JP3779210B2 - 電子写真感光体およびこの感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体およびこの感光体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機材料を含む感光層を有し、電子写真方式のプリンター、複写機などに用いられる電子写真感光体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、導電性基板上に光導電性機能を有する感光層を形成した構成を基本構造とし、その感光層の形成方法または構成の違いにより、電荷発生と電荷輸送機能とを併せて単層の感光層に担わせる単層型感光体と、電荷発生に寄与する層と表面電荷保持ならびに電荷輸送に寄与する層とに機能分離した層を備えた機能分離積層型感光体等に分けることが一般的である。
【0003】
また近年、無機系光導電性材料に比べて熱安定性、成膜性などにおいて利点がある有機材料を用いた有機系感光体が実用化され、主流になっている。
【0004】
これらの有機系感光体に用いられる有機材料のうち、電荷発生機能および電荷輸送機能を担うことになる有機系光導電性材料は層形成能力の小さい低分子材料が多く、耐久性のある感光層を形成することが困難であったが、それらの低分子材料を層形成能力の大きい高分子化合物(樹脂バインダー)に一旦分散または溶解させてから感光層を形成することにより、高耐久性で実用的な膜強度の感光層を持つ有機系感光体が製造可能になった。
【0005】
最近では感光層として電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とを積層した前述の機能分離積層型感光体が、その豊富な有機系材料を背景に、感光層の各機能に適する材料の広い選択性に起因して大きな設計自由度を有するために主流となっている。
【0006】
なかでも導電性基板に、光導電性有機顔料の蒸着により成膜した層または樹脂バインダー中に光導電性有機顔料を分散させた塗布液から浸漬塗布により成膜した層をそれぞれ電荷発生層として形成し、この層上に電荷輸送機能を有する有機低分子化合物を樹脂バインダー中に分散または溶解させた塗布液から形成した層を電荷輸送層として積層した負帯電型感光体が数多く製品化されている。
【0007】
また、電荷発生材料と電荷輸送材料を共に樹脂バインダー中に分散または溶解させた単層の感光層を用いた正帯電型感光体も多く知られている。
【0008】
さらに、電子写真感光体をカールソンプロセス方式の電子写真装置に適用する場合に、しばしば問題になる感光層と導電性基板との密着性を改善すること、基板表面の欠陥や凹凸に対する隠蔽性を高めること、あるいは導電性基板からの不要なキャリア注入を原因とする印字画像上の黒点もしくは白点などの欠陥発生等を抑制することなどのために、電子写真感光体の電荷発生層もしくは単層の感光層と基板間に下引き層を挿入するとよいことが知られている。
【0009】
この下引き層の層形成材料としては、通常、高分子化合物等の樹脂やアルミニウム系金属を基板材料とする場合にはアルマイト膜等が用いられる。
【0010】
一方、前述したように下引き層を高分子化合物等の樹脂で形成した場合、不要キャリアの注入による印字画像上の点状欠陥発生については抑制できるが、下引き層の挿入自体が感光体の感度特性を低下させる傾向があるため、通常、下引き層は前述の点状欠陥を抑制するに必要な最低限の膜厚で用いられることが多い。そのような下引き層の膜厚は、下引き層が導電性基板に通常存在する平均的な表面粗さおよび特異な表面欠陥などをも充分に覆いかつ層自体均質で欠陥の無い表面状態を持つという観点では、必ずしも充分な膜厚であるとは言えない。
【0011】
さらに金属酸化物微粒子を下引き層に分散させることにより、厚膜にしても著しく感度低下を引き起こさないようにした下引き層も既に公知の技術である。
【0012】
さらに、特開2000−112164号公報には下引き層に含まれる表面処理金属酸化物粒子をトルエンで洗浄処理した後にバインダー樹脂に分散させることにより、塗布時のハジキ等の塗布欠陥を減少させることについての記載がある。
【0013】
さらにまた、塗布液の抽出水溶液とその水素イオン指数pHとの関係に対しては、特開平10−133405号公報において、電荷輸送性機能を有する樹脂の塗布膜を用いた感光体の特性安定性を評価する目的で、その塗布液の水抽出液の水素イオン指数pH値を測定することが示されている。
【0014】
また、特開2000−98638号公報、特開2000−338692号公報等では電荷輸送層塗布液自体の劣化を評価するために、その塗布液の水抽出液の水素イオン指数pHを測定することが開示されている。
