JP2011094280A - 再生パルプを含有する紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パルプを主原料とした3層以上の多層構造で、表層と裏層との間に形成された少なくとも1つの内層に再生パルプを含有する紙であって、全パルプ固形分に対し再生パルプを20質量%以上含有し、かつ、前記再生パルプの全固形分のうち白色度が60%以上である再生パルプを50質量%以上含有する。全パルプ固形分中の再生パルプの割合は20質量%以上であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
また、特許文献9には、古紙パルプを用紙中に40質量%以上含有し、3層以上の多層抄き合わせにより抄造される再生葉書用紙が記載されている。
本発明のはがき用紙は、パルプを主原料とした3層以上の多層構造からなり、抄き合わせあるいは多層抄きで製造される。例えば、3層の場合は「表層」「中層」「裏層」、4層の場合は「表層」「表下層」「裏下層」「裏層」、5層の場合は「表層」「表下層」「中層」「裏下層」「裏層」からそれぞれ構成される。積層数はこれらに限定されるものではない。表層はステルスバーコードの印刷面を含む。なお、本発明でいう表層と裏層との間に形成された内層とは、「表下層」、「中層」、「裏下層」等を意味する。
本発明においては、再生パルプとして白色度が60%以上であるものを使用し、全再生パルプの固形分に対して50質量%以上の割合で含有することで、チリやダート、蛍光強度など再生パルプを高配合した場合の問題を解消できるとともに、優れた白色性を得ることができる。再生パルプの白色度は65%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
本発明においては、蛍光強度低下の観点から、再生パルプに蛍光失活処理を施すことが望ましい。蛍光失活処理としては、再生パルプスラリーへの蛍光失活剤の添加、多価金属処理、酵素処理、過酸化物処理、オゾン処理、マスキング処理、脱墨後のパルプの二酸化塩素等による処理等が挙げられる。
本発明のはがき用紙の製造方法は特に限定されるものでなく、各層の紙料をそれぞれ調製し、例えば長網型湿式抄紙機により各層を抄き合わせて多層構造とすることによって得ることができる。また、多層ヘッドボックスから各層の紙料をそれぞれ噴射して多層抄きしてもよい。抄紙機としては上記の他、ツインワイヤー型抄紙機、円網抄紙機、短網抄紙機等が挙げられる。
はがき用紙の坪量としては180〜200g/m2であることが望ましい。抄き合わせにおける各層の坪量範囲は、本発明の効果を損なわない範囲で調整が可能であるが、表層および裏層の坪量は、各々20〜60g/m2であることが好ましく、25〜50g/m2であることが更に好ましい。表層、裏層の坪量が低すぎると、再生パルプ由来の蛍光強度が高くなる懸念があり、一方、表層および裏層の坪量が高すぎる場合、蛍光強度やダートの点では良好だが、表層、裏層に用いられる化学パルプの量が多くなり、コスト的にも環境的にも望ましくない。
また、本発明のはがき用紙には、填料を含有しても良い。特に、不透明度を高めるため、表層および/又は裏層は填料を含有することが好ましい。填料の種類は特に制限されないが、例えば、重質炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムなどの炭酸カルシウム、炭酸カルシウム−シリカ複合物、酸化チタン、クレー、シリカ、タルク、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化亜鉛、酸化珪素、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化チタン、ベントナイトなどの無機填料;尿素−ホルマリン樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、微小中空粒子等の有機填料;を単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用することができる。また、製紙スラッジや脱墨フロス等を原料とした再生填料も使用することができる。酸性抄紙の場合は、前記填料から、酸溶解性のものを除いた填料が使用され、その単独または適宜2種類以上を組み合わせて使用される。
