JP2011111434A - 皮膚機能改善剤及びそれを含む飲食品 - Google Patents

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圭彦 得字
Hatsumi Kobayashi
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Abstract

【課題】乾燥肌における皮膚細胞の水分損失と異常増殖を防ぐ皮膚機能改善手段を提供すること。
【解決手段】コラーゲンを経口摂取することにより皮膚のアクアポリン遺伝子の発現を調節することができ、皮膚細胞からの水分損失を抑え、細胞の状態を健全に保つことができる。また、角化細胞の分化・増殖に関する遺伝子の発現が調節され、細胞の状態を正常化し、皺形成を抑制することができる。コラーゲンとしては、可溶化コラーゲン、コラーゲンペプチド等が好ましく、水生生物由来、特に鮭由来のコラーゲンが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、皮膚アクアポリン(水チャネル)発現と角化細胞の分化増殖に作用する皮膚機能改善剤及びそれを含む飲食品に関する。
皮膚は角質層に適度な水分(20〜30%)が含まれ、皮膚の柔らかさを生み出している。また、外環境からの刺激や障害から生体を保護し、免疫性を高め、アレルギー反応を抑制する重要な機能を有している。
しかしながら、乾燥、冷気などの外的要因や老化、血行不良、個人の体質、体調の変化といった内的要因によって角質の水分含量が減少し、皮膚の乾燥状態(乾燥肌)を引き起こす。
乾燥肌では細胞が角質化・剥離して皮膚のキメが粗くなり美観を損なうだけでなく、刺激に対して敏感になり、掻痒感を引き起こす。衣服の繊維の引っ掛かりや、薬や化粧がしみるなど、日常生活に支障をきたす。
さらに乾燥肌が悪化しバリア機能が損なわれ抗原が侵入しやすくなると、アレルギー反応を起こしてアトピー性皮膚炎に移行してしまう場合もある。アトピー性皮膚炎の症状は、強い掻痒感を伴って湿疹が出るもので、重症患者になると慢性的にじくじくした状態が続くようになる。また、これらの症状は外観に現れてしまうために精神的な苦痛を伴うことも多い。
皮膚水分量を調節する水チャネルとしてアクアポリン(Aquaporin:以下AQPと略す)と呼ばれる膜貫通タンパクが知られている。
ヒトでは11種類のアクアポリン遺伝子が確認されており、中でもアクアポリン3、アクアポリン5、アクアポリン9遺伝子は皮膚表皮で発現することが培養細胞やモデル皮膚の実験で報告されている。また、アクアポリン3遺伝子欠損マウスの皮膚では、角層水分量、皮膚粘弾性、バリア機能回復の低下が認められ、アクアポリン3が皮膚物性及び皮膚生理機能に深く関与していることが示されている(非特許文献1)。
これらの知見に基づき、アクアポリンの産生促進は皮膚の乾燥を抑え、バリア機能を強化するという考えから、様々なアクアポリン産生促進剤が提案されている(特許文献1〜3)が、顕著な効果を有するものは未だ得られていない。
また一方で、アトピー性皮膚炎患者の病変部においてアクアポリン3が過剰に発現しているという報告があり、アクアポリンの産生促進が乾燥肌に効果的であるとは一概に言えず、むしろアクアポリンの発現を適正に保ち、水分を透過させすぎないことが有効であるという可能性が示された(非特許文献2)。
特開2004−168732号公報 特開2005−343882号公報 特開2006−290873号公報
Ma T, Hara M, Sougrat R, Verbavatz JM, Verkman AS, J Biol Chem, May 10;277(19):17147-53,(2002) Olsson M, Allergy, Sep;61(9):1132-7,(2006)
皮膚細胞からの水分の損失が増大すると乾燥肌となり細胞が角質化・剥離し、炎症を起こして掻痒感を引き起こす。また、角化細胞が異常増殖して皮膚表面に皺を形成する。
