JP2011094127A - 熱線吸収材 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱線吸収能は維持しつつ透明性に優れた熱線吸収材を提供する。
【解決手段】フタロシアニン骨格中、α位の置換基は、OR1またはハロゲン原子を表わし、かつ4〜8個はOR1を表わし、β位の置換基は、OR1を表わし、この際、R1は、置換基を有してもよいフェニル基またはナフチル基であり、中心金属は、バナジル(VO)である構造を有するフタロシアニン化合物を含み、可視光線透過率が85%以上である、熱線吸収材。
【選択図】なし
【解決手段】フタロシアニン骨格中、α位の置換基は、OR1またはハロゲン原子を表わし、かつ4〜8個はOR1を表わし、β位の置換基は、OR1を表わし、この際、R1は、置換基を有してもよいフェニル基またはナフチル基であり、中心金属は、バナジル(VO)である構造を有するフタロシアニン化合物を含み、可視光線透過率が85%以上である、熱線吸収材。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱線吸収材に関するものである。特に、本発明は、熱線吸収能は維持しつつ透明性に優れた(可視光線透過率の高い)熱線吸収材に関する。
したがって、本発明の熱線吸収材は、自動車や建物の熱線吸収合わせガラス、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽樹脂ガラス、熱線反射ガラスなどに用いる際に優れた効果を発揮するものである。
太陽エネルギーの熱線遮蔽用として建物や自動車の窓等に使用する場合には、大面積への適用が必要であり、また、十分な透明性が確保される必要がある。太陽光は、700〜800nm、特に750〜800nmの波長域での光強度が高い。このため、このような領域の光を選択的に吸収することが熱線遮蔽効果の点で重要である。
従来、熱線吸収/遮蔽ガラスとしては、板ガラスの表面に反射率の高い金属酸化物の膜をコーティングしたものが知られている。この熱線吸収/遮蔽ガラスは、通常のガラス原料に微量の鉄、ニッケル、コバルト等の金属を加えて着色し、波長による光の選択透過性を持たせたものである。しかしながら、従来の熱線吸収/遮蔽剤として使用されている金属酸化物には、このような特定波長域を選択的に吸収できるものはなく、当該波長域の光を十分吸収するためには、添加量を増やす必要がある。しかし、このような場合には、ガラスの透明性の低下を引き起こす場合があり、また、コスト的にも好ましくない。また、金属酸化物を用いて大面積の金属薄膜層の表面を均一に被覆する技術が十分開発されるにはいたっていないため、従来の金属酸化物の被覆(塗布)方法では、大面積の表面に均一な塗布面を形成することが困難であった。
一方で、特定の波長域の光を選択的に吸収する近赤外吸収色素が種々開発されている。特に、フタロシアニン化合物は、可視光線透過率が高く、近赤外線光の吸収効率が高く、かつ近赤外域の選択吸収能に優れ、かつ溶媒溶解性に優れ、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐候性にも優れるなど、諸特性に優れている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1のフタロシアニン化合物の可視光線透過率(Tv)は、高くても80%程度にとどまり、建物や自動車の窓用の熱線吸収材に使用されても、透明性を十分確保できるには至っていなかった。また、特許文献1のフタロシアニン化合物は、最大吸収波長(λmax)が800nmを超えているため、太陽光のうち、光強度の高い、700〜800nmの波長域の光を効率よく吸収(カット)できない場合があった。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、熱線吸収能は維持しつつ透明性に優れた(可視光線透過率の高い)熱線吸収材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、フタロシアニン骨格中、中心金属をバナジル(VO)とし、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15(β位)にフェノキシ基やナフチルオキシ基を導入し、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16(α位)にフェノキシ基やナフチルオキシ基またはハロゲン原子を導入したフタロシアニン化合物は、可視光線透過率が高くかつ700〜800nmの波長域の光を選択的に吸収することができることを見出した。このため、当該フタロシアニン化合物を含む熱線吸収材は、優れた熱線吸収能および透明性を発揮できることを見出し、上記知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、上記目的は、下記式(1):
式中、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16は、それぞれ独立して、OR1またはハロゲン原子を表わし、かつ4〜8個はOR1を表わし;Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15は、それぞれ独立して、OR1を表わし;R1は、置換基を有してもよいフェニル基またはナフチル基であり、R1が複数個存在する際には、複数のR1は、同じであってもまたは異なるものであってもよく、この際、置換基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6個のアルキル基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基もしくは−COO(R2O)m−R3であり、この際、R2は、炭素数1〜3のアルキレン基を表わし、R3は、炭素原子数1〜6個のアルキル基を表わし、mは、0〜5であり;Mは、バナジル(VO)を表わす、
で示され、可視光線透過率が85%以上であるフタロシアニン化合物を含む、熱線吸収材によって達成される。
で示され、可視光線透過率が85%以上であるフタロシアニン化合物を含む、熱線吸収材によって達成される。
本発明によれば、熱線吸収能は維持しつつ透明性に優れた(可視光線透過率の高い)熱線吸収材を提供できる。したがって、本発明の熱線吸収材は、高い透明性が要求される建物や自動車の窓用の熱線吸収ガラスに適用できる。
本発明は、下記式(1):
式中、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16は、それぞれ独立して、OR1またはハロゲン原子を表わし、かつ4〜8個はOR1を表わし;Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15は、それぞれ独立して、OR1を表わし;R1は、置換基を有してもよいフェニル基またはナフチル基であり、R1が複数個存在する際には、複数のR1は、同じであってもまたは異なるものであってもよく、この際、置換基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6個のアルキル基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基もしくは−COO(R2O)m−R3であり、この際、R2は、炭素数1〜3のアルキレン基を表わし、R3は、炭素原子数1〜6個のアルキル基を表わし、mは、0〜5であり;Mは、バナジル(VO)を表わす、
で示され、可視光線透過率が85%以上であるフタロシアニン化合物を含む、熱線吸収材を提供する。
で示され、可視光線透過率が85%以上であるフタロシアニン化合物を含む、熱線吸収材を提供する。
本発明に係るフタロシアニン化合物は、上記式(1)で示されるように、フタロシアニン骨格中、中心金属がバナジル(VO)であり;Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15(β位)には、フェノキシ基やナフチルオキシ基という−OR基が導入され;Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16(α位)には、フェノキシ基やナフチルオキシ基という−OR基または0〜4個のハロゲン原子が導入される、構造を有する点に特徴を有する。このような構造をとることによって、フタロシアニン化合物は、700〜800nm、特に750〜800nmの波長域の近赤外線光を選択的に吸収できる。このため、本発明に係るフタロシアニン化合物を用いた熱線吸収材は、太陽光のうち、光強度の高い、700〜800nm、特に750〜800nmの波長域の光を選択的に吸収(カット)することができる。このため、本発明に係るフタロシアニン化合物を用いた熱線吸収材を、例えば、自動車や建物の窓用の熱線吸収ガラスに使用すると、車内や室内の温度の上昇を有効に抑制することができる。
また、このような構造を有するフタロシアニン化合物は、可視光線透過率、特に500〜600nmでの可視光波長域での透過率が85%以上(特に90%以上)と非常に高い。このため、本発明に係るフタロシアニン化合物を用いた熱線吸収材は、非常に透明性に優れるため、建物や自動車の窓用の熱線吸収ガラスに使用されても、十分な視認性を確保できる。
加えて、本発明に係るフタロシアニン化合物は、溶媒溶解性や樹脂との相溶性に優れ、耐熱性、耐光性、耐候性等の諸特性に優れる。このため、プラスチックフィルムなどへの成型性に優れ、工業的に大面積への塗布(大量生産)が可能であると共に、また、窓ガラスに使用されても、耐久性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明に係るフタロシアニン化合物は、上記式(1)で示される。本明細書では、上記式(1)で示されるフタロシアニン化合物を、単に「フタロシアニン化合物」あるいは「本発明に係るフタロシアニン化合物」とも称する。また、本明細書中、上記式(1)における、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15の置換基を単に「β位の置換基」とも称する、またはZ2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15を総称して「β位」とも称する。同様にして、上記式(1)中、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16の置換基を単に「α位の置換基」とも称する、またはZ1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16を総称して「α位」とも称する。
上記式(1)において、Mは、バナジル(VO)である。このように中心金属をバナジルとすることによって、フタロシアニン化合物の最大吸収波長(λmax)を700〜800nm、特に750〜800nmの波長域に調節することができ、上記波長域での近赤外線光吸収の選択性を向上できる。このため、フタロシアニン化合物を含む熱線吸収材は優れた熱線吸収性(熱線遮蔽性)を発揮できる。
β位の置換基を表わす、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15は、OR1を表わす。ここで、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。また、α位の置換基を表わす、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16は、OR1またはハロゲン原子を表わし、好ましくはOR1を表わす。ここで、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16は、同一であってもあるいは異なるものであってもよい。上記8個のα位の置換基のうち、4〜8個がOR1であり、4〜0個がハロゲン原子である。好ましくは、上記8個のα位の置換基のうち、8個全部がOR1である。このように、フタロシアニン骨格の置換基の大部分をOR1で占めることによって、可視光線透過率を85%以上に高めることができる。このため、フタロシアニン化合物を含む熱線吸収材は、優れた透明性を発揮できる。また、このような置換基の配置をとることによって、フタロシアニン化合物の700〜800nm、特に750〜800nmの波長域での吸収スペクトルがシャープになる。このため、フタロシアニン化合物を含む熱線吸収材は、太陽光のうち、光強度の高い、上記波長域の光を選択的にかつ効率よく吸収(カット)でき、優れた熱線遮蔽効果を発揮できる。また、このような置換基を有するフタロシアニン化合物は、耐光性、耐候性に優れるため、建物や自動車のガラスの熱線吸収材に使用されても、優れた耐久性を発揮する。
上記したようにα位の置換基のうち、4〜8個がOR1である、即ち、4〜0個がハロゲン原子である。このような構造のフタロシアニン化合物は、一段階で製造可能であるため、製造工程の簡略化、フタロシアニン化合物のコスト面などの点で有利である。また、α位の置換基の構成については特に制限されず、α位の置換基が、フタロシアニン骨格中、ほぼ均一に導入されても不均一に導入されてもよい。好ましくは、α位の置換基が、均一に導入される。このため、α位の置換基は、8個のOR1で構成される、または4個のOR1と4個のハロゲン原子で構成されることが好ましい。前者の(8個がOR1である)場合には、フタロシアニン化合物の700〜800nm、特に750〜800nmの波長域での光を選択的に吸収できるという点で特に好ましい。また、後者の(4個がOR1でありかつ残りの4個がハロゲン原子である)場合には、フタロシアニン化合物の分子量が小さくなり、グラム吸光係数が高くなりうる。
