JP2011091499A - 歪補償装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】係数記憶手段が各アドレスに当該各アドレスに対応する入力信号にプリディストーションを与えるための歪補償係数を記憶し、アドレス検出手段6が入力信号に対応する0〜(M−1)番目のMビットのアドレスを検出し、アドレス生成手段7が当該アドレスについて0〜(M−N−2)番目までのビット値を切り捨て且つ(M−N−1)番目のビット値を0捨1入したアドレスを生成し、誤差マッピング手段9が入力信号と増幅器の出力信号との誤差のデータを当該入力信号について生成されたアドレスにマッピングして、各アドレスについて平均化し、その結果に基づく誤差情報を生成し、更新制御手段10、11が生成された誤差情報に基づいて係数記憶手段の記憶内容を更新する。
【選択図】 図1
Description
本例のDPD機能付き電力増幅器は、DPD部101、D/A(Digital to Analog)変換器102、アップコンバータ103、電力増幅器(PA:Power Amplifier)104、方向性結合器105、ダウンコンバータ106、A/D(Analog to Digital)変換器107、DPD制御部108を備えている。
同相成分(I相成分)及び直交成分(Q相成分)から構成されるデジタルの複素信号が入力信号として、DPD部101及びDPD制御部108に入力される。本例では、入力信号はベースバンド信号である。
DPD部101は、電力増幅器104よりも前段であるデジタル部に配置されており、入力信号にプリディストーション処理(電力増幅器104の非線形特性の逆特性を与える処理)を行ってD/A変換器102へ出力する。
アップコンバータ103は、D/A変換器102から入力される信号を無線周波数の信号へ周波数変換して電力増幅器104へ出力する。
電力増幅器104は、アップコンバータ103から入力される信号を増幅(電力増幅)して出力する。このとき、電力増幅器104では非線形歪が発生するが、DPD部101で予め信号に非線形特性の逆特性を与えているため、電力増幅器104からの出力信号は歪が補償された信号となる。
ダウンコンバータ106は、方向性結合器105から入力される信号を無線周波数の信号から元の周波数(本例では、アップコンバータ103による周波数変換の前の周波数であり、ベースバンドの周波数)の信号へ周波数変換してA/D変換器107へ出力する。
A/D変換器107は、アナログ信号であるダウンコンバータ106から入力される信号をデジタル信号へ変換して、これをフィードバック信号として、DPD制御部108へ出力する。
本例のDPD部101は、振幅検出部111、メモリなどで構成されるルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)からなる歪補償テーブル112、複素乗算器などから構成されるPD実行部113を備えている。
I相成分及びQ相成分から構成されるデジタルの入力信号(本例では、ベースバンド信号)が、振幅検出部111及びPD実行部113に入力される。
振幅検出部111は、入力信号の振幅を計算して、その振幅の値を歪補償テーブル112へ出力する。
PD実行部113は、歪補償テーブル112の参照結果に従って、入力信号に対して振幅、位相を補償する。例えば、PD実行部113は、入力信号と歪補償テーブル112からの歪補償係数の信号(値)とを複素乗算して、その結果の信号をD/A変換器102へ出力する。
図15には、波形比較を用いたDPD制御部108の構成例を示してある。
本例のDPD制御部108は、メモリ121、直交検波部122、メモリ123、遅延調整部124、誤差検出部125、誤差マッピング部126、誤差補間部127、LUT更新部128を備えている。
DPD制御部108には、入力信号と、A/D変換器107からの帰還信号(フィードバック信号)が入力される。
直交検波部122は、帰還信号を直交検波することでI相成分及びQ相成分からなる信号として、メモリ123へ出力する。
メモリ123は、直交検波部122から入力された信号を格納する。
メモリ121は、入力信号を格納する。
