JP2011116916A - 粘着剤組成物、及び粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物、及び粘着シート Download PDF

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Abstract

【課題】表面保護板と画像表示モジュールとの間に充填する粘着剤組成物及び該粘着剤組成物を粘着層として備えた粘着シートを提供する。
【解決手段】粘着剤組成物7は、アクリル酸アルキルエステルと水酸基含有モノマーと酢酸ビニルとが少なくとも共重合した重合体を含有する。粘着剤組成物7は、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤を含有する。粘着剤組成物7のボールタックは12〜30とする。このような粘着剤組成物7は、印刷部分を有する表面保護板に貼り合せたときの初期密着性(タック力)が高く、印刷段差への埋め込み追従性に優れている。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘着剤組成物、及び、粘着シートに関する。より詳細には、画像表示装置の表面保護板と画像表示モジュールとの空隙や、表面保護板とタッチパネルの空隙、画像表示モジュールとタッチパネルの空隙などを埋めるために用いられる粘着剤組成物、及び、該粘着剤組成物を粘着層として有する粘着シートに関する。
従来、携帯電話、携帯端末、タッチパネル等に用いられる画像表示装置は、液晶モジュールやエレクトロルミネッセンス等の画像表示モジュールと、タッチパネルと、画像表示モジュール及びタッチパネルを保護する表面保護板とから構成されている。各構成部材の間には、一定厚みの空気層が設けられる。空気層は、画像表示装置が外部から何らかの衝撃を受けた場合に、衝撃が直接画像表示モジュールに伝わってしまうことを防ぐ目的で設けられている。例えば、画像表示モジュールと表面保護板との間や画像表示モジュールとタッチパネルとの間、タッチパネルと表面保護板との間には、通常0.5mm程度の空気層が設けられている。表面保護板のうちタッチパネルに対向する側に、表面保護板を縁取る印刷などが設けられる場合がある。
表面保護板、画像表示モジュール、及びタッチパネル間に空気層が設けられた場合、表面保護板やタッチパネルと空気層との屈折率の差異に起因する光散乱が生じ、画像表示装置の視認性が低下する。これに対し、衝撃吸収作用を有し且つ表面保護板と同等の屈折率を有し、空気層の代わりに充填することによって光学特性を向上させることが可能な樹脂、構造及び装置が提案されている。例えば、紫外線で硬化するタイプのシリコーンゲルなどを液晶セルと保護パネルとの隙間に充填する光錯乱防止構造が提案されている(特許文献1参照)。また、液晶表示パネルと表層のタッチパネルとの隙間に重合性樹脂組成物が充填された表示装置が提案されている(特許文献2参照)。また、シリコーンゲル等、ゲル状の光透過性透明粘着シートを液晶表示パネルと透明保護板との間に配置させる画像表示装置及び光透過性透明粘着シートが提案されている(特許文献3参照)。
特開平6−337411 特開2004−77887 特開2006−290960
しかしながら、例えば特許文献1及び特許文献2に記載の構造及び装置では、液体状態の重合性樹脂組成物を液晶表示パネルと表面保護板との間に充填した後、紫外線等の光を照射することで樹脂を硬化させなければならない。従って、液状状態の重合性樹脂を充填する工程で気泡が混入するという問題点がある。また、光照射設備で重合性樹脂を硬化させる工程で光照射強度のばらつきによる硬化度合いの差が生じるという問題点がある。また、樹脂硬化時の体積収縮によりひずみが生じ不良品が発生しやすい問題点がある。
また、例えば特許文献3に記載の光透過性透明粘着シートは、衝撃吸収材としての機能を満たすものの、貼り合せ時に気泡が混入しやすく、たとえ加熱加圧のオートクレープ処理を行った場合であっても気泡が残存してしまう問題点がある。特に表面保護板に縁取り印刷があると、印刷部分と非印刷部分との段差(印刷段差部分)に気泡が残存しやすい。そのため、特許文献3に記載の光透過性透明粘着シートでは、残存した気泡によって見栄えが悪化するという問題点がある。加えて特許文献3に記載の透明粘着シートは、重合性樹脂と比較して耐久性が低く、浮きや剥れ、色調変化等が発生しやすいという問題点がある。
加えて、近年の携帯電話、携帯端末、タッチパネル等に用いられる画像表示装置の表面保護板には、装飾性を目的に縁取印刷等が施されることがある。このような表面保護板では、従来よりも縁取印刷部分の光透過性を抑える目的で印刷厚みを従来の10μm程度から20μm程度と厚くする傾向にある。従って、画像表示モジュールと表面保護板との間の空気層を埋める透明粘着シートに対しても、貼り合せの際、20μm程度の印刷段差に気泡が残存しないことが要求されている。
本発明の目的は、表面保護板、画像表示モジュール、及びタッチパネル間に充填する粘着剤組成物、及び該粘着剤組成物を粘着層として備えた粘着シートを提供することにある。具体的には、画像表示装置の視認性に優れ、且つ、加工容易性、携帯電話等の印刷つき表面保護板に貼り合せたときの初期密着性(タック力)が高く、印刷段差への埋め込み追従性がよく気泡が残存せず、高温および高温多湿環境下での外観や色調変化のない、耐久性および安定性に面で優れた特性を有する粘着剤組成物及び該粘着剤組成物を粘着層として備えた粘着シートを提供することにある。
上述の問題点を解決するために、請求項1に係る発明の粘着剤組成物は、アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、及び酢酸ビニルが少なくとも共重合した重合体と、イソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤とを含有し、JIS Z 0237で規定するボールタックが12〜30であることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明の粘着剤組成物は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、 前記イソシアネート系架橋剤は、キシリレンジイソシアネート系架橋剤又はヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤であることを特徴とする。
また、請求項3に係る発明の粘着剤組成物は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、前記重合体は少なくとも、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、前記水酸基含有モノマー、及び酢酸ビニルが共重合しており、前記重合体の重量平均分子量が20万から100万であることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明の粘着剤組成物は、請求項1から3のうちいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記重合体は、カルボキシル基含有モノマーがさらに共重合していることを特徴とする。
また、請求項5に係る発明の粘着シートは、請求項1から4のいずれかに記載の前記粘着剤組成物を粘着層として有している。
粘着剤組成物は、アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、及び水酸基含有モノマーが少なくとも共重合した重合体を含有し、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤を含有し、ボールタックを12〜30とする。このような粘着剤組成物は、印刷部分を有する表面保護板に貼り合せたときの初期密着性(タック力)が高く、印刷段差への埋め込み追従性に優れている。従って、画像表示装置における画像表示モジュールと表面保護板との間に設けられる間隙に充填させる目的で粘着剤組成物が使用された場合、表面保護板の印刷部分の段差付近への気泡の混入等が少なく、画像表示モジュールと表面保護板との間の間隙を良好に埋めることができる。このような粘着剤組成物が使用された粘着シートを使用することで、画像表示モジュールと表面保護板との粘着加工を容易に実現することが可能となる。また、視認性がよく、高温および高温多湿環境下での外観や色調変化が生じ難い画像表示装置を作製できる。さらに、耐久性および安定性に優れた画像表示装置を作製できる。
