JP5219390B2 - 微生物培養用培地及び微生物製剤 - Google Patents

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Description

本発明は、微生物の培養用培地、及び当該培地を用いて得られる微生物製剤及びその調製方法に主に関する。
微生物の分解力を利用したバイオレメディエーション技術は、石油由来の油などによる土壌汚染などに対して有効な浄化方法である。油の難分解成分などを分解可能な微生物乃至微生物製剤を汚染土壌に投入すると、油汚染土壌の円滑な浄化が可能となる。但し、汚染浄化を効率化させるためには、ある程度の微生物量が必要となり、土壌に対して1×108 cells/g soil以上の分解微生物を投入することが望まれる。しかしながら、既存の培養技術、例えば、LB培地を用いた液体培養による微生物の培養では、細胞密度を108〜109 cells/mlのオーダーまでしか上げることができないため、10% (v/v)の菌体溶液の投与が必要である。このままでは培養に用いた大量の培地を微生物と共に汚染土壌に投入することになり、土壌含水率が高くなりすぎてしまい、土壌中が嫌気的になることで微生物の生育阻害がおこる。また、土壌100 kgであると微生物製剤が10〜100 Lと大量に必要になる。そのため、微生物製剤として実際に汚染土壌に投入しようとすると、培養液を遠心し、生菌数を1010cells/mlオーダーまで高める必要性がある。しかしながら、培養液を遠心する場合、遠心により微生物に負荷がかかり活性が低下するなどの問題があった。そのため、微生物を高密度でかつ高活性の状態で培養可能な手段が求められていた。
高密度で微生物を培養する手段としては、培養中の溶存酸素濃度を1ppmから飽和濃度に維持して培養を行うことにより、細菌を高密度で培養し、且つ活性が高発現した培養菌体を得ることが知られている(特許文献1)。
特開2002−17339号公報
本発明は、高い生菌数を有し、かつ高活性の微生物製剤を効率良く得る手段乃至方法を提供すること、並びに、当該手段乃至方法によって得られる高活性の微生物製剤を提供することを主な目的とする。
本発明者は上記課題を解決することを主な目的として鋭意検討を重ねた結果、特定の組成を有する培地を用いて前培養及び本培養を行うことにより、高密度の微生物製剤を得ることが可能になることを見出し、更に鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の培地、微生物製剤の調製方法、及び微生物製剤に関する。
項1:微生物の前培養用培地であって、
培地の全重量に対し、
肉エキスを0.5〜1.5重量%、
酵母エキスを0.5〜1.5重量%、及び
糖質を0.1〜0.5重量%
含有してなる培地。
項2:微生物の本培養用培地であって、
培地の全重量に対し、
コーンスティープリカーを0.5〜5.0重量%、
酵母エキスを0.5〜1.5重量%、及び、
糖質を1.0〜5.0重量%
含有してなる培地。
項3:微生物製剤の調製方法であって、
微生物を項1の培地を用いて前培養する工程、及び
前記前培養した微生物を項2の培地を用いて本培養する工程
を有する調製方法。
好ましくは、濃縮工程を有しない項3に記載の調製方法。
項4:項3に記載の方法によって調製された微生物製剤。
好ましくは、項3に記載の方法であって、濃縮工程を有しない方法によって調製された微生物製剤。
項5:生菌数が1×1010cells/ml以上である
項4に記載の微生物製剤。
好ましくは、項3に記載の方法によって調製された微生物製剤であって、
生菌数が1×1010cells/ml以上である
微生物製剤。
好ましくは、項3に記載の方法であって、濃縮工程を有しない方法によって調製された微生物製剤。
以下、本発明について更に具体的に説明する。尚、本明細書において、%は特に断らない限り、重量%を意味する。
1.前培養用培地
本発明は、微生物の前培養に適した培地を提供する。特に、高密度、換言すると高い生菌数での前培養に適した培地を提供する。
微生物の種類は特に限定されないが、細菌等に好適に用いられる。例えば、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ゴルドニア(Gordonia)属、シュードモナス (Pseudomonas) 属、アセトバクター (Acetobacter) 属、バシラス (Bacillus) 属等に属する従属栄養細菌等に好適に適用し得る。
尚、本明細書において、前培養とは、本培養又は大量培養の前段階として、微生物数を
