JP2011103903A - 再生可能な供給原料からのポリ乳酸(pla)の生産のためのプロセス - Google Patents

再生可能な供給原料からのポリ乳酸(pla)の生産のためのプロセス Download PDF

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Abstract

【課題】ポリ乳酸を、デンプン材料、木のようなセルロース系材料、サトウキビバガス、コムギわら、稲わら、サトウキビまたはテンサイの根に由来する糖蜜のような、出発原料としての再生可能な農業供給原料から作り出すために効率的なプロセスを提供すること。
【解決手段】本発明は、出発材料として用いられる糖蜜またはサトウキビバガスに限定されない再生可能な農業供給原料の発酵からのポリ乳酸の産生のための効率的なプロセスに関する。本発明は特に、工業的用途を有する乳酸の発酵によって得られるポリ乳酸を産生するための、コスト効率の良いおよび産業的に規模拡大し得るプロセスを提供する。
【選択図】図1

Description

(関連出願の引用)
本願は、出願番号576/MUM/2004の下で2004年5月に出願した仮インド特許出願による優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、出発材料として使用される、糖蜜またはサトウキビバガスに限定されない再生可能な農業供給原料の発酵からポリ乳酸を生産するための効率的なプロセスに関する。本発明は特に、工業的用途を有する乳酸の発酵によって得られるポリ乳酸を生産するための、コスト効率の良いおよび産業的に規模拡大可能なプロセスを提供する。
(発明の背景)
乳酸発酵は、生分解性プラスチックの製造における構築ブロックとしてのその重要性に主に起因して、近年ますます注意されている。乳酸は、それぞれラクトースおよびグルコースの供給源である、ホエイ浸透液、デンプン加水分解物のような様々な基質から生産され得る。
最近、新規な種類の再生可能な生分解性ラクチドポリマーのための始まっている供給原料としての乳酸の可能性が認識された。これらの生分解性ポリマーは、現在のプラスチック材料についての代用品として、または例えば、生分解性が好ましい、骨手術において使用される支持および取り付け膜、プラスチック製引込み線および容器、医療用衣料、使い捨てのおむつ、庭用ゴミ袋などの開発における様々な新しい用途が考えられている。
種々の用途のために、種々の純度の等級または乳酸が用いられる。金属および革においてのように、技術目的から、低い工業等級の乳酸が、用いられる;わずかにより精製された食品等級の乳酸は、食品関連用途において用いられる。高純度等級は、製薬用途で使われる。一方、ラクチドポリマーのための出発供給原料としての乳酸の使用の場合には、例外的に純粋な、熱的に安定した等級の、特に遊離の異性体L型またはD型が好ましい。
インドは乳酸の生産のための供給原料として利用できる大量の再生農業資源を有する。乳酸はポリ乳酸(PLA)の製造のための構築ブロックである。
ポリ乳酸(PLA)は、乳酸に由来する生分解性ポリマーである。ポリ乳酸は、非常に用途が広い材料であって、トウモロコシ、テンサイ、コムギおよび他のデンプンの豊富な産物のような100%再生可能な資源から作られる。ポリ乳酸は、多くの石油系プラスチックと同等かまたはそれよりも優れた多くの特性を示し、そのことにより、ポリ乳酸は、様々な用途に適することになる。ポリ乳酸は、織物および医療産業ならびに包装産業における用途を含め、多くの潜在的用途を有する用途が広いポリマーである。ポリ乳酸はまた、繊維および不織布において多くの潜在的用途を有する。ポリ乳酸は、従来の溶融紡糸プロセスを用いて様々な繊維形態に容易に変換される。
油の公知の世界的な資源は80年で、天然ガスは70年で、そして石炭は700年で枯渇すると推定されるが、枯渇の経済的影響は、ずっと早期に打撃を与え得る;資源が枯渇するにつれて価格が急騰するからである。研究者が多くの石油系製品について化石燃料資源を再生可能な資源で交換する方向に向かって働く必要があることは明らかである。先陣を切っているのは、再生可能な資源から作られる、入手可能な、リサイクル可能な、革新的な材料である、ポリ乳酸(PLA)と呼ばれるポリマーである。再生可能な農業供給原料からポリ乳酸の生産は、資源のバランスをとって、化石燃料についての植物に基づく代用品を作成する試みである。加えて、乳酸系ポリマーの優れた生分解性およびリサイクル可能性/堆肥化可能性というそれらの環境にやさしい性質は、それらの開発の可能性および必要性をさらに増加させた。
本発明は、ポリ乳酸をデンプン材料、木のようなセルロース系材料、サトウキビバガス、コムギわら、稲わら、サトウキビまたはテンサイの根に由来する糖蜜のような再生可能な農業供給原料から作り出すために効率的なプロセスを提供することによるこの方向の試みである。
乳酸は、商業的に化学合成もまたは再生可能な炭水化物発酵のいずれによっても製造され得る。温室効果ガス放出および環境汚染に関する公衆の懸念および政府規制は増大しており、再生可能なバイオマス資源を用いる環境に適合した発酵バイオプロセスによって生産される乳酸は、化石燃料(石炭、石油または天然ガス)を使用する化学合成より好ましい。
ポリ乳酸は、新物質でない。これが、何十年も身近にある。1932年に、ウォレスカロザーズ(デュポンの科学者)は、減圧下で乳酸を加熱することによって、低分子量生成物を生産した。1954年には、さらに改良した後、デュポンはカロザーズのプロセスの特許権をとった。
コスト高のため、それ以来、焦点は主に、医療等級の縫合糸、インプラントおよび制御薬物放出用途の製造にあった。モノマーの生産コストは、このポリマーの広範囲にわたる開発の妨害であった。近年では、グルコースを乳酸に変えるグルコース発酵に進歩があった。これは、乳酸の生産コストを劇的に下げ、そしてこのポリマーに対する関心を著しく増加させた。
乳酸、2−ヒドロキシプロピオン酸またはα−ヒドロキシプロピオン酸は、特化された化学プロセスの出発原料として、食品保存、医薬、革のなめしおよび金属酸洗い用に合成方法および発酵方法によって製造/生産される。乳酸の2つの光学的に活性な異性体(鏡像異性体)形態は、以下に示されるような、L(+)またはS(+)の右旋性およびD(−)またはR(−)の左旋性といわれる。
Figure 2011103903
乳酸の化学合成は、両方の鏡像異性体が等しい割合で存在するラセミ混合物をもたらすが、微生物プロセスは主に一方の鏡像異性体を生じる。
L−乳酸は、生分解性ポリマーを生じるのに必要である。L−乳酸の生産は、発酵プロセスにおいて適切な微生物株を選択することによって通常達成される。それは、単糖(例えばグルコース、フルクトース、ガラクトース)または二糖(例えば、スクロースまたはラクトース)の乳酸への変換を含む。産物として乳酸だけを生産するいくつかの同種発酵性株としては、Lactobacillus delbruekii、L.casei、L.acidophilus、L.bulgaricusが挙げられる。前者は、スクロース、グルコースまたはフルクトースを消費するがラクトースを消費せず、後の3つの種は、他の糖に加えてラクトースおよびガラクトースを消費する。乳酸の生物生産は、希薄な水性発酵ブロスから乳酸を作り出すために乳酸生産および高価な下流の処理のためpHの低下によって引き起こされる阻害に起因して複雑である。乳酸生産の従来法は、バッチ式反応装置での乳酸桿菌による嫌気的発酵である。発酵プロセスを連続的に保つために、生産される酸は、アルカリにより中和されるかまたは発酵システムから除去される。従来のプロセスは、炭酸カルシウムまたは水酸化ナトリウムを用いて、生産される酸を中和する。次いで、対応する乳酸塩は、溶媒抽出、電気透析もしくは蒸留を含む様々なプロセスまたは一つ以上のプロセスの組合せによってブロスから分離される。