また、本発明では必要に応じて各種の製紙用薬品を添加することができる。具体的には、ポリアクリルアミド系高分子、ポリビニルアルコール系高分子、カチオン性澱粉、各種変性澱粉、尿素・ホルマリン樹脂、メラミン・ホルマリン樹脂などの内添紙力増強剤;ロジン系サイズ剤、AKD系サイズ剤、ASA系サイズ剤、石油系サイズ剤、中性ロジンサイズ剤などの内添サイズ剤;などを挙げることができる。また、歩留剤、濾水性向上剤、凝結剤、硫酸バンド、ベントナイト、シリカ、染料、消泡剤、紫外線防止剤、退色防止剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤などを用いることができる。
また、本発明のはがき用紙には、必要に応じて、表面および/又は裏面に表面処理剤を塗布することができる。表面処理剤の種類や組成は、特に限定はないが、表面強度の向上を目的とした水溶性高分子物質としては、生澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、酵素変性澱粉、アルデヒド化澱粉、ヒドロキシエチル化澱粉、ヒドロキシプロピル化澱粉などの澱粉;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体;ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコールなどの変性アルコール;スチレンブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリルアミドなどを単独または併用する。また、本発明では筆記適性あるいはプリンターでの印字適性のため、ステキヒトサイズ度が250〜600秒であることが好ましく、吸水抵抗性を高めるために、前記の水溶性高分子物質の他に、スチレンアクリル酸、スチレンマレイン酸、オレフィン系化合物など表面サイズ剤を併用塗布してもよい。表面処理剤の塗布量は特に制限されず、通常、両面当たり0.5〜5g/m2程度である。また、水溶性高分子物質と表面サイズ剤からなる表面処理剤を塗布する場合、水溶性高分子物質と表面サイズ剤との混合比率は公用の範囲で行えばよい。
本発明の紙は、はがき用紙以外にも、印刷用紙、情報用紙、新聞用紙、包装用紙等に使用することができる。坪量等の諸物性や製造方法などは、各用途に応じて適宜設定すればよい。
(DIP−A)
高濃度パルパーに、新聞古紙:雑誌古紙:ケント古紙:チラシ古紙=65:16:11:8の割合で古紙を投入した。ここに薬品を加えてパルプ濃度が15質量%となるように調整し、離解処理を行った。使用薬品は、それぞれ対古紙質量に対する割合で苛性ソーダ2.0%、高級アルコール系脱墨剤0.2%を加えた。続いて、粗選スクリーン、フローテーター、精選スクリーン、ディスパーザーを経てDIP(脱墨再生パルプ)を製造した。このDIPにさらにホルムアミジンスルフィン酸(FAS)を添加し、ディスパーザーで分散処理を行った後、水で希釈し、高速ワイヤーベルト式脱水機(DNTウォッシャー)で洗浄することで、DIP−Aを得た。DIP−Aの白色度は70%、灰分は3%、0.1mm以下の微細繊維量は1.4%であった。
ホルムアミジンスルフィン酸(FAS)添加以降の工程を行わない以外は、DIP−Aと同様にしてDIP−Bを得た。DIP−Bの白色度は55%、灰分は12%、0.1mm以下の微細繊維量は10%であった。
(表層及び裏層)
カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)400mlに叩解したLBKP100部に対して、填料として炭酸カルシウムを2部、内添サイズ剤を0.4部、歩留まり剤を0.1部、硫酸バンドを2部添加してスラリーを調製した。
(表下層、裏下層)
CSF400mlのLBKP50部と、白色度70%の再生パルプ(以下DIP−Aとする。)50部とを混合し、内添サイズ剤を0.75部、硫酸バンドを2.5部添加してスラリーを調製した。