乾燥肌に悩む人は老若男女問わず多く、症状も軽度なものから重度なものまで個人差がある。脂質の減少が乾燥肌の原因の一つともされているが、最近では、皮脂は足りているのに水分量が少ないため乾燥するといった肌質を持つ人も少なくない。乾燥肌では、皮膚細胞からの水分損失が増加し、細胞が角質化・剥離し、炎症を起こして掻痒感を引き起こす。また、角化細胞が異常増殖して皮膚表面に皺を形成する。皮膚機能がこのように細胞の水分損失により悪化するのを防ぐために、日常において誰でも無理なく、皮膚機能改善効果を享受できる方法や物質が強く求められている。
したがって、本発明は、乾燥肌における皮膚細胞の水分損失と異常増殖を防ぐ皮膚機能改善手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、乾燥肌を実験的に誘発させたマウスにおける皮膚の遺伝子発現をDNAマイクロアレイ法によって研究し、乾燥肌ではアクアポリン遺伝子AQP3、AQP5、AQP8、AQP9の発現が亢進されていること、アクアポリンの発現を抑えることにより細胞からの水分損失を抑えられることを見出した。そして、コラーゲンを経口投与することにより皮膚においてアクアポリンの発現が低下すること、その発現低下により細胞からの水分損失を抑え、乾燥肌にかかわる皮膚機能が改善されることを見出した。
また、コラーゲンペプチド投与マウスの皮膚では、角化細胞分化に関わるスモールプロリンリッチタンパク質(Sprr1b、Sprr2a、Sprr2d、Sprr2h)や角化細胞の増殖に関わる上皮細胞成長因子であるエピレグリン(EREG)やサイクリン依存性キナーゼCDK2の発現が抑制されることを確認し、コラーゲンを経口投与することにより角化細胞の分化増殖が正常化し、それにより肌水分を保持し、皺形成を抑制することを見出した。本発明は、これらの知見に基づき完成し得たものである。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
[1]コラーゲンを有効成分として含む、肌のアクアポリン遺伝子(AQP)の発現量を調節する皮膚機能改善剤。
[2]更にセラミドとビタミンCを含む前記1に記載の改善剤。
[3]アクアポリン遺伝子が、アクアポリン3、アクアポリン5、アクアポリン8及び/またはアクアポリン9である前記1または2に記載の改善剤。
[4]角化細胞の異常増殖を抑制する前記1〜3のいずれかに記載の改善剤。
[5]角化細胞の異常増殖の抑制が、スモールプロリンリッチタンパク質(Sprr1b、Sprr2a、Sprr2d、Sprr2h)、エピレグリン(EREG)及び/またはサイクリン依存性キナーゼCDK2の発現量調節により行われる前記4に記載の改善剤。
[6]コラーゲンが、可溶化コラーゲン及びコラーゲンペプチドの少なくとも1種である前記1〜5のいずれかに記載の改善剤。
[7]コラーゲンが、水生動物由来である前記1〜6のいずれかに記載の改善剤。
[8]水生動物が、鮭である前記7に記載の改善剤。
[9]1回あたりのコラーゲンの経口による摂取量が体重1kgあたり1〜250mgである前記1〜8のいずれかに記載の改善剤。
[10]前記1〜10のいずれかに記載の改善剤を含む飲食品。
[11]皮膚機能の改善のために用いる旨の表示をした前記11に記載の飲食品。
本発明の皮膚機能改善剤によれば、皮膚におけるアクアポリンの発現量を調節することができ、その結果、皮膚細胞の水分量が調節され、細胞の状態を健全に保つことができる。また、本発明の皮膚機能改善剤によれば、角化細胞の分化・増殖に関する遺伝子の発現量が調節され、細胞の状態を正常化し、皺形成を抑制することができる。
本発明の皮膚機能改善剤は、以上の様に作用機序が明確で安心な剤であり、飲食品としても摂取することができるため、日常において誰でも無理なく、乾燥肌の予防や改善が行える。
