JP2012188703A - 樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Mnの含有量をできるだけ低減させたアルミニウム合金を用いるとともに、成形性に優れ、且つ製造時の省エネルギー化・環境負荷軽減を図ることができる樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】270℃×20秒のベーキング処理後の耐力が225〜270N/mmである樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板であって、Si:0.10〜0.40質量%、Fe:0.35〜0.80質量%、Cu:0.10〜0.35質量%、Mn:0.20〜0.80質量%、Mg:1.5〜2.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記Feに対する前記Siの含有量の比(Si/Fe)が0.75以下であり、断面の板厚方向中心部において、最大長が1μm以上のMgSi金属間化合物の面積率が0.10%以上であることを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、飲料、食品用途に使用される包装容器であって、特に表面に樹脂フィルムを被覆させてから缶の胴部に成形加工されるアルミニウム合金板とその製造方法に関する。
DI缶やボトル缶(以下、DI缶およびボトル缶を総称する場合はアルミ缶という)において、側壁の二次加工性やフランジ成形性、カール成形性(ボトル缶の口部の成形性)を向上させるには、製缶・熱処理後の側壁部、ネック部の延性を向上させることが有効であり、アルミニウム合金中のMn含有量を一定量以下に抑える(転位を強く固着して亜結晶粒化を妨げる微細析出物を減少させる)ことが有効であることが知られている。一方で、Mnは、しごき加工性の向上や缶強度維持といった効果を発揮する必須の元素であると考えられており、通常、0.5質量%以上添加され、0.8質量%以上添加されているものも多く存在する。そのため、上記二次加工性やフランジ成形性、カール成形性の向上にも一定の限界があり、アルミ缶の薄肉軽量化を阻害する要因の一つとなっている。
また、アルミ缶を製造するためのアルミニウム合金板は、優れた成形性や低耳率を得るために、熱間圧延板で完全再結晶組織を得る必要がある。そのために、アルミニウム合金板の製造方法として、次のような方法が常法として採用されている。
詳細には、鋳塊に600℃前後の高温の均質化熱処理を施したのち、冷却、そして再加熱(2回均熱)を行うことにより、固溶Mn量を一定値以下に抑え、且つ、微細析出物の生成を抑制して(析出物を成長・粗大化させ)、熱間仕上げ圧延時の巻取り温度で完全再結晶組織が得られるように製造条件をコントロールするという方法である。なお、前記の2回均熱に代えて、600℃前後の高温の均質化熱処理を施したのち、所定速度で500℃前後まで冷却し、その後、熱間圧延を行うという方法(2段均熱)も存在する。
前記のようなMn量が添加されたアルミニウム合金を用いて、前記のような常法によりアルミ缶用のアルミニウム合金板を製造する技術については、例えば、特許文献1〜4等に開示されている。
特開2000−219929号公報(段落番号0018〜0020) 特開2007−204793号公報(段落番号0030) 特開2004−244701号公報(段落番号0037〜0038) 特開2003−342657号公報(段落番号0054〜0062)
前述のように、アルミ缶の成形性を向上させるためにはMnの含有量を少なくする必要がある。また、Mnは将来的に資源枯渇が懸念されている金属であり、こうした観点からも、Mnの含有量をできるだけ低減させたアルミ缶用のアルミニウム合金板を創出する必要がある。更に、近年の省エネルギー化・環境負荷軽減の観点から、鋳塊に均質化熱処理(均熱処理)を施す際の熱処理温度はできるかぎり低温化させることが好ましく、この観点に沿った技術の確立も望まれている。
しかしながら、特許文献1〜4に開示された技術では、前記のような要望に応えることはできなかった。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、Mnの含有量をできるだけ低減させたアルミニウム合金を用いるとともに、成形性に優れ、且つ、製造時の省エネルギー化・環境負荷軽減を図ることができる樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、以下の事項について検討を行った。
近年、製缶工程における環境負荷軽減策として、クーラント(潤滑・冷却材)を使用せずに成形可能な「樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたドライ成形技術」が広く採用されるようになっている。当該技術は、当初、3ピースタイプのボトル缶への適用のみであったが、現在では2ピースタイプのDI缶への適用も徐々に進んできている。