ここで、遅延を調整する方法としては、例えば、メモリに格納された一方の信号をシフトさせて1サンプル時間の精度で調整する方法、或いは、遅延用の係数を持つデジタルフィルタで1サンプル未満の遅延を調整する方法など、様々な公知の技術を用いることができる。
ここで、例えば、振幅誤差Erramp(t)=|Rx(t)|/|Tx(t)|と表され、また、位相誤差Errphase(t)としては送信信号Tx(t)から見た帰還信号Rx(t)の相対角度で表した位相誤差が用いられる。
誤差マッピング部126は、入力されたアドレスAddress(t)に入力された振幅誤差Erramp(t)及び位相誤差Errphase(t)をマッピングして、一回の歪補償テーブル112の更新のために用いる複数のマッピング情報を群として、歪補償テーブル112の更新周期T毎に一度、誤差情報Errinfo(T)として誤差補間部127へ出力する。
一構成例として、本例の誤差マッピング部126では、アドレスAddress(t)として、振幅検出部111で求めたもの(或いは、それに対応するもの)を入力しており、この場合、遅延調整部124では、入力信号(送信信号)を基準信号として信号処理を行わずに送信信号Tx(t)として出力し、帰還信号の遅延を調整して帰還信号Rx(t)として出力する。
他の構成例として、振幅検出部111と同じ機能(或いは、類似した機能)を持つ回路を設けて、入力信号(送信信号Tx(t))を入力してアドレスAddress(t)を求めてもよい。
図16(a)には、横軸にアドレス(入力電力)を示し、縦軸に振幅の誤差を示して、最小二乗近似の一例を示してある。また、図16(b)には、横軸にアドレス(入力電力)を示し、縦軸に位相の誤差を示して、最小二乗近似の一例を示してある。
図16(a)、(b)において、白丸は誤差のサンプルを示しており、実線は最小二乗法によって求められた近似曲線を示している。
LUTamp((n+1)T)
=LUTamp(nT)×μ{1/LUT_Erramp(nT)}
LUTphase((n+1)T)
=LUTphase(nT)+μ{−LUT_Errphase(nT)}
・・(式1)
なお、歪補償テーブル112には、例えば、極座標−直交座標変換を行って、複素数の形で格納しておく形態が望ましい。
(問題1)複雑な非線形特性を持つ電力増幅器では、理想とは異なる近似を行うこととなり得るため、DPDの十分な性能が得られない結果となり得る。
図17には、理想とは異なる近似が行われて、誤差を正しく近似できない場合の例を示してある。横軸はアドレス(入力電力)を示しており、縦軸は振幅誤差を示している。白丸は誤差のサンプルを示しており、また、理想的な近似曲線の例と、最小二乗法によって求められた近似曲線の例を示してある。
(問題3)メモリ効果を補償するDPDに好ましい更新方法が明示されていない。
具体的には、上記した(問題1)を解消する構成(構成例A1と言う)や、上記した(問題2)を解消する構成(構成例A2と言う)や、上記した(問題3)を解消する構成(構成例A3と言う)を実現する。
上記目的を達成するため、本発明では、入力信号を増幅する増幅器で発生する歪をプリディストーション方式で補償する歪補償装置において、次のような構成とした。
すなわち、係数記憶手段が、各アドレスに、当該各アドレスに対応する入力信号にプリディストーションを与えるための歪補償係数を記憶する。アドレス検出手段が、入力信号に対応する0〜(M−1)番目のM(Mは2以上の整数)ビットのアドレスを検出する。アドレス生成手段が、設定されたN(NはMより小さい整数)を用いて、前記アドレス検出手段により検出されたMビットのアドレスについて、0〜(M−N−2)番目までのビット値を切り捨て且つ(M−N−1)番目のビット値を0捨1入した(0なら切り捨て1なら繰り上げた)アドレスを生成する。誤差マッピング手段が、入力信号と前記増幅器の出力信号との誤差のデータを、当該入力信号について前記アドレス生成手段により生成されたアドレスにマッピングして、各アドレスについて平均化し、その結果に基づく誤差情報を生成する。更新制御手段が、前記誤差マッピング手段により生成された誤差情報に基づいて前記係数記憶手段の記憶内容を更新する。
