JP2011086853A - フォトニック結晶発光ダイオード - Google Patents

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Abstract

【課題】長期に亘って劣化しにくく、エネルギー効率及び発光効率の高いフォトニック結晶発光ダイオードを提供する。
【解決手段】本発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、活性層を、短波長側の光を発する第1活性層12と、長波長側の光を発する第2活性層13の2層構造にし、第2活性層13とその上に積層された第2半導体層14に対して2次元フォトニック結晶構造を形成している。このような構造を採ることにより、第1活性層12では発光効率が低下しない。一方、第2活性層13では、空孔18を設けることにより光取り出し効率が向上するものの、非発光再結合が増加し、発光効率が低下する。しかしながら、第1活性層12から放射された発光効率の高い光が第2活性層13で吸収され、光励起が生じることにより、第2活性層13で光が高効率で再発光される。その結果、発光効率の高い長波長光が、空孔18から高効率で放出される。
【選択図】図1

Description

本発明は、活性層等に2次元フォトニック結晶構造を形成した発光ダイオードに関する。
半導体発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、低消費電力、長寿命、小型、高信頼性等の特長を有することから、表示用光源や乗用車のテールランプ、信号灯、携帯電話等のポータブル機器のバックライト等、様々な分野で広く用いられている。また、近年では、乗用車のヘッドランプや照明灯などの大光量光源への応用が期待されており、発光ダイオードの高輝度化が望まれている。
発光ダイオードは、p型半導体層、活性層、n型半導体層を積層し、それらを一対の電極で挟み込んだ構成を有している。発光ダイオードはこれら一対の電極間に電圧が印加されることにより電子及び正孔が活性層に移動し、そこで両者が再結合して光を発生する。しかし実際上、発生した光の多くの部分が外部に取り出されることなく活性層内に留まる。従って、発光ダイオードの発光効率(外部量子効率)は、活性層で発光する際の内部量子効率のみならず、発光した光を外部に取り出す光取り出し効率にも依存し、光取り出し効率の向上が発光効率の向上に大きく寄与する。
発光ダイオードの光取り出し効率を向上させる方法の一つに、2次元フォトニック結晶構造を利用する方法がある。2次元フォトニック結晶は、一般的に、誘電体から成る母材内に、母材とは屈折率の異なる領域(異屈折率領域)を2次元周期的に設けたものであり、これにより、結晶内に光の伝播が不可能となるエネルギー領域(波長帯)を形成させることができる。このエネルギー領域のことをフォトニックバンドギャップ(PBG)と呼ぶ。フォトニックバンドギャップは誘電体の屈折率や周期構造の周期長等により定まり、フォトニックバンドギャップ内のエネルギー(以下では「PBG波長域」と称す)に対応する波長を有する光は周期構造が形成された面内を伝播することができず、この面に垂直な方向にのみ伝播する(放射される)。なお、フォトニック結晶の異屈折率領域は、母材に空孔を設けることによっても形成することができる。このように異屈折率領域を空孔としたフォトニック結晶は、製造が容易であるうえ、母材との屈折率の差を大きくすることができ、これによってフォトニックバンドギャップを広くすることができる。
2次元フォトニック結晶構造を用いた発光ダイオードとして、例えば特許文献1の発光ダイオードがある。この発光ダイオードでは、一対の電極とその間に設けられたp型半導体層、活性層、n型半導体層からなる層構造に、これら3層を貫通する空孔を2次元周期的に多数形成することにより2次元フォトニック結晶構造を形成している。このような構成により、活性層において電子と正孔とが再結合することにより得られた発光は、各層に平行な面内には伝播することができず、これらの層に垂直な方向にのみ取り出すことができる。つまり、取り出し効率の高い発光ダイオードを実現することができる。
特許文献1の発光ダイオードは、2次元フォトニック結晶構造により形成されるフォトニックバンドギャップを利用したものであるが、これとは別に、2次元フォトニック結晶構造を回折格子として用いることもできる。このような構造を用いた発光ダイオードを、以下、回折格子型2次元フォトニック結晶発光ダイオードと呼び、上述のフォトニックバンドギャップを利用した発光ダイオードをPBG型2次元フォトニック結晶ダイオードと呼ぶことにする。PBG型2次元フォトニック結晶発光ダイオードと回折格子型2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、発光体の外部量子効率を向上させるメカニズムが次のように異なっている。
