JP4422858B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接触帯電方式、クリーナレスプロセスの転写式画像形成装置に関する。より詳しくは、電子写真感光体や静電記録誘電体等の像担持体と、該像担持体に当接する帯電部材を有し、該帯電部材に帯電バイアスを印加することで像担持体の帯電を行う接触方式の帯電装置(接触帯電装置、直接帯電装置)と、該像担持体の帯電処理面に静電潜像を形成する画像情報書き込み装置と、該静電潜像を現像剤により顕像化する現像装置と、該像担持体表面の現像剤を被転写材に移動させる転写装置を具備し、転写装置により被転写材に移動せずに像担持体表面に残留した現像剤は前記帯電装置の像担持体に当接する帯電部材に一旦回収させ、その回収現像剤を帯電部材から吐き出させて現像装置にて再回収させる方式の、複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
(a)接触帯電
電子写真方式や静電記録方式の画像形成装置において、電子写真感光体や静電記録誘電体等の像担持体、その他の被帯電体を所定の極性・電位に帯電処理する帯電手段としては、従来より一般にコロナ帯電器が使用されてきた。これは像担持体(以下、感光体と記す)にコロナ帯電器を非接触に対向配置して、コロナ帯電器から放出されるコロナに感光体面をさらして該感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0003】
近年は、上記の非接触タイプのコロナ帯電器による場合に比べて低オゾン・低電力等の利点を有することから、前記のように、被帯電体としての感光体に、電圧(帯電バイアス)を印加した帯電部材(接触帯電部材)を当接させて感光体面を所定の極性・電位に帯電させる接触方式の帯電装置の実用化がなされてきている。特に、帯電部材として導電ローラ(帯電ローラ)を用いたローラ帯電方式の装置が帯電の安定性という点から好ましく用いられている。
【0004】
また、接触帯電部材として、磁性粒子を磁性粒子担持体に磁気拘束させた磁気ブラシ部を具備させた磁気ブラシ帯電部材(帯電磁気ブラシ、以下、磁気ブラシ帯電器と記す)を用い、該磁気ブラシ帯電器の磁気ブラシ部を感光体に接触させる磁気ブラシ帯電方式の装置も帯電装置の安定性という点から好ましく用いられている。磁気ブラシ帯電器は、導電性の磁性粒子を直接マグネットに、或いはマグネットを内包するスリーブ上に磁気的に拘束させて磁気ブラシ部を形成具備させたものであり、停止或いは回転させて磁気ブラシ部を感光体に接触させ、これに電圧を印加することによって感光体の帯電を開始させる。
【0005】
また、導電性の繊維をブラシ状に形成具備させたもの(ファーブラシ帯電部材、帯電ファーブラシ)、導電性ゴムをブレード状にした帯電ゴムブレード(帯電ブレード)等も接触帯電部材として好ましく用いられている。
【0006】
接触帯電の帯電機構(帯電のメカニズム、帯電原理)にはコロナ帯電系と電荷注入(直接帯電)帯電系の2種類の帯電機構が混在しており、どちらが支配的であるかにより各々の特性が現れる。
【0007】
コロナ帯電系は、接触帯電部材と感光体との微小間隔に生じるコロナ放電現象による放電生成物で感光体表面が帯電する系である。コロナ帯電は、接触帯電部材と感光体に一定の放電しきい値を有するため、帯電電位より大きな電圧を接触帯電部材に印加する必要がある。また、コロナ帯電器に比べれば発生量は格段に少ないけれども放電生成物を生じる。
【0008】
電荷注入帯電系は、接触帯電部材から感光体に直接に電荷が注入されることで感光体表面が帯電する系である。より詳しくは、中抵抗の接触帯電部材が感光体表面に接触して、放電現象を介さずに、つまり放電を基本的に用いないで感光体表面に直接電荷注入を行うものである。よって、接触帯電部材への印加電圧が放電しきい値以下の印加電圧であっても、感光体を印加電圧相当の電位に帯電することができる。この電荷注入帯電系はイオンの発生を伴わない。しかし電荷注入帯電であるため、接触帯電部材の感光体への接触性が帯電性に大きく効いてくる。そこで接触帯電部材はより密に構成し、また感光体との速度差を多く持ち、より高い頻度で感光体に接触する構成をとる必要があり、この点において接触帯電部材として特に磁気ブラシ帯電器は安定した帯電を行うことができる。
【0009】
磁気ブラシ帯電器による電荷注入帯電は、抵抗とコンデンサの直列回路と等価であると見ることができる。理想的な帯電プロセスでは、感光体表面のある点が磁気ブラシと接触している時間(帯電ニップ×感光体の周速)にコンデンサが充電され、感光体表面電位が印加電圧とほぼ同値になる。
【0010】
導電性の接触部材に電圧を印加することで感光体の表面にあるトラップ準位に電荷を注入して感光体の接触帯電を行う方法がある。また、感光体として通常の有機感光体上に導電性微粒子を分散させた表層(電荷注入層)を有するものや、アモルファスシリコン感光体等を用いると、接触帯電部材に印加したバイアスのうちの直流成分と略同等の帯電電位を被帯電体表面に得ることが可能である(特開平6−3921号公報)。
【0011】
注入帯電方式は、環境依存性が少ないだけでなく、放電を用いないため、接触帯電部材に対する印加電圧は感光体電位と同程度で十分であり、また、オゾンを発生しない利点があり、完全なオゾンレス且つ低電力消費型帯電が可能となる。
【0012】
(b)クリーナレスプロセス(トナーリサイクルプロセス)
