JP2011107424A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、電子写真装置の高耐久化、高画質化、および低コスト化、小型化の要求が厳しくなってもなお、ゴースト抑制効果に優れる電子写真感光体を提供することにある。また、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
【解決手段】導電性支持体上に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、中間層がポリオレフィン樹脂と、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる1種以上の陽イオンを含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体、並びにこの電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関するものである。
電子写真感光体は、感光層と支持体の間に、中間層と呼ばれる層(下引き層と呼ばれることもある)を用いることが多い。中間層は、電子写真感光体に電圧を印加したとき支持体から電荷注入が起こらないように電気的ブロッキング機能が要求される。これは、支持体から電荷注入があると、帯電能の低下、画像コントラストの低下や、反転現像方式の場合は、白地に黒点や地カブリの原因になり画質を低下させる。一方、中間層は、露光プロセスにおいては光感度を維持することが要求される。中間層の電荷移動が不十分だと、感光層で発生した電荷が中間層内部もしくは感光層と中間層の界面に電荷が滞留し、結果として残留電位の上昇や繰り返し使用による電位変動の原因になる。
これらの要求を達成するための検討が種々されてきている。その1つとしてポリアミド(特許文献1)、ポリエステル(特許文献2)、ポリウレタン(特許文献3)などを用いた中間層が知られている。しかし、これら樹脂は、多くの場合、吸湿性が高く、外界の湿度により抵抗も大きく変化し、樹脂単独で中間層を形成した場合、残留電位の増加や、低温低湿下、高温高湿下の環境における感光体の電気特性の変動が生じ、画像欠陥の改善も十分でなかった。そこで、環境における抵抗の変化を改良するために、樹脂中に過塩素酸塩、ホウフッ化塩、硝酸塩、等の電解質又は塩を含有する中間層が検討されている(特許文献4、5)。
近年、電子写真装置の高画質化の要求はより一層強まっている。特に、出力画像のカラー化により、ハーフトーン画像やベタ画像に対する要求は強まる一方で、出力画像1枚の中で光が照射された部分(光照射部分)のみが、次回転目にハーフトーン画像において濃度が濃くなる現象(ポジゴースト画像)や、逆に濃度が薄くなる現象(ネガゴースト画像)に関する許容範囲は狭まってきている。さらに、高寿命化も望まれており、これらのゴースト現象は長期の繰り返し使用において現れ易いため、高耐久機で使用される場合にはさらに重要な課題となる。また、ゴースト現象を抑制する方法として、電子写真装置に前露光等の除電手段を設ける方法もあるが、電子写真装置本体の低コスト化や小型化の観点から、除電手段が省略されることが多くなってきている。
特開昭58−95351号公報 特開昭52−20836号公報 特開昭49−10044号公報 特開昭61−254951号公報 特開平2−87155号公報
従って、このような電子写真装置の高耐久化、高画質化への要求と低コスト化や小型化への要求の両立を達成させるため、樹脂中に電解質や塩を含有した中間層においても、残留電位の上昇や繰り返し使用による電位変動は抑制できても、ゴースト現象に厳しい状況においては許容レベルを超えてしまうことがあった。
本発明の目的は、電子写真装置の高耐久化、高画質化、および低コスト化、小型化の要求が厳しくなってもなお、ゴースト抑制効果に優れる電子写真感光体を提供することにある。また、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明は、導電性支持体と、前記導電性支持体上に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、前記中間層が、ポリオレフィン樹脂と、リチウムイオン、ナトリウムイオンおよびカリウムイオンから選ばれる1種以上の陽イオンを含有することを特徴とする電子写真感光体に関する。
また、本発明は、前記電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段およびトナー像を転写材に転写した後の前記電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジに関する。
さらには、本発明は、前記電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を行って前記電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段および前記電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えた電子写真装置に関する。
本発明によれば、電子写真装置の高耐久化、高画質化、および、低コスト化、小型化の要求が厳しくなってもなお、ゴースト現象を抑制し、長期の繰り返し使用による画像の画質の低下を抑制することができる。
実施例のゴースト画像評価で印字した1ドット桂馬パターンである。 本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
電子写真装置の高画質化の要求に対するゴースト現象を抑制するには、ゴーストの原因の1つである電荷の滞留を軽減することが必要である。電荷の滞留は、露光時に発生した電荷が次帯電までに基盤まで移動しきれなかったエレクトロンであり、それを軽減させるためには、電荷発生層から中間層、基板への電荷の移動、特に低電界下での移動を十分に保つことが必要である。
また、樹脂中にイオンを有する中間層においては、繰り返し使用時におけるゴースト現象は、ベタ黒画像パターン(印字率100%)より印字率5%以下でのパターンによる繰り返し使用の方が顕在化する傾向がみられた。印字率が高いと、露光により表面電位が下がることで、感光体にかかる電界は低いのに対し、印字率が低いと、感光体の表面電位は暗部電位から変化することが少なく、感光体にかかる電界は高い状態が持続される。よって、繰り返し使用により、電界がかかり続ける状態が持続されることで、電荷移動に寄与しているイオンが一方向に移動すること、およびその過程でイオンがトラップされることにより、中間層に状態変化が生じる。その結果として、ゴースト現象の原因と考えている低電界下での電荷の移動が不十分になりやすい。