ポリ乳酸の生産は、炭水化物供給原料のような食用の再生可能な資源から生化学的に生成される主にL−乳酸から得られる高純度ラクチドを必要とする。従来の工業プロセスは、発酵ブロスからのバイオマスの除去、続いて酸性化、精製、濃縮および重合を含む。本発明は、糖蜜またはサトウキビバガス加水分解物のような安価な再生可能な農業供給原料の発酵からL−乳酸が主に生産されて、これが分離され、精製され、そして同時に濃縮されて粗ラクチドが生産され、さらなる精製後にこの粗ラクチドを重合させてポリ乳酸が得られる、効率的なプロセスを記載する。
乳酸の発酵の生産は、ポリ乳酸の生産のために必要な光学的に純粋な異性体を得る一般的に用いられる方法である。カールソンらに付与された米国特許第6475759号(特許文献1、2002年11月5日)は低いpH乳酸発酵を提供する。これは、栄養培地中で酸耐性ホモ乳酸発酵(homolactic)細菌をインキュベートして高レベルの遊離乳酸を有する発酵ブロスを生産することを含む。これはまた、高レベルの遊離乳酸を生産し得る単離された酸耐性ホモ発酵性細菌を提供する。この特許は特に低いpHに耐え得る細菌に関しており、それ故、特定の細菌株を利用するプロセスに限定される。本明細書において使用される発酵プロセスは、バッチ式のものである。さらに、先行技術は、生産される酸を中和するために炭酸カルシウムを用いる。このことは、最終的に大量の硫酸カルシウム(石膏)を生成する。このことは、廃棄物処理問題を提起し得、硫酸カルシウムは、望ましくない環境懸念であると考えられる。
コーンシロップ、デンプン、コーンスティープリカー、トウモロコシ油、乳ホエイ、糖、ビートおよびサトウキビ液は一般に、発酵プロセスのための供給原料として使用される。特許文献2(EP特許第0393818号A1)(Glessner,David A.ら)は、乳酸を生産して精製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、炭水化物、コーンスティープリカーおよびトウモロコシ油を含む安価な基質において、大部分の炭水化物が乳酸に変換されるまで乳酸産生微生物を増殖させることを含む。すべてのこれらの材料は、食品として価値が高い。事実、基質のコストは、発酵による乳酸のコスト効率の良い生産の現在の課題のうちの1つである。本発明の発明者らは、食品として何の価値もない、安価な基質、製糖業の副産物/廃棄物、糖蜜およびサトウキビバガス加水分解物を乳酸発酵のための供給原料として使用した。
上述した特許は、低コスト発酵培地から高濃度の乳酸塩を生産する頑強な乳酸生産微生物株を使用した発酵によって乳酸を生産して精製するためのプロセス、ならびに細胞および窒素性不純物を含んでいるブロス全体から乳酸塩を回収して濃縮する従来の電気透析;乳酸から荷電した不純物を除去する得られた乳酸塩を乳酸に変える水分解電気透析およびイオン交換体を用いた塩基処理を使用して、精製するプロセスに関する。他のエネルギー源ではなく、高価な電気エネルギーを用いてプロセスを前に進めるので、このプロセスは限界を有する。さらにまた、電気透析のプロセスにおいて使用されるポリマー膜は、不純物に非常に高感度であり、これらを糖蜜の発酵産物に適用することは、高コストの精製操作を必要とする。
特許文献3(EP特許第0790229号A1)(Donald McOulggら)は、第三アミンまたはピリジン基を有する固相遊離塩基ポリマーと乳酸とを接触させて乳酸を吸収させることによる、培地からの乳酸の回収のためのプロセスを記載する。乳酸は、より強い酸または熱水を使用して、後で脱離される。発酵ブロス中の他の望ましくないイオンおよび酸性種を樹脂にローディングすること、高い再生効率が必要であること、およびブロス中に存在する大きい有機分子、色素によってこれらの樹脂が汚れることは、このプロセスの主な制限である。
特許文献4(米国特許第6,569,989号;Oharaら)、特許文献5(米国特許第6,326,458号;Gruberら)および特許文献6(WO 93/00440;Michael Cockremら)は、発酵によって得られた乳酸からラクチドおよびポリ乳酸を産生し、乳酸から乳酸エステルを合成し、乳酸エステルを蒸留し、触媒存在下での乳酸エステルを重縮合して5000〜15000の範囲の分子量のプレポリマーを得て、プレポリマーを脱重合してラクチドおよびその開環重合を得て、それにより、ポリ乳酸が得られるプロセスに関する。必要に応じて、エステルの加水分解は、結果として乳酸になる。このプロセスは、2工程のエネルギー集約型の蒸留を含み、さらにラセミ化の可能性もある。
特許文献7(米国特許第6,472,559号;Avrahamら)、特許文献8(EP特許第0804607号B1;Abraham.M.Banielら)および特許文献9(米国特許第6,087,532号;Abraham.M.Baniel)は、そして、CO存在下での混合溶媒、および80〜240℃という高温の水を用いた逆抽出を使用した、発酵ブロスからの乳酸の分離および回収のためのプロセスを記載する。このプロセスは一般に、40〜70%のレベルまでの水除去によって、供給溶液の予備濃縮を含み、これはエネルギー集約型である。このプロセスは、高分子量トリアルキルアミンのような高価な溶媒の使用、溶媒の混合物を扱うことの困難、それらの回収および他の関連する課題のような制限と関係している。
特許文献10(米国特許第5,310,865号;Katashi Enomotoら)は、有機溶媒を含んでいる反応混合物においてヒドロキシカルボン酸またはオリゴマーの脱水縮合を行うことによって多価カルボン酸を作るためのプロセスを開示する。この有機溶媒は、共沸蒸留によって、縮合の水を取り除くために用いられる。多くの用途のために必要な1,00,000より上の非常に高分子量のポリマーの調製は、痕跡量の水分の除去と関連した困難性の原因となるプロセスの制限のうちの1つである。
乳酸のエステルからのラクチドおよびラクチドポリマーの製造に関する、特許文献11(米国特許第6,326,458号)において開示される連続プロセス(Patrick Richard Gruberら)は、粗ポリ乳酸、プレポリマーおよび反応副産物をエステルの場合に与える、触媒の存在下での乳酸または乳酸エステルからのラクチドおよびラクチドポリマーの製造を含む。プレポリマーから得られる粗ラクチドは、重合のために使われる前に、再び蒸留により精製される。出発原料として乳酸エステルを用いた場合の副産物の生成および粗ラクチドのエネルギー集約型の蒸留工程は、実質的にプロセスの費用を増している制約である。
