JP2011112259A - 空調制御システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る空調制御システム100は、室内ユニット10a〜10i、各種センサ、コントローラ30を備える。コントローラ30は機能部として、温度ムラ判定部36b、パターンセット決定部36f、第2運転処理部36gを有する。温度ムラ判定部36bが判定した温度ムラの種類に応じて、パターンセット決定部36fが、当該温度ムラを解消させるのに最適と考えられる温度ムラ解消運転を決定する。第2運転処理部36gは、当該温度ムラ解消運転を実行する。
【選択図】図1
Description
図1は、本実施形態に係る空調制御システム100を概略的に示す図である。空調制御システム100は、事務所等の比較的広い室内空間に用いられるシステムである。空調制御システム100は、部屋のレイアウトおよび配置などの状況に応じて室内ユニット10a−10iを制御することで、室内の空調ムラを解消するシステムである。詳細には、空調制御システム100では、後述するコントローラ30により室内ユニット10a−10iを制御し、室内の空調ムラを効果的に解消するための空調ムラ解消運転を行う。なお、空調制御システム100によって解消される空調ムラには、温度、湿度、CO2濃度、気流速度、輻射量、粉塵量、ホルムアルデヒド量などのムラが含まれる。以下では、空調制御システム100によって室内の温度ムラを解消する場合を例に挙げて説明する。
(1)室内ユニット
まず、図2A〜図3を用いて、本実施形態に係る室内ユニット10a−10iを説明する。図2Aには、室内ユニット10a,10bの概略構成を示すが、その他の室内ユニット10c−10iの構成についても同様であるものとする。
各種センサ13a,13b,13cには、吸込温度センサ13a、湿度センサ13bおよび床温度センサ13cが含まれる。温度センサ13aおよび湿度センサ13bは、室内ユニット10a−10iの空気の吸込口付近に取り付けられている。温度センサ13aおよび湿度センサ13bは、それぞれ室内ユニット10a−10iの周辺の温度および湿度を検出する。床温度センサ13cは、室内ユニット10a−10iのケーシングに取り付けられている。床温度センサ13cは、室内の床温度を検出する。ここで床温度とは、室内における人付近温度を意味する。人付近温度とは、例えば、図2Bの破線BTに示す領域である。各種センサ13a,13b,13cは、制御部14と接続されている。各種センサ13a,13b,13cによって検出された値は、制御部14に集められる。
フラップ12a−12dは、室内ユニット10a−10iから吹き出される空気の流れを変化させる。本実施形態に係る室内ユニット10a−10iは、図3に示すように、四つの吹出口11a〜11dを有する。吹出口11a〜11dには、吹出口IDが付されている。また、吹出口11a〜11dには、フラップが一つずつ設けられる。
制御部14は、専用制御線5を介して、同じ冷媒回路に属する室外ユニット(図示されない)およびコントローラ30に接続されている。制御部14は、コントローラ30から入力された制御指令(起動または停止、設定温度の変更、運転モードの変更、風向パターンの変更等)に従って動作する。具体的には、制御部14は、圧縮機の周波数、ファンの回転数、各種弁の開度の調整、およびフラップ12a−12dの傾きの変更等を行う。
次に、図4を用いてコントローラ30について説明する。
通信部31は、コントローラ30を室内ユニット10a−10iおよび室外ユニットに接続するネットワークインターフェースであり、室内ユニット10a−10iおよび室外ユニットとの間で各種信号の授受を行う。
表示部32は、主としてディスプレイから構成されている。