この「樹脂被覆アルミニウム合金板を用いたドライ成形技術」では、しごきダイスとアルミニウム合金板の間に樹脂フィルムが存在するため、アルミニウム合金板表面のAl−Fe−Mn系金属間化合物の分布状況はしごき加工性に殆ど影響しない。したがって、Al−Fe−Mn系金属間化合物の形成に必須の元素であるMnの含有量を0.8質量%以下に制限しても連続的なしごき加工が可能であることを本発明者らは見出した。
また、Mn含有量の低減は、熱間圧延時の再結晶を促進させる効果があり、更にMg、Feの含有量を増加させることにより、一層再結晶組織が得られやすくなる。これらの成分を適切に組み合わせることで、均熱処理を施す際の熱処理温度を従来よりも大幅に低下させても、缶胴材(キャンボディ材)として十分に満足できる性能を有するアルミニウム合金板を製造できることを本発明者らは見出した。
加えて、Mg含有量の増加は強度向上にも寄与するため、Mn含有量の低減による強度低下を十分に補うことができ、アルミ缶の剛性も確保できることもわかった。
さらに、Mg含有量の大幅増加による過度の強度向上は成形性の低下という問題を生じさせてしまうが、均熱条件を適切に規定することで、MgSi金属間化合物を積極的に形成させ、成形性の低下という問題を回避できることもわかった。
以上の事項に基づき、本発明を創出した。
すなわち、前記課題を解決するために、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、270℃×20秒のベーキング処理後の耐力が225〜270N/mmである樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板であって、Si:0.10〜0.40質量%、Fe:0.35〜0.80質量%、Cu:0.10〜0.35質量%、Mn:0.20〜0.80質量%、Mg:1.5〜2.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、前記Feに対する前記Siの含有量の比(Si/Fe)が0.75以下であり、断面の板厚方向中心部において、最大長が1μm以上のMgSi金属間化合物の面積率が0.10%以上であることを特徴とする。
このように、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、Mn含有量を0.8質量%以下に制限しているため、熱間圧延時の再結晶を促進させることができる。そして、Mg含有量を1.5質量%以上、Fe含有量を0.35質量%以上と規定していることから、さらに再結晶組織が形成しやすくなる。したがって、均熱処理を施す際の熱処理温度を従来よりも大幅に低下させるとともに熱処理を1回に制限しても、缶胴材(キャンボディ材)として十分に満足できる性能(成形性、耐圧性等)を有したアルミニウム合金板とすることができる。
また、MgSi金属間化合物の面積率が0.10%以上であることから、固溶Mg量の大幅増加による成形性の低下も発生しない。
なお、Mn含有量が0.8質量%以下に制限されていることから、Al−Fe−Mn系金属間化合物がアルミニウム合金板表面に十分に形成されない場合も考えられる。しかし、アルミニウム合金板には樹脂が被覆されているため、製缶工程におけるしごき加工時において当該樹脂が潤滑材の役割を果たすことにより、焼付き等の問題は回避することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、さらに、Cr:0.10質量%以下、Zn:0.40質量%以下、Ti:0.10質量%以下のうち1種以上を含有することが好ましい。
このように、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、Cr、Znを所定量含有させることができるため、アルミニウム合金へのスクラップ配合率を向上させることができ、その結果、樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板のコストダウンを図ることができる。また、Tiを所定量含有させることにより、材料特性に影響を及ぼすことなく結晶粒を微細化することができ、その結果、樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の成形性を向上させることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、前記成分のアルミニウム合金を、溶解、鋳造して鋳塊とする鋳造工程と、前記鋳塊を、到達温度450〜530℃で1回の熱処理を行うことにより均質化する均熱処理工程と、均質化した前記鋳塊を、冷却することなく熱間圧延して熱間圧延板とする熱間圧延工程と、前記熱間圧延板を、焼鈍することなく、冷間圧延する冷間圧延工程と、を含み、前記熱間圧延工程は、終了温度が300〜380℃であり、前記冷間圧延工程は、総圧延率80〜90%であることを特徴とする。
