JP2011109732A - モータ制御装置及びモータ制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率よくモータを動作させることができるモータ制御装置及びモータ制御方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかるモータ制御装置は、三線式単相誘導モータをインバータ制御するモータ制御装置であって、モータ15に変調電圧を供給するインバータ回路13と、モータ15の基準電圧端子51に対応する相の変調電圧を位相に応じて変化させて、インバータ回路の相間電圧を制御する制御部14とを有し、制御部14は、基準電圧端子51に対応する相を含む相間電圧が、前記三相インバータの最大出力電圧の1/2よりも大きくなるよう制御するものである。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明にかかるモータ制御装置は、三線式単相誘導モータをインバータ制御するモータ制御装置であって、モータ15に変調電圧を供給するインバータ回路13と、モータ15の基準電圧端子51に対応する相の変調電圧を位相に応じて変化させて、インバータ回路の相間電圧を制御する制御部14とを有し、制御部14は、基準電圧端子51に対応する相を含む相間電圧が、前記三相インバータの最大出力電圧の1/2よりも大きくなるよう制御するものである。
【選択図】 図1
Description
本発明は、モータ制御装置及びモータ制御方法に関し、特に詳しくは、インバータ制御により三線式単相誘導モータを制御するモータ制御装置及びモータ制御方法に関する。
単相誘導モータとして、コンデンサを用いる単相コンデンサモータが広く利用されている。単相コンデンサモータは、巻線構造が他のモータに比べて簡単で、堅牢、安価であり、扇風機、ファン、圧縮機、ポンプ、工作機械などの多くの機器に使用されている。しかしながら、単相コンデンサモータにおいては、巻線間に90°の位相差を持たせるために、外付けコンデンサが必要となるため、コンデンサの寿命の観点から信頼性が問題となり、また、効率の良い負荷動作点が限られている点、始動電流が大きいことから電源への負担が大きくなってしまう点、モータ構造(磁界構成)上トルクリップル(振動)が比較的大きくなってしまう点、等の様々な問題があった。
そこで、特許文献1に開示されているように、単相誘導モータに対して、コンデンサを用いず、三相インバータ制御を行う制御装置が知られている。即ち、特許文献1においては、その図1に示されるように、3つのインバータを用い、そのインバータを構成する6個のトランジスタのそれぞれを、その図3に示されるタイミングチャートのようにオン、オフさせて、これら3つのインバータの出力である電位A、B、Cをモーター5の3つの端子に供給し、また適宜インバータのこれらの出力をフローティングとしている。このとき、モーターを駆動する働きを持つAB間電圧VABと、AC間電圧VACとは、それぞれ、その図3に示される波形となるように制御されており、特に、電圧VABと電圧VACのそれぞれの波形が、相対的に見て、位相差が90度になるように制御されている。つまり、特許文献1の回路においては、その段落0019にも記載されているように、モーター駆動に必要な駆動電圧VABおよびVACの波形相互間の位相差を、コンデンサーを用いることなく、駆動用のインバータのトランジスタを適宜制御することで設定することができており、これにより、コンデンサの使用に伴う問題を回避している。また、特許文献1の回路においては、図1および図3からわかるように、モーター駆動電圧VABは、時間軸上で、最大の場合には(例えば図3の周期"f"の期間が開始する時点で)、駆動回路自体(図1の3つのインバータ)にとっての電源電圧である整流回路2,3の出力電圧と、同じ大きさになっている。もう一つの駆動電圧VACについても同様である。即ち、特許文献1においては、駆動回路は、駆動電圧、即ち3つの出力電位(A,B,C)の間の電位差(VAB,VAC)を、駆動回路自体の電源電圧と同じ大きさのものとすることができ、これをモータに印加する構成となっているので、結果的に高い駆動能力を有するものとなっている。
しかしながら、本願発明者の検討によると、引用文献1の駆動回路においては、駆動電圧VABやVACを、相対的に90度の位相差を保ちつつ、同時に、それぞれは電源電圧と同じ大きさの駆動電圧として生成する工夫の表れとして、各駆動電圧VABやVACを、その波形が不連続な階段状になるいわゆる矩形波として出力しなければならず、結局、モーターに印加される駆動電圧が、時間的に不連続に変動することとなっている。その為、特許文献1の技術では、安定し又はスムーズなモーター駆動を行うことができず、回転のむらや、振動、騒音、及びそれによる耐用年数の劣化等を生じ、安定乃至精密なモーター駆動には、適用することができないという問題がある。
本願の実施例によるモータ制御装置においては、モータに変調電圧を供給する三相インバータと、モータの基準電圧端子に対応する相の変調電圧を位相に応じて変化させて、三相インバータの相間電圧を制御する制御部とを有し、制御部は、基準電圧端子に対応する相を含む相間電圧が、実質的な連続波形を持つと共に、三相インバータの最大出力電圧の1/2よりも大きくなるよう制御する。この構成により、連続波形の駆動電圧を発生してモーター駆動を安定かつ高精度のものとすると共に、同時に、モーターに印加される駆動電圧を、駆動回路の最大電圧の1/2より大きくすることが可能となり、駆動効率を向上させることができる。
また、本願発明の実施態様として、三線式モータの駆動回路であって、駆動のための第1及び第2の電源電位の供給を受けて動作し、第1の電位を出力する第1の出力回路部、第2の電位を出力する第2の出力回路部、第3の電位を出力する第3の出力回路、及び、第1乃至第3の出力回路部を制御して第1乃至第3の電位を発生させる制御回路を有し、制御回路は、第1乃至第3の電位のいずれも第1の電源電位との差が正弦波形を有さず、かつ、第1及び第2の電位の差は正弦波形を有するように、第1及び第2の出力回路部を制御する駆動回路を得る。この構成により、連続波形の駆動電圧を発生してモーター駆動を安定かつ高精度のものとすると同時に、モーターに印加される駆動電圧を、駆動回路の最大電圧の1/2という制限を受けることなく適宜設定することが可能となり、モーター駆動の安定度、精度、駆動能力を必要に応じて最適化することが可能となる。
