JP2011112932A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体の上に、下引層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体の製造方法であって、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有するオレフィン樹脂及びアミノ樹脂を含有する塗布液を導電性支持体の上に塗布し、乾燥させて下引層を成膜する。
【選択図】図3
Description
特許文献5及び6には、液安定性に優れたオレフィン樹脂の分散体を乾燥することで、耐水性及び透明性に優れ、基材フィルムとの密着性が良好な被膜が得られることが記載されている。しかしながら、被膜上に接した上層膜を形成する場合、特に、上層膜に有機顔料が分散された塗布液を用いる場合、成膜性や電子写真特性に関して具体的に記載されていない。
本発明者らは、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有するオレフィン樹脂、並びに、アミノ樹脂を含有する塗布液を用いて作成した下引層を有する電子写真感光体が、高温高湿度下での光感度の向上とポジゴーストの改善を、高いレベルで両立させる事が可能な電子写真感光体であることを見出した。カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有するオレフィン樹脂及びアミノ樹脂を含有する塗布液を用いて作成した下引層を有する電子写真感光体が、このような優れた特性を有する理由は、明らかではない。しかしながら、両者を組み合わせた場合に高温高湿度下での光感度の向上とポジゴーストの改善を、高いレベルで両立させることが可能であることから、上記オレフィン樹脂とアミノ樹脂との架橋反応に起因するものであると推察している。
上記ポリオレフィン樹脂は、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を用いて合成可能である。カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物とは、分子内(モノマー単位内)にカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物である。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドが挙げられ、特に無水マレイン酸が好ましい。また、不飽和カルボン酸は、オレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、その重合形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合であっても良い。
また、金粒子、銀粒子、アルミ粒子の如き金属粒子、ITO(酸化インジウムスズ)粒子、酸化スズ粒子、導電性酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化スズの被覆層を設けた硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子の如き導電性粒子を含有しても良い。
図3に示すように、本発明の電子写真感光体は、支持体101の上に、下引層103、感光層104(電荷発生層1041、電荷輸送層1042)をこの順に有する電子写真感光体である。感光層は、図3(b)(c)(d)及び(e)に示すように、支持体101上に導電層102を有していても良い。
感光層は、図3(a)及び(b)に示すように、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層104であってもよい。また、感光層は、図3(c)、(d)及び(e)に示すように、電荷発生物質を含有する電荷発生層1041と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層1042とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体101側から電荷発生層1041、電荷輸送層1042の順に積層した順層型感光層(図3(c)参照)と、支持体101側から電荷輸送層1042、電荷発生層1041の順に積層した逆層型感光層(図3(d)参照)がある。電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。
また、感光層104(電荷発生層1041、電荷輸送層1042)の上に、保護層105を設けてもよい(図3(e)参照)。
これらの導電性支持体表面は電気的特性改善あるいは半導体レーザーの如きコヒーレント光の照射時に問題となる干渉縞等の防止のため、陽極酸化の如き電気化学的な処理や、湿式ホーニング、ブラスト、切削処理が行われていても良い。
前記の如く、感光層としては、単層構成と積層構成のものが知られている。積層構成の感光層は、少なくとも電荷発生層と正孔輸送層を含んでなることが好ましい。
電荷発生層は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有していることが好ましい。電荷発生層は、例えば、結着樹脂を溶剤に溶解し、これに電荷発生材料を加え、該電荷発生材料を分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷発生材料の分散の際には、サンドミルやボールミルの如きメディア型分散機や、液衝突型分散機の如き分散機を用いることができる。
クロロガリウムフタロシアニン結晶としては、次のものが好ましい。CuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が7.4、16.6、25.5、28.2°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が6.8、17.3、23.6、26.9°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、およびブラッグ角度(2θ±0.2°)が8.7、9.2、17.6、24.0、27.4、28.8°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶。
測定装置:(株)マック・サイエンス製全自動X線回折装置(商品名:MXP18)
X線管球:Cu
管電圧:50kV
管電流:300mA、
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min
サンプリング間隔:0.020deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):40deg.
ダイバージェンススリット:0.5deg.
スキャッタリングスリット:0.5deg.
レシービングスリット:0.3deg.