記憶部35には、後述する制御部36が読み出して実行可能なプログラムが記憶されている。また、記憶部35は、主として、ゾーン情報記憶領域35a、吹出口情報記憶領域35b、風向パターン記憶領域35c、パターンセット記憶領域35d、判定条件記憶領域35e、空調機情報記憶領域35f、ムラ解消時間記憶領域35g、平均値記憶領域35h、および決定パターン記憶領域35iを有する。
ゾーン情報記憶領域35aは、空調対象空間RMを幾つかの領域に区分けしたゾーン情報を記憶する。本実施形態では、図5Aに示すように、空調対象空間RMが九つの空調ゾーンZ1〜Z9に分かれている。ゾーン情報記憶領域35aには、図5Bに示すように、空調対象空間RMに存在する空調ゾーンZ1,Z2,Z3,・・・と、各空調ゾーンZ1,Z2,Z3,・・・の座標と、各空調ゾーンZ1,Z2,Z3,・・・に属する室内ユニット10a−10iのIDが記憶されている。
吹出口情報記憶領域35bは、各室内ユニット10a−10iが有する吹出口11a−11dに関する情報を記憶する。吹出口情報記憶領域35bには、図6に示すように、室内ユニットIDと、当該室内ユニットIDが付された室内ユニット10a−10iが有する吹出口IDと、当該吹出口IDが付された吹出口の向きと、当該吹出口の座標とが記憶されている。
風向パターン記憶領域35cには、室内ユニット10a−10iから吹き出される空気の向きを決定する風向パターンが記憶されている。具体的には、図7に示すように、フラップの傾きを定める複数の風向パターンPT01,PT02,PT03,・・・が記憶されている。より具体的には、風向パターンPT01として、室内ユニットの四つのフラップF_ID01〜F_ID04と、当該フラップIDに対応するフラップの傾きとが記憶されている。
パターンセット記憶領域35dは、上述した風向パターンPT01,PT02,PT03,・・・の組合せであるパターンセットを記憶する。パターンセットとは、複数の室内ユニット10a−10iを連動させるための風向パターンの組合せである。複数の室内ユニット10a−10iにパターンセットに基づく制御指令が送信されることにより、各室内ユニットが、定められた風向パターンで制御される。これにより、空調対象空間RMを旋回する空気の流れを生成することができる。ここで、空調対象空間RMを旋回する空気の流れとは、空調対象空間RM内の空気を大きく攪拌させる空気の流れである。具体的には、図8に示すように、空調対象空間RMを旋回する空気の流れ方向(旋回方式)に応じたパターンセットが複数記憶されている。詳細には、室内ユニットIDと、当該室内ユニットIDが付された室内ユニットが実行する風向パターンとが記憶されている。
空調対象空間RM内を旋回する空気の流れは、水平方向の回転をする方式(水平回転)と、垂直方向に回転する方式(垂直回転)との二つに分かれる。
水平回転は、図9に示すように、空調対象空間RMにおいて水平に近い方向(横方向)に回転する空気の流れFFR,FFCを生成する。また、水平回転には、四つの回転方向が含まれる。四つの回転方向とは、具体的には、夏時計回転、夏反時計回転、冬時計回転、および冬反時計回転である。以下、図10A〜図10Dを用いて四つの回転方向について説明する。なお、図10A〜図10Dは、空調対象空間RMを上から見た図である。また、空調対象空間RMには、図10A〜図10Dの紙面左端に示したように、窓WDがあるものとする。
垂直回転は、図11に示すように、空調対象空間RMにおいて垂直に近い方向(縦方向)に回転する空気の流れFXM,FYP,FYM,FXPを生成する。また、垂直回転にも、四つの回転方向が含まれる。四つの回転方向とは、具体的には、X軸+方向回転と、X軸−方向回転と、Y軸+方向回転と、Y軸−方向回転とが含まれる。以下、図12A〜図12Dを用いて四つの回転方向について説明する。なお、図12A〜図12Dもまた、空調対象空間RMを上から見た図である。また、空調対象空間RMには、図12A〜図12Dの紙面左端に示したように、窓WDがあるものとする。