粘着シート10の物理的構成を示す断面図である。 画像表示装置11の物理的構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態における粘着剤組成物7及び粘着シート10について、図面を参照して説明する。なおこれらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
図1を参照し、粘着剤組成物7が使用された粘着シート10の物理的構成について説明する。図1に示すように、粘着シート10は、粘着剤層3と、粘着剤層3を挟み込むようにして粘着剤層3に貼付される剥離シート5及び剥離シート6とから構成されている。粘着剤層3は、アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、及び水酸基含有モノマーが少なくとも共重合した重合体と、イソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤のうち少なくとも一方とを含む粘着剤組成物7によって構成されている。
重合体について説明する。重合体は、アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、及び水酸基を含有するモノマーを共重合させた共重合体である。アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜10のアルキルエステルを用いることができる。例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート及びn−ペンチル基構造異性体、n−ヘキシルアクリレート及びn−ヘキシル基構造異性体、2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられる。さらに、アルキル基の炭素数が4〜8のアクリル酸アルキルエステルを用いることが好ましい。またこれらは、一種を単独で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。この中でも、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートを用いることが好ましい。さらに、n−ブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートとを併用すると、室温で柔軟性に優れ、かつ被着体に貼り合せる際の初期密着性(タック力)が高く、携帯電話等の表面保護板の印刷部分によって発生する段差への埋め込み追従性が良好となる点からさらに好ましい。
アクリル酸アルキルエステルは、固形分換算でモノマー100重量部のうち、80〜98.5重量部の範囲で含有させる事が好ましい。80重量部未満では、併用するモノマーの特徴が顕著に表れてしまい、十分な粘着性能、携帯電話等の表面保護板の印刷部分によって発生する段差への埋め込み追従性の良好な粘着剤組成物7が得られにくい。98.5重量部を超過すると、粘着剤層3の凝集性が顕著に低下し、画像表示装置用途で求められる高温および高温多湿環境下での耐久性が得られにくくなるため好ましくない。
アクリル酸アルキルエステルのうち、n−ブチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートの重量割合は、ブチルアクリレート:2−エチルヘキシルアクリレートが89:5から54:40であることが好ましく、84:10から64:30であることがさらに好ましい。2−エチルヘキシルアクリレートの重量割合が5部以下の場合、携帯電話等の表面保護板の印刷部分によって発生する段差への埋め込み追従性の良好な粘着シートが得られにくくなるため好ましくない。2−エチルヘキシルアクリレートの割合が40部を超過すると、粘着剤組成物7の凝集性が顕著に低下し、画像表示装置用途で求められる高温および高温多湿環境下での耐久性を持つ粘着シート10が得られにくくなるため好ましくない。なお、残る6部は水酸基含有モノマーまたは酢酸ビニルなど、他のモノマー成分を含有させることができる。
水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、および4−ヒドロキシブチルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート、およびメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステルである2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、および4−ヒドロキシブチルメタクリレートなどを用いることが好ましい。これら水酸基含有モノマーのうち、2−ヒドロキシエチルアクリレートをアクリル酸アルキルエステルと併用することがもっとも好ましい。2−ヒドロキシエチルアクリレートをアクリル酸アルキルエステルと併用することによって、前述のアクリル酸アルキルエステルとの共重合性、および本発明で用いられる架橋剤との反応性が良好になる。また、粘着性能に優れた特性を有する粘着シート10の粘着剤組成物7として使用できるため好ましい。
水酸基含有モノマーは、固形分換算でモノマー100重量部のうち、0.5〜15重量部の範囲で配合されることが好ましく、1.0〜10重量部の範囲で配合されることがさらに好ましい。0.5重量部を下回ると、凝集力不足により高温または高温多湿環境下で剥離しやすくなる。また、粘着剤組成物7は軟らかくなる為、スリット加工する際に刃に粘着剤組成物7が付着しやすくなったり破断面よりはみ出してしまって周囲を汚染する。このように、粘着シート10の加工時の作業性が大きく低下することがあるため好ましくない。15重量部を超過すると、携帯電話等の表面保護板の印刷部分によって発生する段差への埋め込み追従性が低下するため好ましくない。
上記したアクリル酸アルキルエステルおよび水酸基含有モノマーに、さらに酢酸ビニルをモノマーとして加え共重合させた重合体を粘着剤組成物7に含有させることで、耐久性に優れた粘着剤組成物7を得ることができる。表面保護板の印刷部分によって発生する段差、特に印刷厚みが高い段差(約20μm)を埋めるためには、アクリル酸アルキルエステルと水酸基含有モノマーとが共重合した、柔軟性に優れた重合体を用いる。ここで酢酸ビニルをモノマーとして併用しない場合、粘着剤組成物7は、貼り合わせ後、表面保護板や印刷部分から剥離しやすい。特に高温または高温多湿環境下で剥離しやすい。これに対して、酢酸ビニルをモノマーとして併用することで、粘着剤組成物7の凝集性が向上し、高温または高温多湿環境下での剥離を防止できる。
酢酸ビニルは、固形分換算でモノマー100重量部のうち、0.5〜15重量部の割合で配合されることが好ましく、1.0〜10重量部の範囲で配合されることがさらに好ましい。0.5重量部を下回ると、凝集性を付与する効果が不十分となり、高温または高温多湿環境下で剥離することがあるため好ましくない。15重量部を超過すると、粘着シート10を被着体に貼り合せる際の初期密着性(タック力)が低下し、携帯電話等の表面保護板の印刷部分によって発生する段差への埋め込み追従性が低下する。このため、貼り合わせ後、表面保護板や印刷部分から剥離し易くなる傾向があるため好ましくない。
アクリル酸アルキルエステルと水酸基含有モノマーとが共重合した重合体を用いることで、柔軟性に優れ、かつ被着体に貼り合せる際の初期密着性(タック力)が高まり、携帯電話等の表面保護板の印刷部分によって発生する段差への埋め込み追従性が良好となる。また、アクリル酸アルキルエステルと水酸基含有モノマーに、さらに酢酸ビニルをモノマーとして加え共重合させた重合体とすることで、凝集力を向上させることができるため、高温および高温多湿条件下で浮きや剥れが発生しにくい、耐久性にも優れた粘着剤組成物7を得ることができる。