本発明者らは、鋭意検討の結果、導電性支持体上に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、中間層がポリオレフィン樹脂と、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カ
リウムイオンから選ばれる1種以上の陽イオンを含有することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
本発明の電子写真感光体の中間層で用いるポリオレフィン樹脂とは、オレフィンを重合させて得られる重合体をいう。また、オレフィンとは、1つ以上のC=C(炭素間の二重結合)を持つ炭化水素化合物をいう。ポリオレフィン樹脂は、オレフィンのみを重合させて得られる重合体であっても、それ以外のモノマーと共重合させて得られる共重合体であってもよい。低誘電率の樹脂であるポリオレフィン樹脂を用いることで、イオンのトラップを抑制することができると推察される。
本発明で用いるポリオレフィン樹脂は、その種類は特段限定されるものではないが、イオンとの相溶性を向上させるために、下記(A1)、(A2)および(A3)を有し、(A1)、(A2)および(A3)の質量比が下記の式を満たすことが好ましい。
0.01≦(A2)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦30
55/45≦(A1)/(A3)≦99/1
(A1):下記式(11)で示される繰り返し構造単位
Figure 2011107424
(式(11)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示す。)

(A2):下記式(21)または式(22)で示される繰り返し構造単位
Figure 2011107424
(式(21)および式(22)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基または−Y21COOH(Y21は、単結合、アルキレン基またはアリーレン基を示す。)で示される1価の基を示し、R25およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはフェニル基を示し、X21は、−Y22COOCOY23−(Y22およびY23は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基またはアリーレン基を示す。)で示される2価の基を示す。ただし、R21〜R24のうち少なくとも1つは−Y21COOHで示される1価の基を示す。)

(A3):下記式(31)、式(32)、式(33)または式(34)で示される繰り返し構造単位
Figure 2011107424
(式(31)〜式(34)中、R31〜R35は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示し、R41〜R43は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を示し、R51〜R53は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
上記要件を満たす樹脂を用いると、ポリオレフィン樹脂のポリオレフィン部位(A1)で繰り返し使用時のイオンのトラップを抑制しつつ、上記(A2)および(A3)を有することで、イオンとポリオレフィン樹脂との相溶性が高まり電荷移動度を向上することができ、良好な光感度が得られる。
上記(A3)を有していない場合には、光感度が不十分な場合がある。また、上記(A2)の含有量が0.01質量%未満の場合は、光感度が不十分な場合があり、含有量が30質量%を越える場合は、繰り返し使用によりゴーストが発生しやすくなる場合がある。
また、本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は、上記(A1)、(A2)および(A3)は以下の式を満たすことが好ましく、
0.01≦(A2)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦10
以下の式を満たす場合がより好ましい。
0.01≦(A2)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦5
上記の範囲を満たした場合、本願の効果が顕著となる。
上記式(11)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、又はメチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基のようなアルキル基を示す。R11〜R14それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立して水素原子又はメチル基であることがより好ましく、全て水素原子であることが特に好ましい。
これら繰り返し構造単位は炭素−炭素に2重結合を有するモノマーの存在下の重合反応で導入することができる。モノマーとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンが挙げられ、エチレンを用いることが好ましい。
上記式(21)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基または−Y21COOH(Y21は、単結合、アルキレン基またはアリーレン基を示す。)で示される1価の基を示す。ただし、R21〜R24のうち少なくとも1つは−Y21COOHで示される1価の基である。R21〜R24のうち3つが水素原子で、1つが−COOHであること、又はR21〜R24のうち2つが水素原子で、1つがメチル
基で、1つが−COOHであることが好ましい。
上記式(22)中、R25およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはフェニル基を示し、X21は、−Y22COOCOY23−(Y22およびY23は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基またはアリーレン基を示す。)で示される2価の基を示す。R25およびR26が水素原子、X21が−COOCO−基であることが好ましい。
