JP2011026244A - 乳酸エステルの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、収率に優れる効率的なの乳酸エステルの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】乳酸および/または乳酸塩とアルコールから乳酸エステルを製造する方法において、反応液に、鉱酸を添加することにより、pH1以下に調整し、乳酸と該アルコールのエステル化反応をおこなうことを特徴とする乳酸エステルの製造方法
【選択図】なし

Description

本発明は、収率に優れる乳酸エステルの製造方法に関し、詳しくは、乳酸および/または乳酸塩水溶液を用いて、効率的に乳酸エステルを製造する方法に関する。
乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステルは、安全性の高い溶剤、洗浄剤として用いられている。また、乳酸エステルを加水分解した乳酸は、清涼飲料、漬物等の食品添加物のほか、医・農薬などの原料としても用いられている。さらに、重合体であるポリ乳酸も生分解性ポリマーとして注目されている。そのため、低コストで、収率が高く、工業スケールで製造可能な乳酸エステルの製造方法が期待されている。また、重合度の高いポリ乳酸を得るため、純度の高い乳酸が求められている。
乳酸エステルの製造方法として、乳酸発酵により得られた乳酸培養液にアルコールを添加してエステル化反応を行う方法が広く用いられている。特許文献1には、乳酸または乳酸塩とアルコールを含む反応液をエステル化し、エステル化率60〜90%のところで、一旦反応を中断し、反応液に含まれる乳酸エステルとアルコールとを蒸留によって分離し、その蒸留残査にアルコールを添加して再度エステル化を行い、1回目のエステル化と2回目のエステル化を行うことによって、乳酸エステル収率の合計が90%を超える方法が記載されている。しかしながら、一旦、エステル化反応を停止し、乳酸エステルとアルコールとを分離した後、再度アルコールを添加し、エステル化反応を行う必要があるため、工程が多くなる点で、工業的スケールで行うには簡便な手法とは言えない。
特許文献2には、乳酸培養液より乳酸を乳酸又は乳酸のエステルとして系外に加熱分離する際に、二酸化珪素系分散剤を培養液に添加することにより、培養液中のタンパク質などが反応槽の壁面や攪拌翼等への付着及び固結を防ぐことを特徴とする培養液の付着及び固結防止法が記載されている。これは、反応後の設備整備を容易にする目的で、分散剤を添加しているが、経済性の面から考慮すれば、このような二酸化珪素系分散剤を添加して反応を行うことは回避したい。分散剤を添加することなく、培養液の釜残や攪拌翼等への付着及び固結を容易に防ぐことのできる手段の開発が望まれている。
WO2005/087702号 特開昭58−56690号
以上のような事情を鑑み、本発明は、エステル化反応後に反応槽の壁面や攪拌翼に固形分の付着を抑制し、収率に優れる効率的な乳酸エステルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、エステル化反応において、反応液のpHを1以下とすることで、エステル化反応が効率的に進行することを見出し、簡便な乳酸エステルの製造方法を完成するに至った。また、乳酸発酵によって得られた乳酸および/または乳酸培養液を加熱処理し、培養液中に残存するタンパク質分を熱変性により凝縮させ、固液分離により凝縮物を除去することで、エステル化反応後の攪拌翼や反応槽の壁面に固形分の付着を抑えることができることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下に収率に優れる効率的な乳酸エステルの製造方法を提供する。
項1. 乳酸および/または乳酸塩とアルコールから乳酸エステルを製造する方法において、反応液に、鉱酸を添加することにより、pH1以下に調整し、乳酸と該アルコールのエステル化反応をおこなうことを特徴とする乳酸エステルの製造方法
項2. 前記反応液が、乳酸および/または乳酸塩水溶液とアルコールを含む、項1に記載の製造方法。
項3. 前記反応液が、乳酸培養液であって、該培養液を加熱処理に付することで、培養液中の残存タンパク質を熱変性により凝集させ、固液分離により凝集物を除去した水溶液であることを特徴とする項1または2に記載の製造方法。
項4. 前記鉱酸が、硫酸、塩酸、リン酸、または硝酸から選択される少なくとも1種である項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
項5. 前記アルコールが、炭素数4〜10のアルコールである項1〜4のいずれかに記載の製造方法
項6. 前記アルコールの使用量が、乳酸および/または乳酸塩水溶液中に含まれる乳酸に対して、1〜10モル等量である項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