実施例1のマイクロアレイによるアクアポリンの発現解析の結果。 実施例1の角化細胞の分化・増殖に関わる遺伝子群のマイクロアレイ解析結果。 実施例1で肌水分を経時的に測定した結果。 実施例1の試験終了後のマウスの背部皮膚を撮影した顕微鏡写真。 実施例1の試験終了後のマウス皮膚組織を染色した顕微鏡写真。
本発明で用いられるコラーゲンとしては、コラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチドのいずれでも良いが、コラーゲンペプチドが好ましい。なお、本明細書でコラーゲンは、未変性のコラーゲン、可溶化コラーゲン、ゼラチン、コラーゲンペプチドのいずれをも含む。
本発明で用いられるコラーゲンの原料由来は陸上動物性及び水生動物性のいずれでも構わない。陸上動物性としては、豚、鶏、牛等由来のものが挙げられる。水性動物性としては、海水性(海洋性)、淡水性のいずれでもよく、例えば、鮭、カツオ、マグロ、カジキ、タラ、アジ、サバ、マス、サンマ、ウナギ、テラピア、サメ、エイ、フグ、ブリ、カサゴ、メバル等が挙げられ、鮭等が好ましい。
本発明では、上記水生動物性コラーゲンのアミノ酸配列に由来する化学的特徴やBSE等の安全に関する低リスク性を考慮すると、水生動物性、特に魚類のコラーゲンを利用することが好ましい。さらに好ましくは、昨今の消費者の食に対する安全性に対する要求に鑑み、由来(トレーサビリティ)の確かな天然の食用魚の食用部分を利用したものであり、製品安全性の観点から本発明の食品には、天然可食魚の可食部分、例えば、天然鮭真皮から製造したコラーゲンペプチドを用いることが特に好ましい。
魚類コラーゲンのアミノ酸配列は特徴的なグリシンやプロリンを除いて、高等脊椎動物のものと異なることが知られ、魚類コラーゲンを用いて調製したペプチドは、高等脊椎動物と異なった分解物が得られ、さらなる機能性が存在すると考えられる。
天然鮭真皮から本発明で使用できるコラーゲンペプチドを製造する方法としては、例えば、鮭の身と皮を分別し、皮からコラーゲンをゼラチンとして抽出し、固形分を分離した後、精製及び濃縮し、得られた濃縮液をタンパク質加水分解酵素を用いて分解することによりコラーゲンペプチドを得ることができる。
本発明で用いるコラーゲンペプチドの平均分子量(数平均分子量)は、1000〜10000であり、好ましくは1200〜8000である。平均分子量は、クロマトグラフィー法により測定でき、例えばゲルろ過クロマトグラフィー法が採用される。
本発明で用いるコラーゲンは、後述する実施例からも明らかなように、乾燥肌における皮膚の水分損失を抑制し、皺形成を抑制する効果を有することから、乾燥肌に基づく疾病、症状、病態を予防、改善する飲食品、特定保健用飲食品、健康飲料、健康食品、栄養食品、機能性食品として用いることができる。
有効成分としてのコラーゲンの配合量は、使用目的、摂取者の年齢、摂取方法などに応じて適宜定めればよいが、通常、1回あたりのコラーゲンの摂取量は、体重1kgあたり1〜250mgが好ましく、20〜150mgがさらに好ましい。また、一日あたりのコラーゲンの摂取量については体重1kgあたり250mg以下が好ましく、20〜150mgがさらに好ましい。本発明の有効成分であるコラーゲンペプチドの一日あたりの摂取量は、多すぎても効果が得にくく、適切な量の範囲内で摂取することが好ましい。
本有効成分は、そのまま経口摂取したり、他の食品ないし食品成分と併用したりして適宜常法に従って使用できる。他に併用する成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、セラミド、ヒアルロン酸、エラスチンが挙げられる。本発明にかかる食品は、固体状(粉末、顆粒状その他)、ペースト状、液状ないし懸濁状のいずれでもよいが、ビスケットなどの固形状、ゼリー状とするか、甘味料、酸味料、ビタミン剤その他ドリンク製造に常用される各種成分を用いて、健康ドリンクとすることもできる。