また、歪補償係数としては、例えば、歪補償を実行するための構成の仕方に応じて、種々な値が用いられてもよい。
また、誤差としては、例えば、振幅の誤差や、位相の誤差を用いることができる。
また、誤差のデータの平均化としては、種々な態様で行われてもよく、例えば、係数記憶手段の記憶内容の更新周期毎に平均化を行うような態様を用いることができる。
また、誤差情報に基づいて係数記憶手段の記憶内容を更新する態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、誤差情報により示される誤差が低減されるように更新する態様を用いることができる。
上記目的を達成するため、本発明では、入力信号を増幅する増幅器で発生する歪をプリディストーション方式で補償する歪補償装置において、次のような構成とした。
すなわち、係数記憶手段が、各アドレスに、当該各アドレスに対応する入力信号にプリディストーションを与えるための歪補償係数を記憶する。アドレス取得手段が、入力信号に対応するアドレス又はそれに基づくアドレスを取得する。誤差データ選択手段が、入力信号と前記増幅器の出力信号との誤差のデータについて、設定された範囲を外れる誤差のデータを除外して、他の誤差のデータ(設定された範囲内の誤差のデータ)を選択する。誤差マッピング手段が、前記誤差データ選択手段により選択された入力信号と前記増幅器の出力信号との誤差のデータを、当該入力信号について前記アドレス取得手段により取得されたアドレスにマッピングして、各アドレスについて平均化し、その結果に基づく誤差情報を生成する。更新制御手段が、前記誤差マッピング手段により生成された誤差情報に基づいて前記係数記憶手段の記憶内容を更新する。
また、歪補償係数としては、例えば、歪補償を実行するための構成の仕方に応じて、種々な値が用いられてもよい。
また、誤差としては、例えば、振幅の誤差や、位相の誤差を用いることができる。
また、誤差に関する範囲としては、種々な範囲が用いられてもよく、例えば、上限と下限の両方が用いられてもよく、或いは、上限と下限のうちの一方のみが用いられてもよい。また、範囲としては、例えば、「以上」や「以下」で表されてもよく、或いは、「超える」や「未満」で表されてもよい。
また、誤差のデータの平均化としては、種々な態様で行われてもよく、例えば、係数記憶手段の記憶内容の更新周期毎に平均化を行うような態様を用いることができる。
また、誤差情報に基づいて係数記憶手段の記憶内容を更新する態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、誤差情報により示される誤差が低減されるように更新する態様を用いることができる。
上記目的を達成するため、本発明では、入力信号を増幅する増幅器で発生するメモリ効果による歪をプリディストーション方式で補償する歪補償装置において、次のような構成とした。
すなわち、メモリ効果用の係数記憶手段が、各アドレスに、当該各アドレスに対応する入力信号にプリディストーションを与えるためのメモリ効果用の歪補償係数を記憶する。アドレス取得手段が、入力信号に対応するアドレス又はそれに基づくアドレスを取得する。誤差マッピング手段が、入力信号と前記増幅器の出力信号との誤差のデータを、当該入力信号について前記アドレス取得手段により取得されたアドレスにマッピングするとともに、入力信号と前記増幅器の出力信号との誤差のデータの符号(正負の符号)を反転したデータを、当該入力信号よりも過去の入力信号について前記アドレス取得手段により取得されたアドレスにマッピングして、各アドレスについて平均化し、その結果に基づく誤差情報を生成する。更新制御手段が、前記誤差マッピング手段により生成された誤差情報に基づいて前記係数記憶手段の記憶内容を更新する。
また、歪補償係数としては、例えば、歪補償を実行するための構成の仕方に応じて、種々な値が用いられてもよい。
また、誤差としては、例えば、振幅の誤差や、位相の誤差を用いることができる。
また、誤差のデータの平均化としては、種々な態様で行われてもよく、例えば、係数記憶手段の記憶内容の更新周期毎に平均化を行うような態様を用いることができる。
