JP2009288622A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置。 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置。 Download PDF

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Abstract

【課題】帯電むらに起因した画像欠陥を抑制し、かつ膜の剥がれやクラックの無い、膜の状態が非常に優れた導電層を有する電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】導電性支持体上に、平均粒径が0.1μm以上の導電性粒子を含有する導電層、下引き層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体であって、導電層が、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むポリオレフィン樹脂を含有し、ポリオレフィン樹脂における、構成成分として含まれるカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物の質量比率(%)が、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
電子写真感光体は、適用される電子写真プロセスに応じた感度、電気特性、光学特性及び画像欠陥がない高品位な画質が要求される。
画像欠陥の代表的なものとしては、画像スジ、白地部分の黒点、黒字部分の白点、白地部分の地カブリが挙げられる。更には、デジタル複写機やレーザービームプリンター等のレーザーダイオードを光源として露光を行う場合には、支持体の表面形状や感光体の膜厚ムラ等の要因によって発生する干渉縞等が挙げられる。
前記の画像欠陥を防止する方法として、感光層と支持体の間に中間層を設ける方法がある。中間層は、電子写真感光体に電圧を印加したとき支持体から電荷注入が起こらないように電気的ブロッキング機能が要求される。これは支持体から電荷注入があると、帯電能の低下、画像コントラストの低下、反転現像方式の場合は先述の白地に黒点や地カブリの原因になり画質を著しく低下させる。
一方、中間層の電気的抵抗が高すぎると感光層で発生した電荷が感光層内部に滞留し、結果として残留電位の上昇や繰り返し使用による電位変動の原因になる。従って、電気的ブロッキング機能以外にも中間層の電気的抵抗値をある程度小さくする必要がある。
中間層の電気抵抗値を小さくする手段として、中間層中に金属酸化物を分散させる方法がある。特許文献1、2及び3には、中間層にアナターゼ型酸化チタンを含有させることによって中間層の抵抗値を下げて導電性を確保し、かつ電気的ブロッキング機能も有する中間層が開示されている。
しかしながら、支持体と感光層との間に設けられる中間層には、導電性、電気的バリア性の他に、支持体の欠陥を隠蔽させる隠蔽性の機能も要求される場合がある。それら全ての特性を同時に達成する手段として、支持体上に導電性材料を含有した層を厚く設けた上に、電気的ブロッキング機能を有し導電性材料を含有しない樹脂層を薄く設ける積層タイプの中間層が知られている。
一般的に、上記の導電性材料を含有した層は導電層と呼ばれ、導電性材料を含有しない層は下引き層、又はバリア層と呼ばれる。
導電層には、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂といった熱で硬化させる樹脂が用いられる。
その他、導電層に用いる樹脂として、誘電特性に優れるポリオレフィン樹脂を用いることも検討されたが、溶解性が悪く安定した導電層用の塗料を作製することが容易では無く、ポリオレフィン樹脂を導電層の樹脂として用いることは困難であった。
それに対し、特許文献4及び5には、液安定性に優れたポリオレフィン樹脂分散体を乾燥することで、耐水性や透明性、基材との密着性が良好な被膜が得られることが明示されている。しかしながら、例えば0.2μm程度の導電性粒子を含有するポリオレフィン樹
脂分散体塗布液の成膜性、及び画像特性といった電子写真感光体特有の課題に対してはいずれも明言されていない。
また、電子写真感光体に接触配置した帯電部材(接触帯電部材)に電圧を印加し、電子写真感光体を帯電する接触帯電方式を採用した電子写真装置が広く普及している。このうち、ローラー形状の接触帯電部材を電子写真感光体の表面に接触させ、これに直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することにより電子写真感光体の帯電を行う方式がAC/
DC接触帯電方式である。また、接触帯電部材に直流電圧のみの電圧を印加することにより電子写真感光体の帯電を行う方式がDC接触帯電方式である。
しかしながら、上述の接触帯電方式は、帯電の不均一性、直接電圧を印加することによる感光体の放電絶縁破壊の発生等が欠点として挙げられ、帯電の不均一性は特にDC接触帯電方式において顕著なものとなる。帯電の不均一性は、感光体表面の各部に均一な帯電がなされず、被帯電面の移動方向に対して直角な方向にスジ状の帯電むら(帯電スジ)を生じてしまうものである。
特開2004−077976号公報 特開2005−010591号公報 特開2005−017470号公報 特許第3699935号公報 特開2003―268164号公報
本発明の目的は、上述のDC接触帯電方式に用いられた場合でも、帯電むらに起因した画像欠陥を抑制し、かつ膜の剥がれやクラックの無い、膜の状態が非常に優れた導電層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ又は電子写真装置を提供することにある。
本発明から、以下の電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び電子写真装置が提供される。
<1>
導電性支持体上に、平均粒径が0.1μm以上の導電性粒子を含有する導電層、下引き層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体であって、
