JP2009254081A - 電動機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2重ロータを有する電動機の通電制御を、ロータ角度を検出するセンサを設けることなくロータ角度の推定値に基づいて行なうときに、ロータ角度の推定精度を高めることができる電動機の制御装置を提供する。
【解決手段】電動機1の誘起電圧定数の指令値Ke_cと、電動機1の通電量Id_s,Iq_sとに基いて、d軸インダクタンス推定値Ld_e,q軸インダクタンス推定値Lq_eを算出するインダクタンス推定値算出部91aと、電動機1に対するd軸電圧指令値Vd_c,q軸電圧指令値Vq_cと、d軸電流検出値Id_s,q軸電流検出値Iq_sと、インダクタンス推定値算出部91aにより算出されたd軸インダクタンス推定値Ld_e,q軸インダクタンス推定値Lq_eとに基いて、電動機1のロータ角度推定値θm_eを算出するロータ角度推定値算出部92aとを備える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、永久磁石界磁型の回転電動機の制御を、同心状に配置された二つのロータ間の位相差を変更することによって行う電動機の制御装置に関する。
従来より、永久磁石界磁型の回転電動機の回転軸の周囲に同心状に設けた第1ロータ及び第2ロータを備え、回転速度に応じて第1ロータと第2ロータの位相差(ロータ位相差)を変更することで、界磁弱め制御を行うようにした電動機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかる従来の電動機においては、第1ロータと第2ロータが、遠心力の作用により径方向に沿って変位する部材を介して接続されている。また、電動機が停止状態にあるときに、第1ロータに配置された永久磁石の磁極と第2ロータに配置された永久磁極の磁極の向きが同一となって界磁の磁束が最大となり、電動機の回転速度が高くなるに従って遠心力によりロータ位相差が拡大して、界磁の磁束が減少するように構成されている。
また、第1ロータと第2ロータを相対的に回転・保持する位相差変更機構を設けて、ロータ位相差を任意に設定する構成が提案されている(例えば、特許文献2参照)。そして、ロータ位相差を変更すると、これに応じて電動機の誘起電圧定数が変化する。
また、電動機のロータ角度(ロータの回転位置)を検出するセンサを設けずに、電動機に印加される電圧と通電量等に基いて、電動機のロータ角度を推定する構成が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2002−204541号公報 特開2007−259550号公報 特開2004−343963号公報
上述した特許文献3においては、いわゆるdqベクトル制御の下で、以下の式(7)により算出したロータ位相差の実際値と推定値との偏差θeの参照値Vs,Vcを用いて、以下の式(8)により該偏差θeを算出し、該偏差θeに基づいて、ロータ角度の推定値を算出している。
Figure 2009254081
Vs:θeの正弦参照値、Vc:θeの余弦参照値、ω:角速度、Ke:誘起電圧定数、Vd:d軸電機子の端子間電圧、Vq:q軸電機子の端子間電圧、R:d軸電機子及びq軸電機子の抵抗値、L:d軸電機子及びq軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電機子の通電量、Iq:q軸電機子の通電量。
Figure 2009254081
そして、上記式(7)におけるd軸電機子及びq軸電機子のインダクタンスLは、固定値とされていた。しかし、2重ロータを有する電動機においては、ロータ位相差を変更すると、それに応じてd電機子及びq軸電機子のインダクタンスが変化する。そのため、2重ロータを有する電動機に対して、インダクタンスLを固定値として上記式(7),式(8)により偏差θeを算出し、この偏差θeに基づいてロータ角度の推定値を算出すると、ロータ角度の推定誤差が大きくなるという不都合がある。
そこで、本発明は、2重ロータを有する電動機のロータ角度の推定値を、精度良く算出することができる電動機の制御装置を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、永久磁石による磁極を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に同心状に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差の変更を行って制御する電動機の制御装置に関する。
そして、前記ロータ位相差を変更するためのロータ位相差変更手段と、前記電動機の電機子の通電量を検出する電流検出手段と、前記電動機の誘起電圧定数の指令値又は前記ロータ位相差の指令値に応じて、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更するロータ位相差制御手段と、前記電動機の誘起電圧定数の指令値又は前記ロータ位相差の指令値と、前記電動機の通電量とに基いて、前記電動機のインダクタンスの推定値を算出するインダクタンス推定手段と、前記電動機の電機子の端子間電圧と、前記電動機の電機子の通電量と、前記インダクタンス推定手段により算出されたインダクタンスの推定値とに基いて、前記電動機のロータ角度の推定値を算出するロータ角度推定手段と、前記ロータ角度推定手段により算出された前記ロータ角度の推定値に基いて、前記電動機に対する通電を制御する通電制御手段とを備えた通電制御手段とを備えたことを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記ロータ位相差制御手段により、前記電動機の誘起電圧定数の指令値又は前記ロータ位相差の指令値に応じて前記電動機のロータ位相差が変更される。そして、詳細は後述するが、前記電動機のロータ位相差及び通電量と、前記電動機のインダクタンスとの間には相関関係があり、前記電動機のロータ位相差と誘起電圧定数との間にも相関関係がある。そのため、前記インダクタンス推定手段は、前記電動機のロータ位相差の指令値又は誘起電圧定数の指令値と通電量とに基づいて、ロータ位相差に応じて変化する前記電動機のインダクタンスの推定値を算出することができる。
