JP4676927B2 - 溶融金属処理用浸漬管及びその製造方法並びに真空脱ガス方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属の脱ガス処理を行う脱ガス装置の真空槽に取り付けられる溶融金属処理用浸漬管及びその製造方法並びにその浸漬管を用いた真空脱ガス方法に関するものである。
金属材料の高純度化や高級化にともない、その精錬工程で溶融金属から不純物ガスを除去するために真空脱ガス処理が行われる。RH真空脱ガス装置及びDH真空脱ガス装置が代表的である。これら真空脱ガス装置においては、真空槽の下部に浸漬管が設けられ、浸漬管の下端開口部を溶融金属中に浸漬した後に真空槽内を減圧し、溶融金属を真空槽中に吸い上げて窒素や水素などのガス成分を除去するものである。DH脱ガス装置では浸漬管を1本、RH脱ガス装置では浸漬管を2本配置する。
RH真空脱ガス装置を適用した溶鋼の真空脱ガスについて、図6に基づいて説明する。
RH真空脱ガス装置の真空槽3の下部には、2本の浸漬管5が配設される。一方が上昇浸漬管5a、他方が下降浸漬管5bである。これら浸漬管5を取鍋1内の溶鋼2に浸漬し、次いで真空槽3の上部に設けられる排気ダクト4から真空槽3のガスを吸引して真空槽内を減圧する。真空槽内が減圧されることによって、取鍋内の溶鋼2が真空槽内に吸い上げられる。
上昇浸漬管5aの内周部には不活性ガス吹き込みノズル6が設けられており、上昇浸漬管5a内の溶鋼に不活性ガスが吹き込まれる。その結果、上昇浸漬管5a内の溶鋼の比重が下降浸漬管5b内の溶鋼と比較して相対的に減少するので、上昇浸漬管内の溶鋼が上昇し、下降浸漬管内の溶鋼が下降を開始する。その結果、取鍋1内の溶鋼が上昇浸漬管5aから真空槽3内へそして下降浸漬管5bを通して取鍋1内へと循環するようになる。真空槽内の溶鋼表面は減圧雰囲気に接触するので、ここで溶鋼中のガス成分が減圧雰囲気中に移動し、脱ガスが行われる。溶鋼が循環する間に真空槽内で脱ガスが行われ、取鍋内の溶鋼中のガス成分が除去される。
図4、5には、従来の浸漬管5の構造を模式的に断面図で示す。浸漬管を上昇浸漬管として用いる場合には、浸漬管の内周側に不活性ガスの吹き込みノズルが配置されるが、ここでは不活性ガスの吹き込みノズルは図示を省略している。浸漬管の肉厚中央部には芯金8と呼ばれる金属製の円筒を配置する。芯金8の内周側について、図4では耐火れんが9を配置し、図5では不定形耐火物10bを配置している。芯金の外周側については、図4、5ともに不定形耐火物10aを配置している。これら耐火物は、芯金8に設置された耐火物受け金物やスタッドによって保持されている。芯金8は浸漬管5を構成する耐火物を安定して保持し、真空槽内に外気が侵入するのを防ぐ重要な役割を担っており、芯金8の変形は極力防止しなければならない。
溶鋼の真空精錬を行うときは、上昇浸漬管5aと下降浸漬管5bはともに溶鋼2に浸漬され、浸漬管5の内周側を溶鋼が流通し、浸漬管5の外周側はその大部分が取鍋内の溶鋼と接している。従って真空脱ガスの操業中は、上昇浸漬管下降浸漬管ともに高温にさらされている。一方、真空脱ガスが終了すると、真空槽は溶鋼と接触しなくなるので、これらの浸漬管は冷却される。
このようにして上昇浸漬管と下降浸漬管との加熱と冷却が繰り返される結果として、浸漬管5の内部に埋設された芯金8は膨張と収縮に起因する熱応力を受けるため、図4、5に示すように、芯金8はその下方先端部がラッパ状に変形する。芯金の変形は、周囲の耐火物に亀裂7を生じさせ、亀裂7に溶鋼やスラグが浸入することにより侵食されて次第に拡大していき、耐火物の剥離を招く。即ち、芯金8の変形は、浸漬管5の耐用性が悪化する原因になり、芯金8の変形を防止する技術が種々検討されてきた。
