JP2011101471A - 回転電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転子の振れを抑制し、トルク変動を抑制する。
【解決手段】モータ200は、回転子1と、回転子1の回転軸心Oに対して軸対称に配置された2つのコイルからなる3相のコイル対U,V,Wを有する固定子3と、を備え、各コイル対U,V,Wのそれぞれのコイルに独立して電流を供給可能に構成されている。このモータ200を制御する制御装置100の回転速度制御器6は、各コイル対のそれぞれのコイルに互いに同位相の駆動電流を供給する。電流合成器11では、各コイル対のそれぞれのコイルに互いに逆位相の軸補正電流を駆動電流に重畳して供給する。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転子の回転軸心に対して軸対称に配置した2つのコイルからなる1相のコイル対を複数有する固定子を備えた回転電動機を制御する制御装置に関する。
一般に、被加工物又は工具を回転電動機であるブラシレスモータにより回転させて、被加工物をフライカット加工する加工機が知られている。この種の加工機に用いられるブラシレスモータは、エアベアリングにより支持される回転軸及び永久磁石を有する回転子と、コイルを有する固定子とを備えている。この種のモータでは、製造時のコイルの位置決め誤差により、回転子の回転軸心が振れることがある。このように回転子の回転軸心が振れてしまうと、被加工物の加工精度が低くなる。したがって、被加工物の加工精度を上げるためには、モータの回転軸心の振れを小さくしなければならない。8極6コイルのモータにおいては、永久磁石の磁界強度のバラツキにより、6つのうねりが出やすい。コイルの位置のバラツキでは、8つのうねりが出やすい。またトルクリップルがあると、リップルの振動が回転子の振動の原因となる。
従来、ブラシレスモータの各U相、V相、W相の駆動電流の振幅及びオフセット値を調整することにより、回転子の回転軸心の振れを補正するものが提案されている(特許文献1参照)。図10は、従来のブラシレスモータ及びその制御装置を示す図である。この図10に示すように、ブラシレスモータは、永久磁石52を有する回転子51と、ドライバ60により供給される駆動電流により励磁される6つのコイルU1〜W2を有する固定子53とを備えている。回転軸心に対して軸対称に配置された2つのコイルU1,U2は、電気的に接続されており、一方のコイルU1に駆動電流が供給されると、他方のコイルU2にも同位相の駆動電流が供給される。2つのコイルU1,U2に流れる駆動電流が同じで、コイル又は永久磁石52の配置、永久磁石52の磁力が対称であれば、回転方向以外の力成分は相殺される。例えば回転子51には、コイルU1による回転方向の力Fu1t、コイルU2による回転方向の力Fu2tのみが生じる。ところが、コイル等の配置関係や永久磁石52の磁力にばらつきがあると、回転方向以外の力成分が生じ、回転子51の回転軸心が振れることとなる。したがって、ドライバ60が、各U相、V相、W相の駆動電流の振幅及びオフセット値を調整することにより、回転軸心の振れを補正していた。この制御では、コイルU1〜W2や永久磁石52の配置のばらつき、永久磁石52の磁力のばらつきによる回転子51の微小変位を対象としており、駆動電流の振幅及びオフセット値を調整してもトルクが変動しないように、その調整量は微小である必要がある。
特開2002−345282号公報
しかし、加工機で被加工物又は工具を回転させる場合には、被加工物又は工具の重心や被加工物又は工具に加わる荷重により回転子に外力が作用するので、回転子が大きく振れてしまうことがある。これに対し、従来の駆動電流の振幅及びオフセット値の調整では、このような外力に対して補正できる力は小さく、回転子の振れを抑制することはできなかった。また、各U相,V相,W相の駆動電流は回転子のトルクに寄与しているため、この駆動電流を変更してしまうと、トルク変動を起こし、トルクリップルを抑えることが困難となり、安定した回転速度が得られないという問題があった。
そこで、本発明は、回転子の振れを抑制し、トルク変動を抑制する回転電動機の制御装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、回転子と、前記回転子の回転軸心に対して軸対称に配置された2つのコイルからなる1相のコイル対を複数有する固定子と、を備え、前記各コイル対のそれぞれのコイルに独立して電流を供給可能に構成した回転電動機を制御する制御装置において、前記各コイル対のそれぞれのコイルに互いに同位相の駆動電流を供給する駆動電流供給手段と、前記各コイル対のそれぞれのコイルに互いに逆位相の軸補正電流を前記駆動電流に重畳して供給する軸補正電流供給手段と、を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、コイル対のそれぞれのコイルに互いに同位相の駆動電流を供給することで、回転子を回転させる回転力が回転子に発生する。また、コイル対のそれぞれのコイルに互いに逆位相の軸補正電流を供給することで、回転子を変位させる変位力が回転子に発生する。したがって、駆動電流に軸補正電流を重畳しているので、回転子には軸補正電流による変位力が作用して回転子の振れが抑制され、また、軸補正電流は回転子の回転には寄与しないので、駆動電流により回転子に発生させるトルクの変動が抑制される。
