7%に制御されてしまった。
【0118】
また同様に、画像比率が30%の画像において帯電キャリアcaの現像装置4への混入量は約15g程度であった。そこで最適なトナー濃度に設定し、その時のインダクタンス検知センサー53の検出信号を2.5Vに設定した場合に、その現像剤47に強制的に帯電キャリアcaを15gを混入させると、現像剤47の見かけの透磁率が大きくなるので、初期の最適なトナー濃度を維持した場合のインダクタンス検知センサー53の検出信号は初期の基準値2.5Vから3.25Vへ0.75V上昇してしまっていた。
【0119】
従って、実際は検出信号が2.5Vになるようにトナー補給がなされるため、結果的にトナー補給が過剰に行われ、本画像形成装置に用いたインダクタンス検知センサー53の感度は0.5V/%(図7)なので、画像形成動作を50000回繰り返した結果、最終的にはトナー濃度が最適なトナー濃度6%から1.5%ずれてしまい、7.5%に制御されてしまった。
【0120】
そこで本実施例では、帯電キャリアcaの現像装置4内の現像剤47への混入によるインダクタンス検知方式ATRの誤検知を補正し、画像形成動作が大量に繰り返されても、トナー濃度を所定の値に一定に保つような検出信号基準値補正手段と、画像濃度信号のビデオカウント数から現像装置への帯電磁性キャリアの混入量を予想し、前記検出信号補正手段を複数持つことにより、上記の欠点を除去するものである。
【0121】
詳述すると次のようになる。本実施例における検出信号基準値補正手段は、インダクタンス検知センサー53の初期の基準値を、画像形成動作をある時間又は回数繰り返した時に検出信号の基準値を設定し直すようにあらかじめCPU58(図8)に命令を設定しておく。CPU58はそのタイミングになると基準電圧信号源55から出力させる検出信号基準値を新たに設定する。
【0122】
具体的には、画像比率が15%においてインダクタンス検知センサー53の初期の基準値が2.5Vであったものを、画像形成動作を25000回繰り返した時、もし帯電キャリアcaの混入量が画像形成動作に比例したとするとその量は10g/50000回なので、5g/25000回となる。インダクタンス検知センサー53は帯電キャリアcaが10g混入するとその値は0.5V変化するので、帯電キャリアcaが約5g混入したときはその値は0.25V変化することになる。
【0123】
したがって図9のフローチャートのブロックS504における検出信号の基準値bを2.75Vに設定し直すように、あらかじめCPU58に命令を設定しておく。CPU58はそのタイミングになると基準電圧信号源55から出力させる検出信号基準値を2.75Vに設定し直す。検出信号が2.75Vになるまでトナー補給が停止するため、それまでに生じていたトナー濃度の誤差が解消され、初期のトナー濃度6%に制御し直されることになる。
【0124】
その結果、画像形成動作を50000回繰り返した時におけるトナー濃度は約6.5%程度と、検出信号の補正をしない場合と比べてトナー濃度制御の誤差を小さくすることができた(図12の(c)の(i))。
【0125】
ところが画像比率が30%の画像においては帯電キャリアcaの混入量は、画像形成動作を25000回繰り返した時、実験から帯電キャリアcaの混入量は15g/50000回なので7.5g/25000回となる。帯電キャリアcaが7.5g混入するとインダクタンス検知センサー53の出力は0.375V誤差が生じ、その結果トナー濃度は6.75%になっている。しかし画像形成装置を25000回繰り返した時、画像比率が15%の画像の時と同様に検出信号の基準値を2.75Vに設定し直すと、検出信号が2.75Vになるまでトナー補給が停止するが、それまでに生じていたトナー濃度の誤差は帯電キャリアcaの7.5gの混入量によりインダクタンス検知センサー53の出力変動0.375Vに相当する0.75%であり、0.25Vの補正ではトナー濃度は6.25%と初期のトナー濃度6%にはならず、その結果画像形成動作を50000回繰り返した時におけるトナー濃度は約7.0%程度(図12の(c)の(ii))と、所望の値から大きくずれることになってしまう。
【0126】
そこで上記の問題を解決するために帯電キャリア混入量の予想をビデオカウント方式により行いトナー濃度制御を行った。
