JP2009288621A - 電子写真感光体及びそれを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体及びそれを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ポジゴースト画像が低減された良好な出力画像が作成可能であり、光感度も良好である電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】導電性支持体上に、下引層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体であって、該下引層が、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂、並びに、有機電子搬送材料を含有することを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は電子写真感光体に関し、またこの電子写真用感光体を有する電子写真用プロセスカートリッジ、及び電子写真装置に関する。
今日の電子写真技術の発展は著しく、電子写真感光体に求められる特性に対しても非常に高度な技術が要求されている。例えば、プロセススピードは年々早くなり、高感度等電位特性に対する要求が厳しくなってきている。また、近年ではカラー化に代表されるように高画質化がさけばれ、白黒画像は文字中心の画像だったが、カラー化により、写真に代表されるハーフトーン画像やベタ画像が多くなっており、それらの画像品質は年々高まる一方である。例えば、画像1枚の中で光が照射された部分が次回転目にハーフトーン画像になる場合において、前記光照射部分のみの濃度が濃くなる現象、所謂ポジゴースト画像、などに対する許容範囲が、白黒プリンターや白黒複写機の許容範囲に比べると格段に厳しくなってきている。
電子写真感光体には、アゾ顔料やフタロシアニン顔料等の電荷発生材料を分散した電荷発生層と、ヒドラゾン化合物、トリアリールアミン化合物、スチルベン化合物等の正孔輸送材料を含む正孔輸送層とを導電性支持体上に設ける積層型と、これら電荷発生材料と正孔輸送材料とを共に含有する感光層を導電性支持体上に設ける単層型とがある。
しかし、導電性支持上にこれらの感光層を設けるだけでは、感光層の剥がれが生じたり、導電性基体表面の欠陥(傷等の形状的欠陥、不純物等の材質的欠陥)が画像にそのまま反映し、黒点状画像欠陥や白抜けといった問題の原因となる場合が多い。
これらの問題点を補うため、多くの電子写真感光体では、下引層と呼ばれる層が感光層と導電性基体との間に設けられているが、下引層が原因と思われる特性悪化等が見られる場合もあり、様々な手段を用いて下引層の特性を改良しようとする試みが成されている。(特許文献1、2、3、及び4)。その中で下引層用の樹脂としては、熱硬化性樹脂やポリビニルブチラールが用いられているが、昨今の特性に対する厳しい要求に対し、充分なレベルに達している訳ではなかった。
一方、誘電特性に優れた樹脂としては、例えばオレフィン樹脂があるが、これを用いて、塗工性や耐溶剤性や電子写真特性といった下引層に必要な特性のすべてを満足する電子写真感光体用の下引層の提案は成されていなかった。
オレフィン樹脂としては、例えば、特許文献5、及び6には液安定性に優れたオレフィン樹脂分散体を乾燥することで、耐水性及び透明性、並びに基材フィルムとの密着性が良好な被膜が得られることが明示されている。しかしながら、該当膜上に接した上層膜を形成する場合の課題、特に、上層膜に有機顔料が分散された塗布液を用いる場合の成膜性や電子写真特性といった電子写真感光体作製時の特有の課題に対していずれも明言されていない。
特開平09−015889号公報 特開平09−258468号公報 特開平09−197702号公報 特開平09−127716号公報 特開2003−119328号公報 特開2003−268164号公報
本発明の目的は、ポジゴースト画像が低減された良好な出力画像が作成可能であり、光感度も良好である電子写真感光体を提供すること、また該電子写真感光体を有する電子写真用プロセスカートリッジ、及び電子写真装置を提供することにある。
本発明者らは、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂、並びに、有機電子搬送材料を含有する下引層を有する電子写真感光体が、光感度の向上とポジゴーストの改善を、高いレベルで両立させる事が可能な電子写真感光体であることを見出した。
本発明の、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂、並びに、有機電子搬送材料を含有する下引層を有する電子写真感光体が、このような優れた特性を有する理由は、明らかではない。しかしながら、両者を組み合わせた場合に光感度の向上とポジゴーストの改善を、高いレベルで両立させる事が可能である事から、上記オレフィン樹脂と有機電子搬送材料との何らかの相互作用に起因するものであると予想している。
即ち、本発明は、導電性支持体上に、下引層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体であって、該下引層が、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂、並びに、有機電子搬送材料を含有することを特徴とする電子写真用感光体である。