また、これらのα位の置換基のフタロシアニン骨格での導入位置や種類もまた、均一であっても不均一であってのよいが、均一であることが好ましい。このため、Z1〜Z4、Z5〜Z8、Z9〜Z12、Z13〜Z16を含む各構成単位を、それぞれ、構成単位A、B、C、Dとすると、各構成単位A、B、C、Dは、それぞれ、同じ組み合わせの2個のOR1、または同じ組み合わせの1個のOR1と1個のハロゲン原子で構成されることが好ましい。このように均一な導入/配置により、可視光線透過率の向上、上記波長域での光の吸収選択性の向上、耐久性などがより達成されうる。
上記式(1)において、α位の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、耐熱性、耐久性等を考慮すると、フッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
上記式(1)において、R1は、置換基を有してもよいフェニル基またはナフチル基であり、好ましくは無置換のまたは置換基を有するフェニル基であり、より好ましくは置換基を有するフェニル基である。このような場合には、可視光線透過率が高まり、太陽光強度の高い700〜800nm(特に750〜800nm)の波長域での光を選択的に吸収でき、特に全部のβ位及び大部分のα位にフェノキシ基を導入すると、この効果は顕著である。なお、R1が複数個存在する際には、複数のR1は、同じであってもまたは異なるものであってもよい。R1が置換基を有するフェニル基またはナフチル基である場合の、置換基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6個のアルキル基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基または−COO(R2O)m−R3である。これらのうち、透明性(高い可視光線透過率)や溶解性などを考慮すると、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6個のアルキル基、特に炭素原子数1〜6個のアルキル基が置換基として好ましい。特にR1がアルキル基を置換基として有するフェニル基またはナフチル基である場合には、溶解性が向上でき、また、アルキル基の導入による立体障害性により、フタロシアニン化合物の最大吸収波長(λmax)を長波長域にシフトできる。なお、上記は、推測であり、本発明を限定するものではない。
また、耐光性や溶解性などを考慮すると、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、−COO(R2O)m−R3が置換基として好ましい。アルコキシ基を置換基としてフェニル基またはナフチル基に導入すると、フタロシアニン化合物の溶解性が向上でき、また、アルコキシ基の導入による立体障害性と電子供与性により、フタロシアニン化合物の最大吸収波長(λmax)を長波長域にシフトできる。また、−COO(R2O)m−R3を置換基としてフェニル基またはナフチル基に導入すると、フタロシアニン化合物の溶解性を向上できる。また、R1が炭素原子数1〜6個のアルコキシ基および/または−COO(R2O)m−R3が置換基を有するフェニル基またはナフチル基である場合には、分子内における電子的な安定性が増す。このため、熱線吸収材に媒体を使用した場合であっても、媒体からの攻撃を受けにくく、フタロシアニン化合物の光(特に紫外線)による分解を有効に抑制・防止できる。このため、このようなフタロシアニン化合物を用いた熱線吸収材は耐光性、特に紫外線(UV)に対する耐光性に優れる。より好ましくは、Z1〜Z4、Z5〜Z8、Z9〜Z12、Z13〜Z16を含む各構成単位において、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基を有するフェニル基またはナフチル基、および−COO(R2O)m−R3を有するフェニル基またはナフチル基が共存することが好ましい。ここで、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基は電子供与性基として作用し、−COO(R2O)m−R3は電子吸引性基として作用する。このため、Z1〜Z4、Z5〜Z8、Z9〜Z12、Z13〜Z16を含む各構成単位中に、これらの電子供与性基と電子吸引性基とが共存すると、電子の供与および吸引のバランスが容易にとれるため、分子内における電子的な安定性が増す。このため、熱線吸収材に媒体を使用した場合であっても、媒体からの攻撃をより有効に防ぐことができ、フタロシアニン化合物の光(特に紫外線)による分解をより有効に抑制・防止できる。このため、このようなフタロシアニン化合物を用いた熱線吸収材は耐光性、特に紫外線(UV)に対する耐光性により優れる。上記効果は、アルコキシ基および−COO(R2O)m−R3が、各構成単位中に同数でかつ異なる軸で共存すると、より顕著に発揮できる。このため、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基および−COO(R2O)m−R3は、それぞれ、α位およびβ位に、またはβ位およびα位に、2個ずつ導入されることが特に好ましい。このような化合物の特に好ましい例としては、下記フタロシアニン化合物(8)〜(11)などがある。なお、上記は、推測であり、本発明を限定するものではない。
R1が置換基を有する場合の置換基の数は特に制限されない。例えば、R1が置換基を有するフェニル基である場合には、1〜4個が好ましく、1または2個がより好ましい。また、当該置換基のフェニル基への結合位置もまた特に制限されない。例えば、置換基数が1個である場合には、置換基は、フェニル基の、オルト位(2位)、メタ位(3位)またはパラ位(4位)のいずれかの位置に配置されうる。これらのうち、最大吸収波長の長波長化や溶解性などを考慮すると、2位、4位が好ましく、2位がより好ましい。また、耐光性、特に紫外線(UV)に対する耐光性などを考慮すると、2位、4位が好ましく、4位がより好ましい。置換基数が2個である場合には、置換基は、フェニル基の、2,3位、2,4位、2,5位、2,6位、3,4位、3,5位、3,6位のいずれかの位置に配置されうる。これらのうち、可視透過率などを考慮すると、2,5位、2,6位、2,4位が好ましく、2,5位、2,6位がより好ましい。
同様にして、R1が置換基を有するナフチル基である場合には、1〜4個が好ましく、1または2個がより好ましい。また、当該置換基のナフチル基への結合位置もまた特に制限されない。例えば、置換基数が1個である場合には、1−ナフチル基では、置換基は、1−ナフチル基の、2位、3位、4位、5位、6位、7位または8位のいずれかの位置に配置されうる。これらのうち、可視透過率や溶解性などを考慮すると、2位、3位、4位が好ましく、2位がより好ましい。また、2−ナフチル基では、置換基は、2−ナフチル基の、1位、3位、4位、5位、6位、7位または8位のいずれかの位置に配置されうる。これらのうち、可視透過率や溶解性などを考慮すると、好ましくは1位、3位が好ましく、3位がより好ましい。
ここで、置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、耐熱性、耐久性等を考慮すると、塩素原子、フッ素原子が好ましく、フッ素原子がより好ましい。
また、置換基としての炭素原子数1〜6個のアルキル基としては、特に制限されず、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基が挙げられる。より具体的には、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。これらのうち、最大吸収波長の長波長化や耐久性等を考慮すると、炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキル基、特にメチル基、エチル基が好ましく、フタロシアニン化合物の溶解性および立体障害性などを考慮すると、メチル基がより好ましい。
置換基としての炭素原子数1〜6個のアルコキシ基としては、特に制限されず、炭素原子数1〜6個の直鎖、分岐鎖または環状のアルコキシ基が挙げられる。より具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、1,2−ジメチル−プロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、1−イソプロピルプロポキシ基などが挙げられる。これらのうち、最大吸収波長の長波長化や耐久性等を考慮すると、炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルコキシ基、特にメトキシ基及びエトキシ基が好ましく、フタロシアニン化合物の溶解性および立体障害性などを考慮すると、メトキシ基がより好ましい。
置換基としての−COO(R2O)m−R3(以下では、「エステル基」とも称する)において、R2は、炭素数1〜3のアルキレン基を表わす。ここで、炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基がある。これらのうち、耐久性等を考慮すると、R2は、エチレン基またはプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。また、mは、オキシアルキレン基(R2O)の繰り返し単位数を表わし、0〜5の整数である。耐久性等を考慮すると、mは、0〜3の整数であることが好ましく、0〜2の整数であることがより好ましい。さらに、R3は、炭素原子数1〜6個のアルキル基を表わす。ここで、炭素原子数1〜6個のアルキル基としては、上記置換基としての炭素原子数1〜6個のアルキル基で記載したのと同様である。これらのうち、耐久性や溶解性等を考慮すると、炭素数1〜3の直鎖または分岐のアルキル基、特にメチル基、エチル基が好ましく、フタロシアニン化合物の結晶性などを考慮すると、メチル基がより好ましい。
したがって、本発明に係るフタロシアニン化合物の好ましい例としては、下記化合物がある。
本発明に係るフタロシアニン化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく、特開2001−106689号公報、特開2005−220060号公報などの従来公知の方法を単独であるいは適宜修飾して適用することができるが、好ましくは、溶融状態または有機溶媒中で、フタロニトリル化合物と、酸化バナジウム、塩化バナジウム等のバナジウムのハロゲン化物、カルボニルバナジウムまたはバナジウムの有機酸/塩(本明細書中では、一括して「バナジウム化合物」とも称する)と、を環化反応する方法が使用できる。以下、本発明に係るフタロシアニン化合物の製造方法の特に好ましい実施形態を記載する。しかしながら、本発明は、下記好ましい実施形態に制限されるものではない。
すなわち、下記式(I):
で示されるフタロニトリル化合物(1)、下記式(II):
で示されるフタロニトリル化合物(2)、下記式(III):
で示されるフタロニトリル化合物(3)、および下記式(IV):
で示されるフタロニトリル化合物(4)を、バナジウム化合物と環化反応させことによって、本発明に係るフタロシアニン化合物が製造できる。
なお、上記式(I)〜(IV)中、Z1〜Z16は、所望のフタロシアニン化合物の構造によって規定される。このため、上記反応において、本発明に係るフタロシアニン化合物の構造に合わせてフタロニトリル化合物(1)〜(4)を記載したが、目的とするフタロシアニン化合物の構造によっては、フタロニトリル化合物が1〜3種類となることもある。例えば、Z1〜Z4、Z5〜Z8、Z9〜Z12およびZ13〜Z16をそれぞれ含む構成単位A〜Dが同じ場合には、原料として使用されるフタロニトリル化合物は1種類となる。また、上記式(I)〜(IV)中、Z1〜Z16は、それぞれ、上記式(1)中のZ1〜Z16の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記態様において、出発原料である式(I)〜(IV)のフタロニトリル化合物(1)〜(4)は、特開昭64−45474号公報に開示されている方法などの、従来既知の方法により合成でき、また、市販品を用いることもできるが、好ましくは、下記式(V):
で示されるフタロニトリル誘導体(本明細書中では、単に「フタロニトリル誘導体」とも称する)を、式(VI):HOR1の化合物と、反応させることによって得られる。上記式(V)中、X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立して、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子等のハロゲン原子、好ましくはフッ素原子及び塩素原子、特に好ましくはフッ素原子を表わす。また、式(VI)中のR1は、式(1)中のR1の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
上記において、式(VI):HOR1の化合物の添加量は、目的とするフタロニトリル化合物の構造によって適宜選択され、上記フタロニトリル誘導体と式(VI):HOR1の化合物との反応が進行して、所望のフタロニトリル化合物を製造できる量であれば特に制限されない。具体的には、式(VI):HOR1の化合物の添加量は、フタロニトリル誘導体1モルに対して、好ましくは0.8〜6.0モル、より好ましくは0.9〜3.0モル、特に好ましくは1.0〜2.5モルである。