このように、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、均熱処理工程における熱処理の温度が450〜530℃であることから、従来から行われてきた常法(2回均熱、2段均熱)と比較し、大幅に温度を下げることができる。さらに、常法とは異なり、均熱処理工程における熱処理は1回でよい。したがって、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法によると、製造時の省エネルギー化・環境負荷軽減を図ることができる。
また、均熱条件を前記のように規定することで、MgSi金属間化合物を積極的に形成させ、固溶Mg量の大幅増加による成形性の低下という問題を回避することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法の前記冷間圧延工程の冷間圧延は、タンデム方式の圧延機を用いて行うことが好ましい。
タンデム方式の圧延機を用いることで、シングル方式の圧延機と比較して、1回の通板における圧延率を高くすることができる。これにより、1回の通板における発熱量が安定して高くなり、コイルハンドリング時間の短縮、生産歩留まりの向上、エネルギー消費の減少等を図ることができる。そのため、冷間圧延を効率的、経済的に行うことができ、アルミニウム合金板の生産性が向上する。
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板によれば、Mn含有量を0.8質量%以下に制限しても、他の成分との組み合わせにより缶胴材(キャンボディ材)として十分に満足できる性能を発揮させることができる。よって、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板によれば、Mnの含有量を低減させることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板によれば、各成分を所定量に規定していることから、均熱処理工程における熱処理の温度を従来よりも大幅に低下させるとともに熱処理を1回に制限することができる。したがって、製造時の省エネルギー化・環境負荷軽減を図ることができる。さらに、各成分を所定量に規定していることから、MgSi金属間化合物を積極的に形成させ、アルミ缶の成形性を向上させることができる。
そして、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法によれば、均熱処理工程における熱処理の温度を従来よりも大幅に低下させるとともに熱処理を1回に制限していることから、製造時の省エネルギー化・環境負荷軽減を図ることができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法によれば、MgSi金属間化合物を積極的に形成させ、アルミ缶の成形性を向上させることができる。
さらに、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板およびその製造方法は、均熱処理工程における熱処理が1回でよいことから当該工程を短縮化することができ、樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の生産性を向上させることができる。
従来の一例のボトル缶(2ピースボトル缶または3ピースボトル缶)を模式的に示す斜視図である。 従来の一例のDI缶を模式的に示す斜視図である。 (a)は、ボトル缶(3ピースボトル缶)の製造方法を示す模式図、(b)は、DI缶の製造方法を示す模式図である。 (a)、(b)は缶胴のフランジ成形性の評価方法を模式的に説明する断面図である。
以下、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板(以下、適宜、アルミニウム合金板という)およびその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板とは、表面(片面または両面)に樹脂からなる保護層を被覆して缶胴に成形する缶胴用のアルミニウム合金板のことである。
≪樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板≫
アルミニウム合金板は、ベーキング処理後の耐力が所定値以上であって、Si、Fe、Cu、Mn、Mgを所定量含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、さらに、前記Siと前記Feとの比(Si/Fe)を所定値以下に、MgSi金属間化合物の面積率を所定量以上に規制したものである。
以下、アルミニウム合金板の成分の限定理由およびアルミニウム合金板の特性について説明する。
<Si:0.10〜0.40質量%>
Siは、熱間圧延時の再結晶挙動および集合組織に影響を及ぼす元素である。また、MgSi金属間化合物を形成することで強度を低下させ、成形性にも寄与する。