本発明の実施形態に係る回転電動機としてのブラシレスモータ及びその制御装置の説明図であり、(a)は制御装置のブロック図、(b)はブラシレスモータの結線状態を示す図、(c)は、ブラシレスモータ及び回転対象物を示す概略説明図である。 補正を行わなかった場合の回転子の移動状態を示す説明図であり、(a)はX軸センサにより検出された回転子の位置を示す図、(b)は、Y軸センサにより検出された回転子の位置を示す図である。 回転子の回転動作を説明するための図であり、(a)は回転子の回転方向に力が作用する磁界を示す波形図、(b)は回転子の回転方向と直交する吸引方向に力が作用する磁界を示す波形図である。(c)はU相の駆動電流の波形図、(d)はV相の駆動電流の波形図、(e)はW相の駆動電流の波形図である。 駆動電流により回転子に作用する力を示す図であり、(a)はU相の駆動電流により回転子に作用する力を示す図、(b)はV相の駆動電流により回転子に作用する力を示す図、(c)はW相の駆動電流により回転子に作用する力を示す図である。 軸補正電流により回転子に作用する力を示す図であり、(a)はU相の軸補正電流により回転子に作用する力を示す図、(b)はV相の軸補正電流により回転子に作用する力を示す図、(c)はW相の軸補正電流により回転子に作用する力を示す図である。 軸補正電流と回転子1の変位の測定結果を示す図であり、(a)は図2(a)に示す測定結果から軸補正対象として2山,3山成分だけを取り出した結果を示す波形図である。(b)は図2(b)に示す測定結果から軸補正対象として2山,3山成分だけを取り出した結果を示す波形図である。(c)は一方のU相コイルに流す軸補正電流の波形図、(d)は一方のW相コイルに流す軸補正電流の波形図、(e)は一方のW相コイルに流す軸補正電流の波形図である。(f)はX軸方向の回転子の変位を示す波形図、(g)はY軸方向の回転子の変位を示す波形図である。 本発明の別の実施形態に係る回転電動機としてのブラシレスモータ及びその制御装置の説明図であり、(a)はセンサレスの制御装置のブロック図、(b)は更に別のセンサレスの制御装置のブロック図である。 本発明の更に別の実施形態に係る回転電動機としてのブラシレスモータを示す説明図であり、(a)はブラシレスモータの一部分を省略した斜視図であり、(b)はコイルと永久磁石との配置関係を説明するための斜視図である。 ブラシレスモータを制御する制御動作の説明図である。(a)はU相コイルに駆動電流を流した場合の説明図、(b)は駆動電流の波形図、(c)はU相コイルに軸補正電流を流した場合の説明図、(d)は軸補正電流の波形図、(e)はU相コイルに全電流を流した場合の説明図、(f)は全電流の波形図である。 従来のブラシレスモータ及びその制御装置を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る回転電動機としてのブラシレスモータ及びその制御装置を示す説明図である。図1(a)に示す回転電動機は、ブラシレスモータ200である。ブラシレスモータ200は、円筒状に形成された固定子3と、固定子3の内側に配置される回転子1と、を備えている。本実施形態では、ブラシレスモータ200は、8極6コイルの3相ブラシレスモータである。回転子1は、図1(c)に示す回転軸1aを有し、回転軸1aが静圧軸受としてのエアベアリング300により回転可能に支持されている。回転子1は、回転子本体の外周に固定された複数(8つ)の永久磁石2を有している。8つの永久磁石2は、4つのS極と4つのN極とからなり、S極N極が交互に並設されている。
固定子3は、原点位置にある回転子1の回転軸心に対して軸対称に配置された2つのコイルからなる1相のコイル対を複数有している。本実施形態では、2つのコイルからなる1相のコイル対を3つ(3相分)有している。具体的には、固定子3は、U相コイル対Uと、V相コイル対Vと、W相コイル対Wと、を有している。U相コイル対Uは、2つのU相コイルU1,U2からなる。V相コイル対Vは、2つのV相コイルV1,V2からなる。W相コイル対Wは、2つのW相コイルW1,W2からなる。これら6つのコイルは、図1(a)中、時計方向にU1,V1,W1,U2,V2,W2の順に配設されている。各コイルU1,V1,W1,U2,V2,W2は、図1(b)に示すように、一方の端子が電流供給用として、他方の端子が接地用として用いられている。これにより、各コイルU1,V1,W1,U2,V2,W2は、独立して電流を供給可能に構成されている。
このブラシレスモータ200は、加工機に搭載される。加工機は、図1(c)に示すように被加工物400をブラシレスモータ200により回転させて、被加工物400をフライカット加工する。この被加工物400は、例えば金型等であり、精密な加工が要求される。
このブラシレスモータ200は、制御装置100により制御される。制御装置100は、回転角度検出部としての回転角度検出器4、回転速度検出部としての回転速度検出器5及び回転速度制御器6を備えている。回転角度検出器4は、回転子1の基準位置からの回転角度γを検出する。この回転角度検出器4は、ホール素子等の磁気センサからなり、回転子1の回転によって変化する磁束を検知することにより、回転子1の回転角度γを検出している。なお、回転角度検出器4は、モータ200の非通電相の誘起電圧に基づいて回転子1の位置を推定するセンサレスのものでもよく、パルス数を数えて位置を検出するロータリーエンコーダでもよい。
回転速度検出器5は、回転子1の回転角度γに基づいて回転速度vを計算により求める。回転速度制御器6は、回転子1の回転角度γ及び回転子1の回転速度vを入力し、回転子1の回転速度vが目標回転速度である回転速度指令に近づくように回転子1にトルクを生じさせる駆動電流を各コイルに出力する。