また、上記好ましい実施態様において、フタロニトリル誘導体と式(VI):HOR1の化合物との反応は、無溶媒下であるいは有機溶媒中で行われてもよいが、好ましくは有機溶媒中で行なわれる。この際使用できる有機溶媒としては、アセトニトリル及びベンゾニトリル等のニトリル;アセトン及び2−ブタノン等の極性溶媒などが挙げられる。これらのうち、好ましくは、アセトニトリル、ベンゾニトリル及びアセトンである。溶媒を使用する際の有機溶媒の使用量は、フタロニトリル誘導体の濃度が、好ましくは2〜40(w/v)%、より好ましくは10〜30(w/v)%となるような量である。また、このフタロニトリル誘導体と式(VI):HOR1の化合物との反応は、反応中に発生するハロゲン化水素(例えば、フッ化水素)等を除去するために、これらのトラップ剤を使用することが好ましい。トラップ剤を使用する際の具体的なトラップ剤の例としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、塩化マグネシウム及び炭酸マグネシウムなどが挙げられ、これらのうち、炭酸カルシウム及び水酸化カルシウムが好ましい。また、トラップ剤を使用する際のトラップ剤の使用量は、反応中に発生するハロゲン化水素等を効率良く除去できる量であれば特に制限されないが、フタロニトリル誘導体1モルに対して、好ましくは1.0〜4.0モル、より好ましくは1.1〜2.0モルである。
また、上記フタロニトリル誘導体と式(VI):HOR1の化合物との反応条件は、両者の反応が進行して所望のフタロニトリル化合物を得られる条件であれば特に制限されない。具体的には、反応温度は、通常、20〜150℃、好ましくは60〜95℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜60時間、好ましくは1〜50時間である。
次に、環化反応は、式(I)〜(IV)のフタロニトリル化合物(1)〜(4)とバナジウム化合物とを溶融状態または有機溶媒中で反応させることが好ましい。なお、環化反応は、無溶媒中でも行なえるが、有機溶媒を使用して行なうのが好ましい。有機溶媒は、出発原料としてのフタロニトリル化合物との反応性の低い、好ましくは反応性を示さない不活性な溶媒であればいずれでもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、トリメチルベンゼン、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、エチレングリコール、及びベンゾニトリル等の不活性溶媒;ならびにピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトフェノン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、トリメチルベンゼン及びベンゾニトリルが、より好ましくは、トリメチルベンゼン、ベンゾニトリルが使用される。
上記におけるフタロニトリル化合物(1)〜(4)とバナジウム化合物との反応条件は、当該反応が進行する条件であれば特に制限されるものではないが、例えば、有機溶媒100質量部に対して、上記フタロニトリル化合物(1)〜(4)を好ましくは1〜500質量部、より好ましくは10〜350質量部の範囲の合計量で、かつバナジウム化合物を該フタロニトリル化合物4モルに対して、好ましくは0.8〜2.0モル、より好ましくは1.0〜1.5モルの範囲で仕込む。環化の際は、特に限定されるものではないが、好ましくは反応温度30〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲で反応させる。反応時間は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜20時間、より好ましくは3〜10時間である。また、上記反応は、大気雰囲気中で行なってもよいが、不活性ガス雰囲気(例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの流通下)で、行なわれることが好ましい。
上記環化反応後は、従来公知の方法に従って、晶析、ろ過、洗浄、乾燥を行なってもよい。このような操作により、フタロシアニン化合物を効率よく、しかも高純度で得ることができる。
上記または上記方法によって製造される本発明に係るフタロシアニン化合物は、可視光線透過率、特に500〜600nmでの可視光波長域での透過率(Tv)が85%以上、好ましくは90〜100%、より好ましくは95〜100%である。また、上記または上記方法によって製造される本発明に係るフタロシアニン化合物は、熱線吸収(遮蔽)効果を鑑みると、日射透過率(Te)が低いことが好ましい。具体的には、本発明の熱線吸収材を自動車や建物の熱線吸収合わせガラス、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽樹脂ガラス、熱線反射ガラスなどに用いる場合の実用性を考慮すると、上記または上記方法によって製造される本発明に係るフタロシアニン化合物は、日射透過率(Te)が70%以下であることがより好ましい。このため、このように可視光線透過率の高い本発明に係るフタロシアニン化合物を熱線吸収材に用いることによって、得られる熱線吸収材は、熱線吸収(遮蔽)能は維持しつつ非常に透明性に優れる。このため、当該熱線吸収材は、建物や自動車の窓に好適に使用できる。なお、本明細書において、フタロシアニン化合物の「可視光線透過率」(Tv)および「日射透過率」(Te)は、JIS R3106(1998)の規格に準じて測定したが、具体的には、下記方法に従って測定した値を意味する。すなわち、フタロシアニン化合物を1cmの石英セル中で700〜1000nmの透過率の最低値が9〜10%になるまでクロロホルムで希釈し、その透過率を分光光度計で測定した。その測定結果からTvおよびTeをJIS R3106(1998)の規格に準じて計算した。
また、本発明に係る上記または上記方法によって製造されるフタロシアニン化合物は、700〜800nmの波長域に最大吸収波長(λmax)を有することが好ましく、より好ましくは720〜800nm、さらにより好ましくは750〜800nm、さらにより好ましくは760〜800nm、さらにより好ましくは765〜790nm、特に好ましくは770〜780nmの波長域に最大吸収波長(λmax)を有する。このような範囲に最大吸収波長(λmax)を有すると、フタロシアニン化合物は、当該波長域の近赤外線光を選択的に吸収できるため、本発明に係るフタロシアニン化合物を含む熱線吸収材は、太陽光のうち、光強度の特に高い、上記波長域の光を選択的に吸収(カット)し、熱線吸収/遮蔽効果に非常に優れる。なお、本明細書において、フタロシアニン化合物の「最大吸収波長(λmax)」は、フタロシアニン化合物のクロロホルム中での最大吸収波長(λmax)を分光光度計(島津製作所製:UV−1650PC)を用いて測定した値(nm)である。
加えて、本発明に係るフタロシアニン化合物は、上記好ましい波長域での吸収スペクトルがシャープであるという利点をも有する。このようなフタロシアニン化合物を熱線吸収材に用いることによって、得られる熱線吸収材は、太陽光のうち、光強度の高い、上記波長域の光を選択的にかつ効率よく吸収(カット)でき、優れた熱線遮蔽効果を発揮できる。このため、本発明に係るフタロシアニン化合物を用いた熱線吸収材を、例えば、自動車や建物の窓用の熱線吸収ガラスに使用すると、車内や室内の温度の上昇を有効に抑制することができる。
また、本発明に係る上記または上記方法によって製造されるフタロシアニン化合物は、グラム吸光係数が高いという利点をも有する。ここで、フタロシアニン化合物のグラム吸光係数は、熱線吸収材への使用を考慮すると、好ましくは65以上、より好ましくは70以上、さらにより好ましくは80以上、特に好ましくは100以上である。また、本発明に係るフタロシアニン化合物のグラム吸光係数の上限は、高いほど好ましいため、特に制限されないが、通常、300以下であり、好ましくは200以下である。なお、本明細書において、フタロシアニン化合物の「グラム吸光係数」は、以下の方法に従って、測定した。メスフラスコに、フタロシアニン化合物40mgをクロロホルム中に、0.008g/L濃度となるように溶解した。このようにして調製した溶液を1cm角のパイレックス製セルに入れ、分光光度計(島津製作所製:UV−1650PC)を用いて透過スペクトルを測定した。また、測定した吸光度をAとしたとき、グラム吸光係数を以下の式で計算した。
また、本発明に係る上記または上記方法によって製造されるフタロシアニン化合物は、上記利点に加え、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐候性に優れた特性を有し、その特性を損なうことなく熱線吸収材として優れた作用効果を奏する。
ゆえに、本発明の熱線吸収材は、自動車や建物の熱線吸収合わせガラス、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽樹脂ガラス、熱線反射ガラスなどに用いる際に優れた効果を発揮できる。
本発明の熱線吸収材は、上記フタロシアニン化合物を必須に含む。このため、本発明に係るフタロシアニン化合物を使用する以外は、本発明の熱線吸収材は、従来と同様の熱線吸収材として適用できる。ここで、本発明に係るフタロシアニン化合物は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。当該フタロシアニン化合物は、特に上記特定範囲の光強度の高い近赤外域の光を選択的に吸収し、可視光波長域での透過率を高くして(即ち、透明性を確保しつつ)、太陽光からの熱の吸収/遮断を効果的に行う作用効果を熱線吸収材に与えることができる。これは、上記したように、本発明に係るフタロシアニン化合物が、上記したような特定の構造を有することによる。また、本発明に係るフタロシアニン化合物は、上記利点特定波長域での優れた選択吸収能や可視光波長域での高い透過率に加えて、樹脂との相溶性に優れ、かつ耐熱性、耐光性、耐候性に優れた特性を有する。このため、本発明の熱線吸収材は、上記したような優れた作用効果を合わせて奏することができる。さらに、本発明に係るフタロシアニン化合物は、熱線吸収材を構成する安価な有機材料として提供可能であり、種々の熱線遮蔽用途に幅広く用いることのできるものである。また、該フタロシアニン化合物は、耐熱性に優れることにより、凡用の熱可塑性樹脂を用いて、射出成形、押出成形等の生産性に優れた成形方法により作製することのできる、とした多くの優れた特性を発揮することができるものである。したがって、本発明の熱線吸収材は、自動車や建物の熱線吸収合わせガラス、熱線遮蔽フィルム、熱線遮蔽樹脂ガラス、熱線反射ガラスなどとして、好適に使用できる。
本発明の熱線吸収材の使用形態は、特に限定されず、公知のいずれの形態を使用してもよい。具体的には、熱線を吸収/遮蔽することが好ましい対象物上に塗膜やフィルム等として別途形成される形態;2枚の対象物の間にフタロシアニン化合物含有中間層を設ける積層体などの形態;上記対象物中に含ませた形態などが挙げられる。これらのうち、本発明に係るフタロシアニン化合物を、塗膜やフィルム、ならびに中間層中に混合することが好ましい。ここで、塗膜、フィルムや中間層は、一般的に、本発明に係るフタロシアニン化合物に加えて、樹脂を含む。
本発明の熱線吸収材に適用される対象物としては、特に制限されないが、剛性や透明性を有するものが好ましい。具体的には、ガラス板;ならびにポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリスルフォン、不飽和ポリエステル等の板材等の、プラスチック板などが挙げられる。上記対象物の厚さは、特に制限されないが、1〜20mm程度が好ましい。このような範囲であれば、十分な強度や安全性が得られ、また、塗膜、フィルムや中間層の形成を容易に実施できる。
また、上記したように、本発明に係るフタロシアニン化合物を塗膜、フィルムや中間層に混合する際には、当該塗膜、フィルムや中間層は、一般的に、本発明に係るフタロシアニン化合物に加えて、樹脂を含む。この際使用することのできる樹脂は、得られる熱線吸収材の使用用途によって適宜選択することができるが、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない樹脂が好ましい。その具体的なものとしては、ポリカーボネート樹脂;メチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン等のポリビニル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリブチラール樹脂;ポリ酢酸ビニル等の酢酸ビニル系樹脂;ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。また、実質的に透明であれば、上記1種類の樹脂に限らず、2種以上の樹脂をブレンドしたものも用いることができ、透明性のガラスに上記の樹脂をはさみこんで用いることもできる。これらの樹脂のうち、耐候性、透明性に優れるポリブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂あるいはポリ塩化ビニルが好ましく、特にポリブチラール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂あるいはポリ塩化ビニルが好ましい。
ポリカーボネート樹脂は、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法または溶融法で反応させて製造されるものである。2価フェノールの代表的な例として以下のものが挙げられる。2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどが挙げられる。好ましい2価のフェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系であり、特にビスフェノールを主成分とするものである。
アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル単独またはメタクリル酸メチルを50%以上含む重合性不飽和単量体混合物またはその共重合物が挙げられる。メタクリル酸メチルと共重合可能な重合性不飽和単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロキシフルフリル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニルの単量体のみの重合体ばかりでなく、塩化ビニルを主成分とする共重合体も使用できる。塩化ビニルと共重合させることのできる単量体としては、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
本発明の熱線吸収材にあっては、通常の透明性樹脂材料を製造する際に用いられる各種の添加剤を含有していてもよい。該添加剤としては、例えば、着色剤、重合調節剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤、耐衝撃性向上のためのゴム、あるいは剥離剤等を挙げることができる。
また、フタロシアニン化合物とカーボンブラック等の熱線を吸収できる材料を特定量使用することにより、フタロシアニン化合物を単独で使用した場合と比較して、熱線遮蔽効果は同等でフタロシアニン化合物の使用量を半分以下に減少させることもできる。
さらに、本発明の熱線吸収材は、上記フタロシアニン化合物に加えて、他の近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤を含んでもよい。この際、他の近赤外線吸収剤としては、特に制限されず、用途によって所望される最大吸収波長によって公知の近赤外線吸収剤が適宜選択されうる。例えば、800〜1000nmの近赤外吸収色素などが挙げられる。これらのうち、800〜1000nmの近赤外吸収色素としては、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ニッケル錯体系色素、ジイモニウム系色素などが挙げられる。これらのうち、フタロシアニン系色素としては、特開平2001−106689号公報に記載のフタロシアニン系色素、特に特開平2001−106689号公報の実施例8で製造されるフタロシアニン[CuPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4](λmax:807nm)、同公報の実施例7で製造されるフタロシアニン[VOPc(2,5−Cl2PhO)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4](λmax:870nm)、同公報の実施例9で製造されるフタロシアニン[VOPc(PhS)8{2,6−(CH3)2PhO}4(PhCH2NH)4](λmax:912nm);特開平2004−18561号公報に記載のフタロシアニン系色素、特に特開平2004−18561号公報の実施例8で製造されるフタロシアニン[VOPc(PhS)8{2,6−(CH3)2PhO}4{CH3CH2O(CH2)3NH}4](λmax:928nm)、同公報の実施例17で製造されるフタロシアニン[VOPc(4−(CH3O)PhS)8{2,6−(CH3)2PhO}4{CH3(CH2)3CH(C2H5)CH2NH}4](λmax:962nm);下記式:
で示される、フタロシアニン化合物[以下、{CuPc(3−メトキシカルボニルフェノキシ)8(2−クロロベンジルアミノ)7F}とも称する](λmax:916nm)、下記式:
で示される、フタロシアニン化合物[以下、{CuPc(3−メトキシカルボニルフェノキシ)8(2−エチルヘキシルアミノ)8}とも称する](λmax:963nm)などが好ましく使用される。この場合では、耐久性、耐候性を考慮すると、800〜1000nmのフタロシアニン系色素は、フタロシアニン骨格の中心金属は銅であることが特に好ましい。また、特開平10−78509号公報の実施例に記載のあるフタロシアニン化合物も使用できる。ジイモニウム系色素としては、(N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジエチルアミノフェニル)−p−ベンゾキノン−ビス(イモニウム)・ヘキサフルオロアンチモン酸塩、N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン−ビス(ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸)イモニウム塩(日本カーリット(株)製、商標:CIR−1085)、N,N,N’,N’−テトラキス(p−ジブチルアミノフェニル)−p−フェニレンジアミン−ビス(六弗化アンチモン酸)イモニウム塩(日本カーリット(株)製、商標:CIR−1081)、ジイモニウムカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホン)イミドアニオンとからなるジイモニウム色素(日本カーリット(株)製、商標:CIR−RL)などが好ましく使用される。ニッケル錯体系色素としては、Bis(1,2−diphenylethene−1,2−dithiol)nickelなどが好ましく使用される。さらに、シアニン系色素としては、安定化シアニン色素が使用できる。ここで、安定化シアニン色素とは、シアニン系カチオンとクエンチャーアニオンとからなる塩化合物である。このうち、シアニン系カチオンとしては、例えば、以下に示す、カチオンNo.1、No.2などが、また、クエンチャーアニオンとしては、例えば、以下に示す、アニオンNo.11、No.22の化合物が好ましく使用でき、これらを適宜組合わせた塩化合物が安定化シアニン色素として好ましく使用される。
また、フタロシアニン化合物以外に、600〜700nmに最大吸収波長を有する色素を含んでいてもよい。このような色素としては、具体的には、ジチオベンゾイン系色素、ジチオアシロイン系色素、ジアミン系色素、アミノチオフェノール系色素、1−エチル−2−[3−クロロ−5−(1−エチル−2(1H)−キノリニリデン)−1,3−ペンタジエニル]キノリウムブロミド(λmax:694.4nm)、1,3,3−トリメチル−2−[5−(1,3,3−トリメチル−2(1H)−ベンズ[e]インドリニリデン)−1,3−ペンタジエニル]−3H−ベンズ[e]インドリニウムパークロレート(λmax:675.6nm)、3−エチル−2−[5−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1,3−ペンタジエニル]ベンゾチアゾリウムヨージド(λmax:651.6nm)等のシアニン系色素などが挙げられる。なお、上記において、括弧内に、最大吸収波長(λmax)を示す。なお、上記他の色素は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記他の近赤外線吸収剤の添加量は、少なくなると十分な近赤外線吸収性能が得られず、多くなると可視光線透過率に悪影響を与えるので、樹脂100質量部に対して、0.0005〜20重量部が好ましい。
また、使用されてもよい紫外線吸収剤としては、特に制限されず、公知の紫外線吸収剤が使用できる。具体的には、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の化合物が好適に使用される。ここで、サリチル酸系の化合物としては、以下に制限されないが、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。また、ベンゾフェノン系の化合物としては、以下に制限されないが、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン、ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系の化合物としては、以下に制限されないが、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。シアノアクリレート系の化合物としては、以下に制限されないが、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3'-ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3'-ジフェニルアクリレート等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤のうち、ベンゾトリアゾール系の化合物が好ましい。ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、チバガイギー社製「チヌビン326」などが挙げられる。なお、上記紫外線吸収剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記紫外線吸収剤の添加量は、少なくなると十分な紫外線吸収性能が得られず、多くなると可視光線透過率に悪影響を与えるので、樹脂100質量部に対して、0.05〜5重量部が好ましい。
前記フタロシアニン化合物を、透明性樹脂ならびに必要であれば上記添加剤、他の近赤外線吸収剤や紫外線吸収剤と混合後、成形することによって、本発明の熱線吸収材が得られる。ここで、成形方法としては、特に制限されず、公知の成形方法がそのままあるいは適宜修飾されて適用できる。具体的には、押出成形、射出成形、注型重合、プレス成形、カレンダー成形あるいは注型製膜法などが好適に使用できる。
さらに、本発明に係るフタロシアニン化合物を含有するフィルムを作製し、そのフィルムを透明樹脂材に熱プレスあるいは熱ラミネート成形することにより熱線吸収材を作製することもできる。また、本発明に係るフタロシアニン化合物を含有するアクリル樹脂インクまたは塗料等を透明樹脂材に印刷またはコーティングすることにより熱線吸収材を得ることもできる。このような場合の熱線吸収材の厚みは、特に制限されないが、好ましくは1〜100μm、より好ましくは1〜50μmである。このような厚みがあれば、十分な透明性および熱線吸収/遮蔽性を確保できる。
または、本発明の熱線吸収材は、2枚の上記対象物の間に、本発明に係るフタロシアニン化合物を含む中間層を挟む構造を有してもよい。上記構造を有する熱線吸収材は、特に制限されないが、例えば、2枚の上記対象物の間に本発明に係るフタロシアニン化合物を含む中間層を挟み、ゴムパックに入れ減圧吸引しながら、約70〜140℃に加熱して、真空接着する方法が使用できる。または、上記成形方法によって予め作製した中間層を2枚の対象物の間に挟んで、あるいは一方の対象物の上にフタロシアニン化合物及び樹脂を含むインクを塗布した後、他方の対象物を載せて、これらの積層体を熱などによって接着することによって、本発明の熱線吸収材を作製してもよい。本発明の熱線吸収材が上記したような積層構造を有する場合の中間層の厚みは、特に制限されないが、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.1〜0.8mmである。このような厚みがあれば、十分な透明性および熱線吸収/遮蔽性を確保できる。
本発明の熱線吸収材に用いられる上記フタロシアニン化合物は、市販の赤外線吸収剤と比較して、耐熱性に優れているので、ポリブチラール樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、PET樹脂を使用して射出成形、押出成形のような樹脂温度が200〜350℃という高温まで上昇する成形方法でも成形することが可能であり、透明感が良好で熱線遮蔽性能に優れた成形品を得ることができる。200℃未満の成形温度で使用しても問題はない。
また、本発明において、熱線吸収材の形状にも格別の制約はなく、最も一般的な平板状やフィルム状のほか波板状、球面状、ドーム状など、様々な形状のものが含有される。本発明の熱線吸収材に用いられる上記フタロシアニン化合物は、目的とする熱線吸収材の可視光線透過率および近赤外線透過率の設定および該熱線吸収材の厚みによってその配合量を変えることができるが、透明性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.0005〜20質量部、より好ましくは0.0010〜10質量部である。
さらに、上記フタロシアニン化合物の配合量の最適範囲は、熱線吸収材の形状によって異なり、例えば、厚さ3mmの熱線遮蔽板を作製する場合には、樹脂100質量部に対して、通常、0.002〜0.06質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.003〜0.02質量部である。また、例えば、厚さ10mmの熱線遮蔽板を作製する場合には、樹脂100質量部に対して、0.0005〜0.02質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.005質量部である。厚さ10μmの熱線遮蔽フィルムを作製する場合には、樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.5〜10質量部である。熱線吸収材の厚さに関係なくフタロシアニン化合物の配合量を表示するとすれば、上方からの投影面積中の質量と考えて、0.01〜2.0g/m2の配合量が好ましく、さらに好ましくは0.05〜1.0g/m2である。この際、フタロシアニン化合物の配合量が、0.01g/m2未満の場合には、熱線遮蔽効果の少ないものとなり、2.0g/m2を超える場合は、著しく高価となり、また、可視光線の透過が少なくなりすぎる場合がある。波板等の異形のものは上方からの投影面積中の質量と考えればよい。また、外観上問題がない限りフタロシアニン化合物の濃度の分布にむらがあってもかまわない。また、フタロシアニン化合物は、1種類以上のものを混合して使用することも可能であり、吸収波長の異なるものを2種以上使用した場合には、熱線遮蔽効果が向上することがある。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。また、下記実施例の化合物の略称において、Pcはフタロシアニン核を表わし、Pcのすぐ後にβ位に置換する8個の置換基を表わし、そのβ位に置換する置換基の後にα位に置換する8個の置換基を表わす。
