JP2006195409A - 画像出力装置、出力画像制御方法および出力画像制御プログラム - Google Patents

画像出力装置、出力画像制御方法および出力画像制御プログラム Download PDF

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直樹 高橋
Kazumasa Hayashi
一雅 林
Akinori Toyoda
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正雄 大塚
Akinobu Okuda
晃庸 奥田
Hideki Yasuda
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Abstract

【課題】 安定して出力画像を制御する画像出力装置を提供する。
【解決手段】 画像出力装置は、基準パターンに対する制御量と操作量との関係を与えるデータを記憶するデータベースを備える。装置は、基準パターンに対する目標値からデータベースのデータを使って操作量の値を得ることにより、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を複数組算定する。算定した操作量の値を用いて出力した基準パターンの複数の画像に対する検出値に基づいて、目標値に応じた操作量の設定値を算出する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機やファクシミリ、プリンタ、複合機のような画像形成装置やその他の画像出力装置に関し、特に出力画像の品質を目標値に基づいて制御する技術に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、用紙上に形成した画像や感光体上に形成したトナー像の濃度パッチを用いて画像濃度の制御を行っている。画像濃度を制御しなければ、環境条件や、装置の経時的な変化により、画像の再現性が損なわれてしまう。一般的には、濃度パッチの濃度を検出しその検出値をフィードバックすることにより画像濃度を制御する。例えば画像形成装置は、帯電器のグリッド電圧やレーザ出力部のレーザパワーを検出値に応じて操作する。一般的な手法では、目標範囲内に濃度が収束するまでに濃度パッチを形成する回数を抑えるのが難しい。
特許文献1は、過去の制御事例データを使って画像濃度を制御する画像形成装置を開示している。制御事例データは、状態量の値に、操作量の値および濃度パッチに対する検出値を関連付ける。状態量は温度や湿度などである。状態量は事例の発生時刻で代用することもできる。操作量は、例えば帯電器のグリッド電圧やレーザ出力部のレーザパワーである。濃度パッチには、ベタ濃度のパッチとハイライト濃度のパッチを用いている。この画像形成装置は、画像濃度を制御するとき状態量を検出し、その検出値に応じた制御事例を抽出する。抽出した制御事例を用いて、両パッチの濃度値をそれぞれの目標値に制御する。
各事例は、例えば図17に示すような制御事例空間CS中の点として表現することができる。複数の事例で状態量の変化が実質的にない場合、これらの事例が制御事例空間CS内で平面を形成するものとして扱われる。その平面を定めるため、状態量が実質的に変わらない、少なくとも3組の操作量M1乃至M3を用いる。各事例は2種類のパッチに対する濃度の検出値B1乃至B3およびH1乃至H3を含むので、図17は2種類のパッチに対応した2つの事例平面BPおよびHPを示している。
図18に示すように、2種類のパッチに対する目標濃度もそれぞれ平面BTPおよびHTPで与えられる。ベタ濃度に対する事例平面BPとベタ濃度に対する目標濃度平面BTPとの交線BTLが、ベタ濃度に対する目標濃度を実現する操作量の集合を与える。またハイライト濃度に対する事例平面HPとハイライト濃度に対する目標濃度平面HTPとの交線HTLが、ハイライト濃度に対する目標濃度を実現する操作量の集合を与える。グリッド電圧およびレーザパワーが形成する平面に交線BTLおよびHTLを射影したときの交点TPは、ベタ濃度とハイライト濃度の両方の目標濃度を実現する操作量の値を与える。
上述のようにして得た操作量の値で帯電器やレーザ出力部を動作させることにより、この画像形成装置は画像濃度を制御する。画像濃度を制御するのに、そのときの状態量に応じて少なくとも3組の制御事例を用意すればよいので、一般的な手法と較べて濃度パッチを形成する回数を抑えることができる。
特開平10−63048号公報
しかしながら、この画像形成装置では、様々な状態量に対して制御事例を蓄積する必要がある。温度や湿度のような環境条件や経時的な変化により状態量が装置の稼動時に変動するので、その変動に応じて制御事例を収集しなければならない。
また3組の事例から定めた平面が、装置の実際の特性を十分に表さない場合もある。操作量に対する画像濃度の特性は必ずしも線形ではない。さらに電子写真プロセスのような複雑な系では、状態量の変化に対しても画像濃度が非線形に変動する。
このため、3組の事例が適当でなければ、それらの事例から定めた平面と本来の非線形な特性との乖離が大きくなる。乖離が大きくなると、制御事例平面と目標濃度平面とが調整可能な範囲で交わらなくなり、画像濃度を制御することが困難になる。
このような問題は同様の手法で、輝度や色相、光沢度のような画像濃度とは異なる物理量について出力画像を制御する場合にも起こり得る。
本発明は、このような従来の課題を解決するもので、装置の稼動時に制御事例を多数収集しなくても、安定して出力画像を制御することのできる画像出力装置、出力画像制御方法および出力画像制御プログラムを提供することを目的とする。
本発明の画像出力装置において、画像出力部は複数の操作量の値に応じて画像を出力する。検出部は基準パターンの出力画像の制御量を検出する。データ記憶部は基準パターンに対する制御量と操作量との関係を与えるデータを記憶する。基準パターン出力値算定部は、基準パターンに対する目標値からデータ記憶部のデータを使って操作量の値を得ることにより、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を複数組算定する。操作量算出部は、算定した操作量の値を用いて出力した基準パターンの複数の画像に対する検出値に基づいて、目標値に応じた操作量の設定値を算出する。
操作量算出部は、基準パターンの複数の画像に対する検出値と各画像を出力するのに用いた操作量の値とから、線形近似した出力特性を得る処理と、線形近似した出力特性に基づいて、目標値に応じた操作量の設定値を算出する処理とを行うことができる。
基準パターン出力値算定部は、複数の操作量のうち制御量に最も支配的な操作量の値を優先的に変化させることにより、データ記憶部のデータを使って操作量の値を得ることができる。
基準パターン出力値算定部は、操作量の設定値と目標値に対応する制御量の値を関連付けた操作量の値とに基づいて、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を算定することができる。
データ記憶部は、例えば操作量の値に制御量の値を関連付けるレコードを複数有するデータベースである。基準パターン出力値算定部は、目標値に対応する制御量の値を関連付けた操作量の値をデータベースのデータから得ることにより、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を算定することができる。
また画像出力装置は、データ記憶部から得た操作量の値を使って出力した基準パターンの画像に対する検出値に基づいて、データ記憶部のデータを更新するデータ更新部をさらに備えるようにしてもよい。
データ更新部は、制御量と操作量との関係を線形近似した場合の近似誤差に基づいて、操作量の範囲を設定することができる。
画像形成装置において、基準パターン出力値算定部は、基準パターンの出力画像に対する検出値を目標値にするのに最適と予測される操作量の値を算出する処理と、算出した最適予測値の近傍にある操作量の値をデータ記憶部のデータを使って得る処理とを行うようにしてもよい。
操作量算出部は、操作量の設定値および最適予測値の近傍にある操作量の値を用いて出力した基準パターンの複数の画像に対する検出値に基づいて、目標値に応じた操作量の設定値を算出することができる。
他の観点では、本発明は画像形成装置を提供する。その画像形成装置において、帯電器は感光体表面を一様に帯電させる。レーザ出力部は感光体の一様に帯電した面を露光することにより、感光体表面に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像器は感光体表面の静電潜像をトナーで現像することにより、感光体表面にトナー像を形成する。センサは感光体表面に形成された基準パターンのトナー像の濃度を検出する。データベースは帯電器およびレーザ出力部への入力値と基準パターンに対する濃度の値との関係を与えるデータを記憶する。基準パターン出力値算定部は、基準パターンに対する濃度の目標値からデータベースのデータを使って、帯電器およびレーザ出力部への入力値を得ることにより、基準パターンのトナー像を形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値を複数組算定する。操作量算出部は、算定した帯電器およびレーザ出力部への入力値を用いて形成した基準パターンの複数のトナー像に対する検出値と目標値とに基づいて、画像を形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値の設定値を算出する。