しかし、いずれも本発明とは、下記のように構成と目的が異なる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のような印字における点状欠陥を抑制するために必要な最低限の下引き層膜厚では基板表面を充分に被覆するには限界があるというだけでなく、前述のように、たとえ膜を厚くすることを可能にして均一で欠陥の無い表面状態が実現できたとしても、さらに温湿度環境の条件によっては導電性基板からの電荷注入が増加し、特に高温高湿環境中の印字評価において、印字かぶり等の新たな欠陥が生じることが多く、必ずしも安定して良好な印字品質が得られるとは限らないという問題があった。
【0016】
さらにまた、前述の厚膜の下引き層のように、露光光の電子写真感光体の基板からの反射もしくは下引き層表面での反射などによる光学的干渉縞の発生を防止する目的および基板表面を均一で欠陥の無い表面状態となるように充分に厚く被覆する目的で、下引き層へ金属酸化物微粒子を含有させる場合、下引き層塗布液中での金属酸化物微粒子の沈降および下引き層塗布液のゲル化等による塗布液の劣化が起き易くなり、塗布液の寿命が短くなるという問題があった。
【0017】
以上説明した問題点に鑑みて、本発明の目的は、金属酸化物微粒子の沈降および下引き層塗布液のゲル化等による塗布液の劣化が起きにくい下引き層塗布液からの浸漬塗布による下引き層の形成を含む電子写真感光体の製造方法および高温高湿環境中で印字欠陥を発生させ難い下引き層を備えた電子写真感光体を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明によれば、前記目的は、有機化合物で表面処理された金属酸化物微粒子を含有する下引き層と感光層とをこの順にそれぞれの塗布液から浸漬塗布法により導電性基板上に形成する電子写真感光体の製造方法において、表面処理された前記金属酸化物微粒子が低級アルコールおよび水で処理されており、前記下引き層が、下引き層塗布液を等量の、pH7.0±0.5の範囲にある純水と混合して、下引き層塗布液の水溶性物を抽出したとき、この抽出液の水素イオン指数pHが4.0ないし10.0の範囲となるように制御された塗布液から形成される電子写真感光体の製造方法とすることにより、達成される。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子である請求項1記載の電子写真感光体の製造方法とすることが好ましい。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、金属酸化物微粒子の表面処理に用いられる有機化合物がシロキサン化合物、アルコキシシラン化合物、シランカップリング剤から選ばれるいずれかの化合物である請求項1または2記載の電子写真感光体の製造方法とすることがより好ましい。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の製造方法により形成されてなる電子写真感光体とすることにより、前記目的は達成される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図を用いて具体的に説明する。
本発明は以下説明する実施例の記載に限定されるものではない。
図1と図2はそれぞれ本発明にかかる電子写真感光体の要部断面図を示し、図1は導電性基板1上に下引き層2、電荷発生層3、電荷輸送層4をこの順に積層してなる機能分離積層型感光体の模式的断面図を示す。図2は導電性基板1上に下引き層2、感光層5を形成してなる単層型感光体の模式的断面図を示す。
【0024】
導電性基板1は、感光体の電極としての役目と同時に他の各層の支持体となっており、円筒状、板状、フィルム状のいずれでも良く、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属、あるいはガラス、樹脂等に導電処理を施したものでも良い。
【0025】
下引き層2は、導電性基板1から感光層5または電荷発生層3への不要な電荷の注入防止、基板表面の欠陥被覆、感光層または電荷発生層3の接着性向上等の目的で設けられる。下引き層2の層形成材料としては環状エーテルまたは低級アルコールに可溶なガゼイン、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアミド樹脂およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。
【0026】
また、これらの樹脂中に分散させる金属酸化物微粒子はそれ自体に導電性の無いものとして、SiO2、TiO2、In23、ZrO2、Al23等の微粒子を用いることが可能である。これら金属酸化物微粒子は分散安定性や感光体特性向上の為にポリシロキサンやアルコキシシランやシランカップリング剤で表面処理を施すことも好ましい。
【0027】
