JP2011054828A - フォトニック結晶発光ダイオード - Google Patents

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進 野田
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卓 浅野
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誠之 冨士田
Hitoshi Kitagawa
均 北川
Shunei Sudo
俊英 須藤
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Abstract

【課題】長期に亘って劣化しにくく、エネルギー効率及び発光効率の高いフォトニック結晶発光ダイオードを提供する。
【解決手段】サファイア基板10の上にn型GaN層12、InGaN活性層14、p型GaN層16、透明電極層18を積層して発光ダイオードを構成し、そのp型GaN層16、InGaN活性層14、n型GaN層12に、これらの層にほぼ垂直な方向に延びる多数の空孔24を2次元周期的に設けることにより2次元フォトニック結晶構造が形成する。p型GaN層16上に積層された透明電極層18は、p型GaN層16に設けられた空孔24の縁から所定の距離以上離間されている。これにより、2次元フォトニック結晶構造を用いたことによる内部量子効率の低下が抑えられ、発光ダイオードの発光効率を向上させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、活性層等に2次元フォトニック結晶構造を形成した発光ダイオードに関する。
半導体発光素子である発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、低消費電力、長寿命、小型、高信頼性等の特長を有することから、表示用光源や乗用車のテールランプ、信号灯、携帯電話等のポータブル機器のバックライト等、様々な分野で広く用いられている。また、近年では、乗用車のヘッドランプや照明灯などの大光量光源への応用が期待されており、発光ダイオードの高輝度化が望まれている。
発光ダイオードは、p型半導体層、活性層、n型半導体層を積層し、それらを一対の電極で挟み込んだ構成を有している。発光ダイオードはこれら一対の電極間に電圧が印加されることにより電子及び正孔が活性層に移動し、そこで両者が再結合して光を発生する。しかし実際上、発生した光の多くの部分が外部に取り出されることなく活性層内に留まる。従って、発光ダイオードの発光効率(外部量子効率)は、活性層で発光する際の内部量子効率のみならず、発光した光を外部に取り出す光取り出し効率にも依存し、光取り出し効率の向上が発光効率の向上に大きく寄与する。
発光ダイオードの光取り出し効率を向上させる方法の一つに、2次元フォトニック結晶構造を利用する方法がある。2次元フォトニック結晶は、一般的に、誘電体から成る母材内に、母材とは屈折率の異なる領域(異屈折率領域)を2次元周期的に設けたものであり、これにより、結晶内に光の伝播が不可能となるエネルギー領域(波長帯)を形成させることができる。このエネルギー領域のことをフォトニックバンドギャップ(PBG)と呼ぶ。フォトニックバンドギャップは誘電体の屈折率や周期構造の周期長等により定まり、フォトニックバンドギャップ内のエネルギー(以下では「PBG波長域」と称す)に対応する波長を有する光は周期構造が形成された面内を伝播することができず、この面に垂直な方向にのみ伝播する(放射される)。なお、フォトニック結晶の異屈折率領域は、母材に空孔を設けることによっても形成することができる。このように異屈折率領域を空孔としたフォトニック結晶は、製造が容易であるうえ、母材との屈折率の差を大きくすることができ、これによってフォトニックバンドギャップを広くすることができる。
2次元フォトニック結晶構造を用いた発光ダイオードとして、例えば特許文献1の発光ダイオードがある。この発光ダイオードでは、一対の電極とその間に設けられたp型半導体層、活性層、n型半導体層からなる層構造に、これら3層を貫通する空孔を2次元周期的に多数形成することにより2次元フォトニック結晶構造を形成している。このような構成により、活性層において電子と正孔とが再結合することにより得られた発光は、各層に平行な面内には伝播することができず、これらの層に垂直な方向にのみ取り出すことができる。つまり、取り出し効率の高い発光ダイオードを実現することができる。
特許文献1の発光ダイオードは、2次元フォトニック結晶構造により形成されるフォトニックバンドギャップを利用したものであるが、これとは別に、2次元フォトニック結晶構造を回折格子として用いることもできる。このような構造を用いた発光ダイオードを、以下、回折格子型2次元フォトニック結晶発光ダイオードと呼び、上述のフォトニックバンドギャップを利用した発光ダイオードをPBG型2次元フォトニック結晶ダイオードと呼ぶことにする。PBG型2次元フォトニック結晶発光ダイオードと回折格子型2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、発光体の外部量子効率を向上させるメカニズムが次のように異なっている。
