JP2006299330A - ボトル缶胴用アルミニウム合金板 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも薄肉軽量化が可能で、かつ、ボトル缶のネック加工およびネジ加工に優れたアルミニウム合金板を提供すること。
【解決手段】質量比において、Si:0.25〜0.40%、Fe:0.35〜0.50%、Cu:0.15〜0.25%、Mn:0.8〜1.3%、Mg:0.93〜1.2%、Zn:≦0.25%を含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなる組成を有し、ブランク径が55mm、絞り比が1.67という条件で絞った成形カップにおける45°耳率が2.5%以上、5%以下であると共に、(0−180°耳高さの平均値)≦(45°耳高さの平均値)であり、210℃の温度に10分間保持するベーキング処理後の耐力が245MPa以上である。結晶粒の圧延方向直角方向の幅寸法の平均が25μm超え、100μm以下の範囲にあることが好ましい。
【選択図】図4

Description

本発明は、絞り、しごき加工で成形されるリシール機能のついたボトル缶胴用アルミニウム合金板に関する。
アルミ缶としては、従来から2ピース(蓋と胴)からなる2ピースアルミ缶が用いられてきた。この2ピースアルミ缶の胴部(以下、2ピースアルミ缶胴と称す)を製造するに当たっては、図1に示すように、素材となるアルミ缶胴用アルミニウム合金板(板材S0)に対し、ブランキング工程S11を施してブランク材を打ち抜くと共に、カッピング工程S12を施して大径のカップに成形する。次に、カップ絞り(DRAWING)としごき(IRONING)を組み合わせたDI成形工程S13を施して、細長い円筒状カップを作製する。その後、開口部のトリミングを行うトリミング工程S14および内・外面の塗装・印刷を行い、さらに開口部のネック加工を行うネッキング工程S15と、蓋部と嵌合させるためのフランジ部を形成するフランジング工程S16を施して2ピースアルミ缶胴が完成する。
一方、最近においては、缶デザインの多様化により、従来の2ピースアルミ缶とは異なる、ボトル形状の缶が誕生した。現在のところ、非特許文献1に示すように、ボトル形状には、口部がペットボトルと同サイズの「ニューボトル缶」と、口部が比較的大きい「ボトル缶」の2種類がある。両者共通の特徴はボトル形状とするための大きなネック部と、ネジキャップによるリシール性を得るためのネジ部とを有する点にある。
ニューボトル缶の製造方法は特許文献2〜特許文献4に、ボトル缶の製造方法は文献5に開示されているが、それらの製造方法の主要部を図2、図3に示す。図2は、ボトル缶用の胴部の製造方法を示し、図3は、ニューボトル缶用の胴部の製造方法を示す。
両者の加工方法は異なるものの、従来の2ピースアルミ缶胴にない、大きなネック部を形成するための絞り加工、および絞り加工により形成された口部にネジ加工を行うことが特徴である。
即ち、両者の製造工程は、それぞれ図2、図3に示すごとく、アルミニウム合金板S0に対して、ブランキング工程S21、S31、カッピング工程S22、S32、DI成形工程S23、S33、トリミング工程S24、S34までは、従来の2ピースアルミ缶胴の製造工程と同様であるが、ニューボトル缶は、アルミニウム合金板の両面に熱可塑性樹脂層を被覆した材料を使用していることが特徴である。その後は、ボトル缶用としては、カップの開口部側にネッキング工程S25を施した後、ネジ加工工程S26を施す。一方、ニューボトル缶用としては、カップの底部側にネッキング+エンド部開口工程S35、カップの開口部側にフランジング工程S36、底部の巻き締め+ネジ加工工程S37が施される。なお、ネッキング工程では、加工前の被加工部はカップの底部側のため板材の厚さと同じであり、かつほとんど加工硬化していない。また、ネッキング加工し易いように、DI成形金型により予め缶底側コーナー部を円弧状の形状にしてあることも特徴である。