モノマー成分として、アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、及び水酸基含有モノマーに加えて、カルボキシル基含有モノマーを併用することで、粘着シート10の耐久性、および加工性が向上できるため好ましい。アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、及び酢酸ビニルが共重合した重合体を使用した場合、粘着剤組成物7の柔軟性、及び印刷段差の埋め込み性が向上する。一方、凝集力不足により、高温または高温多湿環境下で剥離しやすくなる傾向がある。また、スリッター加工や打ち抜き加工などの加工工程において、カット刃に粘着剤組成物7が付着しやすくなる傾向がある。さらに、粘着シート10の破断面から粘着剤組成物7がはみ出し汚染しやすい傾向がある。これに対し、上述のモノマーに加えて、カルボキシル基含有モノマーを固形分換算で0.5〜5.0重量部、好ましくは1.0〜3.0重量部含有させ、重合体を形成させる。これによって、本発明で用いる水酸基含有モノマーと、架橋剤であるイソシアネート系化合物および/またはエポキシ化合物との反応性が触媒作用的に高まる。このため、より緻密な架橋構造を形成させることができる。従って、粘着剤組成物7の耐久性、粘着シート10の加工性を向上させやすいため好ましい。さらに、粘着シート10の調製後、架橋反応が平衡に達するまでのエージングにおける温度を、室温で実施できる利点がある。カルボキシル基含有モノマーを含まない場合、エージングは加温条件で実施する必要があり、例えば温度40℃程度まで上昇させる必要がある。
一般にカルボキシル基含有モノマーから得られたポリマーは、ガラス転移点(Tg)が高い(例えばポリアクリル酸のTgは106℃)。従って、得られる粘着剤組成物7は硬くなり、段差埋め込み性が低下する傾向にある。しかしながら本発明のように、重合体を構成するモノマーとしてアクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、及び水酸基含有モノマーを併用し、かつ架橋剤としてイソシアネート系および/またはエポキシ系の化合物を用いた場合、カルボキシル基含有モノマーが5.0重量部以下であれば、携帯電話等の表面保護板の印刷部分によって発生する段差への埋め込み追従性などの本発明の効果を阻害することなく、かつ室温でエージングできるため好ましい。
カルボキシル基含有モノマーが固形分換算でモノマー100重量部のうち、5.0重量部を超過すると、スリッター加工や打ち抜き加工などの加工工程におけるカット刃への粘着剤組成物7の付着や、粘着シート10の破断面から粘着剤組成物7がはみ出し汚染する不具合が低減する。しかしながら一方で、得られる粘着剤組成物7が硬くなり、段差埋め込み性が低下しやすく、本発明の効果を阻害しやすいため好ましくない。カルボキシル基を有するモノマーが0.5重量部を下回る、特に無配合であると、粘着剤組成物7の段差埋め込み性が良好となる。しかしながら、本発明で用いる水酸基含有モノマーと架橋剤との化学反応を触媒作用的に高める効果が得られにくく、架橋反応が平衡に達し粘着物性が安定化するまでのエージング期間が長くなるため、加温して架橋反応を促進する必要がある。たとえば生産性の観点から、エージング期間は23℃で7日間以内であることが望ましいが、0.5重量部を下回ると、23℃で7日間経過後も架橋反応が平衡に達しない。このため、剥離シートを剥離した際、粘着剤層3が破断する不具合が発生する可能性があり、エージング期間を延長するか、または加温することが必要となるため好ましくない。
カルボキシル基を有するモノマーとしては、不飽和脂肪族カルボン酸であるアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、およびイタコン酸等の公知のものを使用することができるが、前述のアクリル酸アルキルエステルおよび水酸基含有モノマー、酢酸ビニルとの共重合性が良好なアクリル酸が好ましい。
上記したアルキルエステル、水酸基含有モノマー、酢酸ビニルおよびカルボキシル基含有モノマー以外にも、有機溶剤中でラジカル共重合できる、一般に粘着剤として用いられるモノマー成分を併用することができる。このようなモノマー成分としては、メタクリル酸アルキルエステル、アクリルアマイド、アクリロニトリル、およびスチレン等の芳香環を有するモノマーが挙げられる。
上述のとおり、重合体の基となるモノマーとして少なくとも、アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、酢酸ビニル、カルボキシル基含有モノマーを併用すると、柔軟性に優れ、かつ被着体に貼り合せる際の初期密着性(タック力)が高まり、携帯電話等の表面保護板の印刷部分によって発生する段差への埋め込み追従性のよい粘着剤組成物7及び粘着シート10が得られる。加えて、イソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤と、水酸基含有モノマーとの反応性が触媒作用的に高まり、より緻密な架橋構造を形成させる。このため、粘着剤組成物7の高温および高温多湿条件下での耐久性、粘着シート10の加工性を向上させやすいため好ましい。さらに、粘着シート10の調製後、架橋反応が平衡に達するまでのエージング期間を短縮するか、加温せずに室温でエージングすることができる。これら成分の含有割合は、固形分換算でモノマー100重量部のうち、アクリル酸アルキルエステルを80〜98.5重量部、水酸基含有モノマーを0.5〜15重量部、酢酸ビニルを0.5〜15重量部、カルボキシル基含有モノマーを0.5〜5.0重量部として共重合体を得ることが好ましい。
本発明にて用いる重合体の製造方法について説明する。重合体は、各種公知の方法により製造することができる。例えば、バルク重合法、溶液重合法、懸濁重合法等のラジカル重合法を適宜選択することができる。重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等のアゾ系重合開始剤、過酸化ラウロイル、過酸化ベンゾイル(BPO)等のパーオキサイド化合物、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤、2−メチルチオキサントン等のチオキサントン系開始剤、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤等を使用することができる。これらのうち特に、重合性などの観点から、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系重合開始剤が好ましい。そして、上記方法により製造した重合体をトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解させることによって、重合体溶液が調製される。
重合体の重量平均分子量(Mw)は特に制限されるものではないが、好ましくは20万〜100万、さらに好ましくは35万〜60万である。分子量が20万未満の場合、携帯電話、携帯端末、タッチパネル等、高温高湿など過酷な使用環境が想定される画像表示装置として用いた場合、粘着剤層3に発泡、浮き、剥れが生じやすくなるため好ましくない。また、保持力も低下しやすい。さらに、構成部材に貼り合せた後、はみ出し、ずれ等が発生しやすい。分子量が100万を超えると、表面保護板、又は画像表示モジュールへの初期密着性が低下し、気泡が残存しやすくなるため好ましくない。なお本明細書において、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)により測定したポリスチレン換算の値とする。なお、後述する貯蔵弾性率は、重合体の重量平均分子量によっても調整が可能である。
上述の重合体溶液には、上述の各成分以外に、必要に応じて、粘着付与剤、シランカップリング剤、着色剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲内で適宜添加してもよい。