また、誤差情報に基づいて係数記憶手段の記憶内容を更新する態様としては、種々な態様が用いられてもよく、例えば、誤差情報により示される誤差が低減されるように更新する態様を用いることができる。
本実施例に係る、電力増幅器の非線形歪をデジタルプリディストーション方式により補償するDPD機能付き電力増幅器の全体的な構成は、例えば、図13に示されるものと同様である。
例えば、従来例で示したDPDは一例であり、種々なDPDに適用されてもよい。
また、歪補償テーブル(LUT)や誤差の値としては、極座標系の値(R、θ)ばかりでなく、直交座標系の値(I、Q)を用いることもできる。これらの座標系の交換式は、I+jQ=R・exp(jθ)となる。
また、集約して補間する対象としては、本実施例では誤差を用いるが、補正値が用いられてもよい。この場合においても、極座標系の値(1/Erramp(nT)、−Errphase(nT))ばかりでなく、直交座標系の値(I(nT)、Q(nT))が用いられて処理が行われてもよい。
図1には、本発明の一実施例に係る波形比較を用いたDPD制御部(図13に示されるDPD制御部108に対応するもの)の構成例を示してある。
本例のDPD制御部は、メモリ1、直交検波部2、メモリ3、遅延調整部4、誤差検出部5、振幅検出部6、誤差代表点集約部7、データ選択部8、誤差マッピング部9、誤差補間部10、LUT更新部11を備えている。
DPD制御部には、入力信号と、A/D変換器(図13に示されるA/D変換器107に対応するもの)からの帰還信号(フィードバック信号)が入力される。
メモリ1は、入力信号を格納する。
直交検波部2は、帰還信号を直交検波することでI相成分及びQ相成分からなる信号として、メモリ3へ出力する。
メモリ3は、直交検波部2から入力された信号を格納する。
ここで、遅延を調整する方法としては、例えば、メモリに格納された一方の信号をシフトさせて1サンプル時間の精度で調整する方法、或いは、遅延用の係数を持つデジタルフィルタで1サンプル未満の遅延を調整する方法など、様々な公知の技術を用いることができる。
ここで、例えば、振幅誤差Erramp(t)=|Rx(t)|/|Tx(t)|と表され、また、位相誤差Errphase(t)としては送信信号Tx(t)から見た帰還信号Rx(t)の相対角度で表した位相誤差が用いられる。
なお、送信信号(入力信号)の振幅に応じた歪補償テーブル(図14に示される歪補償テーブル112に対応するもの)のアドレスの誤差としてマッピングされる。
このように、本例では、DPD制御部が入力信号に基づいてアドレスAddressM(t)を検出するが、他の構成例として、DPD部からDPD制御部にアドレスAddressM(t)が通知される構成が用いられてもよい。
図2を参照して、誤差代表点集約部7により行われる処理(代表点のアドレスAddressN(t)を求める処理)を説明する。なお、M、Nはそれぞれ自然数を表し、M>Nである。
図2に示されるMビット(b0〜bM−1)により歪補償テーブルのアドレスAddressM(t)が構成され、アドレス数は2Mとなる。本例では、アドレスAddressM(t)の上位Nビット(図2の例では、N=3)を用いたアドレスAddressN(t)に誤差をマッピングする。本例では、好ましい態様例として、bM−N−1番目のビットより下位のビットは全て0として、bM−N−1番目のビットを0捨1入し(0であれば捨てて、1であれば繰り上げるようにし)、桁上がりを考慮した(2N+1)の点へマッピングする。
本例では、M=10ビット(歪補償テーブルのアドレスAddressM(t)が0〜1023)、N=3(9個の代表点に集約)である場合を示してある。
図3において、丸印(○)は誤差の集約点(代表点)を示しており、本例では、第1代表点から第9代表点までの9個あり、各代表点のアドレスは[0、128、256、384、512、640、768、896、1023]となる。
また、各代表点に集約(本例では、平均化)するアドレスAddressM(t)の範囲は、[(0〜63)、(64〜191)、(192〜319)、(320〜447)、(448〜575)、(576〜703)、(704〜831)、(832〜959)、(960〜1023)]となる。