この画像形成装置において、操作量算出部は、帯電器の入力値の設定値に応じて現像器への入力値の設定値を算出するようにしてもよい。
また基準パターン出力値算定部は、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチそれぞれに対する濃度の目標値から、帯電器およびレーザ出力部への入力値を得ることにより、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチを形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値を少なくとも2組算定するようにしてもよい。
基準パターン出力値算定部は、ベタ濃度パッチに対する濃度の目標値から帯電器およびレーザ出力部への入力値を得る場合に、優先的に変化させる値としてレーザ出力部への入力値を選択し、ハイライト濃度パッチに対する濃度の目標値から帯電器およびレーザ出力部への入力値を得る場合に、優先的に変化させる値として帯電器への入力値を選択することができる。
また基準パターン出力値算定部は、ベタ濃度パッチの濃度をベタ濃度パッチに対する目標濃度に合わせるための操作量の予測値が形成する予測ラインを特定する処理、ハイライト濃度パッチの濃度をハイライト濃度パッチに対する目標濃度に合わせるための操作量の予測値が形成する予測ラインを特定する処理、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチそれぞれに対する予測ラインを用いて、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチを形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値を算定する処理を行うようにしてもよい。
さらに基準パターン出力値算定部は、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチそれぞれに対する予測ラインを用いて、ベタ濃度パッチの濃度をベタ濃度パッチに対する目標濃度に合わせ、かつハイライト濃度パッチの濃度をハイライト濃度パッチに対する目標濃度に合わせるのに最適と予測される操作量の値を算出する処理と、算出した最適予測値の近傍に操作量の値をデータベースのデータを使って得る処理とを行うことにより、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチを形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値を算定するようにしてもよい。
さらに他の観点では、本発明は基準パターンを用いて出力画像を制御する出力画像制御方法を提供する。その出力画像制御方法は、基準パターンに対する制御量と操作量との関係を与えるデータを記憶するデータ記憶部のデータを使って、基準パターンに対する目標値から操作量の値を得ることにより、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を複数組算定する手順、算定した操作量の値を用いて基準パターンの画像を複数出力する手順、そして基準パターンの出力画像の制御量に対する検出値に基づいて、目標値に応じた操作量の設定値を算出する手順を備える。
さらに他の観点では、本発明は上述の出力画像制御方法における手順を画像出力装置に実行させるための出力画像制御プログラム、およびその出力画像制御プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体を提供する。
このような構成を採用することにより、本発明では、装置の稼動時に制御事例を多数収集しなくても安定して出力画像を制御することができる。
この実施の形態では、与えられた目標値に応じてトナー像の濃度を制御することにより画質を安定させる電子写真方式の画像形成装置として本発明を具体化している。
図1は本実施の形態における画像形成装置の概略構成を説明するための図である。画像形成装置1は、画像形成部2および画像濃度制御部3を備える。
画像形成部2は、入力された画像信号に応じたモノクロ画像を電子写真プロセスで用紙上に形成する。画像形成部2は、矢印Y1方向に回転可能な感光体ドラム4を備える。感光体ドラム4の周囲にはスコロトロン帯電器5、レーザ出力部6、現像器7、転写器8およびクリーナ9を備え、用紙の搬送経路上には定着器10を備える。
スコロトロン帯電器5は、感光体ドラム4表面を一様に帯電させる。レーザ出力部6は、一様に帯電した感光体ドラム4表面に、画像信号に応じて変調されたレーザ光を照射する。その照射により、画像信号に応じた静電潜像が感光体ドラム4表面に形成される。
現像器7は、現像ローラを使って静電潜像にトナーを付着させることにより、感光体ドラム4表面の静電潜像を現像する。現像器7には、一成分現像器や二成分現像器を用いることができる。一成分現像器はトナーのみを現像剤として用い、現像ローラでトナーを摩擦帯電させる。二成分現像器は、トナーと磁性体キャリアとの混合剤を現像剤として用いる。ここでは、二成分現像器を用いる。現像器7が内部で現像剤を攪拌すると、トナーはその攪拌により帯電する。静電潜像には、帯電したトナーのみが付着する。これにより、可視のトナー像が感光体ドラム4表面に形成される。トナーの消費によりトナーとキャリアの混合比率が変わると、画像濃度に影響を与えるので、トナーは消費量に応じて適宜補給される。
転写器8は、感光体ドラム4表面のトナー像を用紙に転写する。クリーナ9は、感光体ドラム4表面に残留したトナーを除去する。定着器10は、転写したトナー像を用紙に定着させる。このようにして、画像形成部2は、画像信号に応じた画像を用紙上に形成する。
また画像形成部2は、濃度センサ11をさらに備える。センサ11は、現像器7と転写器8との間に配置している。センサ11は、感光体ドラム4表面に対向しており、感光体ドラム4表面に形成されたトナー像の濃度を検出することができる。
画像濃度制御部3は、センサ11の検出値を用いて、感光体ドラム4表面に形成されたトナー像の濃度を制御する。図1に示すように、画像濃度制御部3はCPU31やバス32を備える。CPU31は、バス32を通じてI/F回路33やROM34、RAM35と接続されている。I/F回路33は、画像形成装置1の図示しない他の制御系とCPU31が通信をするための回路である。ROM34は、制御プログラム36を記憶している。制御プログラム36は、出力画像の濃度を制御するために必要な指令を画像形成装置1に与えるためのプログラムである。画像形成装置1本体の電源を投入すると、CPU31は、ROM34から制御プログラム36を読み出し、RAM35上で制御プログラム36を動作させる。CPU31は、必要に応じI/F回路33を介して他の制御系と通信しながら、制御プログラム36の指令に従って画像濃度を制御する。またバス32にはI/F回路37も接続されている。画像濃度を制御するとき、CPU31はI/F回路37を介して、センサ11の検出値を得たり、帯電器5やレーザ出力部6に設定値を与えたりする。
図2はこの実施の形態における画像形成装置の画像濃度制御に係る機能的な構成を説明するためのブロック図である。制御プログラム36の指令に従って動作することにより、画像形成装置1の画像濃度制御部3は、設定データ記憶部301、目標データ記憶部302、画像濃度データベース303、基準パターン出力値算定部304、検出データ記憶部305および操作量算出部306を備える。
設定データ記憶部301は、スコロトロン帯電器5に印加するグリッド電圧の設定値およびレーザ出力部6のレーザパワーの設定値のデータを記憶する。帯電器5には、図2に示すようにグリッド電源201が接続されており、レーザ出力部6には光量コントローラ202が接続されている。グリッド電源201は、設定データ記憶部301から得た設定値に応じた電圧を帯電器5のグリッドに印加する。光量コントローラ202は、その設定値に応じてレーザ出力部6のレーザパワーを調整する。この実施の形態において、画像濃度制御部3は、グリッド電圧値とレーザパワーを操作量として用いることで画像濃度を制御する。
目標データ記憶部302は、基準パターンに対する目標濃度のデータを記憶する。このデータは、例えばROM34に予め記憶することにより、装置に設定することができる。オペレータがダイヤル等で目標濃度を指示することにより、その設定を調整するようにしてもよい。画像濃度制御部3は、基準パターンの出力画像に対するセンサ11の検出値と目標濃度とを比較することで画像濃度を制御する。この実施の形態では、ベタ濃度に対するパッチとハイライト濃度に対するパッチで基準パターンを与える。操作量に上述の2つに用いるのは、ベタ濃度部およびハイライト濃度部と両操作量の相関が一般に高いためである。目標濃度は、両パッチそれぞれに対して用意される。