また近年、画像形成装置は小型化が進んできたが、帯電・露光・現像・転写・定着・クリーニング等の作像プロセスの各手段・機器が夫々小型になるだけでは画像形成装置の全体的な小型化には限界があった。また、転写後の感光体上の転写残トナー(残留現像剤)はクリーニング手段(クリーナ)によって回収されて廃トナーとなるが、この廃トナーは環境保護の面からも出ないことが好ましい。そこで、クリーナを取り外し、感光体上の転写残トナーは現像手段によって「現像同時クリーニング」で感光体上から除去し現像手段に回収・再利用する装置構成にした「クリーナレスプロセス」の画像形成装置も出現している。現像同時クリーニングとは、転写後に感光体上に若干残留したトナーを次工程以後の現像時にかぶり取り電位差(現像手段に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収する方法である。この方法によれば、転写残トナーは現像手段に回収されて次工程以後用いられるため、廃トナーをなくし、メンテナンスに手を煩わせることも少なくすることができる。また、クリーナレスであることでスペース面での利点も大きく、画像形成装置を大幅に小型化できるようになる。また、感光体の帯電装置が接触帯電性の場合には感光体に接触している帯電部材に転写残トナーを一旦回収させ、それを再び感光体上に吐き出させ現像装置で回収させる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の磁気ブラシ注入帯電・クリーナレス方式の画像形成装置においては、帯電不良により所望の電位まで帯電ができない場合、帯電器に印加されている直流バイアスと感光体電位との電位差により、磁性粒子が感光体に付着し、感光体の回転と共に移動して現像装置内に混入し、現像特性を大きく変化させてしまうといった現象が起きる。また、磁性粒子が転写装置や定着装置まで到達してきたときに、それらを傷付け、画像が劣化するといった現象も起きる。
【0014】
同様に、帯電不良により所望の電位まで帯電ができない場合、現像においてかぶりが発生し、感光体に付着したトナーが帯電器で取り込まれ、樹脂が主成分のトナーの混入により磁気ブラシの電気抵抗が高くなり、帯電性が低下して更にかぶりが生じたり、磁性粒子が感光体に付着するといった現象も起きる。
【0015】
また、帯電器に磁性粒子を充填する方法は、本体に帯電器をセットする直前に行う場合と、予め充填した状態で流通させる方法がある。どちらの場合も磁性粒子が帯電器のスラスト方向に均一に充填されていないと、帯電を最初に行ったとき、磁気ブラシが正常に形成されなかった領域において、上述のような現象が生じ、安定した作像が困難となる。
【0016】
特に、帯電器を含む作像カートリッジ(プロセスカートリッジ)として、磁性粒子を充填した状態で流通させる場合、出荷時に磁性粒子を均一に充填しても、使用開始時に磁性粒子が片側に偏っている可能性がある。
【0017】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、初期の帯電動作を安定して行えるようにし、帯電不良を原因とする不具合を解消することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、回転可能な感光体と、磁性粒子と磁性粒子を担持する磁性粒子担持体を備え、前記感光体と接触して帯電する磁気ブラシ帯電手段と、カートリッジが未使用であるか否かを判断するための情報を記録する不揮発性メモリと、を備えるカートリッジを装着可能な画像形成装置において、前記不揮発性メモリに記録された情報に基づき、前記カートリッジが未使用である場合に、画像形成を行うために前記感光体を帯電する前に前記磁性粒子を前記磁性粒子担持体に均一に担持させるべく前記磁性粒子担持体を所定時間回転させるイニシャライズ動作を実行するとともに、前記カートリッジが使用済みである場合に、前記イニシャライズ動作を省くことを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、最初に帯電動作を行う前に、前記磁性粒子担持体を所定時間回転させて前記磁性粒子を前記磁性粒子担持体に均一に担持させることで、初期の帯電を安定して行うことが可能となる。
【0020】
更に、前記磁性粒子担持体を回転させている間、前記像担持体を回転させることで、帯電部材と像担持体の間の摩擦帯電に起因する画像不良の発生を防止することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明を適用した画像形成装置の一実施形態について詳細に説明する。
【0022】
尚、以下の参考例及び実施形態では、画像形成装置として、転写式電子写真プロセス利用、電荷注入帯電方式、クリーナレスプロセスのレーザービームプリンタを例示している。
【0023】
〔参考例〕
(1)画像形成装置まず、図1を用いて、画像形成装置の概略構成について説明する。図1は画像形成装置の概略構成図を示す。
【0024】
1は像担持体としての回転ドラム型の電子写真感光体(以下、感光体ドラムと記す)である。この感光体ドラム1は、負帯電性・電荷注入帯電性のOPC感光体(有機光導電性感光体)であり、時計回り方向(矢印a方向)に150mm/sec.のプロセススピード(周速度)で回転駆動される。
【0025】
2は感光体ドラム1の面を所定の極性・電位に一様に帯電処理する接触帯電装置である。ここでは磁気ブラシ帯電装置であり、回転する感光体ドラム1の面はこの磁気ブラシ帯電装置2によりほぼ−700Vに電荷注入帯電方式で一様に帯電処理される。
【0026】