具体的に説明すると、回転速度制御器6は、各コイル対U,V,Wのそれぞれのコイルに互いに同位相の駆動電流を供給する。つまり、回転速度制御器6は、U相コイル対UのそれぞれのU相コイルU1,U2に互いに同位相の駆動電流Iu0,Iu0を供給する。同様に、回転速度制御器6は、V相コイル対VのそれぞれのV相コイルV1,V2に互いに同位相の駆動電流Iv0,Iv0を供給し、W相コイル対WのそれぞれのW相コイルW1,W2に互いに同位相の駆動電流Iw0,Iw0を供給する。したがって、回転速度制御器6は、駆動電流供給手段として機能する。なお、各相の駆動電流Iu0,Iv0,Iw0は、互いに120度、位相のずれた正弦波交流電流である。
ところで、回転子1には、加工機で被加工物400を加工する際に被加工物400の重心の位置や被加工物400に加わる力により荷重がかかるため、回転子1のラジアル方向に、被加工物400による外力が作用することがある。
本実施形態では、制御装置100は、X軸センサ7、Y軸センサ8、電流算出器9、2相/3相変換器10及び電流合成器11を備えている。X軸センサ7は、回転子1のラジアル方向を基準とするXY直交座標系のX軸方向の位置(x)を検出する。また、Y軸センサ8は、回転子1のラジアル方向を基準とするXY直交座標系のY軸方向の位置(y)を検出する。したがって、X軸センサ7及びY軸センサ8は、回転子1のラジアル方向の原点位置に対する移動位置(x,y)を検出する移動検出部として機能する。X軸センサ7及びY軸センサ8は、例えばレーザ干渉測長器であり、回転子1の移動位置x,yを非接触で検出する。ここで、原点位置とは、回転子1に振れが生じていない場合の位置であり、図1中、回転子1の回転軸心Oが固定子3の軸心と一致する位置である。なお、図1(a)中、水平方向(左右方向)をX軸方向、垂直方向(上下方向)をY軸方向としている。Y軸方向は、X軸方向と直交する方向である。
図2は、補正を行わなかった場合の回転子1の移動状態を示す説明図であり、(a)は、X軸センサ7により検出された回転子1の位置(原点からの変位)xを示す図、(b)は、Y軸センサ8により検出された回転子1の位置yを示す図である。回転子1の回転角度をγとすると、X軸センサ7及びY軸センサ8により検出された回転子1の原点位置に対する移動位置x,yは、図2(a),(b)に示すように、回転子1の回転角度γに応じて変化する。図2に示す回転子1の移動位置は、周期性がある。
電流算出器9は、演算部9aと、記憶部9bと、駆動回路部9cとを有している。演算部9aは、X軸センサ7及びY軸センサ8により検出された位置x,yに比例する2つの電流成分Ix,Iyの値を演算により求める。記憶部9bは、例えばEEPROM等のメモリであり、演算部9aの演算に使用される係数aを記憶している。つまり、演算部9aは、位置x,yに係数aを乗算して2つの電流成分Ix,Iyの値を求める。駆動回路部9cは、演算部9aにより求められた2つの電流成分Ix,Iyの値に基づき、2つの電流成分Ix,Iyを生成して出力する。具体的には、駆動回路部9cは、不図示の電源から供給される電流をスイッチングして電流成分Ix,Iyを生成して出力する。したがって、電流算出器9は、X軸センサ7により検出された位置xに比例する電流成分Ix、及びY軸センサ8により検出された位置yに比例する電流成分Iyを生成する電流成分生成部である。
ここで、回転子1を変位させる変位量−x,−yは、軸受の剛性に関係し、回転子1の回転軸心に作用させる、XY直交座標系で表した力成分Fx,Fyに比例する。この回転軸心に作用する力成分Fx,Fyは、XY直交座標系で表した電流成分Ix,Iyに比例する。すなわち、回転子1を変位させる変位量−x,−yは、電流成分Ix,Iyに比例する。
2相/3相変換器10は、2つの電流成分Ix,Iyを、3相のコイル対U,V,Wそれぞれの相電流成分Iu,Iv,Iwに変換する変換部である。つまり、電流算出器9と2相/3相変換器10とで、移動位置x,yに応じた各コイル対U,V,Wに対する相電流成分Iu,Iv,Iwを出力する相電流生成部として機能する。
供給部としての電流合成器11は、各コイル対U,V,Wの一方のコイルU1,V1,W1には、相電流成分の電流Iu,Iv,Iwを軸補正電流として駆動電流Iu0,Iv0,Iw0に重畳して供給する。また、電流合成器11は、各コイル対U,V,Wの他方のコイルU2,V2,W2には、相電流成分の逆位相の電流−Iu,−Iv,−Iwを軸補正電流として駆動電流Iu0,Iv0,Iw0に重畳して供給する。つまり、一方のコイルU1,V1,W1には、相電流成分の電流Iu,Iv,Iwを増加させ、他方のコイルU2,V2,W2には、相電流成分の電流Iu,Iv,Iwを減じる補正を行う。
以上のX軸センサ7,Y軸センサ8,電流算出器9,2相/3相変換器10及び電流合成器11により、各コイル対U,V,Wのそれぞれのコイルに互いに逆位相の軸補正電流が駆動電流に重畳して供給される(軸補正電流供給手段)。
以下、各器の動作原理について、詳細に説明する。図1(a)において、回転子1が時計方向に1回転すると、永久磁石が8極であるので、例えばU相コイルU1に流れる電流によって回転子1に作用する回転方向の磁界は、図3(a)に示すように、cos(4γ)に関係する。また、回転方向と直交する吸引方向の磁界は、図3(b)に示すように、sin(4γ)に関係する。同様に、コイルV1,W1,U2,V2,W2に流れる電流によって作用する回転方向の磁界は、cos(4(γ−π/3))、cos(4(γ−2π/3))、cos(4(γ−π))、cos(4(γ−4π/3))、cos(4(γ−5π/3))に関係する。また、コイルV1,W1,U2,V2,W2に流れる電流によって作用する吸引方向の磁界はsin(4(γ−π/3))、sin(4(γ−2π/3))、sin(4(γ−π))、sin(4(γ−4π/3))、sin(4(γ−5π/3))に関係する。すなわち、各コイルU1,V1,W1,U2,V2,W2に流れる電流をk=1,2,3,4,5,6に対応させて、作用する磁界を表すと、以下の数1の式となる。
