JP2011101610A - 食品の冷却・冷凍方法及び食品の冷却・冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】過冷却を利用し、食品の水分の分離や組織の破壊を押さえ、鮮度や風味を損なわない、食品の冷却・冷凍方法、及び冷却・冷凍装置を得る。
【解決手段】被冷凍物である食品をラッピングするラッピング処理工程(S1)と、食品をその凍結点より低い温度のシャーベット状アイスに浸漬して冷却することにより過冷却状態に移行させる過冷却移行工程(S2)と、食品の凍結点より低い温度の冷気にさらして食品の過冷却状態を解除し、食品の温度を凍結点まで上昇させ食品中の水分の一部を凍結させて氷結晶を生成させる過冷却解除工程(S3)と、食品の凍結点温度以下に冷却し、氷結晶を核にして食品中の水分を凍結させる冷凍工程(S4)とを備えた。
【選択図】図1

Description

この発明は、水分の分離や組織の破壊を抑制しながら鮮度を保って食品を冷却・冷凍し保存する方法及びその装置に関するものである。
例えば、魚体あるいは魚筋肉のような食品を、冷却・冷凍して保存する場合に、解凍時にドリップ(解凍時の液汁の流出)量が少なく品質の良い保存ができる冷凍保存方法として、氷結晶が小さくなるよう魚筋肉を急速に冷凍する急速冷凍が良く知られている。しかしながら、急速冷凍を行っても、特に大きなフィレ等の魚筋肉では、中心部の冷凍速度が遅くなるため、必ずしも満足な品質で冷凍できるわけではなく、また、急速冷凍には極低温冷気を吹き付けるため大きなエネルギーが必要であり、更に、魚筋肉が乾燥しやすいなどの問題点があった。
この急速冷凍に対して、食品や飲料を、過冷却状態を利用して保存する方法が提案されている。食品を一旦過冷却状態にし、過冷却状態を解除して一気に食品を凍結させると、氷の微粒子を細かくでき、鮮度を保つことができるというものである。
過冷却を利用した冷凍方法として、例えば、冷凍庫の内部空間に収容されている被冷凍物に、50〜5MHzの可変周波数交番電界を作用させ、さらに磁場を作用させながら、さらに冷気にイオン風を重畳させて吹きつけ、水分の凍結を抑制しつつ所定の温度まで急速冷却したのち、所定の温度で瞬時に冷凍する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−88347号公報(第4頁−6頁、図1)
特許文献1による冷凍方法では、上述のように、食品に50〜5MHzの可変周波数交番電界や磁場を作用させながら、あるいはイオン風を作用させて、急速冷却したのち、所定の温度で瞬時に冷凍する。ところが、食品に上記のような磁界や電界、さらにはイオン風を作用させるには、それらの発生装置が必要であり、装置として高価になるという問題点があった。特に、大量の被冷凍物を連続的に処理するような場合は、装置が大形化するため、この技術を適用するのは難しいという問題点があった。
この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、被冷凍物(食品)を冷凍保存する際の水分の分離や組織の破壊を抑え、鮮度や風味を損なわずに冷凍でき、大量の被冷凍物の処理が可能な、冷却・冷凍方法及び冷却・冷凍装置を提供することを目的とする。
この発明に係る食品の冷却・冷凍方法は、被冷凍物である食品をラッピングするラッピング処理工程と、食品をその凍結点より低い温度のシャーベット状アイスに浸漬して冷却することにより過冷却状態に移行させる過冷却移行工程と、食品の凍結点より低い温度の冷気にさらして過冷却状態を解除し、食品中の水分の一部を凍結させて氷結晶を生成させる過冷却解除工程と、食品の凍結点温度以下に冷却し、氷結晶を核にして食品中の水分を凍結させる冷凍工程と、を備えたものである。