ここで、注目すべき点は、両ネジ付アルミ缶胴の製造方法では、ネッキングを行う工程S25、S35において、詳細な工程はそれぞれ異なるが、いずれも、2ピースアルミ缶胴にない、大きなネック部を形成するための絞り加工が施され、さらにその後のネジ加工工程S26、S36が施される点にある。
特にボトル缶では、ネッキング加工部がDI成形されて加工硬化しており、かつ、ニューボトル缶のようにDI成形金型での予加工が施されていないため、ネッキング成形が厳しい。また、ネジ部(飲み口部)の口径もニューボトル缶の28mmに対して、ボトル缶では38mmが主流のため、充填時のキャッピング工程で所定のネジ部のコラム強度を得るために、薄肉化は難しかった。したがって、たとえば、ニューボトル缶では、特許文献15あるいは16の実施例に示されているように板厚0.32mmがあるが、ボトル缶では、DI成形された開口端側をネジ加工部とするため、板材を厚くする必要が有るので、特許文献11、12、13の実施例のように、0.4mm、あるいは特許文献9の実施例のように0.38〜0.40mmであり、両者は明らかに使用材料の板厚が異なっており、ボトル缶ではより薄い板の使用が難しかった。
これらの加工は、従来の2ピースアルミ缶胴より過酷であるため、従来材ではしわや割れが発生しやすい不具合があった。この不具合を解決するために、特許文献6ではベーキング(印刷後の焼付け)後の耐力を220〜250N/mm2とすること、さらに好ましくは45°耳の耳率を2.5%以下にすることが開示されている。また、特許文献7ではベーキング後の耐力を220〜250N/mm2とすると共に、加工硬化指数を0.09以下にすることが開示され、特許文献8では、Cube方位の結晶粒の面積を5%〜70%とすると共に、3等分された断面領域での最大値と最小値との差を40%以下とすることが開示されている。
さらには、特許文献9には、胴体部の直径に対する口部の直径の絞り比を20%以上であるボトル缶に用いられるアルミニウム合金板が開示されているがMg量が高い。特許文献10には、1μm以上の金属間化合物を3500個/mm2以上とし、かつ45°耳の耳率を3%以下とすると共に、0−180°耳高さ−45°耳高さ≦0.3mmとすることが開示されている。
一方、ネック加工時のしわや割れとは直接関係しないが、ボトル缶胴用アルミニウム合金板に関する発明として、口頸部開口端のカール加工性を向上するために、特許文献11〜13では合金成分、あるいは合金成分と製造条件を限定することが開示されている。
また、特許文献14には、塗装時の熱変形を防止し真円度が高いDI缶を得るために、ベーキング前後の引張り強さの変化量を限定することが開示され、特許文献15には、しごき加工時の面荒れによるネック部の縦スジ発生を抑制するために、Al−Mn−Fe−Si系化合物の分布密度、酸化皮膜厚及び表面の中心線平均粗さを限定することが開示されている。
また、特許文献16には、焼鈍時の強度低下を最小限に抑えるために、合金成分と製造条件を限定することが開示され、特許文献17には、伸び率、加工硬化指数、耐力を限定することが開示されている。
しかし、いずれの先行技術であっても、ボトル缶胴の過酷な加工に耐えきれるアルミニウム合金板を得るには、更なる研究及び改良が必要であった。
さらに、近年においては、トータルコストダウン、及び資源節約の観点からボトル缶胴の薄肉軽量化が強く望まれている。しかしながら、これまでのボトル缶胴用アルミニウム合金板では、これらの要求に十分に応えているとは言えない。