これら繰り返し構造単位は、不飽和カルボン酸又はその無水物の一方もしくは両方は、分子内(モノマー単位内)に少なくとも1個のカルボキシル基又は酸無水物基の一方もしくは両方を有するモノマーの存在下の重合反応で導入することができる。モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミドが挙げられる。
上記式(31)中、R31は水素原子、メチル基を示し、R41はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素数1〜10のアルキル基を示し、メチル基、エチル基が好ましい。これら繰り返し構造単位は(メタ)アクリル酸エステルモノマーの存在下の重合反応で導入することができる。モノマーとしては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルが挙げられる。
上記式(32)中、R32、R33はそれぞれ独立に水素原子、メチル基を示し、R42、R43はそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素数1〜10のアルキル基を示し、メチル基、エチル基が好ましい。これら繰り返し構造単位はマレイン酸エステルモノマーの存在下の重合反応で導入することができる。モノマーとしてはマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルが挙げられる。
上記式(33)中、R34は水素原子、メチル基を示し、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示し、水素原子が好ましい。これら繰り返し構造単位はアクリル酸アミドモノマーの存在下の重合反応で導入することができる。
上記式(34)中、R35は水素原子、メチル基を示し、R53は水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基のような炭素数1〜10のアルキル基を示し、メチル基、エチル基が好ましい。これら繰り返し構造単位はアルキルビニルエーテルモノマーならびにビニルアルコールモノマーの存在下の重合反応で導入することができる。モノマーとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ならびにビニルエステルを塩基性化合物でケン化して得られるビニルアルコールが挙げられ、これらの混合物を用いることもできる。この中で、繰り返し構造単位として式(31)が特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂の好ましい例としては、(A1)はR11〜R14がそれぞれ水素原子である下記式(111)で示される構造単位、(A2)はR25およびR26がそれぞれ水素原子、X21が−Y22COOCOY23−(Y22およびY23は、単結合)である下記式(221)で示される構成単位、(A3)はR31が水素原子、R41がメチル基またはエチル基である下記式(311)および下記式(312)が挙げられる。
Figure 2011107424
また、本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は、上記(A1)と(A3)の質量比(A1)/(A3)が、55/45〜99/1の範囲であることが好ましいことは上述のとおりである。55/45より小さい場合には繰り返し使用によりゴーストが発生しやすくなる傾向にある。より好ましくは、70/30〜97/3の範囲である。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂には、上記(A1)乃至(A3)以外のその他のモノマーが、少量、共重合されていても良い。例えば、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二硫化炭素等が挙げられる。また、本発明に用いられるポリオレフィン樹脂の分子量は特段限定されないが、10,000〜100,000の範囲のものを用いることができ、20,000〜50,000であることが好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂は、水性媒体に分散もしくは溶解されていることが好ましい。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒体であり、水溶性の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールのようなアルコールが挙げられ、水性媒体中10〜40質量%含有することが好ましい。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂の合成法は特に限定されないが、一般的には、ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧ラジカル共重合して得られる。ポリオレフィン樹脂の合成方法は、「新高分子実験学2 高分子の合成・反応(1)」の第1章から第4章(共立出版株式会社)、特開2003−105145号公報、特開2003―147028号公報などに記述された公知の方法で合成される。また、本発明のポリオレフィン樹脂の組成は以下の方法によって測定することができる。
(1)ポリオレフィン樹脂中の(A1)〜(A3)の組成
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にてH−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行って求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
(2)ポリオレフィン樹脂中の(A2)の組成
ポリオレフィン樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、ポリオレフィン樹脂中の(A2)の質量を換算した。
本発明の電子写真感光体の中間層は、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる1種以上の陽イオンを含有する。リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンを有する塩としては、過塩素酸リチウム、臭化リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヨウ化リチウム、塩化リチウム、過塩素酸ナトリウム、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、過塩素酸カリ
ウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウムが挙げられる。
これらの塩は、中間層用塗布液に溶解させることで、陽イオンとして存在する。中間層用塗布液の調製方法としては、ポリオレフィン樹脂、およびリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる陽イオンを含有する1種以上の上記塩とを溶剤に加えて調製する方法、ポリオレフィン樹脂をその軟化点以上の高温に保持することにより溶融状態とし、上記塩を加えて調製する方法、ポリオレフィン樹脂を溶剤中で加熱攪拌して分散体とし、上記塩を加えて調製する方法がある。
また、中間層用塗布液は、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、ロ−ルコーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法のような塗布法により塗布することで中間層を形成することができるが、効率性/生産性の点からは浸漬塗布法が好ましい。本発明における中間層の膜厚は0.1〜20μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましい。
上記陽イオンは、中間層用塗布液中の固形分重量に対する陽イオンの含有率が0.1mmol/g以上1.0mmol/g以下であることが好ましい。陽イオンの含有率が0.1mmol/g未満であると、光感度が十分でない場合があり、1.0mmol/gより大きいとゴーストが顕在化する傾向にある。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上中間層と感光層を有する。感光層としては、単層型と積層型のものが知られている。積層型の感光層は、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を含んでなることが好ましい。
本発明に用いられる導電性支持体としては、アルミニウム、ニッケル、銅、金及び鉄のような金属又は合金、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド及びガラス等の絶縁性支持体上にアルミニウム、銀、金等の金属あるいは酸化インジウム、酸化スズのような導電材料の薄膜を形成したもの、カーボンや導電性フィラーを樹脂中に分散し導電性を付与したものが例示できる。これらの支持体表面は電気的特性改善あるいは密着性改善のために、陽極酸化のような電気化学的な処理を行った支持体や、導電性支持体表面をアルカリリン酸塩あるいはリン酸やタンニン酸を主成分とする酸性水溶液に金属塩の化合物又はフッ素化合物の金属塩を溶解してなる溶液で化学処理を施したものを用いることもできる。
電荷発生層は、電荷発生物質、結着樹脂、その他の成分を含有して形成されることが好ましい。電荷発生層は、例えば、結着樹脂を溶剤に溶解させ、これに電荷発生物質を加え、該電荷発生物質を分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。電荷発生物質の分散の際には、サンドミルやボールミルのようなメディア型分散機や、液衝突型分散機を用いることができる。
本発明に用いられる電荷発生物質としては、(1)モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾのようなアゾ系顔料、(2)金属フタロシアニンや非金属フタロシアニンのようなフタロシアニン系顔料、(3)インジゴやチオインジゴのようなインジゴ系顔料、(4)ペリレン酸無水物やペリレン酸イミドのようなペリレン系顔料、(5)アンスラキノンやピレンキノンのような多環キノン系顔料、(6)スクワリリウム色素、(7)ピリリウム塩、チアピリリウム塩類、(8)トリフェニルメタン系色素、(9)アモルファスシリコンのような無機物質、(10)キナクリドン顔料、(11)アズレニウム塩顔料、(12)シアニン染料、(13)キサンテン色素、(14)キノンイミン色素、(15)スチリル色素、(16)硫化カドミウム及び(17)酸化亜鉛が挙げられる。特に、金属フタロシアニン顔料が好ましく、その中でも、オキシチタニウムフタロシアニン結晶、クロロガリウムフ
タロシアニン結晶、ジクロロスズフタロシアニン結晶、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が好ましく、更に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料が特に好ましい。
オキシチタニウムフタロシアニン顔料としては、CuKαを線源とする特性X線回折において、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°及び27.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料が好ましい。
クロロガリウムフタロシアニン結晶としては、CuKαを線源とする特性X線回折において、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.5及び28.2°に強いピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の6.8°、17.3°、23.6°及び26.9°に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、及びブラッグ角度(2θ±0.2°)の8.7°〜9.2°、17.6°、24.0°、27.4°及び28.8°に強いピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
