JP2011111627A - 真空脱ガス炉の浸漬管 - Google Patents

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【課題】真空脱ガス炉用浸漬管の下端側の耐火物の熱衝撃に起因する亀裂の発生を抑制し、浸漬管の寿命を向上させることを目的とする。
【解決手段】円筒形状をなす芯金20と、芯金20の内周、外周及び下端を耐火物で被覆してなる真空脱ガス炉の浸漬管1において、浸漬管1のうち、少なくとも溶鋼に浸漬される部位である下筒部32の不定形耐火物321がMgO−C質レンガよりなり、MgO−C質レンガは、MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、MgOを75〜95重量部、Cを3〜9重量部、Alを0〜0.5重量部含有し、更にSi、SiC及びBCから選ばれる一種あるいは二種以上の金属を1〜16重量部含有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、溶鋼に浸漬される真空脱ガス炉用浸漬管に関する。
従来、真空脱ガス処理は、真空槽の下端に浸漬管を備えた真空脱ガス炉を用い、浸漬管から真空槽内に溶鋼を吸い上げて真空と接触させ、溶鋼の脱ガス(脱炭)を行うようにしている。図6、7は、真空脱ガス炉の浸漬管の従来の構造を示すものであり、この浸漬管100は、上部にフランジ110をもつ円筒形状をなす芯金120と、芯金120の内周に定形耐火物(レンガ)によって形成された内筒部131と、芯金120の外周及び下端に不定形耐火物によって形成された外筒部132とにより構成されている。そして、真空脱ガス処理を行う場合には、溶湯炉300の溶鋼中に浸漬管100を浸漬し、この浸漬管100を通して溶鋼を真空槽200内に吸い上げ、一方の浸漬管100の内周からアルゴンガスを吹き込み、その浮上力によって溶鋼を循環させて、連続的に溶鋼の脱ガスを行っている。
このような従来の真空脱ガス炉の浸漬管100は、溶鋼に繰り返し浸漬されるため、溶鋼と接触する浸漬管100の特に下端側は、使用期間が長期化すると芯金120を被覆する耐火物に熱衝撃に起因する亀裂が発生し、浸漬管100の外筒部132の下端側の一部が脱落することが間々ある。そして、このような厳しい熱条件に耐え得る耐火物として、耐スポーリング性に優れるMgO−C質レンガ(マグネシア−カーボン質レンガ)の適用が試みられている。
MgO−C質レンガは、MgO質レンガ(マグネシア質レンガ)に、炭素(C)を配合することによって、レンガの熱伝導度を向上させ、レンガの熱と接触する表面とその内部との温度差を狭めて、耐スポーリング性を向上させたレンガである。そして、マグネシア−カーボン質レンガには、Cの気相酸化による消失を抑制するために、酸化防止剤として、Al、Si、SiC、BCなどの金属が添加される場合がある。
例えば、特許文献1には、MgOを主要構成成分として、重量%でCを10〜30%、SiCを1〜6%含有するMgO−C質レンガを浸漬管の耐火物として使用することが記載されている。また、特許文献2には、MgOを主要構成成分として、重量%でCを2〜15%、Al、Si、Al合金、Si合金から選ばれる一種あるいは二種以上の金属を3〜12%含有するMgO−C質レンガを浸漬管の耐火物として使用することが記載されている。
特開平3−208862号公報 特開2000−1375号公報
特許文献1に記載のMgO−C質レンガは、多くのCを含有しているため、耐スポーリング性が向上しているものの、MgO−C質レンガ中のCが溶鋼中の酸素(O)と反応してCO又はCOとなる気相酸化によって劣化するとともに、CO又はCOの発生が溶鋼の脱炭を妨げて、極低炭素鋼の溶製を阻害するという問題があった。
また、このようなCの酸化を防止するために、特許文献2に記載のように、酸化防止剤として酸化防止効果に優れるAlを多く含有させると、Alが酸化することによって生成されるAl(酸化アルミニウム)によって、MgO−C質レンガが膨張し、これにより、MgO−C質レンガの高弾性率化を招いて、MgO−C質レンガの耐スポーリング性が損なわれるという問題があった。
本発明は、上記した問題に鑑みてなされたものであり、真空脱ガス炉用浸漬管の下端側の耐火物の熱衝撃に起因する亀裂の発生を抑制し、浸漬管の寿命を向上させることを目的とする。