判定条件記憶領域35eには、後述する温度ムラ判定部36bが空調対象空間RM内の温度ムラの状態を判定する際に用いる条件が記憶されている。判定条件記憶領域35eには、具体的には、温度ムラの種類(床温度ムラおよび上下温度ムラ)と、温度ムラがあると判定される温度差とが記憶されている。温度ムラがあると判定される温度差とは、後述する空調機情報取得部36aによって複数の室内ユニット10a−10iから取得されたセンサ値(吸込温度値、床温度値など)の差である。判定条件記憶領域35eでは、センサ値の差が何℃を超える場合に温度ムラと判断するかを定めている。
空調機情報記憶領域35fには、後述する空調機情報取得部36aが室内ユニット10a−10iから取得した運転データが記憶されている。具体的には、図14に示すように、室内ユニットIDに対応する室内ユニットの電源ON/OFF状態、サーモON/OFF状態、運転モード、設定温度、吸込温度、床温度、湿度等が記憶されている。
ムラ解消時間記憶領域35gには、後述する時間計測部36dによって計測された、ムラ解消時間が記憶されている。ムラ解消時間とは、温度ムラが解消するまでの時間である。ムラ解消時間記憶領域35gに記憶されたムラ解消時間は、図15に示すように、各回転方向に関連付けて記憶される(列FF1,FF1参照)。
平均値記憶領域35hには、後述する平均値算出部36eによって算出された平均値が記憶される。平均値記憶領域35hに記憶された平均値もまた、図15に示すように、各回転方向に関連付けて記憶される(列FF2,FF2参照)。
決定パターン記憶領域35iには、後述するパターンセット決定部36fによって決定されたパターンセットが記憶される。決定パターン記憶領域35iに記憶された決定パターンは、図15に示すように、各温度ムラに関連付けて記憶される(列FF3,FF3参照)。
制御部36は、主としてCPU、ROMおよびRAMから構成されており、上述の記憶部35に記憶されているプログラムを読み出して実行する。
空調機情報取得部36aは、室内ユニット10a−10iおよび図示しない室外ユニットから所定の時間間隔で運転データを取得する。ここで、運転データとは、室内ユニット10a−10iの電源のON/OFF、サーモON/OFF、運転モード(冷房モード、暖房モード、送風モード等)、設定温度、吸込温度、床温度、湿度等に関する情報である。空調機情報取得部36aによって取得された運転データは、上述した空調機情報記憶領域35fに記憶されていく(図14参照)。
温度ムラ判定部36bは、上述の空調機情報取得部36aによって取得された運転データと、上述のゾーン情報記憶領域とに基づき、空調対象空間RMの温度ムラの状態を判定する。温度ムラの状態とは、空調対象空間RMにおける温度ムラの有無、および温度ムラがある場合には温度ムラの種類や、温度ムラの場所、温度ムラの程度である。温度ムラ判定部36bは、上述した判定条件記憶領域35eに記憶されている判定条件に基づいて空調対象空間RM内の温度ムラの状態を判定する。本実施形態では、図13に示したように、床温度ムラおよび上下温度ムラに関する条件が判定条件記憶領域35eに記憶されており、温度ムラ判定部36bは、床温度ムラおよび上下温度ムラに関する条件に基づき空調対象空間RMの温度ムラの状態を判定する。
床温度ムラとは、横方向(図2B参照)の温度ムラである。温度ムラ判定部36bは、複数の床温度センサ13c,13c,・・・で検出される人付近(領域BT)の温度に、所定の値を超える温度差が有るか否かで床温度ムラを判定する。所定の値とは、上述した判定条件記憶領域35eに記憶されている値である。例えば、床温度ムラは、複数の室内ユニット10a−10iの床温度センサ13c,13c,・・・で検出された値を比較し、それぞれの差が2℃より大きい場合には、床(横方向)に温度ムラがあると判定される。
