JP2006334287A - 内視鏡の可撓管 - Google Patents

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潤 松本
Noboru Yamada
登 山田
Takeaki Nakamura
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Abstract

【課題】オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理に耐え得る内視鏡の可撓管を提供する。
【解決手段】内視鏡の可撓管32は、帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管42と、この螺旋管42の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管44と、この網状管44の外周に被覆された外皮46とを備えている。そして、前記網状管44は、オレフィン系樹脂材で形成されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、例えば体腔内など、被検体に挿入される挿入部などに使用される内視鏡の可撓管に関する。
例えば医療用内視鏡は、挿入部を体腔内に挿入して臓器などを観察したり、内視鏡の処置具挿通チャンネル内に挿入した処置具を用いて各種治療や処置を行なう。このため、一度使用した内視鏡を他の患者に再使用する場合、内視鏡を介しての患者間感染を防止するため、検査・処置終了後に内視鏡の消毒・滅菌を行なう必要がある。
消毒や滅菌には、消毒液、エチレンオキサイドガス、ホルマリンガス、過酸化水素ガスプラズマ、オゾン、高温高圧の水蒸気を使用する滅菌であるオートクレーブなどを使用する方法がある。
これまで、内視鏡の滅菌にはエチレンオキサイドガスが世界的に広く使用されている。しかし、エチレンオキサイド(酸化エチレン)が有毒物質であることから各国で規制が強まり、この使用は減少しつつある。また、消毒液は現在グルタラール製剤が主に用いられているが、これには、刺激性、残留毒性、取り扱いの難しさなどの問題がある。
このような状況を背景にして、近年、エチレンオキサイドガスやグルタラール製剤に代わる新しい薬剤である過酢酸系薬剤、過酸化水素系薬剤等や、その他の新しい消毒滅菌方法が開発されてきている。しかしながら、その多くがこれまで以上に消毒滅菌される機器に大きなダメージを与えるおそれがあるという問題をかかえている。
また、高温高圧蒸気で内視鏡を滅菌するオートクレーブは従来より世界的に広く普及している消毒滅菌方法である。この方法は、滅菌効果の信頼性が高く、残留毒性がなく、ランニングコストが安い等の多くのメリットを有するが、医療機器に与えるダメージが非常に大きいという問題がある。
内視鏡の可撓部である挿入部やユニバーサルコードの外皮は、一般にポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂といった樹脂からなり、最外層には耐薬性のコーティング層が設けられている。このコーティング層は、一般にウレタン樹脂で形成されている。このように、コーティング層がウレタン樹脂で形成された挿入部やユニバーサルコードを有する内視鏡では、過酢酸系薬剤、過酸化水素系薬剤等の薬剤で消毒を行なうと、コーティング層やその下層の樹脂層が劣化するという問題がある。
そこで、この問題を解決するものとして、例えば特許文献1では、コーティング剤を塗布・硬化してなるコーティング層が提案されている。これは、コーティング層を形成するコーティング液に、コーティング層自体を形成するコーティング剤と、可撓管の外皮の基部を溶解可能な成分とを含有させている。そして、基部の所望の部分にコーティング液を塗布して硬化させてコーティング層が形成されている。
また、特許文献2では、熱可塑性フッ素系エラストマーのコーティング層が提案されている。このため、挿入部やユニバーサルコードは、過酸化物系滅菌処理に対する耐性が高められている。
特開平11−56761号公報 特開平11−56762号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2で開示されたコーティング層では、いずれもオートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理により大きなダメージが与えられるおそれがある。このため、主要な消毒滅菌処理に耐え得る内視鏡の可撓管が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理に耐え得る内視鏡の可撓管を提供することにある。