「飲料缶の新展開−機能と差別化をめざす−」ビバリッジジャパンNo.237(2001年第9号) 特開2001−114245号公報 特開2001−158436号公報 特開2001−162344号公報 特開2000−191006号公報 特開2002−256366号公報 特開2003−82429号公報 特開2004−244701号公報 特開2004−250790号公報 特開2004−183035号公報 特開2004−10941号公報 特開2003−293105号公報 特開2003−306750号公報 特開2003−277865号公報 特開2004−124250号公報 特開2004−238653号公報 特開2004−300537号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、UBC(Used Beverage Can)の使用率を高め、かつ、熱間圧延以降に何ら熱処理を行わずに製造し、従来よりも薄肉軽量化が可能で、かつ、ボトル缶のネック加工およびネジ加工に優れたアルミニウム合金板を提供しようとするものである。
本発明は、質量比において、Si:0.25〜0.40%、Fe:0.35〜0.50%、Cu:0.15〜0.25%、Mn:0.8〜1.3%、Mg:0.93〜1.2%、Zn:≦0.25%を含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなる組成を有し、
ブランク径が55mm、絞り比が1.67という条件で絞った成形カップにおける45°耳率が2.5%以上、5%以下であると共に、(0−180°耳高さの平均値)≦(45°耳高さの平均値)であり、
かつ、210℃の温度に10分間保持するベーキング処理後の耐力が245MPa以上であることを特徴とするボトル缶胴用アルミニウム合金板にある(請求項1)。
まず、本発明における各成分の限定範囲について説明する。
Si:0.25〜0.40%、
Siは、Mn、Feとともに、しごき成形時の素材と工具の焼き付き防止に効果のあるα相化合物(Al−Mn−Fe−Si系)形成に必要な成分である。また、この他にAl−Mn−Si相も形成し、Mnの固溶量を低下させて、より均一な変形を促進する。したがって、ネック成形性の向上には、その量の最適化が重要である。Si含有量は、0.25%未満では不十分であり、望ましくは0.28%以上であり、更に望ましくはリサイクルの観点からも0.32%以上である。しかし、Si含有量が0.40%を超えて過剰に添加されると、Mg2Si相晶出物が形成されやすくなり、成形性が低下するとともに耐食性を損なう。またSiの過剰な添加は、析出物が微細となるため結晶粒が粗大となり、絞り成形時の肌荒れの原因となる。
Fe:0.35〜0.50%、
Feは、Mnとともに鋳造時にAl6(Mn、Fe)相、α相化合物(Al−Fe−Mn−Si系)、Al−Fe−Si系の化合物を形成する。これは上述したようにしごき成形時に不可欠である。また、Feを添加するとMnの固溶度を減少させ、再結晶温度を下げるため、結晶粒微細化に有利である。しかし、Fe添加量が0.50%を超えると粗大な化合物を生じやすく、成形加工時に破断の起点となりうるので好ましくない。また、0.35%未満では、均一変形に寄与する金属間化合物の形成が不十分であること、また結晶粒が細かくならず好ましくない。
Cu:0.15〜0.25%、
Cuは、Mgとともに低温熱処理などにより、Al−Mg−Cu系化合物を形成して強度を高め、塗装焼き付けなどの加熱による軟化を抑制する効果をもつ。Cu添加量が0.15%未満であると上記効果が小さく、0.25%を超えると成形加工時の加工硬化性が大きくなりすぎて成形性が低下し、また耐食性が低下し好ましくない。また、現行の国内の缶ボディ材には、Cuが0.20〜0.25%含まれている材料が大半のため、リサイクルの観点からも、上記範囲の量のCuを添加した合金が好ましい。
Mn:0.8〜1.3%、
Mnは、強度に寄与する主要元素であるとともに、α相化合物(Al−Mn−Fe−Si系)の生成によるしごき加工時の焼き付き防止に効果のある成分である。また、0−180°耳の抑制効果の観点からも所定の量以上の添加が好ましい。Mn添加量が0.8%未満では上記効果が得られない。1.3%を超えると、Mn固溶量が増加し、ネック成形時に均一変形しにくくなり、好ましくない。
Mg:0.93〜1.2%、