上下温度ムラとは、縦方向(図2B参照)の温度ムラである。温度ムラ判定部36bは、所定の床温度センサ13cと所定の吸込温度センサ13aとで検出される温度の差が、所定の値を超えるか否かで上下温度ムラを判断する。所定の値とは、上述した判定条件記憶領域35eに記憶されている値である。例えば、上下温度ムラは、吸込温度センサ13aで検出される値と、床温度センサ13cで検出される値との差が5℃より大きい場合に上下方向(縦方向)に温度ムラがあると判定される。
第1運転処理部36cは、上述の風向パターン記憶領域35cに記憶された風向パターンおよび上述のパターンセット記憶領域35dに記憶されたパターンセットに基づいて、空調対象空間RMに適した温度ムラ解消運転を判定するための処理(第1温度ムラ解消運転)を行う。温度ムラ解消運転とは、室内ユニット10a−10iを連動させ、空調対象空間RMの空気を大きく攪拌して温度ムラを解消するために、空調対象空間RMを旋回する空気の流れを生成させる運転である。第1運転処理部36cは、第1温度ムラ解消運転として、パターンセット記憶領域35dに記憶されているパターンセットに基づいて、室内ユニット10a−10iを制御するための制御指令を生成する。詳細には、第1温度ムラ解消運転では、パターンセット記憶領域35dに記憶された複数のパターンセットのうち、いくつかのパターンセットに基づいた制御指令が生成される。より詳細には、第1運転処理部36cは、室内ユニット10a−10iの運転モード(冷房運転または暖房運転)と、温度ムラ判定部36bによって判定された温度ムラの状態とに応じて、複数のパターンセットのうちのいくつかのパターンセットを実施させる。
時間計測部36dは、温度ムラ解消時間を計測する。詳細には、時間計測部36dは、タイマー部34がカウントする時間に基づいて、上述の第1運転処理部36cによって各パターンセットが開始された後、温度ムラが解消するまでの時間を計測する。時間計測部36dによって計測された時間は、上述したムラ解消時間記憶領域35gに記憶される。なお、ムラ解消時間記憶領域35gに記憶された値は、図15のFF1,FF1に示すように、対応するパターンセットと関連付けて記憶されていく。
平均値算出部36eは、上述の時間計測部36dによって計測された温度ムラ解消時間の平均値を算出する。具体的に、平均値算出部36eは、一つのパターンセットに対して時間計測部36dによって計測された二つの温度ムラ解消時間の平均値を算出する。すなわち、第1運転処理部36cは一つのパターンセットを二回ずつ室内ユニット10a−10iに実施させるため、時間計測部36dは、一つのパターンセットが温度ムラ解消までにかかった時間を二回計測する。したがって、平均値算出部36eは、時間計測部36dによって計測された二回の温度ムラ解消時間の平均値を算出する。平均値算出部36eによって算出された平均値は、上述した平均値記憶領域35hに記憶される。なお、平均値記憶領域35hに記憶された値は、図15のFF2,FF2に示すように、対応するパターンセットと関連付けて記憶されていく。
パターンセット決定部36fは、平均値算出部36eによって算出された平均値に基づいて後述の第2運転処理部36gに実施させるパターンセットを決定する。詳細には、第1運転処理部36cによって実施された、いくつかのパターンセットの平均値のうち、最も小さい値を有するパターンセットを第2運転処理部36gに実施させるパターンセットとして決定する。夏時計回転(回転方向j=1)と、夏反時計回転(回転方向j=2)とが実施された場合について例を挙げると、夏時計回転(回転方向j=1)の平均値が夏反時計回転(回転方向j=2)の平均値より小さかった場合、夏時計回転(回転方向j=1)を第2運転処理部36gに実施させるパターンとして決定する。すなわち、夏時計回転(回転方向j=1)の旋回流を生成する制御を実施した時の方が、夏反時計回転(回転方向j=2)の旋回流を生成する制御を実施した時よりも早く温度ムラが解消しているため、パターンセット決定部36fは、温度ムラが早く解消する回転方向j=1を選択する。パターンセット決定部36fによって決定されたパターンセットは、上述した決定パターン記憶領域35iに記憶される。決定パターン記憶領域35iに記憶されたパターンセットは、図15のFF3,FF3に示すように、各温度ムラの種類に関連付けて記憶されていく。