前記導電層が、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むポリオレフィン樹脂を含有し、前記ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分として含まれるカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物の質量比率(%)が、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
<2> 前記ポリオレフィン樹脂が、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)、及び、炭素数2から6のアルケン成分(A2)を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するポリオレフィン樹脂であって、前記ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分として含まれる不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)の質量比率(%)が、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする<1>に記載の電子写真感光体。
<3> 前記ポリオレフィン樹脂が、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)、炭素数2から6のアルケン成分(A2)、並びに、下記式(1)から(4)で示される群から選ばれる少なくとも1種の化合物(A3)を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するポリオレフィン樹脂であって、前記ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分(A1)、(A2)、及び(A3)の質量比率(%)が下記式(I)及び式(II)を満たすことを特徴とする<1>または<2>に記載の電子写真感光体

式(I) 0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦10
式(II) 55/45≦(A2)/(A3)≦99/1
Figure 2009288622
(式中、R1は水素又はメチル基を表し、R2は炭素数10以下のアルキル基を表し、R3は水素又は炭素数10以下のアルキル基を表す。)
<4> 前記ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分(A1)、(A2)、及び(A3)の質量比率(%)が、下記式(III)を満たすことを特徴とする<3>に記載の電子
写真感光体。
式(III)0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦5
<5> 前記ポリオレフィン樹脂が、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、又はエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体を含むことを特徴とする<1>から<4>のいずれかに記載の電子写真感光体。
<6> <1>から<5>のいずれかに記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の前記電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
<7> <1>から<5>のいずれかに記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した前記電子写真感光体に対して露光を行い前記電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段及び前記電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えた電子写真装置。
本発明によれば、帯電むらに起因した画像欠陥を抑制し、かつ膜の状態が非常に優れた導電層を有する電子写真感光体、該電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジあるいは電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、平均粒径が0.1μm以上の導電性粒子を含有する導電層、下引き層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体であって、導電層が、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むポリオレフィン樹脂を含有し、ポリオレフィン樹脂における、構成成分として含まれるカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物の質
量比率(%)が、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする。
上記感光層は、特に限定されず、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよい。
しかし、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、導電性支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層と、導電性支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層があるが、電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。
本発明における電子写真感光体の好ましい構成の概略が図2に示される。図2の電子写真感光体においては、導電性支持体21上に、後述の導電層22、下引き層23、電荷発生層24、電荷輸送層25が積層されている。
上記導電性支持体としては、導電性を有するものであれば、その材質は特に限定されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製(合金製)の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成した層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を有するプラスチック製の支持体などを用いることもできる。