本発明によれば、安定または高精度でかつ効率よくモータを動作させることができるモータ制御装置及びモータ制御方法を提供することができる。
本願発明者の検討したところによれば、モーター駆動に際しては、駆動回路から出力される駆動電圧は、連続波形を有する電圧とすることが望ましく、同時に、その駆動電圧を駆動回路自体の電源電圧にできるだけ近づけるように大きな電圧としつつ、さらに、駆動電圧相互の間で所定の位相差が保たれるようにすることが望ましい。こうした条件を満たすことは実際上容易ではないことから、以下に本願実施例を説明するに際して、説明をわかりやすくするために、検討の過程における単純な駆動回路の例に触れながら説明する。
図8及び図9は、それぞれ、本願発明者の検討事例としての、駆動回路とその出力である駆動電圧の例を示す。図8の駆動回路において、AC電源101からのAC電圧が整流回路102によって、DC電圧に変換される。そして、整流回路102から出力されたDC電圧がインバータ回路103に入力される。インバータ回路103は、三相インバータであり、第1のインバータ111、第2のインバータ112、及び第3のインバータ113を有している。そして、インバータ回路103は、電圧を変調して出力する。
ここで、各トランジスタはパルス幅変調(PWM)等の方法で個別に駆動され、出力となる節点C,S,Mにおける電位は、微視的には若干滑らかさを書く形状、たとえば角のある形状を残した波形となっても、モーター駆動に実質的に影響を与えない程度の時間分解能で変調を行うことによって、実質的には連続性を有する任意の連続波形を作り出すことが可能である。特に、モーター駆動を行う場合には、節点M及びCにおいて得られる変調電位をそれぞれ時間的に正弦波の形状とすることで、安定した高精度のモーター駆動を行うことが可能となる。このようにして、インバータ回路103の各相から出力された変調電圧が、モータ105に入力される。図9は、インバータ回路103から出力される変調電圧の変調パターンを示す図である。図9において、横軸が位相、縦軸が電位になっている。また、図9では、インバータ回路103に入力されるDC電圧の接地電位(グランド)を基準電位としている。したがって、接地電位を0としている。インバータ回路103に入力されるDC電圧の電源電位を2としているため、M電位、S電位は0〜2の間で変化している。
モータ105は、三線式単相誘導モータであり、主巻線152、補助巻線153、及び基準電圧端子151を有している。そして、インバータ回路103から出力される変調電圧は、主巻線152、補助巻線153、及び基準電圧端子151にそれぞれ入力される。具体的には、第1のインバータ111からの変調電圧は、基準電圧端子151に供給される。第2のインバータ112からの変調電圧は、主巻線152に供給される。第3のインバータ113からの変調電圧は、補助巻線153に供給される。なお、基準電圧端子151は、主巻線152、及び補助巻線153に接続されている。
ここで、第1のインバータ111の出力端子の電位をC電位とし、第2のインバータ112の出力端子の電位をM電位とし、第3のインバータ113の出力端子の電位をS電位とする。なお、C電位は、基準電圧端子151の電位と等しくなっている。C電位を基準電位とすると、主巻線152に印加される相間電圧Vmc、及び補助巻線153に印加される相間電圧Vscは、それぞれM電位−C電位、S電位−C電位となる。相間電圧Vmcと相間電圧Vscの位相は、90°ずれている。このようなインバータ回路103を用いれば、外付けコンデンサが不要になり、始動電流の低減、及び可変速度運転が可能になる。
しかしながら、図8及び図9に示す駆動回路の検討事例では、波形を連続的なものとしたために、以下の問題点がある。即ち、まず、この駆動回路によると、M電位がsinθにしたがって変化し、90°位相がずれているS電位はsin(θ+90°)にしたがって変化している。M電位及びS電位の振幅は1となっている。また、C電位は接地電位と電源電位との中間電位で固定されている。すなわち、C電位は、1で固定されている。
C電位が1に固定されているため、相間電圧Vmc、Vscの最大値は、1となる。なお、相間電圧Vmc、Vscが最大値を取る位相は、135°、315°である。このように、駆動回路自体の電源電圧にあたるDC電圧(図の縦軸の目盛で"2"の大きさ)の半分の振幅を持つAC電圧しか、主巻線152、及び補助巻線153に出力できない。
上記のような変調パターンで制御する場合、主巻線152、及び補助巻線153に印加される相間電圧Vmc、Vscを大きくすることが困難であった。すなわち、相間電圧Vmc、Vscを大きくするためには、インバータ回路103に入力するDC電圧を上げなければならない。このように、図8及び9の検討事例では、インバータ回路103に入力されるDC電圧が決まると、モータ105に出力する相間電圧を上げることができないという問題点がある。そのため、モータ105の出力を上げることができず、また消費電流が増え、効率が低下してしまう。モータ105の負荷等に応じて、印加されるAC電圧がさらに低下してしまう。このように、この検討事例では、十分なインバータ駆動の効果を得ることができないという問題点がある。
つまり、図8及び9の検討事例の制御方法では、一方では、連続的な波形、例えば正弦波の駆動電圧を生じさせているので、モーターの安定性を実現することは可能になるが、他方では、インバータ回路からモータに対して、DC電圧の1/2の振幅を持つAC電圧しか出力できないために、相間電圧の振幅、つまり駆動電圧を高くすることが困難であり、効率よくモータを動作させることができないという問題点がある。そこで、本願発明者は、この検討事例からさらに検討を重ねた。以下に、本願の実施例を説明する。以下の説明は、実施形態の一例であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。説明の明確化のため、以下の記載においては、検討事例に関連して説明した点については適宜、省略及び簡略化がなされている。又、当業者であれば、以下の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能であろう。尚、各図を通して同一の符号を付されたものは同様の要素を示しており、適宜、説明が省略される。