特許文献1には、浸漬管の芯金として第1芯金とその外側に第2芯金を配設し、第1芯金と第2芯金との隙間に充填用不定形耐火物を充填したものが開示されている。充填用不定形耐火物には、成形用不定形耐火物と同材料のものあるいは異材料のものが使用されている。具体的にはAl23を89〜90質量%及びMgOを7〜8質量%含有する不定形耐火物、Al23を90〜95質量%含有する不定形耐火物が使用されている。このように二重構造の芯金を採用し、その隙間に充填用不定形耐火物を充填することによって補強効果を高め、浸漬管の耐用性を向上し、寿命を大幅に延長できるとしている。
特許文献2、3には、外側円筒鉄板、内側円筒鉄板及び底板からなり、内部に冷却ガスを流す芯金を内蔵し、その周囲を耐火物で覆った構造の浸漬管が開示されている。特許文献2に記載のものは、外周円筒鉄板と内周円筒鉄板との間隙部に金属板を介挿し、介挿金属板への輻射伝熱及び介挿金属板からの対流伝熱により冷却を向上させるとしている。特許文献3に記載のものは、外側円筒鉄板及び/又は内側円筒鉄板の冷却ガスの流路側の側面に、鉛直方向に伸延したフィンを複数個設けることにより、芯金の伝熱面積が広がり、その冷却能力が高まるとしている。
RH真空脱ガス処理を行う品種の中には、溶鋼中の窒素濃度を極めて低いレベルとすべき品種がある。一方、RH真空脱ガスにおいて、真空槽中の溶融金属に大気が浸入すると、大気中の窒素が溶融金属中に移行し、溶融金属中の窒素濃度が増大することとなる。RH真空脱ガス装置の浸漬管においては、耐火物を経由して大気圧の外気が減圧された真空槽内に浸入する経路がある。浸漬管は芯金の外周側耐火物と内周側耐火物とが、芯金下方の底部耐火物で連結されているため、これら耐火物を経由して空気が真空槽内に浸入する。
特許文献4には、芯金の外周面に芯金を周回するガス溜まりを耐火物に埋設させて設け、このガス溜まりから不活性ガスを耐火物中に吹き出す浸漬管が開示されている。また特許文献5には、芯金の外側かつ溶鋼湯面より下方に位置させた円弧状の複数通気性耐火物に窒素ガスを供給する浸漬管が開示されている。これにより、浸漬管の浸漬耐火物を経路とした空気の溶鋼中への侵入を阻止することができるとしている。
特開2005−325392号公報 特開昭61−253318号公報 特開2004−256881号公報 実開昭62−136556号公報 特開2005−200696号公報
特許文献1に記載の方法では、二重構造の芯金の隙間に充填用不定形耐火物を充填することにより、確かに浸漬管の寿命が延びるものの、充填用不定形耐火物が十分でないため、完全に芯金の変形を抑えることができず、その変形に伴う浸漬管の亀裂や剥離を防止できない。
特許文献2、3に記載の方法では、芯金の冷却能を付与させたものであるが、芯金自体の構造体強度が十分ではなく、芯金の変形を防止することができず、芯金の変形に伴い耐火物に亀裂が発生し、激しい場合は剥離に至り、浸漬管の耐用性を十分に向上させることができない。
本発明は、溶融金属の脱ガス処理を行う脱ガス装置の真空槽に取り付けられる溶融金属処理用浸漬管について、耐用性を向上させ、寿命を大幅に延長することのできる浸漬管及びその製造方法並びに真空脱ガス方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)溶融金属の脱ガス処理を行う脱ガス装置の真空槽に取り付けられる溶融金属処理用浸漬管5であって、浸漬管5の芯金8は内側円筒鉄板8aと外側円筒鉄板8bの二重管形状であり、芯金8の内外周及び底部に耐火れんが9若しくは不定形耐火物10を配置し、芯金8の外側円筒鉄板8bと内側円筒鉄板8aの間隙部11に不定形耐火物を充填し(以下「充填不定形耐火物13」という。)、充填不定形耐火物13は見掛け気孔率が30%以下であり、充填不定形耐火物13の曲げ強度が5MPa以上であり、芯金8の間隙部11に冷却ガスを流すためのガス導入管14を配設したことを特徴とする溶融金属処理用浸漬管。