この表面処理を施した金属酸化物微粒子は、表面処理の際に付随的に混入するイオン性不純物を除去する目的で、純水と、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の純水より低沸点の低級アルコールのいずれか1種類または純水との共沸点が純水の沸点以下の低級アルコールのいずれか1種類との混合比を純水:低級アルコール=8:2〜2:8としたアルコール水溶液で洗浄することが好ましい。また複数の混合比のアルコール水溶液を用いる場合は、純水:低級アルコール=5:5〜0:10の溶液で予備洗浄後、純水単独で洗浄した後、仕上げに純水:低級アルコール=5:5〜0:10の溶液で洗浄し、乾燥させることが好ましい。イオン性不純物を除去する目的では純水だけによる洗浄でよいはずであるが、実際には純水単独の洗浄では、表面処理された金属酸化物微粒子の純水に対する濡れ性が不十分なため、洗浄効果が不十分になることがあり、さらに純水だけによる洗浄では、洗浄後の残留水分の乾燥処理に時間がかかることもあって、上記のようにアルコールとの混合溶液が望ましいのである。
【0028】
下引き層塗布液を抽出した抽出液の水素イオン指数pHを調整する製造方法としては、前述のように金属酸化物微粒子の表面処理後の洗浄において、純水とアルコールの混合溶液の混合比率を変える方法があるが、金属酸化物微粒子に予め含まれるイオン性不純物や金属酸化物微粒子の表面処理の際に含まれるイオン性不純物の量を調整することにより、抽出液の水素イオン指数pHを調整することもできる。
【0029】
電荷発生層3は有機光導電性材料を真空蒸着または有機光導電性材料の粒子を樹脂バインダー中に分散させた塗布液を塗布して形成され、光を受容し電荷を発生する機能を持つ。また電荷発生層3は電荷発生効率が高いことと同時に発生した電荷の電荷輸送層4への注入性に電界依存性が少なく低電界でも注入効率の良いことが望まれる。また、有機光導電性材料としては電荷発生材料を主体としてこれに電荷輸送材料などを添加したものを使用することもある。
【0030】
電荷発生材料としては無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、スズフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アゾ顔料、アントアントロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、スクアリリウム顔料、チアピリリウム顔料、キナクリドン顔料などを用いることができ、またこれらの顔料を組み合わせて用いてもよい。
【0031】
電荷発生層3の樹脂バインダ−としては、ポリカ−ボネ−ト樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、塩化ビニル系樹脂、フェノキシ樹脂、シリコン樹脂、メタクリル酸エステル樹脂およびこれらの共重合体などを適宜組み合わせて使用することが可能である。
【0032】
電荷輸送層4は、電荷輸送材料と樹脂バインダーを溶剤に溶解させた塗布液を浸漬塗布法により成膜することで形成される。電荷輸送材料の一例としては、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ピラゾリン化合物、ピラゾロン化合物、オキサジアゾール化合物、アリールアミン化合物、ベンジジン化合物、スチルベン化合物、ブタジエン化合物及びポリビニルカルバゾールなどの電荷輸送性ポリマーおよび樹脂バインダーと電荷輸送材料の共重合体ポリマー等を使用することが可能である。
【0033】
また電荷輸送層4の樹脂バインダーとしては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体および共重合体などを含んでもよく、電荷輸送層4との相溶性が良くなる組み合わせとし、かつ機械的、化学的および電気的安定性、密着性が確保されるように電荷輸送層4を形成する。また電荷輸送層4の膜厚は実用的に有効な表面電位を維持するために10〜50μmの範囲が好ましい。
【0034】
【実施例】
以下、本発明の優れた点について、具体的な実施例、参考例と比較例およびそれらの評価結果を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
酸化チタンとして1次粒径0.03〜0.05μmの超微粒子酸化チタン(TTO−55(N) 石原産業(株)製)をメチルハイドロジェンポリシロキサンで予め表面処理し、その酸化チタンをメタノールと純水の8:2の混合溶液で予備洗浄してさらに純水で洗浄し、その後メタノールで仕上げ洗浄の後、減圧乾燥して表面処理酸化チタン微粒子を得た。
【0035】
次に10重量部のポリアミド樹脂(東レ(株)製 CM8000)を、ジクロロメタン40重量部とメタノール40重量部とシクロヘキサン20重量部の混合溶媒に溶解させた溶液に、前記酸化チタン微粒子40重量部を混合し、ビーズミル分散装置にて1時間分散させ、下引き層溶液を作製した。