本発明によれば、ポジゴースト画像が低減された良好な出力画像が作成可能であり、光感度も良好である電子写真感光体を提供することができる。また、本発明によれば、上記電子写真感光体を有する電子写真用プロセスカートリッジ、及び電子写真装置を提供することができる。
以下、本発明の電子写真用感光体について詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、下引層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体であって、該下引層が、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂、並びに、有機電子搬送材料を含有することを特徴とする。
本発明に用いられる導電性支持体としてはアルミニウム、ニッケル、銅、金、鉄等の金属または合金、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ガラス等の絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金等の金属あるいは酸化インジウム、酸化スズ等の導電材料の薄膜を形成したものが例示できる。
これらの導電性支持体表面は電気的特性改善あるいは半導体レーザー等コヒーレント光照射時に問題となる干渉縞等の防止のため、陽極酸化等の電気化学的な処理や、湿式ホーニング、ブラスト、切削等の処理が行われていても良い。
本発明の電子写真感光体において、当該導電性支持体上には、下引層及び感光層がこの順に形成される。
上記感光層としては、単層構成と積層構成のものが知られている。積層構成の感光層は、少なくとも電荷発生層と正孔輸送層を含んでなることが好ましい。
上記電荷発生層は、電荷発生材料、及び結着樹脂等のその他の成分を含有して形成されることが好ましい。当該電荷発生層は、例えば、結着樹脂を溶剤に溶解し、これに電荷発生材料を加え、該電荷発生材料を分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷発生材料の分散の際には、サンドミ
ルやボールミルなどのメディア型分散機や、液衝突型分散機などの分散機を用いることができる。
上記電荷発生材料としては、モノアゾ顔料、ビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料等のアゾ系顔料。ペリレン酸無水物及びペリレン酸イミド等のペリレン系顔料。アントラキノン誘導体、アントアントロン誘導体、ジベンズピレンキノン誘導体、ピラントロン誘導体、ビオラントロン誘導体及びイソビオラントロン該導体等のアントラキノン系又は多環キノン系顔料。インジゴ誘導体及びチオインジゴ誘導体等のインジゴイド系顔料。金属フタロシアニン及び無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料。ビスベンズイミダゾール誘導体等のペリノン系顔料等、公知の電荷発生材料が使用できる。その中でも、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料が好ましい。その中でもオキシチタニウムフタロシアニン顔料、クロロガリウムフタロシアニン顔料、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましい。
オキシチタニウムフタロシアニン結晶としては、CuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が、9.0°、14.2°、23.9°、27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料が好ましい。
クロロガリウムフタロシアニン結晶としては、CuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が7.4、16.6、25.5、28.2°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が6.8、17.3、23.6、26.9°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、およびブラッグ角度(2θ±0.2°)が8.7、9.2、17.6、24.0、27.4、28.8°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶としては、CuKαを線源とするX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が7.3°、24.9°、28.1°に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、ブラッグ角度(2θ±0.2°)が7.5、9.9、12.5、16.3、18.6、25.1、28.3°に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
また、本発明において、フタロシアニン結晶の結晶形のCuKα特性X線回折におけるブラッグ角は、以下の条件で測定した。
測定装置:(株)マック・サイエンス製全自動X線回折装置(商品名:MXP18)
X線管球:Cu
管電圧:50kV
管電流:300mA、
スキャン方法:2θ/θスキャン
スキャン速度:2deg./min
サンプリング間隔:0.020deg.
スタート角度(2θ):5deg.
ストップ角度(2θ):40deg.
ダイバージェンススリット:0.5deg.
スキャッタリングスリット:0.5deg.
レシービングスリット:0.3deg.