ある程度増やすために行う培養のことを指す。前培養は、通常、本培養の1/100程度の容量で培養を行う。
本発明の前培養用培地は、少なくとも肉エキス、酵母エキス、及び、糖質を一定の割合で含んでなる。
本発明の前培養培地における肉エキスの割合は、培地全重量に対し、0.5〜1.5%程度、好ましくは1.0〜1.5%程度である。また、酵母エキスの割合は、培地全重量に対し、0.5〜1.5%程度、好ましくは1.0〜1.5%程度である。糖質の割合は、培地全重量に対し、0.1〜0.5%程度、好ましくは0.3〜0.5%程度である。
このような範囲であると、高い生菌数での培養が可能となり、培地調製が困難でなく、また生育阻害の可能性も少ない。
尚、本明細書において、糖質とは,糖を主成分とする物質の総称であり、Cm(H2O)nの一般式で表される糖類や、糖アルコールや、アミノ糖などを含む概念である。糖類には、単糖類、二糖類、及び多糖類などが含まれる。単糖類としては、例えば、グルコース、フルクトースなどが挙げられる。二糖類としては、例えば、ショ糖などが挙げられる。また、糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、イノシトールなどが挙げられる。これらの糖質は、1種単独で用いてもよく、または二種以上を併用して用いてもよい。
前培養培地の溶媒は特に限定されるものではなく、公知のものから適宜設定し得るが、
例えば、精製水、蒸留水、イオン交換水、水道水等を用いることができる。
また、前培養培地には、他の成分として、微生物の培養培地の成分として公知の成分を適宜配合することもできる。他の成分としては、例えば、無機塩、窒素源、酵素誘導剤等を挙げることができる。無機塩としては、燐酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、鉄塩、コバルト塩など、その他微量金属塩などが挙げられる。窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。酵素誘導剤としては、例えば、尿素、メチル尿素、1,1-ジメチル尿素、1,3-ジメチル尿素、エチル尿素、1,1-ジエチル尿素、1,3-ジエチル尿素、メタクリルアミドなどが挙げられる。
これらの配合割合は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜設定することができる。
前培養用培地のpHも特に限定されないが、pH6〜8程度、好ましくはpH7程度である。
前培養培地の調製方法も特に限定されず、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、上記肉エキス、酵母エキス、糖質及び他の成分を溶媒に添加して、混合攪拌することにより得ることができる。調製した培地は、常法に従って、滅菌等の処理を行うこともできる。
前培養培地の容量は、微生物の種類や本培養の容量等を考慮して適宜設定されるが、通
常5〜2000 mL程度、好ましくは100〜1000 mL程度である。
前培養における生菌数は、特に限定されないが、通常1×107 cells/ml〜9×109cells/ml程度、特に、5×108 cells/ml 〜5×109cells/ml程度またはそれ以上の濃度とすることができる。
また、植菌量は、培地に対し、容積比(v/v)で、通常0.25〜10%程度、好ましくは、1〜5%程度である。
本発明の前培養培地は、特に高密度、換言すると、高い生菌数での微生物の前培養を
可能とするものである。
2.本培養用培地
本発明の本培養用培地は、微生物の本培養に適した培地を提供する。特に高密度での微
生物の本培養に適した培地を提供する。
微生物の種類は、前述の前培養培地と同様であり、特に限定されないが、細菌等に好適に適用できる。例えば、ロドコッカス(Rhodococcus)属、ゴルドニア(Gordonia)属、シュードモナス (Pseudomonas) 属、アセトバクター (Acetobacter) 属、バシラス (Bacillus) 属等に属する従属栄養細菌等に好適に適用し得る。
尚、本明細書において、本培養とは、大量培養又は試験又は実際の現場に直接使用可能
な量の菌体を培養することを指す。
本発明の本培養用培地は、少なくとも、コーンスティープリカー、酵母エキス、及び、糖質を一定の割合で含んでいる。
コーンスティープリカーの割合は、培地全重量に対し、0.5〜5.0%程度、好ましくは3.0〜5.0%程度である。酵母エキスの割合は、培地全重量に対し、0.5〜1.5%程度、好ましくは1.0〜1.5%程度である。糖質の割合は、培地全重量に対し、1.0〜5.0%程度、好ましくは4.0〜5.0%程度である。