PBG型2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、上記のように、発光波長をPBG波長域内に設定して面内方向への発光を抑制し、面垂直方向に発光を振り向けることにより外部量子効率を向上させる。なお、PBG型の構造を用いるには、空孔の周期長と発光波長を同程度に設定する必要がある。
一方、回折格子型2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、空孔の周期を発光波長よりも大きく設定し、発光体内部と外部との面内波数ベクトル保存則制限をフォトニック結晶による逆格子ベクトルを含めた保存則に置き換えることにより全反射条件を緩めて光取り出し効率を向上、つまり外部量子効率を向上させている。
特開2004-289096号公報([0003],図3) 特開2009-60046号公報 特開2007-173353号公報
発光ダイオードの活性層には、高い発光効率を持ち、さらに紫外域から赤色領域まで発光色を調整することができるInGaN系の量子井戸構造が多く用いられている。InGaNはIn(インジウム)とGa(ガリウム)の組成比を変えることで発光波長を変化させることができる。ここで、発光層と基板の格子定数差のため、数nmから数十nm程度の大きさの点状の局在準位領域や量子ドット(以下、これらをまとめて「局在準位領域」と呼ぶ)が活性層内に多数形成される。上記のような局在準位領域を有する活性層では、この局在準位領域において電子と正孔が再結合することにより発光が生じることになる。
しかしながら、上記の局在準位領域は、表面近傍に存在すると、界面の影響を受けることが知られている。この界面の影響を受けた局在準位領域において電子と正孔が再結合すると、光ではなく熱が放出されてしまう(非発光再結合または表面再結合)。フォトニック結晶構造を用いた発光ダイオードは、PBG型、回折格子型のいずれにせよ、活性層に空孔を設ける点で共通する。活性層に空孔を設けると活性層の表面積が大きくなるため、界面の影響を受けた局在準位領域の数が増加し、これによる非発光再結合の増加によって、発光効率がかえって低下してしまうことがある。
上記のように、フォトニック結晶構造を用いることによる光取り出し効率の向上と非発光再結合の増加による発光効率の低下はトレードオフの関係になる。これに対し、特許文献2は、非発光再結合による発光効率の低下を抑えつつ、光取り出し効率を向上させるために必要な空孔の周期を与えている。しかしながら、特許文献2に記載の2次元フォトニック結晶は回折格子型を対象としており、特許文献2で与えられる空孔の周期は、一般的に発光波長より大きくなる。そのため、PBG型2次元フォトニック結晶発光ダイオードに対して特許文献2の方法を適用することは難しい。
一方、特許文献3に記載の2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、p型半導体層とn型半導体層のいずれか一方、又は両方の空孔側面を酸化させ、高抵抗化させることで、活性層の空孔側面近傍における電子と正孔の流入を抑え、非発光再結合の発生を抑制している。この発光ダイオードは、PBG型と回折格子型の両方の2次元フォトニック結晶構造に対して、空孔側面近傍における非発光過程を減少させ、発光効率を向上させることができる。
特許文献3の発光ダイオードは、その製造過程において、p型半導体層及び/又はn型半導体層に設けられた空孔側面を酸化させる工程を含んでいる。そのため、AlGaAs、AlGaP、AlGaInP、AlGaN等の酸化し易い半導体材料(特許文献3では「酸化容易物質」)を用いることが、一様な酸化領域の形成及び製造時間の短縮等の観点から望ましい。しかしながら、このような酸化容易物質を用いて作製された発光ダイオードは、酸化による劣化も早く、長期的に見ると発光効率とエネルギー効率が結局は低下してしまう。勿論、酸化し難い材料を用いても、長時間酸化処理を施すことで同様の発光ダイオードを作製することができるが、製造時間及び製造コストが増大してしまう。また、長時間酸化処理を施すことにより、酸化させる必要のない部分まで酸化させてしまう恐れもある。