このようにしてマッピングした誤差をそれぞれの代表点において平均する。
従って、例えば、従来ではAddress(t)としてbM−1〜b0のビットを用いていたアドレスが、本例では、bM−1〜bM−Nのビットを用いたアドレスに集約される。
ここで、歪補償が安定しない原因は、帰還信号Rx(t)に付加される雑音Noise(t)が存在するために電力増幅器(例えば、図13に示される電力増幅器104に対応するもの)の非線形特性による誤差Error(t)を正確に測定できないためである。
図4(a)に示されるように、送信信号Tx(t)の振幅が大きい場合には、雑音Noise(t)の影響が比較的小さいが、図4(b)に示されるように、送信信号Tx(t)の振幅が小さい場合には、雑音Noise(t)の影響が大きくなる。
特に、送信信号Tx(t)の振幅が0付近では、振幅誤差Erramp(t)が非常に大きくなり、位相誤差Errphase(t)も雑音Noise(t)に支配される。
このように雑音Noise(t)の影響を大きく受けたデータを用いて歪補償テーブルの内容を適応更新すると、歪補償テーブルの内容が振動し、十分な歪補償性能を得ることができない。
なお、他の構成例として、振幅誤差Erramp(t)及び位相誤差Errphase(t)の両方が所定の閾値の範囲外である場合に除外して、振幅誤差Erramp(t)及び位相誤差Errphase(t)のうちの一方でも所定の閾値の範囲内である場合には選択する、ことも可能である。
振幅誤差の採用データの条件
:|10log{Erramp(t)}|<Thamp
・・(式2)
[数3]
振幅誤差の不採用データの条件
:|10log{Erramp(t)}|≧Thamp
・・(式3)
[数4]
位相誤差の採用データの条件
:|Errphase(t)|<Thphase
・・(式4)
[数5]
位相誤差の不採用データの条件
:|Errphase(t)|≧Thphase
・・(式5)
また、本例の誤差検出部5では、位相誤差Errphase(t)については、位相歪がない場合にErrphase(t)=0となるように規格化してある。
具体例として、上限の閾値の絶対値と下限の閾値の絶対値とが異なり、例えば、振幅誤差Errampの閾値を実数で与える場合、振幅誤差Erramp(t)についてデータを選択(採用)する条件は(式6)のように表され、振幅誤差Erramp(t)についてデータを選択しない(不採用とする)条件は(式7)のように表される。
振幅誤差の採用データの条件
:0.25≦Erramp(t)≦4.0
・・(式6)
[数7]
振幅誤差の不採用データの条件
:Erramp(t)<0.25 又は 4.0<Erramp(t)
・・(式7)
従って、ノイズなどの不要な信号が大きいデータを取り除くことにより、歪補償テーブルの内容が安定し、収束時間や追従に要する時間を短縮することができる。
誤差マッピング部9は、歪補償テーブルの更新周期T(例えば、tと同様に、サンプル単位の値)毎に一度、複数のマッピング情報を各アドレス(各代表点)AddressN(t)について平均して、誤差情報Errinfo(T)として誤差補間部10へ出力する。ここで、誤差マッピング部9は、例えば、入力されたアドレスAddressN(t)に入力された振幅誤差Erramp(t)及び位相誤差Errphase(t)をマッピングして、一回の歪補償テーブルの更新のために用いる複数のマッピング情報を群とする。
本例の誤差マッピング部9は、平均化部21を備えている。
入力データは、歪補償テーブルのアドレスAddressN(t)、振幅誤差Erramp(t)、位相誤差Errphase(t)である。入力データは、サンプル単位で時系列的に入力される。
誤差マッピング部9は、入力データを元に誤差マップを得る機能を有しており、同一のアドレスAddressN(t)についての複数の誤差を平均化部21により平均化する。
ここで、誤差マップは、例えば、図5(a)〜(f)に示される誤差(白丸)のようなイメージであるが、誤差マップは仮想的なイメージであり、必ずしもマップを生成する必要はなく、アドレスAddressN(t)の誤差データがErramp(t)、Errphase(t)であるという組み合わせ(データセット)が把握されればよい。