(2)充填不定形耐火物13の原料として最大粒径2mm以下の耐火物を用いてなることを特徴とする上記(1)に記載の溶融金属処理用浸漬管。
(3)RH真空脱ガス装置の浸漬管であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の溶融金属処理用浸漬管。
(4)溶融金属の脱ガス処理を行う脱ガス装置の真空槽に取り付けられる溶融金属処理用浸漬管の製造方法であって、浸漬管5の芯金8は内側円筒鉄板8aと外側円筒鉄板8bの二重管形状であり、芯金8の内外周及び底部に耐火れんが9若しくは不定形耐火物10を配置し、芯金8の外側円筒鉄板8bと内側円筒鉄板8aの間隙部11に最大粒径2mm以下の不定形耐火物を充填し(以下「充填不定形耐火物13」という。)、充填不定形耐火物13の見掛け気孔率を30%以下とし、充填不定形耐火物13の曲げ強度が5MPa以上であり、芯金8の間隙部11に冷却ガスを流すためのガス導入管14を配設したことを特徴とする溶融金属処理用浸漬管の製造方法。
(5)浸漬管5がRH真空脱ガス装置の浸漬管であることを特徴とする上記(4)に記載の溶融金属処理用浸漬管の製造方法。
(6)RH真空脱ガス装置を用いた真空脱ガス方法であって、上記(3)に記載の溶融金属処理用浸漬管を用い、ガス導入管14から芯金8の間隙部11に不活性ガスを供給しつつ真空脱ガスを行うことを特徴とする真空脱ガス方法。
本発明は、溶融金属の脱ガス処理を行う脱ガス装置の真空槽に取り付けられる溶融金属処理用浸漬管について、浸漬管の芯金を二重管形状とし、芯金の外側円筒鉄板と内側円筒鉄板の間隙部に、見掛け気孔率が30%以下、曲げ強度が5MPa以上の不定形耐火物を充填し、芯金の間隙部に冷却ガスを流すことより、耐用性を向上させ、寿命を大幅に延長することができる。しかも、浸漬管耐火物内を通って真空槽内へ空気が侵入するのを防ぐ。
図1、2に本発明の浸漬管の例を模式的に断面図で示す。
RH真空脱ガス装置に用いられる浸漬管、DH真空脱ガス装置に用いられる浸漬管のいずれも、基本的な構造は同じである。図6に示すように、RH真空脱ガス装置の上昇浸漬管5aについては、浸漬管内周から不活性ガスを吹き込むための不活性ガス吹き込みノズル6が配置されている。ただし図1、2には不活性ガス吹き込みノズルを図示しない。以下、RH真空脱ガス装置の上昇浸漬管、下降浸漬管、DH真空脱ガス装置の浸漬管を区別せずに説明する。
本発明の浸漬管5は、その上部に配置したフランジ12において真空槽3と結合される。芯金8を構成する内側円筒鉄板8aと外側円筒鉄板8bはともにフランジ12に接合され、両者は二重管形状をなす。芯金8の内外周及び底部に耐火れんが9若しくは不定形耐火物10を配置する。図1の例では、芯金8の内周側に耐火れんが9を配置し、芯金の外周に外周側不定形耐火物10a、底部に底部不定形耐火物10cを配置している。図2の例では、芯金の内外周及び底部のいずれも不定形耐火物10を配置している。
芯金8となる内側円筒鉄板8aと外側円筒鉄板8bは、いずれも耐熱性に優れた金属(例えば炭素鋼、ステンレス鋼など)を使用するのが好ましい。これら円筒鉄板の厚みは浸漬管の直径により決定されるが、10〜20mmの厚みのものが使用される。また必要に応じて耐火物を保持するためにスタッドやれんが押さえ金物を溶接にて取り付けたものを使用する。