本実施の形態にかかるモータ制御装置について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態にかかるモータ制御装置の構成を示す図である。モータ制御装置は、モータ15を駆動するため、整流回路12とインバータ回路13と制御部14とを有している。ここでは、モータ15が三線式単相誘導モータであるとして説明する。したがって、モータ15は、基準電圧端子51、主巻線52、及び補助巻線53を有している。主巻線52、及び補助巻線53は、例えば、モータ15の固定子に設けられているインダクタンスである。そして、主巻線52、及び補助巻線53に電圧を印加することで、磁界が発生する。この磁界によって、モータ15が回転する。
整流回路12には、AC電源11からのAC電圧が入力される。なお、AC電源11は、例えば、商用の交流電源などの単相交流電源である。従って、AC電源11は、AC100V(ピーク値141V)の電圧を出力する。整流回路12は、コンバータであり、入力されたAC電圧を整流する。すなわち、整流回路12は、AC電圧をDC電圧に変換する。整流回路12から出力されるDC電圧をE(V)とする。ここでは、整流回路12として、倍電圧整流回路が用いられている。したがって、無負荷時において、整流回路12は約280VのDC電圧を出力する。また、モータ15が最大負荷の状態では、整流回路12は、225VのDC電圧を出力する。
このように、整流回路12は、モータ15の負荷に応じて225〜280Vの間のDC電圧を出力する。整流回路12は、DC電圧を出力するDC電源としての機能を有する。整流回路12の出力の一方が電源電位になっており、他方が接地電位(グランド)になっている。ここでは、図1中、整流回路12からの出力のうち、上側が電源電位になっており、下側が接地電位(G)になっているとして説明する。
整流回路12からのDC電圧は、インバータ回路13に入力される。インバータ回路13は、三相ブリッジインバータであり、モータ15を駆動するためのAC電圧を出力する。インバータ回路13は、第1のインバータ31、第2のインバータ32、及び第3のインバータ33を有している。第1乃至3のインバータはそれぞれ、2つのトランジスタと2つのダイオードとを有している。各インバータでは、2つのトランジスタが直列に接続されている。さらに、それぞれのトランジスタには、ダイオードが並列に接続されている。このように、インバータ回路13は6つのトランジスタ、及び6つのダイオードを有している。トランジスタとしては、パワートランジスタやIGBTを用いることができる。
第1乃至第3のインバータのそれぞれでは、トランジスタ間のノードがインバータ回路13の出力端子に接続されている。図1に示すように、第1のインバータ31の出力端子を第1の出力端子34とし、第2のインバータ32の出力端子を第2の出力端子35とし、第3のインバータ33の出力端子を第3の出力端子36とする。ここで、基準電圧端子51に対応する相をC相とし、主巻線52に対応する相をM相とし、補助巻線53に対応する相をS相とする。また、C相の電位をC電位、M相の電位をM電位、S相の電位をS電位とする。従って、第1の出力端子34の電位はC電位に、第2の出力端子35の電位はM電位に、第3の出力端子36の電位はS電位になっている。
インバータ回路13は、制御部14により制御されて、変調電圧をモータ15に出力する。モータ15は、単相交流モータである。第1のインバータ31は、基準電圧端子51に第1の変調電圧を出力する。従って、基準電圧端子51は、第1の出力端子34と接続され、C電位になっている。
また、第2のインバータ32は、主巻線52に第2の変調電圧を出力し、第3のインバータ33は、補助巻線53に第3の変調電圧を出力する。したがって、主巻線52は、第2の出力端子35と接続され、M電位になり、補助巻線53は、第3の出力端子36と接続され、S電位になる。ここで、基準電圧端子51は、主巻線52、及び補助巻線53に共通のC電位を供給する。すなわち、主巻線52の一端は、第2の出力端子35と接続され、他端は基準電圧端子51と接続されている。これにより、主巻線52には、M電位とC電位の差の相間電圧Vmcが印加される。同様に、補助巻線53の一端は、第3の出力端子36と接続され、他端は基準電圧端子51と接続されている。これにより、補助巻線53には、S電位とC電位の差の相間電圧Vscが印加される。
相間電圧Vmcは、第2の出力端子35と第1の出力端子34との間の第1の相間電圧に対応する。電圧Vscは、第3の出力端子36と第1の出力端子34との間の第2の相間電圧に対応する。従って、主巻線52と基準電圧端子51との間には、第1の相間電圧Vmcが印加され、補助巻線53と基準電圧端子51との間には、第2の相間電圧Vscが印加される。
制御部14は、モータ15に所望の変調電圧を出力するために、インバータ回路13を制御する。制御部14は、例えば、インバータ回路13を制御するためのマイクロコントローラであり、PWMタイマ41とA/D変換器42とを有している。PWMタイマ41は、三角波比較法によって、6相のPWM(Pulse Width Modulation)信号を出力する。すなわち、制御部14は、PMWにより、インバータ回路13の各トランジスタのON/OFFを制御するための制御信号を出力する。これにより、トランジスタのON/OFFが切換えられ、各相の電位が電源電位又は接地電位になる。このため、トランジスタがスイッチングするタイミングを調整することで、PWMのデューティを変更することができる。これにより、所望の変調パターンに応じた変調電圧が相電圧として出力される。さらに、A/D変換器42は、相電流を検出する。
具体的には、PWMタイマ41は、例えば、アップダウンカウンタによって、キャリア波である三角波を生成する。このキャリア波の周期は、モータ15に出力する変調電圧の周期よりも十分早くなっている。即ち、PWMタイマ41からの出力を適宜制御することによって、モータ15に出力する変調電圧の波形を所望の連続波形として生成することができる。また、PWMタイマ41は、例えば、テーブルから指令値をコンペアレジスタに読み込み、その指令値をコンパレータによってアップダウンカウンタのカウント値と比較する。テーブルには、出力したい変調電圧に応じた指令値が記憶されている。また、テーブルには位相に応じて異なる指令値が記憶されている。そして、出力したい変調電圧に対応する指令値を三角波の値と比較して、指令値が三角波の値よりも大きいときは、パルスを出力する。反対に、指令値が三角波よりも小さいときは、パルスを出力しない。従って、インバータ回路13からのPWM出力は、指令値に対応したデューティとなる。クロックにしたがってテーブルから順番に指令値を読み出すことによって、PMW出力のデューティが位相に応じて変化する。そして、インバータ回路13から出力される変調電圧は、デューティに応じて変化する。