第2運転処理部36gは、温度ムラ判定部36bによって温度ムラが判定された場合に、決定パターン記憶領域35iに記憶されたパターンセットと、風向パターン記憶領域35cに記憶された風向パターンとに基づいて、空調対象空間RMに適した温度ムラ解消運転(第2温度ムラ解消運転)を行う。温度ムラ解消運転とは、上述したように、室内ユニット10a−10iを連動させ、空調対象空間RMの空気を大きく攪拌して温度ムラを解消するために、空調対象空間RMを旋回する空気の流れを生成させる運転である。第2運転処理部36gは、第2温度ムラ解消運転として、決定パターン記憶領域35iに記憶されたパターンセットに基づいて、室内ユニット10a−10iを制御するための制御指令を生成する。
制御指令送信部36hは、第1運転処理部36cおよび第2運転処理部36gによって生成された制御指令、および入力部33から入力された指令に基づいて、室内ユニット10a−10iに制御指令を送信する。
次に、図16を用いて、温度ムラ解消運転を室内ユニット10a−10iに実施させるための、コントローラ30における処理の流れについて説明する。
次に、図17A〜図18Cを用いて、回転方向決定モードについて説明する。回転方向決定モードとは、上述したように、第2運転処理部36gが第2温度ムラ解消運転に用いるパターンセット(図15の符号FF3、決定回転方向J,K,L,M)を決定するモードである。
(1)
上記実施形態で例に挙げた事務所等の比較的広い室内空間を空調対象空間RMとする場合、空調対象空間RMに温度ムラが生じ易い。そこで、室内に複数の室内ユニット10a−10iを設け、室内ユニット10a−10iのフラップ12a−12dをスイングさせることにより、室内の空気を攪拌させることが考えられる。しかし、室内のレイアウトや窓の位置などによって、十分に温度ムラを解消することが難しい場合がある。また、室内のレイアウトや窓の位置を個別具体的に入力することにより、温度ムラ解消効果を高めることが考えられるが、室内ユニットを部屋に導入するたび、あるいは部屋のレイアウトが変わるたびに、変更された情報を入力するのは煩雑である。
また、上記実施形態に係る空調制御システム100では、図2Bに示すように、水平方向(横方向)および垂直方向(縦方向)の温度ムラを解消するため、コントローラ30に複数のパターンセットが記憶されている。パターンセットは、複数の風向パターンの組合せである。室内ユニット10a−10iは、それぞれに送られる風向パターンに応じてフラップの傾き(開度)を変更する。すなわち、複数の室内ユニット10a−10iを連動制御することにより、空調対象空間RMの中を旋回する大きな空気の流れを生成することができる。これにより、室内の空気を大きく攪拌することができる。この結果、空調対象空間RMに生じた温度ムラを効果的に解消できる。
さらに、上記実施形態に係る空調制御システム100では、コントローラ30が室内ユニット10a−10iに設定されている運転モードに応じたパターンセットを有している。すなわち、コントローラ30は、冷房期と暖房期とで、室内ユニット10a−10iに対して異なる空気の流れを生成させる制御指令を送る。これにより、温度ムラ判定部36bが判定した温度ムラに加えて、季節にも応じた、より効果的な温度ムラ解消運転を行うことができる。