上記課題を解決するために、この発明に係る内視鏡の可撓管は、帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管と、この螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管と、この網状管の外周に被覆された外皮部材とを備えている。そして、前記網状管は、熱可塑性樹脂材で形成されていることを特徴とする。
例えばポリプロピレン等のオレフィン系などの熱可塑性樹脂材の樹脂ネットである網状管は、耐湿熱性・耐薬品性・耐オートクレーブ性を有するのでアタックを少なくすることができる。したがって、可撓管を、長期にわたって安定した状態に保つことができる。
網状管をステンレス鋼線を編組して形成した場合、外皮を熱可塑性樹脂材(熱可塑性エラストマー)で形成すると、網状管と外皮とが異なる素材で形成されているので、網状管と外皮との接着・密着性が劣る。熱可塑性エラストマーの外皮と、ステンレス鋼線による網状管とを用いた状態でオートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理を繰り返し行なうと、ステンレス鋼線等の細線に酸化や錆が発生して劣化する。網状管を、外皮と同様に熱可塑性エラストマーであるプラスチックネットで形成して外皮と溶着した。このため、網状管と外皮との間の密着性を向上させることができるとともに、耐水性、ガスバリア性、耐熱性、耐薬品性を向上させることができる。したがって、挿入部やユニバーサルコードは、オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理に対して耐えることが可能である。すなわち、挿入部やユニバーサルコードの耐性を向上させることができる。
そして、網状管をステンレス鋼線を編組して形成した場合、長期の苛酷な環境下での使用により網状管にほつれが生じたり、耐湿熱性・耐薬品性・耐オートクレーブ性によるアタックで切断されることがあるが、熱可塑性エラストマーの樹脂ネットは均一な糸径で耐湿熱性・耐薬品性・耐オートクレーブ性によるアタックを少なくすることができる。
また、好ましくは、前記螺旋管は、熱可塑性樹脂材で形成されている。
このため、可撓管の少なくとも網状管と螺旋管とを、耐水性、ガスバリア性、耐熱性、耐薬品性を向上させ、オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理に繰り返し耐えることが可能である。さらに、外皮部材を熱可塑性樹脂材のうちオレフィン系樹脂材で形成すると、さらに耐水性、ガスバリア性、耐熱性、耐薬品性を向上させ、オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理に繰り返し耐えることが可能である。
また、好ましくは、前記網状管は、ノズル溝を有する少なくとも1対のダイを有するダイス部と、前記ダイス部を駆動する駆動部と、この駆動部を介して前記ダイス部の前記ノズル溝に溶融樹脂を供給する押出部とを有する樹脂ネット押出装置により形成されている。
円形ダイ法やフラットダイ法により、1対のダイを互いに対して相対的に移動させると、網糸同士が融着されて所定の間隔ごとに節が形成されるので、容易に網目が形成され、すなわち網状管が容易に形成される。
また、好ましくは、前記網状管は、前記ダイス部に、芯金に前記螺旋管が被嵌された中作り部品が配設されて形成される。
このため、網状管を形成すると同時に、中作り部品の外側に配設することができるので、可撓管を容易に製造することができる。
また、上記課題を解決するために、この発明に係る内視鏡の可撓管は、帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管と、この螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管と、この網状管の外周に被覆された外皮部材とを備えている。そして、前記螺旋管は、熱可塑性樹脂材で形成されている。
このため、螺旋管の耐水性、ガスバリア性、耐熱性、耐薬品性を向上させ、可撓管の潰れに対する強度を長く維持することができる。
本発明によれば、オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理に耐え得る内視鏡の可撓管を提供することができる。