Figure 2011101471
Btは回転方向に作用する磁界成分、Bnは吸引方向に作用する磁界成分を示す。各コイルには、以下の数2の式で表される駆動電流が供給される。
Figure 2011101471
回転子1には、以下の数3の式に比例するトルクが生じる。
Figure 2011101471
つまり、各コイルU1〜W2に数1で示す駆動電流Iu0,Iv0,Iw0を供給することにより、回転子1には、数3の式に比例するトルクが生じることとなる。以下、各コイルU1〜W2に駆動電流Iu0,Iv0,Iw0を供給した場合について、更に詳細に説明すると、U相コイルU1,U2には、以下の数4,数5で表されるように、同位相の駆動電流Iu0が供給される。
Figure 2011101471
Figure 2011101471
U相コイルU1、U2に互いに同位相の駆動電流Iv0を供給することにより、吸引方向の力は互いに反対の方向で同じ量の力が発生し、合力が0となる。これに対し、回転方向には同じ量の力を発生させているので、回転子1にはトルクだけが生じる。同様にV相コイルV1,V2およびW相コイルW1,W2にも、互いに同位相の駆動電流Iw0を供給することにより、吸引方向の力は互いに反対の方向で同じ量の力が発生し、合力が0となる。これに対し、回転方向には同じ量の力を発生させているので、回転子1にはトルクだけが生じる。なお、回転速度制御器6が回転子1の回転角度γ毎にコイルU1,V1,W1に供給する駆動電流Iu0,Iv0,Iw0は、以下の数6,数7,数8で表される。駆動電流Iu0,Iv0,Iw0の位相は互いに120度ずれている。そして、コイルU2,V2,W2に供給する駆動電流Iu0,Iv0,Iw0は、コイルU1,V1,W1に供給する駆動電流と同位相であり、同様に以下の数6,数7,数8で表される。
Figure 2011101471
Figure 2011101471
Figure 2011101471
図2に示す回転子1の移動量のデータを取得したときの、コイルU1,V1,W1に供給した駆動電流Iu0,Iv0,Iw0の例を、図3(c),(d),(e)に示す。次に、各コイルU1〜W2に供給した駆動電流Iu0,Iv0,Iw0により回転子1に作用する力の関係を図4を参照しながら説明する。U相コイルU1,U2に供給する駆動電流Iu0は、以下の数9の式で表される。
Figure 2011101471
この駆動電流Iu0により回転方向に作用する磁界は、以下の数10の式で表される。
Figure 2011101471
この磁界により回転子1に作用する回転方向の力は、図4(a)にFu1tで示される。また、U相コイルU1,U2の駆動電流Iu0により吸引方向に作用する磁界は、以下の数11の式で表される。
Figure 2011101471
回転子1に作用する吸引方向の力は、図4(a)にFu1nで示されている。同様に、図4(a)には、U相コイルU2の駆動電流Iu0により回転方向に作用する磁界で回転子1に作用する力は、Fu2tで示される。また、U相コイルU2の駆動電流Iu0により吸引方向に作用する磁界で回転子1に作用する力は、Fu2nで示される。
U相コイルU1,U2のそれぞれに流れる駆動電流Iu0は同じ(同位相)なので、回転子1の回転軸心に作用する回転方向の力の合力Fu1t+Fu2tは相殺してゼロとなる。また、回転子1の回転軸心に作用する吸引方向の力の合力Fu1n+Fu2nも相殺してゼロとなる。ただし、回転子1を回転させる力Fu1t+Fu2tは発生する。すなわち、U相コイルU1,U2に流す駆動電流Iu0では、回転子1はラジアル方向には変位せず、回転子1にはトルクを発生させることができる。
同様に、図4(b)には、V相コイルV1,V2に流れる駆動電流Iv0により回転方向に作用する磁界で回転子1に作用する力、Fv1t,Fv1n,Fv2t,Fv2nが図示されている。また、図4(c)には、W相コイルW1,W2に流れる駆動電流Iw0により回転方向に作用する磁界で回転子1に作用する力、Fw1t,Fw1n,Fw2t,Fw2nが図示されている。そして、V相コイルV1,V2に流す駆動電流Iv0では、回転子1はラジアル方向に移動せず、回転子1にはトルクを発生させることができる。また、W相コイルW1,W2に流す駆動電流Iw0では、回転子1はラジアル方向に変位せず、回転子1にはトルクを発生させることができる。そして、各コイル対U,V,Wに流した駆動電流Iu0,Iv0,Iw0により発生するトルクの総和が、上記した数3の式に示すように一定値となり、トルク変動がなく、回転子1は回転速度vが安定する。
回転速度制御器6は、検出された回転子1の回転速度vと速度指令値とを比較して、回転子1の回転速度vが速度指令値よりも遅ければ、駆動電流Iu0,Iv0,Iw0の係数(振幅)Itを増加させる。回転子1の回転速度vが速度指令値よりも速ければ、駆動電流Iu0,Iv0,Iw0の係数Itを減少させる。これにより、回転子1の回転速度vは速度指令値に近づけられる。次に、回転子1の回転軸心をラジアル方向に変位させる軸補正電流について説明する。各コイルU1〜W2に供給する軸補正電流を、以下の数12の式に示す。
Figure 2011101471
各コイルU1〜W2に軸補正電流を流すことで回転子1に作用するX軸方向,Y軸方向の力成分Fx,Fyは、以下の数13,数14の式で表される。
Figure 2011101471
Figure 2011101471
すなわち、回転子1をX軸方向に変位させる力成分は電流成分Ixに比例し、回転子1をY軸方向に変位させる力成分は電流成分Iyに比例する。つまり、この電流成分Ix,Iyを求めることで、回転子をX,Y軸方向に変位させる力を与えることが可能である。ここで、U相コイルU1,U2の軸補正電流は、それぞれ数15、数16の式で表される。