Siの含有量が0.10質量%未満では、0−180°耳が高くなり、しごき加工時の耳切れの発生、ひいてはティアオフ(缶胴割れ)が生じやすい。また、MgSi金属間化合物の形成が不足し、強度過大によりフランジ割れも生じやすくなる。一方、Siの含有量が0.40質量%を超えると、ホットコイルで再結晶しにくくなるため、加工組織(未再結晶部)の残存により加工性が低下し、ティアオフが生じやすい。
したがって、Siの含有量は、0.10〜0.40質量%とする。
<Fe:0.35〜0.80質量%>
Feは、熱間圧延時の再結晶挙動および集合組織に影響を及ぼす元素である。
Feの含有量が0.35質量%未満では、ホットコイルで再結晶しにくくなるため、加工組織の残存により加工性が低下し、ティアオフが生じやすい。一方、Feの含有量が0.80質量%を超えると、Al−Fe−Mn系金属間化合物が多く形成されてしまい、DI缶のフランジ成形時にクラック(フランジ割れ)が発生しやすくなる。
したがって、Feの含有量は、0.35〜0.80質量%とする。
<Cu:0.10〜0.35質量%>
Cuは、アルミニウム合金板の強度に寄与する元素である。
Cuの含有量が0.10質量%未満では、強度が不足し、ボトル缶の首部座屈強度不足や、DI缶の耐圧強度が不足する。一方、Cuの含有量が0.35質量%を超えると、ホットコイルで再結晶しにくくなるため、加工組織の残存により加工性が低下し、ティアオフが生じやすい。また、強度過大によりフランジ割れも発生しやすくなる。
したがって、Cuの含有量は、0.10〜0.35質量%とする。
<Mn:0.20〜0.80質量%>
Mnは、アルミニウム合金板の強度に寄与するとともに、熱間圧延時の再結晶挙動および集合組織に影響を及ぼす元素である。
Mnの含有量が0.20質量%未満では、強度が不足し、ボトル缶の首部座屈強度不足や、DI缶の耐圧強度が不足する。一方、Mnの含有量が0.80質量%を超えると、ホットコイルで再結晶しにくくなるため、加工組織の残存により加工性が低下し、ティアオフが生じやすい。また、Al−Fe−Mn系金属間化合物が多く形成されてしまい、DI缶のフランジ成形時にクラックが発生しやすくなる。
したがって、Mnの含有量は、0.20〜0.80質量%とする。
<Mg:1.5〜2.5質量%>
Mgは、アルミニウム合金板の強度に寄与する元素である。
Mgの含有量が1.5質量%未満では、強度が不足し、ボトル缶の首部座屈強度不足や、DI缶の耐圧強度が不足する。一方、Mgの含有量が2.5質量%を超えると、熱間圧延時に表面が焼き付きやすく、製缶したときに缶壁部にフローマークによる外観不良が生じやすい。また、強度が上がりすぎ、ティアオフやフランジ割れが生じやすい。
したがって、Mgの含有量は、1.5〜2.5質量%とする。
<残部:Alおよび不可避的不純物>
アルミニウム合金板の成分は、前記の他、残部がAlおよび不可避的不純物からなるものである。なお、不可避的不純物として、例えば、Zr:0.10質量%以下、B:0.05質量%以下の含有は本発明の効果を妨げるものではなく、このような不可避的不純物の含有は許容される。
ここで、Si、Feについては、アルミニウム合金中に含有される総量のみならず、Feに対するSiの含有量の比(Si/Fe)についても所定値以下に規制する。
<Si/Fe:0.75以下>
Feに対するSiの含有量の比(Si/Fe)は0.75を超えると、ホットコイルで再結晶しにくくなり、加工組織の残存により加工性が低下し、ティアオフが生じやすい。
したがって、Feに対するSiの含有量の比(Si/Fe)は、0.75以下とする。
<MgSi金属間化合物の面積率:0.10%以上>
アルミニウム合金板は、断面の板厚方向中心部において、最大長が1μm以上のMgSi金属間化合物の面積率が0.10%以上となる。なお、断面の板厚方向中心部とは、具体的には、板厚方向(0.3〜0.7)×tの部位(t:板厚)を指す。
面積率が0.10%未満では、材料強度が高くなりすぎ、しごき加工時にティアオフが発生しやすく、また、フランジ成形時に割れが生じやすい。
したがって、MgSi金属間化合物の面積率を0.10%以上とする。
そして、MgSi金属間化合物の面積率は、前記Mg、Siの含有量により制御することができる。また、後記の均熱処理工程の処理条件(温度範囲、処理回数)を適性化することにより制御することができる。
MgSi金属間化合物の検出手段には、走査型電子顕微鏡(SEM)の適用が一例として挙げられる。MgSi金属間化合物はSEMの組成(COMPO)像において母相とのコントラストで識別でき、Al−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系金属間化合物はAl母相より白く写り、MgSi金属間化合物はAl母相より黒く写る。アルミニウム合金板の断面の板厚方向中心部におけるMgSi金属間化合物においては、アルミニウム合金板を切り出して、圧延方向と板厚方向を含む切断面を研磨して鏡面に仕上げて観察面とし、板厚方向(0.3〜0.7)×tの部位(t:板厚)を観察する。この領域から好ましくは複数の視野を合計1mm以上観察、撮影し、画像処理装置等を用いてMgSi金属間化合物についての面積率を測定する。