本発明が解決しようとする課題は、長期に亘って劣化しにくく、エネルギー効率及び発光効率の高いフォトニック結晶発光ダイオードを提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、第1半導体層、第1活性層、第2活性層、第2半導体層の4層がこの順に積層され、第1電極が該第1半導体層に、第2電極が該第2半導体層に、それぞれ電気的に接続された構造を有する発光ダイオードにおいて、
前記第2活性層が、前記第1活性層より長波長の光を発光する層であり、
前記第2半導体層及び前記第2活性層を貫通する空孔が、フォトニック結晶構造を形成するように2次元周期的に配置されている
ことを特徴とする。
なお、本発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、第1半導体層と第1活性層の間、第1活性層と第2活性層の間、第2活性層と第2半導体層の間、又は第1或いは第2半導体層と電極との間に、スペーサ等の他の層が挟まれていてもよい。
本発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードによれば、活性層を、短波長側の光を放出する第1活性層と長波長の光を放出する第2活性層との2層構造にし、第2活性層側だけにフォトニック結晶の空孔を設けている。このような構造を採ることにより、第1活性層では非発光再結合による発光効率の低下が生じない。一方、第2活性層では空孔が設けられているため、光取り出し効率は向上するものの、上記のように非発光再結合が増加してしまう。しかしながら、第1活性層から放射された発光効率の高い光が第2活性層で吸収され、光励起が生じることにより、第2活性層で光が高効率で再発光される。第2活性層における本来の発光過程にこの再発光された光が加わることにより、結果として発光効率の高い長波長光が、第2活性層及び第2半導体層に設けられた空孔から高効率で取り出される(放出される)ことになる。
また、InGaN系の活性層では、長波長光は短波長光よりも局在準位領域のエネルギー深さが高く、表面再結合速度が低くなる。従って、空孔を設けない第1活性層の光を短波長に、空孔を設ける第2活性層の光を長波長にすることで、その逆の組み合わせよりも、空孔を設けることによる表面再結合の増加及び発光効率の低下を防ぐことができる。
なお、第1活性層における発光は、その光の全てが第2活性層において吸収されるようにしても良いし、一部が第2活性層及び第2半導体層に設けられた空孔から放出されるようにしても良い。第1活性層の光の一部を空孔から放出することにより、第2活性層の光と混色させることができる。ここで、第1活性層において青色光を、第2活性層においてその補色である黄色光を、それぞれ発生させることにより、白色光を放出する白色発光ダイオードを得ることができる。
本発明では発光ダイオードの各層に用いる材料に制約がないため、酸化し難い材料を用いることができ、長期に亘って発光ダイオードのエネルギー効率及び発光効率を高くすることができる。また、PBG型と回折格子型の両方の2次元フォトニック結晶発光ダイオードに対して上記の構成を用いることができる。
本発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードの一実施例を示す縦断面図(a)、及び上面図(b)。 本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの発光のメカニズムを示す模式図。 本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードに関して、空孔側面の表面積の増加に対する内部量子効率の変化を測定した結果を示すグラフ。 InGaN活性層の発光中心波長と、各波長の光を放出する局在準位領域のエネルギー深さεLとの関係を示すグラフ。 InGaN活性層の発光中心波長と、室温における相対熱活性確率比との関係を示すグラフ。 本発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードの変形例の発光のメカニズムを示す模式図。 本変形例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードが放出する光の発光スペクトル強度の計算結果を示すグラフ。