本例では、誤差補間部10は、代表点のアドレスAddressN(t)の誤差情報を用いて、代表点の間におけるアドレスの誤差を内挿することで、歪補償テーブル(図3の例では、1024アドレスのLUT)に対応する。
図7(a)、(b)には、本例における誤差の例を示してある。
図7(a)には振幅誤差を示してあり、図7(b)には位相誤差を示してある。それぞれ、横軸はアドレス(入力電力)を示しており、縦軸は誤差(振幅誤差又は位相誤差)を示している。白丸は誤差のサンプルを示しており、また、補間により求められる線の例を示してある。
本例では、少数の点を用いて補間するため、例えば、無理に近似式を求めることはなく、理想に近い近似ができる。
なお、LUT更新部11の動作としては、例えば、図15に示されるLUT更新部128と同様な動作を用いることができる。
また、本例の歪補償装置では、DPD制御部に、誤差の影響を大きく受けた送信信号Tx(t)のサンプルと帰還信号Rx(t)のサンプルの組み合わせを適応制御に使用しない目的でデータを選択するデータ選択部8を備えた。
また、他の構成例として、補正値に関する閾値を使用することも可能であり、例えば、誤差又は補正値に関する振幅の閾値を使用する方法や、誤差又は補正値に関する位相の閾値を使用する方法を用いることも可能である。
入力信号に対応したアドレスに、入力信号にプリディストーションを与える歪補償係数を対応付けて記憶する歪補償テーブルと、
入力信号と増幅器(本例では、電力増幅器)の出力信号との誤差データを当該入力信号に対応する歪補償テーブルのアドレスにマッピングし、マッピングして得られた誤差情報に基づいて歪補償テーブルを更新する制御部(本例では、DPD制御部)を備え、
前記誤差情報は、入力信号と増幅器の出力信号との誤差データを当該入力信号に対応するアドレスにマッピングして、当該アドレスにおいて平均化する誤差マッピング部(本例では、誤差マッピング部9)により生成され、
前記誤差データをマッピングするアドレスとしては、入力信号に対応したMビット(0〜M−1番目のビット)からなる歪補償テーブルのアドレスに対して、0からM−N−2ビット目までを切り捨て、M−N−1ビット目を0捨1入したアドレスを出力するアドレス集約部(本例では、誤差代表点集約部7)により与えられる。
また、(構成例A1)では、アドレスを操作しただけでデータの集約が行われるという効果があり、例えば、誤差マッピング部としては、従来と同様に、同じアドレスのものを平均化する機能を有するものを用いることができる。
なお、(構成例A1)において問題とされる帰還信号のノイズとは、例えば、一般的な熱雑音である。
入力信号に対応したアドレスに、入力信号にプリディストーションを与える歪補償係数を対応付けて記憶する歪補償テーブルと、
入力信号と増幅器(本例では、電力増幅器)の出力信号との誤差データを当該入力信号に対応する歪補償テーブルのアドレスにマッピングし、マッピングして得られた誤差情報に基づいて歪補償テーブルを更新する制御部(本例では、DPD制御部)を備え、
前記マッピングされる誤差データとしては、入力信号と増幅器の出力信号との誤差データから予め定めた誤差の範囲を外れる誤差データを除外する誤差データ選択部(本例では、データ選択部8)を介して与えられる。
図8には、本発明の一実施例に係る波形比較を用いたDPD制御部(図13に示されるDPD制御部108に対応するもの)の構成例を示してある。
本例のDPD制御部は、メモリ1、直交検波部2、メモリ3、遅延調整部4、誤差検出部5、振幅検出部6、誤差代表点集約部7、データ選択部8、誤差マッピング部9、LUT補間代表点更新部31、LUT補間部32を備えている。
本例のDPD制御部では、歪補償テーブル(LUT)の代表点について更新を行い、更新後の代表点の情報を用いて歪補償テーブルを補間する方法を用いる。
LUT補間代表点更新部31は、誤差マッピング部9から入力された誤差情報Errinfo(T)に基づいて、例えば、(式1)を用いて、歪補償テーブルの代表点のみの情報を更新し、代表点における振幅情報LUTamp(T)及び位相情報LUTphase(T)をLUT補間部32へ出力する。