PBG型2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、上記のように、発光波長をPBG波長域内に設定して面内方向への発光を抑制し、面垂直方向に発光を振り向けることにより外部量子効率を向上させる。なお、PBG型の構造を用いるには、空孔の周期長と発光波長を同程度に設定する必要がある。
一方、回折格子型2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、空孔の周期を発光波長よりも大きく設定し、発光体内部と外部との面内波数ベクトル保存則制限をフォトニック結晶による逆格子ベクトルを含めた保存則に置き換えることにより全反射条件を緩めて光取り出し効率を向上、つまり外部量子効率を向上させている。
特開2004-289096号公報([0003],図3) 特開2009-60046号公報 特開2007-173353号公報
発光ダイオードの活性層には、高い発光効率を持ち、さらに紫外域から赤色領域まで発光色を調整することができるInGaNの量子井戸構造や量子ドット構造が多く用いられている。InGaNはIn(インジウム)とGa(ガリウム)の組成比を変えることで発光波長を変化させることができる。ここで、発光層と基板の格子定数差のため、数nmから数十nm程度の大きさの点状の局在準位領域や量子ドット(以下、これらをまとめて「局在準位領域」と呼ぶ)が活性層内に多数形成される。上記のような局在準位領域を有する活性層では、この局在準位領域において電子と正孔が再結合することにより発光が生じることになる。
しかしながら、上記の局在準位領域は、表面近傍に存在すると、界面の影響を受けることが知られている。この界面の影響を受けた局在準位領域において電子と正孔が再結合すると、光ではなく熱が放出されてしまう(非発光再結合または表面再結合)。フォトニック結晶構造を用いた発光ダイオードは、PBG型、回折格子型のいずれにせよ、活性層に空孔を設ける点で共通する。活性層に空孔を設けると活性層の表面積が大きくなるため、界面の影響を受けた局在準位領域の数が増加し、これによる非発光再結合の増加によって、発光効率がかえって低下してしまうことがある。
上記のように、フォトニック結晶構造を用いることによる光取り出し効率の向上と非発光再結合の増加による発光効率の低下はトレードオフの関係になる。これに対し、特許文献2は、非発光再結合による発光効率の低下を抑えつつ、光取り出し効率を向上させるために必要な空孔の周期を与えている。しかしながら、特許文献2に記載の2次元フォトニック結晶は回折格子型を対象としており、特許文献2で与えられる空孔の周期は、一般的に発光波長より大きくなる。そのため、PBG型2次元フォトニック結晶発光ダイオードに対して特許文献2の方法を適用することは難しい。
一方、特許文献3に記載の2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、p型半導体層とn型半導体層のいずれか一方、又は両方の空孔側面を酸化させ、高抵抗化させることで、活性層の空孔側面近傍における電子と正孔の流入を抑え、非発光再結合の発生を抑制している。この発光ダイオードは、PBG型と回折格子型の両方の2次元フォトニック結晶構造に対して、空孔側面近傍における非発光過程を減少させ、発光効率を向上させることができる。
特許文献3の発光ダイオードは、その製造過程において、p型半導体層及び/又はn型半導体層に設けられた空孔側面を酸化させる工程を含んでいる。そのため、AlGaAs、AlGaP、AlGaInP、AlGaN等の酸化し易い半導体材料(特許文献3では「酸化容易物質」)を用いることが、一様な酸化領域の形成及び製造時間の短縮等の観点から望ましい。しかしながら、このような酸化容易物質を用いて作製された発光ダイオードは、酸化による劣化も早く、長期的に見ると発光効率とエネルギー効率が結局は低下してしまう。勿論、酸化し難い材料を用いても、長時間酸化処理を施すことで同様の発光ダイオードを作製することができるが、製造時間及び製造コストが増大してしまう。また、長時間酸化処理を施すことにより、酸化させる必要のない部分まで酸化させてしまう恐れもある。
本発明が解決しようとする課題は、長期に亘って劣化しにくく、エネルギー効率及び発光効率の高いフォトニック結晶発光ダイオードを提供することである。
上記課題を解決するために成された第1発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、第1半導体層、活性層、第2半導体層の3層がこの順に積層され、第1電極が該第1半導体層に、第2電極が該第2半導体層に、それぞれ電気的に接続された構造を有する発光ダイオードにおいて、