【0127】
まず画像情報信号の画像濃度のビデオカウント方式について説明する。
【0128】
図8において、70は画像読み取り装置であり、原稿71の画像情報を原稿照明用ランプ(不図示)・結像レンズ72・固体撮像素子アレイ73等の画像読み取りユニットにより時系列電気ディジタル画素信号として光電読み取りする。固体撮像素子アレイ73による原稿画像の光電読み取り信号である時系列電気ディジタル画素信号は画像信号処理回路74、パルス幅変調回路75を経てレーザービームスキャナーに入力する。
【0129】
また、画像信号処理回路74の出力信号のレベルが画素毎にカウントされる。このカウントは図8の実施例では次のようにして行なわれる。まず、前記パルス幅変調回路35の出力信号がANDゲート76の一方の入力に供給され、このANDゲート76の他方の入力にはクロックパルス発振器77からのクロックパルス(図13の(b)に示すパルス)が供給される。従って、ANDゲート76からは図13の(a)と(c)に示すようにレーザー駆動パルスS、I、Wの各々のパルス幅に対応した数のクロックパルス、即ち、各画素の濃度に対応した数のクロックパルスが出力される。このクロックパルス数は各画像毎にカウンタ78によって積算され、ビデオカウント数が算出される(A4、1枚最大ビデオカウント数は400dpi、256階調で3884×10 )。そしてこのカウンタ76からの各画像毎のパルス積算信号C (ビデオカウント数)は、前記原稿71のトナー像を1つ形成するために現像装置4で消費されるトナー量に対応している。
【0130】
そこで、このビデオカウント数をCPU56に供給すると共にRAM79に記憶する。CPU56はビデオカウント数と帯電キャリア混入量との対応関係を示す換算テーブルを有しており、入力されたビデオカウント数に基づき、現像装置4に混入する帯電キャリア量に見合うインタクタンス検知センサー53の検出信号基準値の補正を行い、あるいはトナー補給制御の基準値の補正を行うことで誤差の少ないトナー濃度制御が可能となる。
【0131】
かくして、一般に、上記ビデオカウント数が大であれば上記基準値の補正値の値を大きくし、上記ビデオカウント数が小であれば上記基準値の補正値の値を小さくすることに
なる。
【0132】
そこで上記のようなビデオカウント方式による積算値と画像形成動作回数から帯電キャリアの混入量を予測し、トナー濃度制御の補正を試みた。
【0133】
画像比率が15%の画像においてインダクタンス検知センサーの初期の基準値が2.5Vであったものを、画像形成動作を25000回繰り返した時、もし帯電キャリアの混入量が画像形成動作に比例したとするとその量は10g/50000回なので、5g/25000回となる。インダクタンス検知センサー53は帯電キャリアが10g混入するとその値は0.5V変化することがわかっているので、帯電キャリアが約5g混入したときはその値は0.25V変化することになる。したがって図9のフローチャートのS504における検出信号の基準値bを2.75Vに設定し直すように、あらかじめCPU56に命令を設定しておく。CPU56はそのタイミングになると基準電圧信号源55から出力させる検出信号基準値を2.75Vに設定し直す。検出信号が2.75Vになるまでトナー補給が停止するため、それまでに生じていたトナー濃度の誤差が解消され、初期のトナー濃度6%に制御し直されることになる。その結果、画像形成動作を50000回繰り返した時におけるトナー濃度は約6.5%程度と、検出信号の補正をしない場合と比べてトナー濃度制御の誤差を小さくすることができた(図12の(c)の(i))。
【0134】
ところが画像比率が30%の画像においては帯電キャリアの混入量は、画像形成動作を25000回繰り返した時、実験から帯電キャリアの混入量は15g/50000回なので7.5g/25000回となる。帯電キャリアが7.5g混入するとインダクタンス検知センサー53の出力は0.375V誤差が生じ、その結果トナー濃度は6.75%になっている。しかし画像形成装置を25000回繰り返した時、画像比率が15%の画像の時と同様に検出信号の基準値を2.75Vに設定し直すと、検出信号が2.75Vになるまでトナー補給が停止するが、それまでに生じていたトナー濃度の誤差は帯電キャリア7.5gの混入量によりインダクタンス検知センサー53の出力変動0.375Vに相当する0.75%であり、0.25Vの補正ではトナー濃度は6.25%と初期のトナー濃度6%にはならず、その結果、画像形成動作を50000回繰り返した時におけるトナー濃度は約7.0%程度(図12の(c)の(ii))と、所望の値から大きくずれることになってしまう。