上記課題を解決するために本発明者は真空脱ガス炉の浸漬管について検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
本発明に係る真空脱ガス炉の浸漬管は、円筒形状をなす芯金と、該芯金の内周、外周及び下端を耐火物で被覆してなる真空脱ガス炉の浸漬管において、前記浸漬管のうち、少なくとも溶鋼に浸漬される部位の前記耐火物がMgO−C質レンガよりなり、前記MgO−C質レンガは、該MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、MgOを75〜95重量部、Cを3〜9重量部、Alを0〜0.5重量部含有し、更にSi、SiC及びBCから選ばれる一種あるいは二種以上の金属を1〜16重量部含有することを特徴とする。
上記本発明の真空脱ガス炉の浸漬管において、好ましくは、前記MgO−C質レンガは、該MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、Siを0.5〜5重量部、SiCを0.5〜8重量部、BCを0〜3重量部含有する。
上記本発明の真空脱ガス炉の浸漬管において、好ましくは、前記MgO−C質レンガは、Alを含有していない。
浸漬管の下端側の耐火物の熱衝撃に起因する亀裂の発生を抑制するためには、耐火物は、低膨張率、低残存膨張率、及び高耐スポーリング性である必要がある。
本発明の構成によれば、少なくとも溶鋼に浸漬される部位の耐火物がMgO−C質レンガよりなり、このMgO−C質レンガは、MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、Cを3〜9重量部含有している。これにより、耐火物は、浸漬管の使用環境(熱条件)に適した、低膨張率、低残存膨張率、及び高耐スポーリング性を有するものとなる。
なお、Cの含有率が3重量部よりも少なければ、耐火物の耐スポーリング性は著しく低下し、熱衝撃によって耐火物に亀裂が発生する。耐火物の表面に亀裂が発生すれば、Cの気相酸化がますます激しくなり、徐々に亀裂が耐火物の内部まで延びて、やがて耐火物の欠け、脱落などが発生する。一方、Cの含有率が9重量部よりも多ければ、耐火物の耐スポーリング性は向上するものの、前述のとおり、CO又はCOの発生が溶鋼の脱炭を妨げて、極低炭素鋼の溶製を阻害する。
また、本発明の構成によれば、MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、Alを0〜0.5重量部含有している。Alを含有させないことがより好ましい。Alの含有が少ないことによって、前述のような、Alの生成による、耐火物の高弾性率化を防ぐことが可能となり、耐火物は、浸漬管の使用環境(熱条件)に適した、高耐スポーリング性を有するものとなる。
以上のように、本発明によれば、真空脱ガス炉用浸漬管の下端側の耐火物の熱衝撃に起因する亀裂の発生を抑制し、浸漬管の寿命を向上させることができる。
本実施形態の真空脱ガス炉の浸漬管の平面図である。 図1に示した真空脱ガス炉の浸漬管のA−A線断面図である。 本実施形態の真空脱ガス炉の浸漬管の下筒部を形成する定形耐火物の構造を説明する説明図であって、(a)は定形耐火物の平面図、(b)は定形耐火物の側面図を示している。 残存膨張率測定試験の概要を説明する説明図である。 実施例及び比較例の弾性率の保持率を示すグラフである。 浸漬管を備えた真空脱ガス炉を模式的に示した断面図である。 従来の浸漬管の断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳しく説明する。本発明の実施形態の真空脱ガス炉の浸漬管(以下、浸漬管とする)を模式的に図1〜図3に示す。図1は、浸漬管の平面図である。図2は、浸漬管のA−A線断面図である。図3は、浸漬管の下筒部を形成する定形耐火物の構造を説明する説明図であって、図3(a)は定形耐火物の平面図、図3(b)は定形耐火物の側面図を示している。
この浸漬管1は、図1、2に示すように、フランジ10と、芯金20と、上筒部31と下筒部32とを備えた円筒部30と、から構成され、円筒部30には、スタッド40が埋設されている。
フランジ10は、剛性を備えたリング状の金属部材であり、芯金20の外周上端側に溶接によって連結されている。
芯金20は、板状の金属板を円筒状に形成したものであり、芯金20の内周、外周及び下端を覆う円筒部30が形成されている。また、芯金20は、大径鋼管を切断して筒状に形成したものでも良い。
