JP2011110116A - 内視鏡装置及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】オートクレーブ滅菌処理及び過酸化水素プラズマ滅菌処理を施した場合でも、可撓性外皮の固定部における破損や劣化の発生が抑制され、必要な柔軟性と保護性が維持された、耐久性に優れた医療用内視鏡及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内視鏡の部材表面にチューブ状の可撓性外皮22A、22Bを被せ、該可撓性外皮22A、22Bの端部を外側から糸26で巻き締めて該可撓性外皮チューブ内の部材に固定した固定部を備える内視鏡装置であって、前記固定部に、糸で巻き締めた側の内層が軟質で、且つ、表面側の外層が硬質なエポキシ樹脂層を設けてなる内視鏡装置である。該樹脂層28は、少なくとも弾性率が可撓性外皮の弾性率以上、1000MPa未満の樹脂内層30Aと、弾性率が1000MP以上の樹脂外層30Bとの2層構造であることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、内視鏡及びその製造方法に関し、詳細には、構成部材同士の接合部において樹脂層を使用した内視鏡装置及びその製造方法に関する。
医療用内視鏡は、挿入部を体腔内に挿入して臓器などを観察したり、内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種治療や処置を行なったりする。
このため、一度使用した内視鏡を他の患者に再使用する場合、内視鏡を介しての患者間の感染を防止するため、検査・処置終了後に内視鏡の消毒・滅菌を行う必要がある。消毒や滅菌には、消毒液、エチレンオキサイドガス、ホルマリンガス、過酸化水素ガスプラズマ、オゾン、高温高圧の水蒸気を使用する滅菌であるオートクレーブなどを使用する方法がある。
近年、患者への負荷軽減のために、内視鏡の可撓管については細径化が望まれており、高機能化を目的として種々の部材を狭い空間に収めるには、ネジやビス等の嵩張る機械的な結合部材ではなく、接着剤を用いた結合が有効であり、現在の多くの内視鏡において、部材同士の接続には接着剤が用いられている。また、内視鏡の挿入部可撓管やその先端に連結された湾曲部などは、部材の保護や人体への影響軽減のため、可撓性のあるチューブ状の軟質外皮で被覆されている。
これらの接続部のうち、特に、可撓性を有する内視鏡部材に軟性外皮を固定する部分では、固定の信頼性向上のため、可撓性外皮端部外周を糸を巻いて緊縛する糸巻き構造を形成することにより部材に固定した後、この糸巻き構造をエポキシ接着剤などの接着剤で被覆し、糸の解れや切断を防止するとともに滑らかな外形を実現している。
内視鏡の高度な滅菌処理の代表的な手法である過酸化水素プラズマ法は、プラズマにより過酸化水素を分解して活性なヒドロキシラジカルを発生させ、これにより滅菌を行う方法である。また、高温高圧蒸気で内視鏡を滅菌するオートクレーブは、広く普及している消毒滅菌方法であり、いずれも方法においても滅菌効果の信頼性が高く、残留毒性がなく、ランニングコストが安い等の多くのメリットを有するが、例えば、内視鏡を高圧蒸気滅菌する際の代表的な条件としては、滅菌工程132℃で4分、或いは、132℃で10分等の条件が挙げられ、いずれの滅菌方法においても、当該環境下では、医療機器に与えるダメージが大きいという問題がある。特に、従来から軟性内視鏡の挿入部の可撓管の保護に用いられる軟質の樹脂製外皮の接続部では、接続に使用される接着剤の耐久性が十分ではなく、過酸化水素プラズマ処理にあっては酸化により表面が除々に侵され、またオートクレーブ処理によっては、密着性が失われるなど、剥離や破損により可撓管の内部保護としての機能を失い、内視鏡内部への薬液の侵入等の故障を発生するため、使用回数が限られてしまうという問題がある。
チューブ状の可撓性外皮の接続部、固体部は、通常、チューブの端部近傍を糸で巻き締め、更に巻かれた糸の表面をエポキシ接着剤で被覆して表面を平滑で強固にすることで、糸の解れあるいは切断等を防いだ構造をとっている。
エポキシ接着剤の硬化物はその架橋密度を上げることで耐熱性、耐薬品性が向上するが、架橋密度を上げるとエポキシ樹脂層の脆性が悪化し、接着力が低下してしまうという問題がある。
従って、通常、接着剤として用いられるエポキシ材料は、硬化剤の種類、エポキシ主剤と硬化剤量の配合比を調節することで、耐熱・耐薬品性を減じることと引き換えに必要な接着性を確保するという、相反する要求性能項目間のバランスで配合されている。しかしながら、このような配合の接着剤を用いて軟性チューブの糸巻き部の保護を行うことで形成された結合部は、各種の高水準消毒薬による処理、特にオートクレーブ滅菌、過酸化水素プラズマ滅菌処理に対して十分な耐久性をもつものではなかった。