上述の重合体溶液に添加される架橋剤について説明する。粘着剤組成物7の溶液(以下「粘着剤溶液」という。)は、上述の重合体溶液に架橋剤が添加されることによって作成される。本発明に使用される架橋剤としては、1分子中にイソシアネート基を2つ以上有する化合物であるイソシアネート系架橋剤、あるいは1分子中にエポキシ基を2つ以上有する化合物であるエポキシ系架橋剤が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤には、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と表記する)、トリメチロールプロパンヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI−TMP」と表記する)などのHDI系イソシアネート架橋剤、トリレンジイソシアネート(以下、「TDI」と表記する)、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(以下、「TDI−TMP」と表記する)などのTDI系イソシアネート架橋剤、キシリレンジイソシアネート(以下、「XDI」と表記する)、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート(以下、「XDI−TMP」と表記する)などのXDI系イソシアネート架橋剤、o−トルイジンイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4−4′−ジフエニルメタンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、トリフエニルメタントリイソシアネート等のイソシアネート類、イソシアネート類とポリアルコールとの生成物、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソシアネート等を使用することができる。このなかでもXDI−TMPおよびHDI−TMPを用いると、得られる粘着剤組成物7を高温、高温多湿環境下に静置しても、粘着剤組成物7に黄変などの色調変化が発生しにくい。従って、耐久性に優れた携帯電話の構成部材間の隙間を埋める用途に適した粘着シート10を作製できる。
架橋剤としては、イソシア系架橋剤以外にもエポキシ系架橋剤を用いることができ、必要に応じて併用することができる。エポキシ系架橋剤としては、エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジルアミノフェニルメタン、等のエポキシ系化合物が挙げられる。このなかでもN,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタンを用いると、得られる粘着剤組成物7を高温、又は高温多湿環境下に静置しても、粘着剤組成物7に黄変などの色調変化が発生しにくい。従って、耐久性に優れ、携帯電話の構成部材間の隙間を埋める用途に適した粘着シート10を作製できる。
本発明では、アクリル酸アルキルエステル、酢酸エチル、及び水酸基含有モノマーが共重合した重合体と、イソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤とを含有する。エポキシ系架橋剤を単独で用いた場合、イソシアネート系架橋剤を単独で使用した場合や、イソシアネート系架橋剤とエポキシ系架橋剤とを併用した場合と比べて、一般に反応性が低い。このため、得られる粘着剤組成物7の架橋密度は低い、すなわち凝集力が低い。従って、構成部材に貼り合せた後、粘着剤組成物7のはみ出しやずれ等が発生しやすく、高温または高温多湿環境下で剥離しやすくなるため、本発明の用途に使用しにくい傾向がある。またエポキシ系架橋剤は、TDI系イソシアネート架橋剤と比較して高温又は高温多湿環境下において黄変などの色調変化が発生しにくいため、本発明の粘着シート10用途に好適に使用できる利点がある。そこで本発明においては、エポキシ系架橋剤を用い、さらにXDI系および/またはHDI系イソシアネート系架橋剤を併用することが好ましい。これによって、特に高温又は高温多湿環境下における気泡、浮き、剥れの発生なく、かつ粘着剤組成物7の色調変化を抑制でき、粘着物性および保持力に特に優れた粘着シート10を得ることができる。
重合体と架橋剤との配合割合は特に限定されるものではないが、重合体の分子間架橋を調整することにより、粘着性能や貯蔵弾性率、埋め込み性、耐久性の調整を行うことができる。表面保護板の印刷段差埋め込み性、貯蔵弾性率、粘着物性、および耐久性の面で優れた特性を確保する観点から、架橋剤添加量は、重合体100重量部に対して、固形分換算で0.05から5.0重量部、更には0.1から3.0重量部含有することが好ましい。0.05重量部未満では、凝集力不足のため軟らかくなり保持力と耐久性が低下しやすい。加えてシート状加工時に端面より粘着剤組成物7のはみ出しが生じやすく、LCDや有機EL等の画像表示モジュールの発熱により粘着剤組成物7のはみ出しが発生しやすくなる。5.0重量部を超えると、粘着力が大きく低下し、段差埋め込み性が低下しやすいだけでなく、高温又は高温多湿環境下での外観や黄変などの色調変化が生じる可能性がある。
なお、TDI系架橋剤を用いる場合は、上述のとおり黄変しやすいため、粘着剤100重量部に対して配合量を0.1重量部以上3.0重量部以下、更には0.15重量部以上2.0重量部以下とすることが好ましい。0.1重量部を下回ると凝集力不足であり耐久性が悪くなりやすいため好ましくなく、3.0重量部を超過すると黄変しやすいため好ましくない。
本発明においては、必要に応じて、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤およびエポキシ系架橋剤以外の架橋剤、たとえばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属元素にアセチルアセトン、アセト酢酸エチル等が配位した金属キレート化合物、金属塩、金属アルコキシド、アルデヒド系、非アミノ樹脂系アミノ化合物、尿素系、メラミン系、アジリジン系などを併用することができる。
架橋反応は、剥離シートへ粘着剤溶液を塗工した後、乾燥させる際の温度および時間により好適に制御可能である。架橋温度は、粘着剤組成物7の種類に応じて適宜に調整されるが、一般的には70〜150℃が好ましい。また、架橋時間は一般的には1〜5分程度で終結させることが好ましい。
粘着剤組成物7を作製する場合、シランカップリング剤を上述の重合体に含有させることができる。シランカップリング剤を含有させることで、ガラス基材などシリカ成分を含む基材と粘着剤組成物7との密着力を増加させ、高温環境下における粘着力、耐久性を向上しやすい。シランカップリング剤としては、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等のメタクリロキシ系、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ系、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト系、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル系、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3アミノプロピルメチルジメトキシラン等のアミノ系がある。この中でも、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いると、特に、表面保護板やタッチパネルの基材としてガラスなどシリカ成分を含む基材や液晶モジュールの表層にある偏光板が使用された場合において、高温環境下における粘着物性や耐久性に特に優れるだけでなく、印刷が20μmと厚く印刷段差が大きくても、段差に追従できる埋め込み性を有する粘着剤組成物7、及び粘着シート10を得やすいため好ましい。
重合体とシランカップリング剤の配合割合は特に限定されるものではないが、ガラスなどシリカ成分を含む基材や液晶モジュールの表層にある偏光板との接着力を増加させ、高温環境下における粘着力、耐久性を向上させるためには、重合体100重量部に対して、固形分換算で0.05重量部以上2.0重量部以下、更には0.1重量部以上1.0重量部以下が好ましい。0.05重量部未満では耐久性が低下しやすく、2.0重量部を超過すると耐久性の低下や剥離力の上昇等の不具合を生じやすくなりやすい。