発酵による乳酸の生産のためのすべての先行技術の方法も、細菌の増殖のために比較的純粋な基質を必要とするか、および/または乳酸の分離のために複雑で有毒な溶媒を必要とする。また、溶媒を回収することには困難性があり、そして、蒸留によってこの種の溶媒を分離するために高エネルギーが利用される。このように、これらのプロセスは、コストと時間がかかる。先行技術の一部は、栄養培地中で酸耐性の同種乳酸発酵細菌をインキュベートして、高レベルの遊離乳酸を含む発酵ブロスを生産することを含む、低pH乳酸発酵を提供する。さらに、先行技術は、生産される酸を中和するために炭酸カルシウムを用い、最終的に、大量の硫酸カルシウム(石膏)を生成する。このことは、硫酸カルシウムが望ましくない環境懸念であると考えられるので、廃棄物処理問題を提起し得る。
米国特許第6475759号明細書 欧州特許出願公開第0393818号明細書 欧州特許出願公開第0790229号明細書 米国特許第6,569,989号明細書 米国特許第6,326,458号明細書 国際公開第93/00440号パンフレット 米国特許第6,472,559号明細書 欧州特許第0804607号明細書 米国特許第6,087,532号明細書 米国特許第5,310,865号明細書 米国特許第6,326,458号明細書
時間的な緊急の必要性に目を向けて、本発明の科学者は、非食用の再生可能な農業供給原料の発酵からポリ乳酸を生じる新規なプロセスを開発した。
本発明によれば、ポリ乳酸は、非食用の再生可能な農業供給原料の発酵から生産され、本発明のプロセスは、デンプン質の基質が原材料として用いられる従来のプロセスと比較して比較的安価であるとわかる。
本発明のプロセスにおいて、pH調整はアンモニアの使用を伴い、このことは、従来のプロセスのような塩沈澱物(石膏)を形成しない。本発明のプロセスは、塩沈澱物が形成されないので、廃棄物処理問題と関連した課題は、本発明により解決された。
従来のプロセスと比較して、本発明は、高価な溶媒の混合物および従来のプロセスのいくつかで使用する前濃縮段階と比較して、室温での発酵ブロスからの乳酸の分離のために単一のバルク溶媒が用いられるプロセスを提供する。
さらに、本発明は、高温操作および/または蒸留のいかなるエネルギー工程なしでも、プロセス中の溶媒の再生/回収がほぼ定量的であるプロセスを提供する。このように再生された溶媒は、これ以上何の処理もなく、抽出のために再利用される。
本発明のプロセスでは、プレ重合およびラクチド形成の工程は、1単位の操作に合わされる。また、本発明は、従来のプロセスのいくつかにおいて用いられるエネルギー駆動プロセスの代わりに、室温での親和性駆動プロセスを用いる、分離、濃縮および精製が同時に達成されるプロセスを提供する。
本発明者らにより開発された本発明のプロセスは、従来のプロセスと比較して効率的であり、コスト効率が良く、それほど煩雑ではない。
(発明の目的)
本発明の目的は、出発原料としての再生可能な農業供給原料から、ポリ乳酸を生じるために効率的なプロセスを提供することである。本発明のプロセスの抽出効率は、従来のプロセスで請求されるのが90%であるのと対照的に、90%を超える。
本発明の目的は、PLAを製造するための最も効率的な、それゆえ、非常にコスト効率の良い方法で、糖蜜およびサトウキビバガス加水分解物のような、さもなければ製糖業の廃棄物である、再生可能な農業供給原料からポリ乳酸を生産するために効率的なプロセスを提供することである。
本発明のさらなる目的は、他の再生可能な農業供給原料(例えば、コーンシロップ、テンサイ、サトウキビ液)にうまく適用され得るプロセスを提供することである。
本発明の目的はまた、他のプロセスのいくつかで使用される高価な溶媒の混合物および発酵ブロスの予備濃縮とは対照的に、単一のバルク溶媒を用いた、室温での発酵ブロスからの乳酸の分離のためのプロセスを提供することである。
本発明の目的はまた、本発明のプロセスにおける溶媒の再生/回収が高温操作および/または蒸留というエネルギー工程が全くなしでもほぼ定量的であるプロセスを提供することである。
本発明の目的はまた、アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物を利用する逆抽出工程が親和性駆動され、他のプロセスのいくつかの温度駆動されるエネルギー集約型の操作と比較して、それほどエネルギー集約型でないプロセスを提供することである。このようにして再生された溶媒は、さらなる処理なしで抽出のために再利用される。
本発明の目的はまた、プレ重合およびラクチド形成の工程を1単位の操作に合わせる、濃縮された乳酸溶液が5〜30mmHgの減圧下の180℃〜225℃の対応する液体温度を有する120℃と155℃との間の高い蒸気温度で反応器のラクチドの形成のために直接使われるプロセスを提供することである。
本発明の目的はまた、母液がラクチドのさらなる調製のために再利用される有機溶媒を用いた結晶化によってラクチドの精製を行うプロセスを提供することである。超高減圧およびエネルギーを含む減圧蒸留による精製は、他のプロセスのいくつかにおいて開示される。
本発明の目的はまた、分離、濃縮および精製が、他のプロセスのいくつかにおいて用いられる温度または電気駆動プロセスの代わりに室温での親和性駆動プロセスを用いて同時に達成されるプロセスを提供することである。
本発明の上記およびさらに他の目的および利点は、添付の図面と関連して好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、より明らかである。
本発明は例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
廃棄物処理問題を回避するために再生可能な農業供給原料の発酵からポリ乳酸を生産するプロセスであって、以下の工程:
炭素源として糖蜜を有する発酵培地を調製する工程;
該発酵培地を発酵させる工程;
該発酵培地から乳酸を抽出する工程;
該乳酸から色素を除去する工程;
該乳酸を精製および濃縮する工程;
該乳酸からラクチドを調製する工程;ならびに
該ラクチドを重合させて該ポリ乳酸を形成する工程
を包含する、プロセス。
(項目2)
前記再生可能な農業供給原料が、糖蜜、サトウキビバガス加水分解物、コーンシロップ、テンサイ液およびサトウキビ液からなる群から選択される、項目1に記載のプロセス。
(項目3)
前記再生可能な農業供給原料が、食用であっても非食用であってもよい、項目1に記載のプロセス。
(項目4)
前記再生可能な農業供給原料が、約40%〜約50%(w/w)の発酵性糖を含んでいる甘蔗廃糖蜜である、項目1に記載のプロセス。
(項目5)
前記糖蜜が、約70g/Lの発酵性糖濃度に調整される、項目1に記載のプロセス。
(項目6)
前記糖蜜が、遠心分離されて懸濁物が取り除かれ、そして水で希釈されて約7%〜約10%の発酵性糖濃度にされる、項目5に記載のプロセス。
(項目7)
糖蜜溶液に約2%〜約5%のコーンスティープリカーおよび加圧滅菌された酵母ペーストを補充する工程をさらに包含する、項目6に記載のプロセス。
(項目8)
前記発酵させる工程が、嫌気性/微好気性条件下で実施される、項目1に記載のプロセス。
(項目9)
前記嫌気性/微好気性条件下での発酵が、Lactobacillus、Streptococcus、BacillusおよびRhizopusからなる群から選択される微生物により実施される、項目8に記載のプロセス。
(項目10)
前記Lactobacillusが、L.delbrueckii、L.rhamnosus、L.helveticus、L.casei、L.plantarum、L.bulgaricus、L.amylovoransおよびL.lactisからなる群より選択される、項目9に記載のプロセス。