上記実施形態では、温度ムラ判定部36bによって、空調対象空間RMの温度ムラの状態が判定される。温度ムラの状態として、温度ムラの有無、および温度ムラがある場合には温度ムラの種類や、温度ムラの場所、温度ムラの程度が判定され、最も早く温度ムラが解消するパターンセットが選択される。これにより、温度ムラの状態(温度ムラの種類、場所、程度)に応じて最も適したパターンセットを室内ユニットに実行させることができる。
(A)
上記実施形態では、全ての室内ユニット10a−10iに床温度センサ13c,13c,・・・が設置されており、温度ムラ判定部は、全ての床温度センサ13c,13c,・・・から得られた値に基づいて温度ムラを判定していたが、いずれかの室内ユニット10a−10iにのみ床温度センサ13c,13c,・・・がついていてもよい。また、この場合、コントローラ30は、いくつかの床温度センサ13c,13c,・・・から得られる値を用いて他のゾーンZ1〜Z9における床温度を推定する床温度推定部を設けてもよい。これにより、空調制御システム100では、複数台の室内ユニットのうち何台かについては、床温度センサを有さない室内ユニットを代用することもできる。この場合、少なくとも二台の室内ユニットが床温度センサを有していればよい。
判定条件記憶領域35eには、温度ムラの種類として、床温度ムラおよび上下温度ムラを記憶させていたが、これに限られず、その他の温度ムラについての条件を規定していてもよい。例えば、床温度ムラと上下温度ムラの両方が同時に生じている場合や、室内の一箇所のみにムラが生じている場合についての条件を規定してもよい。
上記実施形態では、空調対象空間RM内を水平方向に旋回する空気の流れとして、図10A〜図10Dのような一つの大きな渦となる空気の流れを例に挙げて説明したが、図19の(a)および(b)に示すように、複数の渦となる空気の流れを生成してもよい。具体的には、一の空調対象空間RM内で、同時に複数のパターンセットに基づく制御を行う。例えば、空調対象空間RMを2つの領域に分け、一方の領域では夏時計回転の渦が生成し、他方の領域では夏反時計回転の渦が生成する。これにより、温度ムラ判定部36bによって判定された温度ムラの場所が複数あった場合にも、各場所の温度ムラの状態に応じて、適宜温度ムラを解消することができる。
また、上記実施形態で例に挙げた複数のパターンセットを組み合わせて、複数のパターンセットを含む一つのパターンセットを室内ユニット10a−10iを制御してもよい。
また、上記実施形態では、平均値算出部36eによって算出された平均値が最も小さい値であるパターンセットが、パターンセット決定部36fによって、第2運転処理部36gに実施させる一つのパターンセットが決定された。しかし、パターンセット決定部36fが、平均値算出部36eによって算出された平均値に優先順位をつけ、第2運転処理部36gは、優先順位に基づいて、パターンセットを実施してもよい。具体的には、パターンセット決定部36fが、平均値算出部36eによって算出された平均値の小さい順に高い優先順位をつける。第2運転処理部36gは、まず、最も高い優先順位のパターンセットに基づいて室内ユニット10a−10iの制御を行う。その後、所定時間内に温度ムラが解消されない場合には、次に優先順位が高いパターンセットに基づいて室内ユニット10a−10iの制御を行う。このようにすることで、空調対象空間RMに最も適した温度ムラ解消運転を行うためのパターンセットが一旦決定された後に、空調対象空間RMのレイアウトが変更された場合等にも、最適な温度ムラ解消運転を実施することができる。
上記実施形態では、空調制御システム100によって解消される空調ムラとして、温度ムラを例に挙げて説明したが、空調制御システム100において、温度ムラに代えて、または温度ムラに加えて、湿度ムラ、CO2濃度ムラ、気流速度ムラ、輻射量ムラ、粉塵量ムラ、ホルムアルデヒド量などのムラを解消することもできる。この場合、室内ユニット10a−10iにそれぞれの値を検出するためのセンサを設ける。また、コントローラ30には、各ムラを判定するための判定条件を判定条件記憶領域35eに記憶させる。これにより、空調対象空間RM内における温度ムラに代えて、または温度ムラに加えて、その他のムラを解消する可能性も考えられる。