上述のようにして作成される粘着剤溶液には、画像表示装置として色調微調整等の要求が生じた場合、必要に応じて染料、顔料等の着色剤が加えられる。染料としては、塩基性染料、酸性染料、直接染料、酸性媒染染料、または媒染染料から選択された1種以上を使用することができる。染料の分類は様々であり、化学構造による分類としては、アゾ染料アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、ピラゾロン染料、スチルべン染料、ジフェニルメタン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料、キノンイミン染料(アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料)、シアニン染料、キノリン染料、チアゾール染料、メチン染料、ニトロ染料等が挙げられる。また顔料としては、例えば、アゾ顔料、アントラキノン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、ぺリレン・ぺリノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、ピロール系顔料、フタロシアニン顔料、アニリンブラック顔料、カーボンブラック顔料などの有機顔料、酸化チタン系顔料、酸化鉄系顔料などの金属酸化物系顔料、クロム酸塩系顔料、硫化物系顔料、ケイ酸塩系顔料、炭酸塩系顔料、フェロシアン化合物などの無機顔料が挙げられる。顔料は、平均粒子径が0.03〜0.30μmであるものを使用することが好ましい。所望の貯蔵弾性率が得られ、粘着剤層3中に均一に分散させることができるからである。これら染料、顔料等の着色剤のうち何れか一種或いは二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。組み合わせる着色剤の配合比によって、色調を調整することができる。
染料、顔料等の着色剤は特に限定されないが、例えば、重合体100重量部に対して、着色剤が固形分換算で0.1〜10重量部程度添加される。これによって、表面保護板、タッチパネル及び画像表示モジュールへの接着力の低下、表面保護板の印刷段差への埋め込み適性、高温環境下にさらされた後の視認性および高温高湿環境下での耐久性等の優れた特性を損なうことなく、光透過性能を維持しながら画像表示装置として要求のある色調に適宜補正することができる。
粘弾性試験により得られる貯蔵弾性率は、主成分である上述の重合体に依存する。表面保護板の印刷段差埋め込み性、粘着性能および高温高湿環境下における耐久性および透明性と黄変などの色調変化の面で優れた特性を確保するために、アルキルエステルおよび水酸基を有するモノマーを含む重合体のほか、架橋剤を所定の範囲内で適宜調整することで、貯蔵弾性率を設定することができる。
以上説明したように、重合体の基となるモノマーとして、アクリル酸アルキルエステルおよび水酸基含有モノマー、酢酸ビニルを併用し、かつ、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(好ましくはXDI系やHDI系)および/またはエポキシ系架橋剤を併用する。好ましくは、モノマーとしてカルボキシル基含有モノマーを併用し、さらに好ましくはシランカップリング剤を併用することにより、例えばガラス基材に対する埋め込み性、粘着物性(タック性、粘着力および保持力)、耐久性、加工性および透明性が高く、黄変などの色調変化が少ない、優れた粘着剤組成物7及び粘着シート10を得ることができる。
特に、固形分換算でモノマー100重量部のうち、アクリル酸アルキルエステルを80〜98.5重量部、水酸基含有モノマーを0.5〜15重量部、酢酸ビニルを0.5〜15重量部、カルボキシル基含有モノマーを0.5〜5.0重量部から重合体を形成させる。架橋剤は、重合体100重量部に対して、固形分換算で0.05重量部から5.0重量部、さらに好ましくは0.1重量部から3.0重量部含有させる。より好ましくは、架橋剤としてXDI系および/またはHDI系のイソシアネート系架橋剤を用いる。これによって、印刷部分を含む表面保護板に対する埋め込み性、粘着物性(粘着力および保持力)、耐久性、加工性および透明性が高く、黄変などの色調変化が少ない、優れた粘着剤組成物7及び粘着シート10が得られやすいため好ましい。
このようにして得られた粘着シート10は、特に印刷段差(印刷厚み:20μm程度)を有する、ガラス基材などシリカ成分を含む基材からなる表面保護板などに対しても、充分に高い埋め込み性を得ることができる。また、粘着物性(タック性、粘着力および保持力)、耐久性、加工性および透明性が高く、黄変などの色調変化が少ないため好ましい。
剥離シート5及び剥離シート6について説明する。剥離シート5及び剥離シート6としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、ゴムシート、発泡シート、金属箔、紙、不織布又はこれらのラミネート体等からなる適当な薄葉体を用いることができる。剥離シート5及び剥離シート6の表面には、粘着剤層3からの剥離性を高めるため、必要に応じてシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理等の剥離処理が施されていてもよい。剥離シート5及び剥離シート6の剥離性は、剥離処理に用いる薬剤の種類、及び塗工量のうち少なくとも一方のパラメータを調節することにより制御することができる。
粘着剤層3の形成方法について説明する。粘着剤層3の形成方法は特に限定されることなく、例えば、上記のようにして作成された粘着剤溶液を、グラビア印刷法、スプレー法、ディッピング法、ロールコータ法、ダイコーター法等公知の方法で剥離シート5に塗工する。乾燥後、剥離力の異なる剥離シート6と貼り合わせる。これによって、芯材なしの両面透明粘着シートである粘着シート10を作成することができる。
粘着剤層3の厚さは50μm以上500μm以下であることが好ましく、100μm以上500μm以下であることがより好ましい。50μm未満では、段差が10μm以上、特に20μm以上である印刷部2(図2参照、後述)が表面保護板1(図2参照、後述)に印刷され形成されている場合、埋め込み性が低下したり、粘着力や保持力不足により意図しない剥離、剥がれが発生しやすい。500μmを超えると、粘着剤層3の光透過性の低下や、加工時における粘着剤組成物7のはみ出しが発生しやすくなる。
粘着シート10は、連続生産における作業効率の面から、好適にはロール状に生産される。その後、打ち抜き加工、レーザーカット加工などの手法によって、携帯電話、携帯端末、タッチパネル等に用いられる画像表示装置へ組み込むための所定の形状に成形することができる。
粘着シート10の使用形態について説明する。図2は、粘着シート10が画像表示装置11に適用された場合の断面構成を示している。図2に示すように、画像表示装置11は、画像表示モジュール4と、画像表示モジュール4における像が表示される側(図2中上側)に配置される表面保護板1とから構成されている。粘着剤組成物7は、画像表示モジュール4と表面保護板1とで挟まれる部分に充填される。なお、表面保護板1における画像表示モジュール4に近接する面(粘着剤組成物7と接する面)側には、印刷部2が印刷されている。印刷部2は例えば、画像表示装置11の表示部に額縁状の外周枠を形成させる場合に、表面保護板1に印刷される。印刷部2は所定の厚さ(10μm程度〜20μm程度)を有している。尚図2には記載されていないが、表面保護板1と画像表示モジュール4の間にタッチパネルを組み込んだ構成であってもよい。この場合、表面保護板1とタッチパネルの間の隙間や、タッチパネルと画像表示モジュール4の間の隙間にも本発明の粘着シート10を適用することができる。
表面保護板1について説明する。表面保護板1の材質および形状は、光透過性のあるシート状または板状成形体であれば特に限定はない。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン(脂環)樹脂等の透明樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂等の半透明樹脂からなる群のうちの少なくとも一種を主成分としてなる合成樹脂類、あるいはソーダライムガラス、無アルカリガラス、強化ガラス、耐熱ガラス等の無機材料が使用可能である。軽量化、薄型化の観点より、透明樹脂や半透明樹脂のような樹脂材料が好ましい。成形加工性や耐久性などの観点から、PMMA樹脂、PC樹脂やソーダライムガラス、無アルカリガラス、強化ガラスであることが特に好ましい。
表面保護板1としては、厚さが0.5〜2.0mmのガラス板、厚さが12〜300μmのシート状成形体、厚さが0.3〜10.0mmの板状成形体等を用いることが可能である。特に、厚さが38〜300μmのシート状成形体が好ましい。または、厚さが0.3〜3.0mm、特に厚さが0.8mm以上1.2mm以下の板状形成体が好ましい。