合成例1:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 50g(0.25モル)、フッ化カリウム 32.0g(0.55モル)およびアセトン 50gを仕込んだ。さらに、滴下ロートに、2−メチルフェノール 59.4g(0.55モル)およびアセトン60gを仕込み、2−メチルフェノールアセトン溶液を調製した。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより、上記2−メチルフェノールアセトン溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温(20℃)までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 50g(0.25モル)、フッ化カリウム 32.0g(0.55モル)およびアセトン 50gを仕込んだ。さらに、滴下ロートに、2−メチルフェノール 59.4g(0.55モル)およびアセトン60gを仕込み、2−メチルフェノールアセトン溶液を調製した。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより、上記2−メチルフェノールアセトン溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温(20℃)までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
次に、このフラスコに、2,6−ジメチルフェノール 34.2g(0.28モル)、フッ化カリウム 16.3g(0.28モル)およびアセトン 20gを仕込み、40℃で攪拌下10時間、保った。冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルが72.6g(収率:テトラフルオロフタロニトリルに対して、60.7モル%)得られた。
合成例2:3,4,5,6−テトラキス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 30g(0.15モル)、フッ化カリウム 18.3g(0.32モル)および2−ブタノン 60gを仕込んだ。さらに、滴下ロートに、2−メチルフェノール 33.4g(0.31モル)を仕込み、さらに滴下ロートに2−メチルフェノール33.4g(0.31モル)を仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより、上記2−メチルフェノール溶液を、上記フラスコに約1時間かけて滴下した後、反応温度を室温(20℃)までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 30g(0.15モル)、フッ化カリウム 18.3g(0.32モル)および2−ブタノン 60gを仕込んだ。さらに、滴下ロートに、2−メチルフェノール 33.4g(0.31モル)を仕込み、さらに滴下ロートに2−メチルフェノール33.4g(0.31モル)を仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより、上記2−メチルフェノール溶液を、上記フラスコに約1時間かけて滴下した後、反応温度を室温(20℃)までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
次に、このフラスコに、2−メチルフェノール 33.4g(0.31モル)、フッ化カリウム 25.3g(0.43モル)および2−ブタノン 30gを仕込み、還流下で20時間撹拌を行った。さらに、炭酸カリウム 4.1g(0.03モル)を追加し、還流下で10時間撹拌を行った。冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータで2−ブタノンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3,4,5,6−テトラキス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリルが72.9g(収率:テトラフルオロフタロニトリルに対して、87.2モル%)得られた。
合成例3:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 60g(0.30モル)、フッ化カリウム 41.8g(0.72モル)およびアセトン 160mlを仕込んだ。さらに、滴下ロートに、2,5−ジクロロフェノール 97.8g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込み、2,5−ジクロロフェノールアセトン溶液を調製した。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより、上記2,5−ジクロロフェノールアセトン溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温(20℃)までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 60g(0.30モル)、フッ化カリウム 41.8g(0.72モル)およびアセトン 160mlを仕込んだ。さらに、滴下ロートに、2,5−ジクロロフェノール 97.8g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込み、2,5−ジクロロフェノールアセトン溶液を調製した。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより、上記2,5−ジクロロフェノールアセトン溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続けた。その後、反応温度を室温(20℃)までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
次に、このフラスコに、2,6−ジメチルフェノール 36.6g(0.30モル)、フッ化カリウム 20.9g(0.36モル)およびアセトン 21.7mlを仕込み、40℃で攪拌下10時間、保った。冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルが144.8g(収率:テトラフルオロフタロニトリルに対して、82.1モル%)得られた。
合成例4:3,4,5,6−テトラフェノキシフタロニトリルの合成
200mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 20g(0.10モル)、フッ化カリウム 12.2g(0.21モル)およびアセトン 40gを仕込んだ。さらに、滴下ロートにフェノール 19.8g(0.21モル)およびアセトン 40gを仕込み、フェノールアセトン溶液を調製した。5℃で攪拌しながら滴下ロートよりフェノールアセトン溶液を、上記フラスコに約30分かけて滴下した後、反応温度を室温(20℃)までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
200mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 20g(0.10モル)、フッ化カリウム 12.2g(0.21モル)およびアセトン 40gを仕込んだ。さらに、滴下ロートにフェノール 19.8g(0.21モル)およびアセトン 40gを仕込み、フェノールアセトン溶液を調製した。5℃で攪拌しながら滴下ロートよりフェノールアセトン溶液を、上記フラスコに約30分かけて滴下した後、反応温度を室温(20℃)までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
次に、このフラスコに、フェノール 21.6g(0.23モル)、フッ化カリウム 13.9g(0.24モル)を仕込み、還流下で20時間撹拌を行った。さらに、炭酸カリウム 4.1g(0.03モル)を追加し、還流下で10時間撹拌を行った。冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3,4,5,6−テトラフェノキシフタロニトリルが44.6g(収率:テトラフルオロフタロニトリルに対して、89.9モル%)得られた。
合成例5:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5,6−トリス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、合成例1で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルテトラフルオロフタロニトリル 48g(0.10モル)、炭酸カリウム 7.7g(0.55モル)、2−メチルフェノール 11.1g(0.103モル)およびアセトニトリル 50gを仕込み、還流下約40時間攪拌を続けた。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、合成例1で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルテトラフルオロフタロニトリル 48g(0.10モル)、炭酸カリウム 7.7g(0.55モル)、2−メチルフェノール 11.1g(0.103モル)およびアセトニトリル 50gを仕込み、還流下約40時間攪拌を続けた。
冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトニトリルを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5,6−トリス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリル50.1g(収率:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルテトラフルオロフタロニトリルに対して、88.1モル%)で得られた。
合成例6:3,6−ビス(2−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 30g(0.15モル)、フッ化カリウム 19.2g(0.33モル)およびアセトニトリル 30gを仕込み、さらに、滴下ロートに4−メチルフェノール 32.4g(0.30モル)およびアセトニトリル 30gを仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより4−メチルフェノールアセトニトリル溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 30g(0.15モル)、フッ化カリウム 19.2g(0.33モル)およびアセトニトリル 30gを仕込み、さらに、滴下ロートに4−メチルフェノール 32.4g(0.30モル)およびアセトニトリル 30gを仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより4−メチルフェノールアセトニトリル溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
次に、このフラスコに、2−メチルフェノール 35.7g(0.33モル)、フッ化カリウム 26.1g(0.45モル)およびアセトニトリル 30gを仕込み、還流下で20時間撹拌を行った。冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトニトリルを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3,6−ビス(2−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリルを44.6g(収率:テトラフルオロフタロニトリルに対して、53.8モル%)で得られた。
合成例7:4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 30g(0.15モル)、フッ化カリウム 19.2g(0.33モル)およびアセトニトリル 30gを仕込み、さらに滴下ロートに2−メチルフェノール 32.4g(0.30モル)およびアセトニトリル 30gを仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより4−メチルフェノールアセトニトリル溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 30g(0.15モル)、フッ化カリウム 19.2g(0.33モル)およびアセトニトリル 30gを仕込み、さらに滴下ロートに2−メチルフェノール 32.4g(0.30モル)およびアセトニトリル 30gを仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより4−メチルフェノールアセトニトリル溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