ここで、補間方法としては、種々な方法が用いられてもよく、例えば、スプライン補間やラグランジュ補間など、様々な公知の技術を用いることができる。
本例では、メモリ効果を補償するDPD(メモリDPD)における波形比較を用いた歪補償テーブル(LUT)の更新方法について説明する。
図9(a)、(b)、(c)を参照して、メモリ効果がある場合における誤差について説明する。
図9(a)には、送信信号の時間波形の一例を示してあり、横軸は時間を表しており、縦軸は振幅を表している。
図9(b)には、振幅誤差の時間波形の一例を示してあり、横軸は時間を表しており、縦軸は振幅誤差を表している。
図9(c)には、振幅誤差のマッピング(メモリ効果あり)の一例を示してあり、横軸はアドレスを表しており、縦軸は振幅誤差を表している。
ここで、従来の典型的なDPDでは、平均的なAM/AM特性及びAM/PM特性を補償することはできるが、メモリ効果を補償することができないため、メモリ効果補償用のDPD機能部が別に設けられる。
ここで、メモリレスPD部41としては、例えば、図14に示されるようなプリディストータ(DPD部)が用いられる。
本例のメモリPD部42は、振幅検出部51、メモリなどで構成されるルックアップテーブル(LUT)からなるメモリ効果歪補償テーブル52、遅延部53、加算器54、乗算器55、加算器56を備えている。
メモリレスPD部41には、入力信号として、例えば図13、図14に示されるものと同様に、複素ベクトルのIQデジタルベースバンド信号が入力される。
メモリレスPD部41によりプリディストーション処理された信号は、メモリPD部42へ出力される。
振幅検出部51は、入力信号の振幅を検出して、その検出結果(振幅の値)をメモリ効果歪補償テーブル52へ出力する。
メモリ効果歪補償テーブル52は、振幅検出部51から入力された振幅の値(参照引数)に対応したアドレスの歪補償係数の値(本例では、複素数)を遅延部53及び加算器54へ出力する。
加算器54は、メモリ効果歪補償テーブル52から入力された歪補償係数と遅延部53から遅延されて入力された歪補償係数との差を計算して、その結果を乗算器55へ出力する。
乗算器55は、入力信号(メモリレスPD部41からの出力信号)と加算器54から入力された信号(歪補償係数の差分)とを乗算して、その結果を加算器56へ出力する。これにより、本例では、メモリ効果によって発生する歪の逆特性が和の形で表される。
加算器56は、入力信号(メモリレスPD部41からの出力信号)と乗算器55から入力された信号(乗算結果)とを加算して、その結果の信号を、プリディストータ出力信号として、出力する。この信号は、例えば、図13に示されるような構成では、D/A変換器102へ出力される。
図11には、メモリ効果を補償するために使用する誤差マッピング部61の構成例を示してある。
本例の誤差マッピング部61は、例えば、メモリPD部42のメモリ効果歪補償テーブル52を更新するDPD制御部の構成として、図1や図8や図15に示されるようなDPD制御部と同様な構成を用いる場合に、その中の誤差マッピング部(図1や図8における誤差マッピング部9や、図15における誤差マッピング部126)として用いられる。
なお、メモリレスPD部41とメモリPD部42とについて、それぞれ、別個に制御部(本例では、DPD制御部)が設けられる。
本例の誤差マッピング部61により行われる動作の一例を示す。
誤差マッピング部61には、アドレスAddress(t)、振幅誤差Erramp(t)及び位相誤差Errphase(t)が入力される。アドレスAddress(t)は平均化部74及び遅延部71に入力され、振幅誤差Erramp(t)は平均化部74及び符号反転部72に入力され、位相誤差Errphase(t)は平均化部74及び符号反転部73に入力される。
符号反転部72は、入力された振幅誤差Erramp(t)の正負の符号を反転させて、その結果−Erramp(t)を平均化部74へ出力する。
符号反転部73は、入力された位相誤差Errphase(t)の正負の符号を反転させて、その結果−Errphase(t)を平均化部74へ出力する。
なお、本例では、メモリレスPDの歪補償テーブルの更新周期TとメモリPDのメモリ効果歪補償テーブルの更新周期Tとが同一である場合を示したが、他の構成例として、これらの更新周期が異なる態様が用いられてもよい。