本発明の発光ダイオードの第2半導体層側表面には、多数の空孔が2次元周期的に設けられている。前記空孔は第2半導体層及び第2活性層を貫通しており、これによって発光ダイオードの表面に2次元フォトニック結晶構造が形成される。各空孔は第2活性層を貫通していても良く、第2活性層内で終止していても良い。従来と同様に、空孔の配置は正方格子状や三角格子状等とすることができる。また、各空孔の形状も従来と同様に円柱状や三角形状等の種々の柱状にすることができる。
本発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードの一実施例を各図を参照して説明する。
本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの縦断面図及び上面図を図1の(a)及び(b)に示す。本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、サファイア基板10の上に第1半導体層11、第1活性層12、第2活性層13、第2半導体層14を順に積層して構成されている。ここで、第1半導体層11はn型GaN半導体、第1活性層12及び第2活性層13はInGaN半導体、第2半導体層14はp型GaN半導体、から成る層である。なお、第1活性層12及び第2活性層13はInとGaの組成比が異なっており、第2活性層の方がInの割合が多くなっている。これにより、第2活性層は第1活性層に比べて長波長の光を発することができる。また、第1活性層12及び第2活性層13はそれぞれ多重量子井戸構造、例えば6層の量子井戸構造から成る。
第2半導体層14の上には透明電極層15が積層され、透明電極層15の上面の一部には第2電極(p型電極)16が形成されている。また、これらの積層構造の一部を取り除くことで第1半導体層11を露出させており、この露出した第1半導体層の上に第1電極(n型電極)17が形成されている。
第2活性層13及び第2半導体層14には、これらの層にほぼ垂直な方向に延びる多数の空孔18が設けられている。前記空孔18は、第2活性層13及び第2半導体層14に平行な面内で三角格子状に配置されている。なお、透明電極層15上に第2電極16が設けられている領域には空孔18を形成しない。
図2は、本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの発光のメカニズムを示す模式図である。なお、図2では第1活性層12及び第2活性層13をそれぞれ複数の層で表しているが、これは第1活性層12及び第2活性層13は多重量子井戸構造であることを示している。
本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、第1活性層12及び第2活性層13の局在準位領域において、第2電極16(又は透明電極層15)及び第1電極17から注入された電子及び正孔が再結合することにより、短波長光20及び長波長光21がそれぞれ放出される。ここで、長波長光21の発光効率は、第1活性層12に設けられた空孔18により低下している。しかしながら、短波長光20が第1活性層12に吸収され、光励起が生じることにより、長波長光21Aが第1活性層12で再発光される。従って、本来の発光過程で生じた長波長光21と再発光により生じた長波長光21Aとが、空孔18より外部に放出され、その結果、発光効率と光取り出し効率の高い2次元フォトニック結晶発光ダイオードを得ることができる。
次に、第1活性層12の発光波長を短波長側に、第2活性層13の発光波長を長波長側にする理由を、図3〜図5を用いて説明する。
図3は、InGaN活性層に対して2次元フォトニック結晶構造を形成した場合の、空孔側面の表面積の増加に対する内部量子効率の変化を、時間分解PL及び時間分解ELにより測定した結果を示したグラフである。ここで、横軸はA/V(A:空孔側面の面積、V:空孔を除いた活性層の体積)であり、縦軸はτPCnoPC(τPC:空孔を設けたときのキャリア寿命、τnoPC:空孔を設けなかったときのキャリア寿命)である。この縦軸のτnoPCpcは、発光寿命が変化しないという仮定のもとで、空孔を設けなかったときの内部量子効率に対する空孔を設けたときの内部量子効率の比と等しくなる。
図3の●は発光波長中心が470nmである青色光を発するInGaN活性層に対して行った実験結果を、○は発光波長中心が520nmである緑色光を発するInGaN活性層に対して行った実験結果を、それぞれ示している。また、実線は●を、破線は○を、それぞれ補間して得られたものである。なお、InGaN活性層の発光波長はInとGaの組成比、具体的にはInGaNをInXGa1-XN(ただし、Xは0<X<0.5)で表した場合のXの値に依存する。このXの値が大きくなるに従い、InGaN活性層の発光波長は長波長側に変化することになる。