<ベーキング処理後の耐力:225〜270N/mm
樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、当該アルミニウム合金板に対して印刷・塗装後の焼付けを想定した条件である「270℃、20秒間」という熱処理を施した後の耐力(0.2%耐力)が重要な指標となる。
なお、当該耐力は、前記Cu、Mn、Mgの含有量、後記の均熱処理工程の処理条件(温度範囲、処理回数)の適性化、および後記の冷間圧延率により制御することができる。
アルミニウム合金板に270℃で20秒間の熱処理を施した後の耐力が225N/mm以上であることにより、樹脂被覆缶胴用としての缶強度等の缶特性を満足することができる。なお、270N/mmを超えると、成形時に高い加工力が必要となるため、成形性が低下する。
したがって、270℃×20秒のベーキング処理後の耐力は、225〜270N/mmとする。
アルミニウム合金板は、さらに任意成分として、Cr、Ti、Znのうち1種以上を所定量含有してもよい。
<Cr:0.10質量%以下>
板表面に樹脂被覆を施した後に缶を成形するタイプのアルミニウム合金板は、樹脂被覆の前処理として、樹脂の密着性向上のために板にリン酸クロメート処理を行う。したがって、Crの含有量は樹脂被覆を施さないものと比べて必然的に多くなる。ここで、Crの添加を許容することで、これら樹脂被覆タイプのアルミニウム合金板を製缶する際に発生する屑の使用量を増やすことができる。一方、Crの含有量が0.10質量%を超えると、ホットコイルで再結晶しにくくなるため、加工組織の残存により加工性が低下し、ティアオフが生じやすい。
したがって、Crの含有量は、0.10質量%以下とする。
<Ti:0.10質量%以下>
Tiは、鋳塊組織の微細化に寄与する元素である。Tiを添加することにより鋳造時に鋳塊組織を微細化すると、鋳造性が向上して高速鋳造が可能となる。その効果は0.01質量%以上の添加により得られる。但し、0.10質量%を超える量を添加すると、フィルターの目詰まりが早くなるため、鋳造中に次第に溶湯がフィルターを通過しにくくなり、ついには鋳造を中止せざるを得なくなる。
したがって、Tiの含有量は、0.10質量%以下とする。
なお、Tiを添加する場合には、Ti:B = 5:1の割合とした鋳塊微細化剤(Al−Ti−B)を、ワッフルあるいはロッドの形態で鋳造前の溶湯に添加するため、含有割合に応じたBも必然的に添加される。
<Zn:0.40質量%以下>
Znは、不純物と判断される元素である。Znの含有量が0.40質量%以下であれば、材料特性、缶特性に影響を及ぼさない。なお、原料中へのスクラップ配合率の向上(たとえば熱交換器用クラッド材のスクラップ使用量の向上)、ひいてはコストダウンのために、Znの積極添加は有効である。
したがって、Znの含有量は、0.40質量%以下とする。
次に、本発明に係る包装容器用アルミニウム合金板の製造方法について説明する。
≪樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法≫
樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法は、鋳造工程、均熱処理工程、熱間圧延工程および冷間圧延工程を含むものである。
以下、各工程について説明する。
<鋳造工程>
鋳造工程は、前記組成を有するアルミニウム合金を溶解、鋳造して鋳塊を作製する工程である。
アルミニウム合金を溶解、鋳造する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いればよい。例えば、真空誘導炉を用いて溶解し、連続鋳造法や、半連続鋳造法を用いて鋳造することができる。
<均熱処理工程>
均熱処理工程は、鋳造工程で作製された鋳塊を均質化熱処理する工程である。
ここで、均熱処理工程においては、到達温度450〜530℃で1回の熱処理を行う。到達温度が450℃未満では、熱間仕上げ圧延時の巻取り温度が不十分となるので、ホットコイルで再結晶しない。また、圧延自体が困難となる。一方、到達温度が530℃を超えると、MgSi金属間化合物の形成量が少なくなるため、材料強度が高くなり、成形性が低下する。
なお、前記の低い熱処理温度で、且つ、1回のみの熱処理であっても、前記組成を有するアルミニウム合金を用いることにより、缶胴材(キャンボディ材)として十分満足できる性能を発揮させることができる。
また、均熱処理における保持時間(450℃以上になってから450℃未満となるまでの時間)は、2時間以上であることが好ましい。
保持時間が2時間未満であると、十分な均質化が得られないからである。
<熱間圧延工程>
熱間圧延工程は、均熱処理工程で均質化熱処理された鋳塊を冷却することなく熱間圧延して圧延板を作製する工程である。