そして、前記ロータ角度推定手段は、前記電動機の電機子の端子間電圧と、前記電動機の電機子の通電量と、前記インダクタンス推定手段により算出されたインダクタンスの推定値とに基いて、前記電動機のロータ角度の推定値を精度良く算出することができ、前記通電制御手段は、ロータ角度の推定値に基づいて電動機に対する通電を精度良く制御することができる。
また、前記ロータ角度推定手段によるロータ角度の推定値の算出処理において算出されるロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値に基づいて、前記電動機の誘起電圧定数の推定値を算出する誘起電圧定数推定手段を備え、前記ロータ位相差制御手段は、誘起電圧定数の指令値と前記誘起電圧定数推定手段により算出された誘起電圧定数の推定値との偏差を減少させるように、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記誘起電圧定数推定手段は、前記ロータ角度推定手段によるロータ角度の推定値の算出処理において算出されるロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値を流用して、前記電動機の誘起電圧定数の推定値を算出する。そのため、誘起電圧定数の推定値の算出に要する負荷を軽減することができる。そして、前記ロータ位相差変更手段により、誘起電圧定数の指令値と推定値との偏差を減少させるように、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更することで、前記電動機の誘起電圧定数を指令値に精度良く追従させることができる。
また、前記ロータ角度推定手段は、以下の式(9),式(10)による処理により得られるロータ角度の実際値と推定値との偏差を用いてロータ角度の推定値を算出し、
Figure 2009254081
但し、Vs:電動機のロータ角度の実際値θm_sと推定値θm_eとの偏差θe(θe=θm_s−θm_e)の正弦参照値、Vc:偏差θeの余弦参照値、ω:電動機の角速度、Ke:電動機の誘起電圧定数、Vd:d軸電機子の端子間電圧、Vq:q軸電機子の端子間電圧、R:d軸電機子及びq軸電機子の抵抗値、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Lq:q軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電機子の通電量、Iq:q軸電機子の通電量。
Figure 2009254081
前記誘起電圧定数推定手段は、上記式(1)により算出される正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを、ロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値として、以下の式(11)による誘起電圧定数Keを、誘起電圧定数推定値として算出することを特徴とする。
Figure 2009254081
かかる本発明によれば、前記ロータ角度推定手段は、上記式(9),式(10)による処理により、ロータ角度の実際値と推定値との偏差θeを算出して、ロータ角度の推定値を算出する。そして、前記誘起電圧定数推定手段は、上記式(9)により算出される正弦参照値VsとVcを、ロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値として、上記式(11)により容易に誘起電圧定数の推定値を算出することができる。
また、前記ロータ角度推定手段によるロータ角度の推定値の算出処理において算出されるロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値に基づいて、前記電動機のロータ位相差の推定値を算出するロータ位相差推定手段を備え、前記ロータ位相差制御手段は、ロータ位相差の指令値と前記ロータ位相差推定手段により算出されたロータ位相差の推定値との偏差を減少させるように、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更することを特徴とする。
かかる本発明によれば、前記ロータ位相差推定手段は、前記ロータ角度推定手段によるロータ角度の推定値の算出処理において算出されるロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値を流用して、前記電動機のロータ位相差の推定値を算出する。そのため、ロータ位相差の推定値の算出に要する負荷を軽減することができる。そして、前記ロータ位相差変更手段により、ロータ位相差の指令値と推定値との偏差を減少させるように、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更することで、前記電動機のロータ位相差を指令値に精度良く追従させることができる。
また、前記ロータ角度推定手段は、以下の式(12),式(13)による処理により得られるロータ角度の実際値と推定値との偏差を用いてロータ角度の推定値を算出し、
Figure 2009254081