ジクロロスズフタロシアニン結晶としては、CuKαを線源とする特性X線回折において、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の8.3°、12.2°、13.7°、15.9°、18.9°及び28.2°に強いピークを有するジクロロスズフタロシアニン結晶、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の8.5°、11.2°、14.5°及び27.2°に強いピークを有するジクロロスズフタロシアニン結晶、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の8.7°、9.9°、10.9°、13.1°、15.2°、16.3°、17.4°、21.9°及び25.5°に強い回折ピークを有するジクロロスズフタロシアニン結晶、及びブラッグ角度(2θ±0.2°)の9.2°、12.2°、13.4°、14.6°、17.0°及び25.3°に強い回折ピークを有するジクロロスズフタロシアニン結晶が好ましい。
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶としては、CuKαを線源とする特性X線回折において、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.3°、24.9°及び28.1°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、ブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶が好ましい。
本発明の電子写真感光体の電荷発生層においては、上記電荷発生物質を2種類以上有してもよい。
本発明の電荷発生層に用いる結着樹脂としては、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルメタクリレート樹脂、ポリビニルアクリレート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、セルロース樹脂及びメラミン樹脂が挙げられる。特に、ブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の分散粒径は、0.5μm以下が好ましく、更に0.3μm以下が好ましく、0.01〜0.2μmの範囲がより好ましい。これらの電荷発生物質は、結着樹脂100質量部に対し100〜300質量部含有することが好ましい。電荷発生層の膜厚は、0.01〜2μmが好ましく、更に0.05〜0.3μmが好ましい。
電荷輸送層は適当な電荷輸送物質、例えばポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリスチリルアントラセンのような複素環や縮合多環芳香族を有する高分子化合物や、ピラゾリン、イミダゾール、オキサゾール、トリアゾール及びカルバゾールのような複素環化合物、
トリフェニルメタンのようなトリアリールアルカン誘導体、トリフェニルアミンのようなトリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラゾン誘導体のような低分子化合物を適当な結着樹脂(前述の電荷発生層用樹脂の中から選択できる)と共に溶剤に分散/溶解した溶液を前述の公知の方法によって塗布し、乾燥して形成することができる。この場合の電荷輸送物質と結着樹脂の比率は、両者の全質量部を100とした場合に電荷輸送物質の質量部は20〜100が好ましく、より好ましくは30〜100の範囲である。電荷輸送物質の質量部がそれより少ないと、電荷輸送能が低下し、感度低下及び残留電位の上昇が生じ易い。この場合の電荷輸送層の膜厚は好ましくは1〜50μm、より好ましくは3〜30μmの範囲で調整される。
更に、電荷輸送層上に表面保護層を形成してもよい。表面保護層は樹脂単体でもよいし、残留電位を低下する目的で前述したような電荷輸送物質や、導電性粉体のような導電性物質を添加してもよい。導電性粉体としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀のような金属粉体、燐片状金属粉体及び金属短繊維、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズのような導電性金属酸化物、ポリピロール、ポリアニリン、高分子電解質のような高分子導電剤、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト粉体、有機及び無機の電解質、又はこれらの導電性物質で表面を被覆した導電性粉体が挙げられる。
本発明の別の態様としては、上記電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電する帯電手段、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段およびトナー像を転写材に転写した後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。
さらに、上記電子写真感光体、電子写真感光体を帯電する帯電手段、帯電された電子写真感光体に対して露光を行って電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段および電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えた電子写真装置である。
図2に、本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを有する電子写真装置の概略構成例を示す。図において、1はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1は、回転過程において、一次帯電手段3によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いでスリット露光やレーザービーム走査露光のような像露光手段(不図示)からの画像露光4を受ける。こうして感光体1の周面に静電潜像が順次形成されていく。形成された静電潜像は、次いで現像手段5によりトナー現像され、現像されたトナー現像像は、不図示の給紙部から感光体1と転写手段6との間に感光体1の回転と同期取り出されて給紙された転写材7に、転写手段6により順次転写されていく。像転写を受けた転写材7は、感光体面から分離されて像定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより複写物(コピー)又はプリントとして装置外へプリントアウトされる。像転写後の感光体1は、場合によってはクリーニング手段9によって転写残りトナーの除去を受け、更に場合によっては前露光手段からの前露光により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。