また、遅延部71で与える遅延量τとしては、例えば、メモリ効果の特性に依存し、メモリPD部42の遅延部53で与える遅延量と等しくすることが望ましい。
また、各符号反転部72、73は、信号の正負を反転する機能を有しており、例えば、信号に−1を乗算する。なお、この符号反転は、例えば、メモリPD部42の加算器54で差を取っていることに対応している。
本例では、τ=1サンプルである場合におけるマッピングの一例を示してある。データは同等に扱うが、説明のため、遅延無しのものであるAddress(t)のマッピング点を白丸(○)で示してあり、また、遅延有りのものであるAddress(t−τ)のマッピング点を黒丸(●)で示してある。
ここで、Address(t)のマッピング点(白丸)は、図9(c)に示されるものと等しい。
具体例としては、(式1)におけるμとして1.0以下の値を選んで、(式1)を使用して更新を繰り返すことによって、メモリDPDのメモリ効果歪補償テーブルを収束させることができ、メモリ効果によって発生する非線形歪を補償することができる。このようにして、波形比較を用いてメモリDPDのメモリ効果歪補償テーブル(LUT)を適応制御することができる。
これにより、本例の歪補償装置では、メモリDPDに波形比較を適用することができ、メモリ効果によって発生する歪を良好に補償することができる。
入力信号に対応したアドレスに、入力信号にプリディストーションを与える歪補償係数を対応付けて記憶するメモリ効果歪補償テーブルと、
入力信号と増幅器(本例では、電力増幅器)の出力信号との誤差データを当該入力信号に対応するメモリ効果歪補償テーブルのアドレスにマッピングし、マッピングして得られた誤差情報に基づいてメモリ効果歪補償テーブルを更新する制御部(本例では、DPD制御部)を備え、
前記誤差情報は、入力信号と増幅器の出力信号との誤差データを当該入力信号に対応するアドレスにマッピングして、当該アドレスにおいて平均化する誤差マッピング部(本例では、誤差マッピング部61)により生成され、
ここで、誤差マッピング部61においてマッピングされる誤差データとしては、入力信号と増幅器の出力信号との誤差データが該当する時刻における入力信号に対応したアドレスにマッピングされると同時に、入力信号と増幅器の出力信号との誤差データの符号を反転したデータが該当する時刻以前の入力信号に対応したアドレスにマッピングされる。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
101・・DPD部、 102・・D/A変換器、 103・・アップコンバータ(周波数変換部)、 104・・電力増幅器、 105・・方向性結合器、 106・・ダウンコンバータ(周波数変換部)、 107・・A/D変換器、 108・・DPD制御部、 112・・歪補償テーブル、 113・・PD実行部(例えば、乗算器)、
Claims (1)
- 入力信号を増幅する増幅器で発生する歪をプリディストーション方式で補償する歪補償装置において、
各アドレスに、当該各アドレスに対応する入力信号にプリディストーションを与えるための歪補償係数を記憶する係数記憶手段と、
入力信号に対応する0〜(M−1)番目のM(Mは2以上の整数)ビットのアドレスを検出するアドレス検出手段と、
設定されたN(NはMより小さい整数)を用いて、前記アドレス検出手段により検出されたMビットのアドレスについて、0〜(M−N−2)番目までのビット値を切り捨て且つ(M−N−1)番目のビット値を0捨1入したアドレスを生成するアドレス生成手段と、
入力信号と前記増幅器の出力信号との誤差のデータを、当該入力信号について前記アドレス生成手段により生成されたアドレスにマッピングして、各アドレスについて平均化し、その結果に基づく誤差情報を生成する誤差マッピング手段と、
前記誤差マッピング手段により生成された誤差情報に基づいて前記係数記憶手段の記憶内容を更新する更新制御手段と、
を備えたことを特徴とする歪補償装置。
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