このような範囲であると、高い生菌数で培養が可能となり、培地調製が困難でなく、生育阻害の可能性も少ない。
コーンスティープリカーは、コーンウェットミリングの浸漬工程でとうもろこしから溶出した可溶性成分と乳酸発酵で生成した成分を含む浸漬液を濃縮した液状製品であり、公知のものを用いることができる。
また、糖質は、前述の通りであり、単糖類、二糖類等の糖類や、糖アルコールや、アミノ糖などを含む概念である。
本培養培地の溶媒も特に限定されるものではなく、適宜設定することができるが、例え
ば、精製水、蒸留水、イオン交換水等を用いることができる。
また、本培養培地には、他の成分として、微生物の培養培地の成分として公知の成分を適宜配合することもできる。他の成分としては、例えば、無機塩、窒素源、酵素誘導剤等を挙げることができる。無機塩としては、燐酸塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、鉄塩、コバルト塩など、その他微量金属塩などが挙げられる。リン酸塩としては、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウムなどが挙げられる。マグネシウム塩としては、硫酸マグネシウムなどが挙げられる。また窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。酵素誘導剤としては、例えば、尿素、メチル尿素、1,1-ジメチル尿素、1,3-ジメチル尿素、エチル尿素、1,1-ジエチル尿素、1,3-ジエチル尿素、メタクリルアミドなどが挙げられる。
これらの配合割合は、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜設定することができる。
本培養用培地のpHも特に限定されないが、pH4〜10程度、好ましくはpH6.8〜7.2程度である。
本培養培地の調製方法は特に限定されず、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、上記コーンスティープリカー、酵母エキス、糖質および必要に応じて他の成分を溶媒に添加して、混合攪拌することにより得ることができる。調製した培地は、常法に従って、滅菌等の処理を行うこともできる。
本培養培地の容量は、微生物の種類や使用量等を考慮して適宜設定されるが、通常100
mL〜100 L程度、好ましくは500 mL〜20 L程度である。
本培養における生菌数も特に限定されないが、通常1×1010cells/ml〜8×1010 cells/ml 程度、特に、2×1010 cells/ml 〜5×1010cells/ml程度またはそれ以上の濃度で培養することができる。
また、植菌量は、培地に対し、容積比(v/v)で、通常0.25〜10%程度、好ましくは、1〜5%程度である。
本発明の本培養培地は、特に高密度、換言すると、高い生菌数での微生物の本培養を
可能とするものである。
3.微生物製剤の調製方法
本発明は、高密度の微生物製剤が調製可能な方法を提供する。
本発明の調製方法は、
微生物を、上記前培養用培地を用いて前培養する工程、及び
前培養後の微生物を、上記本培養用培地を用いて本培養する工程を少なくとも備えている。
前培養工程における培養条件は、微生物の種類等に応じて適宜設定し得るが、
通常、培養時間10 〜72時間程度、特に、14 〜24時間程度であり、培養温度8〜45℃ 程度、特に好ましくは25〜37℃程度である。
例えば、ロドコッカス(Rhodococcus)属に属する微生物の場合、培養時間10〜48時間程度、好ましくは14〜24時間程度であり、培養温度は25〜45℃程度、好ましくは30〜37℃程度である。
本培養工程における培養条件も微生物の種類等に応じて適宜設定し得る。
通常、培養時間10〜72時間程度、特に、14〜24時間程度であり、培養温度8〜45℃ 程度、特に25〜37℃程度である。
例えば、ロドコッカス(Rhodococcus属)に属する微生物の場合、培養時間10〜48時間程度、好ましくは14〜24時間程度であり、培養温度は25〜45℃程度、好ましくは30〜37℃程度である。
また、本発明には、必要に応じて、他の工程を適宜備えることもできる。
他の工程としては、例えば、培地の滅菌工程や培養後の微生物を単離・精製する工程、物質の生産及び精製工程などを挙げることができる。
また、培養の際には、攪拌等の操作を常法に従って行うこともできる。
好ましくは、本発明の調製方法は、濃縮工程を有しない。
本発明の方法によれば、濃縮工程を有せずに、高い生菌数、換言すると高密度の製剤を得ることが可能となる。