このような課題に対して、硬質なエポキシ樹脂にゴムあるいは樹脂粒子を配合して柔軟性を付与することで解決を図ろうとする提案がなされている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法によっても、硬質なエポキシ樹脂の耐薬品性、耐熱性を減ずることなく、高い接着性を実現できているわけではない。
また、巻き糸の熱膨張率を制御することで、糸と樹脂層との剥離を抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照。)が、この方法では、樹脂層と糸との密着性は達成されるものの、最外層の強度は樹脂層に依存するため、なお、問題の解決には至っていないのが現状である。
特開2003−621023公報 特開平8−56897号公報
上記問題点を考慮してなされた本発明は、オートクレーブ滅菌処理及び過酸化水素プラズマ滅菌処理を施した場合でも、可撓性外皮の固定部、特に、部材同士の接合部分における可撓性外皮の固定部を被覆する樹脂層の破損や劣化の発生が抑制され、保護性が維持された、耐久性に優れた医療用内視鏡装置を提供することを目的とする。
本発明の第二の課題は、上記耐久性に優れた医療用内視鏡装置を簡易に、高生産性にて製造しうる内視鏡の製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、可撓性外皮の固定部における糸巻き部の樹脂層として互いに硬さの異なる領域を設けることで上記課題を解決しうることを見いだし、本発明を完成した。即ち、本発明の構成は以下に示すものである。
本発明の請求項1に係る内視鏡装置は、内視鏡の部材表面にチューブ状の可撓性外皮を被せ、該可撓性外皮の端部を外側から糸で巻き締めて該可撓性外皮チューブ内の部材に固定した固定部を備える内視鏡装置であって、前記固定部に、糸で巻き締めた側の内層が軟質で、且つ、表面側の外層が硬質なエポキシ樹脂層を設けてなることを特徴とする。ここで、該樹脂層は、軟質な樹脂内層と該内層よりも硬質である樹脂外層の少なくとも2層を備えることが好ましい。
また、本発明の内視鏡装置の製造方法は、内視鏡の部材表面にチューブ状の可撓性外皮を被せ、該可撓性外皮チューブの端部を外側から糸で巻き締めて該可撓性外皮チューブ内の部材に固定した固定部を備える内視鏡装置の製造方法であって、該可撓性外皮を部材に固定する固定部において、可撓性外皮表面に第1のエポキシ樹脂を含む第1の樹脂層形成用塗布液を適用して樹脂内層を形成する工程と、該樹脂内層表面を糸で巻き締めて可撓性外皮を部材に固定化する糸巻き構造を形成する工程と、該糸巻き構造表面に、糸巻き構造を被覆するように。第2のエポキシ樹脂を含む第2の樹脂層形成用塗布液を適用して樹脂外層を形成する工程と、をこの順に有することを特徴とする。
ここで、樹脂内層を形成した後、樹脂が完全に硬化する前に樹脂外層形成用塗布液をその表面に適用し、加熱硬化させることで、接着内層と接着外層の硬化と密着とを同時に行うことが好ましい態様である。
この可撓性外皮で被覆される内視鏡の各部材には特に制限はなく、例えば、可撓管としては、帯状部材を螺旋状に巻いて成形した螺旋管と、該螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管とを有する金属製芯材とをエラストマーを含有する外皮層で被覆したものなどが挙げられる。
また、本発明における固定部とは、チューブ状の可撓性外皮を部材に固定する領域であって、可撓性外皮の端部が部材表面に固定化される領域であれば特に制限はなく、チューブ状の可撓性外皮の片端部を固定化してもよく、互いに異なる部材の接続部においてそれぞれの部材表面を被覆する可撓性外皮同士を突き合わせてなる突合部において、双方の可撓性外皮端部を接続しつつ固定化してもよい。接続部とは、例えば、樹脂層を介して内視鏡を構成する構成部材の少なくとも2つが互いに接合してなる領域を示すものであり、内視鏡装置の構成部材同士の接合であれば特に制限はない。より具体的には、内視鏡装置の挿入部内に挿通される可撓管の口元部分を挿入部の先端部本体や屈曲部へ固定する態様、挿入部の先端本体に配置されたレンズ群などの光学系の枠体を先端部本体へ固定する態様、可撓管に挿通された屈曲部を先端部本体に固定する態様、先端部本体に組み込まれたCCDなどの光学系の配線等を保護、固定化する態様などが挙げられる。
本発明よれば、オートクレーブ滅菌処理及び過酸化水素プラズマ滅菌処理を施した場合でも、チューブ状の可撓性外皮と部材との固定部を被覆する樹脂層の破損や劣化の発生が抑制され、固定部における必要な柔軟性と保護性が維持された、耐久性に優れた医療用内視鏡装置を提供することができる。
また、本発明によれば、前記耐久性に優れた内視鏡装置を簡易に、高生産性で製造しうる内視鏡装置の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る内視鏡装置の可撓管と屈曲部との接続部分を示す概略部分断面図である。 図1の内視鏡における糸巻き構造部分近傍を拡大して表示した部分概略断面図である。