上述のとおり、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、平均粒径が0.1μm以上の導電性粒子を含有する導電層、下引き層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体である。そして、導電層は、平均粒径が0.1μm以上の導電性粒子と特定の構造を持つポリオレフィン樹脂を含有する。
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂は、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むポリオレフィン樹脂を含有し、当該ポリオレフィン樹脂における、上記構成成分として含まれるカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物の質量比率(%)が、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする。
また、ポリオレフィン樹脂における、構成成分として含まれるカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物の質量比率(%)は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
ポリオレフィン樹脂における、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物の質量比率(%)が、0.01質量%未満の場合は、当該ポリオレフィン樹脂を用い導電性支持体上に導電層を塗布した場合に、導電性支持体からの剥がれが発生し、良好な導電層膜を得ることが困難になる。
一方、ポリオレフィン樹脂における、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物の質量比率(%)が、30質量%より大きい場合は、導電層に起因して電子写真感光体の誘電特性が変化し、前述のDC帯電装置と組み合わせて電子写真プロセスとして用いた場合に、帯電むらに端を発するスジ画像が発生しやすい。
また、導電層における、上記ポリオレフィン樹脂の質量比率(%)は、20%〜50%であることが好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂に構成成分として含まれるカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物とは、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基のいずれか一方または両方を、当該化合物分子内(モノマー単位内)に少なくとも有する化合物である。
当該カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物としては、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方であることが好ましい。具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、クロトン酸等のほか、不飽和ジカルボン酸のハーフエステル、ハーフアミド等が挙げられる。
中でもアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸が好ましく、特にアクリル酸、無水マレイン酸が好ましい。
また、上記カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物は、ポリオレフィン樹脂中に共重合体として含有されていることが好ましい。また、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。
なお、上記無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物は、樹脂の乾燥状態では隣接するカルボキシル基が脱水環化した酸無水物構造を形成している。しかしながら、例えば、塩基性化合物を含有する水性媒体中では、その一部、または全部が開環してカルボン酸、あるいはその塩の構造を取りやすくなる。
また、本発明において、樹脂のカルボキシル基量を基準としてカルボン酸基またはカルボン酸無水物基を有する化合物の量を規定する場合には、樹脂中のカルボン酸無水物基はすべて開環してカルボキシル基をなしていると仮定して算出する。
また、本発明において、上記ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)、及び、炭素数2から6のアルケン成分(A2)を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するポリオレフィン樹脂であって、当該ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分として含まれる不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)の質量比率(%)が、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
上記ポリオレフィン樹脂における、当該(A1)成分の質量比率(%)が、0.01質量%未満の場合は、上記ポリオレフィン樹脂を用いて、導電性支持体上に導電層を塗布した場合に、導電性支持体からの剥がれが発生し易く、良好な導電層膜を得ることが困難になる傾向にある。
一方、上記ポリオレフィン樹脂における、当該(A1)成分の質量比率(%)が、30質量%より大きい場合は、当該導電層に起因して電子写真感光体の誘電特性が変化し、前述のDC帯電装置と組み合わせて電子写真プロセスとして用いた場合に、帯電むらに端を発するスジ画像が発生してしまう場合がある。