次に、このフラスコに、4−メチルフェノール 35.7g(0.33モル)、フッ化カリウム 26.1g(0.45モル)およびアセトニトリル 30gを仕込み、還流下で23時間撹拌を行った。冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトニトリルを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリルを57.7g(収率:テトラフルオロフタロニトリルに対して、69.6モル%)で得られた。
合成例8:4,5−ビス(4−エトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 20g(0.10モル)、フッ化カリウム 12.8g(0.22モル)およびアセトン 20gを仕込み、さらに滴下ロートに4−ヒドロキシ安息香酸エチル33.9g(0.20モル)およびアセトン30gを仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより4−ヒドロキシ安息香酸エチルアセトン溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 20g(0.10モル)、フッ化カリウム 12.8g(0.22モル)およびアセトン 20gを仕込み、さらに滴下ロートに4−ヒドロキシ安息香酸エチル33.9g(0.20モル)およびアセトン30gを仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより4−ヒドロキシ安息香酸エチルアセトン溶液を、上記フラスコに約2時間かけて滴下した後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
次に、このフラスコに、4−メトキシフェノール 25.3g(0.20モル)、フッ化カリウム 12.8g(0.22モル)およびアセトン 30gを仕込み、還流下で5時間撹拌を行った。冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、真空乾燥により、グリース状の4,5−ビス(4−エトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリルを65.5g(収率:テトラフルオロフタロニトリルに対して、93.4モル%)で得られた。
合成例9:4,5−ビス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 20g(0.10モル)、フッ化カリウム 12.8g(0.22モル)およびアセトン 20gを仕込み、さらに滴下ロートに4−ヒドロキシ安息香酸メチル 31.0g(0.20モル)およびアセトン30gを仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより4−ヒドロキシ安息香酸メチルアセトン溶液を、上記フラスコに約3時間かけて滴下した後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコに、テトラフルオロフタロニトリル 20g(0.10モル)、フッ化カリウム 12.8g(0.22モル)およびアセトン 20gを仕込み、さらに滴下ロートに4−ヒドロキシ安息香酸メチル 31.0g(0.20モル)およびアセトン30gを仕込んだ。5℃で攪拌しながら滴下ロートより4−ヒドロキシ安息香酸メチルアセトン溶液を、上記フラスコに約3時間かけて滴下した後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌した。
次に、このフラスコに、4−メトキシフェノール 25.3g(0.20モル)、フッ化カリウム 12.8g(0.22モル)およびアセトン 30gを仕込み、還流下で2時間撹拌を行った。冷却後、反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、4,5−ビス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリルを55.2g(収率:テトラフルオロフタロニトリルに対して、82.1モル%)で得られた。
比較合成例1:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルの合成
500mlの4ツ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル60g(0.30モル)、フッ化カリウム41.8g(0.72モル)およびアセトン160mlを仕込み、さらに滴下ロートに2,5−ジクロロフェノール97.8g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込む。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより2,5−ジクロロフェノール/アセトン混合溶液を約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続ける。その後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌する。
500mlの4ツ口セパラブルフラスコにテトラフルオロフタロニトリル60g(0.30モル)、フッ化カリウム41.8g(0.72モル)およびアセトン160mlを仕込み、さらに滴下ロートに2,5−ジクロロフェノール97.8g(0.60モル)およびアセトン110mlを仕込む。−1℃で攪拌しながら滴下ロートより2,5−ジクロロフェノール/アセトン混合溶液を約2時間かけて滴下した後、約2時間攪拌を続ける。その後、反応温度を室温までゆっくり上げながら、一晩攪拌する。
次に、このフラスコに2,6−ジメチルフェノール36.6g(0.30モル)、フッ化カリウム20.9g(0.36モル)およびアセトン15.0mlを仕込み、40℃で攪拌下10時間を保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をロータリーエバポレータでアセトンを留去し、メタノールを加えて再結晶を行った。得られた結晶をろ過し、真空乾燥により、3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル144.8g(収率82.1モル%)で得られた。
実施例1:[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(2−メチルフェノキシ)−C,C,C,1−テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−C,C,C,4−テトラフルオロ−29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(1)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例1で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル 30g(0.051モル)、塩化バナジウム(III) 2.62g(0.017モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.8gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例1で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル 30g(0.051モル)、塩化バナジウム(III) 2.62g(0.017モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.8gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18時間乾燥後、目的物の緑色ケーキ24.8gを得た(収率:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対して、80.1モル%)。
実施例2:[1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24、25−ヘキサデカキス(2−メチルフェノキシ)−29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(2)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、合成例2で得られた3,4,5,6−テトラキス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリル 30g(0.054モル)、塩化バナジウム(III) 2.77g(0.018モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.8gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール150gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
100mlの四ツ口フラスコに、合成例2で得られた3,4,5,6−テトラキス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリル 30g(0.054モル)、塩化バナジウム(III) 2.77g(0.018モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.8gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール150gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18時間乾燥後、目的物の緑色ケーキ23.85gを得た(収率:3,4,5,6−テトラキス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリルに対して、77.2モル%)。
実施例3:[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(2,5−ジクロロフェノキシ)−C,C,C,1−テトラキス(2,6−ジメチルフェノキシ)−C,C,C,4−テトラフルオロー29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(3)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例3で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル 30g(0.051モル)、塩化バナジウム(III) 2.61g(0.017モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.8gを仕込み、160℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下21時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例3で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル 30g(0.051モル)、塩化バナジウム(III) 2.61g(0.017モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.8gを仕込み、160℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下21時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。
次に、200mlの四ツ口フラスコに、上記で得られたケーキ、炭酸カルシウム 1.58g(0.016mol)、ベンズヒドリルアミン 154.7g(0.844モル)およびベンゾニトリル 24.4gを仕込み、160℃で31時間、反応させた。反応終了後、反応液を吸引ろ過し、得られたろ液をメタノール1000g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過を行った。得られたケーキを再度メタノール150gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18時間乾燥後、目的物の緑色ケーキ25.5gを得た(収率:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対して、82.7モル%)。