【0135】
しかし先にも述べたように、画像比率に関係なく2.5g/25000回は帯電キャリア付着するので、例えば画像比率15%で25000回画像形成した場合、残りの2.5gが帯電装置2に回収されたトナーによる帯電不良からおきた現像装置4への帯電キャリア混入量だと推定できる。
【0136】
さて、この時のビデオカウント数の積算値は
3884×10 ×0.15×25000=1457×1010カウント
であり、帯電キャリア混入量は
式(1)・・・
帯電キャリア混入量(g)=2.5/25000×(画像形成動作回数)+2.5×(ビデオカウント積算値/1457×1010
で予想される。
【0137】
そこで前記の画像比率が30%の画像においては画像形成動作を25000回繰り返返した時のビデオカウント数は
3884×10×0.30×25000=2913×1010カウント
であり、式(1)より帯電キャリア混入量(g)は7.5gと予想される。この時の検出信号の誤検知は0.375V分であり、検出信号の基準値を2.875Vに設定し直す(図12の(b)の(iii))ことで、検出信号が2.875Vになるまでトナー補給が停止するため、それまでに生じていたトナー濃度の誤差が解消され、初期のトナー濃度6%に制御し直されることになる(図12の(c)の(iii))。その結果、画像形成動作を50000回繰り返した時におけるトナー濃度は約6.75%程度と、検出信号の補正を画像形成動作の回数のみで基準値を変化させた場合と比べてトナー濃度制御の誤差を小さくすることができた。
【0138】
〈実施例2〉
本実施例におけるトナー補給制御補正手段は、図8による比較器51の検出信号によるトナー補給開始、停止を決定する基準値を、画像形成動作をある時間又は回数繰り返した時にその時のビデオカウント数から検出信号の基準値を設定し直すようにあらかじめCPU56に命令を設定しておく。
【0139】
CPU56はそのタイミングになると、比較器54の検出信号によるトナー補給開始、停止を決定する基準値を新たな基準値に設定する。
【0140】
具体的には画像比率が15%の画像において、初期のトナー補給制御基準値(a−b)> 0を、画像形成動作を25000回繰り返した時に、図9のフローチャートのS506においてトナー補給制御基準値を(a−b)>0.25Vに設定し直すように、あらかじめCPU56に命令を設定しておく。CPU56はそのタイミングになると初期のトナー補給制御基準値(a−b)>0を(a−b)>0.25に設定し直す。検出信号が2.75Vになるまでトナー補給が停止するため、それまでに生じていたトナー濃度の誤差が解消され初期のトナー濃度6%に制御し直されることになる。その結果、画像形成動作を50000回繰り返した時におけるトナー濃度は約6.5%程度と、検出信号の補正を環境により変化させない場合と比べてトナー濃度制御の誤差を小さくすることができた。
【0141】
また実施例1でも述べたように画像比率の異なった場合でも、上記トナー補給制御基準値の補正をビデオカウント数の積算値に応じて変えることで、トナー濃度制御の誤差を小さくすることができる。
【0142】
〈実施例3〉
実施例1あるいは実施例2においては、ある既定の画像形成動作の回数に達したときに、その際のビデオカウント数と画像形成動作回数から実施例1における検出信号基準値補正手段によって基準値b、あるいは実施例2におけるトナー補給制御基準値補正手段によって基準値(a−b)を新たに設定しており、実施例1では画像比率の高いものほど基準値補正直前でのトナー濃度が所望の値より高いものとなり、地かぶりやトナー飛散の原因となることがある。
【0143】
そこで本実施例では、あるビデオカウント数に達した時点で帯電キャリア混入量を予測し、上記基準値を補正するものである(図14の(b))。その結果、画像比率の異なる画像をランダムに出力しても、帯電キャリアの混入量がある値以下で常に補正することが可能となり、よりトナー濃度制御の誤差を小さくすることが出来る。