図3は基準パターンの例を説明するための図である。基準パターンP0は矩形のベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2を含む。この図では、ベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2をこの順で上下方向に配列している。例えば、ベタ濃度パッチP1は被覆率100パーセントのパッチであり、ハイライト濃度パッチP2は被覆率20パーセントのパッチである。画像形成部2は両パッチP1およびP2を感光体ドラム4表面に形成する。濃度の異なるパッチの数は2つに限らず3つ以上であってもよい。また各パッチの被覆率も他の値であってもよい。
画像濃度データベース303は、基準パターンに対する制御量と操作量との関係を与えるデータを記憶する。このデータは、装置を稼動させる前に予めROM34に格納しておくことができる。ここでは、制御量の値を操作量の値に関連付けるレコードを画像濃度データベース303が複数有する。
図4は画像濃度データベースの構成の例を説明するための図である。図4Aは2つの操作量で構成する平面を示している。横軸がレーザパワーであり、縦軸がグリッド電圧である。平面上の格子点(黒丸)は、画像濃度データベース303の各レコードを示す。各レコードは2つの操作量をそれぞれ一定間隔で変化させたときのデータである。この例では、グリッド電圧およびレーザパワーの値を0から255までの値で表現しており、グリッド電圧については80から200までの値で、またレーザパワーについては60から180までの間で、30毎にデータを用意している。
図4Bは画像濃度データベースの各レコードの具体例を示す。各レコードは、ベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2に対する濃度値を2つの操作量に関連付ける。例えばグリッド電圧の値が「80」でレーザパワーの値が「60」のレコードは、ベタ濃度パッチP1に対する濃度値として「1.48」を含み、ハイライト濃度パッチP2に対する濃度値として「0.39」を含む。
各レコードのデータには、典型的な環境条件下で代表機を用いて予め測定したデータを用いることができる。実機を稼動させる前に、代表機で得たデータをその個体の画像濃度データベース303に格納する。
基準パターン出力値算定部304は、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を複数組算定する。この実施の形態において、基準パターン出力値算定部304は、ベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2を感光体ドラム4表面に形成するときの2つの操作量の値を2組算定する。一組は、形成する両パッチP1およびP2のうち、ベタ濃度パッチP1の濃度をベタ濃度の目標値に合わせるための操作量の値である。もう一組は、ハイライト濃度パッチP2の濃度をハイライト濃度の目標値に合わせるための操作量の値である。
その算定のため、基準パターン出力値算定部304は、両パッチP1およびP2それぞれに対する目標濃度から画像濃度データベース303のデータを使って操作量の値を得る。画像濃度データベース303を構築するのに利用した代表機と実機とでは個体差があるものの、代表機と実機の特性は基本的に共通する。したがって、ベタ濃度パッチP1に対する目標濃度から画像濃度データベース303のデータを使って操作量の値を得ることにより、その目標濃度に近い濃度を有したベタ濃度パッチP1を形成することができる。またハイライト濃度パッチP2に対する目標濃度から操作量の値を得ることにより、その目標濃度に近い濃度を有したハイライト濃度パッチP2を形成することができる。
基準パターン出力値算定部304は、両パッチP1およびP2それぞれに対する目標濃度を目標データ記憶部302から取得する。目標濃度を取得すると、基準パターン出力値算定部304は、その目標濃度に対応する濃度値を関連付けた操作量の値を画像濃度データベース303から得る。
画像濃度データベース303において、目標濃度に対応する濃度値を有したレコードが一つとは限らない。基準パターン出力値算定部304は、現在の操作量の設定値を使って、適当なレコードを探す。現在の操作量の設定値は、画像濃度を制御する段階で設定データ記憶部301に記憶されている値である。
図5は画像濃度データベースに記憶されているベタ濃度パッチに対する濃度値の例を示す図である。この図において、各格子点の右肩にある数字が、対応するレコードのベタ濃度パッチP1に対する濃度値を示す。ベタ濃度パッチP1に対する目標濃度が「1.60」であれば、4つの点C1乃至C4に対応するレコードの値が目標濃度に近い。図5のその他の内容は図4と同様である。横軸はレーザパワーであり、縦軸はグリッド電圧である。現在の、レーザパワーの設定値が「90」でありグリッド電圧の設定値が「110」であれば、2つの操作量の設定値は、図5上で点A1として表現される。目標値および操作量の値がこの通りであれば、基準パターン出力値算定部304は、点C3に対応するレコードから操作量の値を得る。
この実施の形態において、基準パターン出力値算定部304は、複数の操作量のうち制御量に最も支配的な操作量の値を優先的に変化させることにより、画像濃度データベース303から操作量の値を取得する。実験結果によれば、ベタ濃度については、レーザパワーの方がグリッド電圧よりも支配性が高い。レーザパワーを変化させると、ハイライト濃度領域もよりもベタ濃度領域で濃度が大きく変化する。逆にハイライト濃度については、グリッド電圧の方がレーザパワーよりも支配性が高い。ベタ濃度やハイライト濃度といった複数の濃度を制御するとき、特定の濃度に支配的なパラメータが存在することは、制御性の上で非常に有用である。
上述の通り、ベタ濃度については、2つの操作量のうちレーザパワーが最も支配的である。このため、基準パターン出力値算定部304は、レコードを探す場合に、グリッド電圧については現在の設定値と変わらず、レーザパワーについては現在の設定値と異なるレコードを優先する。4つの点C1乃至C4のうち、グリッド電圧の値が現在の設定値と変わらないのは点C3だけである。
より詳細には、基準パターン出力値算定部304は、現在の操作量の設定値を取得すると、その値に対応する濃度値をデータベース303から読み出す。点A1が現在の操作量の設定値を表していれば、その点A1に対する濃度値として基準パターン出力値算定部304は、「1.55」を画像濃度データベース303から読み出す。
画像濃度データベース303から濃度値を読み出すと、基準パターン出力値算定部304は、現在の操作量の設定値を用いてベタ濃度パッチP1を形成したときの濃度の検出値と比較する。実際の検出値が「1.54」であれば、その検出値はデータベース303から読み出した濃度値よりも「0.01」小さい。この差は、環境条件や経時条件などの現在の状態量と、画像濃度データベース303のデータを得たときの状態量とのずれを表している。
読み出した値を実際の検出値から差し引いた値が0でない場合、基準パターン出力値算定部304は、目標データ記憶部302から得た目標濃度にその差を加算して補正目標濃度を計算する。そして基準パターン出力値算定部304は、目標データ記憶部302から得た目標濃度の代わりに、補正目標濃度に対応する濃度値を関連付けた操作量の値を画像濃度データベース303から得る。上述の通り、目標濃度が「1.60」であり、実際の検出値が読み出した値よりも「0.01」小さければ、補正目標濃度は「1.59」である。この場合、補正目標濃度に近い濃度値を有するレコードも、4つの点C1乃至C4に対応するレコードである。基準パターン出力値算定部304は、上述したように点C3に対応するレコードを選択する。
基準パターン出力値算定部304は、選択したレコードから操作量の値を読み出し、その値を使って、ベタ濃度パッチP1を形成するときの操作量の値を算定する。点C3に対応するレコードの濃度値は「1.59」であり、上述の補正目標濃度と一致する。このように補正目標濃度とレコードの濃度値とが一致する場合、基準パターン出力値算定部304は、そのレコードのデータを参照するだけで、ベタ濃度パッチP1を形成するときの操作量の値を定めることができる。点C3に対応するレコードからは、レーザパワーおよびグリッド電圧の値として「120」および「110」をそれぞれ得ることができる。
上述の例では、現在の設定値とグリッド電圧の値が変わらないレコードを探した。しかしながら、現在の設定値とグリッド電圧の値が同じレコードには、目標濃度または補正目標濃度に対応する濃度値を有するレコードがない場合もある。その場合、基準パターン出力値算定部304は、グリッド電圧の値と現在の設定値との差が小さいレコードを優先する。例えば目標濃度が「1.67」であり、現在の操作量の設定値やその設定値に対応する検出値は前の例と同じであれば、補正目標濃度は「1.66」となる。この補正目標濃度は、現在の設定値からグリッド電圧を変えない場合の最高値「1.65」よりも大きい。このため、その補正目標濃度に近い濃度値を有するレコードは、3つの点D1乃至D3に対応するレコードになる。それらレコードのうち、グリッド電圧の値と現在の設定値との差が最も小さいレコードは、点D3に対応するレコードである。
基準パターン出力値算定部304は、点D3に対応するレコードから読み出した濃度値と補正目標濃度とを比較する。点D3に対応するレコードの濃度値は「1.67」であり、補正目標濃度は「1.66」であるので、補正目標濃度はそのレコードの濃度値より「0.01」小さい。このようにレコードから読み出した濃度値と補正目標濃度が一致しなければ、基準パターン出力値算定部304は、内挿により操作量の値を算定するようにしてもよい。