Mgは、Mnとともに強度を付与する不可欠な添加元素であり、固溶して合金を硬化する。Mg添加量が0.93%未満では、強度が不十分であり、また0−180°耳の抑制の観点からも所定の量以上の添加が好ましい。一方、所定の量以上の添加は45°耳が増大する。また、酸化抑制しフローマークを出にくくするため、添加量は抑制した方が良いので、1.2%を超えて添加することは望ましくない。
Zn:≦0.25%、
Znは、絞りおよびしごき加工性、ならびにネック・フランジ成形性の向上に効果がある。しかし、Zn添加量が1.0%を超えると耐食性を損なう傾向があり、コスト的にも不利となる。ここでは、現行のA3004(A3104)と同範囲である0.25%以下とした。
また、本発明では、ブランク径が55mm、絞り比が1.67という条件で絞った成形カップにおける45°耳率が2.5%以上、5%以下であると共に、(0−180°耳高さの平均値)≦(45°耳高さの平均値)である。
上記45°耳率が2.5%未満か、あるいは5%を超える場合には、ネッキング加工時にしわが出やすくなるという問題がある。2.5%未満の場合は0−180°の位置の、5%超えの場合は45°の位置の壁厚が薄くなりすぎ、しわ発生を抑制することが困難となることによると考えられる。そのため、より好ましくは2.5%以上、4%以下がよい。
また、(0−180°耳高さの平均値)≦(45°耳高さの平均値)の関係を実現することにより、ネッキング時のしわ発生を抑制することができる。これは、周方向において等間隔(45°間隔)で耳高部を設けることにより、缶壁の厚さ分布も45°間隔で薄い部分が存在する対称形となるので、バランスよくネッキング加工ができるためと考えられる。一方、(0−180°耳高さの平均値)>(45°耳高さの平均値)の場合には、0°と180°の2箇所に最も薄肉部が配置され、バランスよくネッキング加工することが困難となり、しわが生じやすくなる。
ここで、上記45°耳率、0−180°耳高さの平均値、および45°耳高さの平均値の定義について説明する。なお、0°、45°、180°等の角度は、いずれも圧延方向を0°とした場合に板面上において時計回り方向に角度をとった方向を意味する。また、耳高さおよび谷高さは、いずれも成形カップの底から上端までの高さをいう。
まず、45°耳高さ=A、135°耳高さ=B、225°耳高さ=C、315°耳高さ=D、45°と135°の間の最小谷高さ=E、135°と225°の間の最小谷高さ=F、225°と315°の間の最小谷高さ=G、315°と45°の間の最小谷高さ=H、と定義する。
また、0°耳高さ=I、180°耳高さ=Jと定義する。
<45°耳率>
(45°耳率)=(M45−V45)/{(M45+V45)/2}×100(%)、
ここで、M45=(A+B+C+D)/4、V45=(E+F+G+H)/4
<0−180°耳高さの平均値>
(0−180°耳高さの平均値)=(I+J)/2
<45°耳高さの平均値>
(45°耳高さの平均値)=(A+B+C+D)/4
また、本発明のアルミニウム合金板は、210℃の温度に10分間保持するベーキング処理後の耐力が245MPa以上である。ベーキング処理後の耐力が245MPa未満の場合には、成形後の缶体における十分なコラム強度(缶軸方向の座屈強度)が得られないという不具合が生じる。なお、上記ベーキングは、ボトル缶胴の製造工程の塗料焼き付け工程を想定して、未成形の上記アルミニウム合金板を温度210℃に10分間保持する熱処理を加えることを意味する。なお、実際に製造工程での塗料焼き付け温度は若干異なることがあるが、本発明では、上記条件でベーキングした後に引張試験を行って得られた耐力値を用いる。