また、この発明に係る食品の冷却・冷凍装置は、食品をラッピングするラッピング手段と、食品の凍結点より低い温度のシャーベット状アイスを生成するシャーベットタンクと、シャーベット状アイスを貯蔵し、ラッピングした食品を浸漬して過冷却状態に移行させるためのシャーベット槽と、シャーベット槽から取り出された食品を収容し、食品の凍結点より低い温度の冷気にさらして過冷却状態を解除すると共に、解除した食品を冷凍する冷凍庫と、を備えたものである。
この発明の食品の冷却・冷凍方法によれば、食品のラッピング処理工程と、シャーベット状アイスに浸漬して過冷却状態に移行させる過冷却移行工程と、過冷却解除工程と、食品中の水分を凍結させる冷凍工程とを備えたので、シャーベット状アイスを利用して、食品を簡単に過冷却状態にできるため、簡単な方法で、食品の解凍後のドリップ量が少ない高品質の冷凍食品を得ることができる。
また、この発明の食品の冷却・冷凍装置によれば、食品のラッピング手段と、食品の凍結点より低い温度のシャーベット状アイスを生成するシャーベットタンクと、シャーベット状アイスに食品を浸漬して過冷却状態に移行させるシャーベット槽と、過冷却状態を解除して食品を冷凍する冷凍庫とを備えたので、食品を過冷却状態に保ったまま冷凍庫に移し、過冷却状態を解除して冷凍できるため、簡単な構成で、解凍後のドリップ量が少なく高品質に食品を冷凍できる冷却・冷凍装置を提供することができる。
また、シャーベット槽を大きくすることで、容易に大量の食品を連続的に処理することが可能となる。
この発明の実施の形態1による食品の冷却・冷凍方法を説明する説明図である。 過冷却現象を用いて食品の冷却・冷凍したときの状態変化を説明する図である。 この発明の実施の形態1による食品の冷却・冷凍装置の要部構成図である。 過冷却移行時の食品の温度状態を説明する図である。 冷却時の食品の中心部の目標温度到達時間と、食品の厚みとの関係を説明する図である。 この発明の実施の形態1による食品の冷却・冷凍装置の他の例を示す要部構成図である。
実施の形態1.
以下図に基づいて説明する。図1は、実施の形態1による食品の冷凍・冷却方法の手順を説明する説明図である。
まず第1ステップ(S1)は、被冷凍物、例えば、魚のフィレのような食品をラッピング処理するラッピング処理工程である。ラッピングするのは、次工程において食品が冷却材に直接接触しないようにするためである。
ラッピングの際には、ラップ材と食品が密着するように、真空パックを行うのが望ましい。真空パックは、一般に知られた食品の真空パック技術を採用すればよいので、詳細な説明は省略する。
次に、第2ステップ(S2)は、食品の凍結点以下の温度で、かつ温度制御されたシャーベット状アイスに、ラッピング(真空パック)した食品を所定時間だけ浸漬し、急速冷却させて速やかに過冷却状態へ移行させる過冷却移行工程である。シャーベット状アイスの温度及び食品の浸漬時間は、冷凍する食品の種類や大きさ(厚さ)ごとに、予めデータを採取しておき、そのデータを利用する。シャーベット状アイスの温度として、例えば、魚の切り身のような場合であれば、後述する理由により、−2℃〜−4℃とするのがよい。なお、過冷却に関する説明は後述する。
次に、第3ステップ(S3)は、食品の凍結点よりはるかに低い温度(例えば、−20℃以下)の冷気にさらして食品の過冷却状態を解除させる過冷却解除工程である。
これにより、食品の温度を凍結点まで上昇させ、食品中の水分の一部を凍結させて微細な氷結晶を生成させる。なお、冷気を吹き付けるのが効果的である。
次に、第4ステップ(S4)は、低温(例えば、−20℃以下)状態を保った冷凍庫で冷凍保存する冷凍工程である。これにより、過冷却解除の際にできた微細氷を核に氷結し、食品の細胞の破壊が押さえられた、全体が一様な凍結状態となる。なお、過冷却解除工程と冷凍工程は、実際の冷却・冷凍装置では、後述するように、冷凍庫において連続して実現できる。