さらに、本発明において、上記ポリオレフィン樹脂は、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)、炭素数2から6のアルケン成分(A2)、並びに、下記式(1)から(4)で示される群から選ばれる少なくとも1種の化合物(A3)を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するポリオレフィン樹脂であって、当該ポリオレフィン樹脂における、構成成分(A1)、(A2)、及び(A3)の質量比率(%)が下記式(I)及び式(II)を満たすことがより好ましい。
式(I) 0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦10
式(II) 55/45≦(A2)/(A3)≦99/1
本発明において、上記ポリオレフィン樹脂における、構成成分(A1)、(A2)、及び(A3)の質量比率(%)が、下記式(III)を満たすことが、特に好ましい。
式(III)0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦5
また、上記(A2)/(A3)は、60/39≦(A2)/(A3)≦93/1を満たすことがより好ましい。
なお、上記ポリオレフィン樹脂における、上記構成成分(A1)、(A2)及び(A3)の総量の質量比率(%)は、90%〜100%であることが好ましい。
Figure 2009288622
(式中、R1は水素又はメチル基を表し、R2は炭素数10以下のアルキル基を表し、R3は水素又は炭素数10以下のアルキル基を表す。)
本発明において、ポリオレフィン樹脂に構成成分として含まれる、炭素数2から6のアルケン成分(A2)としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等が挙げられる。これらは単独又は混合物として用いることもできる。
これらの中で、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン等の炭素数2から4のアルケンがより好ましく、エチレンが特に好ましい。
また、本発明に用いられるポリオレフィン樹脂に構成成分として含まれる、上記式(1)から(4)で示される群に記載された化合物(A3)としては、以下の化合物が例示できる。
式(1)で代表される(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル類。
式(2)で代表されるマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル等のマレイン酸エステル類。
式(3)で代表される(メタ)アクリル酸アミド類。
式(4)で代表されるメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのアルキルビニルエーテル類、ビニルエステル類を塩基性化合物等でケン化して得られるビニルアルコール。
また、これら化合物は単独又は混合物として用いることが可能である。
これらの中で、式(1)で示される(メタ)アクリル酸エステル類がより好ましく、(メタ)アクリル酸メチル、あるいは(メタ)アクリル酸エチルが特に好ましい。
本発明において、上記ポリオレフィン樹脂は、エチレン、(メタ)アクリル酸メチル又は(メタ)アクリル酸エチル、及び無水マレイン酸からなる三元共重合体を含むことが特に好ましい。当該三元共重合体の具体例として、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体またはエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体が挙げられる。
当該アクリル酸エステル単位は、樹脂の水性化の際に、エステル結合のごく一部が加水分解してアクリル酸単位に変化することがあるが、そのような場合には、それらの変化を
加味した各構成成分の比率が規定の範囲にあればよい。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂には、上述以外の他の成分が、本発明の効果を阻害しない程度に、共重合体の構成成分として含有されていても良い。他のモノマーの具体例として、ジエン類、(メタ)アクリロニトリル、ハロゲン化ビニル類、ハロゲン化ビリニデン類、一酸化炭素、二硫化硫黄等が挙げられる。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂の分子量は特に限定されず、また、その合成法も特に限定されない。上記ポリオレフィン樹脂は、例えば、ポリオレフィン樹脂を構成するモノマーをラジカル発生剤の存在下、高圧ラジカル共重合して得ることが可能である。
上記ポリオレフィン樹脂は、水性媒体に分散もしくは溶解されていることが好ましい。ここで、水性媒体とは、水を主成分とする液体からなる媒体であり、水溶性の有機溶剤を含有していてもよい。
本発明に用いられる導電層は、平均粒径が0.1μm以上の導電性粒子を含有する。
当該導電性粒子としては、カーボンブラック、金属粒子、金属酸化物粒子などを用いることができるが、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ等の導電性金属酸化物を用いることが好ましい。更には、酸素欠損型の酸化スズで酸化チタンをコートしたタイプの金属酸化物がより好ましい。
また、上記導電性粒子の平均粒径は0.1〜1.0μmであることが好ましく、0.1〜0.6μmであることがより好ましい。
さらに、導電層における、上記導電性粒子の含有量は、50〜80質量%であることが好ましく、67〜75質量%であることがより好ましい。
本発明において、上記平均粒径の測定方法は以下のとおりである。
分散粒子は導電性粒子のみの組成の導電層用塗布液を液相沈降法にて測定した。具体的には、導電層用塗布液をそれに用いた溶剤で希釈して、(株)堀場製作所製の超遠心式自動粒度分布測定装置(CAPA700)を用いて体積平均粒径を測定した。
本発明において、導電層用塗布液は、上記導電性粒子を下記有機溶剤とともに分散し、得られた分散液を前述のポリオレフィン樹脂水性分散体と混合し攪拌することによって得られる。
そして、当該方法で得られた導電層用塗布液を導電性支持体上に塗布し、これを乾燥させることによって導電層を形成する。
上記導電性粒子の分散方法としては、ペイントシェーカー、サンドミル、ボールミル、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。