本発明においては、上述の電子写真感光体1、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9などの構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成しこのプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターのような電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段3、現像手段5及びクリーニング手段9の少なくとも一つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール11などの案内手段を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ10とすることができる。また、画像露光4は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合に
は、原稿からの反射光や透過光、あるいはセンサーで原稿を読みとり、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動により照射される光である。
本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版の電子写真応用分野にも用いることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の「部」は「質量部」を意味する。
実施例1〜30の中間層に用いられるポリオレフィン樹脂は、市販されている樹脂(ボンダインHX−8290、ボンダインHX−8210、ボンダインAX−8390(住友化学工業株式会社製)、プリマコール5980I(ダウ・ケミカル社製))、および公知の方法で合成された樹脂(B1〜B11)を使用した。なお、樹脂B1〜B11の合成方法
は、「新高分子実験学2 高分子の合成・反応(1)」の第1〜4章(共立出版株式会社)、特開2003−105145公報、特開2003―147028公報に記述された方法で合成した。
実施例1〜30のポリオレフィン樹脂の組成は以下の方法によって測定した。その結果を表1、2に示す。
(1)ポリオレフィン樹脂中の(A1)〜(A3)の組成
オルトジクロロベンゼン(d4)中、温度120℃にて1H−NMR、13C−NMR分析(バリアン社製、300MHz)を行って求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
(2)ポリオレフィン樹脂中の(A2)の組成
ポリオレフィン樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、ポリオレフィン樹脂
中の(A2)の質量を換算した。
Figure 2011107424
Figure 2011107424
〔実施例1〕
(ポリオレフィン樹脂粒子分散液1)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、75.0gのポリオレフィン樹脂(ボンダインHX−8290、住友化学工業株式会社製)、60.0gの2プロパノール(以下、IPAと記す)、5.1gのトリエチルアミンおよび159.9gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140〜145℃に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一な分散液を得た。
その後、溶媒比率が水/IPAが7/3、固形分が5質量%になるよう溶媒を添加し、攪拌することによってポリオレフィン樹脂粒子分散液1を得た。
(電子写真感光体1)
直径30mm×長さ260.5mmのアルミニウムシリンダーを超音波水洗浄したものを支持体とした。
酸素欠損型SnOを被覆した酸化チタン(SnOの被覆率(質量比率)は25%)120部とレゾール型フェノール樹脂(商品名:ブライオーフェンJ−325、大日本イ
ンキ化学工業(株)製、固形分70%)70部と2−メトキシ−1−プロパノール100部とからなる溶液を約20時間ボールミルで分散し、導電層用の塗布液を調製した。この塗布液をアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布法によって塗布し、温度140℃で30分間加熱硬化することにより、膜厚が15μmの導電層を形成した。
調製したポリオレフィン樹脂粒子分散液1に、陽イオン(Liイオン)の含有率が固形分重量に対して0.5mmol/gになるように過塩素酸リチウムを加え、攪拌することによって、中間層用塗布液を得た。この中間層用塗布液を前記導電層の上にを浸漬塗布法で塗布し、温度120℃で10分間乾燥し、膜厚が0.8μmの中間層を形成した。
次に、電荷発生材料としてヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶20部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学工業株式会社製)10部にシクロヘキサノン350部を加え、直径1mm(φ1mm)ガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散し、これに酢酸エチル1200部を加えて希釈し、電荷発生層用塗布液を調製した。このときの電荷発生材料のCAPA−700(堀場製作所(株)製)で測定した分散粒径は0.15μmであった。中間層上に、この電荷発生層用塗布液を浸漬塗布し、温度100℃で10分間乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(4)示される化合物8部、
Figure 2011107424
及び、式(5)で示される構成単位を有するビスフェノールC型ポリアリレート樹脂(Mw=110,000)10部をモノクロルベンゼン50部/ジクロルメタン10部からなる混合溶媒に溶解し、電荷輸送層用塗布液を調製した。この塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布法で塗布し、温度110℃で1時間乾燥して、膜厚15μmの電荷輸送層を形成した。こうして電子写真感光体1を作製した。
Figure 2011107424
<画像評価および電位測定>
電子写真感光体を常温常湿(温度23℃/湿度50%RH)環境下で24時間放置した後、そのままの環境でゴースト画像の評価および電位測定を行った。