但し、Vs:電動機のロータ角度の実際値θm_sと推定値θm_eとの偏差θe(θe=θm_s−θm_e)の正弦参照値、Vc:偏差θeの余弦参照値、ω:電動機の角速度、Ke:電動機の誘起電圧定数、Vd:d軸電機子の端子間電圧、Vq:q軸電機子の端子間電圧、R:d軸電機子及びq軸電機子の抵抗値、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Lq:q軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電機子の通電量、Iq:q軸電機子の通電量。
Figure 2009254081
前記ロータ位相差推定手段は、上記式(12)により算出される正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを、ロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値として、以下の式(14)による誘起電圧定数Keに対応するロータ位相差を、ロータ位相差推定値として算出することを特徴とする電動機の制御装置。
Figure 2009254081
かかる本発明によれば、前記ロータ角度推定手段は、上記式(12),式(13)による処理により、ロータ角度の実際値と推定値との偏差θeを算出して、ロータ角度の推定値を算出する。そして、前記ロータ位相差推定手段は、上記式(12)により算出される正弦参照値VsとVcを、ロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値として、上記式(14)により容易にロータ位相差の推定値を算出することができる。
本発明の実施の形態について、図1〜図7を参照して説明する。
先ず、図1及び図2を参照して、本実施の形態における電動機の構成を説明する。図1は、本実施の形態における電動機の要部の断面図、図2は図1に示した電動機の2つのロータ間の位相差を変更することによる効果の説明図である。
図1を参照して、電動機1は、2重ロータ構造のDCブラシレスモータであり、出力軸2、外ロータ12、及び内ロータ11を同軸に備えている。なお、外ロータ12と内ロータ11のいずれか一方が本発明の第1ロータに相当し、他方が本発明の第2ロータに相当する。
内ロータ11においては、N極を回転軸2側とする永久磁石11aとS極を回転軸2側とする永久磁石11bが、周方向に沿って等間隔に交互に配設されている。同様に、外ロータ12においても、N極を回転軸2側とする永久磁石12aとS極を回転軸2側とする永久磁石12bが、周方向に沿って等間隔に交互に配設されている。
また、電動機1は、内ロータ11及び外ロータ12に対する回転磁界を発生するための電機子10aを有するステータ10を備えている。電動機1は、例えばハイブリッド車両や電動車両の駆動源として使用され、ハイブリッド車両に搭載されたときは、電動機及び発電機として動作する。
次に、電動機1は、外ロータ12と内ロータ11の位相差であるロータ位相差を変更するために、外ロータ12と内ロータ11を相対的に回転させる位相可変機構(図示しない。遊星歯車等の差動機構により構成される。)を備えている。
そして、位相可変機構により、外ロータ12と内ロータ11の位相差は、少なくとも電気角で180度の範囲で進角側又は遅角側に変更することができ、電動機1の状態は、外ロータ12の永久磁石12a,12bと内ロータ11の永久磁石11a,11bが同極同士を対向して配置された界磁弱め状態と、外ロータ12の永久磁石12a,12bと内ロータ11の永久磁石11a,11bが異極同士を対向して配置された界磁強め状態との間で、適宜設定可能である。
図2(a)は界磁強め状態を示しており、外ロータ12の永久磁石12a,12bの磁束Q2と内ロータ11の永久磁石11a,11bの磁束Q1の向きが同一であるため、合成された磁束Q3が大きくなる。一方、図3(b)は界磁弱め状態を示しており、外ロータ12の永久磁石12a,12bの磁束Q2と内ロータ11の永久磁石11a,11bの磁束Q1の向きが逆であるため、合成された磁束Q3が小さくなる。
そして、このように、外ロータ12と内ロータ11の位相差を変更して、界磁の磁束を増減させることにより、電動機1の誘起電圧定数Keを変化させることができる。これにより、誘起電圧定数Keが一定である場合に比べて、電動機1の出力及び回転数に対する運転可能領域を拡大することができる。
[第1の実施形態]次に、図3〜図6を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図3は、第1の実施形態の電動機の制御装置A1(以下、制御装置A1という)の制御ブロック図である。
制御装置A1は、電動機1を界磁方向をd軸としてd軸と直交する方向をq軸とした2相直流の回転座標系による等価回路に変換して扱い、外部から与えられるトルク指令値Tr_cに応じたトルクが電動機1から出力されるように、電動機1に対する通電を制御する。
制御装置A1は、CPU、メモリ等により構成された電子ユニットであり、該CPUに所定の制御プログラムを実行させることによって、制御装置A1は、本発明のインダクタンス推定手段、ロータ角度推定手段、通電制御手段、誘起電圧定数推定手段、及びロータ位相差制御手段として機能する。また、制御装置A1は所定の制御サイクル毎に電動機1の制御処理を繰り返し実行する。
制御装置A1は、外部から与えられるトルク指令値Tr_cと電動機1の角速度の推定値ω_e(以下、角速度推定値ω_eという)と電動機1の誘起電圧定数の推定値Ke_e(以下、誘起電圧定数推定値Ke_eという)とに基づいて、d軸側の電機子(以下、d軸電機子という)の通電量(以下、d軸電流という)の指令値であるd軸電流指令値Id_cとq軸側の電機子(以下、q軸電機子という)の通電量(以下、q軸電流という)の指令値であるq軸電流指令値Iq_cとを算出する電流指令算出部50a、及び電流センサ70,71(本発明の電流検出手段に相当する)による電動機1の相電流の検出信号Iu_s,Iw_sと、電動機1のロータ角度の推定値θm_e(以下、ロータ角度推定値θm_eという)とに基づいて、3相−dq変換によりd軸電機子の通電量の検出値Id_s(以下、d軸電流検出値Id_sという)と、q軸電機子の通電量の検出値Iq_s(以下、q軸電流検出値Iq_sという)を算出する3相−dq変換部61とを備えている。