薬剤として使用する場合、本有効成分は、種々の形態で投与されるが、好ましくは錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等として経口投与する。これらの各種製剤は、常法に従って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化することができる。
本発明の効果、好ましい実施様態については具体的に実施例により説明するが、下記の実施例は、本発明をより具体的に説明するものであり、本発明を限定するものではない。
参考例1:コラーゲンペプチドの調製
原料には国内産のシロ鮭(学名:Oncorhynchus keta)の真皮を用いた。
国内産のシロ鮭(学名:Oncorhynchus keta)の身と皮を分別し、短冊状とした皮を十分洗浄し、コラーゲン抽出用原料とした。本原料は水分75%程度、コラーゲン15〜20%程度、ウロコその他の成分を5〜10%程度からなる。
本原料500kgを2000L容抽出槽に入れて水を満たし、撹拌しながら約1時間で70〜80℃まで加温し、4〜5時間ゼラチンを加熱抽出した。抽出液を外部に取り、同様の抽出操作を4〜5回繰り返した後、固形分を分離したものをゼラチン抽出液とした。このゼラチン抽出液を活性炭槽、イオン交換樹脂槽を通して精製して、さらに真空濃縮して、屈折率による固形物濃度(ブリックス)30%前後の精製ゼラチン濃縮液を得た。得られた濃縮液を55℃で、プロテアーゼ(天野エンザイム株式会社製プロチンSD−PC10F(力価90000PU/g以上);0.3g/L)を用いて5時間分解処理し、80℃に加温して酵素を失活させ、コラーゲンペプチド溶液を得た。さらに殺菌および噴霧乾燥を行い、コラーゲンペプチド粉末を得た。
得られた粉末のアミノ酸組成分析(6N HCl 24時間加水分解後、ニンヒドリン法で自動分析。使用機器:日本電子JLC/500V)した結果は表1の通りである。
得られた粉末の栄養成分は、全窒素15%以上、油脂分0.3%以下、灰分1.0%以下である。それぞれケルダール法、ソックスレー法、直接灰化法により測定した。
実施例1:コラーゲンペプチドのアトピー様乾燥肌誘導マウス皮膚への効果確認
参考例1で製造したコラーゲンペプチドを用い、マウスに経口投与した際の皮膚における遺伝子発現及び形態的の変化を調べることで、コラーゲンペプチドの皮膚に対する作用を明らかにすることを目的に以下の検討を行った。
[方法]
6週齢ヘアレス(Hos:HR1)系統雄マウスを1週間馴化飼育した後(体重約25g)、
・普通食(MRストック、日本農産工業)及びカゼイン分解物を投与する群(普通食)、・マグネシウムの量を減らした乾燥肌誘導食及びカゼイン分解物を投与する群(乾燥肌(対象))、
・マグネシウムの量を減らした乾燥肌誘導食及びコラーゲンペプチド(1mg/day)を投与する群(コラーゲン1mg/day)、及び
・マグネシウムの量を減らした乾燥肌誘導食及びコラーゲンペプチド(5mg/day)を投与する群(コラーゲン5mg/day)
に分け、48日間経口用ゾンデで毎日投与し、週ごとに肌水分をモイスチャーチェッカー(スカラ)で測定した。
48日間の投与試験終了後、24時間絶食させ、解剖を行い、背部皮膚の写真を実体顕微鏡で撮影した。また背部皮膚を採取してRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ解析(アフィメトリクス)で遺伝子発現を比較した。
また、マウス皮膚組織を染色し、顕微鏡で観察した。
マグネシウムの量を減らした乾燥肌誘導食(Fujii et al. 2005, Exp.Dermatol. 14:460)は日本農産製HR-ADを用い、自由摂食させた。
[結果と考察]
図3にマイクロアレイによるアクアポリンの発現解析の結果を示す。