本発明においては、結晶粒の圧延方向直角方向(圧延方向に直交する方向)の幅寸法の平均が25μm超え、100μm以下の範囲にあることが好ましい(請求項2)。結晶粒は細かい方が好ましいが、上記結晶粒の圧延方向直角方向の幅寸法の平均を25μm以下とするためには、冷間圧延途中に熱処理を追加する必要がある。この場合の熱処理の追加は、生産性を低下せしめ、コストアップとなると共に、エネルギーロス及びCO2排出量増大を招いてしまうという不具合が生じるおそれがある。一方、100μmを超える場合には缶胴の製造過程におけるカップ絞り、及びネック絞り成形での肌荒れ不良を引き起こすおそれがある。
また、上記ボトル缶胴用アルミニウム合金板は、板厚が0.30〜0.37mmであることが好ましい。板厚が0.30mm未満では、成形後の缶体における十分なコラム強度(缶軸方向の座屈強度)が得られないという不具合が生じるおそれがあり、一方、0.37mmを超える場合には、材料費増加によるコストアップが生じてしまう。
また、本発明のボトル缶胴用アルミニウム合金板は、例えば、鋳造された鋳塊を均質化処理した後、熱間圧延し、さらに、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延を行うことにより作製することができる。これにより、上述した優れたボトル缶胴用アルミニウム合金板を得ることができる。
以下に、各工程毎に好ましい方法について説明する。
鋳造、均質化処理:
上述した成分範囲の合金を、通常の方法で溶解、鋳造した後、得られた鋳塊を、580℃以上、融点以下の温度で1時間以上均質化処理することが好ましい。また、Al6(Mn、Fe)から、しごき成形時に焼き付き防止効果のあるα相化合物(Al−Mn−Fe−Si系)への変態を十分に行うためにも、均質化処理はできるだけ高温、長時間行うのが好ましい。しかし、融点を超えた高温で加熱すると、鋳塊の一部が共晶融解を生じ、板表面の面質が悪化するので好ましくない。保持温度が580℃以上融点以下の範囲であれば保持時間は1時間以上必要であるが、20時間よりも長く保持しても上記特性は変わらず経済性において不利なため好ましくない。
熱間圧延:
均質化処理後の熱間圧延は、好ましくは430〜550℃で開始する。550℃より高温では表面が酸化したり再結晶粒が粗大化して成形性が低下するなどの問題点を生じやすい。また、430℃より低温では圧延途中の再結晶が不十分となり製品の耳率(異方性)が悪化する傾向がある。硬質板の耳率は、熱間圧延終了時の再結晶集合組織と、それ以後に加えられる冷間圧延時の圧延集合組織に依存する。熱間圧延は圧延終了時の材料温度が300〜350℃になるように行うことが好ましい。350℃を超えると再結晶粒が粗大化し、300℃未満になると再結晶が不十分となり、いずれも耳率を悪化させるので好ましくない。
冷間圧延前あるいは途中の中間焼鈍:
中間焼鈍すると、溶質元素の固溶度を上げ、ネック成形性を低下させると共に、コストアップ及びエネルギーロスが生じてしまうので好ましくない。従って、上記のごとく、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延工程を行うことが好ましい。
冷間圧延:
冷間圧延は材料強度を向上させるために行う。冷間における総圧下量は、80〜90%が好ましい。上記総圧下量が80%未満では十分な強度が得られず、また90%より高いと、圧延集合組織が発達しすぎることにより45°耳が高くなりすぎ、DI成形時の絞りおよび再絞りカップ、ボトル型の缶に特有のネック部の大きな絞り加工時に壁厚分布が大きくなり、しわが発生しやすくなる。また、耳高さが大きくなりすぎると、材料の歩留まりが悪化する。冷間の総圧下量は、高強度を得て耳率を適正な範囲とするために、より好ましくは87〜90%が良い。
本例では、表1に示すごとく、本発明の実施例としての複数種類のアルミニウム合金板(E1〜E4)と、比較例としての複数種類のアルミニウム合金板(C1〜C5)を製造し、さらにこれらの特性を測定した。
まず、表1に示す成分を含有するアルミニウム合金鋳塊を半連続鋳造にて造塊し、表面を面削後、600℃の温度に8時間保持する均質化処理を行い、直ちに熱間圧延を開始し、350℃の温度で終了し、3mm厚の熱間圧延板を得た。得られた熱間圧延板が常温になってから88%の圧延率で0.36mm厚まで冷間圧延を行って、上記実施例(E1〜E4)および比較例(C1〜C5)の供試材を得た。