【0144】
なお、今まで説明してきた各実施例では、本発明を電子写真方式のディジタル複写機に適用した場合を示したが、本発明は実施例以外の電子写真方式、静電記録方式等の種々の複写械、プリンタ等の画像形成装置に等しく適用できるものである。例えば、本発明は画像の濃淡表現をデイザ法で行なう画像形成装置にも適用できるし、また、原稿のコピーではなく、コンピュータ等から出力された画像情報信号によりトナー像を形成する画像形成装置にも本発明は適用できる。さらに、画像形成装置や制御系の構成等について必要に応じて種々の変形及び変更がなし得ることは言うまでもない。
【0145】
ここで、原稿の画像比率に関しては、画像比率が変らない原稿ばかりをとることは事実上なく、その予想はあくまでも統計的な過去の実績から平均的画像比率として算出される。画像比率を検知する手段はビデオカウントと呼ばれる手段がおもで、これはディジタル複写機、あるいはプリンタではその構成上可能である。画像比率自体は実際はビデオカウントで得た数値から算出された割合として判断される。
【0146】
アナログ複写機などのような画像を直接像担持体に露光する場合は画像比率を検知する手段はないが、そのような場合においては枚数情報と過去の実績から統計的に予想される平均的画像比率から制御することが可能である。
【0147】
〈その他〉
1)磁気ブラシ帯電部材は、スリーブ回転タイプに限らず、マグネットロールが回転するものや、マグネットロールの表面を必要に応じて給電用電極として導電性処理して、該マグネットロールの外周面に直接に導電性磁性粒子を磁気拘束させて磁気ブラシ部を形成させ、マグネットロールを回転させる構成のもの等にすることもできる。回転しないタイプの磁気ブラシ帯電部材とすることもできる。
【0148】
2)像担持体としての感光体は表面抵抗が10 〜1014Ω・cmの低抵抗層を持つことが、電荷注入帯電を実現でき、オゾンの発生防止の面から望ましいが、上記以外の有機感光体等でもよい。即ち接触帯電は、実施例の電荷注入帯電方式に限らず、放電現象が支配的な接触帯電系であっても良い。
【0149】
3)二成分現像装置は現像剤を像担持体に対して接触させて潜像を現像する接触式がクリーナーレス方式においては転写残トナーの現像同時回収効果を高めるのに効果がある。また、現像剤中のトナー粒子として重合トナーを用いた場合には充分な回収効果が得られる。現像装置は反転現像方式でも、正規現像方式でもよい。
【0150】
4)AC(交番電圧、交流電圧)の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成された矩形はあっても良い。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0151】
5)画像形成装置の作像プロセスは実施例に限らず任意である。また必要に応じて他の補助プロセス機器を加えてもよい。
【0152】
静電潜像形成のための画像露光手段としては、実施形態例の様にディジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0153】
像担持体は静電記録誘電体等であっても良い。この場合は、該誘電体面を所定の極性・電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0154】
6)像担持体からトナー画像の転写を受ける転写材は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。
【0155】
7)転写手段は、実施形態例の転写ベルト装置に限らず、コロナ放電転写、ローラ転写、ブレード転写など任意である。
【0156】
8)実施例の画像形成装置は白黒画像形成(モノカラー)についてのものであるが、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して感光体、帯電装置、現像装置、露光装置を設け、各感光体上のトナー像をベルトまたは筒状の転写材保持体の転写材に順次転写することで、フルカラー画像を得ることができる。
