JP2011094185A - 瓶キャップ用アルミニウム合金板及びその製造方法 - Google Patents
瓶キャップ用アルミニウム合金板及びその製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】質量%で、Mn:0.3〜0.6%、Mg:0.2〜0.5%、Si:0.01〜0.6%、Fe:0.01〜0.7%、Cu:0.01〜0.3%、Zn:0.2%以下、Ti:0.04%以下、Cr:0.03%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有し、板厚が0.15〜0.20mmであり、200℃で10分間熱処理した後の引張強さが160〜190MPa、耐力が135〜165MPa、引張強さと耐力との差が5〜25MPaであり、伸びが6〜10%である。
【選択図】 なし
Description
そのキャップの材料として、容器がガラス製の瓶の場合、例えばJIS3105等のAl−Mn系のアルミニウム合金などが使用されている(例えば、特許文献1〜3を参照。)。
また、このようにZn、Ti、Crの含有率を小さくしたことにより、Al−Mn系合金としてのリサイクル性も向上させることができる。
まず、瓶キャップ用アルミニウム合金の実施形態について説明する。このアルミニウム合金は、質量%で、Mn:0.3〜0.6%、Mg:0.2〜0.5%、Si:0.01〜0.6%、Fe:0.01〜0.7%、Cu:0.01〜0.3%、Zn:0.2%以下、Ti:0.04%以下、Cr:0.03%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有し、板厚が0.15〜0.20mmであり、200℃で10分間熱処理した後の引張強さが160〜190MPa、耐力が135〜165MPa、引張強さと耐力との差が5〜25MPaであり、伸びが6〜10%とされる。
(Mn:0.3〜0.6%)
Mnは、アルミニウム合金の強度を向上させる元素である。このMnの添加量が0.3%未満であると、強度向上効果はあまり期待できず、0.6%を超えると、強度が大きくなり過ぎて成形性、開栓性を損なう原因となる。このため、Mnは、0.3〜0.6%の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.4〜0.5%の範囲である。
Mgは、アルミニウム合金の強度を向上させるのに必要な元素である。しかしながら、Mgが0.2%未満であると、薄肉化されたアルミニウム合金の強度を向上させる効果が不十分となり、Mgが0.5%を超えると、強度が高くなりすぎて加工性が悪くなる。したがって、Mgは、0.2〜0.5%の範囲で含有することが好ましく、より好ましくは0.3〜0.4%の範囲である。
Siは、MnやFeと化合物を形成して晶出物を形成するために、深絞り性を向上させる元素である。しかしながら、Siが0.01%未満であると、その効果に乏しく、0.6%を超えると晶出物が多くなって逆に深絞り性が悪くなる。したがって、Siは、0.01〜0.6%の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3%の範囲である。
Feは、アルミニウム合金の強度を向上させる元素である。しかしながら、Feが0.01%未満であると、深絞り性や耐食性が低下する傾向にあり、0.7%を超えると強度が高くなり過ぎる。このため、Feは、0.01〜0.7%の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは0.1〜0.3%の範囲である。
Cuは、アルミニウム合金の強度を向上させる効果があるが、その含有量が0.01%未満であると、強度向上の効果に乏しく、0.3%を超えると強度が高くなりすぎたり、耐食性が低下する。
Znは結晶粒を微細化して成形性を向上させる効果があるが、その含有量が多過ぎると、アルミニウム合金の強度が高くなり過ぎてしまい、かえって成形性が悪くなるので、0.2%以下とすることにより、キャップ材としての機械的性質を維持しつつそのばらつきを抑制することができる。また、このZnを0.2%以下とすることにより、後述する引張強さと耐力との差が小さくなる。