前記3層のうち少なくとも第1半導体層と活性層を貫通する空孔が、フォトニック結晶構造を形成するように2次元周期的に配置されると共に、
前記第1電極が、前記第1半導体層の、前記空孔と該空孔を囲う第1非電流注入領域とを除いた領域を覆っていることを特徴とする。
また、第2発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、第1半導体層、活性層、第2半導体層の3層がこの順に積層され、第1電極が該第1半導体層に、第2電極が該第2半導体層に、それぞれ電気的に接続された構造を有する発光ダイオードにおいて、
前記活性層と前記第2半導体層のうち少なくとも活性層を貫通する空孔が、フォトニック結晶構造を形成するように2次元周期的に配置されると共に、
前記第1半導体層が、前記活性層の、前記空孔と該空孔を囲う第2非電流注入領域とを除いた領域を覆っていることを特徴とする。
さらに、第3発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、第1半導体層、活性層、第2半導体層の3層がこの順に積層され、第1電極が該第1半導体層に、第2電極が該第2半導体層に、それぞれ電気的に接続された構造を有する発光ダイオードにおいて、
前記3層のうち少なくとも第1半導体層と活性層を貫通する空孔が、フォトニック結晶構造を形成するように2次元周期的に配置されると共に、
前記第1半導体層に設けられた空孔の側面をスパッタリングにより高抵抗化させることを特徴とする。
なお、上記の発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、第1半導体層と活性層の間、活性層と第2半導体層の間、又は第1或いは第2半導体層と電極の間に、スペーサ等の他の層が挟まれていてもよい。
本発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードによれば、活性層に設けられた空孔近傍において非発光再結合による発光効率の低下が生じないよう、電極のカバー領域を調整し、又は第1半導体層に設けられた空孔の側面をスパッタリングによって高抵抗化させている。これにより、活性層の空孔側面近傍に存在する局在準位領域における電子と正孔の流入が抑えられ、非発光再結合の発生が抑制される。その結果、発光ダイオードの発光効率が向上する。本発明では発光ダイオードの各層に用いる材料に制約がないため、酸化し難い材料を用いることができ、長期に亘って発光ダイオードのエネルギー効率及び発光効率を高くすることが可能となる。また、PBG型と回折格子型の両方の2次元フォトニック結晶発光ダイオードに対して上記の構成を用いることができる。
第1実施例の発光ダイオードの縦断面図(a)、及び上面図(b)。 従来の発光ダイオードの縦断面図(a)、及び上面図(b)。 第1実施例における透明電極、p型GaN層、InGaN活性層周辺の拡大図。 p型GaN層に設けられた空孔と、p型GaN層上に設けられた透明電極と、InGaN活性層に存在する局在準位領域との位置関係を表す模式図。 第2実施例の発光ダイオードの縦断面図。 第2実施例における透明電極、p型GaN層、InGaN活性層周辺の拡大図。 第3実施例の発光ダイオードの縦断面図(a)、及び(a)におけるA-A'断面とInGaN活性層に存在する局在準位領域との位置関係を表す模式図(b)。 第3実施例と従来例の発光ダイオードに対する空孔側面の表面積とキャリア寿命の関係を表すグラフ。 第3実施例と従来例の発光ダイオードのキャリア寿命の変化を示す模式図。
本発明の発光ダイオードの表面には、多数の空孔が2次元周期的に設けられている。前記空孔はp型半導体層及びn型半導体層の少なくとも一方と活性層を貫通しており、これによって発光ダイオードの表面に2次元フォトニック結晶構造が形成される。各空孔は3層の全てを貫通していてもよく、p型半導体層又はn型半導体層内で終止していても良い。従来と同様に、空孔の配置は正方格子状や三角格子状等とすることができる。また、各空孔の形状も従来と同様に円柱状や三角形状等の種々の柱状にすることができる。
第1発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードの一実施例を図1〜図4を用いて説明する。
本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの縦断面図及び上面図を図1の(a)及び(b)に示す。本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、サファイア基板10の上にn型GaN層12、InGaN活性層14、p型GaN層16を積層して構成されている。InGaN活性層14は多重量子井戸構造、例えば6層の量子井戸構造から成る。p型GaN層16の上には透明電極層18が積層され、透明電極層18の上面の一部にはp型電極20が形成されている。また、これらの積層構造の一部を取り除くことでn型GaN層12を露出させており、この露出したn型GaN層の上にn型電極22が形成されている。