【0036】
このときの下引き層塗布液の1重量部をpH7.0の純水1重量部に混合して10分間撹拌し、下引き層塗布液の水溶性物を抽出し水素イオン指数pHを測定したところ、この抽出液の水素イオン指数pHは6.22であった。
【0037】
更にこの下引き層塗布液を用いて、円筒状アルミニウム基板上に浸漬塗布法により塗布した後120℃―30分の条件で乾燥し、膜厚4μmの下引き層2を形成した。
【0038】
その層上にY型チタニルフタロシアニンと変性塩化ビニル樹脂をジクロロエタンに分散せしめた電荷発生層塗布液を、浸漬塗布法により、約0.1〜0.2μmの膜厚で塗布し、電荷発生層3を形成した。
【0039】
更に電荷輸送層4として、下記一般式(1)に示すN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを5重量部と、下記一般式(2)に示すN,N,N’,N’−テトラキス(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを5重量部と、粘度平均分子量が60000のポリカーボネートPCZ樹脂をジクロロメタン溶媒80重量部により溶解させて、浸漬塗布法にて30μmの膜厚に塗布形成させたのち100℃−30分の条件により乾燥して電子写真感光体を作製した。
【0040】
【化1】
Figure 0003779210
【0041】
【化2】
Figure 0003779210
【0042】
(実施例2)
実施例1における表面処理酸化チタンをメタノールと純水の1:1の混合溶液で洗浄し、表面処理酸化チタンを得た。この酸化チタン微粒子60重量部を、ヒドロキシスチレン樹脂10重量部とブチル化尿素樹脂10重量部にテトラヒドロフラン50重量部およびメタノール50重量部の混合溶液に溶解させ、ボールミルにて1時間分散させ、下引き層溶液を作製した。この下引き層溶液の抽出液の水素イオン指数pHは4.81であった。以下、実施例1と同様に下引き層2と電荷発生層3および電荷輸送層4を成膜した。
【0043】
(実施例3)
実施例1の洗浄後の酸化チタン微粒子60重量部をヒドロキシスチレン樹脂10重量部とアルコール可溶なポリアミド樹脂6重量部とベンゾグアナミン樹脂4重量部を、メタノール60重量部とテトラヒドロフラン30重量部とn−ブタノール10重量部の混合溶媒に溶解させた溶液に、実施例1と同一な方法で分散し下引き層塗布液を作製した。この下引き層溶液の抽出液の水素イオン指数pHは5.86であった。下引き層膜厚を15μmに成膜した。以下は実施例1と同様に電荷発生層3および電荷輸送層4を形成し、電子写真感光体を作製した。
【0044】
(参考例1)
実施例1の酸化チタン微粒子にγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで表面処理後、純水で洗浄して減圧乾燥し、表面処理酸化チタン微粒子を得た。この酸化チタン微粒子を実施例1と同様な樹脂溶液に分散させて下引き層溶液を作製した。この下引き層溶液の抽出液の水素イオン指数pHは9.10であった。更に実施例1と同様な下引き層2と電荷発生層3および電荷輸送層4を成膜した。
【0045】
(参考例2)
実施例1の酸化チタン微粒子の代わりに1次粒径0.07μmの石原産業(株)製、高純度酸化チタンPT−401Mをフェニルトリメトキシシランで表面処理後、純水で洗浄して減圧乾燥し、表面処理酸化チタン微粒子を得た。この酸化チタン微粒子を実施例1と同様な樹脂溶液に分散させ下引き層溶液を作製した。この下引き層溶液の抽出液の水素イオン指数pHは7.68であった。更に実施例1と同様な下引き層2と電荷発生層3および電荷輸送層4を成膜した。
【0046】
(参考例3)
実施例1の酸化チタン微粒子の代わりに1次粒径0.27μmの石原産業(株)製、高純度酸化チタンPT−301をフェニルトリメトキシシランで表面処理後、純水で洗浄し減圧乾燥し、表面処理酸化チタン微粒子を得た。この酸化チタン微粒子を実施例1と同様な樹脂溶液に分散させ下引き層溶液を作製した。この下引き層溶液の抽出液の水素イオン指数pHは7.61であった。更に実施例1と同様な下引き層2と電荷発生層3および電荷輸送層4を成膜した。
【0047】
(比較例1)
実施例1の表面処理酸化チタンを未洗浄のまま用い、実施例1と同様な下引き層溶液を作製した。この下引き層溶液の抽出液の水素イオン指数pHは3.85であった。この水素イオン指数は本発明にかかる範囲外であるが、本発明の実施例と比較するために、以下、実施例1と同様な膜厚で下引き層と電荷発生層および電荷輸送層を成膜した。
【0048】
(比較例2)