【0157】
すなわち、転写ドラムや転写ベルト等の中間転写体などを用いて、単色画像形成ばかりでなく、多重転写等により多色やフルカラー画像を形成する画像形成装置にも適用できる。
【0158】
9)像担持体1、帯電装置2、現像装置4等の任意のプロセス機器を画像形成装置本体に対して一括して着脱交換自在なプロセスカートリッジ着脱式の装置構成にすることもできる。
【0159】
10)像担持体としての電子写真感光体や静電記録誘電体を回動ベルト型にし、これに帯電・静電潜像形成・現像の工程手段により画像情報に対応したトナー像を形成させ、そのトナー像形成部を閲読表示部に位置させて画像表示させ、像担持体は繰り返して表示画像の形成に使用する画像表示装置もある。本発明において画像形成装置にはこのような画像表示装置も含む。
【0160】
11)本発明は画像の濃淡表現をデイザ法で行なう画像形成装置にも適用できるし、また、原稿のコピーではなく、コンピュータ等から出力された画像情報信号によりトナー像を形成する画像形成装置にも本発明は適用できる。
【0161】
さらに、画像形成装置や制御系の構成等について必要に応じて種々の変形及び変更がなし得ることは言うまでもない。
【0162】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、磁気ブラシ接触帯電方式・二成分現像方式・クリーナーレスシステムの画像形成装置について、磁気ブラシ帯電装置側の帯電キャリアが現像装置側の二成分現像剤に混入し蓄積されていった場合でも、現像装置のインダクタンス検知センサーによるトナー濃度制御をより誤差少ないものにすることが可能となった。
【0163】
すなわち、磁気ブラシ帯電に用いている帯電キャリアが、画像形成動作が繰り返されることで、像担持体への帯電キャリア付着等により現像装置内へ持ち運ばれて二成分現像剤に混入して蓄積される場合において、画像濃度の相違により現像装置内への混入割合に相違が生じ、その結果帯電キャリアと現像キャリアの透磁率の相違により最適なトナー濃度である現像剤全体の平均透磁率が変化する割合が画像濃度の相違で異なっても、画像濃度信号のビデオカウント数からの情報によりインダクタンス検知センサーの検出信号の基準値あるいはトナー補給制御の基準値を補正する割合を変えることで、様々な画像濃度の原稿において画像形成動作が繰り返されていっても、常にトナー補給が適切に行われるため、より誤差の少ないトナー濃度制御(T/D比制御)が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の画像形成装置の全体的構成略図
【図2】感光体の層構成模型図
【図3】磁気ブラシ帯電装置の構成模型図
【図4】磁性粒子の電気抵抗値の測定装置の構成略図
【図5】二成分現像装置の構成略図
【図6】帯電キャリアと現像キャリアの透磁率の違いを説明する図
【図7】現像剤のトナー濃度の変化によってインダクタンスヘッドからの検出信号が変化する状態を示す特性図
【図8】トナー補給制御系のブロック図
【図9】トナー補給制御系の基本動作のフローチャート
【図10】現像剤に帯電キャリアが混入、蓄積していった場合の、現像剤の見かけの透磁率の変化、インダクタンス検知センサーの検出信号、現像剤のT/D比の関係を簡便に表した図
【図11】画像比率の違いにより帯電キャリアの混入量が異なることを示した図
【図12】実施例1における制御の説明図
【図13】ビデオカウントの説明図
【図14】実施例3における制御の説明図
【図15】磁気ブラシ帯電装置と感光体ドラム間の等価回路を示す図
【図16】現像同時クリーニング(クリーナーレスシステム)の説明図
【符号の説明】
1・・感光体ドラム(像担持体)、2・・磁気ブラシ帯電装置、3・・レーザースキャナ(画像情報書き込み手段)、4・・二成分現像装置、5・・転写装置、6・・給紙カセット、7・・定着装置、P・・転写材、21・・磁気ブラシ帯電部材、24・・磁気ブラシ部、ca・・帯電磁性キャリア(帯電キャリア)、44・・現像スリーブ、47・・二成分現像剤、cb・・現像磁性キャリア(現像キャリア)、t・・トナー、50・・トナー補給槽、53・・インダクタンス検知センサー

Claims (7)