ここで、熱間圧延工程においては、終了温度を300〜380℃とする条件で熱間圧延を行う。終了温度が300℃未満では、ホットコイルで再結晶せず、加工組織の残存により冷間圧延した後の製品板の45°耳が高く、しごき加工時のティアオフが生じやすい。一方、終了温度が380℃を超えると、板表面の酸化皮膜増大・焼き付き発生により、缶の表面品質を低下させ商品価値がなくなる。
なお、熱間圧延する方法は、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いればよい。
<冷間圧延工程>
冷間圧延工程は、熱間圧延工程で作製された圧延板を冷間圧延してアルミニウム合金板を作製する工程である。
ここで、冷間圧延工程においては、総圧延率を80〜90%とする条件で冷間圧延を行う。総圧延率が80%未満では強度不足となってしまう。一方、総圧延率が90%を超えると強度過大および45°耳の増加を招いてしまう。なお、この45°耳の増加は、しごき加工時のティアオフの多発につながってしまう。
冷間圧延工程においては、冷間圧延間の焼鈍(中間焼鈍)は行わない。焼鈍を行うと、成形時の加工硬化が大きくなり、ネック成形時のシワの発生等によりネック成形性が劣化するためであり、また、工程が増えることで、コストアップになるためである。
冷間圧延工程における冷間圧延は、タンデム方式の圧延機(タンデム圧延機)で行うのが好ましい。タンデム方式の圧延機を用いることで、シングル方式の圧延機と比較して、1回の通板における圧延率を高くすることができる。これにより、1回の通板における発熱量が安定して高くなり、コイルハンドリング時間の短縮、生産歩留まりの向上、エネルギー消費の減少等を図ることができる。そのため、冷間圧延を効率的、経済的に行うことができ、アルミニウム合金板の生産性が向上する。
以上説明した本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板は、図1に示すような従来の一例のボトル缶1(2ピースボトル缶または3ピースボトル缶)や、図2に示すような従来の一例のDI缶11等に好適に用いることができる。
なお、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板をラミネート材(樹脂が被覆したアルミニウム合金板)とする場合には、従来公知のラミネート材に適用されている各種の樹脂フィルムを、当該樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の表面に接着剤等を介して貼り合わせた後、その樹脂フィルムの融点以上で熱処理を施せばよい。
本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を用いたラミネート材Aを、図1に示すような従来の一般的なボトル缶1(ここでは、3ピースボトル缶を例に説明する)に適用する場合には、例えば、図3(a)に示すように、ラミネート材Aに対し、カップ成形やDI成形等の缶体成形を施して有底円筒状の缶(胴体部2)を形成する。続いて、この有底円筒状の缶(胴体部2)の底部にネッキング加工を施してネック部3を形成する。そして、印刷・焼付けを施し、ネック部3に開口部4を開口した後、キャップ取り付け用のネジ切り加工を施してネジ部5を設ける。また、これに対向する開口部には、ボトムネックイン加工とフランジ加工を施した後、シーマによって別途成形した底蓋を巻き締めて底部6を形成することで、3ピースボトル缶1を製造することができる。
また、本発明に係る樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板を用いたラミネート材Aを、図2に示すような従来の一般的なDI缶11に適用する場合には、例えば、図3(b)に示すように、ラミネート材Aに対し、カップ成形やDI成形等の缶体成形を施して有底円筒状の缶(胴体部12)を形成する。続いて、この有底円筒状の缶(胴体部12)にネッキング加工を施してネック部13を形成する。そして、印刷・焼付けを施し、ネック部13のエンド部に開口部14を形成するが、このときに、開口部14の口径が胴体部12の径に比べて小さくなるように加工することで、DI缶11を製造することができる。
次に、本発明に係る包装容器用アルミニウム合金板について、本発明の要件を満たす実施例と本発明の要件を満たさない比較例とを比較して具体的に説明する。
≪アルミニウム合金板の作製≫
表1の実施例1〜12および比較例1〜20に示すような合金組成を備えたアルミニウム合金を溶解し、半連続鋳造法により厚さ600mmの鋳塊を作製した。
次に、この鋳塊を面削し、その後均熱処理、続いて熱間粗圧延、熱間仕上げ圧延を行い、ホットコイル(熱間圧延板)を製造した。更に、このホットコイルに冷間圧延を施し、アルミ缶用のアルミニウム合金板(板厚0.300mm)とした。
なお、均熱処理、熱間圧延(熱間粗圧延、熱間仕上げ圧延)および冷間圧延における各条件については、表1に示すとおりである。
<アルミニウム合金板の特性>
次に、このようにして製造されたアルミニウム合金板の特性として、製造後(すなわち、冷間圧延後)における270℃×20秒のベーキング処理(熱処理)後の0.2%耐力を以下の測定方法により求めた。