(項目11)
前記発酵させる工程が、発酵培地のpHを約5.0と約6.0との間に調整して維持し、それにより前記微生物の増殖遅延を回避する工程をさらに包含する、項目1に記載のプロセス。
(項目12)
前記発酵させる工程が、連続プロセスまたは流加発酵プロセスである、項目1に記載のプロセス。
(項目13)
前記発酵培地のpHを調整する工程が、アルカリ、炭酸塩およびアンモニアからなる群から選択される中和剤を使用することにより達成される、項目11に記載のプロセス。
(項目14)
発酵培地において生産される乳酸が、有機溶媒を使用して抽出される、項目1に記載のプロセス。
(項目15)
前記抽出する工程が、イソアミルアルコール、ブタノール、シクロヘキサノンおよび酢酸メチルからなる群から選択される有機溶媒を使用する、項目14に記載のプロセス。
(項目16)
前記抽出する工程が、室温で発酵培地から前記乳酸を分離するために溶媒を使用することをさらに包含する、項目1に記載のプロセス。
(項目17)
前記溶媒が、アルコールまたはエステルである、項目15に記載のプロセス。
(項目18)
前記プロセスが、90%を越える抽出効率を有する、項目1に記載のプロセス。
(項目19)
前記抽出する工程が、多量のエネルギーを必要としない、項目1に記載のプロセス。
(項目20)
前記抽出された乳酸が、精製および濃縮される、項目14に記載のプロセス。
(項目21)
前記精製が、アルカリの水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物を使用した有機溶媒から水相への乳酸の逆抽出の工程を包含する、項目20に記載のプロセス。
(項目22)
前記水相中の逆抽出された乳酸が、濃硫酸を使用して2〜2.5の間の範囲のpHに酸性化される、項目21に記載のプロセス。
(項目23)
前記精製が、項目22に記載の逆抽出された乳酸を陽イオン交換樹脂に通す工程を包含する、項目1に記載のプロセス。
(項目24)
前記精製された乳酸が、充填されたガラス被覆蒸留塔において濃縮される、項目23に記載のプロセス。
(項目25)
濃縮された乳酸が、反応器中で、約180℃〜約225℃の対応する液体温度を有して、約120℃と約155℃との間の温度でラクチドに変換される、項目24に記載のプロセス
(項目26)
乳酸のラクチドに対する濃縮が、約5〜約30mmHgの真空下で実施され、そして前重合とラクチド形成とを合わせて1つの操作にする、項目25に記載のプロセス。
(項目27)
ラクチドの精製が、有機溶媒を使用した結晶化の工程を包含する、項目1に記載のプロセス。
(項目28)
精製されたラクチドを重合してポリ乳酸を得る、項目27に記載のプロセス。
(項目29)
前記再生可能な農業供給原料が、サトウキビバガスを含み、該サトウキビバガスは、該バガス粒子を希酸で30〜90分間、120℃にて加水分解し、そして脱リグニンのために120℃〜150℃で約15〜約90分間にわたって1〜5%(v/v)アルカリで該バガスを処理することにより調製される、項目4に記載のプロセス。
図1は、本発明の一実施形態による糖蜜の発酵からのポリ乳酸の生産を表すブロック線図である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、再生可能な農業供給原料(例えば、糖蜜およびサトウキビバガス加水分解物原材料)を用いる、ポリ乳酸の生産のためのプロセスを記載する。使用される再生可能な農業供給原料は、食用または非食用のいずれでもよい。本発明によるプロセスは、乳酸への原材料の発酵、発酵ブロスからその分離、ならびにラクチドおよびポリ乳酸へのその変換を含む。本発明によるプロセスは、以下の工程を包含する:
i.原材料として甘蔗廃糖蜜またはサトウキビバガスを使用した乳酸培地の調製;
ii.乳酸の発酵;
iii.乳酸の分離;および
iv.ラクチドおよびPLAの調製。
本発明の一局面において、発酵培地は、原材料として甘蔗廃糖蜜またはサトウキビバガスのいずれかを使用して調製された。
本発明において、発酵培地は、約40〜50%(w/w)の発酵性糖を含む甘蔗廃糖蜜を使用して調製された。この甘蔗廃糖蜜は、遠心分離されて懸濁物が除去され、水で希釈されて、7〜10%(w/w)の最終的な発酵性糖濃度が得られた。培地は、他の窒素源および他の増殖成分が補充された。大規模な加工において、希釈された糖蜜溶液は、2〜5%のコーンスティープリカーおよび加圧滅菌された酵母ペーストが富化される。
原材料としてサトウキビバガスを使用した発酵培地は、120℃で30〜90分間、希酸を用いてバガス粒子を加水分解することにより調製された。加水分解されたバガスは、脱リグニンのために、120℃〜150℃で15〜90分間にわたって1〜5%(v/v)のアルカリでさらに処理された。このようにして得られたセルロース部分は、セルラーゼ酵素を用いた酵素加水分解に供された。
グルコースが豊富であるサトウキビバガス加水分解物は、発酵の前に窒素源が補充された。
本発明によれば、乳酸の発酵は、バッチ様式で24〜48時間、Lactobacillus属のような細菌株を使用することによって、嫌気性/微好気性条件下で実施された。本発明の好ましい実施形態において、使用されるLactobacillus株は、L.delbrueckiiである。
本発明によれば、発酵培地のpHは、中和剤を使用するpH調整によって直ちに得られた。本発明に従って適切なpHレベルを維持するために用いることができる中和剤は、アルカリまたは炭酸塩またはアンモニア溶液から選択される。発酵中の培地のpHは、アルカリまたは炭酸塩またはアンモニア溶液を使用して5.0〜6.0の間に常に維持された。発酵の温度は、37℃〜45℃の間に維持された。発酵が完了した後、乳酸を含むブロスは、さらに下流の処理のために遠心分離によって清澄化された。
清澄化された発酵ブロスは、有機溶媒(例えば、イソアミルアルコール、ブタノール、シクロヘキサノン、酢酸メチルなど)を1:1から1:5までの範囲の比率で使用し、適切な接触装置(例えば、回転ディスク接触装置)を使用して抽出された。抽出物は、さらなる処理のために採取された。獲得可能な抽出効率は、本発明によって90%を超えた。乳酸含有抽出物は、水性のアルカリ水溶液(例えば、アンモニア、ライム、カセイ)と1:3から1:10までの比率で接触させられた。混合物は1時間撹拌され、2時間静置して相分離を起こさせた。乳酸塩を含む水相は、有機抽出物から分離され、そしてその下流の加工のために採取された。有機層は、抽出のために再利用された。乳酸塩を含む水相は、乳酸の分離のために鉱酸により処理され、そして、あったとしても形成される塩は、遠心分離によって収集された。このように得られた粗乳酸はカチオン性樹脂で処理されて、あらゆる微量の金属イオンが除去され、そして減圧蒸留によって少なくとも5〜6倍濃縮された。
本発明の別の局面では、濃縮された乳酸は、減圧設備および加熱設備を備えているジャケット付き撹拌槽型反応器のラクチドに変換された。最初に、内容物は120〜150℃まで加熱されて水が除去され、続いて0.05〜2.0%(w/w)の範囲の触媒が添加された。反応はさらに5〜24時間継続され、ここで、温度は140℃から275℃へと次第に上昇され、そして減圧が1〜20mmHgまで次第に上昇された。残留水分の除去後、形成されたラクチドは蒸留されて、冷却したレシーバにおいて集められた。