従来の調製方法では、高密度で培養することができず、1×1010cells/ml以上の菌体溶液を得るために、遠心等の濃縮が必要であった。しかし、当該工程を行うと、回収工程による菌体の損失(回収率の低下)や、菌体にダメージを与えてしまい、高い生菌数のものが得られない可能性などがある。
一方、本発明によれば、高密度の培養液を濃縮工程無しに調製可能である。
4.微生物製剤
本発明は、上記調製方法により得られる、高密度、換言すると高い生菌数を有する微生
物製剤を提供する。
尚、本明細書において、生菌数とは、一定量の培地又は培養液に対する生きている菌の数を指す。
生菌数は、例えば、固体培地上に培養液を希釈してまき、平板培養で培養後、生育してきた1細胞由来であるコロニー数を計測することにより、測定することができる値である。ここでコロニー数は、CFU(colony forming unit)として表すこともできる。従って、生菌数が1×1010cells/ml以上とは、換言すると、1×1010cfu/ml以上とも表すことができる。
本発明の微生物製剤の形態は特に限定されず、微生物培養液からなるものであってもよく、上記方法によって得られる微生物又は微生物培養液を適宜製剤化して得られるものであってもよい。
製剤化の手法は特に限定されず、公知の方法に従って適宜設定することができる。また製剤の形態も特に限定されず、例えば、液状、粉末状、ゲル状等とすることができる。
微生物製剤には、必要に応じて、他の成分を配合させることもできる。他の成分としては、例えば、pH調整成分等を挙げることができる。他の成分の配合量は、本発明の効果を阻害しない範囲内で適宜設定することができる。
本発明の微生物製剤は、常法に従って保管することができるが、通常、2〜10℃程度、好ましくは、2〜4℃程度で保管する。
本発明の微生物製剤の用途は特に限定されないが、例えば、バイオレメディエーション用や土壌浄化用、油脂分解用、廃水処理用又は土壌改良用などとして好適に用い得る。
本発明の微生物製剤は、高い生菌数を有し、1×1010cells/ml以上、特に、2×1010cells/mlの生菌数を有しており、濃縮等を行うことなく、そのまま利用することができ、優れた活性を保持している。
本発明は、特定の組成からなる微生物の前培養用培地及び本培養培地を提供する。また当該培地を用いる微生物製剤の調製方法を提供する。更に、高密度の微生物製剤を提供する。
従来の培養技術では108〜109 cells/mlオーダーの密度までしか微生物を培養できなかった。これをバイオレメディエーション用等の微生物製剤にする場合は、1010cells/mlオーダー程度に遠心して微生物を濃縮する必要があり、濃縮作業が煩雑、濃縮による微生物活性の低下などの問題があった。また、汚染土壌が広範囲にわたるなどは、多くの微生物製剤が要求され、培養コストがかかる等の問題があった。
これに対し、本発明の技術を用いれば、1010 cells/mlオーダーの高密度で微生物の培養が可能となる。また当該培地を用いることにより、高密度の微生物製剤が得られる。
本発明の方法によって得られる微生物製剤は、高密度であり、濃縮を行なうことなく、高い生菌数の製剤が得られ、そのまま微生物製剤として利用できる。また微生物の活性の低下が少なく、高分解活性なバイオレメディエーション用の微生物製剤等として提供可能となる。また、必要な微生物量を得るための培養スケールが従来技術と比べ小さく、コストの面でも大きな利点を持っている。
更に、本発明の微生物製剤は保存安定性にも優れ、低温で保存することにより約1ヶ月程度でも高い生菌数を維持している。
このように、本発明によれば、高活性の微生物製剤を容易に低コストで得ることが可能になり、種々の微生物利用技術において有用に用いることができる。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。
実施例1:培地の調製
1―1.培地
培地A
溶媒として、水(イオン交換水)に、下記表1に示す成分を同表に示す濃度となるような量で溶かした後、得られた培地を121℃、15分で滅菌し、室温に冷却した。
Figure 0005219390
培地B
溶媒として、水(イオン交換水)に、下記表2に示す組成成分を同表に示す濃度となるような量で溶かした後、得られた培地を121℃、15分で滅菌し、室温に冷却した。
Figure 0005219390
培地C
溶媒として、水(イオン交換水)に、下記表3に示す組成成分を同表に示す濃度となるような量で溶かした後、得られた培地を121℃、15分で滅菌し、室温に冷却した。
Figure 0005219390
1−2.生菌数