ゴースト画像の評価および電位測定は、ヒューレットパッカード社製のレーザービームプリンター(商品名:カラーレーザージェット4600)を暗部電位が−700V、プロセススピード120mm/s、露光光量可変になるように改造したものを用いた。このレーザービームプリンターの帯電手段は、帯電ローラーを備えた接触帯電手段であり、帯電ローラーには直流電圧のみの電圧が印加される。また、このレーザービームプリンターは、電子写真感光体の回転方向において帯電手段の上流側かつ転写手段の下流側の位置に除電手段を有さない。
シアン色用プロセスカートリッジに電子写真感光体1を装着し、これを、プリンターの
シアン色用プロセスカートリッジのステーションに装着し、ゴースト画像を出力した。表面電位の測定は、電子写真感光体の上端部より130mmの位置に電位測定用プローブが位置するように固定された冶具と現像器とを交換して、現像器位置で測定を行った。感光体の暗部電位がVd=−700Vとなるように電位を調整した後、露光後の電位である明部電位を測定した。
ゴースト評価用の画像としては、図1に示すように、画像の先頭部に黒い四角の画像を出した後、1ドット桂馬パターンで印字したハーフトーン画像を用いた。ゴースト画像の評価は、X−Rite(株)製の分光濃度計(商品名:X−Rite504/508)を用いた。出力画像のうち、ゴースト部の濃度からゴースト部ではない部分の濃度を差し引き、これをゴースト画像濃度とした。これを1枚の出力画像で10点行い、10点の平均値を求めた。
ゴースト画像濃度の評価結果は、ゴースト画像濃度が0.05以上であると見た目に明らかな差があるレベルであり、0.05未満であれば見た目に明らかな差はないレベルであった。また、画像出力は10,000枚行い、1枚目(初期)と10,000枚通紙後のゴースト画像および表面電位を評価した。通紙時は、各色の印字率2%の文字画像をレター紙にて20秒毎に1枚出力する間欠モードでフルカラープリント操作を行い、10,000枚の通紙を行った。その直後ゴースト画像の評価、および表面電位測定を行なった。結果を表3に示す。
〔実施例2〜11〕
実施例1の過塩素酸リチウムをテトラフルオロホウ酸リチウム、ヨウ化リチウム、臭化リチウム、塩化リチウム、過塩素酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウムにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に中間層用塗布液を得て、電子写真感光体2〜11を作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例12〜16〕
実施例1の過塩素酸リチウムの添加量を陽イオン(Liイオン)の含有率を、固形分重量に対して0.5mmol/gから、0.08mmol/g、0.1mmol/g、0.3mmol/g、1.0mmol/g、2.0mmol/gにそれぞれ変更した以外は実施例1と同様にこの中間層用塗布液を得て、電子写真感光体12〜16を作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
〔実施例17〜30〕
実施例1において、ポリオレフィン樹脂粒子分散液1を、以下のポリオレフィン樹脂粒子分散液2〜15にそれぞれ変更した以外は実施例1と同様に中間層用塗布液を得て、電子写真感光体17〜30を作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
(ポリオレフィン樹脂粒子分散液2〜15)
ポリオレフィン樹脂(ボンダインHX−8290、住友化学工業株式会社製)を表1に記載のポリオレフィン樹脂(ボンダインAX−8210、住友化学工業株式会社製)、ポリオレフィン樹脂(ボンダインAX−8390、住友化学工業株式会社製)、ポリオレフィン樹脂(プリマコール5980I、ダウ・ケミカル社製)、ポリオレフィン樹脂〔B1〕〜〔B11〕に変えた以外は、実施例1のポリオレフィン樹脂粒子分散液1と同様に調製し、ポリオレフィン樹脂粒子分散液2〜15を得た。
Figure 2011107424
〔比較例1〕
実施例1の中間層を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
(中間層)
N−メトキシメチル化6ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、中間層用塗布液を調製した。この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布法で塗布し、温度100℃10分間乾燥し、膜厚が0.8μmの中間層を形成した。
〔比較例2〕
実施例1の中間層を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
(中間層)
N−メトキシメチル化6ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、4級アンモニウムイオンの含有率が固形分重量に対して0.5mmol/gになるように塩化テトラブチルアンモニウムを加え、中間層用塗布液を調製した。この中間層用塗布液を導電層上に浸漬塗布法で塗布し、温度100℃10分間乾燥し、膜厚が0.8μmの中間層を形成した。
〔比較例3〕
実施例1の中間層を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
(中間層)
N−メトキシメチル化6ナイロン5部をメタノール95部中に溶解し、陽イオン(Liイオン)の含有率が固形分重量に対して0.5mmol/gになるように過塩素酸リチウムを加え、攪拌することによって、中間層用塗布液を得た。この中間層用塗布液を前記導電層上に浸漬塗布法で塗布し、温度100℃で10分間乾燥し、膜厚が0.8μmの中間
層を形成した。
〔比較例4〕
実施例1の中間層を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
(中間層)
レゾール型フェノール樹脂(商品名:ブライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)7部に2−メトキシ−1−プロパノール95部を加え、陽イオン(Liイオン)の含有率が固形分重量に対して0.5mmol/gになるように過塩素酸リチウムを加え、攪拌することによって、中間層用塗布液を得た。この中間層用塗布液を前記導電層上に浸漬塗布法で塗布し、温度130℃で10分間乾燥し、膜厚が0.