乾燥肌誘導群では、アクアポリン遺伝子AQP3,AQP5,AQP8,AQP9の発現が普通食の群と比べて、著しく増加していることがわかる。このことは、乾燥肌を誘導した群の皮膚ではアクアポリンが増加し、水の出入りが激しい状態にあり、容易に水分が出て行ける状態にあることを示す。一方、コラーゲンペプチド投与群のなかでも1mg/dayの群では乾燥肌誘導時のアクアポリン遺伝子AQP3,AQP5,AQP8,AQP9の発現増加を抑制することがわかる。これはコラーゲンを経口投与することにより皮膚細胞の水分損失を抑制できる可能性を示す。5mg/dayの群では1mg/dayの群に比べて発現抑制の程度は小さかった。このことは、アクアポリンの発現抑制には適切な量のコラーゲンを経口摂取しなければならないことを示す。
図4に角化細胞の分化・増殖に関わる遺伝子群のマイクロアレイ解析結果を示す。
乾燥肌誘導群では、角化細胞の分化時に発現するスモールプロリンリッチタンパク質遺伝子Sprr1b、Sprr2a、Sprr2d、Sprr2hの発現が普通食の群と比べて、著しく増加していることがわかる。また、角化細胞の増殖に関わるエピレグリン(EREG)やサイクリン依存性キナーゼCDK2遺伝子の発現が乾燥肌誘導群で亢進していた。このことは、乾燥肌を誘導した群では角化細胞の分化・増殖が盛んに起こっていることを示す。一方、コラーゲンペプチド投与群では乾燥肌誘導時のSprr1b、Sprr2a、Sprr2d、Sprr2h、EREGやCDK2遺伝子の発現亢進も抑制されている。これはコラーゲンを経口投与することにより乾燥肌における角化細胞の異常分化・増殖を抑制できる可能性を示す。
図5に肌水分を経時的に測定した結果を示す。
4週目まではどの群も同程度の肌水分であったが、乾燥肌誘導群では5週目から6週目にかけて肌水分の顕著な低下が見られた。コラーゲン投与群では5週目から6週目にかけて水分低下は抑制されており、とくに1mg/dayの群では6週目に水分低下が抑制される傾向が見られた。
アクアポリンの発現パターンと肌水分測定結果を考え合わせると、コラーゲン経口投与によりアクアポリンの発現を低下させ、細胞外への水分損失を抑制することで、肌水分が保たれることが示される。
図6に試験終了後のマウスの背部皮膚を撮影した顕微鏡写真を示す。コラーゲンを投与したマウスの皮膚では、乾燥肌を誘導したときに形成される皺が少なくなっていることがわかる。これは角質細胞の異常分化・増殖が抑えられている結果と考えられる。
以上のように、コラーゲンペプチドを経口投与すると乾燥肌を誘導するような条件下でも、より正常な皮膚機能を維持できることが明らかになった。
図7に、マウス皮膚組織を染色した顕微鏡写真を示す。皮膚組織を4%パラホルムアルデヒド−PBSで一晩4℃で固定し、エタノールシリーズで脱水後、t−ブチルアルコールに置換し、その後パラフィンに置換・包埋し、ミクロトームで10μMの厚さに切った切片を脱パラフィンした後、ヘマトキシリン−エオシンで染色を行った。
図5に示すように、通常の組織(Normal)に比べて、乾燥肌を誘導したAD群では、表皮層が厚く、角質表面がけば立っていることが観察された。一方、乾燥肌を誘導してコラーゲンを1mg/日/個体で投与した群(AD−Col)では表皮細胞の層が薄く、角質表面のけば立ちも少なかった。このことから、コラーゲンの経口摂取により乾燥肌における角化細胞の異常な増殖が抑えられることが示された。
実施例2:コラーゲンペプチド含有皮膚機能改善剤例
下記組成に基づき、常法に従って1錠200mgの錠剤を製造した。
実施例3:コラーゲンペプチド含有皮膚機能改善剤の効果確認
実施例2で得られた錠剤をヒトに経口投与し、乾燥肌改善効果を検討した。
[方法]
日常的に乾燥肌を訴える女性被験者(年齢:28歳〜52歳、体重:39〜68kg)28名を2群に分け、試験区には、コラーゲンペプチドの錠剤を、プラセボ区にはコラーゲンペプチドを小麦粉に置き換えた錠剤を、それぞれ1回10錠、1日2回(1日あたりコラーゲンペプチド2.0g相当、29.4〜51.3mg/kg・day)を水と共に服用させ、2ヶ月間摂取させた。