3は画像情報露光手段(露光装置)であり、ここではレーザービームスキャナである。このレーザービームスキャナ3は、半導体レーザー、ポリゴンミラー、F−θレンズ等を有してなり、CCD等の光電変換素子を有する原稿読み取り装置、電気計算機、ワードプロセッサ等の不図示のホスト装置から入力する目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して変調されたレーザー光Lを射出して、回転感光体ドラム1の一様帯電処理面をレーザー光走査露光する。このレーザー光走査露光により回転感光体ドラム1の周面に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0027】
4は現像装置である。ここでは、重合法で作成した、転写残トナーの少ない高離型性球形トナーと、磁性キャリアを混合した現像剤による2成分接触現像方式の現像装置を用いている。そして、回転感光体ドラム1面の静電潜像をトナー像として反転現像させている。
【0028】
5は感光体ドラム1の下側に配置した転写装置であり、この転写装置は転写ベルトタイプである。5aは無端状の転写ベルト(例えば、膜厚75μmのポリイミドのベルト)であり、駆動ローラ5bと従動ローラ5c間に懸回張設されていて、感光体ドラム1の回転方向に順方向に感光体ドラム1の回転速度とほぼ同じ周速度で回動される。5dは転写ベルト5aの内側に配設した導電性ブレードであり、転写ベルト5aの上行側ベルト部分を感光体ドラム1の下面部分に加圧して転写部位としての転写ニップ部Tを形成させている。
【0029】
6は給紙カセットであり、紙等の被転写材Pを積載収納させてある。給紙ローラ7の駆動により給紙カセット6内に積載収納されている被転写材Pが1枚分離給紙され、搬送ローラ8等を含むシートパス9を通って所定の制御タイミングにて回転感光体ドラム1と転写装置5の転写ベルト5aとの間の転写ニップ部Tに給送される。
【0030】
転写ニップ部Tに給送された被転写材Pは回転感光体ドラム1と転写ベルト5aの間を挟持搬送され、その間、導電性ブレード5dに転写バイアス印加電源E5から所定の転写バイアスが印加されて、被転写材Pの裏面からトナーと逆極性の帯電がなされる。これにより、転写ニップ部Tを通る被転写材Pの表面側に回転感光体ドラム1面側のトナー像が順次静電転写されていく。
【0031】
転写ニップ部Tを通ってトナー像の転写を受けた被転写材Pは、回転感光体ドラム1面から順次分離されてシートパス10を通って定着装置(例えば熱ローラ定着装置)11に導入されてトナー像の定着処理を受けてプリントアウトされる。
【0032】
このプリンタはクリーナレスプロセスであり、転写ニップ部Tで被転写材Pに転写されずに回転感光体ドラム1の表面に残ったトナーを除去する専用のクリーナは配置していないが、転写残トナーは、後述するように、引き続く感光体ドラム1の回転で磁気ブラシ帯電装置2の位置に至り、感光体ドラム1に接触している接触帯電部材としての磁気ブラシ帯電器2Aの磁気ブラシ部に一時的に回収され、その回収トナーが再び感光体ドラム1面に吐き出されて最終的に現像装置4に回収され、感光体ドラム1は繰り返して作像に供される。
【0033】
12は転写装置5と磁気ブラシ帯電装置2との間において感光体ドラム1に当接させ、ACバイアス、帯電と逆極性のDCバイアス、又はACバイアスを重畳した帯電と逆極性のDCバイアスを印加した導電性ブラシであり、磁気ブラシ帯電装置2による帯電直前の感光体ドラム表面電位をならすと同時に、転写残トナーを除電、若しくは感光体ドラム1の帯電と逆極性に帯電して、磁気ブラシ帯電器2Aの磁気ブラシ部での回収を容易にする。
【0034】
尚、ここでは、前記感光体ドラム1、磁気ブラシ帯電器2A、現像装置4、及び導電性ブラシ12が1組にまとめられ、装置本体に対して着脱自在である、プロセスカートリッジとしての作像カートリッジ(不図示)となっている。
【0035】
(2)画像形成装置の動作シーケンス
次に、図2を用いて、上記プリンタの動作シーケンスについて説明する。図2は上記プリンタの動作シーケンス図である。
【0036】
a.前多回転工程:プリンタの始動動作期間(起動動作期間、ウォーミング期間)である。メイン電源スイッチオンにより、装置のメインモータを駆動させて感光体ドラムを回転駆動させ、所定のプロセス機器の準備動作を実行させる。
【0037】
b.前回転工程:プリント前動作を実行させる期間である。この前回転工程は前多回転工程中にプリント信号が入力したときには前多回転工程に引き続いて実行される。プリント信号の入力がないときには前多回転工程の終了後にメインモータの駆動が一旦停止されて感光体ドラムの回転駆動が停止され、プリンタはプリント信号が入力されるまでスタンバイ(待機)状態に保たれる。プリント信号が入力すると、前回転工程が実行される。
【0038】
c.印字工程(画像形成工程、作像工程):所定の前回転工程が終了すると、引き続いて回転感光体ドラムに対する作像プロセスが実行され、回転感光体ドラム面に形成されたトナー像の被転写材への転写、定着手段によるトナー像の定着処理がなされて画像形成物がプリントアウトされる。連続印字(連続プリント)モードの場合は、上記の印字工程が所定の設定プリント枚数分繰り返して実行される。
【0039】
d.紙間工程:連続印字モードにおいて一の被転写材の後端部が転写ニップ部を通過した後、次の被転写材の先端部が転写ニップ部に到達するまでの間の、転写ニップ部における被転写材の非通紙状態期間である。この期間に転写ニップ部を通過する回転感光体ドラムの領域がその前に帯電ニップ部を通過する間は、帯電バイアスのAC成分の印加を停止させ、磁気ブラシ帯電部材で一時的に回収した転写残トナーを回転感光体ドラム面に吐き出す。
【0040】