湾曲モノクロメーター使用
上記電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、などのビニル化合物の重合体および共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルアセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セルロース樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。この中でもポリエステル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールが好ましく、中でもポリビニルアセタールがより好ましい。
上記正孔輸送層は、分子分散状態の正孔輸送材料と結着樹脂とを含有しており、成膜性を有する結着樹脂と下記のような正孔輸送材料を溶解した溶液を塗布し、乾燥することによって形成されることが好ましい。
正孔輸送材料としては、多環芳香族化合物、複素環化合物、ヒドラゾン系化合物、スチリル系化合物、ベンジジン系化合物、トリアリールアミン系化合物、トリフェニルアミンあるいはこれらの化合物から成る基を主鎖または側鎖に有するポリマーが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
正孔輸送層に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸エステル、ポリアリレート、ポリサルホンおよびポリスチレンなどが挙げられるがこれらに限定される訳ではない。
特にポリカーボネートやポリアリレートが好ましく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定された分子量が、重量平均分子量(Mw)として10,000〜300,000のものが好ましい。
正孔輸送材料と結着樹脂との比率は質量比で、10/5〜5/10が好ましく、より好ましくは、10/8〜6/10である。
正孔輸送層上に表面保護層を形成してもよい。当該表面保護層は、結着樹脂に導電性粒子、又は正孔輸送材料を含有することが好ましい。また、潤滑剤等の添加剤を含有しても良い。結着樹脂自身が導電性や正孔輸送性を有していても良い。その場合は、樹脂以外に導電性粒子/正孔輸送材料等を含まなくても良い。樹脂は、熱、光、又は放射線等により硬化する硬化性樹脂でも、非硬化性の公知の熱可塑性樹脂でも良い。
本発明の電子写真感光体において、上記感光層と導電性支持体の間には下引層が形成される。
当該下引層は1層若しくは複数の層からなり、少なくともその中の1層がカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂、並びに、有機電子搬送材料を含有する。
なお、下引層における、上記オレフィン樹脂の質量比率(%)は、30%〜60%であることが好ましい。また、下引層における、上記有機電子搬送材料の質量比率(%)は、40%〜70%であることが好ましい。
上記カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂は、アルケン成分を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するオレフィン樹脂であって、当該オレフィン樹脂における、構成成分として含まれるアルケン成分の質量比率(%)が、68質量%以上である事が望ましく、68質量%以上96質量%以下である事がより望ましい。上記オレフィン樹脂は、上記アルケン成分以外に、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方を含有している事が望ましく、不飽和カルボン酸無水物を有している事がより望ましい。
また、上記カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方、並びに、炭素数2から4のアルケン成分を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するオレフィン樹脂であって、当該オレフィン樹脂における、構成成分とし
て含まれる炭素数2から4のアルケン成分の質量比率(%)が、68質量%以上96質量%以下であることが特に望ましい。
上記アルケン成分としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2から4のアルケンが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。この中で、エチレンがより好ましい。
上記オレフィン樹脂に構成成分として含まれるカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物とは、分子内(モノマー単位内)にカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物である。
当該カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物としては、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方であることが好ましい。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられ、特に無水マレイン酸が好ましい。また不飽和カルボン酸は、オレフィン樹脂中に共重合されていれば良く、その重合形態は限定されるものではなく、例えばランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合等であっても良い。
また、上記オレフィン樹脂における、上記アルケン成分の質量比率(%)は68%以上である事が好ましく、75%以上である事がより好ましい。一方、上記オレフィン樹脂における、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方の質量比率(%)は、20%以下である事が好ましく、2%以上6%以下である事がより好ましい。