本発明によれば、エステル化反応時、反応液のpHを1以下とすることで、高収率で乳酸エステルを製造することができる。また、乳酸発酵によって得られた乳酸および/または乳酸塩培養液を加熱処理し、培養液中に残存するタンパク質分を除去することで、エステル化反応において、蒸留塔および反応釜などへの付着物がほとんど無く、運転上のトラブルの原因を回避でき、工業スケールにおいて、効率的に製造を行うことができる。また、分散剤等を添加する必要がないため、経済的である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、乳酸および/または乳酸塩とアルコールから乳酸エステルを製造する方法において、エステル反応液に、鉱酸を添加することにより、pH1以下に調整し、乳酸と該アルコールのエステル化反応をおこなうことを特徴とする乳酸エステルの製造方法である。
本発明で使用する乳酸は、いずれの方法で製造されたものであってもよく、乳酸二分子が結合したラクチドを加水分解して製造したものや、化学合成によるもの、または乳酸発酵によって得られたものなど、いずれの方法で得たものも使用することができる。乳酸発酵によって製造されたものを使用すると、光学活性に優れる乳酸エステルを得ることができるため、乳酸発酵由来ものが好ましい。
乳酸塩としては、エステル化に際して、塩が乳酸から脱離してもエステル化反応に影響がないものであれば、どのようなものであってもよい。このような乳酸塩として、カルシウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンとの塩を例示することができる。乳酸塩を含めたのは、中和などの乳酸製造工程において、最終物が乳酸塩となる場合を考慮したためである。
本発明では、乳酸や乳酸塩は、乳酸および/または乳酸塩水溶液で供給することができる。このような、乳酸および/または乳酸塩水溶液として、乳酸発酵によって得られる培養液を使用することができる。
乳酸培養液を得る方法として、特に制限されること無く、通常の乳酸発酵法を用いることができる。例えば、グルコース、フルクトースのような単糖類;シュークロース、マルトース、トレハロースのような二糖類;デンプン、セルロース、ヘミセルロース、キシランのような多糖類など、糖類を含有する甘藷糖蜜、サトウキビ廃糖蜜のような廃糖蜜などの炭素源を主原料とし、さらに、酵母エキス、ペプトン、動物性ポリペプトン、植物性ポリペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、カザミノ酸、油粕のようなペプチド又はアミノ酸類、アンモニア、硝酸塩のような無機窒素類、尿素などの窒素源を添加した培地を用いて、ラクトバチルス(Lactobacillus)属、ラクトコッカス(Lactococcus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、ロイコノストック(Leuconostoc)属など乳酸発酵能を有する乳酸菌を培養することによって、乳酸培養液が得られる。また、必要に応じて、培地中に乳酸発酵用の培地に通常添加される、リン酸塩、硫酸マグネシウムのようなマグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩のような無機塩類;ビタミン類;ポリソルベートのような脂肪酸などを添加してもよい。このような乳酸培養液を得る方法として、例えば、特開平2−76592号公報、特開昭62−44188号公報に記載の方法で調製することができる。
乳酸発酵において、生成した乳酸によって、培養液中のpHが低下するので中和剤を用いて中和しながら、発酵を進めるのが一般的である。なお、生成した乳酸は、中和剤と塩を形成し、乳酸塩の形で得られる。pH調節に用いる中和剤は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の炭酸塩、アンモニウム化合物及びこれらの混合物が挙げられる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アンモニア水、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムなどが挙げられる。中でも、中和によって得られる乳酸塩の取り扱いやすさの点で、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが好ましい。また、乳酸発酵によって得られる培養液は、全て乳酸塩の形ではなく、一部乳酸の状態のものを含んでいてもよい。
乳酸発酵時の培地のpHは、用いる微生物の種類、培地の種類、培養条件によって異なるため、必要に応じて適宜決定することができるが、通常pH4−7、好ましくは5.5−6.5の範囲であってもよい。発酵の温度は、使用する乳酸生産菌が生育する温度であればよく、例えば約0〜60℃が好ましく、約30〜50℃がより好ましく、約35〜45℃がさらにより好ましい。培養は、回分培養、半回分培養、連続培養の何れであってもよい。培養時間は、使用菌株、培地成分、特に糖質の量などにより異なるが、回分培養の場合、約1〜8日間が好ましく、約2〜7日間がより好ましい。連続培養、半回分培養を行う場合はこれに限定されない。