得られたラクチドは、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、トルエンまたはアルコール)を有する結晶化によって、さらに精製された。精製ラクチドは、撹拌槽型反応器中で適切な触媒の存在下で重合させられた。温度は、1〜20時間の間、120〜200℃の間に維持された。得られるポリマーであるポリ乳酸(PLA)は、適切な溶媒に溶かされ、そしてその特徴付けのための凝固剤として使用される別の溶媒中で沈澱された。得られた生成物は、乾燥され、特徴付けられた。
本発明の発明者らは、本発明のプロセスが乳酸発酵および発酵ブロスからのその回収のために製糖業の安価な廃棄物を効果的に利用するという点で、PLAの生産に関する以前以前に開示されたかまたは公知のプロセスとは異なる新規なプロセスを開発した。本発明は、ラクチドおよびPLAの調製のためのさらなる下流の加工のための乳酸の濃度および精製をさらに提供する。発酵ブロス中の乳酸のおよその濃度は、約4.5w/v%〜約5.0w/v%の範囲であり、これは、適切な有機溶媒(例えば、アルコール、ケトン、エステルおよびエーテル)を用いて、抽出効率を90%より高い抽出効率を得るような、抽残液相(水層)と抽出物相(有機層)との間に良好な相分離をもたらす、LLE機器(例えば、ミキサー−沈降機、充填カラム、回転円板接触器または脈動抽出カラム)を用いて、2分の1時間から1時間の範囲の十分な滞在時間および1:1、1:1.25、1:1.5、1:2、1:3、1:4の体積比を用いて抽出される。
乳酸および抽出相に色を加える若干の不純物を含んでいる溶媒抽出相は、次いで、2分の1時間から1時間にわたって適切な攪拌をしながら従来の撹拌容器において既知量のアルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウムなど)により処理され、次いで良好な相分離のためにさらなる時間にわたって沈降される。乳酸を含む水層は、下流の加工のために排出される。抽出物(有機層)、再生された溶媒は取り出され、次いで上記したように再利用のためにLLE装置に戻されて再利用される。
乳酸の塩(乳酸塩といわれる)を含む水相は、次いで、硫酸のような鉱酸により処理されて、乳酸のpK値(すなわち3.86)未満のpHで、より好ましくは3未満のpHで、最も好ましくは2.5と3.0との間のpHで、金属塩が沈澱させられる。次いで、酸性化された乳酸塩溶液は遠心分離されてケーキの形で金属塩が除去され、次いでこれは脱塩水によって完全に洗浄されて、存在する場合、吸着された乳酸が抽出され、次いでこれは金属沈澱に再利用される。濾過した水性の遠心分離された/濾過した液体は、次いでさらに下流の加工がされる。
9%w/vと10%w/vとの間の範囲の濃度の薄い乳酸中の残りの金属イオンは、次いで、入る流れと出る流れとを適切に流量調整した、イオン交換樹脂を詰め込まれた連続カラムにおいて取り除かれる。カラム処理操作の終点は、pHの値または金属イオンの直接測定により示される。
希乳酸溶液は、次いで、充填された蒸留塔において、約300〜350mmの減圧および75℃と85℃との間の温度下で、1:3と1:5との間の範囲の適切な還流比において、50〜60%w/vのレベルまで濃縮される。集められた蒸留物は、主に水であり、これは次いで、沈澱工程に再利用される。蒸留塔のボイラーの底の濃縮物は次いで、ラクチドの生産のために送られる。
濃縮された乳酸は次いで、適切な構築材料、ジャケット中の攪拌および加熱/冷却設備、ならびに適切な表面積の下流の凝縮器を有する適切な容量の撹拌槽型反応器に入れられる。必要な仕様のラクチドは、10mm〜30mmHgの減圧下にて適切な触媒を用いて、そして反応経過中の遊離水および結合水を除去して、120〜155℃の蒸気温度および190〜225℃の液体温度で得られる。オートクレーブの残渣は、変換されていない乳酸、トリマーおよび他の高沸点成分を含む。ラクチドの平均収率は、理論量の75%と80%との間で変化する。
上記のように得られた粗ラクチドは、酢酸エチル、エタノール、メタノール、ブタノールおよび他の溶媒のホストのような有機溶媒を使用した結晶化によってさらに精製される。結晶化したラクチドは次いで、濾別される。精製されたラクチドは、着色物質を完全に除去するために、いくつかの溶媒によってさらに再結晶される。精製されたラクチドの収率は、50〜60%の範囲である。母液は、ラクチドを生産するためにさらに再加工/再利用され得る。
精製され、結晶化されたラクチドは次いで、適切な攪拌および185℃と110℃との間で変化する温度プロフィールの下で約15〜20時間にわたって加熱/冷却コイルを用いて、撹拌槽型反応器中でカルシウム、亜鉛またはスズ化合物に基づいた適切な触媒の存在下で重合させられる。得られるポリマー生成物(PLA)は次いで、適切な溶媒に溶解され、凝固剤として作用する別の溶媒中で沈澱させられ、そして乾燥される。分子量が20,000と1,00,000との間で変動するポリマーが得られる。このポリマーは、様々な適用に使用され得る。
本発明によれば、発酵は、様々な代謝産物の生産に適切な株の微生物細胞を使用して実施され得る。乳酸の製造のための本発明による実施態様のいくつかにおいて、使用され得る微生物細胞は、Lactobacillus、Streptococcus、Bacillusのような細菌属またはRhizopusのようなカビの株から選択される。乳酸生産のために本発明に従って使用されるLactobacillusで異なる株は、L.delbrueckii、L.rhamnosus、L.helveticus、L.casei、L.plantarum、L.bulgaricus、L.amylovorans、L.lactisなどから選択され得る。本発明による好ましい実施形態において、使用されるLactobacillus株は、L.delbrueckiiである。
本発明によれば、発酵は、連続発酵プロセス、回分発酵プロセスまたは流加発酵プロセスのいずれでもあり得る。好ましくは、本発明のプロセスは、細菌を回分発酵プロセスにおいて培養することを含む。
糖蜜からのPLAまたはその塩の生産のための上記のプロセスフローチャートを、図1に示す。
糖蜜の発酵からのPLAの製造のための多工程プロセスチェーンに関する本発明は、以下に関して他のものに勝る利点を有する:
1.このプロセスは、PLAを製造する最も効率的な方法およびそれゆえ、非常にコスト効率良く、糖蜜という再生可能な農業供給原料を利用する。糖蜜は、さもなければ、製糖業の廃棄物である。このプロセスは、夾雑物に関して糖蜜に関して比較的よりきれいである他の再生可能な農業供給原料(例えば、コーンシロップ、テンサイ、サトウキビ液)に、成功裏に適用され得る。
2.上記の通りのプロセスは、他のプロセスのいくつかで使用する高価な溶媒の混合物および予備濃縮段階とは対照的に、室温で発酵ブロスからの乳酸の分離のために単一のバルク溶媒を使用する。他のプロセスによって特許請求されるのが90%であるのに対して、このプロセスの抽出効率は、90%を超えた。
3.このプロセスにおける次の工程の溶媒の再生/回収は、高温操作および/または蒸留といういかなるエネルギー工程なしでも、ほぼ定量的である。