Figure 2011101471
Figure 2011101471
つまり、U相コイル対UのそれぞれのU相コイルU1,U2には、相電流成分Iuの互いに逆位相(電流値が同じ大きさで逆符号)の軸補正電流Iu,−Iuが供給される。U相コイルU1,U2に流れる軸補正電流Iu,−Iuにより回転子1に作用する力を、図5(a)に図示する。図5(a)中、Fu1tはU相コイルU1が回転方向に、Fu1nはU相コイルU1が吸引方向に、Fu2tはU相コイルU2が回転方向に、Fu2nはU相コイルU2が吸引方向に作用する力である。回転子1の回転軸心には、X軸方向の力Fu1t+Fu2t、Y軸方向の力Fu1n+Fu2nが発生し、トルクを生じさせる回転方向の力Fu1t+Fu2tが相殺してゼロとなる。すなわち、トルクを生じさせる回転方向の力は打ち消しあってゼロとなり、トルクは発生しない。同様に、V相コイルV1,V2に流れる軸補正電流Iv,−Ivにより回転子1に作用する力を、図5(b)に図示する。図5(b)中、Fv1tはV相コイルV1が回転方向に、Fv1nはV相コイルV1が吸引方向に、Fv2tはV相コイルV2が回転方向に、Fv2nはV相コイルV2が吸引方向に作用する力である。また、W相コイルW1,W2に流れる軸補正電流Iw,−Iwにより回転子1に作用する力を、図5(c)に図示する。図5(c)中、Fw1tはW相コイルW1が回転方向に、Fw1nはW相コイルW1が吸引方向に、Fw2tはW相コイルW2が回転方向に、Fw2nはW相コイルW2が吸引方向に作用する力である。同様に、V相コイルV1,V2及びW相コイルW1,W2に軸補正電流を供給しても、回転方向の力はゼロとなり、回転子1にトルクは発生しない。したがって、軸補正電流は回転子1にトルクを生じさせずに、回転子1をX軸方向,Y軸方向に変位させることができる。
2相/3相変換器10では、電流算出器9で生成された電流成分Ix,Iy及び回転角度検出器4で検出された回転子1の回転角度γを入力し、以下の数17,数18,数19に示す式に基づくU相、V相、W相の相電流成分Iu,Iv,Iwに変換する。
Figure 2011101471
Figure 2011101471
Figure 2011101471
つまり、2相/3相変換器10は、電流成分Ix,Iyを、数17,数18,数19に示す変換式に基づく3相の相電流成分Iu,Iv,Iwに変換する。電流合成器11は、各コイルU1〜W2に供給する駆動電流に軸補正電流を重畳させる。具体的に説明すると、U相コイルU1に供給する駆動電流Iu0には、軸補正電流として相電流成分Iuを重畳させ、U相コイルU2に供給する駆動電流Iu0には、軸補正電流として相電流成分Iuの逆位相(逆符号)の電流(−Iu)を重畳させる。同様に、V相コイルV1に供給する駆動電流Iv0には、軸補正電流として相電流成分Ivを重畳させ、V相コイルに供給する駆動電流Iv0には、軸補正電流として相電流成分Ivの逆位相(逆符号)の電流(−Iv)を重畳させる。また同様に、W相コイルW1に供給する駆動電流Iw0には、軸補正電流として相電流成分Iwを重畳させ、W相コイルW2に供給する駆動電流Iw0には、軸補正電流として相電流成分Iwの逆位相(逆符号)の電流(−Iw)を重畳させる。つまり、コイルU2,V2,W2に加える軸補正電流はコイルU1,V1,W1に加える軸補正電流と符号が反転で量が同じである。
すなわち、電流合成器11は、コイルU1,V1,W1に対しては駆動電流Iu0,Iv0,Iw0に相電流成分Iu,Iv,Iwを加え、コイルU2,V2,W2に対しては駆動電流Iu0,Iv0,Iw0から相電流成分Iu,Iv,Iwを引いている。このように軸補正電流を駆動電流Iu0,Iv0,Iw0に重畳することで、軸補正電流はトルクに影響せず、回転子1を安定した回転速度で回転させることができる。
ところで、回転子1のX軸方向,Y軸方向の原点位置に対する位置がx,yであり、変位量−x,−yでX軸方向、Y軸方向に回転子1の軸心を動かすのに必要な力成分Fx,Fyは、以下の数20,数21の式で表される。
Figure 2011101471
Figure 2011101471
軸受の剛性をkとすると、力成分Fx,Fyは変位量−x,−yと剛性kとの積で表されるので、係数aは、以下の数22の式で求めることが可能である。
Figure 2011101471
なお、係数aは、剛性k、磁界成分Bt,Bnを測定して求めてもよいが、本実施形態では、直接、係数aを求めるようにしている。この係数aを求める動作は、初期化動作で行われる。具体的には、被加工物400を加工機にセットした状態で、回転子1を回転させ、X軸センサ7、Y軸センサ8により検出された回転子1の位置x,yが0となるよう各位相電流成分Iu,Iv,Iwを調整してその電流値を測定する。そして、数17,数18,数19から逆に電流成分Ix,Iyを求め、Ix=a×x,Iy=a×yの関係式から、係数aを求める。このようにして求めておいた係数aは、電流算出器9の記憶部9bに予め記憶させておく。
電流算出器9は、初期化動作終了後、被加工物400を加工する加工動作に移行した場合、初期化動作で設定された係数aを用いて、回転子1の回転角度γに対応する回転子1の位置x,yに基づき、電流成分Ix,Iyを生成する動作を実行する。なお、被加工物400によって係数aの値が変動しない場合には、上述した初期化動作を被加工物400を取り換える毎に行う必要はない。被加工物400によって係数aの値が変動する場合には、上述した初期化動作を、被加工物400を取り換える毎に行うのがよい。