内挿により操作量の値を算定するため、基準パターン出力値算定部304は、点D3に対応するレコードとグリッド電圧の値が同じレコードから、点D3に対応するレコードの次に濃度値が補正目標濃度に近いレコードを探す。図5の例であれば、点D3に対応するレコードの次に濃度値が補正目標濃度に近いレコードは点E1に対応するレコードである。そのレコードを探すと、基準パターン値算定部304は、点D3に対応するレコードだけでなく点E1に対応するレコードからも、濃度値およびレーザパワーの値を読み出す。両レコードから読み出した濃度値の差は「0.04」であり、レーザパワーの差は「30」である。また補正目標濃度と点E1に対応するレコードから読み出した濃度値との差は「0.03」である。これらの値から、基準パターン値算定部304は、補正目標濃度に対応するレーザパワーの値として「143」を計算することができる。したがって、基準パターン出力値算定部304は、レーザパワーおよびグリッド電圧の値として「143」および「140」をそれぞれ得る。
このようにして基準パターン出力値算定部304は、ベタ濃度パッチP1の濃度をベタ濃度の目標値に合わせるための操作量の値を算定することができる。ハイライト濃度パッチP2の濃度を目標値に合わせるための操作量の値も同様にして算定することができる。
検出データ記憶部305は、濃度センサ11の検出値のデータを記憶する。画像形成部2が感光体ドラム4表面にベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度P2を形成すると、画像濃度制御部3は濃度センサ11を用いて両パッチP1およびP2の濃度値をそれぞれ検出する。検出データ記憶部305は、パッチP1およびP2それぞれに対する検出値と、そのパッチP1およびP2を形成するときに用いた操作量の値のデータを少なくとも3組記憶する。そのうちの2組は、基準パターン出力値算定部304が算定した操作量の値に対するデータである。残りの一組は、設定データ記憶部301に記憶されている現在の操作量の設定値に対するデータである。基準パターン出力値算定部304は、操作量の値を算定するとき、現在の操作量の設定値と、その設定値を用いて形成したパッチP1およびP2それぞれに対する検出値のデータを検出データ記憶部305から取得する。
操作量算出部306は、算定した操作量の値を用いて出力した基準パターンの複数の画像に対する検出値と各画像を出力するのに用いた目標値とに基づいて、入力された画像信号に応じて画像を出力するときの操作量の設定値を算出する。操作量算出部306は、基準パターンの複数の画像に対する検出値と各画像を出力するのに用いた操作量の値とから、線形近似した出力特性を得る処理を行う。
特開平10−63048号公報に記載の画像形成装置は、状態量に応じて抽出された3組の操作量を用いて制御事例平面を定めることにより、装置の出力特性を線形近似している。
これに対し、操作量算出部306は、基準パターン出力値算定部304により算定した操作量の値を用いる。基準パターン出力値算定部304により算定した操作量の値を用いてベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2を形成すると、少なくともいずれか一方のパッチの濃度が目標値付近の濃度になる。その濃度の検出値、および算定した操作量の値を用いて、ベタ濃度およびハイライト濃度に対する事例平面をそれぞれ定める。操作量算出部306は、ベタ濃度に対する事例平面とベタ濃度に対する目標濃度平面との交線を求め、ハイライト濃度に対する事例平面とベタ濃度に対する目標濃度平面との交線を求める。ベタ濃度およびハイライト濃度それぞれに対する交線を求めると、操作量算出部306は、複数の操作量で構成される平面に射影した2つの交線の交点を定めることにより、目標値に応じた操作量の設定値を算出する。
上述したような各機能を制御プログラム36の指令に従って実現することで、画像濃度制御部3を含む画像形成装置1は、出力画像制御方法における各手順を実行する。
図6は本実施の形態における出力画像制御方法の手順を説明するためのフローチャートである。画像形成装置1は、オペレータの指示や遠隔地からの指令、自動判定の結果に従って、制御を開始する。制御を開始すると、画像形成装置1は、設定データ記憶部301に記憶された現在の操作量の設定値を用いて、感光体ドラム4表面にベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2を形成する(手順601)。両パッチP1およびP2を形成すると、画像形成装置1は濃度センサ11を用いて両パッチP1およびP2の濃度をそれぞれ検出する。両パッチP1およびP2の濃度を検出すると、画像形成装置1は、現在の操作量の設定値、および検出値のデータを検出データ記憶部305に記憶する。
画像濃度制御部3は、検出データ記憶部305から現在の操作量の設定値、および対応する検出値のデータを取得する(手順602)。また目標データ記憶部302から両パッチP1およびP2それぞれに対する目標濃度のデータを取得する(手順603)。
検出値および目標濃度のデータを取得すると、画像濃度制御部3は、検出値と目標濃度の差が許容範囲内かどうかを判定する(手順604)。許容誤差範囲内である場合、画像濃度制御部3は、制御処理を終了する。
許容誤差範囲内でない場合、画像濃度制御部3は、ベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2の一方の濃度を目標濃度に合わせるための操作量の値を算定し、その後、他方のパッチの濃度を目標濃度に合わせるための操作量の値を算定する。ここでは、先にベタ濃度パッチP1の濃度を目標濃度に合わせるための操作量の値を算定する。
画像濃度制御部3は、現在の操作量の設定値に対応するレコードを画像濃度データベース303から探し、そのレコードのデータから濃度値を決定する(手順605)。操作量の値が現在の設定値と一致するレコードが画像濃度データベース303にあれば、ベタ濃度パッチP1に対する濃度値をそのレコードから読み出す。また操作量の値が現在の設定値と一致するレコードがなければ、4つのレコードのデータを使って内挿により濃度値を決定する。
濃度値を決定すると、画像濃度制御部3は、画像濃度データベース303のデータを使って決定した濃度値とベタ濃度パッチP1に対する検出値が一致するかどうかを判定する(手順606)。決定した濃度値と検出値が一致しない場合、画像濃度制御部3は、補正目標濃度を計算する(手順607)。
決定した濃度値と検出値が一致するか、補正目標濃度を計算すると、画像濃度制御部3は、優先操作量を決定する(手順608)。ベタ濃度パッチP1の濃度を目標濃度に合わせるための操作量の値を算定する場合、既述のように、グリッド電圧およびレーザパワーのうち、レーザパワーを優先操作量として決定する。ハイライト濃度パッチP2の濃度を目標濃度に合わせるための操作量の値を算定する場合は、グリッド電圧を優先操作量として決定する。
優先操作量を決定すると、画像濃度制御部3は、目標濃度または補正目標濃度に対応するレコードのうちから、優先操作量の変化が大きくなり、その他の操作量の変化が小さくなるレコードを選択する。レコードを選択すると、そのレコードのデータから操作量の値を読み出すことにより、ベタ濃度パッチP1の濃度をベタ濃度の目標値に合わせるための操作量の値を算定する(手順609)。選択したレコードのベタ濃度パッチP1に対する濃度値が目標濃度または補正目標濃度に一致する場合には、そのレコードからデータを読み出すだけで、操作量の値を定めることができる。一致しない場合には、内挿により操作量の値を算定することができる。
操作量の値を算定すると、画像形成装置1は、算定した操作量を用いて感光体ドラム4表面にベタ濃度パッチP1を形成し(手順610)、形成したベタ濃度パッチP1の濃度をセンサ11により検出する。形成したベタ濃度パッチP1の濃度を検出すると、画像形成装置1は、算定した操作量の値と検出値のデータを検出データ記憶部305に記憶する。
このようにして検出データ記憶部305にデータを記憶すると、画像濃度制御部3は、必要な全てのパッチを形成したかどうかを判定する(手順611)。ベタ濃度の目標値に応じたパッチしか形成していなければ、画像形成装置1は、必要な全てのパッチを形成していないと判定する。この場合、画像形成装置1は、ハイライト濃度の目標値に応じたパッチを形成するために、手順605乃至611を繰り返す。
必要な全てのパッチを形成したと判定すると、画像濃度制御部3は、検出データ記憶部305から、現在の設定値に対するデータ、および算定値に対するデータを取得する(手順612)。
画像濃度制御部3は、検出データ記憶部305からデータを取得すると、両パッチP1およびP2それぞれに対する目標濃度のデータと、検出データ記憶部305から取得したデータとに基づいて、操作量の設定値を算出する(手順613)。
画像濃度制御部3は、算出した操作量の設定値を設定データ記憶部301に記憶することにより、操作量の設定値を更新する(手順614)。
上述のように形成したパッチを使って得られる事例は、制御事例平面と目標濃度平面との交線である目標実現ライン上の点を予測したものである。そのパッチを使って制御事例平面を定めることにより、制御事例平面と実際の装置特性との乖離を抑えることができる。したがって、画像濃度の制御をより安定して行うことが可能となる。しかも、状態量の変動の影響を受け難くなるので、装置の稼動時に制御事例を多数収集する必要もない。