上記オレフィン樹脂は、上記アルケン成分、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方以外を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するオレフィン樹脂であっても良い。その成分としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類、アクリル酸アミド類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類ならびにビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール、その他ジエン類、アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二硫化硫黄等などが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。この中では、アクリル酸エステル類、メタアクリル酸エステル類がより好ましい。
本発明に用いるオレフィン樹脂の分子量は特に限定されず、合成法も特に限定されない。
上記オレフィン樹脂は、例えば、「新高分子実験学2 高分子の合成・反応(1)」の第4章(共立出版(株))、特開2003−105145号公報、特開2003−147028号公報などに記述された公知の方法で合成する事ができる。
本発明において、樹脂の特性は以下の方法によって測定または評価した。
(1)オレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸成分の含有量
オレフィン樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、その値から不飽和カルボン酸の含有量(グラフト率)を次式から求めた。
不飽和カルボン酸成分の含有量(質量%)=(グラフトした不飽和カルボン酸の質量)/(原料オレフィン樹脂の質量)×100
(2)不飽和カルボン酸成分以外の樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H−NMR、13C−NMR分析(バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド社製、300MHz)を行って求め
た。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
上記下引層に含まれる有機電子搬送材料は、電子を搬送する能力を有する有機化合物であり、本発明においては、電荷発生層で発生した電子を導電性支持体側に搬送する能力がある物質を意味する。具体的にはトリニトロフルオレノン等のフルオレノン系化合物、ペリレンイミド、ペリレンレッド189、ペリレンレッド178、ナフチルイミド等のイミド系化合物、ペリノンオレンジ、ペリノンレッド194等のベンズイミダゾール系化合物、ベンゾキノン、ジフェノキノン、ジイミノキノン、ナフトキノン、スチルベンキノン、アントラキノン、フェナントレンキノン、フェナントロリンキノン等のキノン系化合物、フルオレニリデンアニリン、フルオレニリデンマロノニトリル等のフルオレニリデン系化合物、フタル酸無水物等のカルボン酸無水物系化合物、チオピランジオキシド等の環状スルホン系化合物、モノアゾ化合物、ジアゾ化合物、トリスアゾ化合物等のアゾ系化合物、オキサジアゾール系化合物、トリアゾール系化合物、及びそれらの誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下に有機電子搬送材料として適した構造例(1)〜(9)を示す。これらの構造若しくはこれらの構造が高分子量化されたものがよいが、これらに限定される訳ではない。
Figure 2009288621
式(1)中、R1、R2は同一でも異なっても良いアルキル基若しくはアリール基を示す。アルキル基は置換基を有しても良く、置換基としては、水酸基、カルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。アリール基は置換基を有しても良く、置換基としてはアルキル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン基、ハロアルキル基、フェニルジアゼニル基、水酸基、ヒドロキシアルキル基が挙げられる。nは1または2である。
Figure 2009288621
式(2)中、R3〜R6は同一でも異なっても良く、夫々水素、アルキル基、ハロゲン基を示す。nは1または2である。
Figure 2009288621
式(3)中、R7〜R10は同一でも異なっても良く、夫々水素、アルキル基、ハロゲン基を示す。nは1または2である。
Figure 2009288621
式(4)中、R11、R12は同一でも異なっても良く、夫々水素、アルキル基、ハロゲン基、ニトロ基、を示す。
R13は同一でも異なっても良いアルキル基若しくはアリール基を示す。アルキル基は置換基を有しても良く、置換基としては、水酸基、カルボキシル基が挙げられる。アリール基は置換基を有しても良く、置換基としてはアルキル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン基、ハロアルキル基が挙げられる。
nは1または2である。
Figure 2009288621
式(5)中、R14〜R21は水素若しくはアルキル基を示し、また、R同士が結合し環状になっていても良い。その場合、その環状になった部分にアルキル基を有していても良い。
Figure 2009288621
式(6)中、R22は酸素若しくはジシアノメチレン基若しくはアニリデン基を示す。アニリデン基はアルキル基を有しても良い。
R23〜R30は水素若しくはエステル基、ニトロ基を示す
X1は炭素若しくは窒素を示す。X1が窒素の場合、R26、R27は存在しない。
Figure 2009288621
式(7)中、R31は酸素若しくはジシアノメチレン基を示す。
R32〜R39は水素若しくはアルキル基、アリール基、ハロゲン基、ニトロ基を示す。アリール基は置換基を有しても良く、置換基としてはアルキル基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、ハロゲン基、ハロアルキル基が挙げられる。
X2は炭素若しくは窒素を示す。X2が窒素の場合、R35、R36は存在しない。
Figure 2009288621
式(8)中R40は水素若しくはジシアノメチレン基を示す。
R41〜R48は水素若しくは水酸基、カルボキシル基、ハロゲン基、アルキル基を示す。X3は炭素若しくは窒素を示す。X3が窒素の場合、R43、R47は存在しない。
Figure 2009288621
式(9)中、R51はフルオレノンジイル基、ジフェニルオキサジアゾールジイル基、アゾキシベンゼンジイル基を示す。
また、R49、R50は以下の式(10)、(11)で示される構造の置換基である。
Figure 2009288621
Figure 2009288621