例えば、変調電圧は、PMW出力のデューティが0のとき最小出力電圧となり、デューティが1のとき最大出力電圧となる。すなわち、デューティが0となる位相では変調電圧が0Vとなり、デューティが1となる位相で変調電圧がピーク電圧(波高値)となる。このピーク電圧は、電源電位と接地電位との差に対応する。ここで、変調電圧のピーク電圧を最大出力電圧E(V)とする。最大出力電圧Eは、電源電位と接地電位との差になり、インバータ回路13に入力されるDC電圧と等しくなる。なお、制御部14は、各相における2つのトランジスタが同時にONしないように、デッドタイムを付加している。これにより、短絡を防止でき、インバータ回路13を過電流から保護することができる。
変調電圧の変調パターンは、それぞれの相で異なっている。すなわち、制御部14では、各相に対して予め決められた変調パターンに対応する指令値がテーブルに記憶されている。そして、制御部14は、その指令値にしたがって、デューティーを変化させていく。これにより、各相の変調電圧が異なる変調パターンに変調される。この変調パターンについては後述する。なお、テーブルに格納する指令値は、制御部14で算出されてもよく、メモリ等に予め記憶されていてもよい。もちろん、上記の方法と異なる方法で、電圧を変調してもよい。
次に、本実施形態の特徴部分の一つである変調パターンを導出する方法について、図2を検討しながら説明する。図2は、先の検討事例における波形図である図9と同様の波形図であるが、C電位を基準電位としたときの各相の電位変化を示す図とし、また説明のため、M電位、及びS電位の振幅を1としているため、図9とは縦軸の目盛が異なり、M電位は、−1〜1の間をsinθにしたがって変化する。また、S電位は−1〜1の間をsin(θ+90°)にしたがって変化する。横軸は位相を示す。
従って図2において、MC間の電圧Vmc及びSC間の電圧Vscはそれぞれ、Vmc=sinθ、Vsc=sin(θ+90°)となる。すなわち、相間電圧Vmcはsinθにしたがって変化する正弦波のAC電圧であり、相間電圧Vscはsin(θ+90°)にしたがって変化する余弦波のAC電圧である。すると、M相とS相との間の相間電圧をVmsとすると、Vmsは以下に示すようになる。
Vms=Vmc−Vsc=sinθ−sin(θ+90°)=sinθ−cosθ
Vms=Vmc−Vsc=sinθ−sin(θ+90°)=sinθ−cosθ
ここで、相間電圧Vmsの絶対値が最大となる最大電圧点を求める。ここで、最大電圧点では、d(Vms)/dθ=0となるはずなので、そのときの位相と値は以下のようになる。
d(Vms)/dθ=cosθ+sinθ
θ=135°でVms=+√2、θ=315°でVms=−√2
d(Vms)/dθ=cosθ+sinθ
θ=135°でVms=+√2、θ=315°でVms=−√2
即ち、以上の考察から、この三線式単相の給電パターンにおいて、MS間の最大電圧は、θ=135°、315°の位相において現れること、及び、そのMS間の最大電圧が、図2のスケールでは、絶対値において、√2であることがわかるのである。そして、MC間、及びSC間の電位差は、図から明らかに、最大でも1であるから、結局、3つの変調出力M,S,Cの相互間の電位差の最大値は、MS間における√2である、ということがわかる。駆動回路の電源電圧、即ち電位M,S,Cそれぞれの電位が変動し得る最大幅は、図2のスケールでは、先に説明したように2である。そこで、MS間の電圧の最大値√2を2に近づけるように、各電位M,S,Cの波形図を、縦軸方向に、2/√2倍を限度として引き伸ばすように拡大することができれば、モータ15に印加されるAC電圧のピーク電圧を、駆動回路の電源電圧の幅である"2"を有効利用した、効率の良い電圧レベルに向上することができる。具体的には、電源電圧をEとすると、MC電圧の最大値を、図9や図2の方式によったのではE・√2/2に過ぎないところ、最大で、Eまで向上することができることになる。駆動電圧VmcやVscをそれぞれ一個のAC波形と見た場合の振幅という観点では、図2や9では、その振幅はE/2であったところ、最大ではその2/√2倍、即ち、振幅をE/√2にすることが可能となる。すなわち、Vmc及びVscの波高値を大きくすることができる。検討事例の変調方法では、AC電圧の振幅がE/2であったことから、本実施例に拠れば、検討事例の変調方法よりも、ピーク電圧を最大では約40%(=√2)アップさせることができることになる。なお、必ずしも√2倍まで電圧を増大させる必要は無く、必要に応じて適宜の倍率を用いてもよく、図2や図9のようにC電位を一定としつつ他の電位M、Sをこれに対する正弦波形で変化させる場合に比べて大きくなる程度に増大させれば、モーター駆動を効率化することができる。このように、本実施形態によればAC電圧の波高値を大きくすることができ、効率よくモータ15を動作させることが可能になる。
ここで、実際の変調電圧の変調パターンについて、√2倍まで増大させる例を用いて説明する。図2に示すパターンにおいて、以下の(1)〜(3)の条件を満足するパターンを導出する。
(1)1周期を複数の位相区間に分割して、各区間において、最大の電位を取る位相の波形をE(+)側に貼り付けるか、または、最低の電位を取る位相の波形をG(−)側に貼り付ける。ここで、貼り付ける、とは、その位相の波形が図2において描いている曲線を、一定値を取るように上下方向に変形させつつ、かつ、その一定値がE(V)または0(V)となるように上下方向に平行移動させ、さらに同時に、その区間の他の全ての位相の波形を、これに伴って同じように、上下方向に変形させかつ上下方向に平行移動させることをいう。ここでは例えば、三角関数の性質を考慮して、90°毎で考え、4つの位相区間に分割する。その際、位相区間において、最大電位を取る位相をE(+)側に貼り付けるか、または最低電位を取る位相をG(−)側に貼り付ける。そうすることで、135°、315°で絶対値Eを得ることができ、また、波高最大値を得る。ここでは、135°を含む90°〜180°の区間において、M電位が最大電位で一定になるように上下方向に変形及び平行移動し、315°を含む270°〜360°の区間において、S電位が最大電位で一定になるように上下方向に変形及び平行移動する。同じ区間内の他の移送波形にもこれに伴って同じ操作を加える。