上記導電層用塗布液に用いる有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコールや、アセトン、メチルエチルケトン、シクロへキサノンなどのケトンや、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテルや、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステルや、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。
本発明においては、先述のとおり、有機溶剤で分散された導電性粒子と、ポリオレフィン樹脂を混合させることによって導電層用塗布液を作製する。導電層用塗布液中の有機溶剤量は、使用する有機溶剤によっては水性分散体の安定性が低下してしまう場合があるため、安定性が低下しない程度に有機溶剤を含有させる必要がある。つまり、塗布する導電層の膜厚を考慮した塗料粘度と分散体の安定性を考慮し、導電性粒子を分散した分散液の
固形分比、ポリオレフィン樹脂水性分散液の固形分比・有機溶剤混合比、両者の混合比を選択する。
導電層には、上記ポリオレフィン樹脂に加えて、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂などの硬化性樹脂を、特性を満足する範囲で混合して用いることができる。
また、導電層表面で反射した光が干渉して出力画像に干渉縞が発生することを抑制するために、導電層に、導電層表面を粗面化するための表面粗し付与材を添加することも可能である。
表面粗し付与材としては、平均粒径1〜6μmの樹脂粒子が好ましい。例えば、硬化性ゴム、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アクリル−メラミン樹脂などの硬化性樹脂の粒子などが挙げられる。これらの中でも、凝集しにくいシリコーン樹脂の粒子が好ましい。
また、導電層の表面性を高めるために、公知のレベリング剤を添加してもよい。
また、導電性支持体の表面欠陥を隠蔽するという観点から、導電層の膜厚は10〜35μmであることが好ましく、15〜30μmであることがより好ましい。
なお、本発明において、導電層を含む電子写真感光体の各層の膜厚は、(株)フィッシャーインストルメンツ社製のFISHERSCOPE mmsで測定した。
本発明において、導電層から感光層への電荷注入を阻止するために、電気的バリア性を有する下引き層を導電層と感光層との間に設ける必要があるが、下引き層の体積抵抗率は1×10〜1×1013Ω・cmであることが好ましい。下引き層の体積抵抗率が小さすぎると、電気的バリア性が乏しくなり、導電層からの電荷注入に起因するポチやカブリの発生が顕著になる傾向にある。一方、下引き層の体積抵抗率が大きすぎると、画像形成時に電荷(キャリア)の流れが滞り、残留電位の上昇(電位安定性の欠如)が顕著になる傾向にある。
下引き層の膜厚は0.05〜10μmであることが好ましく、特には0.3〜5μmであることがより好ましい。
なお、下引き層の構成、及び製造方法等は、上記パラメータを参考に、公知の構成及び製造方法を用いることができる。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に、平均粒径が0.1μm以上の導電性粒子を含有する導電層、下引き層、感光層をこの順に設けてなる。
また、本発明において、感光層の好ましい形態としては、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層である。
上記電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料や、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料や、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料や、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料や、アンスラキノン、ピレンキノン、ジベンズピレンキノンなどの多環キノン顔料や、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素や、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質や、キナクリドン顔料や、アズレニウム塩顔料や、キノシアニンなどのシアニン染料や、アントアントロン顔料や、ピラントロン顔料や、キサンテン色素や、キノンイミン色素や、スチリル色素や、硫化カドミウムや、酸化亜鉛などが挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アリル樹脂、アル
キッド樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ベンザール樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂などが挙げられる。特には、ブチラール樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、これを乾燥させることによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ロールミル、振動ミル、アトライター、液衝突型高速分散機などを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4(質量比)の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜2μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
上記電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物及びチアゾール系化合物等が挙げられる。これら電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