上記実施形態では、平均値算出部36eによって平均化される温度ムラ解消時間として、「温度ムラが判定されてから温度ムラが解消するまでの時間」が用いられたが、「温度ムラが判定されてから温度ムラが解消するまでの時間」を補正した値を温度ムラ解消時間として用いてもよい。例えば、「温度ムラ解消までにかかった時間」を「解消した温度ムラの温度幅」で割った値、および/または「温度ムラ解消までにかかった時間」を「外気温と設定温度との差」で割った値などを用いてもよい。
上記実施形態では、温度ムラの有無を判定する条件として、「温度差」を記憶させていたが、判定条件はこれに限られない。例えば、所定の温度差が所定回数以上発生している場合、所定の温度差が所定時間(分)以上継続している場合、室内の温度差の平均が所定温度以上である場合等に温度ムラがあると判定してもよい。
上記実施形態では、温度ムラの有無の判定を、空調機情報取得部36aによって取得された運転データに基づいて、温度(瞬時値)の差が所定の閾値を超えるか否かで判定したが、温度ムラの判定は、これに限られるものではない。例えば、温度ムラの判定は、瞬時値ではなく、一定期間の最大値・最小値・移動平均値を比較して、閾値以上の温度ムラが一定時間以上継続した場合に温度ムラと判定するものとしてもよい。
上記実施形態に係る判定条件記憶領域35eには、温度ムラ判定部36bが温度ムラの状態を判定する際に用いる条件として、床温度ムラおよび上下温度ムラが記憶されていた。この条件は、運転モード(冷房運転モードおよび暖房運転モード)に応じて設定されていてもよい。
上記実施形態では、第1運転処理部36cによる第1温度ムラ解消運転により、温度ムラを解消するための最適な回転方向を決定したが、上記方法によらず、最適な回転方向を予め設定しておき、当該設定に基づき制御が行われるように設計されていてもよい。
また、上記実施形態では、温度ムラを解消するために、決定パターン記憶領域35iに記憶されたパターンセットに基づいて、室内ユニット10a−10iを制御した。ここで、決定パターン記憶領域35iに記憶されたパターンセットに基づいて室内ユニット10a−10iを制御しても温度ムラが解消しない場合には、同じパターンセットに基づいた制御を繰り返す。そこで、繰り返した回数をカウントしておき、繰り返した回数が所定の値を超えた場合に、現在の回転方向を、予め優先順位をつけておいた回転方向または新たに決定し直した回転方向に変更するように設計してもよい。
10a−10i 室内ユニット(空調機)
12a−12d 第1フラップ〜第4フラップ(風向変化部材)
13a 吸込温度センサ(第1情報検知部)
13c 床温度センサ(第1情報検知部)
30 コントローラ(制御部)
35d パターンセット記憶領域(傾斜角度対応情報記憶領域)
36b 温度ムラ判定部(空調ムラ把握部)
36f パターンセット決定部(空調ムラ解消最適運転決定部)
36g 第2運転処理部(空調ムラ解消運転部)
RM 空調対象空間
Claims (10)
- 空調対象空間において、室温、湿度、気流速度、輻射量、粉塵量、およびホルムアルデヒド量の少なくともいずれか一つを含む第1情報を取得する第1情報検知部(13a、13c)と、
前記第1情報検知部が取得した前記第1情報に基づき、前記空調対象空間における空調ムラを把握する空調ムラ把握部(36b)と、
調和空気の吹き出し方向を変化させる風向変化部材(12a〜12d)と、
前記空調ムラ把握部が把握した空調ムラに基づいて、空調ムラを解消するような調和空気の吹き出し方向で空調運転を実行する空調ムラ解消最適運転を決定する空調ムラ解消最適運転決定部(36f)と、