(2)位相135°、315°における相間電圧Vmsを、駆動回路の電源電圧であるDC電圧=E(V)に対応するように拡大変形する。すなわち、θ=135°、315°において、相関電位差Vmsが持つピーク値が、図2の√2倍まで増大するように、各位相MとSの位相の波形図をそれぞれ拡大変形して、それらの間隔、即ち電位差Vmsの値を、DC電源と同じEとする。具体的には、135°、315°において、M電位及びS電位の各波形うちの一方を最大電位E(V)になるように変形し、同時に他方を最小電位0(V)になるように変形する。なお、135°と315°とでは、両者の大小関係を入れ替える。
(3)以上の操作において、Vms=sinθ、Vsc=sin(θ+90°)となるように、すなわち、相間電圧Vscの位相を相間電圧Vmsから90°ずらすようにする。
(3)以上の操作において、Vms=sinθ、Vsc=sin(θ+90°)となるように、すなわち、相間電圧Vscの位相を相間電圧Vmsから90°ずらすようにする。
上記の(1)〜(3)の条件が成立するよう、インバータ回路13の接地電位(G)からC相、M相、S相の電位を変化させていく。すなわち、C電位、M電位、及びS電位を、位相に応じて、接地電位から電源電位までの間で変化させる。ここで、接地電位を基準電位とした各相の電位が変調電圧となる。
上記の条件を満たすように生成された変調パターンを図3に示す。なお、(2)の条件の取り方を変えることで、複数の変調パターンを生成することができる。図3は、生成される変調パターンの一例を示している。なお、図3において、横軸は位相、縦軸は各相の変調電圧(相電圧)を示している。また、説明の簡略化のため、変調電圧の最大値を2としている。すなわち、図3の縦軸における0が接地電位に対応し、2が電源電位に対応する。なお、変調電圧の最大値がインバータ回路13から出力される最大出力電圧Eに対応する。すなわち、E=2としている。M相、S相、C相の変調電圧Vmg、Vsg、Vcgはそれぞれ0〜2の間で変化している。ここで、図3に示す変調電圧の変調パターンは、以下の式で表される。
(a)0°≦θ<90°
Vmg=√2×sinθ
Vsg=√2×sin(θ+90°)
Vcg=0
(b)90°≦θ<180°
Vmg=√2×√2
Vsg=(√2−sinθ+sin(θ+90°))×√2
Vcg=(√2−sinθ)×√2
(c)180°≦θ<270°
Vmg=(√2+sinθ)×√2
Vsg=(√2+sin(θ+90°))×√2
Vcg=√2×√2
(d)270°≦θ<360°
Vmg=(√2+sinθ−sin(θ+90°))×√2
Vsg=√2×√2
Vcg=(√2−sin(θ+90°))×√2
Vmg=√2×sinθ
Vsg=√2×sin(θ+90°)
Vcg=0
(b)90°≦θ<180°
Vmg=√2×√2
Vsg=(√2−sinθ+sin(θ+90°))×√2
Vcg=(√2−sinθ)×√2
(c)180°≦θ<270°
Vmg=(√2+sinθ)×√2
Vsg=(√2+sin(θ+90°))×√2
Vcg=√2×√2
(d)270°≦θ<360°
Vmg=(√2+sinθ−sin(θ+90°))×√2
Vsg=√2×√2
Vcg=(√2−sin(θ+90°))×√2
制御部14は、インバータ回路13から出力される変調電圧を上記の式にしたがって変化させる。すなわち、PMW出力の指令値は、上記の式に基づいて設定されている。そして、各位相での指令値をテーブルに格納させておき、順次指令値を読み出していく。これにより、図3に示す変調パターンの変調電圧を出力することができる。
図3に示すように、Vcgは、0°〜90°の区間では0で一定であり、及び180°〜270°の区間では2で一定であるが、90°〜180°、及び270°〜360°の区間では、変化している。さらに、θ=135°を含む90°〜180°の区間において、Vcgが単調増加して、Vmgが最大出力電圧で一定になる。また、θ=315°を含む270°〜360°の区間において、Vcgが単調減少して、Vsgが最大出力電圧で一定になる。このような変調パターンを用いることで、相間電圧Vmc、Vscのピーク電圧を向上することができる。
なお、図3に示す変調パターンでは、θ=90°、360°において、非連続点が存在してしまう。すなわち、90°、360°の前後において、変調電圧が急激に増加又は減少してしまう。実使用上、このような非連続点を避けることが好ましい。すなわち、各相の変調電圧を連続して変化させることが好ましい。そこで、非連続点を避けた変調パターンを図4に示す。図4では、非連続点を避けるため、0°〜90°におけるVcgの値にバイアスを与えている。
(a')0°≦θ<90°
Vmg=(sinθ+√2−1)×√2
Vsg=(sin(θ+90°)+√2−1)×√2
Vcg=(√2−1)×√2
(b')90°≦θ<180°
Vmg=√2×√2
Vsg=(√2−sinθ+sin(θ+90°))×√2
Vcg=(√2−sinθ)×√2
(c')180°≦θ<270°
Vmg=(√2+sinθ)×√2
Vsg=(√2+sin(θ+90°))×√2
Vcg=√2×√2
(d')270°≦θ<360°
Vmg=(√2+sinθ−sin(θ+90°))×√2
Vsg=√2×√2
Vcg=(√2−sin(θ+90°))×√2
Vmg=(sinθ+√2−1)×√2
Vsg=(sin(θ+90°)+√2−1)×√2
Vcg=(√2−1)×√2
(b')90°≦θ<180°
Vmg=√2×√2
Vsg=(√2−sinθ+sin(θ+90°))×√2
Vcg=(√2−sinθ)×√2
(c')180°≦θ<270°
Vmg=(√2+sinθ)×√2
Vsg=(√2+sin(θ+90°))×√2
Vcg=√2×√2
(d')270°≦θ<360°
Vmg=(√2+sinθ−sin(θ+90°))×√2
Vsg=√2×√2
Vcg=(√2−sin(θ+90°))×√2