電荷輸送層の膜厚は5〜40μmであることが好ましく、特には10〜35μmであることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、フッ素原子含有樹脂やシリコーン含有樹脂などを含有させても良い。また前記樹脂により構成される微粒子を含有してもよい。また、金属酸化物微粒子や無機微粒子を含有してもよい。ただし、電荷輸送層を電子写真感光体の表面層として用いる場合は、その帯電列の位置に影響を及ぼさない範囲でそれらを含有させることができる。
上記各層の塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させる帯電手段、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とする。
本発明の電子写真装置は、本発明の電子写真感光体、電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対して露光を行い電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段及び電
子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えた電子写真装置である。
次に、図1に本発明の電子写真感光体を備えたプロセスカートリッジ、及び該プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図1において、1はドラム状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
回転駆動される電子写真感光体1の周面は、帯電手段3(一次帯電手段)により、負の所定電位に均一に帯電され、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の周面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。帯電手段3に印加する電圧は、直流成分に交流成分を重畳した電圧、又は直流成分のみの電圧のどちらでもよいが、本発明においては直流成分のみを印加する帯電手段を用いた。
電子写真感光体1の周面に形成された静電潜像は、現像手段5のトナーにより現像されてトナー画像となる。次いで、電子写真感光体1の周面に形成担持されているトナー画像が、転写手段6(転写ローラー)からの転写バイアスによって順次転写されていく。転写材P(紙など)は、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送される。
トナー画像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の周面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段7(クリーニングブレード)によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光11により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
なお、転写手段として、例えば、ベルト状やドラム状などの中間転写体を用いた中間転写方式の転写手段を採用してもよい。
図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の配合における部数は特に説明が無い場合は質量部である。
<実施例1>
導電層に用いるポリオレフィン樹脂として、表1の組成を示すポリオレフィン樹脂を用意した。尚、表1に記載されている樹脂の特性は、以下の方法によって測定または評価した。
(1)オレフィン樹脂中の不飽和カルボン酸成分の含有量
オレフィン樹脂の酸価をJIS K5407に準じて測定し、その値から不飽和カルボン酸の含有量(グラフト率)を次式から求めた。
不飽和カルボン酸成分の含有量(質量%)=(グラフトした不飽和カルボン酸の質量)/(原料オレフィン樹脂の質量)×100
(2)不飽和カルボン酸成分以外の樹脂の構成
オルトジクロロベンゼン(d4)中、120℃にて1H−NMR、13C−NMR分析(バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド社製、300MHz)を行って求めた。13C−NMR分析では定量性を考慮したゲート付きデカップリング法を用いて測定した。
一方、表1に示したオレフィン樹脂の合成方法は、「新高分子実験学2 高分子の合成・反応(1)」の第4章(共立出版株式会社)、特開2003−105145号公報、特開2003―147028号公報などに記述された公知の方法を用いて合成した。
Figure 2009288622
撹拌機を備えた、ヒーター付の密閉できる耐圧1Lガラス容器に、60.0質量部のポリオレフィン樹脂(PO−1)、30.0質量部のエタノール、3.9質量部のN,N−ジメチルエタノールアミン及び206.1質量部の蒸留水を仕込んだ。次いで、得られた混合物を、撹拌機の撹拌翼の回転速度を300rpmとして撹拌したところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れ加熱した。そして系内温度を140℃
に保ってさらに20分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度300rpmのまま攪拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した。300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリオレフィン樹脂水性分散体を得た。
次に、酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子(粉体抵抗率100Ω・cm、SnOの被覆率(質量比率)は35%)80質量部、溶剤としてのメタノール15質量部、メトキシプロパノール15質量部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで3時間分散して、分散液を調整した。
この分散液における、酸素欠損型SnOを被覆したTiO粒子の平均粒径は0.30μmであった。