また電子写真プロセスでは、上述のように、ベタ濃度パッチP1を目標値に合わせた基準パターンと、ハイライト濃度パッチP2を目標値に合わせた基準パターンの2つを用いることが好ましい。電子写真プロセスでは、画像濃度を変化させる要因が複雑に関連しあっている。このため、ベタ濃度領域とハイライト濃度領域で特性の変化が強い相関を持つとは限らない。一般的には、周囲の環境が高温または高湿度になれば画像濃度は高くなる。逆に低温または低湿度になれば画像濃度は低くなるという特性がある。しかし、部材の劣化やキャリアの劣化といった要因があり、濃度領域が異なると、同様に特性が変化するとは限らない。したがって、現在の設定値に応じた基準パターンのほかに、ベタ濃度パッチP1を目標値に合わせた基準パターンと、ハイライト濃度パッチP2を目標値に合わせた基準パターンの2つを用いるのが好ましい。
上述の実施の形態では、帯電器5のグリッド電圧およびレーザ出力部6のレーザパワーの2つを操作量に用いたが、これに限られるものではない。例えばこれらに加えて、現像器7の現像バイアスを操作量に用いることができる。帯電器5の帯電バイアスと現像器7の現像バイアスとの関係は、二成分現像器の場合、トナーかぶりやキャリア飛びに影響を与える。帯電バイアスと現像バイアスとの電位差が小さすぎると、印字面全体にトナーが付着するかぶり現象が発生する。逆に電位差が大きすぎると、現像器7内部のキャリアが飛び出すキャリア飛び現象が発生してしまう。このため、現像バイアスを固定していると、帯電バイアスの設定範囲が自ずと決まってしまう。その上、環境変動や経時劣化を考慮したマージンを含めると、設定範囲はさらに制限される。帯電バイアスと現像バイアスの両方を操作量に用いることで、このような制限を解消することができる。
図7は本実施の形態における画像形成装置の別の構成を説明するための機能ブロック図である。この画像形成装置1において、設定データ記憶部301は、帯電器5のグリッド電圧およびレーザパワー出力部6のレーザパワーのほかに、現像器7の現像バイアスの設定値のデータを記憶する。現像バイアス電源203は、現像バイアスの設定値のデータを設定データ記憶部301から読み出し、その設定値に応じた現像バイアスを現像器7に与える。
現像バイアスは、帯電バイアスと連動して定めることができる。例えば、予め設定された電位差を現像バイアスに加算することにより、帯電バイアスを与えることができる。操作量算出部306は、上述のようにして帯電器5のグリッド電圧を算出してから、現像器7の現像バイアスを定めることができる。帯電バイアスと現像バイアスの電位差を一定に保った上で両方を同時に変化させれば、かぶり現象やキャリア飛び現象の発生が抑えられる。画像濃度データベース303のデータには、現像バイアスを変化させることを前提としたデータを用いる。かぶり減少やキャリア飛び現象を抑えるためにグリッド電圧の操作範囲を制限する必要がなくなり、広範囲な設定が可能となる。
また、この画像形成装置1において、画像濃度制御部3はデータ更新部307をさらに備えることができる。データ更新部307は、画像濃度データベース303から得た操作量の値を使って出力した基準パターンの画像に対する検出値に基づいて、画像濃度データベース303のデータを適時更新する。データ更新部307は、例えば装置の電源が投入された直後や装置が所定枚数印字するごとにデータを更新する。
図8はデータ更新処理を説明するためのフローチャートである。例えばデータ更新部307は、画像濃度データベース303の各レコードから操作量の値を読み出す(手順801)。操作量の値を読み出すと、データ更新部307は、読み出した値のデータを順次設定データ記憶部301に順次記憶する(手順802)。画像濃度データベース303の各レコードから読み出した値のデータに加えて、調整可能な範囲にある操作量の値のデータを記憶するようにしてもよい。現像バイアスを操作量に用いる場合には、グリッド電圧の値から求めた値を現像バイアスのデータとして設定データ記憶部301に記憶する。画像形成部2は、設定データ記憶部301のデータに従って濃度パッチを形成する。形成した濃度パッチの濃度をセンサ11により検出すると、濃度パッチに対する検出値とその濃度パッチを形成するのに用いた操作量の値のデータを検出データ記憶部305に記憶する。データ更新部307は、そのデータを検出データ記憶部305から取得し(手順803)、取得したデータを用いてデータベースを構築するときのデータベースの平面性を評価する(手順804)。評価のために、データ更新部307は、例えば2つの操作量の値を変化させたときの濃度の傾きをベタ濃度領域およびハイライト濃度領域について計算する。
データ更新部307は、与えられた操作量の範囲全体で濃度の傾きが許容範囲内にあるかどうかを判断する(手順805)。濃度の傾きが許容範囲内にあれば、その領域に渡って濃度が直線的に変化しているものとして扱うことができる。この場合、2つの操作量の値と検出値によって構成される面は平面的である。その面を平面近似したとしても、誤差は小さい。濃度の傾きが許容範囲内にあれば、データ更新部307は、検出データ記憶部305のデータを画像濃度データベース303に記憶することにより、画像濃度データベース303のデータを更新する(手順806)。
濃度の傾きが許容範囲内になければ、データ更新部307は、平面的でない部分を除くため、操作量の設定範囲を小さくする(手順807)。操作量の設定範囲に予め下限を設けておいてもよい。下限を設けているときには、その制限に応じて操作量の範囲を小さくする。設定範囲を小さくすると、データ更新部307は、その範囲にある操作量の値を設定データ記憶部301に記憶することにより、操作量の値を再設定する(手順808)。これにより、画像形成部2は再設定された操作量の値に従って濃度パッチを形成する。データ更新部307は、設定した操作量の範囲全体で濃度の傾きが許容範囲内になるまで手順803から805を繰り返す。
図9AおよびBはデータベースの平面性を説明するための図である。図9Aは与えられた操作量の範囲で平面的な例を示す。図9Bの例は平面的でない部分を含む。図9Bの例では、レーザパワーが大きく帯電バイアスが小さい領域で濃度が飽和している。飽和領域の境界部分では濃度の傾きが大きくなる。濃度の傾きが許容範囲内になければ、その飽和領域に対応する範囲を除くために、データ更新部307は、操作量の設定範囲を狭める。
帯電バイアスと現像バイアスを所定の電位差で連動させる場合、操作量の範囲は広く取ることができる。その場合でも、予めデータベースの平面性を確保しておくことで、より安定した制御をすることができる。
また画像濃度データベース303のデータを更新することにより、実機の現状に合ったデータベースを構築することができる。上述のように所定枚数毎にデータを更新すれば、経時劣化の影響をデータベースに反映することができる。また温度や湿度などの状態量が大きく変化したときにデータを更新すれば、環境変動の影響をデータベースに反映することができる。
なお、帯電バイアスと現像バイアスを連動させるのは、現像器が一成分現像器の場合でも有効である。現像器内部にトナーしかない一成分現像器でも、微量のトナーは通常とは逆の極性に帯電する。その逆極性トナーのために、帯電バイアスと現像バイアスの電位差によってはかぶり現象が発生することがある。一成分現像器の場合でも、帯電バイアスと現像バイアスを連動させることで、そのようなかぶり現象の発生を抑止することができる。
また上述の実施の形態では、画像濃度データベース303は、制御量の値を操作量の値に関連付けるレコードを複数有していた。これに代えて、画像濃度データベース303が、操作量と制御量との関係式を表すデータを含むレコードを複数有するようにしてもよい。
図10AおよびBは画像濃度データベースの別の構成例を説明するための図である。この画像濃度データベース303の各レコードは操作量と制御量との関係を一次式で与える。図10Aのレコードはレーザパワーと濃度との関係を与える。各レコードは、一次式の傾きと切片の値をグリッド電圧の値に関連付ける。レーザパワーの値が「90」でグリッド電圧の値が「170」のとき、グリッド電圧のその値に対応するレコードを用いると、濃度は1.584(=0.000740×90+1.518)と算出することができる。また図10Bのレコードはグリッド電圧と濃度との関係を与える。各レコードは、一次式の傾きと切片の値をレーザパワーの値に関連付ける。図10Aのレコードは、レーザパワーの値を変化させるときに用いることができ、図10Bのレコードは、グリッド電圧を変化させるときに用いることができる。
例えばレーザパワーの値が「90」でグリッド電圧の値が「110」のとき、ベタ濃度パッチP1に対する検出値が「1.55」であり目標濃度が「1.62」であるとする。この場合、検出値の目標濃度との差は0.07である。ベタ濃度パッチP1に対する検出値を目標濃度に合わせる場合、上述の通り、レーザパワーの値を変化させる。レーザパワーの値を変化させるため、図10Aのレコードを用いる。グリッド電圧の値が「110」の場合、対応するレコードから、傾きの値として「0.001050」を得ることができる。ベタ濃度パッチP1の検出値を目標値まであげるためには、「66.7」(=0.07/0.001050)だけレーザパワーの値を増加させればよい。レーザパワーの増加分「66.7」を現在のレーザパワーの値「90」に加算すると、ベタ濃度パッチP1の濃度を目標濃度に合わせるためのレーザパワーの値として「157」を得ることができる。基準パターン出力値算定部304は、このような計算により、ベタ濃度パッチP1の濃度を目標濃度に合わせるためのレーザパワーおよびグリッド電圧の値として「157」および「110」をそれぞれ得ることができる。