p型GaN層16、InGaN活性層14、n型GaN層12には、これらの層にほぼ垂直な方向に延びる多数の空孔24が設けられている。前記空孔24は、p型GaN層16、InGaN活性層14、n型GaN層12に平行な面内で三角格子状に配置されている。なお、透明電極層18上に前記p型電極20が設けられている領域には空孔24を形成しない。
本実施例に特徴的な構造として、p型GaN層16上に積層された透明電極層18が、p型GaN層16に設けられた空孔の縁から所定の距離以上離間して設けられている。これを、図2に示した従来の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの構造と比較して説明する。なお、図2の(a)及び(b)は、従来の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの縦断面図及び上面図である。図2における図1中に記載の構成要素と同一の構成要素については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
図2の2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、p型GaN層16上に積層された透明電極層18Aがp型GaN層16に設けられた空孔24以外の領域全域を覆っている点が、本実施例のものと異なっている。すなわち、従来の2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、透明電極層18Aからのキャリア注入は、p型GaN層16の、空孔24が設けられていない領域全域に対して行われている。一方、本実施例はp型GaN層16の空孔24近傍に電流注入が行われない領域(第1非電流注入領域26)があるため、透明電極層からの電流注入領域は、従来型のそれに比べて縮小(シュリンク)されている。以下、透明電極層18の空孔の縁からの縮小幅をシュリンク幅と称し、このシュリンク幅について詳しく説明する。
まず、シュリンクされた透明電極層18から発光ダイオードの各層に水平な方向(以下、「横方向」と称す)への正孔の拡散長について、図3及び図4を用いて説明する。図3は図2の一部を拡大したものであり、図示しないn型GaN層12の上に、InGaN活性層14、厚さZのp型GaN層16が順に積層され、透明電極層18がp型GaN層16の表面に空孔24の縁から距離L1だけ縮小されて設けられている。また、図4はp型GaN層16に設けられた空孔24と、p型GaN層16上に設けられた透明電極層18と、InGaN活性層14に存在する局在準位領域30との位置関係を表す模式図である。なお、図4において、局在準位領域30を直径Dの球領域で表しているが、局在準位領域30の形状は球とは限らず、またその大きさも一様でない。しかしながら、以下では平均的に直径Dの大きさを有する球領域であるとして議論することにする。
透明電極層18から注入された正孔(キャリア)の、p型GaN層16における横方向への拡散長は、p型GaN層16の厚さZと等しい。従って、透明電極層18のシュリンク幅L1を、p型GaN層16の厚さZと局在準位領域30の大きさDを用いて、
1 > Z+D
とすることにより、透明電極層18から注入された正孔が、空孔側面近傍に存在する界面の影響を受けた局在準位領域30Aに到達しないようにすることができる。なお、局在準位領域30の大きさDはInGaN活性層14のInの組成比によって異なるが、典型的には30nm程度となる。また、p型GaN層16の厚さZは大体100nmである。従って、透明電極層18のシュリンク幅L1を130nm〜150nm程度に設定することにより、透明電極層18をシュリンクさせることによる効果を得ることができる。
第2発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードの一実施例を図5及び図6を用いて説明する。図5は、本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの縦断面であり、図6は、図5の一部を拡大したものである。
本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードは、図5及び図6に示すように、p型GaN層16Aを、従来の2次元フォトニック結晶のp型GaN層16から縮小させることにより、第2非電流注入領域28を形成している点が、第1実施例とは異なっている。以下では、p型GaN層16Aの縮小幅もシュリンク幅と呼ぶことにし、これをL2で表すことにする。なお、本実施例では第1実施例と異なり、透明電極層18はp型GaN層16Aの上面の空孔以外の領域全域を覆っている。
本実施例では、p型GaN層16Aをシュリンクさせているため、p型GaN層16Aの空孔側側面まで正孔が到達しても、それ以上空孔24に近づくことができない。従って、p型GaN層16Aのシュリンク幅L2