図3のグラフに示しているように、空孔の表面積が増加するに従って、キャリア寿命の低下が見られるが、緑色光を発光するInGaN活性層の方が青色光を発光するInGaN活性層よりもその影響は小さい。従って、緑色光を発光するInGaN活性層の方が、青色光を発光するInGaN活性層よりも、空孔を設けることによる内部量子効率の減少が小さいことがわかる。
図4は、InGaN活性層の発光中心波長と、各波長の光を放出する局在準位領域のエネルギー深さεLとの関係を示したグラフである。このグラフの短波長側の3点は、文献値(S. F. Chichibu, Y. Kawakami, and T. Sota: in Introduction to Nitride Semiconductor Blue Lasers and Light Emitting Diodes,ed. S. Nakamura and S. F. Chichibu (CRC PRESS, 2000), Chap.5.を参照)であり、長波長側の2点が実験により得られた結果である。この図のグラフに示しているように、発光中心波長が長波長側に移動するにつれて局在準位領域のエネルギー深さεLは大きくなる。
図5は、図4の実験結果(文献値を含む)から計算した、室温における相対熱活性確率比exp(-εL/(kBT))と、発光中心波長との関係を示したグラフである(ただし、kBはボルツマン定数、Tは室温である)。この相対熱活性確率比exp(-εL/(kBT))に対して、次のような関係が得られる。
vdiff ∝ D = D0 exp(-εL / (kB T))
τ-1 nr (hole) = (vdiff σ Nt) × A / V
vS = vdiff σ Nt
ただし、D、D0、vdiff、τ-1 nr (hole)、σ、Nt、vSはそれぞれキャリア拡散係数、拡散係数のpre-factor、キャリア拡散速度、孔側面での非発光緩和時間の逆数、非発光欠陥捕獲断面積、非発光欠陥密度、表面再結合速度である。これらの式及び図5のグラフから、表面再結合速度vSは発光中心波長が大きくなるに従って小さくなることが分かる。実際、発光波長中心が470nmである青色光ではvS=3×103cm/s、発光波長中心が520nmである緑色光ではvS=0.3×103cm/sの表面再結合速度となることが実験により示された。表面再結合速度vSが小さくなるということは、表面再結合が生じにくくなるということであるため、短波長光を発するInGaN活性層よりも長波長光を発するInGaN活性層の方が、活性層に空孔を設けることによる表面再結合の増加を抑えることができることになる。
次に、本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの変形例を示す。本変形例は図1の2次元フォトニック結晶発光ダイオードと構造は同じであるものの、第1半導体層が発する光を全て第2半導体層に吸収させるのではなく、その一部を空孔から放出させることにより、第2活性層が発する光と混色させるようにしたものである。
図6に、本変形例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの発光のメカニズムを示す模式図を示す。本変形例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの第2活性層13からは、上記実施例と同様に、本来の発光過程により生じる長波長光21と、第1活性層12が発する短波長光20を吸収することにより再発光された長波長光21Aとが、空孔18から放出される。一方、第1活性層12が発する短波長光20の全てが第2活性層13に吸収されないようにすることにより、短波長光20の一部である短波長光20Aを空孔18から放出させる。この短波長光20Aと、長波長光21及び21Aとを混色させることにより、所望の演色性を有する光を発する2次元フォトニック結晶発光ダイオードを得ることができる。例えば、長波長光21及び21Aの発光波長を450〜500nmの青色光に、短波長光20Aの発光波長をその補色である560〜670nmの黄色光にすることで、発光効率及び光取り出し効率の高い白色光を発する2次元フォトニック結晶発光ダイオードを得ることができる。
なお、第1活性層12が発する短波長光20が第2活性層13に吸収される光の量や比率は、第1半導体層及び第2半導体層の量子井戸の層数や第2半導体層に設ける空孔の深さ等を調節することにより制御することができる。