また計算により求めた値が設定範囲を超える場合には、レーザパワーだけでなくグリッド電圧も変化させる。例えばベタ濃度パッチP1に対する目標濃度が「1.65」であり、その他の条件は上述の例と同じであるとする。この場合、検出値の目標濃度との差は0.1である。ベタ濃度パッチP1の検出値を目標値まであげるためには、「95.2」(=0.1/0.001050)だけレーザパワーの値を増加させる必要がある。現在のレーザパワーの値「90」に増加分「95.2」を加算すると、ベタ濃度パッチP1の濃度を目標濃度に合わせるためのレーザパワーの値として「185.2」が得られる。この値は図10Bのレコードが示すレーザパワーの設定範囲を超える。
このような場合、基準パターン出力値算定部304は、グリッド電圧の値を1段階増加させる。レーザパワーの値は「90」のままにしてグリッド電圧の値を「110」から「140」に変更する。グリッド電圧の変更量は「30」である。レーザパワーの値が「90」のとき、図10Bの対応するレコードから、傾きの値として「0.01540」を得ることができる。このため、グリッド電圧の値を「30」増加させることにより、濃度の値は、検出値である「1.55」から「0.046」(=30×0.001540)だけ増加することが予測される。予測値「1.596」(=1.55+0.046)の目標値との差は「0.054」(=1.65−1.596)である。図10Aのレコードのデータによれば、グリッド電圧の値が「140」の場合の傾きの値は「0.000870」であるため、ベタ濃度パッチP1の検出値を目標値へあげるには、「62.1」(=0.054/0.000870)だけレーザパワーを増加させる必要がある。レーザパワーの増加分「62.1」を現在のレーザパワーの値「90」に加算すると、ベタ濃度パッチP1の濃度を目標濃度に合わせるためのレーザパワーの値として「152」を得ることができる。基準パターン出力値算定部304は、このような計算により、ベタ濃度パッチP1の濃度を目標濃度に合わせるためのレーザパワーおよびグリッド電圧の値として「152」および「140」をそれぞれ得ることができる。
このように操作量と制御量との関係式を表すデータを含むレコードを用いても、ベタ濃度パッチP1の濃度を目標濃度に合わせるための操作量の値を算定することができる。ハイライト濃度パッチP2の濃度を目標濃度に合わせるための操作量も同様に計算することができる。なお、切片の値のデータは、各レコードから省くようにしてもよい。上述のように操作量の計算では切片の値を必要としない。
また上述の実施の形態では、基準パターン出力値算定部304は、基準パターンの出力画像の濃度を目標濃度に合わせるための操作量の値を算定した。それに代えて、基準パターン出力値算定部304が、基準パターンの出力画像に対する検出値を目標値にするのに最適と予測される操作量の値を算出する処理と、算出した最適予測値の近傍にある操作量の値を画像濃度データベース303のデータを使って得る処理とをするようにしてもよい。
最適予測値を算出する処理を行う場合、基準パターン出力値算定部304は、検出データ記憶部305から、現在の操作量の設定値とその設定値を使ってベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2を形成したときの検出値とを取得する。また目標データ記憶部302から、両パッチP1およびP2それぞれに対する目標濃度のデータを得る。これらの値を得ると、基準パターン出力値算定部304は、上述したように必要に応じて補正目標濃度を計算する。
補正目標濃度を計算するとき、操作量の値が現在の設定値に一致するレコードが画像濃度データベース303になければ、画像濃度データベース303のデータに対する内挿計算により、現在の設定値に対応する濃度値を定めるようにしてもよい。
図11は濃度の内挿計算を説明するための図である。図4および5と同様に、図11の横軸はレーザパワーであり、縦軸はグリッド電圧である。図11は、現在のレーザパワーの設定値LP0およびグリッド電圧の設定値V00を点F0として表示している。4つの点F1からF4は、画像濃度データベース303に記憶されたレコードの操作量の値に対応する。各点Fnの濃度値はDbnと、操作量の値は[LPn,V0n]とそれぞれ表示している(nは0〜4の整数)。図11の例では、操作量の値が現在の設定値に一致するレコードは画像濃度データベース303にない。このような場合、現在の設定値[LP0,V00]に対応する濃度値Db0を定めるため、基準パターン出力値算定部304は、点F0の周囲にある4つの点F1からF4に対応するレコードから操作量の値を読み出す。操作量の値を各レコードから読み出すと、基準パターン出力値算定部304は、たとえば点F12およびF34に対応する濃度値Db12およびDb34をそれぞれ次の計算式により計算する。
Db12=(LP0-LP1)/(LP2-LP1)*(Db2-Db1)+Db1
Db34=(LP0-LP1)/(LP2-LP1)*(Db4-Db3)+Db3
濃度値Db12およびDb34を計算すると、基準パターン出力値算定部304は、それらの値を用いて次の計算式により濃度値Db0を計算する。
Db0=(V00-V01)/(V02-V01)*(Db34-Db12)+Db12
基準パターン出力値算定部304は、このようにして計算した濃度値を用いて補正目標濃度を計算することもできる。
必要に応じて補正目標濃度を計算すると、基準パターン出力値算定部304は、画像濃度データベース303のデータを用いて、ベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2の両方の濃度をそれぞれの目標濃度に合わせるために最適な操作量の値を予測する。一方のパッチの濃度を目標濃度に合わせるための操作量の値は一組ではなく、その集合はレーザパワーおよびグリッド電圧により形成される平面において線を形成する。ここでは、その予測ラインを直線に近似して特定する。
図12は予測ラインを特定する処理を説明するための図である。基準パターン出力値算定部304は、ベタ濃度パッチP1に対する予測ラインL1を特定するとき、グリッド電圧の値ごとに、画像濃度データベース303のデータから操作量の値を得る。基準パターン出力値算定部304は、グリッド電圧の値が同じレコードのうちから、目標濃度または補正目標濃度に近いレコードを2つ特定する。一つは、目標濃度または補正目標濃度以上の値を有するもので最も近いものである。もう一つは、目標濃度または補正目標濃度以下の値を有するもので最も近いものである。特定されたレコードは、図12の点G1乃至G10のいずれかに対応する。2つのレコードを特定すると、基準パターン出力値算定部304は、レーザパワーの値および濃度値のデータを2つのレコードから読み出す。読み出した値を用いて内挿により、目標濃度または補正目標濃度に対応するレーザパワーの値を計算する。基準パターン出力値算定部304は、グリッド電圧の値ごとにその計算をすることにより、目標濃度または補正目標濃度に対応する操作量の値を複数組得る。得られた操作量の値は図12の点I1乃至I5に対応する。基準パターン出力値算定部304は、例えば最小自乗法を用いて、これらの点に対する誤差が最も少なくなる直線L1を特定する。ベタ濃度パッチP1に対する予測ラインを特定すると、基準パターン出力値算定部304は、同様にハイライト濃度パッチP2に対する予測ラインを特定する。
図13は予測ラインと最適予測値との関係を説明するための図である。最適予測値に対応する点J12は、ベタ濃度パッチP1に対する予測ラインL1とハイライト濃度パッチP2に対する予測ラインL2との交点である。その交点を求めることにより、基準パターン出力値算定部304は、ベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2の両方の濃度をそれぞれの目標濃度に合わせるための最適予測値を計算する。
最適予測値を計算すると、基準パターン出力値算定部304は、計算した最適予測値の近傍にある操作量の値を画像濃度データベース303のデータを使って3組得る。3組の近傍値は偏りがないように選択する。偏りは、例えば各近傍値の位置関係や、各近傍値と最適予測値とを結ぶ直線間の角度で評価することができる。近傍かどうかは最適予測値からの距離で評価する。
図14は最適予測値と近傍値との関係を説明するための図である。図14において、点J12は最適予測値に対応し、点X1乃至X4は画像濃度データベース303のレコードの操作量の値に対応する。基準パターン出力値算定部304は、点J12からの距離が矢印R1の長さ以上で矢印R2の長さ以下の領域AR1から、近傍値に対応する点を3つ選択する。各レコードが与える操作量の最小間隔がR3であるとき、例えば矢印R1の長さは0.5×R3で与えることができ、矢印R2の長さは1.2×R3で与えることができる。3つの点が領域AR1内にあっても、基準パターン出力値算定部304はそれらの点が偏っていると、選択をやり直す。点X1乃至X3を選択した場合、基準パターン出力値算定部304は、それらの点が偏っていると判断する。ここでは、半円内に3つの点全てがあるかどうかで判断する。点X1乃至X3の場合、半円AR2内に全ての点があるので、基準パターン出力値算定部304は、それらの点が偏っていると判断し、選択する点を変更する。この例では、もう一つの半円内にある点X4を点X2の代わりに選択する。