前記空調ムラ解消運転決定部が決定した空調ムラ解消最適運転を実行する空調ムラ解消運転部(36g)と、
を備える空気調和機。 - 前記第1情報検知部は、前記空調対象空間における、少なくとも3ヶ所の前記第1情報を取得し、
前記空調ムラ把握部は、少なくとも2つ以上の異なる空調ムラを把握する、
請求項1に記載の空気調和機。 - 前記風向変化部材の傾斜角度の情報を、前記風向変化部材と対応づける傾斜角度対応情報を記憶する、傾斜角度対応情報記憶領域(35d)を更に有し、
前記空調ムラ解消最適運転決定部は、前記空調ムラ把握部が把握した空調ムラと、前記傾斜角度対応情報記憶領域に記憶された前記傾斜角度対応情報と、空調運転モードとに基づいて、前記空調ムラ解消最適運転を決定する、
請求項1または2に記載の空気調和機。 - 調和空気の吹き出し方向を変化させる風向変化部材(12a〜12d)を内部に有し、空調対象空間に設置された複数の室内機(10a〜10i)と、
前記空調対象空間において室温、湿度、気流速度、輻射量、粉塵量、およびホルムアルデヒド量の少なくともいずれか一つを含む第1情報を取得する第1情報検知部(13a、13c)と、
各前記室内機を制御し、前記空調対象空間における空調ムラを解消させる制御部(30)と、
を備えた空調制御システム(100)であって、
前記制御部は、
前記第1情報検知部が取得した前記第1情報に基づき、前記空調対象空間における空調ムラを把握する空調ムラ把握部(36b)と、
前記空調ムラ把握部が把握した空調ムラに基づいて、各前記室内機の風向変化部材を制御し、空調ムラを解消するように、調和空気の吹き出し方向を制御することで、空調ムラ解消最適運転を決定する空調ムラ解消最適運転決定部(36f)と、
前記空調ムラ解消運転決定部が決定した、空調ムラ解消最適運転を実行する空調ムラ解消運転部(36g)と、
を有する空調制御システム(100)。 - 前記第1情報検知部は、前記空調対象空間における、少なくとも3ヶ所の前記第1情報を取得し、
前記空調ムラ把握部は、少なくとも2つ以上の異なる空調ムラを把握する、
請求項4に記載の空調制御システム。 - 前記第1情報検知部は、前記空調対象空間の第1位置、第2位置、及び第3位置における前記第1情報を取得し、
前記空調ムラ把握部は、前記第1情報検知部が取得した、前記対象空間の第1位置、第2位置、及び第3位置における前記第1情報に基づいて前記空調対象空間における水平方向の空調ムラ、及び垂直方向の空調ムラを把握する、
請求項5に記載の空調制御システム。 - 前記制御部は、各前記室内機が有する前記風向変化部材の傾斜角度の情報を、各前記室内機が有する前記風向変化部材と対応づける複数の傾斜角度対応情報を記憶する、傾斜角度対応情報記憶領域(35d)を更に有し、
前記空調ムラ解消最適運転決定部は、前記空調ムラ把握部が把握した前記空調ムラと、前記傾斜角度対応情報記憶領域に複数記憶された、前記傾斜角度対応情報とに基づいて、各前記室内機が有する前記風向変化部材の傾斜角度を制御することで、調和空気の吹き出し方向を制御し、前記空調ムラ解消最適運転を決定する、
請求項4から6のいずれかに記載の空気制御システム。 - 前記傾斜角度対応情報記憶領域は、空調ムラを解消するような、第1旋回空気流、及び第2旋回空気流を含むそれぞれ異なる旋回方向に旋回する複数の旋回空気流を生成する複数の前記傾斜角度対応情報を記憶する、
請求項7に記載の空調制御システム。 - 前記第1旋回空気流は、水平に近い方向に旋回し、
前記第2旋回空気流は、垂直に近い方向に旋回するような、
請求項8に記載の空調制御システム。 - 前記空調ムラ解消最適運転決定部は、前記室内機の空調運転モードを取得し、取得した空調運転モードに基づいて、前記空調ムラ解消最適運転を決定する、
請求項4から9のいずれかに記載の空調制御システム。
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