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
内視鏡は、患者の体腔内に挿入される長尺状の挿入部を備え、本体操作部への連設部分から長手方向(軸方向)の大半の長さ部分を構成する可撓管10と、可撓管の長手方向先端側に連設されたアングル部(屈曲部)12と、屈曲部12の長手方向先端側に連設されると共に対物光学系等(図示せず)を内蔵した先端部本体14と、を備えている。
図1は内視鏡の体内への挿入部の先端部を示す概略部分断面図である。内視鏡の可撓管10先端には、遠隔操作によって屈曲自在な屈曲部12が連結され、さらに、先端部本体14が屈曲部12の先端に連結されている。
本実施形態における可撓管10は、金属帯を螺旋状に均一の径に巻いた螺旋管16の外面に、金属細線を編組した網状管20を被覆し、さらにその外面に、例えばオレフィン系エラストマーからなるチューブ状可撓性可撓性外皮22Aを被覆して形成されている。
屈曲部12は、可撓管10の先端に連結されており、図示されない湾曲操作ワイヤ等により遠隔操作によって屈曲可能である。屈曲部12は、リベット等によって傾動可能に連結された筒状の節輪21の外面に、可撓管10の外面を被覆しているのと同様の金属細線を編組した網状管20により被覆し、その外面に可撓性可撓性外皮22Bを被覆して形成されている。
本実施形態においては、可撓管10と屈曲部12との連結をより確実に行うための接続管24を備えている。
チューブ状の形態をとる可撓管10の可撓性外皮22Aと屈曲部12の可撓性外皮22Bとの端部は互いに突き合わされており、共に外周面を糸26で巻き締めて糸巻き構造を形成することにより内側の可撓管10又は屈曲部12を構成する網状管20に固定されており、糸26を巻き締めることで形成された糸巻き構造が存在する領域においては、糸26と可撓性外皮22A、22Bとの空隙及び糸26の外周には、エポキシ樹脂を含有する組成物が適用されてなる樹脂層28が形成されており、糸26のほつれや切断を防止するとともに、糸巻き構造の外部を被覆して、なめらかな曲面を形成している。
本発明においては、樹脂層28の可撓性外皮22A、22Bと接触する側の表面28A及びその近傍は、樹脂層28の外周表面28Bよりも軟質であることを特徴とする。樹脂層28において、可撓性外皮22A、22Bとの界面28A近傍が、外周表面28Bよりも軟質であることで、可撓性外皮22A、22Bとの密着性が良好となり、可撓管10や屈曲部12の屈曲によく追従し、且つ、両者の接合部において可撓性外皮22A、22Bを緊縛する糸26の空隙に浸透し、密着してその動きにも追従するとともに、外部に露出する樹脂層の表面28Bが硬質でより強度が高いために、オートクレーブやプラズマなどの厳しい滅菌条件下でも、樹脂層表面の破損や剥離、及び、それに起因する糸26の露出、切断などが効果的に抑制される。
樹脂層28は、その外周表面28Bよりも内周表面28Aが軟質であればその構成には特に制限はないが、図2に示すように、内周側に柔軟な樹脂内層30Aを設け、その表面に樹脂内層30Aよりも硬質な樹脂外層30Bを設けて2層構造とすることが、本発明の効果が効率よく得られるとともに、製造が容易であるという観点から好ましい。
図2は、図1におけるA領域の部分拡大図であり、互いに異なる弾性率を有する樹脂内層30Aと樹脂外層30Bとからなる樹脂層28で被覆された接合部を備えている。なお、本明細書においては、樹脂層28において可撓管10等の部材に接する側を内側と称し、多層構造の場合、部材近傍に位置する層を内層と称し、また、最表面を外側と称し、外側に位置する層を外層と称する。
なお、図2では、樹脂層28は、互いに弾性の異なる2層構成を有する態様を示しているが、樹脂層を多層構造とする場合には、最外層が内層に比較して硬質なものであれば、3層以上の積層構造を有していてもよい。
次に、前記の如き接合部を形成するための各種素材を、その製造方法とともに詳細に説明する。
(固定部の形成方法)
図1に示す可撓管10と屈曲部12との接続部の形成方法としては、(1)まず、可撓性外皮の端部近傍を糸26で巻き締めて糸巻き構造を形成した後、比較的軟質の硬化物を形成しうるエポキシ樹脂含有組成物及び該組成物よりも硬質の硬化物を形成しうるエポキシ樹脂含有組成物をこの順で適用して硬化させ、樹脂層を形成する方法、(2)まず、可撓性外皮表面に比較的軟質の硬化物を形成しうる樹脂組成物を適用し、その後、糸で巻き締めて糸巻き構造を形成し、さらに、糸巻き構造を被覆するように比較的硬質の硬化物を形成しうる樹脂組成物を適用する方法、(3)まず、可撓性外皮の端部近傍の固定部に樹脂組成物を適用して樹脂層を形成した後、該樹脂層の硬化前に糸で巻き締めて未硬化の樹脂層の埋没するように糸巻き構造を形成する方法が挙げられるが、本発明の効果を効率的に得られ、且つ、作業が容易であるといった観点から、(2)の方法が好ましい。