内側円筒鉄板8aと外側円筒鉄板8bとの間の間隙部11は、芯金の構造体強度をより高めるために広くすることが好ましい。一方、浸漬管5の全体肉厚には制約があり、また芯金の外周側耐火物及び内周側耐火物の肉厚はそれぞれ使用時の溶損に対応して必要な肉厚を確保する必要がある。そのため、内側円筒鉄板8aと外側円筒鉄板8bとの間隙も制約を受け、具体的には10〜40mmの範囲にすることが好ましい。
芯金8の構造体強度をより高めるために、浸漬管5の下端側について、外側円筒鉄板8bと内側円筒鉄板8aの端部同士を鋼部材で溶接により互いに固定することも可能である。鋼部材としては丸鋼を用いることができる。
本発明では、芯金の外側円筒鉄板8bと内側円筒鉄板8aの間隙部11に不定形耐火物を充填する。この不定形耐火物を「充填不定形耐火物13」という。
特許文献1に記載のものは、浸漬管の芯金として第1芯金とその外側に第2芯金を配設し、第1芯金と第2芯金との隙間に充填用不定形耐火物を充填しているものの、芯金の変形を完全に防止できず、浸漬管の耐用性を十分に向上させることができなかった。特に、亀裂への溶鋼差しやスラグ浸潤が大きい問題であった。
不定形耐火物として、通常は最大粒径が2mmを超える粒度分布の耐火物が用いられる。特許文献1に記載のものは使用する不定形耐火物の粒度分布を指定していない。特許文献1に記載のものが通常用いられる粒径分布の不定形耐火物を第1芯金と第2芯金との隙間に充填したとすると、充填した耐火物の見掛け気孔率が40%程度と高い見掛け気孔率になっていたものと考えられる。特許文献1に記載の浸漬管の寿命が十分に延びなかった理由は、このように充填不定形耐火物の見掛け気孔率が高すぎるためであることが明らかになった。
そこで本発明においては、充填不定形耐火物13の見掛け気孔率を30%以下と緻密な構造の耐火物としたところ、芯金8の構造体としての強度を向上することができ、浸漬管5の寿命を向上する上で大きな効果を発揮することができた。充填不定形耐火物13の見掛け気孔率は、JIS R 2205(耐火れんがの見掛け気孔率、吸水率及び比重の測定方法)に規定されている方法で測定した。
二重管形状であって間隙部11の間隔が10〜40mm程度の狭い間隔であり、このような隙間に不定形耐火物を充填して見掛け気孔率30%以下を確保するためには、使用する不定形耐火物の最大粒径を2mm以下とすることが有効である。
また、芯金8の構造体強度を確保する上では、充填不定形耐火物13の曲げ強度を5MPa以上とすることが必要であることを明らかにした。充填不定形耐火物13の曲げ強度測定は、40×40×160mmの型枠内に充填不定形耐火物を施工したものを試験片とした。そしてこの試験片をJIS R2553(キャスタブル耐火物の曲げ試験方法)に規定されている三点曲げ試験方法により測定した。
通常に使用される不定形耐火物(最大粒径が2mmを超える)を芯金の間隙部11に充填して成形したときの曲げ強度は、せいぜい3〜4MPa程度である。見掛け気孔率が30%を超え、充填不定形耐火物13の緻密さが不十分だからである。曲げ強度を5MPa以上とするためには、最大粒径が2mm以下の不定形耐火物を用い、見掛け気孔率が30%以下になるように緻密に充填すればよい。
充填不定形耐火物13を施工するに際しては、最大粒径2mm以下の耐火物原料を任意の水で混練し、混練物を施工する。施工方法は特に限定はしないが、流し込み工法やスタンプ工法により施工することができる。耐火物原料は特に限定されないが、アルミナ、マグネシア、スピネルなどの原料から構成されており、アルミナを80〜90質量%含有する不定形耐火物を使用することができる。