図4に示すように、変調電圧Vcg、Vmg、Vsgが位相に応じて連続的に変化している。非連続点が存在しなくなるため、端子電位が急激に変化するのを防ぐことができる。これにより、効率よく、モータを動作させることができる。また、図4に示す変調パターンにすることで、上記と同様の効果を得ることができる。この場合も、上記の式に応じた指令値をテーブルに設定する。
図2と図4とを比較し、特に、それぞれの図を、4つの位相区間(0°−90°、90°−180°、180°−270°、270°−360°)に分割し、区間ごとに図2と図4とを見比べると、3つの変調出力の位相M、S、Cの各波形に対して、上記の(1)、(2)及び(3)の操作を行うことによって、相間の電位差の関係を相似拡大して駆動効率を高めつつ、同時に、3つの相の波形それぞれは、全て、駆動回路の電源電圧(図の縦軸で"2"の大きさ)の中に納められていることが、明瞭に見て取れる。
次に、図4で示した変調パターンでの相間電圧を図5に示す。また、比較例として、従来のC電位を一定としたときの変調パターンによる相間電圧を図6に示す。図5、図6では、横軸が位相、縦軸が電圧を示している。また、図5、図6では、相間電圧Vmc、Vscとともに、変調電圧Vmg、Vsg、Vcgが示されている。
(1)の条件から、θ=135°において、M電位が最大電位、S電位が最低電位になっている。このため、この位相で、Vmsは最大値(=2)を取る。また、θ=315°において、M電位が最低電位、S電位が最大電位になっているため、Vmsは最小値(=−2)を取る。θ=135°、315°における相間電圧Vmsの絶対値が、インバータ回路13の最大出力電圧に対応する。θ=135°、315°において、変調電圧Vcgは最大出力電圧の中間電圧になっている。すなわち、θ=135°、315°において、変調電圧Vcgは1になっている。θ=135°、315°における相間電圧Vmc、Vscの絶対値は1になる。
θ=135°の前後で、M電位が最大電位で一定になり、変調電圧Vmgが一定になっている。また、90°〜180°では、Vcgが−sinθにしたがって増加している。このため、θ=135°よりも前の位相では、変調電圧Vcgが変調電圧Vmgよりも急激に減少している。Vmcは、135°よりも前の位相において、1を越える。具体的には、45°〜135°の間において、Vmcは1を越え、θ=90°で最大値(=√2)となる。相間電圧Vmcが最大値となる位相は、相間電圧Vmsが最大値となる位相からずれている。
また、θ=315°で、M電位が最低電位になっているが、315°を含む区間では変調電圧Vmgが一定になっていない。すなわち、270°〜360°の区間では、変調電圧Vmgがsinθ−sin(θ+90°)にしたがって変化している。変調電圧Vmgの傾きは、θ=315°の前後で、負から正に変化している。また、この区間では、変調電圧Vcgが−sin(θ+90°)にしたがって単調減少している。このため、315°よりも前の位相では、変調電圧Vcgが変調電圧Vmgよりも急激に減少している。これにより、相間電圧Vmcは、315°よりも前の位相において、−1を越える。具体的には相間電圧Vmcは、225°〜315°の間において、−1を越え、θ=270°で最小値(=−√2)となる。相間電圧Vmcの絶対値が1を超え、最大出力電圧の1/2よりも大きくなる。相間電圧Vmcの振幅は、√2となる。すなわち、相間電圧Vmcの振幅は最大出力電圧の1/2よりも大きくなる。このように、相間電圧Vmcの絶対値が最大値となる位相(90°、270°)が、相間電圧Vmsの絶対値が最大値となる位相(135°、315°)からずれている。
一方、図6に示すように、C電位を中間電圧で一定にした場合、θ=90°においてVmc=1となり、この値が相間電圧Vmcの最大値になる。また、θ=270°において、Vmc=−1となり、この値が最小値となる。従って、相間電圧Vmcの振幅を最大出力電圧の1/2よりも大きくすることができない。上記のように、本実施の形態にかかる変調パターンによって、モータ15に印加可能な相間電圧を高くすることができる。すなわち、相間電圧Vmcの波高値を大きくすることができる。
上記のように、θ=135°、315°で相間電圧Vmsの絶対値が最大となる。これらの位相の前後で、変調電圧Vcgよりも変調電圧Vmgを急激に変化させる。例えば、変調電圧Vcgが中間電圧となる位相(θ=135°)を含む区間において、変調電圧Vmgを最大出力電圧で一定にする。さらに、θ=135°の前後で、変調電圧Vcgが単調減少する。これにより、相間電圧Vmcの振幅が最大出力電圧の1/2を超える。あるいは、変調電圧Vcgが中間電圧となる位相(θ=315°)を含む区間において、変調電圧Vmgを最大出力電圧で一定にしない場合、変調電圧Vcgよりも変調電圧Vmgを急激に変化させる。変調電圧Vmgが最大出力電圧となる位相の前後では、変調電圧Vcgの傾きの絶対値を、変調電圧Vmgの傾きの絶対値よりも大きくする。すると、変調電圧Vcgが変調電圧Vmgよりも急激に減少する。このようにすることで相間電圧Vmcの振幅が、E/2を越える。
さらに、変調電圧Vsgも、変調電圧Vmgと同様の変調パターンを有している。従って、相間電圧Vscの振幅も、最大出力電圧Eの1/2より大きくなる。例えば、相間電圧Vscが270°〜360°の位相区間で一定になっている。従って、315°〜45°の間で変調電圧Vscが1を越え、0°で最大値(=√2)を取る。また、135°〜225°の間で変調電圧Vscが−1を超え、180°で最小値(=−√2)を取る。このように、この実施例によると、3つの相M、S、Cそれぞれを(1)(2)(3)のように変形することによって、各相の間の電位差としては、相似拡大することができており、従って、相間電位差(VscとVmc)はいずれも正弦波形を維持しており、また相関電位差VscとVmcとの間の位相のずれの関係も全く乱すことなく維持できており、かつ、相間電位差VscとVmcを、電源電圧に近づけるように増大して駆動能力を増大することまでも同時に実現しているのである。
このような変調パターンを用いることで、相間電圧Vmc、Vscの振幅を最大出力電圧Eの1/2よりも大きくすることができる。すなわち、整流回路12からの出力電圧が同じ場合でもあっても、従来の変調方法に比べて、変調電圧の波高値を高くすることができる。これにより、主巻線52、及び補助巻線53に印加される相間電圧Vmc、Vscを高くすることができる。従って、効率よくモータを回転させることができる。また、モータ15のトルクを上げることができる。さらに、回転数制御範囲のアップ、モータ15の最大出力のアップ、電流低減、及び効率アップ等の効果を得ることができる。モータ15を高速に回転させる場合でも安定した駆動が可能になる。モータ15に最大負荷がかかっている場合でも、インバータ化前のモータ電圧(AC100V)を越える相間電圧(AC112V)の出力が可能になる。