(樹脂層)
樹脂層の形成には、耐熱性、強度、柔軟性のバランスという観点からは、エポキシ系の樹脂、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などが好ましく挙げられる。
本発明に好適に用いられるエポキシ樹脂系接着剤の主剤としては、液状エポキシ樹脂、より具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、及び、ノボラック型エポキシ樹脂が挙げられ、これらの群より適宜選択される。
また、直鎖脂肪族基、ポリエーテル等の柔軟骨格の両端にビスフェノールを結合してなる柔軟型のエポキシ樹脂も、柔軟な硬化物を得るうえで好ましい。
これらのエポキシ樹脂は単独で用いてもよく、あるいは二種以上を混合して使ってもよい。
エポキシ樹脂系接着剤に組み合わせて用いられる硬化剤としては、目的とする柔軟性、具体的には、目的とする弾性率を有する硬化物が得られる限り、特に制限はなく、エポキシ樹脂系接着剤の硬化剤として公知の、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン等、また、イミダゾール化合物のような含窒素芳香族等の任意のアミン系硬化剤、アミドアミン硬化剤等の中から任意のものを単独で、或いは、二種以上を併用して用いることができる。
本発明における樹脂層は、可撓性外皮に接する側である内層が軟質であり、外層が内層に比較して硬質であることを要するが、具体的には、内層、特に、可撓性外皮である22A,22Bと接する面近傍の樹脂内層の弾性率が、可撓性外皮の弾性率以上であり、且つ、1000MPa未満であり、また、最外層に位置する樹脂外層の弾性率が1000MPaを超えるものが好ましい。樹脂層の弾性率は、主剤と硬化剤の種類及び添加量などにより任意に制御することができる。
以下、前記(2)の方法により、2層構成の樹脂層を形成する場合を例として詳細を説明する。
(樹脂内層の形成)
内層の比較的軟質の樹脂層形成に用いられる好ましい組み合わせとしては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂から選ばれる一種または2種以上を樹脂層の主剤樹脂とし、硬化剤として、架橋点の密度が比較的低いものを組み合わせることが好ましく、具体的には、アミドアミン系硬化剤を組み合わせる態様を挙げることができる。
アミドアミン系硬化剤は各種ダイマー酸とポリアミンとの縮合物であり、軟質の硬化物を得ることが可能である。
また、主剤に対する硬化剤の配合量を制御することによっても、軟質の硬化物を得ることができる。即ち、硬化剤の配合量を主剤に対して当量を超え、1.3倍当量以下の範囲とすることで比較的軟質の樹脂層が形成される。なお、本明細書においては、接着剤主剤としてのエポキシ樹脂においては、その1官能当りの分子量をエポキシ当量と称し、硬化剤としてアミン系硬化剤を用いる場合のアミン当量は活性水素当量と称する。前記配合比は、エポキシ当量とアミン当量とから算出される理論配合比と接着強度などの諸特性とに基づいて最適な範囲を規定したものである。
形成された樹脂内層の弾性率は、隣接する可撓性外皮との密着性の観点から、可撓性外皮の弾性率以上のものであって、かつ、1000MPa未満のものであることが好ましい。密着性に加え、変型に耐える柔軟性、巻き糸とのなじみが良好であるという観点からは、300〜800MPa程度であることが好ましく、400〜600MPaの範囲であることがより好ましい。
樹脂層の弾性率は、JIS K7127(2003年)に記載の方法、若しくはこれに準じた方法により測定することができる。
樹脂内層を形成するための組成物には、上記接着剤の硬化剤と硬化剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、反応性希釈剤、溶剤、カップリング剤、フィラー等、種々の添加剤を併用してもよい。
反応性希釈剤は、接着剤の形成に際し、塗布性向上、塗布液の粘度を調節する目的で添加され、たとえば、ブタンジオールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、塗布液の粘度調整のため、揮発性溶媒を添加してもよい。塗布液組成物の調製に用いる溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒が挙げられる。
さらに、基材との接着を強化する目的でシランカップリング剤などの接着強化剤を、或いは、架橋密度を上げて耐熱性を向上させる目的で、多官能のエポキシ化合物を、それぞれ添加してもよい。