乳酸発酵で得られる乳酸および/または乳酸塩培養液は、遠心分離や膜ろ過等によって、菌体、培地成分、固形成分などの共雑物を除去することにより、乳酸および/また乳酸塩水溶液として、エステル化反応に用いることができる。しかしながら、菌体などの固形分のみを除去した乳酸および/または乳酸塩水溶液中には、タンパク質が大量に残存しており、そのままの状態でエステル化反応を行うと、反応後に反応槽の壁面や攪拌翼にタンパク質が固着し、整備が非常に労力を要することになる。そこで、エステル反応に用いる乳酸および/または乳酸塩水溶液中に残存しているタンパク質分をある程度除去しておくことが好ましい。
本発明において、乳酸発酵で得られた乳酸および/または乳酸塩培養液中に残存するタンパク質分の除去方法として、乳酸および/または乳酸塩培養液を加熱処理することによって、培養液中に残存する菌体及び菌体由来成分、培地由来成分などのタンパク質を熱変性により凝縮させ、固液分離により凝縮物を除去する方法がある。タンパク質除去の際の加熱処理温度は、60〜120℃であればよく、好ましくは65〜110℃、より好ましくは70〜100℃である。加熱処理の時間は、10分〜10時間であればよく、好ましくは30分〜7時間、より好ましくは1〜4時間である。上記範囲であれば効率良く培養液中に残存するタンパク質等を熱変性させることができ、凝集物が得られる。加熱処理によって、生成した凝集物は、通常用いられる固液分離法、例えば、遠心分離、膜ろ過、デカンテーション法等によって、容易に除去することができる。また、凝集剤などを添加してもよい。
本発明において、エステル化反応に付する反応液は、pHが1以下であればよく、pH0.9以下であることが好ましく、pH0.7以下であることがより好ましい。なお、反応液中に含まれる乳酸塩は、上記pHに調整した際に、乳酸と無機塩に遊離する。また、反応液のpH調整は、鉱酸を用いて行えばよく、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸などを例示することができる。中でも、乳酸塩より遊離してくる無機塩の取り扱いやすさの点で、塩酸などを例示できる。pH調節に用いる鉱酸量は、特に制限はないが、反応液中に含まれる乳酸(乳酸塩および乳酸の重合体の乳酸換算を含む)に対して、1〜2等量であれば、十分に上記範囲にpHを調整することができる。反応液のpHを上記範囲に調整すれば、収率よく乳酸エステルが得られる。
本発明では、エステル化反応は、反応液に酸触媒を添加して行ってもよい。酸触媒として、酸性白土、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、アルミナボリア、ゼオライト等の無機物酸化物複合体、あるいは固体担体に硫酸、燐酸、ほう酸などを含浸させたもの等の無機固体酸、スルホン酸基、フルオロアルカンスルホン酸基等を有するイオン交換樹脂等の有機固体酸、硫酸、塩酸、燐酸、硝酸、ホウ酸、フッ化水素酸等の鉱酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸などが挙げられる。中でも、硫酸、塩酸、燐酸、硝酸などの鉱酸が好ましい。なお、酸触媒として鉱酸を用いる場合は、pH調整に用いた鉱酸と同じものを用いてもよく、別の鉱酸を用いてもよい。
酸触媒の使用量は、反応液に含まれる乳酸(乳酸塩および乳酸の重合体の乳酸換算を含む)に対して、1〜20mol%が好ましく、5〜10mol%がより好ましい。
本発明でエステル化反応に使用するアルコールとして、特に制限はないが、炭素数4〜10のアルコールが挙げられる。炭素数4〜10のアルコールとして、具体的には、1−ブタノール、2−ブタノール、t-ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−エチルヘキサノール、2−エチルヘキサノール、1−ノニルアルコール、1−デシルアルコールなどを例示することができ、中でも入手の容易な点で、1−ブタノール、2−ブタノール、t-ブタノール、1−ペンタノールが好ましい。
アルコールの添加量としては、反応液中に含まれる乳酸(乳酸塩および乳酸の重合体の乳酸換算を含む)に対して、2.0〜10モル等量であることが好ましく、3〜5モル等量であることがより好ましい。エステルの反応条件としては、使用するアルコールの種類によって適宜選択しえるが、通常、常圧下で、反応温度は、80〜200℃の範囲であればよく、100〜170℃であることが好ましい。加熱することにより、脱水および乳酸と該アルコールのエステル化反応が進行する。1−ブタノールを用いた場合、1−ブタノールは水と共沸するため、この共沸組成物を、コンデンサーなどを用いて冷却回収した後に、1−ブタノールと水とを2相分離させると、1−ブタノールはエステル反応系へ再利用することができ、水は系外へ除去することができる。