電流指令算出部50aは、電動機1のトルクTr,角速度ω,誘起電圧定数Keという3つの要素と、d軸電流Id,q軸電流Iqという2つの要素との間の相関関係を規定したマップ(Tr,ω,Ke/Id,Iqマップ)に、トルク指令値Tr_c,角速度推定値ω_e,誘起電圧定数推定値Ke_eを適用して得られるd軸電流Idとq軸電流Iqを、d軸電流指令値Id_cとq軸電流指令値Iq_cとしてそれぞれ算出する。
なお、このTr,ω,Ke/Id,Iqマップは、実験やコンピュータシミュレーション等に基いて作成されたものであり、そのデータはメモリに保持されている。なお、マップではなく、トルクTr,角速度ω,誘起電圧定数Keという3つの要素を入力して、d軸電流Idとq軸電流Iqを出力する相関式を用いて、d軸電流指令値Id_cとq軸電流指令値Iq_cを算出するようにしてもよい。
また、制御装置A1は、d軸電流指令値Id_cの補正値ΔIdaを求める界磁制御部51と、q軸電流指令値Iq_cの補正値ΔIqaを求める電力制御部55とを備えている。界磁制御部51で決定される補正値ΔIdaは、d軸電機子の電圧とq軸電機子の電圧との合成ベクトルの大きさが電動機1の電源電圧Vdc(より詳しくは、後述するPMW演算部62のインバータ回路の電源電圧)に応じた電圧円内に納まるようにするためのd軸電流の操作量(フィードバック操作量)を意味する。
補正値ΔIdaは、前回の制御サイクルにおいて、後述する電流制御部53により決定されたd軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cの合成ベクトルの大きさと、電源電圧Vdcに応じて決定した目標値(電圧円の半径)との偏差に応じて、フィードバック制御により決定される。
電力制御部55で決定される補正値ΔIqaは、電動機1の運転時における永久磁石11a〜12b(11a,11b,12a,12b)の温度変化と電機子10aの温度変化が、電動機1のトルクに及ぼす影響を補償するためのものである。永久磁石11a〜12bの温度が変化すると、一般にロータ位相差が一定であっても電動機1の誘起電圧定数が変化し、電機子10aのコイル抵抗(電機子10aを構成する巻線の抵抗)が変化する。このため、q軸電流指令値Iq_cが一定であっても、永久磁石11a〜12bや電機子10aの温度変化の影響により、電動機1のトルクが変化する。
そこで、電力制御部55は、この影響をq軸電流補正値ΔIqaにより補償する。q軸電流補正値ΔIqaは、U相電流検出値Iu_s又はW相電流検出値Iw_sから推定されるコイル抵抗や、後述するロータ角度推定値算出部92aで算出された誘起電圧定数推定値Ke_e等に基いて決定される。
加減算部52は、d軸電流指令値Id_cからd軸電流検出値Id_sを減じると共に、d軸電流補正値ΔIdaを加えて、d軸電流偏差ΔIdを算出する。同様に、加減算部56は、q軸電流指令値Iq_cからq軸電流検出値Iq_sを減じると共に、q軸電流補正値ΔIqaを加えて、q軸電流偏差ΔIqを算出する。
電流制御部53は、加減算部52で算出されたd軸電流偏差ΔIdを0に近づけるように、PI制御則(比例・積分制御則)等のフィードバック制御則により、d軸電機子の指令電圧値であるd軸電圧指令値Vd_cを決定する。同様に、電流制御部53は、加減算部56で算出されたq軸電流偏差ΔIqを0に近づけるように、PI制御則等のフィードバック制御則により、q軸電機子の指令電圧値であるq軸電圧指令値Vq_cを決定する。
なお、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cとを決定するときに、d軸電流偏差ΔIdから求められるd軸電圧指令値と、q軸電流偏差ΔIqから求められるq軸電圧指令値とに、d軸とq軸の間で干渉し合う速度起電力の影響を打ち消すための非干渉成分を付加して、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cを求めることが好ましい。
さらに、制御装置A1は、d軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cと、ロータ角度推定値θm_eとから、dq−3相変換によりU相,V相,W相の各相の相電圧指令値Vu_c,Vv_c,Vw_cを求めるdq−3相変換部60、及び、相電圧指令値Vu_c,Vv_c,Vw_cに応じて、電動機1の各相の電機子にPWM制御によりインバータ回路(図示省略)を介して通電するPWM演算部62を備えている。
なお、dq−3相変換は、d軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cの組を、ロータ角度推定値θm_e(電気角での出力軸2の回転角度の推定値)に応じた変換行列に座標変換する処理である。
また、電力制御部55、界磁制御部51、加減算器52,56、電流制御部53、加算器54,57、検出用電圧重畳部80、dq−3相変換部60、3相−dq変換部61、及びPWM演算部62により、本発明の通電制御手段が構成される。
また、制御装置A1は、トルク指令値Tr_cと角速度推定値ω_eと電源電圧Vdcに応じて、電動機1の誘起電圧定数の指令値Ke_c(以下、誘起電圧定数指令値Ke_cという)を決定する誘起電圧定数指令算出部90aを備えている。