食品を食材として利用するときは、通常の解凍処理を行なえばよい。上記の方法によれば、食品を解凍したとき、ドリップが少なく、おいしさを保つことができる。
次に、過冷却と過冷却解除のメカニズムについて説明する。図2は、食品を冷却したときの状態変化を説明する図である。縦軸に食品の温度、横軸に冷却時間を表している。
魚体や肉類などの食品は体液に塩分が含まれているため、食品の凍結温度は0℃以下である。それらの食品を冷却すると、図中に太線で示すように、冷却区間(A)において、食品の温度が低下し0℃を下回る。ここで、例えば、特許文献1で示すような電界や磁場を加えることにより、凍結しないまま食品の凍結温度以下にすることができる。この状態が図中(B)の過冷却区間である。この過冷却は、比較的静かに冷却することでも実現が可能である。過冷却状態の食品に何らかの刺激を与えると、過冷却状態から過冷却で無い状態へ変化する。過冷却状態が解除されると、食品の温度が急速に凍結温度に移行し、食品には微細な氷結晶が生成される。更に低温で冷却を続ける(図中の(C)区間)と、上記の微細な氷結晶を核にして氷の結晶が成長し食品内部の水分が完全に凍結する。
これにより、氷の微粒子が細かく、食品の細胞破壊を押さえた、全体が一様な冷凍状態を得ることができる。
本願発明では、上記で説明した過冷却状態を実現する方法として、図1の第2ステップのように、食品をラッピングした上で適度な温度のシャーベット状アイスに浸漬するようにした点に特徴を有する。すなわち、図2の(A)の冷却区間に対してシャーベット状アイスを利用するものである。発明者らは、この方法の有用性を実験により検証したので、以下にその背景と経緯を説明する。
シャーベット状アイスは、冷却効果が高いために、過冷却の実現に効果があるのではと考えた。そこで、魚の切り身を用いて、凍結温度以下のシャーベット状アイスに浸漬して過冷却状態が実現できるかを調べた。しかし、食品の凍結温度以下では、過冷却に成らずに凍結してしまうことが分かった。
そこで、つぎに魚の切り身をラッピングし、上記の実験を行った。その結果、過冷却が保てることがわかった。アジやブリの場合、凍結温度は−1.2℃であるのに対して、−3℃までは、過冷却状態が保てることがわかった。しかし、−4℃を過ぎると凍結した。
さらに、過冷却状態で物理的な刺激を加えるために、食品がシャーベット状アイスに浸漬された状態で容器を大きく揺らした。しかし、過冷却状態の解除は見られなかった。
以上のように、ラッピングすることにより安定的にシャーベット状アイスにより過冷却状態が得られ、その状態を安定的に維持できることが分かった。また、過冷却が可能な温度が存在することが分かった。
ラッピングの際には、ラップ材と食品が密着してシャーベット状アイスの冷熱が良く伝わるように、真空パックが望ましいことも確認した。
次に、過冷却状態にすることの有益性について説明する。過冷却状態から刺激を与えて過冷却状態を解除したとき、食品中には微細な氷が生成する。その氷は微細なため、食品の細胞を破壊しない。この状態で速やかに冷凍を行うと微細氷のまま凍結するので、解凍時には、食品の細胞が破壊されることなく細胞の形を保ったまま解凍できる。従ってドリップが少なく、解凍前の食品の状態を維持することができる。
なお、過冷却をしないで急速冷凍する方法も周知である。急速冷凍すると凍結温度帯域を速やかに通過するため、細胞の破損は少ない。しかしながら、食品が大きいものであれば、たとえば直径が10cm程度の塊状のものであれば、急速冷凍によって表面を冷やしても、内部が冷えるには時間がかかり、内部では緩慢冷凍になることがある。緩慢冷凍では凍結温度帯域を、ゆっくり通過するので、氷粒が大きくなって細胞を破損してしまい、解凍後のドリップが多く、解凍前の品質は保てない。