また、本発明に支障のない限り、表面保護板1の表層に防眩層、反射防止層、帯電防止処理層、ハードコート層、防汚層、抗菌層等の機能層の形成、あるいは光学機能層をコーティングしたフィルムを、粘着剤組成物7を介して貼合することが可能である。この場合、機能層や光学機能層等と他層との密着性を向上させるために、コロナ処理、アルカリ処理、プラズマ処理、易接着樹脂層コート処理等の表面処理を施してもよい。
近年の携帯電話、携帯端末、タッチパネル等に用いられる画像表示装置の表面保護板1には、装飾性を目的に印刷部2が設けられることがある。従来よりも光透過性を抑える目的で、印刷部2の印刷厚みは従来の10μm程度から20μm程度と厚くなる傾向にある。従って、20μm程度の印刷段差に対して粘着シート10が適用された場合に、気泡が残存しないこと、及び高温及び高温多湿環境下において20μmの印刷段差から剥離しない程度の粘着力を維持できること等が必要とされている。
画像表示モジュール4について説明する。画像表示モジュール4としては、液晶方式、有機EL方式等、様々な方式の画像表示モジュールが使用可能である。
画像表示モジュール4のうち、粘着剤組成物7と接する面には、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン(脂環)樹脂等の透明樹脂からなる機能性フィルムの樹脂層、または、アクリル樹脂やポリウレタン樹脂等からなる易接着コート層、導電コート層などの特殊コート層が配置される。
粘着シート10を使用して画像表示装置11が作製される場合の作製方法について説明する。粘着シート10のうち剥離シート6が剥がされる。次いで、粘着剤層3のうち、剥離シート6が剥がされることによって露出した状態となっている面が、画像表示モジュール4に貼付される。次いで、粘着剤層3から剥離シート5が剥がされる。次いで、粘着剤層3のうち、剥離シート5が剥がされることによって露出した状態となっている面に、表面保護板1が貼付される。上述のようにして、画像表示モジュール4と表面保護板1とが貼合されることによって、画像表示装置11が作成される。
上述の作成工程は真空環境下で行われることが好ましく、これによって、粘着剤組成物7の発泡、剥離、浮きなどの発生を抑制することができる。また、粘着剤組成物7によって画像表示モジュール4と表面保護板1とを貼り合せた場合、貼り合せ後、加熱加圧処理が行われる。これによって、貼合での粘着剤組成物7の発泡、剥離などの発生を抑えることができる。また、高温多湿状態(例えば60℃95%RH、168時間放置)における耐久性を高めることができる。
以上説明したように、粘着シート10は、画像表示モジュール4と表面保護板1との間(またはこれらとタッチパネルとの間)の間隔に充填される目的で使用されることにより、すぐれた耐久性を示す。これによって、表面保護板1と画像表示モジュール4とを良好に粘着させることが可能となる。また、粘着剤組成物7が表面保護板1に加わった衝撃を良好に吸収するので、画像表示モジュール4に衝撃が伝わってしまうことを防止することが可能となる。また、粘着シート10を使用して表面保護板1と画像表示モジュール4とを貼合できるので、容易に画像表示装置11を作成することができるとともに、粘着剤組成物7内への気泡の混入を防ぐことが可能となる。さらに、粘着剤組成物7は、高い透明性を示すので、画像表示モジュール4に表示される画像の視認性を良好とすることが可能となる。
実施例及び比較例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。しかしながら本発明は、これらによって限定されるものではない。以下、1.評価試料詳細、2.評価方法、3.評価結果の順に説明する。
1.評価試料詳細
はじめに、粘着剤溶液の調整方法について説明する。重合体の基となるモノマーを、表1及び表2に記載の種類及び重量部に基づいて配合した。配合したモノマーに、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.6重量部を加えて共重合させた。次に、共重合によって生成した重合体30重量部を、溶媒70重量部(トルエン20重量部と酢酸エチル50重量部を混合した溶媒)へ溶解させた。結果、固形分45重量%の重合体溶液を得た。其々の重量平均分子量(Mw)は、表1及び表2記載の通りとなった。次いで、得られた重合体溶液に対し、表3及び表4記載の種類及び量の架橋剤を加え、粘着剤溶液とした。
アクリル酸アルキルエステルとして、メチルアクリレート(MA)、n−ブチルアクリレート(BA)、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、メタクリル酸メチル(MMA)を使用した。水酸基含有モノマーとして、2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)を使用した。また酢酸ビニル(VAc)を使用した。カルボキシル酸基含有モノマーとして、アクリル酸(AA)を使用した。
イソシアネート系架橋剤として、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート(XDI−TMP)(タケネートD110N、三井武田ケミカル社製)(表中では「XDI系」と表記)、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネート(TDI−TMP)(コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)(表中では「TDI系」と表記)、トリメチロールプロパンヘキサメチレンジイソシアネート(HDI−TMP)(コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)(表中では「HDI系」と表記)を使用した。エポキシ系架橋剤として、N,N,N',N'-テトラグリシジルアミノフェニルメタン(テトラッドX、三菱ガス化学社製)を使用した。シランカップリング剤として、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、信越化学社製)を使用した。
粘着シート10の製造方法について説明する。片面にシリコーン樹脂を塗布した厚さ75μmのPETフィルムからなる剥離シート5を用意した。次いで、剥離シート5のうちシリコーン樹脂塗布面上に、上述において調製した粘着剤溶液を塗布し、100℃にて3分間乾燥処理を施した。これによって、乾燥後の厚さ100μmの粘着剤層3を形成させた。
次いで、厚さ38μmのPETフィルムからなる剥離シート6を、粘着剤層3のうち剥離シート5が貼付されている側と反対側の面に貼合し、23±2℃、50±5%で1週間以上エージングした。なお剥離シート5及び6の剥離力の関係が、「剥離シート5>剥離シート6」となるように剥離剤の種類を選定した。このようにして評価用の粘着シート10を得た。但し、カルボキシル基含有モノマーを含有しない実施例1〜21、28〜31、比較例1,2,4,6,8は、架橋反応が進みにくいため、40±2℃に加温して3日間以上エージングした。なお、エージング期間はちょうど1週間(3日間)である必要はなく、1週間(3日間)以上であれば特に期間は問わない。

Figure 2011116916

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2.評価方法及び評価結果
以上のようにして作成した粘着シート10(実施例1〜31、比較例1〜8)及びこれらを構成する粘着剤組成物7について、(1)粘着物性(ボールタック、粘着力、保持力)(2)貯蔵弾性率(3)埋め込み性(4)耐久性(外観、色調変化)について評価を行った。測定及び評価方法の詳細について、以下に示す。
(1)粘着物性
(1−a)ボールタック
JIS Z 0237(1980年制定(2000改訂))傾斜式ボールタック試験に準拠した。30度の傾斜板に試験片を貼り付け、この試験片表面にボールを転がした。測定部内で停止する最大のボールナンバーをボールタックの値とした。結果を表5及び表6に示す。