e.後回転工程:最後の転写材の印字工程が終了した後もしばらくの間メインモータの駆動を継続させて感光体ドラムを回転駆動させ、所定の後動作を実行させる期間である。この期間においても紙間工程と同様に帯電バイアスのAC成分の印加を停止させることで、磁気ブラシ帯電部材で一時的に回収した転写残トナーを回転感光体ドラム面に吐き出す。
【0041】
f.スタンバイ(待機):所定の後回転工程が終了すると、メインモータの駆動が停止され感光体ドラムの回転駆動が停止され、プリンタは次のプリントスタート信号が入力するまでスタンバイ状態に保たれる。
【0042】
1枚だけのプリントの場合は、そのプリント終了後、プリンタは後回転工程を経てスタンバイ状態になる。スタンバイ状態においてプリントスタート信号が入力すると、プリンタは前回転工程に移行する。
【0043】
尚、上記シーケンスにおいて、cの印字工程時が画像形成時であり、aの前多回転工程、bの前回転工程、dの紙間工程、eの後回転工程が非画像形成時(非作像時)になる。
【0044】
(2)感光体ドラム
図3を用いて、感光体ドラム1について説明する。この感光体ドラム1は、前述したように負帯電性・電荷注入性のOPC感光体であり、図3に層構成模型図を示したように、φ30mmのアルミニウム製のドラム基体1a上に第1〜第5の機能層1b〜1fを下から順に設けたものである。
【0045】
第1層1b:下引き層であり、アルミニウムドラム基体1aの欠陥などをならすため、またレーザー露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電層である。
【0046】
第2層1c:正電荷注入防止層であり、アルミニウムドラム基体1aから注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、アミラン樹脂とメトキシメチル化ナイロンによって106Ω・cm程度に、抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0047】
第3層1d:電荷発生層であり、ジスアゾ系の顔料を樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0048】
第4層1e:電荷輸送層であり、ホリカーボネイト樹脂にヒドラゾンを分散したものであり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷は、この層を移動することはできず、電荷発生層1dで発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0049】
第5層1f:電荷注入層であり、バインダとしての光硬化性のアクリル樹脂に光透過性の導電フィラーであるアンチモンをドーピングして低抵抗化(導電化)した粒径0.03μmの酸化錫SnO2の超微粒子(導電性微粒子1g)を樹脂に対して70重量パーセント分散した材料の約3μmの塗工層である。この電荷注入層1fの電気抵抗値は、十分な帯電性と画像流れを起こさない条件である1×1010Ω・cm〜1×1014Ω・cmである必要がある。ここでは、表面抵抗が1×1011Ω・cmの感光体ドラムを用いた。
【0050】
(4)磁気ブラシ帯電装置
図4〜図6を用いて、磁気ブラシ帯電装置2について説明する。図4は磁気ブラシ帯電装置2の拡大横断面模型図である。この磁気ブラシ帯電装置2は、大きく分けて、磁気ブラシ帯電部材(磁気ブラシ帯電器)2A、該磁気ブラシ帯電器2Aと導電性磁性粒子(帯電キャリア)2dを収容させた容器(ハウジング)2B、磁気ブラシ帯電器2Aに対する帯電バイアス印加電源E2等からなる。
【0051】
磁気ブラシ帯電器2Aは、ここではスリーブ回転タイプであり、マグネットロール(磁石)2aと、このマグネットロール2aに外嵌させた非磁性ステンレス製スリーブ(電極スリーブ、導電スリーブ、帯電スリーブなどと称される)2bと、該スリーブ2bの外周にスリーブ内部のマグネットロール2aの磁気力で磁気拘束させて形成保持させた磁性粒子2dの磁気ブラシ部2cからなる。
【0052】
マグネットロール2aは非回転の固定部材であり、スリーブ2bはこのマグネットロール2aの外回りを矢印b方向に不図示の駆動系により所定の周速度、ここでは225mm/sec.の周速で回転駆動される。また、スリーブ2bは感光体ドラム1に対してスペーサコロなどの手段で500μm程度の隙間を保たせて配設してある。
【0053】
2eは容器2Bに取り付けた、非磁性ステンレス製の磁気ブラシ層厚規制ブレードであり、スリーブ2b表面とのギャップが900μmになるように配置されている。
【0054】
容器2B内の磁性粒子2dは、その一部がスリーブ2bの外周面にスリーブ内部のマグネットロール2aの磁気力で磁気拘束されて磁気ブラシ部2cとして保持される。磁気ブラシ部2cはスリーブ2bの回転駆動に伴い、スリーブ2bと一緒にスリーブ2bと同方向に回転する。このとき、磁気ブラシ部2cの層厚はブレード2eにより均一の厚さに規制させる。
【0055】
そして、その磁気ブラシ部2cの規制層厚は、スリーブ2bと感光体ドラム1との対向隙間部の間隔より大きいから、磁気ブラシ部2cはスリーブ2bと感光体ドラム1との対向部において感光体ドラム1に対して所定幅のニップ部を形成して接触する。この接触ニップ部が帯電ニップ部Nである。従って、回転感光体ドラム1は帯電ニップ部Nにおいて磁気ブラシ帯電器2Aのスリーブ2bの回転に伴い回転する磁気ブラシ部2cで摺擦される。この場合、帯電ニップ部Nにおいて感光体ドラム1の移動方向と磁気ブラシ部2cの移動方向は逆方向となり、相対移動速度は速くなる。
【0056】