誘起電圧定数指令算出部90aは、電動機1のトルクTr,角速度ω,電源電圧Vdcという3つの要素と、誘起電圧定数Keとの間の相関関係を規定したマップ(Tr_c,ω,Vdc/Keマップ)に、トルク指令値Tr_c,角速度推定値ω_e,電源電圧Vdcを適用して、誘起電圧定数指令値Ke_cを算出する。
このTr,ω,Vdc/Keマップは、実験やコンピュータシミュレーション等に基いて作成されたものであり、そのデータはメモリに保持されている。なお、マップではなく、電動機1のトルクTr,角速度ω,電源電圧Vdcという3つの要素を入力して、誘起電圧定数Keを出力する相関式を用いて、誘起電圧定数指令値Ke_cを算出するようにしてもよい。
また、制御装置A1は、d軸電流検出値Id_s及びq軸電流検出値Iq_sと誘起電圧定数指令値Ke_cとに基いて、d軸電機子のインダクタンスの推定値Ld_e(以下、d軸インダクタンス推定値Ld_eという)とq軸電機子のインダクタンスの推定値Lq_e(以下、q軸インダクタンス推定値Lq_eという)を算出するインダクタンス推定値算出部91aを備えている。
ここで、電動機1のインダクタンスと誘起電圧定数との間には相関関係がある。図4(a)は、縦軸をd軸インダクタンスLdに設定し、横軸をd軸電流Idに設定して、電動機1のロータ位相差θdを0度,30度,60度、90度、120度、150度、180度に設定したときの、LdとIdの関係を示したものである。図4(a)に示した対応関係から、電動機1のロータ位相差θdとd軸電流Idの組に対して、対応するd軸インダクタンスLdが定まることが分る。
同様に、図4(b)は、縦軸をq軸電機子のインダクタンスLqに設定し、横軸をq軸電流Iqに設定して、電動機1のロータ位相差θdを0度,30度,60度,90度,120度,150度,180度に設定したときの、LqとIqの関係を示したものである。図4(b)に示した対応関係から、電動機1の位相差θdとq軸電流Iqの組に対して、対応するq軸インダクタンスLqが定まることが分る。
そして、電動機1のロータ位相差と誘起電圧定数との間には、図5に示したように、ロータ位相差が0度であるときに誘起電圧定数が最大となり、ロータ位相差が180度であるときに誘起電圧定数が最小となるという相関関係がある。
そこで、インダクタンス推定値算出部91a、図4(a),図4(b),図5に基いて電動機1のd軸電流Id,q軸電流Iq,誘起電圧定数Keという3つの要素と、d軸インダクタンスLd,q軸インダクタンスLqという2つの要素との間の相関関係を規定したマップ(Id,Iq,Ke/Ld,Lqマップ)に、d軸電流検出値Id_s,q軸電流検出値Iq_s,誘起電圧定数指令値Ke_cを適用して、d軸インダクタンス推定値Ld_eとq軸インダクタンス推定値Lq_eを算出する。
このId,Iq,Ke/Ld,Lqマップは、実験やコンピュータシミュレーション等に基いて作成されたものであり、そのデータはメモリに保持されている。なお、マップではなく、d軸電流Id,q軸電流Iq,誘起電圧定数Keという3つの要素を入力して、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqを出力する相関式を用いて、d軸インダクタンス推定値Ld_eとq軸インダクタンス推定値Lq_eを算出してもよい。
次に、制御装置A1は、電動機1のロータ角度を検出するレゾルバ等の位置センサを備えておらず、ロータ角度推定値算出部92a(本発明の第ロータ角度推定手段、及び誘起電圧定数推定手段に相当する)により、ロータ角度の推定値θm_e(以下、ロータ角度推定値θm_eという)と、角速度の推定値ω_e(以下、角速度推定値ω_eという)を算出する処理を行う。また、制御装置A1は、ロータ位相差を検出するセンサを用いずに、ロータ角度推定値算出部92aにより、誘起電圧定数の推定値Ke_e(以下、誘起電圧定数推定値Ke_eという)を算出する処理を行う。
以下、ロータ角度推定値算出部92aによるロータ角度推定値θm_e、角速度推定値ω_e、及びロータ位相差推定値θd_eの算出処理について説明する。
図3を参照して、ロータ角度推定値算出部92aは、電動機1が回転しているときに、インダクタンス推定値算出部91aによって算出されるd軸インダクタンス推定値Ld_eとq軸インダクタンス推定値Lq_eとを用いて、ロータ角度推定値θm_eと角速度推定値ω_eを算出する。
ロータ角度推定値算出部92aは、以下の式(15)のVdにd軸電圧指令値Vd_cを代入し、Vqにq軸電圧指令値Vq_cを代入し、Rに予め設定した抵抗値を代入し、ωに角速度推定値ω_eを代入し、Ldにd軸インダクタンス推定値Ld_eを代入し、Lqにq軸インダクタンス推定値Lq_eを代入し、Idにd軸電流検出値Id_sを代入し、Iqにq軸電流検出値Iq_sを代入して、ロータ角度の実際値と推定値との偏差θeの正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを算出する。
Figure 2009254081
但し、Vs:正弦参照値、Vc:余弦参照値、ω:角速度、Ke:誘起電圧定数、θe:ロータ角度の実際値と推定値との偏差、Vd:d軸電圧、Vq:q軸電圧、R:d軸電機子及びq軸電機子の抵抗値、Ld:d軸インダクタンス、Lq:q軸インダクタンス、Id:d軸電流、Iq:q軸電流。
ロータ角度推定値算出部92aは、以下の式(16)により、ロータ角度の実際値と推定値との偏差θeを算出する。そして、ロータ角度推定値算出部92aは、この偏差θeが0になるように、以下の式(17)によるオブザーバの演算係数K1,K2を決定する追従演算により算出したθm_e(n+1)とω_e(n+1)を、ロータ角度推定値θm_eと角速度推定値ω_eとしてそれぞれ出力する。
Figure 2009254081
Figure 2009254081