式中、R51〜R55はアルキル基若しくはハロゲン基を示す。nは1または2を示す。Yは、式(9)中でR49とR50がアゾ基と結合している結合部位を示す。
以下、化12〜化24に化合物の例を示すがこれらに限定される訳ではない。
Figure 2009288621
Figure 2009288621
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これら有機電子搬送材料は、樹脂中に相溶していても良く、有機電子搬送材料同士で粒子を形成したものが樹脂中に分散状態にあっても良い。
なお、上記有機電子搬送材料は、以下の様に入手する事が可能である。
構造例1の化合物は、例えば、米国特許第4442193号公報、米国特許第4992349号公報、又は米国特許第5468583号公報に記載の公知の合成方法を用いて合成することが可能である。例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から試薬として購入可能なナフタレンテトラカルボン酸ニ無水物とモノアミン誘導体との反応や、ペリレンテトラカルボン酸二無水物とモノアミン誘導体との反応で合成する事が出来る。
構造例2、3の化合物は、例えば、米国特許第4442193号公報、米国特許第49
92349号公報、米国特許第5468583号公報に記載の公知の合成方法を用いて、モノアミン誘導体の代わりに1,2−ジアニリン誘導体を用いる事で合成する事が出来る。
1,2−ジアニリン誘導体は、例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から試薬として購入可能である。
構造例4の化合物は、例えば、特開2004−093791号公報、特開平7−89962号公報に記載の公知の合成方法を用いて合成する事が可能である。例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から試薬として購入可能なナフタレンテトラカルボン酸ニ無水物と1,2−ジアニリン誘導体とアミン誘導体との反応や、ペリレンテトラカルボン酸二無水物と1,2−ジアニリン誘導体とアミン誘導体との反応で合成する事が出来る。
構造例5の化合物は、例えば、特開平1−206349号公報、PPCI/JapanHardCopy‘98予稿集p207(1998)に記載の公知の合成方法を用いて合成する事が可能である。例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)から試薬として購入可能なフェノール誘導体を原料として合成する事が出来る。
構造例6に記載の化合物は、例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から試薬として購入可能なものもある。また、購入可能なフルオレノン誘導体やアニリン誘導体やマロノニトリルやその他化合物を用い、特開平5−279582号公報、米国特許第4562132号公報、特開平7−70038号公報に記載の公知の合成方法を用いて合成する事も出来る。
構造例7に記載の化合物は、例えば、東京化成工業(株)や、シグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から試薬として購入可能なものもある。また、購入可能なフェナントレン誘導体やフェナントロリン誘導体を基に、Bull.Chem.Soc.Jpn.,Vol.65,p116−1011(1992)、Chem.Educator No.6,p227−234 (2001)に記載の公知の合成方法で合成する事も可能である。また、これらの文献に記載のフェナントレン誘導体やフェナントロリン誘導体のハロゲン化物を基に、例えば、パラジウム触媒を使用したクロスカップリング反応によって置換基を導入する事も出来る。マロノニトリルとの反応によりジシアノメチレン基を導入する事も出来る。
構造例8に記載の化合物は、例えば、東京化成工業(株)やシグマアルドリッチジャパン(株)やジョンソン・マッセイ・ジャパン・インコーポレイテッド社から試薬として購入可能なものもある。また、購入可能な化合物を用い、Synthesis, Vol.5, p388−389(1988)に記載の公知の合成方法を用いて合成することも出来る。マロノニトリルとの反応によりジシアノメチレン基を導入する事も出来る。
構造例9に記載の化合物は、例えば、日本画像学会誌 第37巻第3号p280−288(1998)に記載の公知の合成方法を用いて合成可能である。
下引層が複数の層から成る場合、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂、並びに、有機電子搬送材料を有さない層があっても良い。
その場合は、当該層を構成する結着樹脂として、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリアミド、
ポリアミド酸、ポリウレタン、ポリイミド、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、チタンやジルコニウムなどの各種金属キレート化合物の重合物、各種金属アルコキシドの重合物等を用いても良いが、これらに限定される訳ではない。
また、金、銀、アルミ等各種金属粒子、ITO粒子、酸化錫粒子、導電性酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫などの導電性被覆層を設けた硫酸バリウム粒子、酸化チタン粒子等の導電性粒子を含有しても良いが、これらに限定される訳ではない。
これらの感光体作成用塗工液を塗布する方法は、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法およびスピンコーティング法などが知られているが、効率性及び生産性の観点から浸漬コーティング法が好ましい。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
本発明の電子写真装置は、本発明の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置である。
図1に本発明の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成を示す。
図1において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、回転軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体1は、回転過程において、帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)からの露光光4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。