(中層)
白色度70%の再生パルプ(DIP−A)を100部に対し内添サイズ剤として0.75部、硫酸バンドを2.5部添加してスラリーを調製した。
(抄き合わせ)
上記3種類の紙料スラリーを、表層=28g/m2、表下層・中層・裏下層=各44g/m2、裏層=30g/m2となるように長網抄紙機で抄紙し、湿紙の状態で抄き合わせて乾燥し、坪量190g/m2となるように原紙を抄造した。抄き合わせに際し、裏層と裏下層との間を除く各層間には、顆粒澱粉の2.3%水溶液を塗布量1g/m2となるようにスプレー塗布した。この原紙に2ロールサイズプレスでポリビニルアルコールを両面で1.8g/m2塗布し、ベック平滑度が30秒となるようにカレンダー処理を行って、はがき用紙を得た。
実施例1の表下層、裏下層のパルプスラリーにおいて、LBKP50部と再生パルプ(DIP−A)50部とに代えて、それぞれ再生パルプ(DIP−A)100部を使用した以外は、実施例1と同様にしてはがき用紙を得た。
[実施例3]
実施例1において、表下層、裏下層のそれぞれのパルプスラリー調製時に、蛍光失活剤として芳香族カルボン酸・アミン縮合物(里田加工FQ−50)を、LBKPおよび再生パルプ(DIP−A)とを合わせた対パルプ当たり0.05%添加(DIP−Aに対し0.1%添加に相当)した以外は、実施例1と同様にしてはがき用紙を得た。
実施例1の中層のパルプスラリーにおいて、再生パルプ(DIP−A)100部に代えて、白色度55%の再生パルプ(DIP−B)100部を使用した以外は、実施例1と同様にしてはがき用紙を得た。
CSF400mlのLBKP60部と、再生パルプ(DIP−A)40部とを混合し、填料として炭酸カルシウムを5部、内添サイズ剤を1.4部、硫酸バンドを2部添加して紙料スラリーを調製した。この紙料スラリーを、長網抄紙機で坪量190g/m2となるように抄紙し、サイズプレスでポリビニルアルコールを1.8g/m2塗布し、ベック平滑度が30秒となるようにカレンダー処理を行って、はがき用紙を得た。
再生パルプ(DIP−A)40部に代えて、白色度55%の再生パルプ(DIP−B)40部を使用した以外は、比較例1と同様にしてはがき用紙を得た。
実施例2の表下層、中層、裏下層のパルプスラリーにおいて、再生パルプ(DIP−A)100部に代えて、再生パルプ(DIP−B)100部をそれぞれ使用した以外は、実施例2と同様にしてはがき用紙を得た。
各実施例および比較例で得られたはがき用紙の評価を、以下に示す方法により行った。評価結果を表1にまとめて示す。
パルプおよびはがき用紙について、JIS P 8148に準じて測定した。
<蛍光強度>
JIS P 8148に準じて、紫外線領域を含む光を照射した時の白色度(X)と紫外線を含まない光を照射した時の白色度(Y)をそれぞれ測定し、両者の差(X−Y)により蛍光強度を求めた。値が小さいほど蛍光強度が小さいことを示す。
<チリ・ダート>
目視で評価を行い次の基準で示した。
◎ チリ・ダートが目立たない
○ チリ・ダートがほとんど目立たない
△ チリ・ダートがやや目立つ
× チリ・ダートが多い
<DIP微細繊維量>
Kajaanisy社製パルプ分析装置「FiberLab」を用いて、長さ平均算出時の繊維長分布における0.1mm以下の頻度を測定した。
<内部結合強度>
JAPAN TAPPI No.18−1およびNo.18−2に沿って測定した。前者はZ軸方向引張り、後者はインターナルボンドを表す。
<自動区分機処理試験>
自動区分機による処理試験の結果を下記に示す。
○ 良好
△ やや不良
× 不良
Claims (2)
- パルプを主原料とした3層以上の多層構造で、表層と裏層との間に形成された少なくとも1つの内層に再生パルプを含有する紙であって、全パルプ固形分に対し再生パルプを20質量%以上含有し、かつ、前記再生パルプの全固形分のうち白色度が60%以上である再生パルプを50質量%以上含有する紙。
- はがき用紙である請求項1記載の紙。
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