湾曲モノクロメーター使用
正孔輸送物質としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン系化合物、スチリル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリールアミン系化合物、トリフェニルアミンあるいはこれらの化合物から成る基を主鎖または側鎖に有するポリマーが挙げられる。
特に、ポリカーボネートやポリアリレートが好ましく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定される重量平均分子量(Mw)が10,000〜300,000のものが好ましい。正孔輸送材料と結着樹脂との比率は質量比で、10/5〜5/10が好ましく、より好ましくは、10/8〜6/10である。
実施例1〜15の下引層に用いられるポリオレフィン樹脂は、市販されているポリオレフィン樹脂〔ボンダインHX-8290(住友化学工業株式会社製)、プリマコール5980I(ダウ・ケミカル社製)〕、および公知の方法で合成された樹脂(1〜7)を使用した。実施例1〜15において、樹脂粒子分散液が作製され、下引層の塗料を調製した。
なお、樹脂1〜7は、「新高分子実験学2 高分子の合成・反応(1)」の第4章(共立出版株式会社)、特開2003−105145号公報、特開2003―147028号公報に記述された方法で合成した。
(1)ポリオレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸成分の含有量:
ポリオレフィン樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、その値から不飽和カルボン酸の含有量(グラフト率)を次式から求めた。
含有量(質量%)=(グラフトした不飽和カルボン酸の質量)/(原料ポリオレフィン樹脂の質量)×100
(2)不飽和カルボン酸成分以外の樹脂の構成:
オルトジクロロベンゼン(d4)中、温度120℃にて1H−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行って求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。
次に、以下のものを直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調製した。
導電性粒子としての酸素欠損型SnO2を被覆した粒子(粉体抵抗率120Ω・cm、SnO2の被覆率(質量比率)は40%)50質量部
結着樹脂としてのフェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)40質量部
溶剤としてのメトキシプロパノール40質量部
この分散液における酸素欠損型SnO2を被覆したTiO2粒子の個数平均粒径は0.33μmであった(堀場製作所製CAPA700でTHF(テトラヒドロフラン)を分散媒に用い、回転数5000rpmにて遠心沈降法で測定)。
75.0gのポリオレフィン樹脂(ボンダインHX-8290、住友化学工業株式会社製)
60.0gの2プロパノール(以下、IPAと記す)
樹脂中のカルボキシル基に対して1.2倍当量のトリエチルアミン、および
159.9gの蒸留水
さらに、ブチル化尿素樹脂(ベッカミンG−1850、大日本インキ製)4.7部を加え攪拌し、さらにイソプロパノール500質量部と蒸留水300質量部を加え、攪拌した。次にイソプロパノール500質量部で希釈し、下引層用塗布液を調製した。この下引層用塗布液を前記導電層上に塗布後、温度80℃で10分乾燥し、厚さ1.0μmの下引層を形成した。
CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10質量部、
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5質量部および
シクロヘキサノン260質量部
この電荷発生層用塗布液を、下引層上に浸漬塗布し、これを温度100℃で10分間乾燥させることによって、膜厚が0.18μmの電荷発生層を形成した。
下記式(2)で示される構造を有するアミン化合物7質量部、および、
下記式(3)で示される構造を有する重量平均分子量(Mw)=100,000のポリアリレート10質量部(Mwは、東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー「HLC−8120」で測定し、ポリスチレン換算で計算した。)
このようにして正孔輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
下引層と正孔輸送層の膜厚は、同一寸法のアルミシリンダーにアルミシートを巻きつけ、同様の条件で成膜したサンプルを用い、中央部分を6点、ダイヤルゲージ(2109FH(株)ミツトヨ製)で測定した値の平均を算出した。
電荷発生層の膜厚は、同様に成膜したサンプルの中央部を100mm×50mm切り取り、アセトンで膜を拭き取る前後の重量から算出した(密度:1.3g/cm3で算出)。
LBP−2510のシアン色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、画像を出力した。ドラム表面電位は、初期暗部電位が−550V、明部電位が−150Vになるように設定した。表面電位の測定は、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック・ジャパン(株)製)を装着し、ドラム中央部の電位を表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
そして、評価開始時と10,000枚終了時に、以下のことを行った。
1枚目にベタ白画像をとり、ゴースト画像(図1に示すように、画像の先頭部にベタで四角の画像を出した後、図2に示す1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像を作成)を連続5枚とり、次に、ベタ黒画像を1枚とった後に再度ゴースト画像を5枚とった。
1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像濃度とゴースト部の画像濃度との濃度差を、分光濃度計X−Rite504/508(X−Rite(株)製)で、1枚のゴースト画像で10点測定し、それら10点の平均をとり1枚の結果とした。前述の10枚のゴースト画像すべてを同様に測定して、それらの平均値を求めた。