実施例4:[1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25−ヘキサデカフェノキシ−29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(4)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例4で得られた3,4,5,6−テトラフェノキシフタロニトリル 30g(0.060モル)、塩化バナジウム(III) 3.09g(0.020モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.8gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール150gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例4で得られた3,4,5,6−テトラフェノキシフタロニトリル 30g(0.060モル)、塩化バナジウム(III) 3.09g(0.020モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.8gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7体積%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下18時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール150gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18時間乾燥後、目的物の緑色ケーキ26.56gを得た(収率:3,4,5,6−テトラフェノキシフタロニトリルに対して、85.6モル%)。
実施例5:[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(2−メチルフェノキシ)−C,C,C,1−テトラキス(2,6-ジメチルフェノキシ)−C,C,C,4−テトラキス(2−メチルフェノキシ)−29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(5)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例5で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5,6−トリス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリル 30g(0.053モル)、塩化バナジウム(III) 2.7g(0.017モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.9gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下27時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 600g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 300gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例5で得られた3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5,6−トリス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリル 30g(0.053モル)、塩化バナジウム(III) 2.7g(0.017モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.9gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下27時間、反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 600g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 300gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18時間乾燥後、目的物の緑色ケーキ24.5gを得た(収率:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5,6−トリス(2−メチルフェノキシ)フタロニトリルに対して、79.3%)。
実施例6:[1,4,8,11,15,18,22,25−オクタキス(2−メチルフェノキシ)−2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−メチルフェノキシ)−29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(6)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例6で得られた3,6−ビス(2−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリル 30g(0.054モル)、塩化バナジウム(III) 2.8g(0.018モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.9gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下21時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 600g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 300gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例6で得られた3,6−ビス(2−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリル 30g(0.054モル)、塩化バナジウム(III) 2.8g(0.018モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 44gおよびベンゾニトリル 4.9gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下21時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 600g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 300gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18時間乾燥後、目的物の緑色ケーキ24.0gを得た(収率:3,6−ビス(2−メチルフェノキシ)−4,5−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリルに対して、77.6%)。
実施例7:[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(2−メチルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタキス(4−メチルフェノキシ)−29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(7)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例7で得られた4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリル 28.9g(0.052モル)、塩化バナジウム(III) 2.7g(0.017モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 42.3gおよびベンゾニトリル 4.7gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下22時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 577g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 289gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例7で得られた4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリル 28.9g(0.052モル)、塩化バナジウム(III) 2.7g(0.017モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 42.3gおよびベンゾニトリル 4.7gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下22時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 577g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 289gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18h乾燥後、目的物の緑色ケーキ24.1gを得た(収率:4,5−ビス(2−メチルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メチルフェノキシ)フタロニトリルに対して、81.2%)。
実施例8:[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−エトキシカルボニルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタキス(4−メトキシフェノキシ)−29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(8)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例8で得られた4,5−ビス(4−エトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリル 16.4g(0.023モル)、塩化バナジウム(III) 1.2g(0.008モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 24.6gおよびベンゾニトリル 2.7gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下24時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 327g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 164gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例8で得られた4,5−ビス(4−エトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリル 16.4g(0.023モル)、塩化バナジウム(III) 1.2g(0.008モル)、1,2,4−トリメチルベンゼン 24.6gおよびベンゾニトリル 2.7gを仕込み、170℃でMガス(窒素と酸素の混合ガス、酸素濃度7%)を液相部に吹き込みながら、攪拌下24時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 327g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 164gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18時間乾燥後、目的物の緑色ケーキ11.6gを得た(収率:4,5−ビス(4−エトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリルに対して、69.2%)。
実施例9:[2,3,9,10,16,17,23,24−オクタキス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−1,4,8,11,15,18,22,25−オクタキス(4−メトキシフェノキシ)−29H、31H−フタロシアニナト(2−)−N29,N30,N31,N32]バナジウムオキサイド[フタロシアニン化合物(10)]の合成
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例9で得られた4,5−ビス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリル 15g(0.022モル)、塩化バナジウム(III) 1.1g(0.007モル)、ベンゾニトリル 22.5gおよび1−オクタノール 0.9gを仕込み、190℃で窒素ガスを液相部に吹き込みながら、攪拌下3時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 150gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
100mlの四ツ口フラスコに、上記合成例9で得られた4,5−ビス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリル 15g(0.022モル)、塩化バナジウム(III) 1.1g(0.007モル)、ベンゾニトリル 22.5gおよび1−オクタノール 0.9gを仕込み、190℃で窒素ガスを液相部に吹き込みながら、攪拌下3時間反応させた。反応終了後、反応液をメタノール 300g中に滴下して結晶を析出させ、吸引ろ過後ウエットケーキを得た。得られたケーキを再度メタノール 150gで攪拌洗浄し、吸引ろ過した。
得られたケーキを真空乾燥機で90℃18時間乾燥後、目的物の緑色ケーキ13.8gを得た(収率:4,5−ビス(4−メトキシカルボニルフェノキシ)−3,6−ビス(4−メトキシフェノキシ)フタロニトリルに対して、89.9%)。