ボールタックが12以上の場合、印刷段差つき表面保護板と画像表示モジュールを貼りあわせた際、印刷段差部分の密着性は良好であり、気泡のかみ込みが少なくなる。特に、ボールタックが18以上では、印刷段差部分の高さが20μmであっても良好に密着する。ボールタックが30以上になると、シート状に加工する際、端部より粘着剤組成物7のはみ出しが生じ易くなる。また、画像表示装置内部の熱により粘着剤組成物7のはみ出しが発生し易くなる。
(1−b)粘着力
JIS Z 0237(1980年制定(2000改訂))180度引き剥がし粘着力試験に準拠した。剥離シート5,6を剥離し、片面に100μm厚のPETフィルムに貼りあわせ、25mm幅に切り出したものを試験片とした。粘着剤組成物7が露になっている側をソーダライムガラス板(以下、単に「ガラス板」と表記する。)に圧着し、24時間後の粘着力を測定した。結果を表5及び表6に示す。
粘着力が7N/25mm以下では、高温および高温多湿下で表面保護板の印刷段差部分からの剥がれが発生し易くなる。
(1−c)保持力
JIS Z 0237(1980年制定(2000改訂))保持力試験に準拠した。剥離シート6を剥離し、片面に100μm厚のPETフィルムに貼りあわせたものを試験片とした。PETフィルムおよび粘着剤層3、剥離シート5からなる試験片の剥離シート5を剥離し、粘着剤層3が25mm×25mmの面積でSUS304板に接するように圧着した。温度40℃湿度65%環境下にてSUS304板と試験片が垂直に垂れ下がるようにし、試験片の端部に1kgの荷重をかけ、17時間後のずれた距離、又は試験片から落下するか否かを測定した。結果を表5及び表6に示す。試験片から落下した場合、「×」と表記した。
17時間後のずれが3mm以上であるか、又は17時間内に落下した場合は、画像表示装置として要求される高温および高温多湿下において保持力が低下する。
(2)貯蔵弾性率
粘着剤組成物7の粘弾性体としての特性を評価する目的で、粘着剤組成物7の貯蔵弾性率を測定した。粘弾性測定装置(日本シーベルヘグナー社製、品番:MCR301)を使用し、各試料に用いた粘着剤組成物7の25℃、1Hzにおける貯蔵弾性率(G´)を測定した。結果を表5及び表6に示す。
貯蔵弾性率が9.0×10以下の場合、印刷段差つき表面保護板と画像表示モジュールを貼りあわせた際、印刷段差部分の密着性が良好であり、気泡のかみ込みが少なくなる。さらに貯蔵弾性率が5.0×10以下の場合、印刷段差が20μmであっても気泡のかみ込みが少なくなる。一方、貯蔵弾性率が9.0×10を超過した場合、印刷段差部分への追従性が劣るため、気泡をかみ込みやすくなる。
(3)埋め込み性
額縁状の印刷部2が印刷された表面保護板1(材質:ソーダライムガラス、寸法:52mm×74mm)に、剥離シート5を剥離することで露になった粘着剤組成物7を貼合した。剥離シート6を剥離し、印刷の施されていないガラス板を貼合した。貼付直後の状態と、加熱加圧処理(50℃、5気圧、30分間)を施した後の状態とを、拡大顕微鏡(VH−6300、キーエンス社製)で100倍に拡大して観察した。目視で気泡混入、浮き、剥れが発生しているか否かを判断した。結果を表7及び表8に示す。印刷部2の厚さが異なる二種類の表面保護板1(厚さ10μm、及び20μm(幅5mm共通))を使用した。
表7及び表8のうち「○」は、貼付直後及び加圧後のいずれの状態においても、気泡混入、浮き、剥れが発生しないことを示している。「△」は、貼付直後の状態において、気泡混入、浮き、剥れが発生し、加熱加圧処理後の状態において、気泡混入、浮き、剥れが発生しないことを示している。「×」は、貼付直後の状態及び加熱加圧処理後の状態のいずれも、気泡混入、浮き、剥れが発生したことを示している。
(4)耐久性(外観、色調変化)
作成した試料における耐久性を確認した。粘着剤組成物7の両面に、印刷が施されていない表面保護板1(材質:ガラス板)を貼り合せた。この試料を、(A)温度85℃、湿度0%、(B)温度60℃、湿度95%に保たれた恒温恒湿槽内に入れ、1,000時間放置した。その後、外観および色調変化を評価した。
(4−a)外観
外観評価は、所定の温度及び湿度で1,000時間放置した試料について、目視で気泡、浮き、剥れが発生しているか否か評価した。結果を表7及び表8に示す。表7及び表8のうち「○」は、気泡発生、浮き、剥れが発生ないことを示している。「△」は気泡の発生が認められたが、浮き、剥れがなく実使用可能であることを示している。「×」は気泡発生、浮き、剥れが発生し実使用不可能であることを示している。
(4−b)色調変化
作成した試料について、1,000時間放置後、で紫外可視分光光度計(島津製作所社製、型番:UV−3150)にて可視光領域(測定波長380〜780nm、))の透過率を測定した。(A)温度85℃、湿度0%、(B)温度60℃、湿度95%、の其々の雰囲気下で測定を行った。JIS−Z−8729−1994に準じて、色調L、a、bをそれぞれ算出した。色調変化ΔEは下式により求めた。
ΔE=((ΔL+(Δa+(Δb1/2
ここで、Lは明度、a値、b値は色座標を表している。結果を表7及び表8に示す。
色調変化が0.5以下である場合、色調変化が少なく透明性に優れている。色調変化が0.5を超えた場合、黄変等の色調変化が見られ透明性に劣るが、実使用可能な範囲である。1.0を超えると、黄変等の色調変化の程度が大きくなり、目視で確認できるレベルとなるため実使上、好ましくない。

Figure 2011116916
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3.評価結果
実施例1〜31および比較例1〜8の粘着シートはいずれも、紫外可視分光光度計(UV―3150:島津製作所製)によって波長380nm〜780nmの範囲について測定した全光線透過率が85%以上と高く、画像表示装置の表面保護板や画像表示モジュール、タッチパネル等に貼合して用いることができる、透明性に優れた粘着シートであった。
BA、2EHA、酢酸ビニル、及び水酸基含有モノマーが共重合した重合体が粘着剤組成物7として使用された場合(実施例1〜31)、酢酸ビニルがモノマーとして含まれない場合(比較例4,5)と比較して、優れた埋め込み性及び耐久性を示すことが分かった(印刷段差20μmの場合、実施例1〜31:○、△、比較例4,5:×)(耐久性−外観(85℃)、実施例1〜31:○、△、比較例4,5:×)。また、2EHA及び酢酸ビニルがモノマーとして含まれない場合(比較例1〜3)と比較して、優れた埋め込み特性を示すことが分かった(印刷20μmの場合、実施例1〜31:○、△、比較例1〜3:×)。従って、BA、2EHA、酢酸ビニル、及び水酸基含有モノマーとともに共重合させた重合体を使用することで、埋め込み特性及び耐久性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
また、実施例1〜31において、ボールタックは12〜30の範囲内となった。一方、2EHA及び酢酸ビニルがモノマーとして含まれない場合(比較例1〜3)、ボールタックは12以下となった。従って、BAと2EHA、酢酸ビニル、及び水酸基含有モノマーとともに共重合させた重合体を使用することで、印刷部分を有する表面保護板に貼り合せたときの初期密着性(タック力)が高く、印刷段差への埋め込み追従性に優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
BAと2EHAとの重量割合を84:10とした場合(実施例2)、89:5とした場合(実施例1)と比較して、埋め込み性が向上した(印刷20μmの場合、△→○)。また粘着物性が改善した(粘着物性−ボールタック/16→18、粘着力/18→20(N/25mm))。BAと2EHAとの割合を64:30とした場合(実施例3)、54:40とした場合(実施例4)と比較して、粘着物性が改善した(粘着物性−保持力/2.5→0)。従って、BAと2EHAとの重量割合を89:5〜54:40とし、より好ましくは84:10〜64:30とすることによって、粘着物性、埋め込み特性、及び耐久性の点で優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
BAと2EHAと水酸基含有モノマーとが共重合した重合体が使用された場合(実施例1〜31)、水酸基含有モノマーが含まれない場合(比較例6,7)と比較して、優れた耐久性を示すことが分かった(耐久性−外観(85℃)/実施例1〜31:○、△、比較例6,7:×)。従って、水酸基含有モノマーを、BA、2EHA、及び酢酸ビニルとともに共重合させた重合体を使用することで、粘着物性及び耐久性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