スリーブ2bと磁気ブラシ層厚規制ブレード2eは電源E2から所定の帯電バイアスが印加される。そして、感光体ドラム1が回転駆動され、磁気ブラシ帯電器2Aのスリーブ2bが回転駆動され、電源E2から所定の帯電バイアスが印加されることで、回転感光体ドラム1の周面が、ここでは注入帯電方式で所定の極性・電位に一様に接触帯電処理される。
【0057】
スリーブ2b内に固定配置されているマグネットロール2aは、スリーブ2bと感光体ドラムの最近接位置cとの角度θを感光体ドラム回転方向上流側20°から下流側10°の範囲に入るようにすることが望ましく、上流側15°〜0°であれば更に良い。それより下流だと主極位置に磁性粒子が引き付けられ、帯電ニップ部Nの感光体ドラム回転方向下流側に磁性粒子の滞留が発生し易くなり、また上流すぎると、帯電ニップ部Nを通過した磁性粒子の搬送性が悪くなり、滞留が発生し易くなる。また、帯電ニップ部Nに磁極がない場合は、磁性粒子に働くスリーブ2bへの拘束力が弱くなり、磁性粒子が感光体ドラム1に付着し易くなるのは明らかである。ここで述べている帯電ニップ部Nは、帯電時に磁気ブラシ部2cの磁性粒子が感光体ドラム1と接触している領域を示す。ここでは、上流側10°の位置に約90mTの磁極を配置した。
【0058】
帯電バイアスは電源E2によってスリーブ2bと規制ブレード2eに印加される。ここではDC成分にAC成分が重畳しているバイアスを用いている。
【0059】
帯電ニップ部Nにおける、磁気ブラシ帯電器2Aの磁気ブラシ部2cによる感光体ドラム1面の摺擦と、磁気ブラシ帯電器2Aへの帯電バイアスの印加により、磁気ブラシ部2cを構成している帯電用磁性粒子2dから電荷が感光体ドラム1上に与えられ、感光体ドラム1面が所定の極性・電位に一様に接触帯電される。本例の場合は前述したように、感光体ドラム1はその表面に電荷注入層1fを具備させたものであるから、電荷注入帯電により感光体ドラム1の帯電処理がなされる。即ち、感光体ドラム1面が帯電バイアスDC+ACのDC成分に対応した電位に帯電される。スリーブ2bは回転速度が速いほど帯電均一性が良好になる傾向にある。
【0060】
磁気ブラシ帯電器2Aによる感光体ドラム1の電荷注入帯電は、図5の等価回路に示すような、抵抗RとコンデンサCの直列回路とみなすことができる。このような回路の場合、抵抗値をr、感光体ドラムの静電容量をCp、印加電圧をV0、帯電時間(感光体ドラム表面のある点が帯電ニップ部Nを通過する時間)をT0とすると、感光体ドラムの表面電位Vdは下記数式1で表される。
【0061】
【数1】
【0062】
帯電バイアスDC+ACにおいて、DC成分は必要とされる感光体ドラム1の表面電位と同値、ここでは−700Vとした。
【0063】
画像形成時(作像時)におけるAC成分は、そのピーク間電圧Vppは、100V以上2000V以下、特に300V以上1200V以下が好ましい。ピーク間電圧Vppがそれ以下では、帯電均一性、電位の立ち上がり向上の効果が薄く、それ以上では、磁性粒子の滞留や感光体ドラムへの付着が悪化する。周波数は100Hz以上5000Hz以下、特に500Hz以上2000Hz以下が好ましい。それ以下では、磁性粒子の感光体ドラムへの付着悪化や、帯電均一性、電位の立ち上がり性向上の効果が薄くなり、それ以上でも帯電均一性、電位の立ち上がり性向上の効果が得られにくくなる。ACの波形は矩形波、三角波、sin波などが良い。ここではピーク間電圧Vppは700Vを用いた。
【0064】
磁気ブラシ部2cを構成させる磁性粒子2dは、ここでは、焼結した強磁性体(フェライト)を還元処理をしたものを用いたが、他に樹脂と強磁性体粉を混練して粒子状に成形したもの、若しくはこれに抵抗値調節のために導電性カーボン等を混ぜたものや、表面処理を行ったものも同様に用いることができる。磁気ブラシ部2cの磁性粒子2dは感光体ドラム表面のトラップ準位に電荷を良好に注入する役割と、感光体ドラム上に生じたピンホールなどの欠陥に帯電電流が集中してしまうことに起因して生じる帯電部材及び感光体の通電破壊を防止する役割を兼ね備えていなければならない。従って、磁気ブラシ帯電器2Aの電気抵抗値は1×104Ω〜1×109Ωであることが好ましく、特には1×104Ω〜1×107Ωであることが好ましい。磁気ブラシ帯電器2Aの電気抵抗値が1×104Ω未満ではピンホールリークが生じ易くなる傾向があり、1×109Ωを超えると良好な電荷の注入がしにくくなる傾向にある。また、抵抗値を上記範囲内に制御するためには、磁性粒子2dの体積抵抗値は1×104Ω・cm〜1×109Ω・cmであることが望ましく、特には1×104Ω・cm〜1×107Ω・cmであることがより好ましい。
【0065】
ここで用いた磁気ブラシ帯電器2Aの電気抵抗値は、1×106Ωであり、帯電バイアスのDC成分として−700Vを印加することで、感光体ドラム1の表面電位も、−700Vとなった。
【0066】
磁性粒子2dの体積抵抗値は、図6に示す要領で測定した。即ち、セルAに磁性粒子2dを充填し、該充填磁性粒子2dに接するように主電極17及び上部電極18を配し、該電極17,18間に定電圧電源22から電圧を印加し、そのとき流れる電流を電流計20で測定することにより求めた。19は絶縁物、21は電圧計、24はガイドリングを示す。その測定条件は、23℃、65%の環境で充填磁性粒子2dのセルとの接触面積S=2cm2、厚みd=1mm、上部電極18の荷重10kg、印加電圧100Vである。
【0067】
磁性粒子2dの平均粒径及び粒度分布測定におけるピークは5〜100μmの範囲にあることが、粒子表面の汚染による帯電劣化防止、及び、磁性粒子2dの感光体ドラム1表面への付着防止の観点から好ましい。磁性粒子2dの平均粒径は、水平方向最大弦長で示し、測定法は顕微鏡法により磁性粒子300個以上をランダムに選び、その径を実測して算術平均をとる。