図6に、軸補正電流と回転子1の変位の測定結果を示す。図6(a)には、図2(a)に示す測定結果から軸補正対象として2山,3山成分だけを取り出した結果を示す。また、図6(b)には、図2(b)に示す測定結果から軸補正対象として2山,3山成分だけを取り出した結果を示す。図6(a),(b)に示した2山,3山成分を補正する軸補正電流として、図6(c)にU相コイルU1に流す軸補正電流Iu、図6(d)にV相コイルV1に流す軸補正電流Iv、図6(e)にW相コイルW1に流す軸補正電流Iwの例を示す。軸補正された回転子1の変位測定結果として、図6(f)にX軸方向の変位、図6(g)にY軸方向の変位を示す。図6(f),(g)により2山成分が補正され、回転子1の振れが抑制されている。
以上、本実施形態によれば、コイル対Uにおける各コイルU1,U2に互いに同位相の駆動電流Iu0,Iu0を供給することで、回転子1を変位させる力は相殺し合い、回転子1には、回転子1を回転させる力成分が作用する。コイル対V,Wについても同様である。これら3つのコイル対U,V,Wに駆動電流Iu0,Iv0,Iw0を供給することにより、回転子1には一定のトルクを発生させることができる。
また、コイル対UのそれぞれのコイルU1,U2に互いに逆位相の軸補正電流Iu,−Iuを供給することで、回転子1に作用するそれぞれの力の方向及び強さは同一となり、回転子1には、回転子1を変位させる変位力が発生する。そして、回転子1を回転させる力は相殺し合い、軸補正電流Iu,−Iuは回転子1のトルクには寄与しない。コイル対V,Wについても同様である。これらコイル対U,V,Wによる変位力の合成力を外力と反対方向に作用させているので、外力による回転子1の振れが抑制される。また、軸補正電流は回転子1のトルクには寄与しないので、軸補正電流が駆動電流により生じるトルクを変動させることはない。したがって、駆動電流に軸補正電流を重畳しても、回転子1のトルク変動を抑制することができ、安定した回転速度で回転子を回転させることができる。
また、本実施形態では、制御装置100がX軸センサ7及びY軸センサ8を備え、検出した位置x,yに基づいて、回転子1の移動量が小さくなるようフィードバック制御を行っているので、不規則に回転子1が移動する場合についても位置補正することができる。
なお、予め係数aを求めて電流算出器9に設定しておき、加工の際には、電流算出器9は、2つの電流成分Ix,Iyの値を演算して2つの電流成分Ix,Iyを生成する場合について説明した。この他の動作として、電流算出器9は、検出した回転子1の移動量が減少するようにPID制御により電流成分Ix,Iyを生成してもよい。これにより、予め係数aを求めておく必要がなく、また、不規則に回転子1が移動する場合であっても、回転子1の位置を補正することができる。
以上、ブラシレスモータ200が8極6コイルの3相ブラシレスモータの場合について説明したが、ブラシレスモータが20極6コイルの3相ブラシレスモータの場合であっても適用可能である。
以下、具体的に説明すると、極数が20で、コイルの個数が6の場合、各コイルに供給される軸補正電流は、以下の数23の式で表される。
Figure 2011101471
各コイルに軸補正電流を流すことで回転子に作用するX軸方向,Y軸方向の力成分は、以下の数24,数25の式で表される。
Figure 2011101471
Figure 2011101471
つまり、上述した8極6コイルの3相ブラシレスモータと同様の結果となる。したがって、この20極6コイルの3相ブラシレスモータでも、同様に、回転子1の振れを抑制することができ、トルク変動を抑制することができる。
次に、別の実施形態について説明する。なお、上記実施形態と同様の構成については説明を省略する。上記実施形態では、X軸センサ7及びY軸センサ8が検出した回転子1の位置x,yに基づいて、電流算出器9がX軸方向及びY軸方向の移動に対応する2つの電流成分Ix,Iyを生成する、フィードバック制御を実施する場合について説明した。
これに対し、本実施形態では、予め回転子1の回転角度γに対する移動位置x、yを測定し、電流成分Ix,Iyに対応するデータ又は相電流成分Iu,Iv,Iwに対応するデータを記憶させておき、このデータに対応する軸補正電流を供給するものである。この制御によれば、回転子1の移動量x,yに再現性がある場合に有効である。以下、図7を参照しながら具体的に説明する。
図7(a)に示すように、制御装置100Aは、X軸センサ、Y軸センサ及び電流算出器の代わりに、ルックアップデータ部12を備えている。ルックアップデータ部12は、記憶部12aと、電流成分生成部としての駆動回路部12bと、を有している。記憶部12aには、予め、回転子1の回転角度γのデータと、2つの電流成分Ix,Iyのデータと、を対応付けたテーブルT1を記憶させている。駆動回路部12bは、記憶部12aから回転角度検出器4により検出された回転角度γに対応する2つの電流成分Ix,Iyのデータを読み出し、2つの電流成分Ix,Iyを生成する。具体的には、駆動回路部12bは、不図示の電源から供給される電流をスイッチングして電流成分Ix,Iyを生成して出力する。このように生成された2つの電流成分Ix,Iyは、2相/3相変換器10に出力される。つまり、記憶部12aと、回転角度検出器4と、駆動回路部12bと、2相/3相変換器10と、電流合成器11とで軸補正電流供給手段が構成される。