以下、図面を参照しながらこの発明を実施するための最良の形態について説明する。ここでは、一実施の形態について図1ないし図4を用いて説明する。
図1に示すように、この実施の形態に係る内視鏡10は、把持部を兼ねる操作部12と、観察対象に挿入するための挿入部14と、外部機器と接続するためのユニバーサルコード16とから主に構成されている。
この操作部12には、挿入部14およびユニバーサルコード16が連設されている。この操作部12は、操作部本体22を備えている。この操作部本体22には、後述する湾曲部34を湾曲操作する湾曲操作ノブ24や、挿入部14の先端から送気や送水を行なったり、吸引を行なったりするボタン26などが配設されている。
ユニバーサルコード16の延出端部には、図示しない光源装置や、カメラコントロールユニットなどに接続されるコネクタ16aが配設されている。
挿入部14には、操作部12の側から順に、可撓性を有する可撓管32、湾曲自在な湾曲部34、この湾曲部34の先端に配置された先端構成部36が連設されている。
湾曲部34は、操作部12の湾曲操作ノブ24によって、所望の向きに湾曲するように遠隔的に操作される。
次に、図2を参照しながら、可撓管32および湾曲部34の構造について説明する。
可撓管32は、螺旋管42と、この螺旋管42の外周に配設された網状管44と、この網状管44の外周に配設された可撓性を有する外皮46とで構成されている。言い換えると、この可撓管32は、潰れに対する強度を確保するために、螺旋管42の外周に伸縮および捩じりに対する強度を確保する網状管44を被覆して、さらに、その網状管44の外周に外皮46を被覆して形成されている。
外皮46は、耐薬品性や患者の体壁に対する滑り性に優れた素材で薄く形成されている。外皮46は、ポリプロピレン樹脂やエチレン・ポリプロピレン共重合樹脂等のオレフィン系エラストマー(熱可塑性樹脂材)で形成されている。
網状管44は、外皮46と同様に、ポリプロピレン樹脂やエチレン・ポリプロピレン共重合樹脂等のオレフィン系エラストマーなど、熱可塑性樹脂材の細線が編組されたプラスチックネットで円筒状(環状)に形成されている。
螺旋管42は、弾性を有するステンレス鋼材や樹脂材の帯状部材が一定の径で螺旋状に巻かれることによって形成されている。
一方、湾曲部34は、複数の略リング状の湾曲駒52が直列的に連接された外周に、網状管54が配設され、さらにその網状管54の外周に柔軟な外皮56が配設されている。これら網状管54および外皮56も、可撓管32の網状管44および外皮46と同様に、オレフィン系エラストマーで形成されている。
可撓管32と湾曲部34とは、湾曲部34の最後端の湾曲駒52および網状管54と、可撓管32の螺旋管42および網状管44の先端とを接続する接続口金58を介して接続されている。可撓管32の外皮46と湾曲部34の外皮56との連結部で、接続口金58の外周には、各端縁が突き当てられているとともに、可撓管32の外皮46と湾曲部34の外皮56との両端部の外周にわたって糸が密に巻きつけられて糸巻部60が形成されている。糸巻部60は、外側から接着剤が塗布されて気密的に固められている。
以下、可撓管32の製造方法について説明する。
図3に示すように、網状管44として使用する、ポリプロピレン等のオレフィン系エラストマーのプラスチックネット66は、押し出し成形により形成されている。この押し出し成形法は、例えば、円形ダイ法(図4参照)とフラットダイ法(図示せず)との2つある。
フラットダイ法は、上下に組み合わせられたフラットダイが交互に左右に移動するものと、一方のみが左右に移動するものがある。いずれのダイの摺動面にも半円形のノズル溝が開いた状態に形成されている。ノズル溝から押し出された樹脂は、移動するダイによってネット状に成形される。このとき、網状管44の形状は、例えばみかんなどの包装に使われるオレンジ色のネット状に成形される。
一方、円形ダイ法は、互いに反対方向に回転する円形ダイを用いるものと、一方が静止し、他方が回転する円形ダイを用いるものがある。いずれのダイの摺動面にも半円形のノズルが開いた状態に形成されている。ノズルから押し出された樹脂は、回転するダイによってフラットダイ法と同様にネット状に成形される。
このようなプラスチックネット66を螺旋管42の外周に被覆した網状管44は、優れた耐水性、耐熱性、耐薬品性を有するので、オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理で内視鏡10の網状管44の細線が劣化することが防止される。