本発明において、反応液への各成分の添加順序は、特に限定されないが、例えば、加熱処理によりタンパク質除去を行った乳酸および/または乳酸塩水溶液を反応器中に添加し、酸触媒、鉱酸を添加し、pHを調整した後に、アルコールを添加して、エステル反応を行ってもよい。
なお、エステル反応が進行すると反応液に溶解していた無機塩が析出してくるが、加熱処理によって、乳酸および/または乳酸塩培養液に含まれる釜壁や攪拌翼等への付着及び固結の原因となるタンパク質を除去しておけば、析出した塩を除去しなくとも良い。また、反応によって得られたエステル反応液には、ほとんど水を含んでおらず、アルコール、該アルコールの乳酸エステル、無機塩、その他の不純物を含んでおり、無機塩などは固形分として存在し、スラリー状になっている。
該エステル反応液から乳酸エステルおよび余剰分のアルコールを分離する方法として、特に制限されるものでなく、通常の蒸留技術により、バッチ式または連続式で容易に行うことができる。例えば、エステル反応液を減圧下にそのまま蒸留してもよく、また、エステル反応槽内の残留物が高粘度である場合には、ろ過あるいは、デカントなどあらかじめ固形分を除去した後、蒸留を行ってもよい。好ましくは、析出した塩を通常の方法によりろ過分離により除去後、蒸留するのがよい。
本発明の製造方法を用いることで、乳酸エステルの収率は通常85%以上である。また、乳酸の光学活性体を用いた場合、光学純度を低下させることなく、乳酸エステルを得ることができる。
実施例
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(分析方法)
後述する実施例及び比較例において、乳酸エステルの分析は下記GC分析方法で行った。
1.乳酸エステルの分析方法
分析用の試料は、反応後液500mg、内部標準としてジグライム100μLを秤取り、アセトンで10mLにメスアップすることで調整した。測定機器はガスクロマトグラフにGC−2010(Shimadzu)、オートサンプラーにAOC-20i(Shimadzu)、クロマトデータ処理装置にGC−Solution(Shimadzu)を用いた。また、検出器は水素イオン化検出器(FID)、試料注入口はSPL(1:100)、試料気化室温度は250℃、検出器温度は275℃、カラムはInertcap 1701(0.25mm × 30 m, 0.25μm)(GL Sciences)、カラム温度は70℃(5min)−10℃/min−270℃(3min):28min、キャリアーガスは窒素、流速は0.8 mL/min、分析時間は28min、分析量は1μL、という条件でそれぞれ測定を実施した。
2.乳酸エステルの収率
以下の実施例及び比較例において、乳酸エステルの収率は、培養液中に含まれる乳酸ナトリウムのモル数に対する、エステル化後に含まれる乳酸エステルのモル数の割合であり、以下の式で表される。
乳酸エステルの収率(%)=(エステル化後に含まれる乳酸エステルのモル数)/(加熱処理後の水溶液中に含まれる乳酸(乳酸塩):乳酸換算のモル数)×100
実施例1
500mlのスクリュー管に乳酸発酵によって得られた乳酸および乳酸塩を含有する培養液(390g)を添加し、75度で1時間加熱処理を行った。加熱処理によって、培養液中に残存する菌体及び菌体由来成分、培地由来成分などのタンパク質が凝集した。加熱処理後、室温まで放冷し、減圧ろ過によって凝集物を除去し、乳酸および乳酸塩を含有する水溶液を得た。100mLのフラスコに加熱処理を施した乳酸塩水溶液(41g、乳酸ナトリウム:乳酸換算で0.1mol)に、酸触媒として95%硫酸(0.53g、5mol%)を加えた。さらに、35%HCl(13.0g、1.24eq)を添加し、pHの調整された乳酸水溶液(pH=0.26)を得た。pHを調整後、1−ブタノール(22.3g、3.0eq)を添加した。ジャケット140℃でディーンスタークを用い、1−ブタノールと水との共沸脱水を行いながらエステル化を行った。ほとんど脱水しなくなったため、反応を終了させた。反応終了後、釜壁への固形分の付着はほとんど無く、洗浄は容易であった。結果を表1に示す。
実施例2
100mLのフラスコに実施例1と同様の加熱処理を施した乳酸塩水溶液(41g、乳酸ナトリウム:乳酸換算で0.1mol)に、酸触媒として95%硫酸(0.53g、5mol%)を加えた。さらに、35%HCl(12.53g、1.20eq)を添加し、pHの調整された乳酸水溶液(pH=0.66)を得た。pHを調整後、1−ブタノール(22.3g、3.0eq)を添加し、ジャケット140℃でディーンスタークを用い、1−ブタノールと水との共沸脱水を行いながらエステル化を行った。ほとんど脱水しなくなったため、反応を終了させた。反応終了後、釜壁への固形分の付着はほとんど無く、洗浄は容易であった。結果を表1に示す。
実施例3