形成された静電潜像は、次いで現像手段5(接触型、非接触型のいずれでもよい)によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から電子写真感光体1と転写手段6との間に電子写真感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。
像転写を受けた転写材7は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)として装置外へプリントアウトされる。
像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
上記帯電手段3は、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器でも良く、ローラ形状、ブレード形状、ブラシ形状など公知の形態が使用される接触型帯電器を用いてもよい。
本発明においては、上述の電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。
例えば、帯電手段3、現像手段5、およびクリーニング手段9の少なくとも1つを電子写真感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール11及び12などの案内手段を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ10とすることができる。
また、露光光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動および液晶シャッターアレイの駆動な
どにより照射される光である。
本発明の電子写真感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンターなどの電子写真装置一般に適応し得るが、さらに、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版およびファクシミリなどの装置にも幅広く適用し得るものである。
以下、実施例にしたがって、本発明をより一層詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。尚、以下の配合における部数は特に説明が無い場合は質量部である。(製造例1:オレフィン樹脂A)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン(株)製、ベストプラスト708、プロピレン/ブテン/エチレン=64.8/23.9/11.3[質量%])280質量部を4つ口フラスコ中、窒素雰囲気下で加熱溶融させた後、系内温度を170℃に保って攪拌下、不飽和カルボン酸として無水マレイン酸32質量部と、ラジカル発生剤としてジクミルパーオキサイド5質量部をそれぞれ1時間かけて加え、その後1時間反応させた。
反応終了後、得られた反応物をアセトン5000質量部中に投入し、樹脂を析出させた。この樹脂をさらに同量のアセトンで4回洗浄し、未反応の無水マレイン酸を除去した後、減圧乾燥機中で減圧乾燥してオレフィン樹脂Aを得た。
次いで、撹拌機を備えた、ヒーター付きの密閉できる耐圧1L容ガラス容器に、60質量部のオレフィン樹脂A、60質量部のイソプロピルアルコール、樹脂中の無水マレイン酸単位のカルボキシル基に対して1.2倍当量のトリエチルアミン及び170質量部の蒸留水を仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、15分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、空冷にて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、固形分濃度が20質量%の乳白黄色の均一なオレフィン樹脂Aの水性分散体を得た。
オレフィン樹脂Aの構成は、エチレン/プロピレン/ブテン/無水マレイン酸=11/61/24/4(質量%)であった。
(製造例2:オレフィン樹脂B)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体(ヒュルスジャパン(株)製、ベストプラスト408、プロピレン/ブテン/エチレン=12.3/82.2/5.5[質量%])を用いた以外はオレフィン樹脂Aの製造と同様にして、オレフィン樹脂Bの水性分散体を得た。このオレフィン樹脂Bの構成は、エチレン/プロピレン/ブテン/無水マレイン酸=5/11/78/6(質量%)であった。
(製造例3:オレフィン樹脂C)
撹拌機を備えた、ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器に、75質量部のオレフィン樹脂[エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体](ボンダインHX−8290、住友化学工業(株)製)、90質量部のイソプロパノール、樹脂中の無水マレイン酸のカルボキシル基に対して1.2倍当量のトリエチルアミンおよび200質量部の蒸留水を仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、15分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を145℃に保ってさらに60分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、固
形分濃度が、20質量%の乳白色の均一なオレフィン樹脂Cの水性分散体を得た。
このオレフィン樹脂Cの構成は、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=80/18/2(質量%)であった。
(製造例4:オレフィン樹脂D)
ボンダインHX−8290の代わりにボンダインHX8210(住友化学工業(株)製)を用いた以外はオレフィン樹脂Cの製造と同様にして、オレフィン樹脂Dの水性分散体を得た。このオレフィン樹脂Dの構成は、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=91/6/3(質量%)であった。
(製造例5:オレフィン樹脂E)