【0068】
(5)現像装置
次に、図7を用いて、現像装置4について説明する。
【0069】
まず、静電潜像のトナー現像方法としては、一般に次のa〜dの4種類に大別される。
【0070】
a.非磁性トナーについてはブレード等でスリーブ上にコーティングし、磁性トナーは磁性力によってコーティングして搬送し感光体ドラムに対して非接触状態で現像する方法(1成分非接触現像)。
【0071】
b.上記のようにしてコーティングしたトナーを感光体ドラムに対して接触状態で現像する方法(1成分接触現像)。
【0072】
c.トナー粒子に対して磁性のキャリアを混合したものを現像剤として用いて磁力によって搬送し感光体ドラムに対して接触状態で現像する方法(2成分接触現像)。
【0073】
d.上記の2成分現像剤を感光体ドラムに対して非接触状態にして現像する方法(2成分非接触現像)。
【0074】
この中で、画像の高画質化や高安定性の面から、cの2成分接触現像法が多く用いられている。
【0075】
図7は現像装置4の拡大横断面模型図である。現像装置4は、重合法で作成した高離型性球形非磁性トナーと磁性キャリア(現像用磁性粒子、現像キャリア)を混合したものを現像剤として用い、該現像剤を現像剤担持体(現像部材、現像器)に磁気力によって磁気ブラシ層とし保持させて現像部に搬送し感光体ドラム面に接触させて静電潜像をトナー像として現像する2成分磁気ブラシ接触現像方式の反転現像装置である。
【0076】
4aは現像容器、4bは現像剤担持体としての現像スリーブ、4cはこの現像スリーブ4b内に固定配置された磁界発生手段としての磁石(マグネットローラ)、4dは現像スリーブ表面に現像剤の薄層を形成するための現像剤層厚規制ブレード、4eは現像剤攪拌搬送スクリュー、4fは現像容器4a内に収容した2成分現像剤であり、上記のように非磁性トナーtと現像キャリアcを混合したものである。
【0077】
現像スリーブ4bは少なくとも現像時においては、感光体ドラム1に対し最近接距離(隙間)が約500μmになるように配置され、該現像スリーブ4bの外面に担持させた現像剤磁気ブラシ薄層4f′が感光体ドラム1の面に接触するように設定されている。この現像剤磁気ブラシ薄層4f′と感光体ドラム1の接触ニップ部mが現像領域(現像部)である。
【0078】
現像スリーブ4bは内部の固定磁石4cの磁力により現像剤4f(t+c)の磁気ブラシが形成される。その現像剤磁気ブラシはスリーブ4bの回転とともに搬送され、ブレード4dにより層厚規制を受けて所定層厚の現像剤磁気ブラシ薄層4f′として現像容器外に持ち出されて現像部mへ搬送されて感光体ドラム1面に接触し、引き続くスリーブ4bの回転で再び現像容器4a内に戻し搬送される。
【0079】
現像スリーブ4bには現像バイアス印加電源E4によりDC成分とAC成分を重畳した所定の現像バイアスが印加される。ここでの現像特性は、感光体ドラム1の帯電電位(−700V)と現像バイアスのDC成分値の差が200V以下であるとかぶりが生じ、350V以上であると現像キャリアcの感光体ドラム1への付着が生じたので、現像バイアスのDC成分は−400Vとした。
【0080】
現像容器4a内の現像剤4f(t+c)のトナー濃度(現像キャリアcとの混合割合)は、トナーが静電潜像の現像に消費されて逐次消費されていく。現像容器4a内の現像剤4fのトナー濃度は不図示の検知手段により検知されて所定の許容下限濃度まで低下するとトナー補給部4gから現像容器4a内の現像剤4fにトナーtの補給がなされて現像容器4a内の現像剤4fのトナー濃度を常に所定の許容範囲内に保つようにトナー補給制御される。
【0081】
(6)クリーナレスプロセス
プリンタは、クリーナレスプロセスであるから、被転写材Pに対するトナー像転写後の感光体ドラム1に残留したトナー(転写残トナー)は、感光体ドラム1の帯電ニップ部Nに持ち運ばれて磁気ブラシ帯電装置2の磁気ブラシ帯電器2Aの磁気ブラシ部2cに混入して一時的に回収される。感光体ドラム1上の転写残トナーは転写時の剥離放電などにより、極性が正のものと負のものが混在していることが多い。この極性が混在した転写残トナーが磁気ブラシ帯電器2Aに至って磁気ブラシ部2c内に混入して一時的に回収される。この転写残トナーの磁気ブラシ帯電器2Aの磁気ブラシ部2cへの取り込みは、磁気ブラシ帯電器2AにAC成分を印加することで、磁気ブラシ帯電器2A、感光体ドラム1間の振動電界効果によってより効果的に行わせることができる。そして、磁気ブラシ部2c内に取り込まれた転写残トナーは、極性が全て負に帯電されて感光体ドラム1上に吐き出される。極性が揃えられて感光体ドラム1上に吐き出された転写残トナーは、現像部mに至って現像装置4の現像スリーブ4bにより現像時のかぶり取り電界によって現像同時クリーニングで回収される。この転写残トナーの現像同時回収は、回転方向の画像領域が、感光体ドラム1の周長よりも長い場合には、その他の帯電、露光、現像、転写といった画像形成工程と同時進行で行われる。これにより転写残トナーは現像装置4内に回収されて次工程以後も用いられるため、廃トナーをなくすことができる。また、スペースの面での利点も大きく、画像形成装置の大幅な小型化が可能となる。
【0082】
現像剤のトナーtとして重合法で作成した高離型性球形トナーを用いることで、転写残トナーの発生量を少なくすることができるし、また、磁気ブラシ帯電器2Aから吐き出されたトナーの現像装置4への回収性を向上させることができる。2成分接触現像方式の現像装置4を用いることでも磁気ブラシ帯電器2Aから吐き出されたトナーの現像装置4への回収性を向上させている。ここで、通常、トナーは電気抵抗が比較的高いから、磁気ブラシ帯電器2Aの磁気ブラシ部2cにそのようなトナー粒子が混入することは磁気ブラシ部2cの電気抵抗を上昇させて帯電能を低下させる因子であり、混入トナー量が比較的多い場合は、非作像時に大量のトナーを吐き出すことで、良好な帯電を維持することができる。