本発明の浸漬管5はさらに、芯金8の間隙部11に冷却ガスを流すためのガス導入管14を配設し、ガス導入管14から芯金の間隙部11に不活性ガスを供給しつつ真空脱ガスを行うことを特徴とする。ガス導入管14は、フランジ近くから浸漬管に配設し、内側円筒鉄板8aと外側円筒鉄板8bとの間隙に不活性ガスを供給する。
特許文献2、3に記載の浸漬管も、芯金を構成する外側円筒鉄板と内側円筒鉄板との間に冷却ガスを流す。しかし特許文献2、3に記載のものは、外側円筒鉄板と内側円筒鉄板との間に不定形耐火物を充填していないので、芯金構造体としての強度を十分に確保することができず、そのため芯金を冷却しているにもかかわらず、芯金の変形を防止することができず、芯金の変形に伴い耐火物に亀裂が発生し、激しい場合は剥離に至り、浸漬管の耐用性を十分に向上させることができなかった。
そもそも、二重管構造の芯金の間隙部に冷却用のガスを流す場合において、間隙部を不定形耐火物で充填したのでは、冷却するに十分な量のガスを流すことが不可能であると考えられていた。本発明のように充填不定形耐火物の見掛け気孔率が30%以下となるように緻密に充填した場合にはなおさらである。ところが、見掛け気孔率が30%以下であっても充填不定形耐火物中に気孔は存在する。また浸漬管を溶融金属の脱ガスに使用することによって受ける加熱冷却により、図3(b)に示すように、外側及び内側円筒鉄板と充填不定形耐火物との間には隙間16が生じる。さらに図3(c)に示すように、充填不定形耐火物13中に亀裂15が発生することもある。これら気孔や隙間16、亀裂15を介して、芯金の上端付近から二重管構造の間隙部11に吹き込んだ不活性ガスは、充填不定形耐火物13の間をガス流れ17として移動し、芯金8の下端から浸漬管の底部を構成する耐火物中に伝搬し、最終的に浸漬管の外に放出されることがわかった。そして、二重管構造の芯金の間隙部11に冷却用のガスを流すことによって、浸漬管の寿命が改善されることが確認され、そのことから冷却ガスによる冷却効果が確かに効いていることが明らかである。
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、二重管構造の芯金8の間隙部11に不定形耐火物を充填した上でさらに内部空間に不活性ガスを流し、不定形耐火物充填による芯金構造体強度の向上と、ガスを流すことによる冷却効果で真空脱ガス処理中の芯金の温度を低下させることの相乗効果により、芯金の変形防止効果を飛躍的に向上することができ、浸漬管の耐用性を大幅に向上することに成功した。
従来、特許文献1に記載のように二重管構造の芯金の内部空間に不定形耐火物を充填したのみでは、耐溶損性や耐浸潤性が十分でなく、浸漬管の耐用性を十分に向上させることができない。特に、亀裂への溶鋼差しやスラグ浸潤が大きい問題であった。これに対し、本発明で二重管構造の芯金の内部空間に冷却用のガスを流した結果として、気孔や亀裂への溶鋼やスラグの浸入を防止することができるという効果をも発揮する。
使用する不活性ガスとしては、Arガスを用いると好ましい。また不活性ガスの流量は、使用する不定形耐火物の見掛け気孔率や浸漬管の形状により決定され、特に限定するものではない。芯金の直径が1070mm、内側円筒鉄板と外側円筒鉄板との間隙が16mm程度のRH真空脱ガス装置の浸漬管の場合、流量を0.5〜3Nm3/min程度とすることができる。
ガス導入管14から芯金8の間隙部11に導入された不活性ガスは、芯金8の下端部から浸漬管の底部耐火物中に導入される。そのため、浸漬管5の芯金外周側耐火物の大気接触部から大気が浸入したとしても、底部耐火物中に充満した不活性ガスによって行く手を阻まれ、芯金の内周側耐火物まで到達することができない。そのため、大気中の窒素が減圧部の溶鋼にまで到達しないので、真空脱ガス中における溶鋼の吸窒を防止することができる。特許文献4、5に記載のような、真空脱ガス処理中の吸窒防止のための特別な機構を設ける必要がないので、安価に極低窒素鋼を溶製することが可能となる。