ボンダインHX−8290の代わりにプリマコール5980I[エチレン−アクリル酸共重合体](ダウケミカル社製)を用いた以外はオレフィン樹脂Cの製造と同様にして、オレフィン樹脂Eの水性分散体を得た。このオレフィン樹脂Eの構成は、エチレン/アクリル酸=80/20(質量%)であった。
(製造例6:オレフィン樹脂F)
ボンダインHX−8290の代わりにボンダインAX8390(住友化学工業(株)製)を用いた以外はオレフィン樹脂Cの製造と同様にして、オレフィン樹脂Fの水性分散体を得た。このオレフィン樹脂Fの構成は、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸=68/30/2(質量%)であった。
(製造例7:オレフィン樹脂G)
プロピレン−ブテン−エチレン三元共重合体280質量部を加熱溶融させた後、系内温度を180℃に保って撹拌下、無水マレイン酸120質量部とジクミルパーオキサイド10質量部をそれぞれ1時間かけて加え、その後3時間反応させた以外は製造例1と同様にしてオレフィン樹脂Gの水性分散体を得た。
このオレフィン樹脂Gの構成はエチレン/プロピレン/ブテン/無水マレイン酸=6/32/12/50(質量%)であった。
(実施例1)
長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を支持体とした。
次に、導電性粒子としての酸素欠損型SnOを被覆した粒子(粉体抵抗率120Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は40%)50質量部、結着樹脂としてのフェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、樹脂固形分60%)40質量部、溶剤としてのメトキシプロパノール40質量部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調整した。
この分散液における酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の平均粒径は0.33μmであった(堀場製作所製CAPA700でTHFを分散媒に用い、回転数5000rpmにて遠心沈降法で測定)。
この塗布液を支持体上に浸漬塗布し、30分間145℃で乾燥・熱硬化させることによって、膜厚が16μmの下引層Aを形成した。
次に、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物と3−アミノ−p−トルイル酸とをジメチルアセトアミド中加熱し合成した、E1で示される構造を有する有機電子搬送材料40質量部と、製造例3で作成したオレフィン樹脂C分散液100質量部とイソプロパノール500質量部と蒸留水300質量部を加え、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間処理し、次にイソプロパノール500質量部で希釈し、下引層用塗布液を調整した。
この塗布液を前記下引層A上に塗布後、90℃で20分間乾燥し、厚さ1.0μmの下
引層Bを形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10質量部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5質量部およびシクロヘキサノン260質量部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1.5時間分散し、次に、酢酸エチル240質量部を加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、下引層B上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.18μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(12)で示される構造を有するアミン化合物7質量部、および、
Figure 2009288621
下記式(13)で示される構造を有する重量平均分子量(Mw)=100,000(東ソー(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー「HLC−8120」で測定し、ポリスチレン換算で計算。)のポリアリレート10質量部を、ジメトキシメタン30質量部/クロロベンゼン70質量部の混合溶媒に溶解して、正孔輸送層用塗布液を調製した。
Figure 2009288621
この正孔輸送層用塗布液を、電荷発生層上に浸漬塗布し、これを40分間120℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの正孔輸送層を形成した。
このようにして正孔輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
下引層と正孔輸送層の膜厚は、同一寸法のアルミシリンダーにアルミシートを巻きつけ、同様の条件で成膜したサンプルを用い、中央部分を6点、ダイヤルゲージ(2109FH(株)ミツトヨ製)で測定した値の平均を算出した。
電荷発生層の膜厚は、同様に成膜したサンプルの中央部を100mm×50mm切り取り、アセトンで膜を拭き取る前後の重量から算出した(密度:1.3g/cmで算出)。
作製した電子写真感光体を、23℃、50%RHの環境下にて、キヤノン(株)製レーザービームプリンターのLBP−2510に装着して、表面電位評価及び初期と3000枚通紙耐久後の画像の評価を行った。詳しくは以下のとおりである。
LBP−2510のシアン色用のプロセスカートリッジに、作製した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、画像を出力した。ドラム表面電位は、初期暗部電位が−550V、明部電位が−150Vになるように設定した。表面電位の測定は、カートリッジを改造し、現像位置に電位プローブ(model6000B−8:トレック・ジャパン(株)製)を装着し、ドラム中央部の電位を表面電位計(model344:トレック・ジャパン(株)製)を使用して測定した。
通紙時は各色の印字率1%の文字画像をA4サイズの普通紙でフルカラープリント操作を行い、前露光を点灯せずに3000枚の画像出力を行った。
そして、評価開始時と3000枚終了時に、1枚目にベタ白画像をとり、ゴースト画像(図2に示すように、画像の先頭部にベタで四角の画像を出した後、図3に示す1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像を作成)を連続5枚とり、次に、ベタ黒画像を1枚とった後に再度ゴースト画像を5枚とった。