【0083】
また、磁気ブラシ部2cから感光体ドラム1へ吐き出されたトナーは極めて均一な散布状態にあり、また、その量も少量であるため、次の像露光過程に実質的に悪影響を及ぼすことはない。また、転写残トナーパターンに起因するゴースト像の発生もない。
【0084】
(7)作像カートリッジの初期化動作
ここでは、作像カートリッジの初期化動作として、最初の帯電動作を行う前に、磁性粒子2dをスリーブ2bに均一に担持させて磁気ブラシ部2cを形成するために、前記スリーブ2bを所定時間回転させるようにしている。以下、詳しく説明する。
【0085】
ここでは、注入帯電器内の磁性粒子を予め片側に偏った状態にしておき、そのまま作像を行った場合と、帯電スリーブを一定時間回転した後に作像を行った場合で、感光体ドラム表面や現像装置の状態を比較した。
【0086】
磁性粒子は、図8に示すようにスラスト方向の左半分にのみ充填した。ここで用いた帯電器の場合、帯電スリーブ2bの回転によりスラスト全域にわたって磁性粒子2dを担持し磁気ブラシ部2cを形成するためには最短90秒の時間が必要であるため、今回は120秒間、帯電スリーブ2bの回転を行った。
【0087】
その結果、帯電スリーブ2bを120秒間回転した後に作像を行った場合は、帯電スリーブ2bの一定時間の回転によりスラスト全域にわたって均一な磁気ブラシが形成されているため、最初から安定した帯電が行え、良好な画像が得られ、作像カートリッジに異常は生じなかった。これに対して、帯電スリーブ2bを回転させることなく前述の如く磁性粒子2dが偏った状態のまま作像を行った場合は、スラスト方向右半分はカブリ(ベタ)が発生し、正常な画像の領域とカブリの領域の境界には磁性粒子が付着していた。また、作像カートリッジのスラスト方向中央部の現像スリーブ4bから規制ブレード4dにかけて磁性粒子が付着していた。
【0088】
この結果より、未使用の作像カートリッジを本体にセットした後、操作パネル(不図示)より帯電スリーブ2bを回転させる命令を入力し、一定時間(ここでは120秒間)回転させることで、初期から良好な作像を行うことができた。
【0089】
〔第1実施形態〕
本実施形態では、前述した作像カートリッジに不揮発性メモリを設け、そこにカートリッジが未使用であるかそうでないかを判断する情報を記録させ、未使用である場合には自動的に帯電スリーブを一定時間回転させる構成としている。尚、これ以外の構成は前述した参考例と同様である。
【0090】
まず、本体に1度もセットされていない未使用カートリッジには、その不揮発性メモリのカートリッジ状態を示すアドレスに「0」を入力しておく。
【0091】
そして、本体の電源が入った時や、作像カートリッジが本体内に入れられた時には、前記不揮発性メモリのカートリッジ状態を示すアドレスの値を読み出し、「0」であれば、自動的に帯電スリーブを所定時間(本実施形態では120秒間)回転させる。そして、回転終了後は、そのアドレス値に「1」を書き込むことで、次回電源ON時や、カートリッジの出し入れ後の帯電スリーブの回転を省くことができる。また、帯電スリーブを自動的に一定時間回転させることで、カートリッジのイニシャライズ(初期化)を必ず行うことができ、前述の如き磁性粒子の感光体付着やカブリ発生を確実に防ぐことができる。
【0092】
尚、前述の如くカートリッジの状態を示すアドレスを独立で設ける他に、前記不揮発性メモリに記録されている他の情報を代用する構成としても良い。例えば、通紙枚数に「0」を記録しておき、帯電スリーブの回転を行った後に、「1」を書き込むことでも、同様の動作が可能となる。
【0093】
〔第2実施形態〕
本実施形態では、前述の如く、最初の帯電動作の前に、帯電スリーブを回転させている間は、前記感光体ドラムも回転させる構成としている。尚、これ以外の構成は前述した参考例及び実施形態と同様である。
【0094】
磁気ブラシ帯電を用いたクリーナレスプロセスにおいては、帯電器で一時的に取り込んだ転写残トナーを効率良く負極に摩擦帯電して、トナー飛散の防止や吐き出しトナーの現像での回収性を良くするために、磁性粒子の表面を帯電系列で正極側になるようにコート処理を行う。その結果、感光体ドラム表面と磁性粒子の帯電系列上の距離が大きくなり、磁気ブラシ帯電器の磁気ブラシ部と感光体ドラムの間で摩擦帯電が起きる可能性がある。
【0095】
このような場合、感光体ドラム表面が負極に摩擦帯電し、その度合いが強い場合は、直後に作像を行うと感光体ドラム周期で濃度の薄い横筋が発生する。
【0096】
このことをふまえ、本実施形態では、最初の帯電動作の前に、帯電スリーブを所定時間回転する間、感光体ドラムも回転させている。これにより、感光体ドラムを回転させない場合に、直後にハーフトーン画像を作像すると、図9に示すように濃度の低い筋が出たのに対し、感光体ドラムを回転させた場合は均一なハーフトーンの作像ができた。
【0097】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジとして、本発明を適用した帯電装置を一体に有するプロセスカートリッジ、更に詳しくは感光体ドラムと、該感光体ドラムに作用するプロセス手段としての帯電手段,現像手段を一体に有するプロセスカートリッジを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、感光体ドラムの他に、帯電手段、現像手段(或いはクリーニング手段)のうち、いずれか1つを一体に有するプロセスカートリッジであっても良い。