以下の実施例において、生菌数は、固体培地上に培養液を希釈してまき、平板培養で培養後、生育してきた1細胞由来であるコロニー数を計測したものを、培地に対する値として示した。ここでコロニー数は、CFU(colony forming unit)として表した。
実施例2:微生物製剤(ロドコッカス)
2−1.微生物製剤の調製
微生物として、ロドコッカス エスピー(Rhodococcus sp.)NDKK6株を用い、微生物製剤の調製を行った。尚、本菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に、受託番号 FERM P-20708として、平成17年11月10日に寄託されている。
培地Aを前培養用培地として使用し、容量100 mLで、1×109 cfu/ml程度の菌体液を1% (v/v) 植菌後、24時間、30℃、130 rpmの条件で前培養を行った。
次いで培地Bを本培養用培地として使用し、容量10Lで、上記で得られた前培養液を1%(v/v)植菌し、24時間、30℃、130 rpmの条件で本培養を行った。
得られた培養液そのものを微生物製剤とした(以下、本発明製剤Rという。)
また、比較のために、前培養において培地Aに代えて培地C、及び本培養において培地Bに代えて培地Cを用いる以外は、上記と同様にして微生物製剤を調製した(以下、比較製剤R1という。)
2−2.生菌数
得られた微生物製剤について、生菌数を調べて比較した。
表4に測定結果を示す。
Figure 0005219390
表4に示されるように、本発明の微生物製剤Rは、遠心濃縮せずとも、1010cells/mlのオーダーで得られ、高い生菌数を有していることがわかった。
一方、従来用いられている培地Cを用いて得られた比較製剤CR1は、109cells/ml程度のオーダーであった。
実施例3:微生物製剤(ゴルドニア)
3−1.微生物製剤の調製
微生物として、ゴルドニア エスピー (Gordonia sp. ) NDKY76A株を用い、微生物製剤の調製を行った。尚、本菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(〒305-8566茨城県つくば市東1-1-1中央第6)に、受託番号 FERM P-20709として、平成17年11月10日に寄託されている。
培地Aを前培養用培地として使用し、容量100 mLで、3×109 cfu/ml程度の菌体液を1% (v/v) 植菌後、48時間、30℃、130 rpmの条件で前培養を行った。
次いで培地Bを本培養用培地として使用し、容量10Lで、上記で得られた前培養液を1%植菌し、48時間、30℃、130 rpmの条件で本培養を行った。
得られた培養液そのものを微生物製剤とした(以下、本発明製剤Gという。)
また、比較のために、前培養において培地Aに代えて培地C、及び本培養において培地Bに代えて培地Cを用いる以外は、上記と同様にして微生物製剤を調製した(以下、比較製剤CG1という。)
3−2.生菌数
得られた微生物製剤について、生菌数を調べて比較した。
生菌数の結果を表5に示す。
Figure 0005219390
表5に示されるように、ゴルドニア属の微生物に本発明の技術を適用して得られた製剤Gも、濃縮せずとも、1010cells/mlのオーダーで得られ、高い生菌数を有していることがわかった。一方、従来用いられている培地Cを用いて得られた比較製剤CG1は、108cells/mlのオーダーであった。
実施例4:微生物製剤によるバイオレメディエーション(500kgスケール)
4−1.バイオレメディエーションに用いた製剤
実施例2で得られた本発明製剤R及び比較製剤を用いて、土壌に対する浄化能力を調べた。
通常微生物製剤として使用が考えられている濃度は1×1010cells/ml以上である。そのため、比較製剤C1について、1×1010cells/ml以上とするため、6,000×gで10分間遠心濃縮した。その結果、生菌数が1.96×1010CFU/mlの微生物製剤が得られた。以下得られた比較製剤を、比較製剤CR2という。
4−2.バイオレメディエーションの評価方法
本発明製剤R及び比較製剤CR2を、改変SW培地と共に、油分濃度約20,000mg/kg-soilの油汚染土壌(500 kg)に対して、混合撹拌により投入し、残存油分濃度の変動を測定した。また、比較のために改変SW培地のみを土壌に投入して同様の検討を行った。
全ての場合において、改変SW培地の量は、土壌に対し容積比2%の量で投入した。
改変SW培地の組成を表6に示す。
Figure 0005219390
4−3.残存油分濃度の測定方法
土壌の油分濃度の測定は、以下の方法で行った。