このプラスチックネット66による網状管44と、外皮46とは、同じポリオレフィン系エラストマーにより形成されているので、互いに対して溶着されて完全に密着される。なお、湾曲部34の網状管54と外皮56とも同様である。
ところで、この実施の形態では、プラスチックネット66を、互いに対して相対的に回転する円形ダイ法によって説明する。
図3に示すように、プラスチックネット66を押し出し成形するための樹脂ネット押出装置70は、ダイス部72と、このダイス部72を回転駆動させる駆動部74と、駆動部74を介してダイス部72に溶融樹脂を供給する押出部76とから構成されている。
図4に示すように、ダイス部72は、外筒82と内筒84とからなる二重の筒状に形成されている。外筒82と内筒84とは、駆動部74により互いに逆方向に摺接しながら同軸位置で円周方向に回転駆動される。なお、外筒82と内筒84とは互いに相対的に回転すれば良いので、外筒82と内筒84とのどちらか一方を固定し、他方を回転駆動するようにしてもよい。
互いに摺接する外筒82の内周表面と内筒84の外周表面とには、それぞれ軸方向に平行に延びる断面半円形のノズル溝82a,84aが形成されている。溶融樹脂は、これらノズル溝82a,84aを通してダイス部72の先端から押し出される。
すなわち、外筒82のノズル溝82aと内筒84のノズル溝84aとが互いに連通した場合、両方のノズル溝82a,84aから吐出された溶融樹脂は、互いに溶着して断面略円形の節を形成する。外筒82のノズル溝82aと内筒84のノズル溝84aとが互いに連通しない場合、それぞれのノズル溝82a,84aから吐出された溶融樹脂は網糸となる。
ダイス部72の外筒82と内筒84とが相対的に反対方向に回転するので、ノズル溝82a,84aから押し出される糸状の樹脂は、互いに対して斜めに交差して菱形の網目が形成される。このとき、糸状の樹脂同士は、ノズル溝82a,84a同士が互いに連通した状態で、押出熱による融着により、互いに対して取着される。このため、上述したように、断面が略円形の節が順次形成される。なお、この網糸は半円形に形成されているので、網の融着面を広く取ることができる。
ダイス部72は、外筒82と内筒84との相対的な回転により、ノズル溝82a,84aが連通される状態と、連通されない状態とが繰り返し生じて、糸状の樹脂によって網目が形成される。
このようにして、樹脂ネット(プラスチックネット)66が形成される。この樹脂ネット66は、長手方向に引っ張ると細くなり、内側に例えばみかんなどのような物体を入れると外側に拡げられる。
なお、樹脂ネット66は、外筒82と内筒84との回転速度と回転パターン、ノズル溝82a,84aのピッチおよび配置などによって種々の形状の網目を形成することができる。
このような樹脂ネット66(網状管44)を形成可能な樹脂ネット押出装置70に、芯金90の外周に螺旋管42を被嵌した状態の中作り部品を図3中の左側から右側にダイス部72の内部を通して移動させる。そうすると、ダイス部72から押し出された樹脂ネット66である網状管44は、螺旋管42の外周表面に被覆される。
芯金90に螺旋管42を被嵌した状態の中作り部品を左から右に移動させる速度を変化させると、螺旋管42に被覆される樹脂ネットである網状管44の螺旋管42に対する密着度は、自在に変更される。また、ダイス部72から押し出される樹脂材の押し出し速度を変化させても、樹脂ネットである網状管44の螺旋管42に対する密着度は、自在に変更される。
さらに、芯金90の外周に螺旋管42と、この螺旋管42の外周に網状管44とが配設された部材の外周に、外皮46を押出成形により被覆して成形する。そうすると、可撓管32が形成される。
なお、この実施の形態では、内視鏡10の挿入部14の可撓管32について説明したが、ユニバーサルコード16も同様に可撓管により形成されている。
以上説明したように、この実施の形態によれば、以下のことがいえる。
網状管をステンレス鋼線を編組して形成した場合、外皮をオレフィン系の熱可塑性エラストマーで形成すると、網状管と外皮とが異なる素材で形成されているので、網状管と外皮との接着・密着性が劣る。オレフィン系の熱可塑性エラストマーの外皮と、ステンレス鋼線による網状管とを用いた状態でオートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理を繰り返し行なうと、ステンレス鋼線等の細線に酸化や錆が発生して劣化する。網状管44を、外皮46と同様にオレフィン系熱可塑性エラストマーであるプラスチックネット66で形成して外皮46と溶着した。このため、網状管44と外皮46との間の密着性を向上させることができるとともに、耐水性、ガスバリア性、耐熱性、耐薬品性を向上させることができる。したがって、挿入部14やユニバーサルコード16は、オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理に対して耐えることが可能である。すなわち、挿入部14やユニバーサルコード16の耐性を向上させることができる。