実施例1の下引き層溶液にさらに無水マレイン酸を0.1重量部溶解させて、この下引き層塗布液の水溶性物を抽出し水素イオン指数pHを測定したところ、水素イオン指数pHは3.54であった。以下、実施例1と同様な下引き層と電荷発生層および電荷輸送層を成膜した。
【0049】
(比較例3)
実施例1の下引き層溶液にさらに安息香酸ナトリウムを0.1重量部溶解させて、この下引き層塗布液の水溶性物を抽出し水素イオン指数pHを測定したところ、水素イオン指数pHは10.35であった。以下、実施例1と同様な下引き層と電荷発生層および電荷輸送層を成膜した。
【0050】
(評価)
これら実施例1〜3、参考例1〜3ならびに比較例1〜3の抽出液のpH評価、下引き層溶液の安定性およびこの塗布液で得られた電子写真感光体について、レーザープリンターにて印字評価を行い比較検討を行った。それらの結果を表1にまとめた。
【0051】
【表1】
Figure 0003779210
【0052】
表1に示すように、実施例1〜3、参考例1〜3では、下引き層塗布液を構成する表面処理酸化チタンをアルコールと水で洗浄処理することにより、この塗布液から1重量部を抽出して、pH7.0の純水1重量部と混合して10分間撹拌した後の抽出液の水素イオン指数pHの測定値は、それぞれ4.81〜9.10であった。
【0053】
表1から、本発明にかかるpH範囲の値を有する実施例1〜3、参考例1〜3の下引き層塗布液では、3ヶ月放置後においても金属酸化物微粒子の1種である酸化チタンの沈降や下引き層塗布液のゲル化等による塗布液の劣化が起きずに塗布液安定性が良好であり、さらに常温での印字評価、高温高湿環境下での印字評価もいずれも良好であることが判る。
【0054】
一方、同表から比較例1〜3では、同上と同様に測定した水素イオン指数pHが4.0未満の3.85と3.54(比較例1、2)および10.0より大きい10.35(比較例3)であった。この場合、塗布液は3ヶ月放置後にゲル化が生じ、印字評価では常温、高温高湿とも黒点欠陥を生じることから、本発明にかかる製造方法ではゲル化等の塗布液劣化が起きにくく、この製造方法により作製された感光体は印字評価が良好であり、優れた発明であることが確認された。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、有機化合物で表面処理された金属酸化物微粒子を含有する下引き層と感光層とをこの順にそれぞれの塗布液から浸漬塗布法により導電性基板上に形成する電子写真感光体の製造方法において、表面処理された前記金属酸化物微粒子が低級アルコールおよび水で処理されており、前記下引き層が、下引き層塗布液を等量の、pH7.0±0.5の範囲にある純水と混合して、下引き層塗布液の水溶性物を抽出したとき、この抽出液の水素イオン指数pHが4.0ないし10.0の範囲となるように制御された塗布液から形成される電子写真感光体の製造方法としたので、金属酸化物微粒子の沈降および下引き層塗布液のゲル化等による塗布液の劣化が起きにくい、下引き層塗布液からの浸漬塗布による下引き層の形成を含む電子写真感光体の製造方法ならびに高温高湿環境中で印字欠陥を発生させ難い下引き層を備えた電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる積層型感光体の模式的断面図
【図2】本発明に係わる単層型感光体の模式的断面図
【符号の説明】
1 導電性基板
2 下引き層
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
5 感光層

Claims (4)

  1. 有機化合物で表面処理された金属酸化物微粒子を含有する下引き層と感光層とをこの順にそれぞれの塗布液から浸漬塗布法により導電性基板上に形成する電子写真感光体の製造方法において、表面処理された前記金属酸化物微粒子が低級アルコールおよび水で処理されており、前記下引き層が、下引き層塗布液を等量の、pH7.0±0.5の範囲にある純水と混合して、下引き層塗布液の水溶性物を抽出した抽出液の水素イオン指数pHが4.0ないし10.0の範囲となるように制御された塗布液から形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 金属酸化物微粒子が酸化チタン微粒子であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 金属酸化物微粒子の表面処理に用いられる有機化合物がシロキサン化合物、アルコキシシラン化合物、シランカップリング剤から選ばれるいずれかの化合物であることを特徴とする請求項1または2記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の製造方法により形成されてなることを特徴とする電子写真感光体。
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