この分散液に、表面粗し付与材としてのシリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール120、GE東芝シリコーン(株)製、平均粒径2.0μm)3.9質量部、レベリング剤としてのシリコーンオイル(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)0.001質量部を添加して攪拌し、導電性粒子分散液を調整した。
次に、上記ポリオレフィン樹脂水性分散体を145質量部、導電性粒子分散液110質量部を容器内で十分に攪拌し、電子写真感光体の導電層用塗布液を作製した。
押し出し・引き抜き工程により製造された、長さ260.5mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS−A3003、アルミニウム合金)を電子写真感光体の支持体として用意した。
その上に、上記導電層用塗布液を浸漬塗布し、100℃で10分間乾燥することによって30μmの導電層を形成した。ただし、後述の導電層の剥がれを確認することができるように、導電層の塗布端部が以下の下引き層、電荷発生層、電荷輸送層の各端部より支持体の端部に近くなるよう塗布した。
なお、上記のように作製した導電層膜中のポリオレフィン共重合体の組成を分析した結果、ポリオレフィン樹脂水性分散体を作製する前のポリオレフィン樹脂原材料の組成比率と同じであることが確認できた。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン(商品名:トレジンEF−30T、帝国化学産業(株)製)4.5質量部および共重合ナイロン樹脂(アミランCM8000、東レ(株)製)1.5質量部を、メタノール65質量部/n−ブタノール30質量部の混合溶媒に溶解した。得られた下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.8μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン10質量部を用意した。それに、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5質量部およびシクロヘキサノン250質量部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で1時間分散した。次に、酢酸エチル250質量部を分散液に加えて電荷発生層用塗布液を調製した。
この電荷発生層用塗布液を、下引き層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.16μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(5)で示される構造を有するアミン化合物8質量部、下記構造式(6)で示される構造を有するアミン化合物1質量部、及び、下記構造式(7)で示される構造を有するポリアリレート樹脂(Mw:110000)10質量部を、最終質量比率でモノクロルベンゼン:ジメトキシメタンが7:3になる溶剤に溶解させることによって、電荷輸送用塗布液を調製した。この電荷輸送用塗布液を、浸漬塗布法で上記電荷発生層上
に塗布し、120℃で1時間乾燥する事によって、膜厚18μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体1を作製した。
Figure 2009288622
Figure 2009288622
Figure 2009288622
作製した電子写真感光体を、15℃、10%RHの環境下にて、ヒューレットパッカード製LaserJet4700に装着し、初期、並びに、5000枚及び10000枚通紙耐久後の画像の評価を行った。
詳しくは、シアン色用のプロセスカートリッジに作製した電子写真感光体を装着して、シアンのプロセスカートリッジのステーションに装着し、評価を行った。また、プロセスカートリッジの現像ローラと電子写真感光体間の距離を制御する目的で、電子写真感光体端部に当たるようにつきあてコロがプロセスカートリッジに設けられているが、そのつきあてコロが導電層端部に接するように改造を行なった。
通紙時は各色の印字率2%の文字画像をレター紙にて20秒毎に1枚出力する間欠モードでフルカラープリント操作を行い、5000枚及び10000枚の画像出力を行った。
そして、評価開始時と5000枚終了時、10000枚終了時に5枚(1ドット桂馬パターンのハーフトーン画像)の画像評価用のサンプルを出力した。
帯電スジは、サンプル画像から、AからEまでランク分けを行なった。
Aは帯電スジが全く無く、B、Cと順次帯電スジが悪化し、Eは著しい帯電スジが発生している画像である。実用上、ランクCまでは問題無いレベルである。
別途、導電層膜の評価を行なった。導電層膜のクラックの有無は、導電層を設けた後に光学顕微鏡(1000倍)にて導電層表面の観察を実施し、◎、○、△、×のランク分けを行なった。◎はクラックが見られず非常に良好な膜であり、○は膜の一部に点状の凹みが観察されるものの、問題無いレベルである。△は、膜全面に点状の凹みがあり、×は膜全面にクラックが発生している。
導電層の剥がれに関しては、上記10000枚耐久終了後、導電層塗布端部の剥がれを確認した。◎は剥がれが生じておらず、○は微小な剥がれが生じているものの問題無いレベルであり、×は剥がれが生じている。これらの結果を表2に示す。
<実施例2〜12>
実施例1において、導電層に用いるポリオレフィン樹脂を表1に樹脂のポリオレフィン樹脂(PO−2)から(PO−12)に変更した以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
<実施例13>
実施例1において、以下のように導電層を形成した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行なった。
ポリオレフィン樹脂水性分散体を100質量部、導電性粒子分散液110質量部、及びフェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ−325、大日本インキ化学工業(株)製、メタノール溶液、樹脂固形分60%)17質量部を容器内で1時間攪拌した。このようにして得られた導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥することによって30μmの導電層を形成した。