図7に、本変形例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードで得られる発光スペクトル強度を計算した結果を示す。ここで、図7の(a)は、第1活性層12の量子井戸の層数を4、内部量子効率を0.2、発光中心波長を460nm(青色光)とし、第2活性層13の量子井戸の層数を10、内部量子効率を0.03、発光中心波長を560nm(黄色光)として、第2活性層13及び第2半導体層14に2次元フォトニック結晶構造を設けなかった発光ダイオードから放出される発光スペクトル強度の計算結果である。また図7の(b)は、図7(a)の発光ダイオードに対して、第2活性層13及び第2半導体層14に2次元フォトニック結晶構造を設けた図1の構造の2次元フォトニック結晶発光ダイオードから放出される発光スペクトル強度である。ここで、図7(b)のグラフは、2次元フォトニック結晶構造(空孔)を設けたことによる光取り出し効率の拡大率(Enhancement Factor)を、第1活性層12側を1.3、第2活性層13側を3.0として、図7(a)の結果に適用して計算を行った。
図7のグラフから分かるように、本変形例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、黄色光の発光効率が大幅に改善されると共に、青色光が第2活性層13及び第2半導体層14に設けられた空孔18から放出される。これにより、これらの光が混色され、白色光が第2半導体層14の上に積層された透明電極層15表面より放出される。従って、発光効率及び光取り出し効率の高い白色光を発する2次元フォトニック結晶発光ダイオードを得ることができる。
なお、本実施例では第1半導体層及び第2半導体層をそれぞれp型半導体及びn型半導体とし、第1電極及び第2電極をそれぞれp型電極及びn型電極としたが、これを逆に、第1半導体層及び第2半導体層をそれぞれn型半導体及びp型半導体とし、第1電極及び第2電極をそれぞれn型電極及びp型電極としても良い。
10…サファイア基板
11…第1半導体層
12…第1活性層
13…第2活性層
14…第2半導体層
15…透明電極層
16…第2電極
17…第1電極
18…空孔
20、20A…短波長光
21、21A…長波長光

Claims (7)

  1. 第1半導体層、第1活性層、第2活性層、第2半導体層の4層がこの順に積層され、第1電極が該第1半導体層に、第2電極が該第2半導体層に、それぞれ電気的に接続された構造を有する発光ダイオードにおいて、
    前記第2活性層が、前記第1活性層より長波長の光を発光する層であり、
    前記第2半導体層及び前記第2活性層を貫通する空孔が、フォトニック結晶構造を形成するように2次元周期的に配置されている
    ことを特徴とする発光ダイオード。
  2. 前記第1活性層及び第2活性層が、それぞれ組成比の異なるInGaN系量子井戸構造から成ることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
  3. 前記第1活性層のInGaN系量子井戸構造の発光中心波長が500nm未満であり、前記第2活性層のInGaN系量子井戸構造の発光中心波長が500nm以上であることを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオード。
  4. 前記第2半導体層に設けられた空孔の深さ、前記第1半導体層における量子井戸の層数、及び第2半導体層における量子井戸の層数の一部又は全てを調整することを特徴とする請求項2又は3に記載の発光ダイオード。
  5. 前記第1活性層で発光した光の全てが前記第2活性層で吸収されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光ダイオード。
  6. 前記第1活性層で発光した光の一部が外部に放出されることにより、該外部に放出された第1活性層の光と前記第2活性層で発光した光とが混色されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の発光ダイオード。
  7. 前記第1活性層で発光した光の発光中心波長が450〜500nmの青色光であり、前記第2活性層で発光した光の発光中心波長が560〜670nmの黄色光であることを特徴とする請求項6に記載の発光ダイオード。
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