樹脂内層は、必須成分としてのエポキシ主剤と硬化剤に加え、必要により上記成分を適切な溶媒に溶解或いは分散させて調整した樹脂内層形成用塗布液を可撓性外皮表面に塗布し、乾燥することで形成される。エポキシ樹脂系接着剤の架橋を促進させる目的で、樹脂層は加熱処理により硬化してもよく、加熱条件は用いる主剤や硬化剤に応じて、常温(25℃)〜135℃の温度条件で行うことが好ましく、60℃〜100℃であることがより好ましい。また、樹脂内層の形成においては、初期に常温で流動性が無くなるまで硬化した後、60℃から100℃の温度で加熱する2工程を実施することが最も好ましい。
なお、樹脂内層と樹脂外層との密着性を向上する目的で、樹脂内層塗布後に加熱処理を行わず、後述するように、さらに樹脂外層用塗布液を適用した後、加熱処理して、樹脂内層と外層との架橋、硬化反応促進を同時に行ってもよい。
塗布液はその粘度に応じて適切な方法で塗りつければよい。塗布液が低粘度であれば、筆や刷毛等に含浸させて塗りつける方法をとることが好ましく、高粘度であればスティック状のものに塗布液を予め付着せしめて塗りつける方法をとることができ、さらには、シリンジから吐出させて塗りつける方法をとることもできる。
樹脂内層の厚みには特に制限はなく、樹脂内層及び後述する接着剤最外層を含む樹脂層の総厚みが、後述する巻き糸の直径以上であり、糸巻き構造を被覆する限りにおいては任意であるが、内視鏡としての機能を考慮すれば、糸巻き構造の保護性を有する限りにおいて薄い方が好ましい。
(糸巻き構造の形成)
本発明の固定部において糸巻き構造の形成に用いられる糸は、オートクレーブ条件に耐えるものであれば任意のものが用いられる。
具体的には、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)ポリエーテルイミド(PEI)などの耐熱性樹脂からなる繊維のモノフィラメントあるいは撚り糸、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、炭素繊維などの耐熱性に優れた繊維からなる撚り糸を用いることができ、耐久性の観点からは、ポリフエニレンスルフィド繊維が好ましい。
糸は、撚り糸でも、モノフィラメントでもよいが、糸巻き部への接着剤の浸通性が良好であるという観点からは、モノフィラメント(単繊維)であることがより好ましい。
好適な糸の太さは30μmから150μmの範囲であり、50μmから100μmの範囲であることがより好ましい。
可撓性外皮を固定するに際しては、この糸を用いて端部周辺を巻き締めて糸巻き構造を形成するが、糸の巻き締め方法についても、特に制限はない。ただし。固定部の信頼性の観点からはできるだけ高密度であることが好ましく、また、体内へ挿入して用いられることを考慮すれば、凹凸が少ないことが好ましいため、このような観点から、糸を1層として高密度に巻き締めることが可能なヘリカル巻きとすることで、糸同士が重なり合わないように巻くことが好ましい。
(樹脂外層)
糸巻き構造を形成した後、糸巻き構造を被覆するように、樹脂外層を形成する。樹脂層が3層以上の積層構造を有する場合には、以下に述べる外層は最外層となることが好ましい。樹脂外層は、前記した樹脂内層よりも硬質であることを要する。
樹脂外層の形成に用いられる接着剤主剤としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、及び、ノボラック型エポキシ樹脂から選ばれる単独、若しくは複数であることが好ましい。
また、これら接着剤主剤と組み合わせて用いられる硬化剤としては、樹脂内層における硬化剤よりも架橋点が密な化合物が好ましく、そのような観点から、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、イミダゾール化合物の如き含窒素芳香族が好ましく挙げられる。また、必要な弾性率が得られる限りにおいて、上記好適な硬化剤として挙げた化合物とともにポリアミドアミンを併用することも好ましい。ポリアミドアミンを併用することで、硬化剤と主剤との粘度の差異が少なくなり、このため、主剤と硬化剤との混合が容易になるという利点がある。
硬化剤の添加量としては、接着剤主剤におけるエポキシ基に対する、これと反応する硬化剤のアミノ基の比率を0.9等量以上1.1倍当量以下の範囲で用いることが好ましく、当量で反応させることがより好ましい
形成された樹脂外層の弾性率は、接着部の保護性、耐久性を確保するためには1000MPa以上であることが好ましく、且つ、操作性を損なわない程度の柔軟性を有するという観点から、1000MPa〜1500MPa程度であることが好ましく、1100MPa〜1400MPaの範囲であることがより好ましい。樹脂層の弾性率は、既述の方法により測定すればよい。
上記弾性率の範囲において、可撓性外皮の接着力を維持するに十分であり、また、樹脂層の被覆端部における可撓性外皮との接着面に剥がれ、巻き糸の解れや剥がれを効果的に抑制しうる。
樹脂外層を形成するための組成物には、上記接着剤の硬化剤と硬化剤に加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じて、反応性希釈剤、溶剤、カップリング剤、フィラー等、種々の添加剤を併用してもよい。樹脂外層に用いられる反応性希釈剤、揮発性溶媒、接着強化剤、多官能のエポキシ化合物をなどは樹脂内層と同様のものを用いることができる。