100mLのフラスコに実施例1と同様の加熱処理を施した乳酸塩水溶液(41g、乳酸ナトリウム:乳酸換算で0.1mol)に、酸触媒として95%硫酸(0.53g、5mol%)を加えた。さらに、35%HCl(12.22g、1.17eq)を添加し、pHの調整された乳酸水溶液(pH=0.9)を得た。pHを調整後、1−ブタノール(22.3g、3.0eq)を添加し、ジャケット140℃でディーンスタークを用い、1−ブタノールと水との共沸脱水を行いながらエステル化を行った。ほとんど脱水しなくなったため、反応を終了させた。反応終了後、釜壁への固形分の付着はほとんど無く、洗浄は容易であった。結果を表1に示す。
実施例4
100mLのフラスコに加熱処理を行っていない乳酸塩水溶液(39g、乳酸ナトリウム:乳酸換算で0.1mol)に、酸触媒として95%硫酸(0.53g、5mol%)を加えた。さらに、35%HCl(12.0g、1.15eq)を添加し、pHの調整された乳酸水溶液(pH=0.90)を得た。pHを調整後、1−ブタノール(22.4g、3.0eq)を添加した。ジャケット140℃でディーンスタークを用い、1−ブタノールと水との共沸脱水を行いながらエステル化を行った。ほとんど脱水しなくなったため、反応を終了させた。反応終了後、釜壁への固形分の付着がひどく、洗浄は困難であった。結果を表1に示す。
実施例5
100mLのフラスコに実施例1と同様の加熱処理を施した乳酸塩水溶液(41g、乳酸ナトリウム:乳酸換算で0.1mol)に、酸触媒として95%硫酸(0.53g、5mol%)を加えた。さらに、35%HCl(12.0g、1.15eq)を添加し、pHの調整された乳酸水溶液(pH=1.0)を得た。pHを調整後、1−ブタノール(22.3g、3.0eq)を添加した。ジャケット140℃でディーンスタークを用い、1−ブタノールと水との共沸脱水を行いながらエステル化を行った。ほとんど脱水しなくなったため、反応を終了させた。反応終了後、釜壁への固形分の付着はほとんど無く、洗浄は容易であった。結果を表1に示す。
比較例1
100mLのフラスコに実施例1と同様の加熱処理を施した乳酸塩水溶液(41g、乳酸ナトリウム:乳酸換算で0.1mol)に、酸触媒として95%硫酸(0.53g、5mol%)を加えた。さらに、35%HCl(11.5g、1.09eq)を添加し、pHの調整された乳酸水溶液(pH=1.6)を得た。pHを調整後、1−ブタノール(22.3g、3.0eq)を添加した。ジャケット140℃でディーンスタークを用い、1−ブタノールと水との共沸脱水を行いながらエステル化を行った。ほとんど脱水しなくなったため、反応を終了させた。結果を表1に示す。
比較例2
100mLのフラスコに実施例1と同様の加熱処理を施した乳酸塩水溶液(41g、乳酸ナトリウム:乳酸換算で0.1mol)に、酸触媒として95%硫酸(0.53g、5mol%)を加えた。さらに、35%HCl(10.7g、1.02eq)を添加し、pHの調整された乳酸水溶液(pH=2.0)を得た。pHを調整後、1−ブタノール(22.3g、3.0eq)を添加した。ジャケット140℃でディーンスタークを用い、1−ブタノールと水との共沸脱水を行いながらエステル化を行った。ほとんど脱水しなくなったため、反応を終了させた。結果を表1に示す。
Figure 2011026244
表1より、反応液のpHを1以下とすることで、高収率でエステル化反応が進行することがわかる。
本発明方法によれば、乳酸エステルの製造に利用することができる。

Claims (6)

  1. 乳酸および/または乳酸塩とアルコールから乳酸エステルを製造する方法において、反応液に、鉱酸を添加することにより、pH1以下に調整し、乳酸と該アルコールのエステル化反応をおこなうことを特徴とする乳酸エステルの製造方法
  2. 前記反応液が、乳酸および/または乳酸塩水溶液とアルコールを含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記反応液が、乳酸培養液であって、該培養液を加熱処理に付することで、培養液中の残存タンパク質を熱変性により凝集させ、固液分離により凝集物を除去した水溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記鉱酸が、硫酸、塩酸、リン酸、または硝酸から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記アルコールが、炭素数4〜10のアルコールである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法
  6. 前記アルコールの使用量が、乳酸および/または乳酸塩水溶液中に含まれる乳酸に対して、1〜10モル等量である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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