すなわち、急速冷凍する方法と比較して、過冷却状態を利用する利点は、過冷却状態では凍結しないので、食品が大きくても時間をかけることにより、中心温度を過冷却温度に持っていくことが可能であり、したがって、大きな食品にも適用できる点である。もちろん、急速に過冷却状態に移行したほうがよいが、時間をかけてでも食品全体を過冷却状態に持っていくことが肝心である。
なお、過冷却にするにあたって、重要なポイントを更にあげれば、できる限り過冷却温度を低くすることである。過冷却状態の温度を低くすることにより、過冷却解除した際の微細氷の量(数)を多くすることでき、その後の急速冷凍でより微細氷が大きくならなくて済む。すなわち、過冷却解除したとき微細氷ができるが、冷凍するとその微細氷を核として氷が成長する。過冷却状態の温度が低い方が、過冷却解除した場合、より多くの微細氷ができ、完全凍結した際の氷の粒は小さい。
以上のような実験・実証結果に基づいて、前述の図1のような食品の冷却・冷凍方法を見出したものである。
つぎに、上記のような方法を採用した食品の冷却・冷凍装置について説明する。
図3は、実施の形態1によるに食品の冷却・冷凍装置の主要部を示す構成図である。シャーベット状アイスに浸漬する前工程である真空パックによるラッピング処理手段、および後工程である冷凍庫に保存する冷凍手段は、従来技術で対応できるために図示及び説明は省略し、シャーベット状アイスによる浸漬の部分を中心に説明する。
図において、シャーベットタンク1は、シャーベット状アイス2を生成して貯蔵しておくものである。シャーベット状アイス2の生成は、例えば、海水等の塩化ナトリウムに代表される塩を含む溶液を冷却してできた氷をスクレーパでかきとって微細氷とすることで、微細氷と塩水とが混合した塩水混合のシャーベット状アイス2を得ることができる。シャーベット状アイス2の温度は被冷凍物(食品8)の凍結点より低い温度とする。
シャーベット槽3は、シャーベットタンク1から供給されるシャーベット状アイス2を貯蔵しておく大形の容器である。シャーベット槽3には温度計4と水位計5の2種類のセンサーが取り付けられている。
また、シャーベットタンク1には、シャーベット槽3へ供給するシャーベット状アイス2の量を調整できるように、供給バルブ6が設けられている。そして、シャーベット槽3には、シャーベット状アイス排出用の排出バルブ7が設けられている。
シャーベット槽3の前段側には、ラッピング手段(図示せず)が設けられている。シャーベット槽3の上流側には、ラッピング処理手段で真空パックされた食品8(被冷凍物)を載置し、シャーベット槽3の投入口まで移送して投入する、投入コンベア9が設けられている。シャーベット槽3には、投入された食品8を、所定の速度でシャーベット状アイス2中を移動させ、取出口まで運搬する、速度調整が可能な浸漬コンベア10を備えている。そして、シャーベット槽3の下流側には、冷凍用コンテナ11を備えている。
シャーベット槽3の後段側には、冷凍用コンテナ11ごと収容できる冷凍庫(図示せず)が備えられている。
次に、動作について説明する。
シャーベットタンク1で生成したシャーベット状アイス2は、シャーベット槽3に供給されて、温度計4と水位計5により監視され、冷凍する食品8に合わせた所定に温度と水位に保たれている。ラッピング手段にて真空パックされた食品8は、投入コンベア9に載置され、シャーベット槽3の投入口まで運ばれ、シャーベット槽3に投入されて浸漬コンベア10に載置される。浸漬コンベア10は、食品8をシャーベット状アイス2に浸漬させた状態で取出側へ運搬していく。このとき、過冷却状態へ移行させるのに最もふさわしい時間経過後に取り出せるように、浸漬コンベア10の運搬速度が食品8ごとに調整されている。運搬された食品8は、取出口で冷凍用コンテナ11に投入される。冷凍用コンテナ11に投入された過冷却状態の食品8は、図示しない冷凍庫へ速やかに運ばれて冷凍用コンテナ11ごと収容される。