また、樹脂外層には、さらに、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムのようなフィラーを添加することも好ましい。フィラーの添加によって樹脂外層の硬度を高め、また、水蒸気、消毒液の樹脂外層への侵入が抑制され、耐熱性、耐薬品性が向上する。
また、接着剤の最外層には、更に必要に応じて着色の為の顔料を添加してもよい。通常、内視鏡においては観察光の内視鏡自体による散乱を防止するために可撓管などの最表面を黒色に着色するのが好ましく、このような観点からは、最外層を構成する樹脂外層においても黒色に着色されること好ましい。このため、樹脂外層を形成する接着剤主剤或いは、硬化剤に、予め、あるいはそれら成分を混合して樹脂外層形成用の塗布液を調整する時に黒色顔料であるカーボンブラックやチタンブラックを樹脂外層形成用塗布液組成物中に、1質量%〜10%質量%添加することが好ましく、さらに好ましい添加量としては、3質量%〜7質量%の範囲である。
ここで用いうる黒色顔料としては、カーボンブラック、チタンブラック、四三酸化鉄系の黒色顔料の他、有機黒色顔料を挙げることができる。
樹脂外層は、内層と同様に、上記成分を適切な溶媒に溶解或いは分散させて調整した樹脂内層形成用塗布液を可撓性外皮表面に塗布し、乾燥することで形成される。
樹脂外層の厚みについても特に制限はなく、前記樹脂内層及び樹脂外層を含む樹脂層の総厚みが、巻き糸の直径以上であり、糸巻き構造を被覆して巻き糸が露出しない厚みであることを要する。一般的には、樹脂層の総厚みは50μm〜600μmの範囲であることが好ましい。また、巻き糸の最外周より少なくとも10μm以上の厚みであることが好ましく、滑らかな外表面を維持しつつ薄い方が好ましいことを考慮すれば、巻き糸の最外周より30μm以下であることが好ましい。
また、保護性と柔軟性のバランスといった観点からは、樹脂内層と樹脂外層との厚みの比率は、0.5:1〜2:1の範囲であることが好ましく、1:1.32〜1.3:1の範囲であることがより好ましい。
本発明によれば、内視鏡部材に可撓性外皮を固定化する固定部や、2つの部材を接続し、それぞれの可撓性外皮を突き合わせて固定化する固定部において、硬質の樹脂外層を配置することで、接続部の物理強度が増し、内視鏡の洗浄時におけるキズ付きが防止されるとともに、滅菌処理時における耐熱性、耐薬品性の向上が図られる。
前記実施形態では、樹脂層が2層構造の態様を例に説明したが、樹脂層における樹脂内層と内視鏡表面に露出する樹脂最外層が上記条件を満たしていれば、これらの層間には、任意の物性の樹脂層を備えていてもよい。なお、ここで、さらに備えられる樹脂層の物性もまた、滅菌処理に耐えうる耐熱性、耐久性を要することが言うまでもない。
なお、本発明における樹脂層の多層構造における内層と外層との界面は、判別可能な境界面を有していてもよいが、互いに相溶したり、混じり合ったりして明確な境界を示さないものでもあってもよい。例えば、樹脂内層用塗布液を適用した後、該層が完全に硬化する前に、樹脂外層形成用塗布液を塗布し、同時に加熱硬化させることで、両者が接する界面で相溶し合うことで両層の密着性が向上し、耐久性の高い樹脂層(保護層)を形成することができる。
なお、ここでは、可撓性外皮の固定部として、屈曲部12Bと可撓管10との接続部を例に挙げて詳細に説明したが、これに限定されず、図1のBで示される領域の如く、屈曲部12と対物光学系等を内蔵した先端部本体14との接続部においても、同様の手段により保護性に優れた信頼性の高い固定部を形成することができる。
以下、実を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に制限されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
〔実施例1〕
(内視鏡接合部の形成)
内視鏡の可撓管10の末端部の金属製節管と未被覆の屈曲部12の芯材とを半田付けにより接合した後、屈曲部12にフッ素ゴムからなるチューブ状の可撓性外皮を被せ、可撓管10の可撓性外皮22Aと屈曲部12の可撓性外皮22Bとを突き合わせて配置した。
次いで、樹脂内層用塗布液を調整した。エポキシ系接着剤主剤としての、ビスフェノールA型液状樹脂(エポキ当量350)100質量部に対して、ポリアミドアミン系硬化材(活性水素当量175)80質量部を混合した粘稠な塗布液を刷毛により、可撓性外皮22A及び22Bの接合部分を被覆するように、厚さ50μmとなるように塗布した。
塗布液が高粘稠になるまで硬化させた後、ポリフェニルスルホン製の100μm径の単繊維(クレハ合繊製、KPS)からなる糸26でこの接合部を覆うように巻き締めて糸巻き構造を形成することで、それぞれのチューブ状可撓性外皮22A、22Bを芯材である可撓管10及び屈曲部12に固定した。