【0098】
更に前述した実施形態では、感光体ドラムを含むプロセスカートリッジが画像形成装置本体に対して着脱自在な構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば各構成部材がそれぞれ組み込まれた画像形成装置、或いは各構成部材がそれぞれ着脱可能な画像形成装置であっても良い。
【0099】
また前述した実施形態では、帯電装置を含むカートリッジに不揮発性メモリを設け、そこにカートリッジが未使用であるかそうでないかを判断する情報を記録させる構成を例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、帯電装置に前記不揮発性メモリを設け、そこに帯電装置が未使用であるかそうでないかを判断する情報を記録させる構成としても良い。
【0100】
また前述した実施形態では、画像情報書き込み装置である露光手段としてレーザースキャナを使用したが、これに限定されるものではなく、例えばLEDアレイ等を使用しても良い。
【0101】
また前述した実施形態では、モノクロ画像形成を行う画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではなく、カラー画像形成を行う画像形成装置であっても良い。この場合、前述の如きプロセスカートリッジを複数使用するが、この使用個数は限定されるものではなく、必要に応じて適宜設定すれば良い。或いは、プロセスカートリッジに限らず、各構成部材を各色毎に配置構成した装置であっても良い。
【0102】
また前述した実施形態では、画像形成装置としてプリンタを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置などであっても良く、該画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、初期の帯電が安定して行え、安定した良好な画像形成を持続して行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成例を示す概略構成図
【図2】画像形成装置の動作シーケンス図
【図3】感光体の層構成模型図
【図4】磁気ブラシ帯電装置の拡大横断面模型図
【図5】帯電回路の等価回路図
【図6】磁性粒子(帯電キャリア)の電気抵抗値(体積抵抗値)の測定要領説明図
【図7】現像装置の拡大横断面模型図
【図8】帯電装置の磁性粒子の充填状態を示す図
【図9】感光体ドラムを回転させないで帯電スリーブを回転させた後に作像を行ったときのハーフトーン画像を示す図
【符号の説明】
E2 …帯電バイアス印加電源
E4 …現像バイアス印加電源
E5 …転写バイアス印加電源
N …帯電ニップ部
P …被転写材
T …転写ニップ部
m …接触ニップ部
1 …感光体ドラム
1a …ドラム基体
1b …下引き層
1c …正電荷注入防止層
1d …電荷発生層
1e …電荷輸送層
1f …電荷注入層
1g …導電性微粒子
2 …磁気ブラシ帯電装置
2A …磁気ブラシ帯電器
2B …容器
2a …マグネットロール
2b …非磁性ステンレス製スリーブ
2c …磁気ブラシ部
2d …磁性粒子
2e …磁気ブラシ層厚規制ブレード
3 …レーザービームスキャナ
4 …現像装置
4a …現像容器
4b …現像スリーブ
4c …磁石
4d …現像剤層厚規制ブレード
4e …現像剤攪拌搬送スクリュー
4f …現像剤
4f′ …現像剤磁気ブラシ薄層
4g …トナー補給部
5 …転写装置
5a …転写ベルト
5b …駆動ローラ
5c …従動ローラ
5d …導電性ブレード
6 …給紙カセット
7 …給紙ローラ
8 …搬送ローラ
9 …シートパス
10 …シートパス
11 …定着装置
12 …導電性ブラシ
17,18 …電極
19 …絶縁物
20 …電流計
21 …電圧計
22 …定電圧電源
24 …ガイドリング
Claims (3)
- 回転可能な感光体と、磁性粒子と磁性粒子を担持する磁性粒子担持体を備え、前記感光体と接触して帯電する磁気ブラシ帯電手段と、カートリッジが未使用であるか否かを判断するための情報を記録する不揮発性メモリと、を備えるカートリッジを装着可能な画像形成装置において、
前記不揮発性メモリに記録された情報に基づき、前記カートリッジが未使用である場合に、画像形成を行うために前記感光体を帯電する前に前記磁性粒子を前記磁性粒子担持体に均一に担持させるべく前記磁性粒子担持体を所定時間回転させるイニシャライズ動作を実行するとともに、前記カートリッジが使用済みである場合に、前記イニシャライズ動作を省くことを特徴とする画像形成装置。 - 前記感光体は回転可能な電荷注入帯電性を備える電子写真感光体であって、
前記カートリッジは、前記感光体上に形成される静電像をトナーで現像するとともに、前記感光体上に付着するトナーを回収する現像手段と、
前記感光体の回転方向において、前記現像手段によって現像されたトナー像を被転写材に転写するための転写部よりも下流側で前記磁気ブラシ帯電手段よりも上流側に配置され、前記感光体上に付着するトナーを帯電する補助帯電手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記イニシャライズ動作中に前記磁性粒子担持体を所定時間回転させる間前記感光体を回転させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
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