結果を表2に示す。この濃度差は、値が小さいほど、ゴースト的には良好であることを意味する。
また、作製した電子写真感光体を装着したプロセスカートリッジを、温度40℃湿度95%RHの環境下にて30日間保管し、取り出し2日後に温度23℃、湿度50%RHの環境下にて同様な評価を行った。
下引層用塗布液に用いるブチル化尿素樹脂(ベッカミンG−1850、大日本インキ製)の代わりに、メラミン樹脂(サイメル325、日本サイテックインダストリーズ製)6.3部を用い、乾燥温度を150℃とした以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるポリオレフィン樹脂(ボンダインHX-8290、住友化学工業株式会社製)の代わりにポリオレフィン樹脂(プリマコール59801、ダウケミカル製)を用い、メラミン樹脂を14.1部とした。この点以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
〔実施例4〕
下引層用塗布液に用いるポリオレフィン樹脂(ボンダインHX-8290、住友化学工業株式会社製)の代わりにポリオレフィン樹脂(上記樹脂1)を用い、メラミン樹脂を9.4部とした以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるポリオレフィン樹脂(ボンダインHX-8290、住友化学工業株式会社製)の代わりにポリオレフィン樹脂(上記樹脂2)を用い、メラミン樹脂を14.1部とした以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるポリオレフィン樹脂(ボンダインHX-8290、住友化学工業株式会社製)の代わりにポリオレフィン樹脂(上記樹脂3)を用い、メラミン樹脂を28.1部とした以外は実施例2と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるメラミン樹脂(サイメル325、日本サイテックインダストリーズ製)14.1部の代わりにメラミン樹脂(ユーバン28−60、三井化学製)6.3部を用いた以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるメラミン樹脂(ユーバン28−60、三井化学製)を18.7部を用いた以外は実施例7と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるメラミン樹脂(サイメル325、日本サイテックインダストリーズ製)14.1部の代わりにメラミン樹脂(スーパーベッカミンL116−70、DIC製)16.1部を用いた以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるポリオレフィン樹脂(上記樹脂2)の代わりにポリオレフィン樹脂(上記樹脂4)を用いた以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるポリオレフィン樹脂(上記樹脂2)の代わりにポリオレフィン樹脂(上記樹脂5)を用い、メラミン樹脂を9.4部とした以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるポリオレフィン樹脂(上記樹脂2)の代わりにポリオレフィン樹脂(上記樹脂6)を用いた以外は実施例10と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
下引層用塗布液に用いるポリオレフィン樹脂(上記樹脂2)の代わりにポリオレフィン樹脂(上記樹脂7)を用い、メラミン樹脂を18.7部とした以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
塩化第二スズ五水和物0.2モルを200mlの水に溶解して0.5Mの水溶液とし、撹拌しながら28%のアンモニア水を添加することでpH1.5の白色酸化スズ超微粒子含有スラリーを得た。得られた酸化スズ超微粒子含有スラリーを温度70℃まで加熱した後、温度約50℃まで自然冷却したうえで、純水を加え1Lの酸化スズ超微粒子含有スラリーとし、遠心分離器を用いて固液分離を行った。この含水固形分に800mlの純水を加えて、ホモジナイザーにより撹拌・分散を行った後、遠心分離器を用いて固液分離を行うことで洗浄を行った。洗浄後の含水固形分に純水を75ml加えて酸化スズ超微粒子含有スラリーを調製した。得られた酸化スズ超微粒子含有スラリーにトリエチルアミン3.0mlを加え撹拌し、透明感が出てきたところで70℃まで昇温した後、加温をやめ自然冷却することで固形分濃度20質量%の有機アミンを分散安定剤とする酸化スズゾル溶液を得た。
実施例5の塗布液の樹脂固形分1部に対して酸化スズが6.8部となるように、塗布液と酸化スズゾル分散液を混合した。その後、溶媒比率が水/IPAが9/1、固形分が5%になるよう溶媒を添加し、攪拌することによって得た下引層用塗布液を用いた以外は実施例5と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
実施例9の塗布液に実施例14と同様に酸化スズ超微粒子含有スラリーを加え下引層用塗布液を作成した以外は、実施例9と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
メラミン樹脂を加えなかった以外は実施例6と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
102 導電層
103 下引層
104 感光層
1041 電荷発生層
1042 電荷輸送層
105 保護層
Claims (2)
- 導電性支持体の上に、下引層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体の製造方法において、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有するオレフィン樹脂及びアミノ樹脂を含有する塗布液を、前記導電性支持体の上に塗布し、乾燥させて前記下引層を成膜することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記アミノ樹脂がメラミン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
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