さらに、変調電圧Vmg、Vsgの変調率を変更することによって、相間電圧Vmc、Vscの波高値を変えることが可能である。これにより、モータ15を効率よく動作させることができる。なお、変調率とは、相間電圧Vmc、Vscの波高値を表す比率であり、相間電圧の波高値が最大出力電圧の√2倍となるときを100%とする。例えば、変調率を約70%(=1/√2)とすると、変調電圧の波高値は、最大出力電圧Eと略等しくなる。この変調率を変えることで、相間電圧の振幅を最適化することができる。例えば、変調率を小さくするほど、相間電圧Vmc、Vscの波高値が小さくなる。
ここで、全ての相間電圧を比例的に調整する際の変調率を全体変調率とする。すなわち、全体変調率を変えることで、相間電圧Vms、Vsc、Vmsを同じ割合だけ変化させることができる。また、相間電圧Vmcのみを調整する際の変調率をM相の変調率とし、相間電圧Vscのみを調整する際の変調率をS相の変調率とする。例えば、M相の変調率のみを調整すると、Vmcの波高値が変化して、Vscの波高値は変化しない。同様に、S相の変調率のみを調整すると、Vscの波高値が変化して、Vmcの波高値は変化しない。なお、モータ15を制御するため、全体変調率を設定した上で、各相の変調率を調整することができる。従って、例えば、M相の実際の変調率は、全体変調率とM相の変調率との積になる。
変調率が変わると、図4と異なる変調パターンになる。すなわち、変調率に応じて変調パターンが変化する。実際の変調率が100%のときの変調パターンを基準パターンとして、変調率を変えたときの変調パターンを求めることができる。すなわち、制御部14は、基準パターンを基に、変調率に応じた変調パターンを生成する。ここで、変調率を考慮した変調パターンの求め方について説明する。
実際の変調率が100%のときの変調電圧をVmg、Vsg、Vcgとし、変調率を考慮した変調電圧をVmg'、Vsg'、Vcg'とする。なお、変調電圧Vmg、Vsg、Vcgは図4に示す変調パターンで表される。まず、各相の変調率が100%で、全体変調率のみが変化した場合について説明する。
全体変調率のみが変化した場合、変調率を考慮した変調電圧は以下の式で表される。
Vmg'=Vmg×(全体変調率)
Vsg'=Vsg×(全体変調率)
Vcg'=Vcg×(全体変調率)
従って、相間電圧Vmc,相間電圧Vscを一定の割合で変化させる場合、基となる変調パターンの式に、全体変調率をかければよい。
Vmg'=Vmg×(全体変調率)
Vsg'=Vsg×(全体変調率)
Vcg'=Vcg×(全体変調率)
従って、相間電圧Vmc,相間電圧Vscを一定の割合で変化させる場合、基となる変調パターンの式に、全体変調率をかければよい。
さらに、M相の変調率が変化した場合、変調率を考慮したM相の変調電圧は以下のようになる。
Vmg'=Vmg×(全体変調率)×(M相の変調率)+Vcg−Vcg×(M相の変調率)
Vmg'=Vmg×(全体変調率)×(M相の変調率)+Vcg−Vcg×(M相の変調率)
ここで、上記の式から求めた変調パターンを図7に示す。図7は、全体変調率を100%とし、M相の変調率を70%にしたときの変調パターンを示している。図7に示すように、相間電圧Vmcの波高値が変化している。ここでは、変調電圧Vmgのみ、変調パターンが変化し、変調電圧Vsg、Vcgの変調パターンは、図4と同じになっている。そして、波高値が70%になっているため、相間電圧Vmcの波高値が図5に比べて小さくなっている。なお、相間電圧Vscの波高値は、図5と同じになっている。具体的には、相間電圧Vmcの波高値が2になり、相間電圧Vscの波高値が2√2になっている。このように、M相の変調率を調整することで、相間電圧Vmcのみを変えることができる。
さらに、S相についても上記の式と同様に式で、Vsg'を求めることができる。これにより、相間電圧Vmcと相間電圧Vscを異なる波高値にすることができる。なお、C相の変調率は、常時、100%で一定にしておくため、Vcg'は全体変調率に応じてのみ変化する。
制御部14は、実際の変調率が100%のときの変調パターンを基準変調パターンとして記憶する。そして、制御部14は、全体変調率、M相の変調率、及びS相の変調率に応じて、変調パターンを変化させる。具体的には、(a')〜(d')の式を基に、全体変調率、M相の変調率、及びS相の変調率を考慮して、PMW出力の指令値を算出する。そして、この指令値をテーブルに記憶させる。これにより、変調パターンを変調率に応じて変えることができる。例えば、電源電圧が変わったときに、電源電圧をモニタしておけば、指令値を簡単に変更することができる。
上記のように、変調率という概念を導入することで、変調パターンの生成を容易に行うことができる。これにより、主巻線52と補助巻線53の電圧比や位相の調整を容易に調整することができる。例えば、主巻線52と補助巻線53との位相差や電圧比に関するモータの特性を表す係数(例えば、α、β)を容易に調整することができる。すなわち、相間電圧Vscと相間電圧Vmcとの波高値を異なる値にすることが可能になる。よって、モータの駆動状態を最適化することができ、モータを効率よく回転させることが可能になる。
もちろん、全体変調率、及び各相の変調率は、任意の値に設定することが可能である。この場合も、(a')〜(d')の式から算出することができるため、指令値を容易に求めるができる。よって、簡単な制御で効率よくモータ15を回転させることができる。もちろん、基準変調パターンが異なる場合、(a')〜(d')の式と異なる式から指令値が算出される。
なお、変調電圧の変調パターンは、図3、及び図4に限られるものではない。すなわち、基準電圧端子51に対応するC相を含む相間電圧Vmc、Vscが、インバータ回路13の最大出力電圧Eの1/2よりも大きくなるようなパターンであればよい。換言すると、基準電圧端子51に対応する相以外の2つのM相、S相の相間電圧Vmsの最大値が、インバータ回路13の最大出力電圧Eと等しくなるようなパターンであればよい。