ゴースト画像の評価は、1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像濃度とゴースト部の画像濃度との濃度差を、分光濃度計X−Rite504/508(X−Rite(株)製)で、1枚のゴースト画像で10点測定し、それら10点の平均をとり1枚の結果とし、前述の10枚のゴースト画像すべてを同様に測定した。それらの平均値を求めた。結果を表1に示す。この濃度差は、値が小さいほど、ゴースト的には良好であることを意味する。
(実施例2)
有機電子搬送材料としてE3を用いた以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作成し、評価を行った。
実施例1と同じ光量設定で電位を測定した所、−145Vであった。この数値の絶対値が小さい方が感光体としての感度が高い事を意味する。
その後、実施例1と同じ電位設定にし、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3〜17)
樹脂及び有機電子搬送材料として表1に示したものを使用した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例18、及び19)
樹脂及び有機電子搬送材料として表1に示したものを使用し、有機電子搬送材料を20質量部、及び40質量部使用した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例21〜25)
樹脂及び有機電子搬送材料として表1に示したものを使用した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
E37で示される構造を有する有機電子搬送材料40質量部、ポリアミド(トレジンEF30T:ナガセケムテックス(株)製)20質量部、nブチルアルコール500質量部とメタノール300質量部から成る液を直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1.5時間分散し、次にメタノール500質量部で希釈し、下引層用塗布液を調整した。この塗布液を前記下引層A上に塗布後、90℃で20分間乾燥し、厚さ1.0μmの下引層Bを形成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
有機電子搬送材料を加えず、サンドミルでの分散も行わなかった以外は比較例2と同様に下引層Bを作成した以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例3)
有機電子搬送材料としてE8、樹脂として加水分解性シリル基含有共重合体樹脂(SA246、三洋化成工業(株)製)20質量部を用い、蒸留水及びイソプロピルアルコールの代わりにキシレン1300質量部を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
有機電子搬送材料としてE8、樹脂としてポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学工業(株)製)14質量部、フェノール樹脂(プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製)6質量部、蒸留水及びイソプロピルアルコールの代わりにn−ブチルアルコール1000質量部、メタノール300質量部を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例5)
有機電子搬送材料としてE61、樹脂としてポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学工業(株)製)14質量部、メラミン樹脂(サイメル303、三井サイテック(株)製)6質量部、蒸留水及びイソプロピルアルコールの代わりにn−ブチルアルコール1000質量部、メタノール300質量部を用いた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2009288621
Figure 2009288621
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。 ゴースト画像評価の際に用いるゴースト評価用印字を説明する図である。 ゴースト評価用印字のハーフトーン部を形成する1ドット桂馬パターン画像を説明する図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 回転軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 転写材
8 像定着手段
9 クリーニング手段
10 プロセスカートリッジ
11 レール
12 レール

Claims (5)

  1. 導電性支持体上に、下引層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体であって、
    前記下引層が、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂、並びに、有機電子搬送材料を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂が、アルケン成分を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するオレフィン樹脂であって、前記オレフィン樹脂における、前記構成成分として含まれるアルケン成分の質量比率(%)が、68質量%以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むオレフィン樹脂が、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方、並びに、炭素数2から4のアルケン成分を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するオレフィン樹脂であって、前記オレフィン樹脂における、前記構成成分として含まれる炭素数2から4のアルケン成分の質量比率(%)が、68質量%以上96質量%以下である請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  5. 請求項1から3のいずれか1項に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置。
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