Tiも、Znと同様に、結晶粒を微細化して成形性を向上させる効果があるが、その含有量が多過ぎると、アルミニウム合金の強度が高くなり過ぎてしまい、かえって成形性が悪くなるので、0.04%以下とする。また、このTiを0.04%以下とすることにより、引張強さと耐力との差が小さくなる。
Crは、耳率の低減に効果があるが、その含有量が多過ぎると、アルミニウム合金の強度が高くなり過ぎてしまい、かえって成形性が悪くなるので、0.03%以下とする。また、このCrを0.03%以下とすることにより、引張強さと耐力との差が小さくなる。
また、耐力を135〜165MPaとしたのは、135MPa未満ではキャップ成形時にしわが発生し易く、165MPaを超えるとキャップ成形時に割れが発生し易くなるからである。
また、伸びが6〜10%としたのは、キャップ成形性を良好にするためである。
なお、この機械的特性に関して、200℃で10分間の熱処理を条件としたのは、印刷工程における焼き付け条件(一般的には190℃で5〜10分間)より若干高い温度で熱処理することで、印刷後の機械的特性を安定させるためである。
溶湯からスラブを得た後、このスラブに熱間圧延加工、冷間圧延加工を複数回施し、これら圧延の前後に必要に応じて均質化処理と中間焼鈍を行い、中間焼鈍後に更に最終冷間圧延加工を施し、最終調質焼鈍を行う。
また、最終冷延率、及びこの最終冷間圧延後の最終調質焼鈍条件は、特に限定されるものではないが、最終冷延率を30〜70%、最終調質焼鈍温度を210〜270℃とすると、強度、成形性、開栓性のばらつきを抑えて、これらを適切に調整することができる。
先ず、表1に示す各組成成分を有するアルミニウム合金を溶製し、スラブに鋳造した。次に、560℃×4時間の均質化処理を行い、熱間圧延で板厚6mmとした。次に、冷間圧延、連続焼鈍炉での中間焼鈍を行いつつ、板厚が0.15〜0.2mmの範囲内となるまで圧延した。最後に210〜270℃の温度範囲内で適宜の温度を設定して保持時間が4時間の調質焼鈍を行った。このようにして、実施例として、成分組成、中間焼鈍温度の異なる試料1〜8のアルミニウム合金板を得た。また、比較例として、本発明の範囲から外れる成分組成、中間焼鈍温度のものについても作製し、試料9〜12とした。
開栓トルク及び逆転トルクは、各アルミニウム合金板を口径が33mmのガラス瓶用のキャップに成形し、瓶の口部に巻き締めた後に測定した。開栓トルクは、キャップを正回転(反時計回り)して、1本目のブリッジが切れる際のトルク(2ndトルク)であり、逆転トルクは、キャップを逆回転(時計回り)して、キャップが空回りするまでの最大トルクである。その開栓トルク(2ndトルク)は、90Ncm未満を◎、90Ncm以上100Ncm未満を○、100Ncm以上110Ncm未満を△、110Ncm以上を×とした。一方、逆転トルクは195Ncm以上を◎、175Ncm以上195Ncm未満を○、165Ncm以上175Ncm未満を△、165Ncm未満を×とした。
これらの測定結果を表2に示す。
これに対して、比較例(試料9〜12)は、引張強さと耐力との差が大きく、開栓トルクが大きいものや、逆転トルクが小さいものとなっている。
Claims (2)
- 質量%で、Mn:0.3〜0.6%、Mg:0.2〜0.5%、Si:0.01〜0.6%、Fe:0.01〜0.7%、Cu:0.01〜0.3%、Zn:0.2%以下、Ti:0.04%以下、Cr:0.03%以下を含有し、残部がAl及び不可避不純物からなる組成を有し、
板厚が0.15〜0.20mmであり、200℃で10分間熱処理した後の引張強さが160〜190MPa、耐力が135〜165MPa、引張強さと耐力との差が5〜25MPaであり、伸びが6〜10%であることを特徴とする瓶キャップ用アルミニウム合金板。 - 請求項1に記載の瓶キャップ用アルミニウム合金板を製造する方法であって、
スラブに熱間圧延、複数回の冷間圧延を行った後に調質焼鈍処理を行うとともに、最終冷間圧延の前に、400〜480℃の温度で中間焼鈍を行うことを特徴とする瓶キャップ用アルミニウム合金板の製造方法。
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