このようにレコードの操作量の値に対応する点X1乃至X4から近傍値に対応する点を選択せず、レコードのデータを使って計算により近傍点を定めてもよい。また各近傍値と最適予測値とを結ぶ直線間の角度は概ね120度であると望ましい。操作量算出部306は、3組の近傍値を用いて、操作量の設定値を算出する。
このような基準パターン出力値算定部304および操作量算出部306の機能を実現する場合、画像形成装置1は、上述した手順601乃至604と一部異なる手順を実行する。
図15は本実施の形態における出力画像制御方法の別の手順を説明するためのフローチャートである。3組の近傍値を用いて操作量の設定値を算出する場合、画像形成装置1は手順1501乃至手順1516を実行する。手順1501乃至手順1507は図6の手順601乃至607と同様である。必要に応じて補正目標濃度を計算すると(手順1507)、画像濃度制御部3は、目標濃度または補正目標濃度に対応するレコードのデータを画像濃度データベース303から取得する(手順1508)。画像濃度制御部3は、取得したデータを用いて、ベタ濃度パッチP1またはハイライト濃度パッチP2に対する予測ラインを特定する(手順1509)。ベタ濃度パッチP1またはハイライト濃度パッチP2に対する予測ラインを特定すると、画像濃度制御部3は、両方のパッチP1およびP2に対してそれぞれ予測ラインを特定したかどうかを判定する(手順1510)。一方のパッチに対する予測ラインのみを特定している場合、画像濃度制御部3は、手順1505乃至1509を繰り返し、他方のパッチに対する予測ラインも特定する。両方のパッチP1およびP2に対する予測ラインを特定すると、画像濃度制御部3は、2つの予測ラインの交点を求めることにより、最適予測値を算出する(手順1511)。画像濃度制御部3は、算出した最適予測値の近傍値を3組算定する(手順1512)。近傍値を算定すると、画像形成装置1は、各近傍値を用いてベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2を形成する(手順1513)。画像形成装置1は、濃度センサ11を用いて両パッチP1およびP2の濃度をそれぞれ検出し、近傍値とその近傍値を用いて形成したパッチP1およびP2に対する検出値とのデータを検出データ記憶部305に記憶する。画像濃度制御部3は、検出データ記憶部305から、近傍値とその近傍値に対応する検出値のデータを取得する(手順1514)。画像濃度制御部3は、検出データ記憶部305から取得したデータを用いて、新たな操作量の設定値を算出する(手順1515)。操作量の設定値を算出すると、画像濃度制御部3は、その値を設定データ記憶部301に記憶することにより、操作量の設定値を更新する(手順1516)。
このような手順で得られる近傍値は、ベタ濃度パッチP1およびハイライト濃度パッチP2の濃度をそれぞれの目標濃度に合わせるための操作量の値にかなり近い。このため、近傍値を用いて制御事例平面を定めると、その近傍値付近における本来の装置特性との誤差を抑えることができる。したがって、画像濃度の制御をより安定して行うことが可能となる。しかも、状態量の変動の影響を受け難くなるので、制御事例を多数収集する必要もない。
なお、基準パターン出力値算定部304が3組の近傍値を定める代わりに2組の近傍値を定めるようにしてもよい。この場合、操作量算出部306は、2組の近傍値のほかに、検出データ記憶部305から読み出した現在の操作量の設定値を用いることができる。一組の近傍値の代わりに現在の操作量の設定値を用いることにより、形成する基準パターンを一つ減らすことができる。このため、濃度パッチの形成・検出に要する時間が短縮される。その結果、濃度制御をより短時間で完了することができる。
また上述の各例において、内挿計算や直線近似は、操作量の変化に対して濃度が線形に変化することを前提としていた。このような直線近似をする代わりに、その他の方法で近似するようにしてもよい。例えば画像濃度変化の特性に沿った折れ線により近似したり、高次の曲線を用いて近似したりすることができる。
また上述のように操作量の設定値を算出する場合、その設定値は連続的な値で表現される。数学上はその値を用いて画像濃度を制御することに支障はない。しかしながら、現実上は、グリッド電源201や光量コントローラ202への入力値が、数段階の離散的な値に限られることもある。そのような場合には、グリッド電源201や光量コントローラ202の分解能に応じた所定の幅で設定値を量子化するようにしてもよい。量子化幅は線形に定めても、特性に応じて適応的に定めてもよい。
図16は感光体の電位減衰特性の一例を示す。濃度は帯電バイアスや現像バイアスのような電圧値に対しては比較的線形に近い特性を持っている。一方、露光光量に対しては感光体の電位減衰特性に依存するところが大きい。図16に示すように、感光体の表面電位は、露光量がある値になるまで急激に減少し、それ以降はなだらかに減少する。このような特性で傾きが略一定の部分のみを利用する場合、量子化幅は一定にしてもよい。しかしながら、利用する領域で傾きが大きく変化するような場合には、傾きに応じて量子化幅も変化させた方がよい。例えば傾きが急な領域では量子化の幅を小さくとり、傾きがなだらかな領域では量子化の幅を大きくとる。このように特性に応じて適応的に量子化幅を定めることにより、画像濃度に対するダイナミックレンジまたは分解能を向上させることができる。
また画像濃度データベース303の操作量のデータも、一定の間隔で用意する代わりに、装置の出力特性に応じた間隔で用意するようにしてもよい。量子化幅と同様に、特性の傾きが大きい領域は小さい間隔で操作量のデータを用意し、特性の傾きが小さい領域は大きい間隔でデータを用意する。このように操作量のデータの間隔も特性に応じて定めることにより、濃度制御の精度を向上させたり設定可能な範囲を広げたりすることができる。
上述の実施の形態では、単色の画像を形成する装置に本発明を適用したが、これに限られるものではない。本発明はカラーの画像を形成する装置に適用することも可能である。カラー画像では、1色でも濃度が不安定になると、重ね合わせたときの色合いに影響を与える。このため、カラー画像を形成する場合には、上述のような制御により濃度を安定化することが欠かせない。イエロー、シアン、マゼンダおよび黒の各色に対して用意した画像形成部を一列にならべる、いわゆるタンデム方式の画像形成装置では、各色のトナー像の濃度を上述したのと同様に制御することができる。タンデム方式の画像形成装置が、各色のトナー像を重ね合わせるための中間転写体を有している場合には、その中間転写体上のトナー像の濃度を検出するようにしてもよい。この場合、色ごとに濃度センサを用意する必要がない。濃度センサの数を削減することにより、コストも削減することができる。
またスコロトロン帯電器5のグリッド電圧や、レーザ出力部6のレーザパワー、現像器7の現像バイアスのほかに、レーザ出力部6に入力する画像信号のパルス幅やその他の濃度に関係のある因子を操作量として用いることができる。操作量の数は3つ以上であってもよい。
またトナー像の濃度を制御する代わりに、用紙のような出力媒体に形成した濃度を制御するようにしてもよい。この場合、出力画像の制御量を検出する検出部として、定着画像の濃度を検出するセンサを画像形成部2に設ける。
また制御量は画像濃度に限られるものではない。輝度や色相、光沢度のようなその他の画質に関する量を上述のように制御することも可能である。
また上述の実施の形態では、本発明を電子写真方式の画像形成装置に適用したが、これに限られるものではない。インクジェット方式のようなその他の方式の画像形成装置や、ディスプレイのような画像表示装置にも本発明を適用することが可能である。画像形成装置や画像表示装置とコンピュータとを接続したシステムにも本発明を適用することが可能である。
上述の実施の形態で利用した制御プログラム36は、インターネットなどの電気通信回線を用いたり、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納したりすることで、関係者や第三者に提供することができる。例えばプログラムの指令を電気信号や光信号、磁気信号などで表現し、その信号を搬送波に載せて送信することで、同軸ケーブルや銅線、光ファイバのような伝送媒体でそのプログラムを提供することができる。またコンピュータ読取可能な記録媒体としては、CD−ROMやDVD−ROMなどの光学メディアや、フレキシブルディスクのような磁気メディア、フラッシュメモリやRAMのような半導体メモリを利用することができる。
本発明に係る画像出力装置、出力画像制御方法、および出力画像制御プログラムは、画像出力装置の稼動時に制御事例を多数収集しなくても安定して出力画像を制御することができ、電子写真方式やインクジェット方式の画像形成装置やその他の画像出力装置に有用である。