なお、この実施の形態では、網状管44と外皮46とがオレフィン系エラストマーで形成されることについて説明したが、外皮46のみをオレフィン系エラストマーで形成しても良い。
すなわち、少なくとも可撓性を有する挿入部14やユニバーサルコード16の外皮を、加水分解し易いポリウレタン樹脂やポリエステル樹脂といった樹脂やそれらのコーティング層でなく、オレフィン系の熱可塑性エラストマーで形成した。このため、挿入部14やユニバーサルコード16の耐水性、ガスバリア性、耐熱性、耐薬品性を向上させることができる。したがって、挿入部14やユニバーサルコード16は、オートクレーブを始めとする主要な消毒滅菌処理に対して耐えることが可能である。
なお、この実施の形態では、網状管44と外皮46とがオレフィン系エラストマーで形成されることについて説明したが、網状管44のみをオレフィン系エラストマーで形成しても良い。
ステンレス鋼線による網状管を使用した場合、長期の過酷な環境下の使用で網状管が解れたり、耐湿熱性・耐薬品性・耐オートクレーブ性でのアタックで切断されたりする。一方、この実施の形態に係る、ポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂ネット66である網状管44は、均一な糸径で耐湿熱性・耐薬品性・耐オートクレーブ性を有し、アタックを少なくすることができる。したがって、可撓管32を、長期にわたって安定した状態に保つことができる。
また、螺旋管42をポリプロピレン等のオレフィン系樹脂材で形成した場合、螺旋管42の耐水性、ガスバリア性、耐熱性、耐薬品性を向上させることができる。したがって、可撓管32の潰れに対する強度を長く維持することができる。
なお、この実施の形態に係る内視鏡10の可撓管32は、例えば医療用内視鏡や、工業用内視鏡など、可撓管を有する種々の内視鏡に適宜に使用される。
これまで、一実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
上記説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各項の組み合わせも可能である。
[付記]
(付記項1)
帯状部材を一定の径で螺旋状に巻いて形成した螺旋管の外周に、細線を編組して環状に形成した網状管を被覆し、さらにその外周を外皮部材によって被覆して形成された内視鏡の可撓管において、上記網状管を、ポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂でネット状に形成したことを特徴とする内視鏡の可撓管。
(付記項2)
付記項1において、ネット状に構成された網状管は樹脂ネット押出装置により形成されることを特徴とする内視鏡の可撓管。
(付記項3)
付記項2において、芯金に螺旋管を被嵌した中作り部品を前記樹脂ネット押出装置に設置することにより螺旋管外表面に樹脂ネットが構成されるようにしたことを特徴とする内視鏡の可撓管。
(付記項4)
帯状部材を一定の径で螺旋状に巻いて形成した螺旋管の外周に、細線を編組して環状に形成した網状管を被覆し、さらにその外周を外皮部材によって被覆して形成された内視鏡の可撓管において、上記螺旋管を、ポリプロピレン等のオレフィン系の樹脂でプラスチックネットからなる帯状部材によって形成したことを特徴とする内視鏡の可撓管。
(付記項5)
帯状部材を一定の径で螺旋状に巻いて形成した螺旋管の外周に、細線を編組して環状に形成した網状管を被覆し、さらにその外周を外皮部材によって被覆して形成された内視鏡の可撓管において、上記網状管を、プラスチックネットによって形成すると共に、上記螺旋管を、プラスチックネットからなる帯状部材によって形成したことを特徴とする内視鏡の可撓管。
(付記項6)
把持部を兼ねる操作部と、
前記操作部から延出され、湾曲部と可撓管とを有する細長い挿入部と
を具備する内視鏡であって、
前記可撓管は、
帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管と、
この螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管と、
この網状管の外周に被覆された外皮部材と
を具備し、
前記網状管は、オレフィン系樹脂材で形成されていることを特徴とする内視鏡。
(付記項7)
把持部を兼ねる操作部と、
前記操作部から延出され、湾曲部と可撓管とを有する細長い挿入部と
を具備する内視鏡であって、
前記可撓管は、
帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管と、
この螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管と、
この網状管の外周に被覆された外皮部材と
を具備し、
前記外皮部材は、オレフィン系樹脂材で形成されていることを特徴とする内視鏡。
(付記項8)
把持部を兼ねる操作部と、
前記操作部から延出され、湾曲部と可撓管とを有する細長い挿入部と
を具備する内視鏡であって、
前記可撓管は、
帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管と、
この螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管と、
この網状管の外周に被覆された外皮部材と
を具備し、
前記螺旋管は、オレフィン系樹脂材で形成されていることを特徴とする内視鏡。
(付記項9)
把持部を兼ねる操作部と、
前記操作部から延出され、湾曲部と可撓管とを有する細長い挿入部と
を具備する内視鏡であって、
前記可撓管は、
帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管と、
この螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管と、
この網状管の外周に被覆された外皮部材と
を具備し、
前記螺旋管、網状管および外皮部材は、耐滅菌消毒処理性を有するプラスチック材で形成されていることを特徴とする内視鏡。
本発明の一実施の形態に係る内視鏡の全体構成を示す概略的な斜視図。 本発明の一実施の形態に係る内視鏡の挿入部の可撓管および湾曲部の概略的な断面図。 本発明の一実施の形態に係る内視鏡の挿入部の可撓管の内部の網状管を形成するための樹脂ネット装置を示す概略図。 本発明の一実施の形態に係る内視鏡の挿入部の可撓管の内部の網状管を形成するための樹脂ネット装置のダイス部を示す概略図。
符号の説明
32…可撓管、34…湾曲部、42…螺旋管、44…網状管、46…外皮、52…湾曲駒、54…網状管、56…外皮、58…接続口金、60…糸巻部

Claims (5)

  1. 帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管と、
    この螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管と、
    この網状管の外周に被覆された外皮部材と
    を具備する内視鏡の可撓管において、
    前記網状管は、熱可塑性樹脂材で形成されていることを特徴とする内視鏡の可撓管。
  2. 前記螺旋管は、熱可塑性樹脂材で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡の可撓管。
  3. 前記網状管は、ノズル溝を有する少なくとも1対のダイを有するダイス部と、前記ダイス部を駆動する駆動部と、この駆動部を介して前記ダイス部の前記ノズル溝に溶融樹脂を供給する押出部とを有する樹脂ネット押出装置により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡の可撓管。
  4. 前記網状管は、前記ダイス部に、芯金に前記螺旋管が被嵌された中作り部品が配設されて形成されることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡の可撓管。
  5. 帯状部材を螺旋状に巻いて一定の径に成形した螺旋管と、
    この螺旋管の外周に、細線を編組して環状に成形した網状管と、
    この網状管の外周に被覆された外皮部材と
    を具備する内視鏡の可撓管において、
    前記螺旋管は、熱可塑性樹脂材で形成されていることを特徴とする内視鏡の可撓管。
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