但し、θm_e(n+1):今回の制御サイクルにおけるロータ角度の推定値、ω_e(n+1):今回の制御サイクルにおける角速度の推定値、Δt:1制御サイクルの時間、θm_e(n):前回の制御サイクルにおける角速度の推定値、ω_e(n):前回の制御サイクルにおける角速度の推定値、K1,K2:演算ゲイン。
また、ロータ角度推定値算出部92aは、以下の式(18)により、誘起電圧定数推定値Ke_eを算出する。
Figure 2009254081
但し、Ke_e:誘起電圧定数推定値、ω:角速度(実際値)、Ke:誘起電圧定数(実際値)、ω_e:角速度推定値。
図6は、以上説明したロータ角度推定値算出部92aによるロータ角度推定値θm_e及び角速度推定値ω_eと、誘起電圧定数推定値Ke_eの算出処理のブロック図である。ロータ角度推定値算出部92aは、参照値算出部100により、上記式(15)のId,Iqに3相−dq変換部61で算出されたd軸電流検出値Id_s,q軸電流検出値Iq_sを代入し、Vd,Vqにd軸電流指令値Vd_c,q軸電流指令値Vq_cを代入し、Ld,Lqにインダクタンス推定値算出部91aで算出されたd軸インダクタンス推定値Ld_e,q軸インダクタンス推定値Lq_eを代入して、正弦参照値Vsと余弦参照値Vcとを算出する。なお、上記式(15)の抵抗値Rは、予め設定された固定値が用いられ、角速度ωは前回の制御サイクルで算出された角速度推定値ω_eが用いられる。
そして、ロータ角度推定値算出部92aは、除算器102によって、上記式(16)により、正弦参照値Vs(=-ωKesinθe)を、合成値算出部101で算出した√(Vs2+Vc2)で除して、ロータ角度の実際値と推定値との偏差θeを算出する。そして、この偏差θeを用いて、上記式(17)によるオブザーバ103により、偏差θeが0になるように演算ゲインK1,K2を決定する追従演算を行なって、ロータ角度推定値θm_eと角速度推定値ω_eを算出する。
このように、インダクタンス推定値算出部91aにより算出されたd軸インダクタンス推定値Ld_eとq軸インダクタンス推定値Lq_eとを用いて、ロータ角度推定値θm_eと角速度推定値ω_eを算出することにより、ロータ角度推定値θm_eと角速度推定値ω_eの推定精度を高めることができる。そして、ロータ角度推定値算出部92aにより算出されたロータ角度推定値θm_eと角速度推定値ω_eを用いることで、電動機1の通電制御を精度良く行うことができる。
また、ロータ角度推定値算出部92aは、除算器104により、合成値算出部101で算出した√(Vs2+Vc2)を角速度推定値ω_eで除して、誘起電圧定数推定値Ke_eを算出する。この場合、ロータ角度推定値算出部92aは、ロータ角度推定値θm_eと角速度ω_eを算出するために参照部算出部100で算出した正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを流用して、誘起電圧定数推定値Ke_eを算出する。そのため、誘起電圧定数推定値Ke_eの算出負荷を低減して、効率良く誘起電圧定数推定値Ke_eを算出することができる。
そして、減算器93により、誘起電圧定数指令値Ke_cと誘起電圧定数推定値Ke_eとの偏差ΔKeが算出されて、ロータ位相差制御部95aに入力される。ロータ位相差制御部95aは、この偏差ΔKeを減少させるように、アクチュエータ25に対する指令値LS_cを決定して出力する。これにより、ロータ位相差を検出するセンサを設けることなく、電動機1のロータ位相差が誘起電圧定数指令値Ke_cに対応する状態となるように、フィードバック制御を行うことができる。
[第2の実施形態]次に、図7を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。図7は、第2の実施形態の電動機の制御装置A2(以下、制御装置A2という)の制御ブロック図である。
制御装置A2は、CPU、メモリ等により構成された電子ユニットであり、該CPUに所定の制御プログラムを実行させることによって、制御装置A2は、本発明のインダクタンス推定手段、ロータ角度推定手段、通電制御手段、ロータ位相差推定手段、及びロータ位相差制御手段として機能する。また、制御装置A2は所定の制御サイクル毎に電動機1の制御処理を繰り返し実行する。
上述した第1の実施形態の制御装置A1では、誘起電圧定数の指令値Ke_cと推定値Ke_eとの偏差ΔKeを減少させるように、電動機1のロータ位相差をフィードバック制御したが、第2の実施の形態の制御装置A2は、ロータ位相差の指令値θd_cと推定値θd_eとの偏差Δθdを減少させるように、電動機1のロータ位相差をフィードバック制御する。
そのため、制御装置A2は、制御装置A1の電流指定算出部50aに代えて電流指令算出部50bを備え、誘起電圧定数指令算出部90aに代えてロータ位相差指令算出部90bを備え、インダクタンス推定値算出部91aに代えてインダクタンス推定値算出部91b(本発明のインダクタンス推定手段に相当する)を備え、ロータ角度推定値算出部92aに代えてロータ角度推定値算出部92b(本発明のロータ角度推定手段及びロータ位相差推定手段に相当する)を備え、ロータ位相差制御部95aに代えてロータ位相差制御部95b(本発明のロータ位相差制御手段に相当する)を備えている。なお、制御装置A1と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
電流指令算出部50bは、電動機1のトルクTr,角速度ω,ロータ位相差θdという3つの要素と、d軸電流Id,q軸電流Iqという2つの要素との間の相関関係を規定したマップ(Tr,ω,θd/Id,Iqマップ)に、トルク指令値Tr_c,角速度推定値ω_e,ロータ位相差推定値θd_eを適用して得られるd軸電流Idとq軸電流Iqを、d軸電流指令値Id_cとq軸電流Iq_cとしてそれぞれ算出する。