本発明の実施の形態における画像形成装置の概略構成を説明するための図 画像形成装置の画像濃度制御に係る機能的な構成を説明するためのブロック図 基準パターンの例を説明するための図 画像濃度データベースの構成の例を説明するための図 画像濃度データベースに記憶されているベタ濃度パッチに対する濃度値の例を示す図 本発明の実施の形態における出力画像制御方法の手順を説明するためのフローチャート 画像形成装置の別の構成を説明するための機能ブロック図 データ更新処理を説明するためのフローチャート データベースの平面性を説明するための図 画像濃度データベースの別の構成例を説明するための図 濃度の内挿計算を説明するための図 予測ラインを特定する処理を説明するための図 予測ラインと最適予測値との関係を説明するための図 最適予測値と近傍値との関係を説明するための図 出力画像制御方法の別の手順を説明するためのフローチャート 感光体の電位減衰特性の一例を示す図 従来の画像制御方法を説明するための図 従来の画像制御方法を説明するための別の図
符号の説明
1 画像形成装置
2 画像形成部
3 画像濃度制御部
4 感光体ドラム
5 スコロトロン帯電器
6 レーザ出力部
7 現像器
8 転写器
9 クリーナ
10 定着器
11 濃度センサ
31 CPU
201 グリッド電源
202 光量コントローラ
203 現像バイアス電源
301 設定データ記憶部
302 目標データ記憶部
303 画像濃度データベース
304 基準パターン出力値算定部
305 検出データ記憶部
306 操作量算出部
307 データ更新部



Claims (18)

  1. 画像出力装置であって、
    複数の操作量の値に応じて画像を出力する画像出力部、
    基準パターンの出力画像の制御量を検出する検出部、
    基準パターンに対する制御量と操作量との関係を与えるデータを記憶するデータ記憶部、
    基準パターンに対する目標値から前記データ記憶部のデータを使って操作量の値を得ることにより、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を複数組算定する基準パターン出力値算定部、そして
    算定した操作量の値を用いて出力した基準パターンの複数の画像に対する検出値に基づいて、前記目標値に応じた操作量の設定値を算出する操作量算出部
    を備える画像出力装置。
  2. 前記操作量算出部が、基準パターンの複数の画像に対する検出値と各画像を出力するのに用いた操作量の値とから、線形近似した出力特性を得る処理と、線形近似した出力特性に基づいて、前記目標値に応じた操作量の設定値を算出する処理とを行う請求項1記載の画像出力装置。
  3. 前記基準パターン出力値算定部が、複数の操作量のうち制御量に最も支配的な操作量の値を優先的に変化させることにより、前記データ記憶部のデータを使って操作量の値を得る請求項1記載の画像出力装置。
  4. 前記基準パターン出力値算定部が、操作量の設定値と前記目標値に対応する制御量の値を関連付けた操作量の値とに基づいて、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を算定する請求項1記載の画像出力装置。
  5. 前記データ記憶部が、操作量の値に制御量の値を関連付けるレコードを複数有するデータベースであり、
    前記基準パターン出力値算定部が、前記目標値に対応する制御量の値を関連付けた操作量の値を前記データベースのデータから得ることにより、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を算定する請求項1記載の画像出力装置。
  6. 前記データ記憶部から得た操作量の値を使って出力した基準パターンの画像に対する検出値に基づいて、前記データ記憶部のデータを更新するデータ更新部をさらに備える請求項1記載の画像出力装置。
  7. 前記データ更新部が、制御量と操作量との関係を線形近似した場合の近似誤差に基づいて、操作量の範囲を設定する請求項6記載の画像出力装置。
  8. 前記基準パターン出力値算定部が、基準パターンの出力画像に対する検出値を目標値にするのに最適と予測される操作量の値を算出する処理と、算出した最適予測値の近傍にある操作量の値を前記データ記憶部のデータを使って得る処理とを行う請求項1記載の画像出力装置。
  9. 前記操作量算出部が、操作量の設定値および最適予測値の近傍にある操作量の値を用いて出力した基準パターンの複数の画像に対する検出値に基づいて、前記目標値に応じた操作量の設定値を算出する請求項8記載の画像出力装置。
  10. 画像形成装置であって、
    感光体表面を一様に帯電させる帯電器、
    感光体の一様に帯電した面を露光することにより、感光体表面に画像信号に応じた静電潜像を形成するレーザ出力部、
    感光体表面の静電潜像をトナーで現像することにより、感光体表面にトナー像を形成する現像器、
    感光体表面に形成された基準パターンのトナー像の濃度を検出するセンサ、
    帯電器およびレーザ出力部への入力値と基準パターンに対する濃度の値との関係を与えるデータを記憶するデータベース、
    基準パターンに対する濃度の目標値からデータベースのデータを使って、帯電器およびレーザ出力部への入力値を得ることにより、基準パターンのトナー像を形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値を複数組算定する基準パターン出力値算定部、そして
    算定した帯電器およびレーザ出力部への入力値を用いて形成した基準パターンの複数のトナー像に対する検出値と前記目標値とに基づいて、画像を形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値の設定値を算出する操作量算出部
    を備える画像形成装置。
  11. 前記操作量算出部が、帯電器の入力値に応じて現像器への入力値を算定する請求項10記載の画像形成装置。
  12. 前記基準パターン出力値算定部が、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチそれぞれに対する濃度の目標値から、帯電器およびレーザ出力部への入力値を得ることにより、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチを形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値を少なくとも2組算定する請求項11記載の画像形成装置。
  13. 前記基準パターン出力値算定部が、ベタ濃度パッチに対する濃度の目標値から帯電器およびレーザ出力部への入力値を得る場合に、優先的に変化させる値としてレーザ出力部への入力値を選択し、ハイライト濃度パッチに対する濃度の目標値から帯電器およびレーザ出力部への入力値を得る場合に、優先的に変化させる値として帯電器への入力値を選択する請求項12記載の画像形成装置。
  14. 前記基準パターン出力値算定部が、ベタ濃度パッチの濃度をベタ濃度パッチに対する目標濃度に合わせるための操作量の予測値が形成する予測ラインを特定する処理、ハイライト濃度パッチの濃度をハイライト濃度パッチに対する目標濃度に合わせるための操作量の予測値が形成する予測ラインを特定する処理、そしてベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチそれぞれに対する予測ラインを用いて、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチを形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値を算定する処理を行う請求項12記載の画像形成装置。
  15. 前記基準パターン出力値算定部が、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチそれぞれに対する予測ラインを用いて、ベタ濃度パッチの濃度をベタ濃度パッチに対する目標濃度に合わせ、かつハイライト濃度パッチの濃度をハイライト濃度パッチに対する目標濃度に合わせるのに最適と予測される操作量の値を算出する処理と、算出した最適予測値の近傍に操作量の値をデータベースのデータを使って得る処理とを行うことにより、ベタ濃度パッチおよびハイライト濃度パッチを形成するときの帯電器およびレーザ出力部への入力値を算定する請求項14記載の画像形成装置。
  16. 基準パターンを用いて出力画像を制御する出力画像制御方法であって、
    基準パターンに対する制御量と操作量との関係を与えるデータを記憶するデータ記憶部のデータを使って、基準パターンに対する目標値から操作量の値を得ることにより、基準パターンの画像を出力するときの操作量の値を複数組算定する手順、
    算定した操作量の値を用いて基準パターンの画像を複数出力する手順、そして
    基準パターンの出力画像の制御量に対する検出値に基づいて、前記目標値に応じた操作量の設定値を算出する手順
    を備えた出力画像制御方法。
  17. 請求項16に記載の出力画像制御方法における手順を画像出力装置に実行させるための出力画像制御プログラム。
  18. 請求項16に記載の出力画像制御方法における手順を画像出力装置に実行させるための出力画像制御プログラムを記録した機械読み取り可能な記録媒体。

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