4.アルカリまたはアルカリ土類金属の水酸化物を利用する逆抽出の工程は、他のプロセスのいくつかにおける温度駆動型およびエネルギー集約型操作とは対照的に、親和性駆動され、それほどエネルギー集約型ではない。このようにして再生された溶媒は、さらなる処理なしで抽出のために再利用される。
5.濃縮された乳酸溶液は、プレ重合とラクチド形成の工程を単一の単位の操作に合わせた、5〜30mmHgの減圧下で、180℃〜225℃という対応する液体温度を有する120℃と155℃との間の高い蒸気温度にてオートクレーブ中でラクチドの形成のために直接使われる。
6.ラクチドの精製は、有機溶媒を用いた結晶化によってなされ、ここで、母液は、ラクチドのさらなる調製のために再利用される。超高真空およびエネルギーを含んでいる減圧蒸留による精製は、他のプロセスのいくつかで開示される。
7.分離、濃縮および精製は、他のプロセスのいくつかで用いられる温度駆動プロセスまたは電気駆動プロセスの代わりに、室温での親和性駆動プロセスを用いて同時に達成される。
本発明はここで、いくつかの実施例により例示される。これらの実施例は、本発明がどのようにして実行されたかを示すが、限定であるとは解釈すべきではない。実験作業の大部分は、研究室の設定/装置を使用してされた。プロセスの様々な段階は、この種のプロセス技術の工業規模での実現可能性を示すために、連続的にまたはバッチ式に単一のプロセス工程/単位操作として実験室スケール、ベンチスケールまたはパイロットスケール装置)を使用して実施された。
(実施例1)
70g/Lの最終的な発酵性糖濃度に調整されており、コーンスティープリカー(25g/L)および酵母抽出物(10g/L)が富化された甘蔗廃糖蜜を含んでいる250mlの発酵培地に、Lactobacillus delbreuckiiの24時間培養物を、10%の終濃度の接種物として添加した。発酵を、Gallenkampインキュベーターシェーカー中で42℃にて72時間、150rpmにて、振盪フラスコにおいて実施した。発酵ブロスのpHを、CaCOを用いて6.0に維持した。72時間の終わりでの乳酸の収率は、50g/Lであった。
(実施例2)
甘蔗廃糖蜜を含んでいて、25g/Lのコーンスティープリカーおよび10g/Lの酵母抽出物が補充された2Lのバッチの発酵培地は、2.5Lのバイオリアクターにおいて行った。最初の糖濃度を70g/Lに調整した。この培地に、Lactobacillus delbreuckiiの24時間培養物200mlを接種した。発酵を、42℃にて48時間、200rpmの攪拌で実施した。培地のpHを、液体アンモニアを用いて6.0に維持した。乳酸の収率は、実施終了時に66g/Lであった。
(実施例3)
乳酸発酵を、350Lの作業体積を有する500Lの発酵槽に規模拡大した。甘蔗廃糖蜜(70g/Lの糖に調整される)、コーンスティープリカー(25g/L)および酵母抽出物(10g/L)を含む培地に、100Lの発酵槽において増殖させたL.delbrueckiiの24時間培養物(35L)を接種した。発酵を、液体アンモニアでpHを6.0に維持しながら、42℃にて48時間、200rpmの攪拌にて実施した。乳酸の収率は50g/Lであった。
(実施例4)
乳酸発酵をまた、1000Lの発酵槽において設定した。バッチサイズは800Lであった。培地組成は実施例1と同じである。このバッチのためのL.delbreuckii接種物(80L)を、100Lの発酵槽において育てた。発酵を、42℃にて48時間、200rpm攪拌にて行った。培地のpHを、液体アンモニアを用いて6.0に維持した。乳酸の収率は、48時間の発酵終了時に55g/Lであった。
(実施例5)
比色定量的によって決定したところ5.8%(w/v)乳酸、4%の全糖および20%の全溶解固形分を含んでいる、遠心分離後でpHの2.0への低下後の40mlの発酵ブロス(Lactobacillus delbruckiiによる糖蜜に存在する糖の発酵によって得られた)を、回転振盪機での30分間の攪拌下で1:2の体積比のイソアミルアルコールにより溶媒抽出した。この発酵ブロスは、種々の濃度の様々な金属イオンを含んでいた。ICPによって測定した金属イオン濃度は、以下の通りである:チタン、1.76;クロム、37.53;マンガン、578.30;鉄、2117.3;コバルト、42.22;ニッケル、7.62;銅、7.038;亜鉛、123.75;アルミニウム、52.20;鉛、13.49;モリブデン、1.76;ヒ素、1.17;ナトリウム、105.4;カリウム、129.03;マグネシウム、35.07;カルシウム、11.55(すべての値は、ppmとして表される)。250mlの分液漏斗において1時間、相を分離させた。水相を、2つの液相の相互の溶解による体積変化を考慮した後、同じ体積比のアルコールの新しい部分によって再抽出した。5回のこの種の液液抽出の後、抽残液を7000rpmで15分間遠心分離して、混入した有機相を除去し、そして乳酸について分析した。物質収支から、溶媒中での乳酸の回収率は、94%であると見積もられた。90%を超える糖が除去された。
(実施例6)
pH2の、実施例5に記載されている発酵ブロスと類似の10mlの発酵ブロスを、250ml三角フラスコ中の100mlのジ−イソプロピルエーテル(DIE)と混合し、そして回転振盪機で1時間保持した。抽出プロセスの間に、エマルジョンの形成が観察された。これは、7000rpmの遠心分離により、相分離した。次のDIEを用いた4段階の繰り返された水相抽出により、実用上無色の合わせた有機相が得られた。このことは、5.8%から1.8%への水相中の乳酸濃度の減少を伴う、色のほぼ完全な除去(99%>)を示す。
(実施例7)
pH2の増大した濃度の乳酸(7.7重量%)を有する50mlの発酵ブロスを、容量250mlの分液漏斗の100mlのシクロヘキサノンを有する液/液抽出に供した。この混合物を、1時間にわたって完全に混合し、そして沈降させた。二相の分離後、底の水層を、さらに2回の液/液抽出に供した。3段階の抽出後、抽残液は、0.8重量%の乳酸(これは、90%の回収率を示す)を有した。抽出は、糖および発酵ブロスからの色除去に関して有利であった。最初の抽出後、有機層が、発酵ブロスに関してそれぞれ5.6および0.23であるのに対して、ゼロの糖対乳酸比および0.65の色素対乳酸の比率を有するとわかった。
(実施例8)
1−ブチルアルコールを、実施例5において使用される発酵ブロスを用いて、乳酸に関する抽出効率について試験した。使用されるブロス対抽出剤の比は、重量で、1:0.73であった。混合物を回転振盪機上に1時間置き、静置条件下でさらに1時間にわたって沈降させて相分離を生じさせた。このようにして得られた抽出物相を、1N NaOHによってさらに抽出し(1:2の体積比、回転振盪機において1時間混合)、ここで、アルカリ相が、16.2g/Lの乳酸ナトリウムを含むとわかった。
(実施例9)
実験において、酢酸のエチルエステルを150ml含んでいる抽出物を、1時間にわたって回転振盪機を使用して、500mlの栓付きガラス瓶中で実施例3において使用された重量の46%の発酵ブロスと接触させ、次いで、内容物を、500mlの分液漏斗へ移し、そのままにして相分離を生じさせた。抽残液を、同じ体積比の新しい抽出剤と再び接触させた。3回の連続抽出後、使った水相は乳酸濃度の減少を示し、最終的なレベルは最初の値のわずか21%であった。ブロスの色は暗褐色であったが、合わせた抽出物はごくわずかな色しか有しなかった。希釈効果を考慮したところ、約98%の色が、抽残液により保持されるとわかった。