本発明の浸漬管5は、RH真空脱ガス装置の浸漬管である場合に効果を発揮することができる。現在、溶鋼の真空脱ガス装置としてRH真空脱ガス装置は最も多く使用されているからである。
本発明の溶融金属の脱ガス処理を行う脱ガス装置の真空槽に取り付けられる溶融金属処理用浸漬管の製造方法は、浸漬管5の芯金8は内側円筒鉄板8aと外側円筒鉄板8bの二重管形状であり、芯金8の内外周及び底部に耐火れんが9若しくは不定形耐火物10を配置し、芯金8の外側円筒鉄板8bと内側円筒鉄板8aの間隙部11に最大粒径2mm以下の不定形耐火物を充填し、充填不定形耐火物13の見掛け気孔率を30%以下とし、充填不定形耐火物13の曲げ強度が5MPa以上とし、芯金8の間隙部11に冷却ガスを流すためのガス導入管14を配設することにより、上述のとおりの効果を発揮することができる。
ここにおいても、RH真空脱ガス装置の浸漬管である場合に効果を発揮することができる。
本発明のRH真空脱ガス装置を用いた真空脱ガス方法においては、上記本発明の溶融金属処理用浸漬管5を用い、ガス導入管14から芯金の間隙部11に不活性ガスを供給しつつ真空脱ガスを行うことにより、浸漬管5の寿命を大幅に向上するとともに、真空脱ガス処理中における大気からの窒素浸入を防止し、極低窒素鋼の溶製を可能にする。
300トンの溶鋼を真空脱ガス処理するためのRH真空脱ガス装置の浸漬管において、図1に示す形状の浸漬管5を用い、本発明を適用した。浸漬管の外径は1370mm、内径は750mm、長さは750mmである。芯金8の直径は1070mm、長さは520mmである。
芯金8を二重管構造とした本発明例及び比較例では、外側円筒鉄板8b及び内側円筒鉄板8aの厚みを12mm、両者の間隙を16mmとした。従来例は、厚み12mmの単管構造の芯金とした。芯金の内周側耐火物としてマグネシア−カーボンれんがを用い、芯金の外周及び底部の耐火物としてアルミナ−スピネル不定形耐火物を施工した。
本発明例及び比較例では、二重管構造の芯金の間隙部11に不定形耐火物を充填した。充填不定形耐火物13の化学成分、最大粒径を表1に示す。施工方法としては、振動流し込み工法を採用した。充填後の不定形耐火物の物性を測定するために、16×16×16mm型枠内に施工し、これを試料とした。見掛け気孔率をJIS R 2205(耐火れんがの見掛け気孔率、吸水率及び比重の測定方法)によって測定し、曲げ強度をJIS R2553(キャスタブル耐火物の曲げ試験方法)に規定されている三点曲げ試験方法により測定した。使用時の温度における物性を調査するために、1500℃×3hr焼成後の物性を測定した。
測定結果を表1に示す。本発明例1〜4は、いずれも充填不定形耐火物13として最大粒径2mm以下の耐火物を使用したため、見掛け気孔率は30%以下であり、曲げ強度も5MPa以上であった。比較例1、2は、充填不定形耐火物原料として最大粒径が2mmを超える耐火物を使用したため、見掛け気孔率が30%を超え、曲げ強度も5MPaに満たなかった。比較例3は最大粒径10.0mmの不定形耐火物を原料としたため、芯金の間隙部内に充填することができなかった。
Figure 0004676927
本発明例及び比較例では、浸漬管5のフランジ12付近にガス導入管14を配設し、芯金の間隙部11にArガスを流した。Arガス流量を3Nm3/minとした。