以下、テーブルT1を作成する場合について具体的に説明すると、まず、X軸センサ7及びY軸センサ8に相当する不図示のX軸センサ及びY軸センサを配置しておき、回転子1の回転角度γに対応する回転子1の1回転中の移動位置x,yを求める。この移動位置x,yを求めたことで、回転子1を移動位置x,yから原点位置に変位させる量−x,−yを求めることができる。次に、回転子1を原点位置に変位させる量に対応する電流成分Ix,Iyを求め、テーブルT1としてデータを記憶させておく。これにより、記憶部12aには、回転子1の回転角度γのデータと、回転子1のラジアル方向を基準とするXY直交座標系のX軸方向及びY軸方向の予め測定された回転子1の位置x,yに比例する2つの電流成分Ix,Iyのデータとが対応付けて記憶される。回転子1の振れは再現性があるので、このテーブルT1を用いれば、X軸センサ及びY軸センサは必要がなく、X軸センサ及びY軸センサを加工機から取り外すことが可能である。
また、ルックアップデータ部12及び2相/3相変換器10の代わりに、図7(b)に示すように、制御装置100Bが、ルックアップデータ部13を有してもよい。ルックアップデータ部13は、記憶部13aと、電流生成部としての駆動回路部13bと、を有している。記憶部13aには、予め、回転子1の回転角度γのデータと、相電流成分Iu,Iv,Iwのデータと、を対応付けたテーブルT2を記憶させている。駆動回路部13bは、記憶部13aから回転角度検出器4により検出された回転角度γに対応する相電流成分Iu,Iv,Iwのデータを読み出し、相電流成分Iu,Iv,Iwを生成する。具体的には、駆動回路部13bは、不図示の電源から供給される電流をスイッチングして電流成分Ix,Iyを生成して出力する。このように生成された相電流成分Iu,Iv,Iwは、電流合成器11に出力される。つまり、記憶部13aと、回転角度検出器4と、駆動回路部13bと、電流合成器11とで軸補正電流供給手段が構成される。
以下、テーブルT2を作成する場合について具体的に説明すると、まず、不図示のX軸センサ及びY軸センサを配置しておき、回転子1の回転角度γに対応する回転子1の1回転中の移動量を求める。この移動量を求めたことで、移動量とは反対方向に回転子1を原点位置に変位させる量を求めることができる。次に、回転子1を原点位置に変位させる量に対応する電流成分Ix,Iyを求め、相電流成分Iu,Iv,Iwに変換してテーブルT2としてデータを記憶させておく。つまり、記憶部13aには、回転子1の回転角度γのデータと、予め測定された回転子1の位置x,yに比例する2つの電流成分Ix,Iyを変換した3相の相電流成分Iu,Iv,Iwのデータとが対応付けて記憶される。回転子1の振れは再現性があるので、このテーブルT2を用いれば、X軸センサ及びY軸センサは必要がなく、X軸センサ及びY軸センサを加工機から取り外すことが可能である。
制御装置100A,100Bのいずれの場合でも、加工機で被加工物400を加工する際に、X軸センサ及びY軸センサを取り外すことができる。この制御は、特に回転子1の同じ回転角度γで同じ方向に同じ量だけ振れる、再現性のある振れに対して有効である。以上により、制御装置100A,100Bにおいても、回転子1のトルク変動を抑制することができ、回転子1の振れを抑制することができる。
ここで、制御装置100,100A,100Bの制御対象として、上述したブラシレスモータ200に限らず、別の構造のブラシレスモータについても本発明は適用可能である。以下、更に別の実施形態について説明する。図8は、ブラシレスモータ200とは別構成のブラシレスモータ200Aを示している。ブラシレスモータ200Aは、図8(a)に示す8極6コイルの3相のフラットモータである。中央には、固定子3Aが配置され、固定子3AのコイルU1〜W2(図8(b))の両側に回転子1Aの永久磁石2Aが配置されている。コイルを挟んで相対する2つの永久磁石は、互いに極性が異なるように設定されている。U相コイル対Uの2つのU相コイルU1,U2は、回転子1Aの回転軸心O2に対して軸対称に配置されている。V相コイル対V,W相コイル対Wについても同様である。なお、各コイル結線状態は、図1(b)と同様であり、それぞれのコイルU1〜W2に独立して電流を供給可能に構成されている。
制御装置による制御動作は上記実施形態と同様である。図9には、各コイルに供給する電流と回転子1Aに作用する力の説明図を示す。固定子3Aの各コイルU1〜W2には、図9(b)に示すように、駆動電流Itとして、3相の正弦波交流電流を供給する。このとき、図9(a)には、U相コイル対UのU相コイルU1,U2のみを図示しているが、回転子1Aには、各U相コイルU1,U2に供給される駆動電流It,Itにより、図9(a)中矢印方向に互いに反対方向の回転方向の力Ft,Ftが作用する。なお、回転子1Aには、吸引方向の力は働かず、上記実施の形態で説明した吸引方向に作用する磁界成分Bnは0であり、回転方向に作用する磁界成分Btだけを考えればよい。この場合でも、駆動電流を供給した場合には、回転子1Aを変位させる力は打ち消し合って0(=Ft−Ft)となり、回転子1Aを回転させる力Ft+Ft=2Ftが発生する。
図9(d)には、U相コイルU1、V相コイルV1、W相コイルW1に供給される軸補正電流を示し、U相コイルU2、V相コイルV2、W相コイルW2には、これと逆位相の電流が軸補正電流として供給される。これにより、図9(c)に示すように、回転子1Aには、回転させる力は打ち消しあって0(=Ft−Ft)となり、回転子1Aを変位させる力Fc+Fc=2Fcが発生する。
図9(f)には、各コイルに供給される駆動電流と軸補正電流との和である全電流を示している。駆動電流に軸補正電流が重畳されて供給される全電流は、正弦波とはならない。図9(e)に示すように、U相コイルU1には、全電流I1=It+Icが供給されて、回転子1Aには、F1=Ft+Fcの力が作用する。U相コイルU2には、全電流I2=It−Icが供給されて、回転子1Aには、F2=Ft−Fcの力が作用する。そして、回転子1には、変位させる力F1−F2(=2Fc)が作用する。これにより、回転子1Aには、駆動電流により生じるトルクを変動させることなく、変位力を作用させることができる。したがって、トルク変動を抑制しながら、回転子1Aの振れを抑制することができる。