比較例1:VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH3)2PhO)4(PhCH2NH)4[比較フタロシアニン化合物(1)]の合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.24g(8.29ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.15g(16.6ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で攪拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、比較合成例1と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(51.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で10時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、PhCH2NH243.7g(408.0ミリモル)と炭酸カルシウム2.81g(28.0ミリモル)、ベンゾニトリル33mlを加え、ついで60℃で7時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をアセトンと水の混合溶液中に滴下晶析させ、更にアセトンと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH3)2PhO)4(PhCH2NH)423.2g(収率:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対して、65.8モル%)が得られた。
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.24g(8.29ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.15g(16.6ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で攪拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、比較合成例1と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(51.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で10時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、PhCH2NH243.7g(408.0ミリモル)と炭酸カルシウム2.81g(28.0ミリモル)、ベンゾニトリル33mlを加え、ついで60℃で7時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をアセトンと水の混合溶液中に滴下晶析させ、更にアセトンと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH3)2PhO)4(PhCH2NH)423.2g(収率:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対して、65.8モル%)が得られた。
比較例2:VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH3)2PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F[比較フタロシアニン化合物(2)]の合成
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.43g(9.53ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.64g(19.1ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で撹拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、比較合成例1と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(51.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で4時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、D,L−1−フェニルエチルアミン12.4g(102.3ミリモル)とベンゾニトリル163mlを加え、ついで60℃で6時間、70℃で2時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をイソプロピルアルコールと水の混合溶液中に滴下晶析させ、さらにイソプロピルアルコールと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH3)2PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F 24.49g{収率:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対して、70.5モル%}が得られた。
300mlの4ツ口フラスコに、三酸化二バナジウム1.43g(9.53ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物3.64g(19.1ミリモル)およびベンゾニトリル60mlを仕込み、ついで170℃で撹拌下約3時間保った。その後還流温度まで昇温し、比較合成例1と同様にして合成された3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリル30g(51.0ミリモル)を追加し、窒素雰囲気下還流温度で4時間保った。その後冷却して空気雰囲気下とし、D,L−1−フェニルエチルアミン12.4g(102.3ミリモル)とベンゾニトリル163mlを加え、ついで60℃で6時間、70℃で2時間保った。冷却後反応液をろ過し、ろ液をイソプロピルアルコールと水の混合溶液中に滴下晶析させ、さらにイソプロピルアルコールと水の混合溶液で洗浄を行った。真空乾燥により、VOPc(2,5−Cl2PhO)8(2,6−(CH3)2PhO)4{Ph(CH3)CHNH}3F 24.49g{収率:3−(2,6−ジメチルフェノキシ)−4,5−ビス(2,5−ジクロロフェノキシ)−6−フルオロフタロニトリルに対して、70.5モル%}が得られた。
上記実施例1〜9で得られたフタロシアニン化合物(1)〜(8)、(10)および比較例1,2で得られた比較フタロシアニン化合物(1)、(2)について、可視光線透過率(Tv)(%)、日射透過率(Te)(%)、最大吸収波長(λmax)(nm)及びグラム吸光係数(εg)を測定し、その結果を下記表2に示す。
なお、上記各フタロシアニン化合物の可視光線透過率(Tv)(%)、日射透過率(Te)(%)、最大吸収波長(λmax)およびグラム吸光係数(εg)は、上記方法に従って評価した。
加えて、上記実施例3、6、9で得られたフタロシアニン化合物(3)、(6)、(10)について、以下のようにして耐光性を評価した。
<耐光性試験>
まず、各フタロシアニン化合物を、トルエンで固形分5質量%に調整して、色素溶液を調製する。また、コロネートL−55E(架橋剤、日本ポリウレタン製)を、メチルエチルケトン(MEK)で固形分2.8%に調整して、架橋剤溶液を調整する。このようにして調製した色素溶液および架橋剤溶液を、粘着剤(固形分:約44.4%)100質量部に対して、それぞれ、約0.8質量部、0.27質量部添加する。次に、上記各溶液の固形分が30質量%になるようにMEKで調整する。なお、色素溶液の添加量は、吸光度により適宜調整し、具体的は、下記表1に示される組成とした。また、本試験で使用される粘着剤は、下記方法によって製造された化合物を使用した。
まず、各フタロシアニン化合物を、トルエンで固形分5質量%に調整して、色素溶液を調製する。また、コロネートL−55E(架橋剤、日本ポリウレタン製)を、メチルエチルケトン(MEK)で固形分2.8%に調整して、架橋剤溶液を調整する。このようにして調製した色素溶液および架橋剤溶液を、粘着剤(固形分:約44.4%)100質量部に対して、それぞれ、約0.8質量部、0.27質量部添加する。次に、上記各溶液の固形分が30質量%になるようにMEKで調整する。なお、色素溶液の添加量は、吸光度により適宜調整し、具体的は、下記表1に示される組成とした。また、本試験で使用される粘着剤は、下記方法によって製造された化合物を使用した。
(樹脂合成例)
モノマーとして、264.6gの2−エチルヘキシルアクリレート、150gのブチルアクリレート、180gのシクロヘキシルメタクリレートおよび5.4gのヒドロキシエチルアクリレートを秤量し、十分に混合して、重合性モノマー混合物を得た。
モノマーとして、264.6gの2−エチルヘキシルアクリレート、150gのブチルアクリレート、180gのシクロヘキシルメタクリレートおよび5.4gのヒドロキシエチルアクリレートを秤量し、十分に混合して、重合性モノマー混合物を得た。
160gの酢酸エチルと300gの重合性モノマー混合物とを、温度計、撹拌機、不活性ガス導入管、還流冷却器及び滴下ロートを備えたフラスコに入れた。また、上記滴下ロートに、300gの重合性モノマー混合物、16gの酢酸エチル及び0.15gのナイパーBMT−K40(重合開始剤、日本油脂社製)を入れ、良く混合して滴下用混合物とした。窒素ガスを20ml/分で流通させながら、フラスコの内温を95℃まで上昇させ、重合開始剤であるナイパーBMT−K40(0.15g)をフラスコに投入し、重合反応を開始させた。重合開始剤の投入から30分後に、滴下ロートからの滴下用混合物の滴下を開始した。滴下用混合物は、90分かけて均等に滴下された。滴下用混合物の滴下終了後、粘度の上昇に応じて酢酸エチルで希釈を行いながら、還流温度を維持しながら6時間熟成を行った。反応終了後、不揮発分が約45%になるように酢酸エチル反応液を希釈し、計算ガラス転移温度(Tg)が−35.0℃であり、計算溶解性パラメーターが9.6である樹脂を得た。この樹脂の重量平均分子量(Mw)は44万であり、酸価は0であった。
さらに、上記混合物を、それぞれ、ペイントシェーカーで15分程度攪拌して、粘着剤色素溶液を得る。このようにして得られた粘着剤色素溶液を、PETフィルム(東洋紡コスモシャインA4300)の左側にアプリケーター(6.3ミル)を置き、アプリケーターの右横にこの粘着剤色素溶液をたらして、できるだけまっすぐになるように塗工する。カッターでフィルムの膜圧が不均一な部分を切り落として、A4サイズ程度にする。SUS板に上記で得られたフィルムをのせ、クリップで4方をとめた後、100℃2分間、乾燥する。次に、乾燥した試験片を適度な大きさ(2cm×2cm)に切り、ガラス面にローラーでできるだけ空気が入らないように貼り付ける。
このようにして得られた試験片について、耐光性試験を行なった。ここで、耐光性は、耐光性試験機(島津製作所製、SUNTESTER XF−180CPS)にて、図2に示すように、上記試験片に擬似太陽光を照射し、吸光度の経時変化で評価する。すなわち、上記フタロシアニン化合物を含む各試験片について、各最大吸収波長(λmax)での吸光度[下記表3中では、「Abs.(λmax)」]を、耐光性試験(擬似太陽光照射)前(0時間)、24時間、48時間および100時間後に測定し、耐光性試験直後(0時間)の吸光度(Abs0)を1とした場合の、各時間後の吸光度(AbsT;Tは、時間)の比(=AbsT/Abs0)を算出し、その結果を下記表3に示す。
上記表2から、本発明に係るフタロシアニン化合物は、可視光線透過率が100%に近いことが分かる。この結果から、本発明に係るフタロシアニン化合物を用いてなる熱線吸収材は、優れた透明性を発揮できると、考察される。また、上記表2から、最大吸収波長(λmax)が750〜800nmにあり、日射透過率(Te)が70%以下であることが分かる。これらの結果から、本発明に係るフタロシアニン化合物を用いてなる熱線吸収材は、太陽光のうち、光強度の特に高い、750〜800nmの波長域の光を効率よく吸収(遮蔽)することができ、かつ十分な透明性を確保できると、考察される。
また、上記表3から、本発明に係るフタロシアニン化合物(10)は、48時間までは吸光度をほぼ維持することができ、100時間経過後であっても、吸光度の低下を有意に抑制できる。これは、フタロシアニン骨格の各構成単位中に、2個のメトキシ基含有フェノキシ基および2個の−COOCH3含有フェノキシ基がそれぞれα位およびβ位に導入されているため、電子の供与および吸引のバランスが容易にとれ、分子内における電子的な安定性が増したため、光励起(特に紫外線による励起)後の媒体からのラジカル種の攻撃を抑制・防止できるためであると、考察される。
Claims (3)
- 下記式(1):
で示され、可視光線透過率が85%以上であるフタロシアニン化合物を含む、熱線吸収材。 - 可視光線透過率が90%以上である、請求項1に記載の熱線吸収材。
- 前記式(1)のフタロシアニン化合物が、700〜800nmの波長領域に最大吸収波長(λmax)を有する、請求項1または2に記載の熱線吸収材。
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