(実施例10)
1−オクタノールによる抽出の効率に対するpHの効果を、72g/Lの乳酸含有量を有する発酵ブロスを用いて調べた。1つの場合において、6.2のpHを有するブロスをそのまま用い、その一方で、第2のブロスサンプルのpHを3.5に調整し、そして第3のブロスサンプルのpHを3.0に調整した。すべての場合において、5mlのブロスを10mlのアルコールと接触させ、30分間手動で混合し、そして、適切な沈降期間の後、相が分離した。抽残液中の乳酸の測定によって、抽出前の6.2、3.5および3.0というpHに対応する乳酸の回収率がそれぞれ<1%、22%および44%であることが確認された。従って、より低いpH値は、相当な程度まで抽出効率を向上させる。
(実施例11)
pH2の、56g/L乳酸を含んでいる発酵ブロスを1‐ブタノールで適切な回数抽出して、溶媒100mlあたり1.6gの乳酸を含む豊富な有機抽出物を生成した。有機抽出物の32mlの部分を、3%(w/v)のNHを含んでいる8mlのアンモニア水と接触させ、そしてシェーカーで30分間混合した。内容物を1時間沈降させた後、相を分離させ、そして水層において乳酸を比色定量的に測定した。後者は、55.7g/Lの乳酸を含むとわかった。これは、87%の回収率と解釈される。乳酸をロードした溶媒の別の32mlの部分を、上述した条件下で、8mlの4%(w/v)のアンモニア水で抽出した。水相は、60.9g/Lの乳酸(すなわち、95%の回収率)を有するとわかった。
同様の様式で、上記で使用した発酵ブロスをアルコールで適切な回数抽出することによって、1.58%(w/v)の乳酸を含んでいるイソアミルアルコールを得た。この抽出物の32mlの部分を、4:1の体積比で6%(w/v)のアンモニア水によって逆抽出した(30分間の混合、1時間の沈降)。水層は63.1g/Lの乳酸濃度を生じた。このことは、逆抽出工程について98%を超える効率を示した。
(実施例12)
1‐ブタノールを用いた発酵ブロス(実施例7においても使用される)の抽出から得られ、18.1g/Lの乳酸を含んでいる富化ブタノール抽出物を、水酸化カルシウムの水性懸濁液で逆抽出した。200mlの有機抽出物に、20mlの水中の2.5gの水酸化カルシウムの懸濁液を添加し、そして混合物をフラスコ中で1時間、機械的に攪拌した。何らかの固体を含む水相は、1時間の沈降後に分離した。合計20本のフラスコを同様に加工し、このようにして4Lの富化ブタノール抽出物の逆抽出を完了した。水相を合わせ、そして濃硫酸を用いてpHを2〜2.1に下げた。沈澱した硫酸カルシウムを濾過によって除去した;体積は、この段階で486mlであった。乳酸濃度のアッセイは濾過液において141.5g/Lの値を生じた。これは、95%の逆抽出効率に対応する。
(実施例13)
LD比96:4の45mg/mlの乳酸を含んでいる450リットルの発酵ブロスを、回転円板接触器において連続的に溶媒と接触させた。発酵ブロスを上部から供給し、一方、抽出剤を装置の底部から導入した。相分離の後、抽出物相を、抽出器の上部から連続的に集め、そして抽残液を底部から連続的に集めた。二相の流量は、10〜50Kg/時間の範囲において変化した。定常状態が達成された後、10Kg/時間の発酵ブロスおよび30Kg/時間の溶媒の流動条件下で、抽出剤中の乳酸の濃度は、1.6重量%(これは、95%を超える回収率を示す)であるとわかった。
(実施例14)
実施例13にて記載したように発酵ブロスから得られる1.6重量%の乳酸を含んでいる1260Kgの溶媒抽出物を、3000リットルの連続撹拌槽型反応器(CSTR)において156Kgの脱塩水に溶解/分散させた26Kgのライムと2時間にわたって混合し、そして反応混合物を2時間にわたって静置して相分離を生じさせた。底の水相は大部分の乳酸を含み、そして上部の再生された溶媒相は、新しいブロスからの乳酸の液液抽出のために採取された。204Kgの水性の乳酸塩相が反応器の底部から得られた。これは、物質収支に基づいて99%を超える乳酸の回収率を示す。このようにして得られた水性逆抽出物を、乳酸塩の乳酸への変換のために、ガラスで被覆した連続撹拌槽型反応器(CSTR)中で濃硫酸を用いて2〜2.5のpHに酸性化した。酸性化された逆抽出物を次いで遠心分離して、沈澱した硫酸カルシウムを除去した。30KgのDM水を用いて沈澱物を洗浄して、含まれた乳酸を回収した。このようにして得られた乳酸を含んでいる濾過液を次いで、1時間あたり3〜5総体積の速度で連続カラム操作の条件下で陽イオン交換樹脂を含んでいるカラムに通した。カラムからの廃液のpHは、処理後に1.5〜2.0のレベルまで減少するとわかった。樹脂カラムを2総体積の脱塩水でリンスして、残留する乳酸の回収のために、捕獲された乳酸の、樹脂カラムからの回収を確実にした。このようにして得られた275Kgの暗褐色の水性乳酸溶液を、一連の凝縮器による3:1の還流比を有する350mmHgの減圧において80〜84℃の充填されたガラス被覆蒸留塔において濃縮した。このようにした蒸留された(245Kg)水を、別の溶媒抽出物を用いた逆抽出のプロセスに用いた。58重量%の乳酸を有する30.5Kgの水性乳酸濃縮物が得られ、逆抽出から濃縮までのプロセス工程で88%の全体的乳酸回収率となった。
(実施例15)
上記実施例にて記載したとおりの液液抽出、ライムでの逆抽出、乳酸塩の酸性化、樹脂処理および濃縮によって発酵ブロスから得られた、66重量%の乳酸濃度を有する82gの水性乳酸濃縮物を、濃度が液体温度の測定および標準ジョイントを通した窒素フラッシュのための設備を取り付けた250mlの三つ首の丸底ガラスフラスコに採取した。このフラスコを、短経路蒸留ヘッドおよび水/空気凝縮器によるレシーバとして容量100mlの二つ首の丸底ガラスフラスコに接続していた。蒸気温度の測定のために、温度計ポケットが蒸留ヘッドに設けられていた。
反応フラスコを、反応混合物の加熱および混合のための回転マントル(rota−mantle)中で保持した。温度を、蒸留物としての水を除去するための窒素フラッシュ下で、140℃まで次第に上昇させた。次いで、反応物を90℃まで冷やし、そして0.6gのジブチルスズ酸化物触媒を次いで窒素ブランケット下で反応混合物に添加した。次いで、温度を160℃まで段階的に次第に上昇させ、そして残った水の除去のために2時間を超える時間をかけて、減圧を大気圧から60mmHgまで段階的に次第に増やした。水の除去後、反応混合物を90℃まで冷やし、水凝縮器を空気凝縮器によって置き換え、レシーバを氷によって冷やし、そして、ラクチドの蒸留のために5時間かけて温度を290℃まで段階的に次第に上昇させ、そして4mmHgまで減圧した。生成物蒸留物としての40gの粗ラクチドが得られ、乳酸に基づいて90%を超える粗ラクチド収率となった。
(実施例16)
液液抽出、アンモニアを使用した逆抽出、イオン交換および濃縮によって発酵ブロスから得られた75%の濃度の乳酸を含んでいる、83gの水性乳酸暗褐色濃縮物を、実施例15にて記載したような実験的な設定を使用したラクチド形成に使用した。温度を、水の除去のために窒素雰囲気下で、3時間かけて室温から156℃まで段階的に次第に上昇させた。反応混合物を85℃まで冷やし、そして1.6gの触媒ジブチル酸化スズを反応混合物に添加し、そして4時間かけて温度を160℃まで段階的に上昇させ、そして減圧を大気圧から40mmHgまで次第に増やして、反応混合物から残りの水を除去した。反応混合物を再度90℃まで冷やし、そしてラクチド蒸留を、短経路空気凝縮器を用いて温度を段階的に235℃まで上昇させ、そして減圧を5mmHgまで増やし、ラクチドのためのドライアイスを用いて生成物レシーバを冷やすことによって開始した。47gの粗ラクチド蒸留物は、7.5gの残りを反応フラスコに残して4時間で集められた。このことは、90%を超える粗ラクチド収率を示す。