冷凍庫において、−20℃以下の冷気にさらす(好ましくは冷気を吹き付ける)ことにより、食品8は過冷却が解除される。過冷却解除後、そのまま−20℃以下の冷温に保つことで食品8は冷凍されて冷凍保存される。
上記過程で、シャーベット槽3に食品8が投入されると、シャーベット槽3内のシャーベット状アイス2は、少しずつ溶けて薄くなり、温度が上昇する。これを防止するために、温度計4により温度を監視しておき、温度が上昇すれば、シャーベット槽3の下部に設けた排出バルブ7を開いて、水を一部抜く。そして、供給バルブ6を開いてシャーベットタンク1よりシャーベット状アイス2を供給し、水位計5が上限値を感知すれば供給を停止する。これらの条件、すなわち、シャーベットタンク1内のシャーベット状アイス2の温度と氷量(氷量とは、シャーベット状アイスあたりの純粋な氷の質量比)、シャーベット槽3内のシャーベット状アイス2の温度の上限値と下限値、および、水位のベストな条件は、食品8の種類、処理量によって決められる。また、これらの制御は、図示しない制御装置により自動制御される。
次に、シャーベット状アイス2への食品8の浸漬時間について説明する。シャーベット状アイス2への浸漬の目的は、食品8を一様な過冷却状態に持っていくことであり、浸漬時間は、食品8ごとの過冷却可能な温度、食品の大きさ(厚み)によって異なる。
図4に食品の厚みが異なる2つの例を示す。図4の(a)は食品が薄い場合、(b)は食品が厚い場合である。シャーベット状アイスに浸漬すると表面が早く、中心がゆっくり冷える。過冷却を維持した状態で、できる限り温度を低く保ちたい。ここでは、食品の中心部が目標温度に達した瞬間を必要な冷却時間とする。図のように食品の厚みが薄いと早く目標温度に達して、厚いと到達時間が長い。これを整理すると、図5のような、食品の厚みと目標温度到達時間の関係が得られる。このデータを基に浸漬時間すなわち浸漬コンベア10の移動速度を決定する。もちろん、この関係は食品毎に異なるので、それぞれの食品で対応しなければならない。
次に、食品の冷却・冷凍装置の他の例について説明する。
図6は他の例を示す主要部の構成図である。図3と同等部分は同一符号で示し、説明は省略する。図3では、コンベアを用いての連続処理としたが、図4に示す冷却・冷凍装置は、専用コンテナを用いたバッチ処理とするものである。
前工程で真空パックされた食品8は、専用コンテナ12に入れられる。それを専用コンテナ12ごと、シャーベット槽3に投入する。所定時間だけ浸漬した後、専用コンテナ12ごと取り出して、次行程の冷凍庫(図示せず)へ搬入し、過冷却を解除して低温で冷凍する。
図3の装置と比較して、投入コンベヤ9や浸漬コンベア10では搬送しづらい食品や、浸漬時間を厳密に管理したいものに適している。また、シャーベット槽3の内部を有効に利用できるので、装置を小型化することが可能である。
以上のように、実施の形態1の食品の冷却・冷凍方法によれば、被冷凍物である食品をラッピングするラッピング処理工程と、食品をその凍結点より低い温度のシャーベット状アイスに浸漬して冷却することにより過冷却状態に移行させる過冷却移行工程と、食品の凍結点より低い温度の冷気にさらして過冷却状態を解除し、食品中の水分の一部を凍結させて氷結晶を生成させる過冷却解除工程と、食品の凍結点温度以下に冷却し、氷結晶を核にして食品中の水分を凍結させる冷凍工程と、を備えたので、シャーベット状アイスを利用して、食品を簡単に過冷却状態にできため、簡単な方法で、食品の解凍後のドリップ量が少ない高品質の冷凍食品を得ることができる。
また、過冷却移行工程に用いられるシャーベット状アイスの温度を、−2℃〜−4℃としたので、例えば、被冷凍物がアジやブリなど魚類に適用すれば、安定した過冷却状態にすることができるため、高品質の冷凍食品を得ることができる。