なお、上記実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記実施形態では、回転子が被加工物等を回転させる場合について説明したが、コイルや永久磁石の配置のばらつき、永久磁石の磁力のばらつきにより回転子が移動する場合についても本発明は適用可能である。この場合についても、上記実施形態と同様の効果を奏するものである。
また、上記実施形態では、制御装置100,100Aにおいて、2相/3相変換器10が駆動回路部9c,12bで生成された2つの電流成分を3相電流成分に変換する場合について説明したが、これに限定するものではない。つまり、駆動回路部を2相/3相変換器と電流合成器との間に配置してもよい。このとき、電流算出器又はルックアップデータ部は、2つの電流成分信号を生成し、2相/3相変換器は、2つの電流成分信号から演算により3相電流成分信号を生成すればよく、駆動回路部は、3相電流成分信号から3相電流成分を生成すればよい。
1 回転子
3 固定子
6 回転速度制御器(駆動電流供給手段)
7 X軸センサ(移動検出部,軸補正電流供給手段)
8 Y軸センサ(移動検出部,軸補正電流供給手段)
9 電流算出器(電流成分生成部,相電流生成部,軸補正電流供給手段)
10 2相/3相変換器(変換部,相電流生成部,軸補正電流供給手段)
11 電流合成器(供給部,軸補正電流供給手段)
100 制御装置
200 ブラシレスモータ(回転電動機)
U U相コイル対
U1,U2 U相コイル
V V相コイル対
V1,V2 V相コイル
W W相コイル対
W1,W2 W相コイル

Claims (5)

  1. 回転子と、前記回転子の回転軸心に対して軸対称に配置された2つのコイルからなる1相のコイル対を複数有する固定子と、を備え、前記各コイル対のそれぞれのコイルに独立して電流を供給可能に構成した回転電動機を制御する制御装置において、
    前記各コイル対のそれぞれのコイルに互いに同位相の駆動電流を供給する駆動電流供給手段と、
    前記各コイル対のそれぞれのコイルに互いに逆位相の軸補正電流を前記駆動電流に重畳して供給する軸補正電流供給手段と、を備えたことを特徴とする回転電動機の制御装置。
  2. 前記軸補正電流供給手段は、
    前記回転子のラジアル方向の原点位置に対する移動位置を検出する移動検出部と、
    前記移動位置に応じた前記各コイル対に対する相電流成分を出力する相電流生成部と、
    前記各コイル対の一方のコイルには、前記相電流成分を前記軸補正電流として前記駆動電流に重畳して供給すると共に、前記各コイル対の他方のコイルには、前記相電流成分の逆位相の電流を前記軸補正電流として前記駆動電流に重畳して供給する供給部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の回転電動機の制御装置。
  3. 前記移動検出部は、
    前記回転子のラジアル方向を基準とするXY直交座標系のX軸方向の位置を検出するX軸センサと、
    前記回転子のラジアル方向を基準とするXY直交座標系のY軸方向の位置を検出するY軸センサと、を有し、
    前記相電流生成部は、
    前記X軸センサにより検出された位置に比例する電流成分、及び前記Y軸センサにより検出された位置に比例する電流成分を生成する電流成分生成部と、
    前記電流成分生成部により生成された2つの電流成分を、前記複数の相電流成分に変換する変換部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の回転電動機の制御装置。
  4. 前記軸補正電流供給手段は、
    前記回転子の回転角度のデータと、前記回転子のラジアル方向を基準とするXY直交座標系のX軸方向及びY軸方向の予め測定された前記回転子の位置に比例する2つの電流成分のデータと、を対応付けて記憶する記憶部と、
    前記回転子の回転角度を検出する回転角度検出部と、
    前記記憶部から前記回転角度検出部により検出された回転角度に対応する前記2つの電流成分のデータを読み出し、前記2つの電流成分を生成する電流成分生成部と、
    前記電流成分生成部により生成された2つの電流成分を、前記各コイル対に対する相電流成分に変換する変換部と、
    前記各コイル対の一方のコイルには、前記相電流成分を前記軸補正電流として前記駆動電流に重畳して供給すると共に、前記各コイル対の他方のコイルには、前記相電流成分の逆位相の電流を前記軸補正電流として前記駆動電流に重畳して供給する供給部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の回転電動機の制御装置。
  5. 前記軸補正電流供給手段は、
    前記回転子の回転角度のデータと、前記各コイル対の相電流成分のデータとを対応付けて記憶する記憶部と、
    前記回転子の回転角度を検出する回転角度検出部と、
    前記記憶部から前記回転角度検出部により検出された回転角度に対応する前記各相電流成分のデータを読み出し、前記各相電流成分を生成する電流生成部と、
    前記各コイル対の一方のコイルには、前記相電流成分を前記軸補正電流として前記駆動電流に重畳して供給すると共に、前記各コイル対の他方のコイルには、前記相電流成分の逆位相の電流を前記軸補正電流として前記駆動電流に重畳して供給する供給部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の回転電動機の制御装置。
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