なお、このTr,ω,θd_/Id,Iqマップは、実験やコンピュータシミュレーション等に基いて作成されたものであり、そのデータはメモリに保持されている。なお、マップではなく、トルクTr,角速度ω,ロータ位相差θdという3つの要素を入力して、d軸電流Idとq軸電流Iqという2つの要素を出力する相関式を用いて、d軸電流指令値Id_cとq軸電流指令値Iq_cを算出するようにしてもよい。
ロータ位相差指令算出部90bは、電動機1のトルクTr,角速度ω,電源電圧Vdcという3つの要素と、電動機1のロータ位相差θdとの間の相関関係を規定したマップ(Tr,ω,Vdc/θdマップ)に、トルク指令値Tr_c,角速度推定値ω_e,電源電圧Vdcを適用して得られるロータ位相差θdを、ロータ位相差指令値θd_cとして算出する。
このTr,ω,Vdc/θdマップは、実験やコンピュータシミュレーション等に基いて作成されたものであり、そのデータはメモリに保持されている。なお、マップではなく、トルク指令値Tr,角速度ω,電源電圧Vdcという3つの要素を入力して、ロータ位相差θdを出力する相関式を用いて、ロータ位相差指令値θd_cを算出するようにしてもよい。
インダクタンス推定値算出部92bは、図4(a),図4(b)に基く電動機1のd軸電流Id,q軸電流Iq,ロータ位相差θdという3つの要素と、d軸インダクタンスLd,q軸インダクタンスLqという2つの要素との間の相関関係を規定したマップ(Id,Iq,θd/Ld,Lqマップ)に、d軸電流検出値Id_s,q軸電流検出値Iq_s,ロータ位相差指令値θd_cを適用して得られるLdとLqを、それぞれd軸インダクタンス推定値Ld_eとq軸インダクタンス推定値Lq_eとして出力する。
このId,Iq,θd/Ld,Lqマップは、実験やコンピュータシミュレーション等に基いて作成されたものであり、そのデータはメモリに保持されている。なお、マップではなく、d軸電流Id,q軸電流Iq,ロータ位相差θdという3つの要素を入力して、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqを出力する相関式を用いて、d軸インダクタンス推定値Ld_eとq軸インダクタンス推定値Lq_eを算出してもよい。
ロータ角度推定値算出部92bは、上述した第1の実施形態の制御装置A1のロータ角度推定値算出部92aと同様にして、上記式(15)により、ロータ角度の実際値と推定値との偏差θeの正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを算出する。そして、ロータ角度推定値算出部92bは、上記式(16)により算出した偏差θeを用いて、上記式(17)のオブザーバによる追従演算により、ロータ角度推定値と角速度推定値を算出する。
さらに、ロータ角度推定値算出部92bは、上記式(18)により算出した誘起電圧定数推定値Ke_eを、図5に示した誘起電圧定数Keと位相差θdとの間の相関関係に基づくマップ(Ke/θdマップ)に適用して、対応するロータ位相差θdをロータ位相差推定値θdとして算出する。
この場合、ロータ角度推定値算出部92bは、ロータ角度推定値θm_eと角速度ω_eを算出するために算出した正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを流用して、ロータ位相差推定値θd_eを算出する。そのため、ロータ位相差推定値θd_eの算出負荷を低減して、効率良くロータ位相差推定値θd_eを算出することができる。
そして、減算器93により、ロータ位相差指令値θd_cとロータ位相差推定値θd_eとの偏差Δθdが算出されて、ロータ位相差制御部95bに入力される。ロータ位相差制御部95bは、この偏差Δθdを減少させるように、アクチュエータ25に対する指令値LS_cを決定して出力する。これにより、ロータ位相差を検出するセンサを設けることなく、電動機1のロータ位相差がロータ位相差指令値θd_cとなるように、フィードバック制御を行うことができる。
なお、上記第1の実施形態では、誘起電圧定数指令値Ke_cに対応するロータ位相差となるように、ロータ位相差のフィードバック制御を行い、上記第2の実施形態では、ロータ位相差指令値θd_cとなるようにロータ位相差のフィードバック制御を行ったが、電動機のロータ位相差と誘起電圧定数とインダクタンスとの間には相関関係があるため、インダクタンスの指令値を設定して、この指令値に対応するロータ位相差となるように、ロータ位相差のフィードバック制御を行うようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施形態では、本発明の電動機の制御装置として、電動機1を2相直流の回転座標であるdq座標系による等価回路に変換して扱う制御装置A1〜A3を示したが、2相交流による固定座標系であるαβ座標系による等価回路に変換して扱う場合や、3相(U,V,W相)のまま扱う場合等、他の制御形態においても本発明の適用が可能である。
2重ロータを備えたDCブラシレスモータの構成図。 外ロータと内ロータの位相差を変更することによる効果の説明図。 第1の実施形態の電動機の制御装置の制御ブロック図。 ロータ位相差θdとd軸電機子のインダクタンスLd及びd軸電流Idとの相関関係、及びロータ位相差θdとq軸電機子のインダクタンスLq及びq軸電流Iqとの相関関係を示した説明図。 誘起電圧定数Keとロータ位相差θdとの相関関係を示した説明図。 ロータ角度推定値算出部の演算ブロック図。 第2の実施形態の電動機の制御装置の制御ブロック図。
符号の説明