円筒部30は、芯金20の内周及び外周の上半分を覆う上筒部31と、上筒部31の下方であって芯金20の内周及び外周の下半分、及び芯金20の下端を覆う下筒部32とにより一体的に形成されている。そして、円筒部30は、図2に示すように、内周側の直径W1が約700mm、壁Wの厚さ約400mmであり、上筒部31と下筒部32との内周面によって形成される円筒部30の内周面が、溶湯通路となっている。
上筒部31は、芯金20の内周及び外周の上半分を覆うように、不定形耐火物により形成され、上筒部31の下方には、下筒部32が形成される。上筒部31は、例えば、ハイアルミナ−マグネシア系の流し込み(キャスタブル)材であり、大略Alが9割、MgOが1割の組成であり、微量の流動性調整材、発熱調整材と共に結合材として高アルミナセメントを含み、スチールファイバーは外掛けで添加するものを使用することができる。そして、上筒部31の内部には、後述するスタッド40が下筒部32の内部に跨って埋設されている。
下筒部32は、上筒部31の下方にあって、芯金20の内周及び外周の下半分、及び芯金20の下端を覆い、下筒部32の上端は、上筒部31の下端と密接し、一体的に形成されている。詳細には、下筒部32は、塩基性耐火物で形成された複数の定形耐火物321を周方向に全周に亘って配置して形成され、リング状の凹部321aに芯金20の下半分を収容している。そして、凹部321aには、上筒部31が形成される際に不定形耐火物の一部が充填される。また、下筒部32の内部には、後述するスタッド40が埋設されている。
定形耐火物321は、図3に示すように上面視で台形状をなしており、先細側が内径側になるように周方向に連結することでリング状の下筒部32を形成する。また、上面には、上面メタルケース(金属プレートにV字の切り込みを入れて頂点を起こして爪を形成したもの)321bが、形成された爪を定形耐火物321に埋め込んだ状態で固定されており、アングルを介して芯金20に溶接されている。さらに、側面には、側面メタルケース321cが、形成された爪を定形耐火物321に埋め込んだ状態で固定されている。
定形耐火物321は、プレス成形によって一体形成される。プレス成形する際、型枠内の所定の位置に、後述するスタッド40、上面メタルケース321b及び側面メタルケース321cを配置することで、スタッド40が定形耐火物321に埋め込まれ、上面メタルケース321b及び側面メタルケース321cの爪が定形耐火物321に埋め込まれる。
定形耐火物321の材質は、高耐食性で耐スポーリング性に優れたMgO−C質レンガからなり、MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、MgOを75〜95重量部、Cを3〜9重量部、Alを0〜0.5重量部含有し、更にSi、SiC及びBCから選ばれる一種あるいは二種以上の金属を1〜16重量部含有する。好ましくは、Siを0.5〜5重量部、SiCを0.5〜8重量部、BCを0〜3重量部含有する。また、好ましくは、Alを含有しない。
スタッド40は、V字またはY字形状を呈する部材であり、長手方向に上部スタッド40aと下部スタッド40bとに分割されており、これらがナット40cによって連結され、円筒部30の上筒部31と下筒部32との内部に跨って芯金20の内周と外周に埋設されている。また、上部スタッド40aの端部の数カ所は、芯金20に溶接されている。スタッド40を用いることにより、円筒部30を支持補強し、耐火物に亀裂が発生した際に、耐火物の脱落を抑制することができる。
次に、上記の定形耐火物321を用いて本実施形態の浸漬管1を作製する方法を説明する。
(成形工程)
先ず、例えば、電融マグネシア(MgO)の粗粒、中粒、微粉と天然黒鉛(C)及び酸化防止剤(Al、Si、SiC及びBCから選ばれる一種あるいは二種以上)を混合してフェノール樹脂を加えて混練する。次いで、その混練物を短辺側金型、長辺側金型及び下型で形成されるキャビティーに充填する。なお、充填する前に、キャビティーの所定の位置に側面メタルケース321cを配置する。また、混練物を所定の位置まで充填した後にスタッド40の下部スタッド40b及びナット40cを配置して更に混練物を充填する。その後、上面メタルケース321bを載せて上型を下降させ加圧成形する。本実施形態ではフリクションプレスを用いたが、油圧プレスを使用してもかまわない。
(加工工程)