8μmの中間層を形成した。
〔比較例5〕
実施例1の中間層を以下のように変更した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
(中間層)
エチレン−アクリル酸共重合樹脂分散液(ファインレジンSG2000(鉛市株式会社製):固形分20%)を溶媒比率が水/IPAが7/3、固形分が5%になるよう調製し、中間層用塗布液を得た。この中間層用塗布液を前記導電層上に浸漬塗布法で塗布し、温度120℃で10分間乾燥し、膜厚が0.4μmの中間層を形成した。
Figure 2011107424
1:電子写真感光体
2:回転軸
3:一次帯電手段
4:露光光
5:現像手段
6:転写手段
7:転写材
8:定着手段
9:クリーニング手段
10:プロセスカートリッジ
11:レール

Claims (9)

  1. 導電性支持体と、前記導電性支持体上に中間層と感光層を有する電子写真感光体において、前記中間層が、ポリオレフィン樹脂と、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる1種以上の陽イオンとを含有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記中間層は、ポリオレフィン樹脂と、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンから選ばれる陽イオンを有する1種以上の塩とを溶解させた中間層用塗布液を用いて形成された層であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記中間層用塗布液の固形分重量に対する陽イオンの含有率が、0.1mmol/g以上1.0mmol/g以下であることを特徴とする請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記ポリオレフィン樹脂が、下記(A1)、(A2)および(A3)を有し、(A1)、(A2)および(A3)の質量比が下記の式を満たすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    0.01≦(A2)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦30
    55/45≦(A1)/(A3)≦99/1

    (A1):下記式(11)で示される繰り返し構造単位
    Figure 2011107424
    (式(11)中、R11〜R14は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基を示す。)

    (A2):下記式(21)または(22)で示される繰り返し構造単位
    Figure 2011107424
    (式(21)および式(22)中、R21〜R24は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、フェニル基または−Y21COOH(Y21は、単結合、アルキレン基またはアリーレン基を示す。)で示される1価の基を示し、R25およびR26は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはフェニル基を示し、X21は、−Y22COOCOY23−(Y22およびY23は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基またはアリーレン基を示す。)で示される2価の基を示す。ただし、R21〜R24のうち少なくとも1つは−Y21COOHで示される1価の基である。)

    (A3):下記式(31)、式(32)、式(33)または式(34)で示される繰り返し構造単位
    Figure 2011107424
    (式(31)〜式(34)中、R31〜R35は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を示し、R41〜R43は、それぞれ独立に、炭素数1〜10のアルキル基を示し、R51〜R53は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基を示す。)
  5. 前記(A1)乃至(A3)の質量比が下記の式を満たすポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の電子写真感光体。
    0.01≦(A2)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦10
  6. 前記(A1)乃至(A3)の質量比が下記の式を満たすポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
    0.01≦(A2)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦5
  7. 前記(A1)、(A2)および(A3)が下記式(111)、(221)および(311)で示される繰り返し構造単位又は下記式(111)、(221)および(312)で示される繰り返し構造単位であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 2011107424
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段およびトナー像を転写材に転写した後の前記電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリ
    ッジ。
  9. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電する帯電手段、帯電された前記電子写真感光体に対して露光を行って前記電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像してトナー像を形成する現像手段および前記電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えたことを特徴とする電子写真装置。
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