さらに、この糸巻き構造の上から樹脂外層用塗布液を厚さ80μmとなるように塗布した。該樹脂外層用塗布液は、内層の形成に用いたのと同じビスフェノールA型エポキシ樹脂主剤100質量部に対して、上記と同じポリアミドアミン系硬化剤を50部、さらに、炭酸カルシウム(白石工業製、ホモカルD)30部を配合したものを用いた。
樹脂外層塗布液を塗布した後、常温で30分放置し、更にこれを60℃の恒温槽で2時間加熱して接着剤を硬化させ、図2の断面図に示すような、樹脂内層30Aと樹脂外層30Bとを含む樹脂層28で、糸26を巻き締めてなる糸巻き構造を被覆した固定部を有する内視鏡を得た。
(内視鏡の評価)
このようにして作製した可撓管10と屈曲部12との固定部を有する内視鏡を以下の方法により評価した。結果を下記表1に示す。
なお、樹脂層の弾性率を正確に測定する目的で、フッ素コートした平板上に、樹脂内層用塗布液を塗布し、硬化させてなる硬化膜(樹脂内層モデル膜)と、樹脂外層用塗布液を塗布し、硬化させてなる硬化膜(樹脂外層モデル膜)を300μmの厚さに形成した。それぞれの硬化膜を、1cm巾にカットし、30mmの標線間距離につき、引張試験(日本電産シンポ社製、FGS−TV)を用いて弾性率を測定したところ、樹脂内層の弾性率は500Mpa、樹脂外層の弾性率は1300Mpaであった。
(1.オートクレーブ耐久性試験)
前記で得られた内視鏡をオートクレーブ内にセットし、135℃の滅菌条件で500時間の処理を行い、取り出した後、外観観察を行い、接合部の樹脂層における欠陥の有無を目視にて調べ、下記基準で評価した。
○:目視にて確認できる傷や欠陥はない
△:傷が僅かに観察されるが、実用上問題のないレベル
×:目視にて傷、樹脂層の端部における可撓性外皮との間の隙間などの欠陥が観察された
(2.屈曲耐久性試験)
内視鏡において可撓管10と屈曲部12との結合部を中心に、90度の角度で繰り返し屈曲させ、結合部の外皮を覆う樹脂層の端部に剥離が生ずるか否かを目視にて観察し、以下の基準で評価した。
○:端部の剥離は生じていない
×:端部に剥離が生じていた
(3.過酢酸耐久性試験)
前記で得られた内視鏡において、可撓管10と、屈曲部12と対物光学系を内蔵した先端部本体14とを備える可撓管10の先端部を3%の過酢酸の液(常温:25℃)に10日間浸漬し、接合部の樹脂層における欠陥の有無を目視にて調べ、下記基準で評価した。
○:目視にて確認できる傷や欠陥はない
△:傷が僅かに観察されるが、実用上問題のないレベル
×:目視にて傷、亀裂による巻き糸の露出などの欠陥が観察された
〔実施例2〕
実施例1で用いた樹脂内層用塗布液において、ビスフェノールA型液状樹脂に代えて液状の脂肪鎖変性エポキシ樹脂(DIC社製 EXA4816 ,エポキシ当量403)を用い、ポリアミドアミン系硬化剤(Cognis社製 Genamid@250 ,活性水素当量 101)を当量で配合したものを用いた以外は同様にして樹脂内層を形成し、また、樹脂外層用塗布液として、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂と、硬化剤として、イミダゾールを用いてなる接着剤、353ND(Epotek社製)を用いた他は同様にして樹脂外層を形成した他は、実施例1と同様にして接合部を有する内視鏡を作製した。
これを実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。なお、実施例1と同様のモデル膜を用いて測定した樹脂内層の弾性率は690Mpaであり、樹脂外層の弾性率は1200Mpaであった。
〔比較例1〕
実施例2で用いた樹脂内層用塗布液のみを用いて、糸巻き構造を被覆してなる厚さ130μmの樹脂層を形成した他は、実施例2と同様にして連結部を有する内視鏡を作製した。これを実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
〔比較例2〕
実施例2で用いた樹脂外層用塗布液のみを用いて、糸巻き構造を被覆してなる厚さ130μmの樹脂層を形成した他は、実施例2と同様にして連結部を有する内視鏡を作製した。これを実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。
〔比較例3〕
エポキシ系接着剤主剤としての、ビスフェノールA型液状樹脂(エポキ当量350)100質量部に対して、ポリアミドアミン系硬化材(活性水素当量175)50質量部を混合して樹脂層用塗布液を調整し、該樹脂層用塗布液のみを用いて、糸巻き構造を被覆する厚さ130μmの樹脂層を形成した他は実施例1と同様にして連結部を有する内視鏡を作製した。
これを実施例1と同様に評価した。結果を下記表1に示す。なお、実施例1と同様のモデル膜を用いて測定した樹脂層の弾性率は 1000Mpaであった。
Figure 2011110116