また、実施の形態1の食品の冷却・冷凍装置によれば、被冷凍物である食品をラッピングするラッピング手段と、食品の凍結点より低い温度のシャーベット状アイスを生成するシャーベットタンクと、シャーベット状アイスを貯蔵し、ラッピングした食品を浸漬して過冷却状態に移行させるためのシャーベット槽と、シャーベット槽から取り出された食品を、食品の凍結点より低い温度の冷気にさらして過冷却状態を解除すると共に、解除した食品を冷凍する冷凍庫と、を備えたので、食品を過冷却状態にしたまま冷凍庫に移し、過冷却状態を解除して冷凍できるので、簡単な構成で、解凍後のドリップ量が少なく高品質に食品を冷凍できる冷却・冷凍装置を得ることができる。
また、過冷却状態に移行するのに電界や磁場の発生装置等を必要としないので、シャーベット槽を大きくすることで、容易に大量の食品を連続的に処理することが可能となる。
また、シャーベット槽には、食品を載置し投入側から取出側に連続して移動し、過冷却状態にするのに必要な時間だけ浸漬することが可能な浸漬コンベアを具備したので、食品を自動的に安定して過冷却状態にすることができるため、大量の食品を連続して冷凍できる冷却・冷凍装置を容易に提供できる。
更にまた、シャーベット槽に、シャーベット状アイスの温度と水位を管理するための温度計および水位計を具備したので、シャーベット状アイスの温度を、被冷凍食品ごとに最適な状態に管理して過冷却状態に移行できるため、多種の食品に対しても、品質良く冷凍できる。
1 シャーベットタンク 2 シャーベット状アイス
3 シャーベット槽 4 温度計
5 水位計 6 供給バルブ
7 排出バルブ 8 食品(被冷凍物)
9 投入コンベア 10 浸漬コンベア
11 冷凍用コンテナ 12 専用コンテナ。

Claims (5)

  1. 被冷凍物である食品をラッピングするラッピング処理工程と、
    前記食品をその凍結点より低い温度のシャーベット状アイスに浸漬して冷却することにより過冷却状態に移行させる過冷却移行工程と、
    前記食品の前記凍結点より低い温度の冷気にさらして前記過冷却状態を解除し、前記食品中の水分の一部を凍結させて氷結晶を生成させる過冷却解除工程と、
    前記食品の前記凍結点温度以下に冷却し、前記氷結晶を核にして前記食品中の水分を凍結させる冷凍工程と、
    を備えたことを特徴とする食品の冷却・冷凍方法。
  2. 請求項1記載の食品の冷却・冷凍方法において、
    前記過冷却移行工程に用いられる前記シャーベット状アイスの温度は、−2℃〜−4℃とすることを特徴とする食品の冷却・冷凍方法。
  3. 被冷凍物である食品をラッピングするラッピング手段と、
    前記食品の凍結点より低い温度のシャーベット状アイスを生成するシャーベットタンクと、
    前記シャーベット状アイスを貯蔵し、ラッピングした前記食品を浸漬して過冷却状態に移行させるためのシャーベット槽と、
    前記シャーベット槽から取り出された前記食品を収容し、前記食品の凍結点より低い温度の冷気にさらして前記過冷却状態を解除すると共に、解除した前記食品を冷凍する冷凍庫と、
    を備えたことを特徴とする食品の冷却・冷凍装置。
  4. 請求項3記載の食品の冷却・冷凍装置において、
    前記シャーベット槽には、前記食品を載置して投入側から取出側に連続的に移動し、前記食品を前記過冷却状態にするのに必要な時間だけ浸漬することが可能な浸漬コンベアが具備されていることを特徴とする食品の冷却・冷凍装置。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の食品の冷却・冷凍装置において、
    前記シャーベット槽に、前記シャーベット状アイスの温度と水位を管理するための温度計および水位計が具備されていることを特徴とする食品の冷却・冷凍装置。
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