水酸基含有モノマーの含有量を、モノマー全体に対して固形分換算で1.0重量部とした場合(実施例3)、0.5重量部とした場合(実施例5)と比較して、耐久性が向上することが分かった(耐久性−外観(85℃)、△→○)。水酸基含有モノマーの含有量を、モノマー全体に対して固形分換算で10重量部とした場合(実施例6)、15重量部とした場合(実施例7)と比較して、粘着物性が改善した(粘着物性−ボールタック/12→16、粘着力/14→16(N/25mm))。また埋め込み性が向上した(印刷10μmの場合、△→○)。また耐久性が向上することが分かった(耐久性−外観(60℃95%)△→○)。従って、水酸基含有モノマーの含有量を、モノマー全体に対して固形分換算で0.5〜15重量部、より好ましくは1.0〜10重量部とすることによって、粘着物性、埋め込み特性、及び耐久性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
重合体の分子量を35万とした場合(実施例13)、20万とした場合(実施例12)と比較して、耐久性が向上した(耐久性−外観(85℃)、△→○)。重合体の分子量を60万とした場合(実施例3等)、100万とした場合(実施例14)と比較して、粘着物性が向上した(粘着物性−ボールタック/18→23)。また埋め込み性が向上した(印刷20μmの場合、△→○)。従って、重合体の分子量を20万〜100万、より好ましくは35万〜60万とすることによって、粘着物性、耐久性、及び埋め込み特性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
酢酸ビニルの含有量を1.0重量部とした場合(実施例9)、0.5重量部とした場合(実施例8)と比較して、耐久性が向上することが分かった(耐久性−外観(65℃95%)、△→○)。酢酸ビニルの含有量を10重量部とした場合(実施例10)、15重量部とした場合(実施例11)と比較して、埋め込み特性及び耐久性が向上した(埋め込み性/印刷10μmの場合、△→○)(耐久性−外観(65℃95%)、△→○)。従って、酢酸ビニルの含有量を0.5〜15重量部、より好ましくは1.0〜10重量部とすることによって、埋め込み特性及び耐久性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
カルボキシル基酸含有モノマーの含有量を1.0重量部とした場合(実施例23)、0.5重量部とした場合(実施例22)と比較して、貯蔵弾性率が改善した(3.0×10→3.6×10(Pa))。カルボキシル基酸含有モノマーの含有量を3.0重量部(実施例26)とした場合、5.0重量部とした場合(実施例27)と比較して、埋め込み性が向上することが分かった(印刷10μm、及び印刷20μmの場合、△→○)。従って、カルボキシル基酸含有モノマーの含有量を固形分換算で0.5〜5.0重量部、より好ましくは1.0〜3.0重量部とすることによって、貯蔵弾性率及び埋め込み特性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
架橋剤として、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤を使用した場合(実施例1〜31)、架橋剤を含まない場合(比較例8)と比較して、保持力及び耐久性の点で優れた特性を示すことが分かった(保持力/実施例1〜31:0〜2.8、比較例8:×)(耐久性−外観(85℃、60℃95%とも)/実施例1〜31:○、△、比較例8:×)。また、イソシアネート系架橋剤を使用した場合(実施例3,19〜20)エポキシ系架橋剤を使用した場合(実施例21)と比較して、耐久性が向上した(耐久性−外観(85℃、60℃95%)△→○)。さらに、TDI系イソシアネート架橋剤を使用した場合(実施例20、24)耐久性評価から、実使用時において問題となるレベルの色調変化が見られた。(耐久性−ΔE*(85℃、60℃95%)0.45−1.14)。これに対し、XDI系又はHDI系イソシアネート架橋剤を使用した場合、色調変化のない良好な耐久特性を示した(実施例1〜19、22、23、26〜31)。この結果から、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤を使用することで、より好ましくはイソシアネート系架橋剤を使用することで、さらに好ましくは、XDI系又はHDI系イソシアネート系架橋剤を使用することで、貯蔵弾性率、保持力、及び耐久性の点で優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
架橋剤の含有量を0.1重量部とした場合(実施例16)、0.05重量部とした場合(実施例15)と比較して、耐久性が向上することが分かった(耐久性−外観(85℃)、65℃95%とも)、△→○)。架橋剤の含有量を、重合体に対して固形分換算で3.0重量部とした場合(実施例17)、5.0重量部とした場合(実施例18)と比較して、埋め込み性が向上することが分かった(印刷20μmの場合、△→○)。また粘着特性が向上した(粘着特性−ボールタック/12→18)。従って、架橋剤の含有量を0.05〜5.0重量部、より好ましくは0.1〜3.0重量部とすることによって、粘着物性、耐久性、及び埋め込み特性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
シランカップリング剤を含有させた場合、固形分換算でその含有量を0.05重量部(実施例29)、0.1重量部(実施例3)1.0重量部(実施例30)、2.0重量部(実例31)とした場合、シランカップリング剤を含有量させなかった場合(実施例28)と比較して、耐久性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった(耐久性−外観(85℃)、△→○)。また、シランカップリング剤の含有量を、固形分換算で0.1重量部とした場合(実施例3)、0.05重量部とした場合(実施例29)と比較して耐久性が向上した(耐久性−外観(60℃95%)、△→○)。また、シランカップリング剤の含有量を、固形分換算で1.0重量部とした場合(実施例30)、2.0重量部とした場合(実施例31)と比較して耐久性が向上した(耐久性−外観(85℃)、△→○)。従って、シランカップリング剤の含有量を0.05〜2.0重量部、より好ましくは0.1〜1.0重量部とすることによって、耐久性の優れた粘着剤組成物7を作製できることが分かった。
3 粘着剤層
5,6 剥離シート
7 粘着剤組成物
10 粘着シート

Claims (5)

  1. アクリル酸アルキルエステル、水酸基含有モノマー、及び酢酸ビニルが少なくとも共重合した重合体と、
    イソシアネート系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤と
    を含有し、
    JIS Z 0237で規定するボールタックが12〜30であることを特徴とする粘着剤組成物。
  2. 前記イソシアネート系架橋剤は、キシリレンジイソシアネート系架橋剤又はヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤であることを特徴とする請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記重合体は少なくとも、
    ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、前記水酸基含有モノマー、及び酢酸ビニルが共重合しており、
    前記重合体の重量平均分子量が20万から100万であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記重合体は、
    カルボキシル基含有モノマーがさらに共重合していることを特徴とする請求項1から3のうちいずれかに記載の粘着剤組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の前記粘着剤組成物を粘着層として有する粘着シート。
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