次に、型枠から成形体を取り出し、所定の加熱処理を行った後、凹部321aを機械加工で形成して図3に示す定形耐火物321を得る。
(セッティング工程)
次に、複数の定形耐火物321を周方向にリング状に配置して、隣り合う定形耐火物321の側面メタルケース321c同士を溶接し、凹部321aに芯金20を所定の深さまで挿入する。次いで、上面メタルケース321bと芯金20とをアングルを介して溶接する。また、上部スタッド40aと、下部スタッド40bとを、ナット40cを介して連結し、上部スタッド40aの端部の数カ所を芯金20に溶接する。
(鋳込み工程)
次に、定形耐火物321で形成された下筒部32の外周面と内周面に型枠(不図示)を配置し、不定形耐火物を下筒部32の上に充填し、芯金20の上半分および上部スタッド40aが埋設され、上筒部31が形成される。これにより、図1、2に示す浸漬管1となる。
本実施形態の構成によれば、溶鋼に浸漬される部位である下筒部32を構成する定形耐火物321がMgO−C質レンガよりなり、このMgO−C質レンガは、MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、Cを3〜9重量部含有している。これにより、耐火物は、浸漬管の使用環境(熱条件)に適した、低膨張率、低残存膨張率、及び高耐スポーリング性を有するものとなる。
なお、Cの含有率が3重量部よりも少なければ、耐火物の耐スポーリング性は著しく低下し、熱衝撃によって耐火物に亀裂が発生する。耐火物の表面に亀裂が発生すれば、Cの気相酸化がますます激しくなり、徐々に亀裂が耐火物の内部まで延びて、やがて耐火物の欠け、脱落などが発生する。一方、Cの含有率が9重量部よりも多ければ、耐火物の耐スポーリング性は向上するものの、CO又はCOの発生が溶鋼の脱炭を妨げて、極低炭素鋼の溶製を阻害する。
また、本実施形態の構成によれば、MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、Alを0〜0.5重量部含有している。Alの含有が少ない、より好ましくは、Alを含有させないことによって、Alの生成による、耐火物の高弾性率化を防ぐことが可能となり、耐火物は、浸漬管の使用環境(熱条件)に適した、高耐スポーリング性を有するものとなる。
以上のように、本実施形態によれば、真空脱ガス炉用浸漬管の下端側の耐火物の熱衝撃に起因する亀裂の発生を抑制し、浸漬管の寿命を向上させることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは云うまでもない。
例えば、定形耐火物321に、側面メタルケース321cを配置せずに、各定形耐火物321の各隙間(目地)に、MgO質あるいはMgO−Cr質のモルタルを接合材として充填することができる。また、このモルタルの充填を施さず空目地施工とすることもできる。
実施例として、本発明の組成よりなる試験体を試作し、その特性を残存膨張率及び弾性率により評価した。実施例及び比較例のMgO−C質レンガの配合割合は表1に示すとおりである。表1に示す成分に対して結合剤としてフェノール樹脂を加えて混練し、その混練物を型枠に充填した後、成形体を型枠から取り出して、所定の加熱処理を行うことによって各試験体を作成した。なお、本発明における耐火物の配合割合は、以下の実施例により限定されるものではない。
表1には、加熱・冷却の繰り返し回数が5回となった時点における残存膨張率、及び加熱・冷却の繰り返しにより劣化が十分に進行した時点における弾性率の保持率を併せて示している。
Figure 2011111627
(残存膨張率の評価)
実施例1、2、比較例1及び2の残存膨張率を比較した。残存膨張率測定試験の概要を図4に示す。残存膨張率測定試験は、20×20×120mmの試験体を、電気炉で温度1500℃で5時間加熱し、その後、試験体の温度が常温になるまで放冷し、その後、試験体の長さを測定する行程を1サイクルとして、このサイクルを繰り返し行う試験である。なお、電気炉による加熱は、試験体の酸化による膨張及び収縮を防止するために、試験体をコークスブリーズに詰めて還元雰囲気下で行った。
試験体の初期長さをL0(=120mm)、冷却後の長さをL2とすると、残存膨張率(%)=(L2−L0)/L0×100で定義される。加熱・冷却の繰り返し回数を5回までとして、残存膨張率の測定を行った。