11 AC電源、12 整流回路、13 インバータ回路、14 制御部、
31 第1インバータ、32 第2インバータ、33 第3インバータ、
34 第1の出力端子、35 第2の出力端子、36 第3の出力端子、
41 PWMタイマ、42 A/D変換器、
50 モータ、51 基準電圧端子、52 主巻線、53 補助巻線、
101 AC電源、102 整流回路、103 インバータ回路、
31 第1インバータ、32 第2インバータ、33 第3インバータ、
101 AC電源、102 整流回路、103 インバータ回路105 モータ、
131 第1のインバータ、132 第2のインバータ、133 第3のインバータ、
151 基準電圧端子、152 主巻線、153 補助巻線
31 第1インバータ、32 第2インバータ、33 第3インバータ、
34 第1の出力端子、35 第2の出力端子、36 第3の出力端子、
41 PWMタイマ、42 A/D変換器、
50 モータ、51 基準電圧端子、52 主巻線、53 補助巻線、
101 AC電源、102 整流回路、103 インバータ回路、
31 第1インバータ、32 第2インバータ、33 第3インバータ、
101 AC電源、102 整流回路、103 インバータ回路105 モータ、
131 第1のインバータ、132 第2のインバータ、133 第3のインバータ、
151 基準電圧端子、152 主巻線、153 補助巻線
Claims (13)
- 三線式モータをインバータ制御するモータ制御装置であって、
前記三線式モータに変調電圧を供給する三相インバータと、
前記三線式モータの基準電圧端子に対応する相の変調電圧を位相に応じて変化させて、前記三相インバータの相間電圧を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記基準電圧端子に対応する相を含む相間電圧が、実質的な連続波形を持つと共に前記三相インバータの最大出力電圧の1/2よりも大きくなるよう制御するモータ制御装置。 - 前記三相インバータは、
前記三線式モータの前記基準電圧端子に第1の変調電圧を供給する第1のインバータと、
前記三線式モータの主巻線に第2の変調電圧を供給する第2のインバータと、
前記三線式モータの補助巻線に第3の変調電圧を供給する第3のインバータと、を有し、
前記制御部が、前記第1の変調電圧を位相に応じて連続的に変化させることを特徴とする請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記主巻線と前記基準電圧端子との間の第1の相間電圧がsinθにしたがって変化し、かつ前記補助巻線と前記基準電圧端子との間の第2の相間電圧がsin(θ+90°)にしたがって変化するように、前記制御部が前記第1乃至第3のインバータを制御する請求項2に記載のモータ制御装置。
- 前記第1の変調電圧が前記三相インバータから出力される最大出力電圧の中間電圧になる2つの位相が180°ずれている請求項2、又は3に記載のモータ制御装置。
- 前記第1の変調電圧が前記三相インバータから出力される最大出力電圧の中間電圧になる位相において、
前記主巻線と前記基準電圧端子との間の第1の相間電圧及び前記補助巻線と前記基準電圧端子との間の第2の相間電圧の一方が最大となり、他方が最小となる請求項2乃至4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。 - 前記第1の変調電圧が前記三相インバータから出力される最大出力電圧の中間電圧になる位相の前後において、前記第2の変調電圧又は前記第3の変調電圧が一定であり、前記第1の変調電圧が増加又は減少していく請求項5に記載のモータ制御装置。
- 三相インバータを用いて三線式モータをインバータ制御するモータ駆動方法であって、
前記三相インバータにより前記三線式モータに変調電圧を供給し、
前記三線式モータの基準電圧端子に対応する相の変調電圧を位相に応じて変化させて、前記三相インバータの相間電圧を制御し、
前記基準電圧端子に対応する相を含む相間電圧を、実質的に連続波形を有しかつ前記三相インバータの最大出力電圧の1/2よりも大きな値とするモータ制御方法。 - 前記三相インバータは、
前記三線式モータの基準電圧端子に第1の変調電圧を供給する第1のインバータと、
前記三線式モータの主巻線に第2の変調電圧を供給する第2のインバータと、
前記三線式モータの補助巻線に第3の変調電圧を供給する第3のインバータと、を有し、
前記第1の変調電圧が位相に応じて連続的に変化するように前記第1のインバータを制御する請求項7に記載のモータ制御方法。 - 前記主巻線と前記基準電圧端子との間の第1の相間電圧がsinθにしたがって変化し、かつ前記補助巻線と前記基準電圧端子との間の第2の相間電圧がsin(θ+90°)にしたがって変化するように、前記第1乃至第3のインバータを制御する請求項8に記載のモータ制御方法。
- 前記第1の変調電圧が前記三相インバータから出力される最大出力電圧の中間電圧になる位相が180°ずれている請求項8、又は9に記載のモータ制御方法。
- 前記第1の変調電圧が前記三相インバータから出力される最大出力電圧の中間電圧になる位相において、
前記主巻線と前記基準電圧端子との間の第1の相間電圧及び前記補助巻線と前記基準電圧端子との間の第2の相間電圧の一方が最大となり、他方が最小となる請求項8乃至10のいずれか1項に記載のモータ制御方法。 - 前記第1の変調電圧が前記三相インバータから出力される最大出力電圧の中間電圧になる位相の前後において、前記第2の変調電圧又は前記第3の変調電圧が一定であり、前記第1の変調電圧が増加又は減少していく請求項11に記載のモータ制御方法。
- 三線式モータの駆動回路であって、駆動のための第1及び第2の電源電位の供給を受けて動作し、第1の電位を出力する第1の出力回路部、第2の電位を出力する第2の出力回路部、第3の電位を出力する第3の出力回路、及び、前記第1乃至第3の出力回路部を制御して前記第1乃至第3の電位を発生させる制御回路を有し、前記制御回路は、前記第1乃至第3の電位のいずれも前記第1の電源電位との差が正弦波形を有さず、かつ、前記第1及び第2の電位の差は正弦波形を有するように、前記第1及び第2の出力回路部を制御することを特徴とする駆動回路。
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