表1の本発明例1〜4、比較例1、2、従来例1に示す浸漬管を用い、RH真空脱ガス装置によって溶鋼の真空脱ガス処理を行った。何らかの理由で浸漬管の寿命が到来するまでの使用ヒート数をカウントした。各実施例の浸漬管の寿命、及び寿命に至った理由を表1に示す。
本発明例1〜4は、いずれも浸漬管寿命が150チャージを超え、良好な寿命を実現することができた。寿命要因はいずれも浸漬管外周の耐火物自然溶損によるものであった。
比較例1、2及び従来例1は、浸漬管の下端部で耐火物が剥離し、70チャージ以下の短い寿命であった。いずれも、芯金の変形が見られた。
本発明の浸漬管を示す断面図である。 本発明の浸漬管を示す断面図である。 芯金の間隙部の充填不定形耐火物の状況を示す図であり、(a)は充填直後の状況、(b)は内側・外側円筒鉄板と充填不定形耐火物との間に隙間が生じた状況、(c)は充填不定形耐火物に亀裂が生じた状況を示す図である。 浸漬管を構成する耐火物に亀裂が生じた状況を示す断面図である。 浸漬管を構成する耐火物に亀裂が生じた状況を示す断面図である。 RH真空脱ガス装置の全体を示す概略断面図である。
符号の説明
1 取鍋
2 溶鋼
3 真空槽
4 排気ダクト
5 浸漬管
5a 上昇浸漬管
5b 下降浸漬管
6 不活性ガス吹き込みノズル
7 亀裂
8 芯金
8a 内側円筒鉄板
8b 外側円筒鉄板
9 耐火れんが
10 不定形耐火物
10a 外周側不定形耐火物
10b 内周側不定形耐火物
10c 底部不定形耐火物
11 間隙部
12 フランジ
13 充填不定形耐火物
14 ガス導入管
15 亀裂
16 隙間
17 ガス流れ

Claims (6)

  1. 溶融金属の脱ガス処理を行う脱ガス装置の真空槽に取り付けられる溶融金属処理用浸漬管であって、浸漬管の芯金は内側円筒鉄板と外側円筒鉄板の二重管形状であり、芯金の内外周及び底部に耐火れんが若しくは不定形耐火物を配置し、芯金の外側円筒鉄板と内側円筒鉄板の間隙部に不定形耐火物を充填し(以下「充填不定形耐火物」という。)、該充填不定形耐火物は見掛け気孔率が30%以下であり、該充填不定形耐火物の曲げ強度が5MPa以上であり、芯金の間隙部に冷却ガスを流すためのガス導入管を配設したことを特徴とする溶融金属処理用浸漬管。
  2. 前記充填不定形耐火物の原料として最大粒径2mm以下の耐火物を用いてなることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属処理用浸漬管。
  3. RH真空脱ガス装置の浸漬管であることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶融金属処理用浸漬管。
  4. 溶融金属の脱ガス処理を行う脱ガス装置の真空槽に取り付けられる溶融金属処理用浸漬管の製造方法であって、浸漬管の芯金は内側円筒鉄板と外側円筒鉄板の二重管形状であり、芯金の内外周及び底部に耐火れんが若しくは不定形耐火物を配置し、芯金の外側円筒鉄板と内側円筒鉄板の間隙部に最大粒径2mm以下の不定形耐火物を充填し(以下「充填不定形耐火物」という。)、該充填不定形耐火物の見掛け気孔率を30%以下とし、該充填不定形耐火物の曲げ強度が5MPa以上であり、芯金の間隙部に冷却ガスを流すためのガス導入管を配設したことを特徴とする溶融金属処理用浸漬管の製造方法。
  5. 前記浸漬管がRH真空脱ガス装置の浸漬管であることを特徴とする請求項4に記載の溶融金属処理用浸漬管の製造方法。
  6. RH真空脱ガス装置を用いた真空脱ガス方法であって、請求項3に記載の溶融金属処理用浸漬管を用い、ガス導入管から芯金の間隙部に不活性ガスを供給しつつ真空脱ガスを行うことを特徴とする真空脱ガス方法。
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