(実施例17)
ラクチド形成の実験において、44.7重量%の乳酸を含んでおり、液液抽出、逆抽出、酸性化、樹脂処理および濃縮によって発酵ブロスから調製された、42.5Kgの暗く着色した粘稠性水性乳酸濃縮物を、50リットルの作業能力のSS−316オートクレーブ反応器において供給物として用いた。反応器は、攪拌のためのタービン型インペラー、短経路凝縮器、液体温度および蒸気温度を測定するための設備、ならびに窒素ブランケットのためのポートを備えていた。下部弁を有する、生成物用の20リットルの三つ首のガラスレシーバは、凝縮器によって反応器システムに接続されていた。反応器は熱油循環による温度調節のためにジャケットが付けられており、そして減圧は還流冷却器を使用してレシーバの首のうちの1つにより適用された。供給物を反応器にローディングした後、反応混合物の温度を、水の除去のための10時間かけて室温から152℃までゆっくり上昇させた。蒸気温度は、この間に100〜108℃の範囲で変化した。340gのジブチルスズ酸化物触媒を次いで添加し、温度を150〜160℃の範囲に維持し、そしてさらに水を除去するために8時間かけて減圧を600から60mmHgに次第に増やした。水の除去後、ラクチドの蒸留のために、10mmHgの減圧を適用し、そして温度を160から220℃へと14時間かけて次第に上昇させた。13.4Kgの粗ラクチド蒸留物が得られ、乳酸に基づいて87%の粗ラクチド収率となった。
(実施例18)
発酵ブロスから実施例15において調製した通りの粗ラクチドを、還流冷却器を取り付けた100mlの丸底フラスコにおいてこのラクチドを溶解し、この溶液を2〜4時間間の5℃の温度で冷却してラクチドの結晶化を生じさせることによって、5:3の粗ラクチド:酢酸エチル比を使用して、酢酸エチルから結晶化により精製した。融点89℃の白いラクチド結晶が得られた。この精製されたラクチドは、酢酸エチルを用いた2回目の再結晶により、文献で報告されたものと匹敵する、融点97℃の精製されたラクチドをもたらした。この精製されたラクチド2gを100mlの丸底フラスコに採取し、油浴中で80℃にて1時間排気し、そしてトルエン中のオクタン酸スズ触媒の0.5%溶液0.2mlを次いで添加し、そして反応混合物をさらに1時間排気して溶媒を除去した。このシステムを減圧下で封止し、そして反応混合物の温度を、磁気撹拌しながら180℃まで段階的にゆっくりと上昇させ、ラクチドの溶融重合のために180℃で45分間残存させた。次いで、温度を130℃まで下げ、そして重合反応をさらに12時間継続した。このようにして生産されたポリマーを、クロロホルム中に溶解し、メタノールを用いて再度沈澱させ、そして乾燥させることによって再加工して、94%の収率で、比溶液粘度0.21の1.87gの白色生成物を得た。10℃/分の加熱速度でのポリマーのDSC分析は、それぞれ、ポリマーのガラス転移、結晶化および融解に対応する55℃、99℃および152℃でPLAに特有の3つの遷移を与えた。
(実施例19)
実施例番号18に記載される手順に従って調製された2gの精製されたラクチドを、100mlの丸底フラスコ中に採取し、そして80℃(油浴中)で1時間排気した。次いで、トルエン中のオクタン酸スズの0.5%の溶液0.4mlを添加し、そしてフラスコをさらに30分間排気してトルエンを除去した。反応混合物を窒素によって繰り返しフラッシュし、そしてフラスコを窒素の存在下で封止した。次いで、反応混合物の温度を、磁気撹拌しながら180℃までゆっくりと上昇させ、そして溶融重合を180℃で2時間生じさせ、続いて150℃で、4時間、そして120℃で13時間生じさせた。再加工したポリマーのGPC分子量は、1.98の分子量分布を有して38,700であるとわかった。DSCサーモグラムは、152℃でのポリマーの溶融吸熱および冷却による108℃の結晶化温度を示した。
(実施例20)
実施例16に記載したとおりに発酵ブロスから得られた乳酸から調製された粗ラクチドを、5:3のラクチド:酢酸エチル比を用いた酢酸エチル中での2回の再結晶により精製した。次いで、ラクチドを濾過し、1:1のラクチド:トルエン比でトルエンを用い再結晶した。このようにして精製されたラクチドの融点は99℃であるとわかった。このラクチドの7.5gを丸底フラスコに採取し、そして5〜10mmHgの減圧下で80℃にて1時間乾燥した。ラクチドに基づいて0.6%のオクタン酸スズ触媒を次いで添加し、そして反応混合物を減圧下でさらに1時間乾燥した。次いでこのフラスコを減圧下で封止し、そして反応混合物を180℃で35分間重合させた。0.69dL/g固有粘度および78,000のGPC分子量のポリマーが、収率90%で得られた。
(実施例21)
乳酸としての0.01重量%の酸性度および180ppmの水分レベルを有する10gの精製されたラクチドの溶融重合を、180℃で3時間実施した。ラクチドの重量に基づいて0.2%のオクタン酸スズ触媒を用いた。溶融重合のための実験的な設定は、実施例20に記載したのと同じであった。固有粘度2.52dL/gおよび2,35,000のGPC分子量のポリマーが得られ、ポリマーの収率は95%であった。ポリマーサンプルのDSC分析は、170℃の融点および29Kcal/モルの融解熱を与える。
(実施例22)
精製されたラクチドの溶融重合を、1バッチあたり100gのレベルで実施した。0.02%の酸性度および350ppmの水分を有する100gのラクチドを、250mlの丸底フラスコに採取した。ラクチドに基づいて0.056重量%のオクタン酸スズ触媒を添加し、そして反応混合物を80℃で2時間排気して、触媒溶液を調製するために使用した水分およびトルエンを除去した。反応混合物を減圧下で封止し、そして温度を180℃まで上昇させ、そして1時間保持して、溶融重合を生じさせた。GPC分子量2,13,000および分散度2.12のポリマーが、85%の変換率で得られた。
(実施例23)
1.3Kgの精製されたラクチドを、機械的撹拌を備えている5KgのPaar反応器中で0.056%のオクタン酸スズ触媒の存在において、溶融重合させた。ラクチドの酸価は、0.25%であった。ラクチドを、20〜30mmHgの真空レベルの下で75〜85℃で4時間乾燥させた。混合物を窒素によって繰り返しパージし、そしてアセンブリを減圧下で封止した。反応混合物の温度を、撹拌しながら180℃までゆっくりと上昇させ、そして1時間維持した。0.77の比粘度を有している1.1Kgおよび72,000のGPC分子量のポリマーが得られ、ポリマーの収率はほぼ85%であった。
上記の記載を考慮すれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくその均等な改変がなされ得ることは、当業者にとって明らかである。

Claims (1)

  1. 明細書中に記載の発明。
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