270℃で20秒のベーキング処理を施したアルミニウム合金板からJIS5号試験片を採取し、この試験片を用いて、JISZ2241に準拠して引張試験を行い、ベーキング処理後の0.2%耐力を測定した。
<MgSi金属間化合物の面積率>
また、MgSi金属間化合物の面積率を以下の測定方法により求めた。
アルミニウム合金板を切り出して樹脂埋めし、圧延方向と板厚方向を含む面を観察面となるように研磨して鏡面とし、この鏡面化された面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて、加速電圧15KV、倍率500倍の組成(COMPO)像で20視野観察した。観察視野は、板厚方向(0.3〜0.7)×tの部位(t:板厚)とした。母相より白く写る部分をAl−Fe−Mn−Si系金属間化合物またはAl−Fe−Mn系金属間化合物と見なし、母相より黒く写る部分をMgSi系金属間化合物と見なして、画像処理により最大長が1μm以上の金属間化合物の面積の合計を求め、面積率を算出した。
≪DI缶の缶胴の作製≫
アルミニウム合金板にリン酸クロメート処理を施し、両面に厚さ16μmのポリエチレンテレフタラート樹脂フィルムをラミネートした。この板に絞り成形(カップ成形)、その後DI成形(しごき成形)を行い、開口部をトリミングして外径66mm、高さ124mm、側壁厚さ0.1mm(フィルムを含まない)の有底筒形状の缶胴とした。そして、印刷・塗装後の焼付けを想定した270℃×20秒の熱処理を行って供試材とした。
≪DI缶成形評価≫
<しごき加工性>
各供試材について10000缶ずつブランク径140mm、カップ径90mmのカップ成形を行ったのち、第3しごき時のしごき加工率を40%としてDI成形を行い、そのときのティアオフ(缶胴割れ)発生数が4缶以下であれば「良好:○」、5缶以上発生した場合を「不良:×」と判断した。
<フランジ成形性評価>
前記缶胴20缶について開口部に4段のネック成形を施して、開口部の内径を57.3mmとした。この缶胴を、図4(a)に示すように缶底を固定して、開口部から拡缶治具を挿入して缶底へ向けて押し込むことにより開口部の縁を外側に拡げた。治具の挿入部分の径および立ち上がりのR(図4のD,R)はそれぞれ57.3mm、3.0mmであり、缶胴との接触部には潤滑剤(Castrol製水溶性塑性加工油剤No.700)を塗布した。缶胴に開口部の端部が破断するまで治具を押し込み、拡缶率(((拡缶後の開口部直径/拡缶前の開口部直径)−1)×100%)を測定した。
平均拡缶率が12%以上であれば「良好:○」、12%未満であれば「不良:×」と判断した。
<耐圧強度評価>
前記缶胴20缶について水圧式耐圧強度測定器にて内圧をかけていき、バックリングしたときの内圧の最大値を耐圧強度として評価した。その値(平均値)が647kPa以上(6.6kg/cm以上)の場合を「良好」とし、647kPa未満(6.6kg/cm未満)のものを「不良」と判断した。
<フローマーク評価>
前記缶胴20缶の側壁部を目視観察し、すべての缶についてループ状の黒い線(フローマーク)が1本以下であれば「良好:○」とし、2本以上認められる缶が1缶でもあれば「不良:×」とした。
アルミニウム合金板の組成、製造条件、および各試験結果を表1に示す。なお、表1において、本発明の構成を満たさないもの、および耐圧強度評価において不良と判断したものについては、数値に下線を引いて示す。
Figure 2012188703
表1に示すように、実施例1〜12は、いずれも、本発明で規制した条件を満足しているので、しごき加工性、フランジ成形性評価、耐圧強度評価、およびフローマーク評価のいずれにおいても良好であった。
一方、比較例1〜20は、本発明の要件のうちのいずれかを満たしていないので、以下のような好ましくない結果が得られた。
以下に、比較例の試験結果について説明する。
比較例1は、Siの含有量が下限値未満のため、0−180°耳が増大し、且つ、MgSi金属間化合物の面積率が下限値未満のため、しごき加工性およびフランジ成形性が不良であった。比較例2は、Siの含有量が上限値を超えるため、ホットコイルで再結晶せず、加工組織の残存によりしごき加工性が不良であった。
比較例3は、Feの含有量が下限値未満のため、ホットコイルで再結晶せず、加工組織の残存によりしごき加工性が不良であった。
比較例4は、Feの含有量が上限値を超えるため、Al−Fe−Mn系金属間化合物のサイズ、量ともに過度に増え、フランジ成形性が不良であった。
比較例5は、Cuの含有量が下限値未満のため、缶強度が不足し、耐圧強度が不良であった。比較例6は、Cuの含有量が上限値を超えるため、ホットコイルで再結晶せず、加工組織の残存によりしごき加工性が不良であった。また、強度過大によりフランジ成形性も不良であった。
比較例7は、Mnの含有量が下限値未満のため、缶強度が不足し、耐圧強度が不良であった。比較例8は、Mnの含有量が上限値を超えるため、ホットコイルで再結晶せず、加工組織の残存によりしごき加工性が不良であった。