次に、すべての供試材に対し、耳率の測定、ベーキング後の耐力の測定を行い、その特性を評価した。
耳率の測定は、ダイス径34mm、ポンチ径33mm、ポンチ肩R1.5mmの金型を用い、供試材ブランク径55mm、絞り比1.67の条件でカップ絞りを実施した。得られた絞りカップを用い、前述の式により、45°耳率と、(0−180°耳高さの平均値)の値と、(45°耳高さの平均値)の値を求めた。
45°耳率は、2.5%以上、5%以下を合格、2.5%未満および5%超えを不合格とした。また、(0−180°耳高さの平均値)≦(45°耳高さの平均値)を合格、(0−180°耳高さの平均値)>(45°耳高さの平均値)を不合格とした。
また、耳率の測定結果を図4に示す。同図は、代表的な結果を45°耳率の低い順に示したものである。いずれも、横軸には圧延方向を0°として、それに対する角度をとり、縦軸には、カップ耳高さ(成形カップの底から上端までの高さ)を示した。
上記ベーキングの条件は、210℃の温度に10分間保持する条件とした。そして、このベーキングを完了した供試材をJIS Z 2201の5号試験片に加工して、JIS Z2241に準拠して引張試験を行い、ベーキング後の耐力を求めた。
そして、ベーキング後の耐力が245MPa以上の場合には合格、245MPa未満の不合格とした。
また、結晶粒の圧延方向直角方向の幅寸法の測定方法は、JIS H0501の切断法に準じて行った。
すなわち、0.7mm×0.9mmの視野の組織を100倍に拡大した結晶粒組織写真を用いて、圧延方向直角方向の視野全体に線分を引いて、完全に切られる結晶粒数を数え、その切断長さの平均値(mm)を求めた。この平均値の測定を、1枚の上記結晶粒組織写真上(1視野)で3箇所の線分を引いてそれぞれ行い、さらに、異なる5箇所の部分の結晶粒組織写真(5視野)で同様に行った。そして、合計15の上記平均値の平均を上記の結晶粒の圧延方向直角方向の幅寸法とした。
得られた結果を表2に示す。表2より知られるごとく、実施例E1〜E4は、すべての評価項目において合格となり、総合的に合格(○)の判定が得られた。
Figure 2006299330
Figure 2006299330
2ピースアルミ缶胴の製造工程を示す説明図。 ボトル缶の胴部の製造工程を示す説明図。 ニューボトル缶の胴部の製造工程を示す説明図。 実施例における、耳率測定結果を示す説明図。
符号の説明
S0 アルミニウム合金板
S11、S21、S31 ブランキング工程
S12、S22、S32 カッピング工程
S13、S23、S33 DI成形工程
S14、S24、S34 トリミング工程
S15、S25 ネッキング工程
S16、S36 フランジング工程
S26、S36 ネジ加工工程
S35 ネッキング+エンド部開口工程
S37 底部の巻き締め+ネジ加工工程

Claims (2)

  1. 質量比において、Si:0.25〜0.40%、Fe:0.35〜0.50%、Cu:0.15〜0.25%、Mn:0.8〜1.3%、Mg:0.93〜1.2%、Zn:≦0.25%を含み、残部がアルミニウムと不可避的不純物からなる組成を有し、
    ブランク径が55mm、絞り比が1.67という条件で絞った成形カップにおける45°耳率が2.5%以上、5%以下であると共に、(0−180°耳高さの平均値)≦(45°耳高さの平均値)であり、
    かつ、210℃の温度に10分間保持するベーキング処理後の耐力が245MPa以上であることを特徴とするボトル缶胴用アルミニウム合金板。
  2. 請求項1において、結晶粒の圧延方向直角方向の幅寸法の平均が25μm超え、100μm以下の範囲にあることを特徴とするボトル缶胴用アルミニウム合金板。
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