表1の結果より、本発明の可撓管はいずれも、オートクレーブ処理や過酢酸処理においても保護層の剥離や外観の変化がなく、屈曲耐久性にも優れていることがわかる。
他方、軟質のエポキシ樹脂により形成されたる樹脂層を有する比較例1では、繰り返し屈曲処理による樹脂層の剥がれは生じないものの、オートクレーブ処理、過酢酸処理に対する耐久性が不十分であり、一方、硬質のエポキシ樹脂により形成された樹脂層を有する比較例2では、オートクレーブ処理や過酢酸処理に対する耐久性は向上するものの、硬質であるため密着性、形状追従性が不十分となり、接着層の界面における剥離が起き易くなる。また、単一のエポキシ樹脂層で硬さを中間程度にした比較例3においても、屈曲耐久性に改良は見られるものの、本発明の目的とするオートクレーブ処理、過酢酸処理に対する十分な耐久性が得られなかった。
これらの結果より、本発明の内視鏡は、従来品に比較し、良好な屈曲耐久性を維持しつつ、オートクレーブ処理や過酢酸を用いるプラズマ滅菌処理に対する耐久性に優れることがわかる。
10 可撓管
12 屈曲部
14 先端部本体
26 糸(巻き糸)
28 樹脂層
30A 樹脂内層
30B 樹脂外層

Claims (11)

  1. 内視鏡の部材表面にチューブ状の可撓性外皮を被せ、該可撓性外皮の端部を外側から糸で巻き締めて該可撓性外皮チューブ内の部材に固定した固定部を備える内視鏡装置であって、
    前記固定部に、糸で巻き締めた側の内層が軟質で、且つ、表面側の外層が硬質なエポキシ樹脂層を設けてなる内視鏡装置。
  2. 前記エポキシ樹脂層が、部材に接する側に設けられた軟質エポキシ樹脂からなる樹脂内層と、前記軟質エポキシ樹脂からなる樹脂内層の表面側に設けられ、且つ、該軟質エポキシ樹脂からなる樹脂内層よりも硬質の硬質エポキシ樹脂からなる樹脂外層とを含む2層構造である請求項1に記載の内視鏡装置。
  3. 前記軟質エポキシ樹脂からなる樹脂内層の弾性率が、前記可撓性外皮の弾性率以上で且つ1000MPa未満であり、前記樹脂外層の弾性率が1000MPa以上である請求項2に記載の内視鏡装置。
  4. 前記樹脂内層の弾性率が300MPa〜800MPaであり、且つ、前記樹脂外層の弾性率が1000MPa〜1500MPaである請求項2又は請求項3に記載の内視鏡装置。
  5. 前記可撓性外皮の端部が、一対の可撓性外皮の端部を突き合わせた突合部におけるそれぞれの端部である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
  6. 前記樹脂内層と前記樹脂外層との界面が互いに相溶して密着してなる請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
  7. 前記樹脂内層が、エポキシ樹脂に対し、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、芳香族アミン、及び、含窒素芳香族硬化剤からなる群より選択される硬化剤を1.0当量を超え、1.8当量以下の量含む樹脂内層用塗布液により形成され、前記樹脂外層が、エポキシ樹脂に対し、アミドアミン系硬化剤を0.9当量以上1.1当量以下の量含む樹脂外層用塗布液により形成されてなる請求項2〜請求項6のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
  8. 前記樹脂外層が黒色顔料を含有する請求項2〜請求項7のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
  9. 前記エポキシ樹脂層の厚みが50μm以上600μm以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の内視鏡装置。
  10. 内視鏡の部材表面にチューブ状の可撓性外皮を被せ、該可撓性外皮チューブの端部を外側から糸で巻き締めて該可撓性外皮チューブ内の部材に固定した固定部を備える内視鏡装置の製造方法であって、
    該可撓性外皮を部材に固定する固定部において、可撓性外皮表面に第1のエポキシ樹脂を含む第1の樹脂層形成用塗布液を適用して樹脂内層を形成する工程と、
    該樹脂内層表面を糸で巻き締めて可撓性外皮を部材に固定化する糸巻き構造を形成する工程と、
    該糸巻き構造表面に、糸巻き構造を被覆するように。第2のエポキシ樹脂を含む第2の樹脂層形成用塗布液を適用して樹脂外層を形成する工程と、
    をこの順に有する内視鏡装置の製造方法。
  11. 前記樹脂内層を形成する工程の後、前記第1の樹脂層形成用塗布液による塗膜の硬化前に、前記樹脂外層を形成する工程を実施し、その後、加熱処理することで、樹脂内層と樹脂外層との界面における相溶により樹脂内層と樹脂外層とを密着させる工程を有する請求項10に記載の内視鏡装置の製造方法。
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