<実施例14>
実施例1において、導電性粒子としてビニルトリエトキシシランで表面処理したアナターゼ型TiOを用いて分散した(分散後粒径0.28μm)以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
(比較例1、及び2)
実施例1において、導電層に用いるポリオレフィン樹脂を表1に樹脂のポリオレフィン樹脂PO−13、PO−14を用いた以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。評価は、実施例1と同様に行なった。
(比較例3)
実施例1において、ポリオレフィン樹脂水性分散体を用いずに、以下のように導電層を形成した以外は実施例1と同様に電子写真感光体を作製し、評価を行なった。
導電性粒子分散液110質量部にメラミン樹脂30質量部、メタノール30質量部を混合し、1時間攪拌した。このようにして得られた導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、140℃で30分間乾燥することによって30μmの導電層を形成した。
Figure 2009288622
本発明の電子写真感光体を搭載したプロセスカートリッジ、及び該プロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。 本発明の電子写真感光体の層構成の一例を概略する図である。
符号の説明
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段(一次帯電手段)
4 露光光(画像露光光)
5 現像手段
6 転写手段(転写ローラー)
7 クリーニング手段(クリーニングブレード)
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
11 前露光光
P 転写材(紙など)
21 導電性支持体
22 導電層
23 下引き層
24 電荷発生層
25 電荷輸送層

Claims (7)

  1. 導電性支持体上に、平均粒径が0.1μm以上の導電性粒子を含有する導電層、下引き層、感光層をこの順に設けてなる電子写真感光体であって、
    前記導電層が、カルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物を構成成分として含むポリオレフィン樹脂を含有し、前記ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分として含まれるカルボン酸基及びカルボン酸無水物基の少なくとも一方を有する化合物の質量比率(%)が、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂が、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)、及び、炭素数2から6のアルケン成分(A2)を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するポリオレフィン樹脂であって、前記ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分として含まれる不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)の質量比率(%)が、0.01質量%以上30質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記ポリオレフィン樹脂が、不飽和カルボン酸及びその無水物のいずれか一方または両方(A1)、炭素数2から6のアルケン成分(A2)、並びに、下記式(1)から(4)で示される群から選ばれる少なくとも1種の化合物(A3)を、共重合体の構成成分として含む共重合体を含有するポリオレフィン樹脂であって、前記ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分(A1)、(A2)、及び(A3)の質量比率(%)が下記式(I)及
    び式(II)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の電子写真感光体。
    式(I) 0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦10
    式(II) 55/45≦(A2)/(A3)≦99/1
    Figure 2009288622
    (式中、R1は水素又はメチル基を表し、R2は炭素数10以下のアルキル基を表し、R3は水素又は炭素数10以下のアルキル基を表す。)
  4. 前記ポリオレフィン樹脂における、前記構成成分(A1)、(A2)、及び(A3)の質量比率(%)が、下記式(III)を満たすことを特徴とする請求項3に記載の電子写真
    感光体。
    式(III)0.01≦(A1)/{(A1)+(A2)+(A3)}×100≦5
  5. 前記ポリオレフィン樹脂が、エチレン−アクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体、又はエチレン−メタクリル酸エステル−無水マレイン酸三元共重合体を含むことを
    特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電
    させる帯電手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段及び転写工程後の前記電子写真感光体上に残余するトナーを回収するクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真感光体、前記電子写真感光体を帯電さ
    せる帯電手段、帯電した前記電子写真感光体に対して露光を行い前記電子写真感光体上に静電潜像を形成する露光手段、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像をトナーで現像する現像手段及び前記電子写真感光体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段を備えた電子写真装置。
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