  1. 帯電磁性キャリア粒子を磁気拘束して構成させた磁気ブラシ部を有する磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を像担持体に当接させ、帯電バイアスを該磁気ブラシ帯電部材に印加することで該像担持体の帯電を行う帯電装置と、帯電した該像担持体に静電潜像を形成する画像情報書き込み装置と、該静電潜像をトナー粒子と現像磁性キャリア粒子から成る二成分現像剤を用いてトナー画像として可視化する現像装置と、該トナー画像を転写材に転写する転写装置を具備し、前記現像装置が、前記転写装置により前記トナー画像を転写材に転写した後の前記像担持体上に残留したトナーを回収するクリーニング手段を兼ねる画像形成装置において、
    前記現像装置の二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と検出信号の基準値との比較結果からトナー補給制御の基準値をもとにトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置が、画像情報信号の濃度信号のビデオカウント数から予想される現像装置への帯電磁性キャリアの混入量から、それまでに設定されていた検出信号の基準値を、新たな検出信号の基準値に設定する検出信号基準値補正手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記検出信号基準値補正手段は、前記新たな検出信号の基準値を設定する際に、更に、画像形成動作の時間または回数から予想される、前記磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を構成する帯電磁性キャリアの現像装置への混入量を用いることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 帯電磁性キャリア粒子を磁気拘束して構成させた磁気ブラシ部を有する磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を像担持体に当接させ、帯電バイアスを該磁気ブラシ帯電部材に印加することで該像担持体の帯電を行う帯電装置と、帯電した該像担持体に静電潜像を形成する画像情報書き込み装置と、該静電潜像をトナー粒子と現像磁性キャリア粒子から成る二成分現像剤を用いてトナー画像として可視化する現像装置と、該トナー画像を転写材に転写する転写装置を具備し、前記現像装置が、前記転写装置により前記トナー画像を転写材に転写した後の前記像担持体上に残留したトナーを回収するクリーニング手段を兼ねる画像形成装置において、
    前記現像装置の二成分現像剤の見かけの透磁率を検知し、該検知結果に基づく検出信号と検出信号の基準値との比較結果からトナー補給制御の基準値をもとにトナー補給手段を動作させる現像剤濃度制御装置が、画像情報信号の濃度信号のビデオカウント数から予想される現像装置への帯電磁性キャリアの混入量から、それまでに設定されていたトナー補給制御の基準値を、新たなトナー補給制御の基準値に設定するトナー補給制御基準値補正手段を具備することを特徴とする画像形成装置。
  4. 前記トナー補給制御基準値補正手段は、前記新たなトナー補給制御の基準値を設定する際に、更に、画像形成動作の時間または回数から予想される、前記磁気ブラシ帯電部材の磁気ブラシ部を構成する帯電磁性キャリアの現像装置への混入量を用いることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記新たな検出信号の基準値の設定を既定のビデオカウント数に達したときに行うことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  6. 前記新たなトナー補給制御の基準値の設定を既定のビデオカウント数に達したときに行うことを特徴とする請求項3または4に記載の画像形成装置。
  7. 前記画像情報書き込み装置が露光装置であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の画像形成装置。
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