加熱・冷却の繰返しにともない試験体に残留ひずみが蓄積して残存膨張率が徐々に大きくなる。加熱・冷却の繰り返し回数が5回となった時点における残存膨張率は、表1に示すとおり、実施例1で1.0%、実施例2で0.8%、比較例1で2.1%、比較例2で1.8%であった。
すなわち、加熱・冷却の繰り返し回数5回において、実施例1及び2の残存膨張率は、比較例1及び2の残存膨張率の半分程度である。したがって、実施例1及び2は、比較例1及び2に対して、残存膨張率の大きな改善が認められた。
(弾性率の評価)
実施例1、2、比較例1及び2の耐スポーリング性を比較するために、加熱・冷却の繰り返しに対する弾性率の変化を測定した。試験方法は次のとおりである。40×40×160mmの試験体を、温度1600℃の溶銑に1分間浸漬した後、10秒間水冷し、その後、試験体の温度が常温になるまで放冷した後、曲げ共振法(JISR1605)により試験体の共振周波数を測定した。この行程を1サイクルとして、このサイクルを最大15回繰り返し行った。
共振周波数と弾性率(動的弾性率)とは相関があるため、共振周波数から弾性率を算出することができる。加熱・冷却の繰り返し後に試験体の共振周波数を複数回測定して、試験体の共振周波数がほぼ一定値に収まる場合には、試験体は健全な弾性を維持していると判定して、共振周波数から弾性率を算出した。また、試験体の共振周波数が一定値に収まらなくなりバラツキが大きくなった場合には、試験体の弾性が損なわれたと判定して、試験終了とした。
実施例1、2、比較例1及び2の弾性率の保持率は、図5のグラフに示すとおりである。グラフの縦軸は弾性率の保持率、横軸は加熱・冷却の繰り返し回数である。弾性率の保持率とは、初期の弾性率E’に対する、加熱・冷却をx回繰り返した後の弾性率E’の比率であり、弾性率の保持率=E’/E’×100(%)である。
比較例1では、加熱・冷却の繰り返しにともない弾性率の保持率が急速に低下し、加熱・冷却の繰り返し回数2回で試験が終了となった。また、比較例2では、加熱・冷却の繰り返し回数6回で試験が終了となった。
一方、実施例1及び2では、加熱・冷却の1回の繰り返しにより弾性率の保持率が急速に低下するものの、加熱・冷却の繰り返し回数が2回以上になると、弾性率の保持率の低下が緩やかとなり、実施例1では、加熱・冷却の繰り返し回数が15回になっても、試験体は健全な弾性を維持していた。また、実施例2では、加熱・冷却の繰り返し回数13回まで試験を実施することが可能であった。
この結果より、実施例1及び2は、比較例1及び2と比較すると、より多くの加熱・冷却の繰り返し回数に対して、健全な弾性を維持できることがわかった。すなわち、実施例1及び2は、比較例1及び2に対して、耐スポーリング性の大きな向上が認められた。
真空脱ガス炉用浸漬管の下端側の耐火物の熱衝撃に起因する亀裂の発生を抑制し、浸漬管の寿命を向上させることができるため経済的である。また、耐火物中のCが気相酸化されにくいため、溶鋼の脱炭を妨げることがなく、極低炭素鋼の溶製が可能となる。
1:浸漬管 10:フランジ 20:芯金 30:円筒部(耐火物) 31:上筒部 32:下筒部 40:スタッド 40a:上部スタッド 40b:下部スタッド 40c:ナット 321:定形耐火物(MgO−C質レンガ) 321a:凹部 321b:上面メタルケース 321c:側面メタルケース

Claims (3)

  1. 円筒形状をなす芯金と、該芯金の内周、外周及び下端を耐火物で被覆してなる真空脱ガス炉の浸漬管において、
    前記浸漬管のうち、少なくとも溶鋼に浸漬される部位の前記耐火物がMgO−C質レンガよりなり、
    前記MgO−C質レンガは、該MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、MgOを75〜95重量部、Cを3〜9重量部、Alを0〜0.5重量部含有し、更にSi、SiC及びBCから選ばれる一種あるいは二種以上の金属を1〜16重量部含有することを特徴とする真空脱ガス炉の浸漬管。
  2. 前記MgO−C質レンガは、該MgO−C質レンガ全体を100重量部としたときに、Siを0.5〜5重量部、SiCを0.5〜8重量部、BCを0〜3重量部含有することを特徴とする請求項1に記載の真空脱ガス炉の浸漬管。
  3. 前記MgO−C質レンガは、Alを含有していないことを特徴とする請求項1又は2に記載の真空脱ガス炉の浸漬管。
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