土壌サンプルは1試料につき3箇所からサンプリングし混合したものを用いた。土壌サンプルを撹拌した後、土壌6.0 gを採取し、脱水のために硫酸ナトリウム 1.0 g、シリカゲル0.8 gを加えた。この土壌に油抽出液H997(C3HF5Cl2)10 mlを添加し、約1時間撹拌した。1時間後、土壌と油抽出液を分離するため、ろ過を行った。ろ液は、油分濃度計の測定範囲に入るように、適度に希釈した。
ろ液約6.5 mlを吸収セルに入れ油分濃度計(OCMA-350、堀場製作所、東京)を用いて測定を行った。得られた測定値を下記式によりを油分濃度に換算した。
Figure 0005219390
4−4.土壌に投入した微生物製剤の密度
汚染土壌に投入直後の微生物製剤の密度は、表7に示すとおりであった。
Figure 0005219390
4−5.結果
図1に、本発明製剤R(●)と比較製剤CR2(■)を用いてバイオレメディエーション効果を比較した結果を示す。また、微生物製剤を添加しない場合(改変SW培地のみの場合)を(▲)で示す。
図1に示されるように、本発明製剤Rは、比較製剤CR2に比べて、土壌の汚染浄化が早く進行し、土壌中の残存油分濃度の減少も大きかった。微生物製剤を添加しない場合は、土壌の浄化が大変緩やかであった。
このように、油汚染土壌の浄化効果は、本技術を用いて調製した微生物製剤のほうが優れていることがわかった。
本発明による微生物製剤の調製では、高密度で微生物を培養でき、遠心濃縮の工程を経ずに製剤として利用できる。そのため、遠心濃縮による微生物への負荷を回避し、従来のものより微生物活性が高い製剤が得られ、かつ遠心濃縮による回収率の低下がなく製造効率にも優れる微生物製剤を調製できたと推察された。
実施例5.微生物製剤の保存性
実施例2で得られた本発明製剤Rを4℃にて保存し、保存経過日数による生菌数(生存微生物数)の変化を調べた。
結果を図2に示す。
その結果、最低でも20日間は微生物製剤中の生菌数はほとんど減少しないことがわかった。この結果から、本技術によって調製した微生物製剤が保存性も高く、実用性が高いこともわかった。
実施例6.微生物製剤を用いたバイオレメディエーション(2.5tスケール)
実際の現場での能力を確認するため、2.5t スケールでバイオレメディエーションを評価した。
6−1.バイオレメディエーション評価方法
実施例4における500 kgの汚染土壌に代えて、2.5 t スケールの油汚染土壌を用いる以外は、実施例4と同様にして評価を行った。
また、土壌中の油分濃度も、上記実施例4−3と同様の方法で測定した。
6−2.結果
図3に、油分濃度の測定結果を示す。本発明製剤Rを用いた場合を(●)、比較製剤CR2を用いた場合を(■)、微生物製剤を添加しない場合を(▲)で示す。
その結果、図3に示されるように、本発明微生物製剤を用いることにより、開始後直
に5000 mg/kg-soilもの油分除去が確認された。
このことから、本発明により調製された微生物製剤の実用的な有用性が確認された。
油汚染土壌に対するバイオレメディエーションの比較試験の結果を示す図面である。本発明製剤を用いた場合を(●)、比較製剤2を用いた場合を(■)、微生物製剤を添加しない場合を(▲)で示す。 本発明微生物製剤を調製後、4℃にて保存して、保存日数の経過ごとに生菌数を計測した結果を示す図面である。 本発明微生物製剤を用いて2.5 tスケールの油汚染土壌に対するバイオレメディエーション試験を行った結果を示す図面である。本発明製剤を用いた場合を(●)、比較製剤を用いた場合を(■)、微生物製剤を添加しない場合を(▲)で示す。

Claims (2)

  1. 微生物製剤の調製方法であって、
    ロドコッカス属又はゴルドニア属に属する従属栄養細菌下記の前培養用培地を用いて前培養する工程、及び
    前記前培養した微生物を下記の本培養用培地を用いて本培養する工程
    を有する調製方法
    ・前培養用培地:
    培地の全重量に対し、
    肉エキスを0.5〜1.5重量%、
    酵母エキスを0.5〜1.5重量%、及び
    糖質を0.1〜0.5重量%
    を含有する、
    ・本培養用培地:
    培地の全重量に対し、
    コーンスティープリカーを0.5〜5.0重量%、
    酵母エキスを0.5〜1.5重量%、及び、
    糖質を1.0〜5.0重量%
    を含有する
  2. 前記微生物製剤の生菌数が1×10 10 cells/ml以上である、請求項1に記載の方法。
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