効果について1ヶ月後及び2ヶ月後にヒアリング調査を行った。乾燥肌の改善評価を、「改善した」、「やや改善した」、「変わらない」、「やや悪化した」、「悪化した」の5段階で評価した。
[結果と考察]
結果を表4に示す。
表3より、試験区の被検者はプラセボ区に比べ、乾燥肌が改善したと感じた人が有意に増加していることから、コラーゲンペプチドの皮膚機能改善効果が認められた。
実施例4:コラーゲンペプチド含有皮膚機能改善食品の調製
<コラーゲン含有食品素材の調製>
参考例1で得られたコラーゲンペプチド780g、セラミドパウダー200g、ビタミンC20gを混合し、コラーゲンペプチドを78質量%含有する均質な「コラーゲン含有食品素材A」を調製した。
<コラーゲン入り食品の調製>
定法に従い、コラーゲン含有食品素材Aを用いて以下の食品を調製した。
寒天0.4gに水を50g添加して80℃で加熱撹拌して溶解して放置後、粘度上昇による液性変化を確認して(〜50℃前後)、コラーゲン含有食品素材A2.54gと水を混合して100gとし、固化後に破砕してゼリー状のコラーゲン含有食品1を得た(得られたゼリー状のコラーゲン含有食品1の1g中には、0.0198gのコラーゲンペプチドを含有する)。
実施例5:コラーゲンペプチド含有皮膚機能改善食品の効果確認
実施例4で調製したコラーゲン含有食品を、ヒトに経口投与し、乾燥肌改善効果を検討した。
[方法]
日常的に乾燥肌を訴える女性被験者(年齢:23歳〜42歳、体重:48〜62kg)28名を2群に分け、試験区には、実施例2で調製したコラーゲンペプチド含有食品、プラセボ区にはコラーゲンペプチドをカゼインに置き換えた以外は、実施例2と同様に調製した食品を、それぞれ1日1個(コラーゲンペプチド含有量1.98g、31.9〜41.3mg/kg・day)を2ヶ月間摂取させた。
効果について1ヶ月後及び2ヶ月後にヒアリング調査を行った。乾燥肌の改善評価を、「改善した」、「やや改善した」、「変わらない」、「やや悪化した」、「悪化した」の5段階で評価した。
[結果と考察]
結果を表3に示す。
表3より、試験区の被検者はプラセボ区に比べ、乾燥肌が改善したと感じた人が有意に増加していることから、コラーゲンペプチドの皮膚機能改善効果が認められた。

Claims (11)

  1. コラーゲンを有効成分として含む、肌のアクアポリン遺伝子(AQP)の発現量を調節する皮膚機能改善剤。
  2. 更にセラミドとビタミンCを含む請求項1に記載の改善剤。
  3. アクアポリン遺伝子が、アクアポリン3、アクアポリン5、アクアポリン8及び/またはアクアポリン9である請求項1または2に記載の改善剤。
  4. 角化細胞の異常増殖を抑制する請求項1〜3のいずれかに記載の改善剤。
  5. 角化細胞の異常増殖の抑制が、スモールプロリンリッチタンパク質(Sprr1b、Sprr2a、Sprr2d、Sprr2h)、エピレグリン(EREG)及び/またはサイクリン依存性キナーゼCDK2の発現量調節により行われる請求項4に記載の改善剤。
  6. コラーゲンが、可溶化コラーゲン及びコラーゲンペプチドの少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の改善剤。
  7. コラーゲンが、水生動物由来である請求項1〜6のいずれかに記載の改善剤。
  8. 水生動物が、鮭である請求項7に記載の改善剤。
  9. 1回あたりのコラーゲンの経口による摂取量が体重1kgあたり1〜250mgである請求項1〜8のいずれかに記載の改善剤。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の改善剤を含む飲食品。
  11. 皮膚機能の改善のために用いる旨の表示をした請求項10に記載の飲食品。
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