> D
とするだけで、第1実施例と同じ効果を得ることができる。なお、上記のように局在準位領域30の大きさDは30nm程度であるため、p型GaN層16Aのシュリンク幅Lは30nm〜50nm程度に設定すれば良いことが分かる。
第3発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードの一実施例を図7〜図9を用いて説明する。図7の(a)及び(b)は、本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの縦断面図及び横断面図である。図7の(a)及び(b)に示すように、本発明の2次元フォトニック結晶発光ダイオードは図2に示した従来型の2次元フォトニック結晶発光ダイオードと基本構造は同じであるが、p型GaN層16の空孔側壁表面から幅Rの領域に、スパッタリングによって高抵抗化された高抵抗領域32が形成されている点が異なっている。
本発明の基本的な概念は、第2発明に係る2次元フォトニック結晶発光ダイオードと同じであり、p型GaN層16の空孔側面に高抵抗領域32を形成することにより、透明電極層18から注入された正孔の高抵抗領域32への移動を阻害し、InGaN活性層14の空孔側面から幅Rの領域に存在する界面の影響を受けた局在準位領域30Aに、正孔が注入されないようにしている。すなわち、p型GaN層16の空孔側面に形成される高抵抗領域32が、第2発明の2次元フォトニック結晶発光ダイオードにおける第2非電流注入領域に相当し、高抵抗領域32の幅Rがp型GaN層16Aのシュリンク幅L2に相当する。従って、高抵抗領域32の幅Rは、シュリンク幅L2と同様に
R > D
とすれば良いことが分かる。上述したように、InGaN活性層における局在準位領域の大きさは30nm程度であるため、Rは30nm〜50nm程度にすれば良い。
なお、この高抵抗領域32の高抵抗化は、以下に示すドーパントの不活性化又はキャリアの空乏化によって行うことができる。
(1)ドーパントの不活性化
p型半導体は、ZnやMg等のp型ドーパントを半導体にドープすることで得ることができる。p型半導体内の正孔はこのp型ドーパント間を移動するため、このp型ドーパントを不活性にすることで、正孔の移動を阻害することができる。
ドーパントの不活性化は、p型GaN層16の空孔側面をスパッタ粒子でスパッタさせる際に、所定の衝突エネルギーをスパッタ粒子に与えることによって行うことができる。この衝突エネルギーは基板バイアス、スパッタ粒子の入射角、基板温度等で制御することができるため、どのような半導体材料に対しても容易に高抵抗領域を作ることができる。
(2)キャリアの空乏化
キャリアの空乏化は、p型半導体にドナー準位を形成させることや、n型半導体にアクセプタ準位を形成させることによるキャリア補償によって行うことができる。また、p型半導体又はn型半導体に、アクセプター準位又はドナー準位として機能しないほど室温の熱エネルギーより十分に深いキャリア捕獲準位(Deep level欠陥準位)を形成させることによっても行うことができる。
本実施例では、例えばスパッタ粒子をp型GaN層16の空孔側面にスパッタさせる際に、スパッタ粒子にSi等を混入させるなどによって、このスパッタされた領域にドナー準位を形成させることができる。ドナー準位が形成されたp型GaN層16の空孔側面は、キャリア補償によってキャリアが空乏化することにより高抵抗化される。なお、キャリアの空乏化による高抵抗化は、n型GaN層12に対して行っても良いし、p型GaN層16とn型GaN層12の両方に対して行っても良い。
(3)本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードの特性の計算結果
次に、空孔の側面に高抵抗領域32を形成した場合としなかった場合の内部量子効率の変化について、図8を用いて説明する。図8の横軸はA/V(A:空孔の表面積、V:空孔を除いた活性層の体積)であり、縦軸はτPCnoPC(τPC:空孔を設けたときのキャリア寿命、τnoPC:空孔を設けなかったときのキャリア寿命)である。この図8の縦軸のτnoPCpcは、発光寿命が変化しないという仮定のもとで、空孔を設けなかったときの内部量子効率に対する空孔を設けたときの内部量子効率の比と等しくなる。なお、スパッタリングによる高抵抗領域の形成は一様に行うことが難しいため、空孔表面から幅Rの領域に対して被覆率C(>0)で高抵抗化されたものとして計算を行っている。高抵抗領域32が幅Rの領域の全域に亘って形成できた場合にはC=1となる。
図8の■は、高抵抗領域を形成しなかった従来の2次元フォトニック結晶発光ダイオードに対する、時間分解PL又は時間分解ELによるキャリア寿命の測定値を示している。また、この測定値を補間(最小自乗近似)したものを実線で示している。この図に示すように、InGaN活性層14の体積に対して空孔24の表面積が増加すると、キャリア寿命の比は大きく減少し、内部量子効率の比もそれに伴って減少することが分かる。