比較例9は、Mgの含有量が下限値未満のため、缶強度が不足し、耐圧強度が不良であった。比較例10は、Mgの含有量が上限値を超えるため、熱間圧延時に表面が焼き付き、フローマークが不良であった。加えて、強度過大によりしごき加工性およびフランジ成形性が不良であった。
比較例11は、Si/Feが所定値を超えるため、ホットコイルで再結晶せず、加工組織の残存によりしごき加工性が不良であった。
比較例12は、Crが上限値を超えるため、ホットコイルで再結晶せず、未再結晶残存によりしごき加工性が不良であった。比較例13は、Tiが上限値を超えるため、フィルターの目詰まりにより鋳造中に溶湯がフィルターを通過しなくなり、鋳造を中止せざるを得なくなった。
比較例14は、均熱処理の温度が下限値未満のため、熱間圧延を行うことができなかった。比較例15は、均熱処理の温度が上限値を超えるとともに、MgSi金属間化合物の面積率が下限値未満のため、強度過大によりしごき加工性およびフランジ成形性が不良であった。
比較例16は、熱間圧延終了温度が下限値未満であり、ホットコイルで加工組織(未再結晶)が残存していた。これにより、缶の成形性が低下することが明らかだったので、冷間圧延以降の工程へは進行しなかった。比較例17は、熱間圧延終了温度が上限値を超えており、ホットコイル表面の焼付きが顕著であった。これにより、缶の表面品質が低下する(=缶の商品価値がなくなる)ことが明らかだったので、冷間圧延以降の工程へは進行しなかった。
比較例18は、冷間圧延率が下限値未満のため、強度不足となり、耐圧強度が不良となった。比較例19は、冷間圧延率が上限値を超えるため、45°耳の増加および強度過大により、しごき加工性およびフランジ成形性が不良であった。
比較例20は、Mnの含有量が所定値を超えるとともに、Mgの含有量が所定値未満であった。その結果、ホットコイルで再結晶していなかったため、冷間圧延以降の工程へは進行しなかった。
なお、比較例20のアルミニウム合金板は、特許文献1に記載(合金A)された従来のアルミニウム合金板を想定したものである。本実施例で示すように、従来のアルミニウム合金板は、均熱処理工程における熱処理の温度を従来よりも低下させるとともに熱処理を1回に制限してしまうと、そもそもホットコイルの時点で満足な材料組織とならない。そのため、缶の評価を行うまでもなく、本発明に係るアルミニウム合金板が従来のアルミニウム合金板と比較して、優れていることが明らかとなった。
以上、本発明について実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することが可能であることはいうまでもない。
1 ボトル缶(2ピースボトル缶または3ピースボトル缶)
2、12 胴体部
3、13 ネック部
4、14 開口部
5 ネジ部
6 底部
11 DI缶
15 フランジ部
A ラミネート材

Claims (4)

  1. 270℃×20秒のベーキング処理後の耐力が225〜270N/mmである樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板であって、
    Si:0.10〜0.40質量%、Fe:0.35〜0.80質量%、Cu:0.10〜0.35質量%、Mn:0.20〜0.80質量%、Mg:1.5〜2.5質量%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなり、
    前記Feに対する前記Siの含有量の比(Si/Fe)が0.75以下であり、
    断面の板厚方向中心部において、最大長が1μm以上のMgSi金属間化合物の面積率が0.10%以上であることを特徴とする樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板。
  2. さらに、Cr:0.10質量%以下、Zn:0.40質量%以下、Ti:0.10質量%以下のうち1種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板。
  3. 請求項1または請求項2に記載の成分を含有するアルミニウム合金を、溶解、鋳造して鋳塊とする鋳造工程と、
    前記鋳塊を、到達温度450〜530℃で1回の熱処理を行うことにより均質化する均熱処理工程と、
    均質化した前記鋳塊を、冷却することなく熱間圧延して熱間圧延板とする熱間圧延工程と、
    前記熱間圧延板を、焼鈍することなく、冷間圧延する冷間圧延工程と、を含み、
    前記熱間圧延工程は、終了温度が300〜380℃であり、
    前記冷間圧延工程は、総圧延率80〜90%であることを特徴とする樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 前記冷間圧延工程の冷間圧延は、タンデム方式の圧延機を用いて行うことを特徴とする請求項3に記載の樹脂被覆缶胴用アルミニウム合金板の製造方法。
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