1…電動機、2…電動機の回転軸、10…ステータ、11…内ロータ、11a,11b…永久磁石、12…外ロータ、12a,12b…永久磁石、25…アクチュエータ、26…差動機構、27…ロータ位相差変更部、50a…電流指令算出部、53…電流制御部、90a…誘起電圧定数指令算出部、91a…インダクタンス推定値算出部、92a…ロータ角度推定値算出部、95a…ロータ位相差制御部。

Claims (5)

  1. 永久磁石による磁極を複数個有する第1ロータ及び第2ロータを、回転軸の周囲に同心状に配置した永久磁石界磁型の回転電動機の作動を、該第1ロータと該第2ロータとの位相差であるロータ位相差の変更を行って制御する電動機の制御装置であって、
    前記ロータ位相差を変更するためのロータ位相差変更手段と、
    前記電動機の電機子の通電量を検出する電流検出手段と、
    前記電動機の誘起電圧定数の指令値又は前記ロータ位相差の指令値に応じて、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更するロータ位相差制御手段と、
    前記電動機の誘起電圧定数の指令値又は前記ロータ位相差の指令値と、前記電動機の通電量とに基いて、前記電動機のインダクタンスの推定値を算出するインダクタンス推定手段と、
    前記電動機の電機子の端子間電圧と、前記電動機の電機子の通電量と、前記インダクタンス推定手段により算出されたインダクタンスの推定値とに基いて、前記電動機のロータ角度の推定値を算出するロータ角度推定手段と、
    前記ロータ角度推定手段により算出された前記ロータ角度の推定値に基いて、前記電動機に対する通電を制御する通電制御手段とを備えた通電制御手段とを備えたことを特徴とする電動機の制御装置。
  2. 請求項1記載の電動機の制御装置において、
    前記ロータ角度推定手段によるロータ角度の推定値の算出処理において算出されるロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値に基づいて、前記電動機の誘起電圧定数の推定値を算出する誘起電圧定数推定手段を備え、
    前記ロータ位相差制御手段は、誘起電圧定数の指令値と前記誘起電圧定数推定手段により算出された誘起電圧定数の推定値との偏差を減少させるように、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更することを特徴とする電動機の制御装置。
  3. 請求項2記載の電動機の制御装置において、
    前記ロータ角度推定手段は、以下の式(1),式(2)による処理により得られるロータ角度の実際値と推定値との偏差を用いてロータ角度の推定値を算出し、
    Figure 2009254081

    但し、Vs:電動機のロータ角度の実際値θm_sと推定値θm_eとの偏差θe(θe=θm_s−θm_e)の正弦参照値、Vc:偏差θeの余弦参照値、ω:電動機の角速度、Ke:電動機の誘起電圧定数、Vd:d軸電機子の端子間電圧、Vq:q軸電機子の端子間電圧、R:d軸電機子及びq軸電機子の抵抗値、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Lq:q軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電機子の通電量、Iq:q軸電機子の通電量。
    Figure 2009254081

    前記誘起電圧定数推定手段は、上記式(1)により算出される正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを、ロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値として、以下の式(3)による誘起電圧定数Keを、誘起電圧定数推定値として算出することを特徴とする電動機の制御装置。
    Figure 2009254081
  4. 請求項1記載の電動機の制御装置において、
    前記ロータ角度推定手段によるロータ角度の推定値の算出処理において算出されるロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値に基づいて、前記電動機のロータ位相差の推定値を算出するロータ位相差推定手段を備え、
    前記ロータ位相差制御手段は、ロータ位相差の指令値と前記ロータ位相差推定手段により算出されたロータ位相差の推定値との偏差を減少させるように、前記ロータ位相差変更手段により前記ロータ位相差を変更することを特徴とする電動機の制御装置。
  5. 請求項4記載の電動機の制御装置において、
    前記ロータ角度推定手段は、以下の式(4),式(5)による処理により得られるロータ角度の実際値と推定値との偏差を用いてロータ角度の推定値を算出し、
    Figure 2009254081

    但し、Vs:電動機のロータ角度の実際値θm_sと推定値θm_eとの偏差θe(θe=θm_s−θm_e)の正弦参照値、Vc:偏差θeの余弦参照値、ω:電動機の角速度、Ke:電動機の誘起電圧定数、Vd:d軸電機子の端子間電圧、Vq:q軸電機子の端子間電圧、R:d軸電機子及びq軸電機子の抵抗値、Ld:d軸電機子のインダクタンス、Lq:q軸電機子のインダクタンス、Id:d軸電機子の通電量、Iq:q軸電機子の通電量。
    Figure 2009254081

    前記ロータ位相差推定手段は、上記式(4)により算出される正弦参照値Vsと余弦参照値Vcを、ロータ角度の実際値と推定値との偏差の参照値として、以下の式(6)による誘起電圧定数Keに対応するロータ位相差を、ロータ位相差推定値として算出することを特徴とする電動機の制御装置。
    Figure 2009254081
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