一方、高抵抗領域を形成した本実施例の2次元フォトニック結晶発光ダイオードに対する結果を図8の破線で示す。この結果は、従来の2次元フォトニック結晶発光ダイオードに対する結果を用いて、次の方法により計算したものである。この計算方法を、図9を用いて説明する。
まず、従来の2次元フォトニック結晶発光ダイオードに対するキャリア寿命比の変化を関数f(X)で表す。なお、X=A/Vである。キャリア寿命比、すなわち内部量子効率比は、上述のように、空孔24の側面近傍に存在する局在準位領域30Aに注入されるキャリアの数によって変化する。従来の2次元フォトニック結晶発光ダイオードでは、表面積の大きさがそのままキャリアの数に比例するが、被覆率Cで高抵抗化させた場合には、この界面の影響を受けた局在準位領域に注入されるキャリアの数は減少し、(1−C)Xに比例することになる。従って、被覆率Cの場合には、キャリア寿命比τnoPCpcはf((1−C)X)で変化することが分かる。
図9に示した方法を適用した結果が図8の破線である。この図8の破線に示すように、本実施例による内部量子効率は、従来のものに比べて大きく改善されることが分かる。
10…サファイア基板
12…n型GaN層
14…InGaN活性層
16、16A…p型GaN層
18、18A…透明電極層
20…p型電極
22…n型電極
24…空孔
26…第1非電流注入領域
28…第2非電流注入領域
30、30A…局在準位領域
32…高抵抗領域

Claims (11)

  1. 第1半導体層、活性層、第2半導体層の3層がこの順に積層され、第1電極が該第1半導体層に、第2電極が該第2半導体層に、それぞれ電気的に接続された構造を有する発光ダイオードにおいて、
    前記3層のうち少なくとも第1半導体層と活性層を貫通する空孔が、フォトニック結晶構造を形成するように2次元周期的に配置されると共に、
    前記第1電極が、前記第1半導体層の、前記空孔と該空孔を第1非電流注入領域とを除いた領域を覆っていることを特徴とする発光ダイオード。
  2. 前記第1非電流注入領域の外縁部と内縁部の間の最近接距離L1が、次の式
    1 > Z+D
    (ただし、Zは第1半導体層の厚さ、Dは活性層に形成される局在準位領域の大きさを示す。)
    を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード。
  3. 前記第1非電流注入領域の外縁部と内縁部の間の最近接距離L1が130nm〜150nmであることを特徴とする請求項2に記載の発光ダイオード。
  4. 第1半導体層、活性層、第2半導体層の3層がこの順に積層され、第1電極が該第1半導体層に、第2電極が該第2半導体層に、それぞれ電気的に接続された構造を有する発光ダイオードにおいて、
    前記活性層と前記第2半導体層のうち少なくとも活性層を貫通する空孔が、フォトニック結晶構造を形成するように2次元周期的に配置されると共に、
    前記第1半導体層が、前記活性層の、前記空孔と該空孔を囲う第2非電流注入領域とを除いた領域を覆っていることを特徴とする発光ダイオード。
  5. 前記第2非電流注入領域の外縁部と内縁部の間の最近接距離L2が、次の式
    2 > D
    (ただし、Dは活性層に形成される局在準位領域の大きさを示す。)
    を満たしていることを特徴とする請求項4に記載の発光ダイオード。
  6. 前記第2非電流注入領域の外縁部と内縁部の間の最近接距離L2が30nm〜50nmであることを特徴とする請求項5に記載の発光ダイオード。
  7. 第1半導体層、活性層、第2半導体層の3層がこの順に積層され、第1電極が該第1半導体層に、第2電極が該第2半導体層に、それぞれ電気的に接続された構造を有する発光ダイオードにおいて、
    前記3層のうち少なくとも第1半導体層と活性層を貫通する空孔が、フォトニック結晶構造を形成するように2次元周期的に配置されると共に、
    前記第1半導体層に設けられた空孔の側面をスパッタリングにより高抵抗化させたことを特徴とする発光ダイオード。
  8. 前記高抵抗化が、前記空孔の側壁表面から幅Rの領域に形成されると共に、該幅Rが
    R > D
    (ただし、Dは活性層に形成される局在準位領域の大きさを示す。)
    を満たしていることを特徴とする請求項7に記載の発光ダイオード。
  9. 前記幅Rが30nm〜50nmであることを特徴とする請求項8に記載の発光ダイオード。
  10. 前記高抵抗化が、ドーパントの不活性化によるものであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の発光ダイオード。
  11. 前記高抵抗化が、キャリアの空乏化によるものであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の発光ダイオード。
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