JP2010171272A - 発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】GaP厚膜の成長を伴う発光素子において、従来のバルク型活性層の長寿命、低抵抗という利点を維持しつつ、多重活性層型発光素子の持つ高い発光効率(特に内部量子効率)を両立させた発光素子を提供する。
【解決手段】少なくとも、AlGaInPからなるp型クラッド層及びn型クラッド層と、前記p型クラッド層及び前記n型クラッド層に挟まれたAlGaInPからなる少なくとも2層以上の活性層と、該活性層よりAl組成が高いAlGaInPからなる障壁層とを有する構造の化合物半導体基板を用いて製造された発光素子であって、前記活性層と前記障壁層は交互に積層されたものであって、前記活性層と前記障壁層の界面に、該活性層よりAl組成が高く、かつ該障壁層の最大Al組成より低い、厚さ0.5〜1.7nmの領域を有する発光素子。
【選択図】図1

Description

本発明は、照明や表示機の光源となる有色の発光素子に関し、具体的には多重の活性層を有する発光素子に関するものである。
AlGaInPを発光層に持つ発光素子は従来の有色の発光素子に比べて1桁以上明るいため、車載照明やLCDバックライトなど従来の発光ダイオードとは異なる用途で需要が拡大している。このAlGaInPが直接遷移型であるということも寄与しているが、更に透明かつ厚い窓層を設けることで外部量子効率を高めていることも明るくなっている要因にある。
一方、厚い透明導電層を基板及び窓層に設けるとともに、内部量子効率を高めるため、多重量子井戸(MQW)を設けることで発光効率を高めることができることが、例えば非特許文献1などに示されている。
また、AlGaInP系発光素子ではAlGaAs若しくはGaPが窓層として用いられるが、AlGaAs層は水分に対して劣化する特性上の問題があり、一般的にはGaPが用いられている。しかしながら、厚いGaP層を設けるためにはAlGaInP発光層部に直接GaP基板を接合するか、GaPの厚膜を結晶成長しなければならない。
例えばGaP基板を直接接合する方法では、例えば特許文献1に示されているようにGaPとの接合界面での障壁層が生じる問題があり、これを回避するために、長時間かつ高温の熱処理が必要となる。
また、窓層は一方の面に設けても発光効率の向上には有効だが、他方の面すなわち発光層の上下に設けた方が、より外部量子効率が高まることが知られている。
この場合、他方の窓層は、貼り合わせ、若しくは結晶成長によって形成されるが、GaAs基板は光吸収層として機能するため、他方の窓層形成前に基板を除去する必要がある。
発光素子に必要なAlGaInP系材料からなる発光層は、一般にはGaAs基板上にMOVPE法(有機金属気相成長法:Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)で形成するが、その総膜厚はせいぜい10μm前後である。AlGaInP系とGaAs系は格子整合系ながら、選択エッチング法の利用が可能であり、そのため、選択エッチングに要する層を適切にGaAs基板とAlGaInP層との間に挿入することでGaAs基板を除去することができる。
ただし、発光層を作るために必要なAlGaInP系材料の総膜厚はせいぜい10μm程度であり、AlGaInP層のみでGaAs基板を除去すると残存ウエハの膜厚は10μm前後になってしまう。10μm前後の膜厚のウエハは実験的にはハンドリングは可能だが、割れやすく、工業的な工程を通すために必要な機械的強度を有しない。
そこで、GaAs基板除去前に機械的強度を保つための強度保持板(あるいはウエハ)を、AlGaInP成長面側に貼り付けてから除去する方法も考えられる。この場合、除去されたGaAs基板面側にGaP基板を貼り付けるわけだが、GaP基板を貼り付けた後、強度保持板(あるいはウエハ)は剥離(除去)しなければならず、剥離に伴って洗浄が必要であったり、汚染などの懸念もあり、工業的にはコストが上がるばかりであまりメリットがない。
従って、省コストで工業的な工程を通すためには、GaAs基板除去前に、厚膜GaP層を結晶成長することでウエハに機械的強度を持たせる方法を選択する方が、GaP層部で光取り出し層(窓層)と強度保持板を兼ねることができるため合理的である。
GaP厚膜層を結晶成長で形成する際、工業的工程を通すために十分な機械的強度を持たせるために必要な厚さは20μm以上である。ここで、20μm以上の膜厚のGaP層を結晶成長するためには数〜十数時間が必要である。GaP層は厚膜になるほどGaP側面からの光取り出し増大効果が望めるため、外部量子効率が増すことになる。
従って、高輝度な発光素子を作製するために、成長時間が長くはなっても短くなる事はない。しかしながらGaP層の成長に要する温度は、一般にAlGaInP層を成長するために必要な温度より同等以上の高温が必要であり、AlGaInP発光層部はMOVPE成長時の温度、若しくはそれより高い温度に長時間さらされることになる。
ところで、通常発光素子に用いられるウエハでは、発光層の窓層に接する部分には、キャリアを閉じ込めるための導電型がp型とn型のp型クラッド層とn型クラッド層と呼ばれる層が設けられており、更にp型クラッド層とn型クラッド層の間には活性層と呼ばれる層がある。またp型クラッド層にはp型の窓層が、n型クラッド層にはn型の窓層が接している。
p型クラッド層にはMgやZnなどのp型不純物がドーピングされており、加熱されることによって、熱力学に従って拡散し、活性層中にも拡散することが知られている。活性層中に拡散したp型不純物は欠陥を形成しやすいため、通電などによる素子寿命試験時に欠陥を形成し、その結果、キャリア注入効率の低下、光吸収の増大等を引き起こし、寿命試験時や実際の通電時に光出力の低下現象を引き起こす。
p型不純物の拡散は、(AlGa1−xIn1−yP中のAl組成xに大きく依存するため、Al組成xが少なければ不純物の拡散が早く、不純物が滞留しにくい。
例えば、活性層はAl組成xが少ないため、活性層中の不純物拡散速度は、Al組成xの高いクラッド層より相対的に早く、不純物が滞在しにくい。不純物濃度は隣接する層の不純物濃度によって変わるが、活性層に隣接する層にはキャリア閉じ込めのためのクラッド層が必要であり、一般にクラッド層はドーピングされている。
このクラッド層は、活性層よりワイドバンドギャップである必要があるため、Al組成xが大きく、不純物拡散は活性層より遅い。また、活性層への注入効率を落とさないため、クラッド層はある程度以上の濃度の不純物を保持していなければならず、クラッド層に存在する不純物は活性層中へ拡散する。この不純物の拡散があっても、活性層の厚さがある程度以上の厚さを有していれば、不純物拡散による影響が起こる不純物濃度以下に設計することができる。
例えば、活性層中への不純物拡散による欠陥形成が起こる部位が50nm程度で、発光再結合に必要な有効活性層膜厚が500nm程度である場合は、550nm程度の均一で一様組成の活性層を設けておけば、不純物の拡散があっても活性層における発光再結合は維持される。ただし、本例における50nmの不純物拡散汚染層は非発光再結合が他の活性層より大きい層でもあり、発光効率が低下する要因になる。便宜上、この型の活性層をバルク型活性層と呼ぶ。
このようなバルク型活性層は不純物拡散の影響を抑止する点では利点がある活性層だが、これではp型とn型のクラッド層に挟まれたキャリア閉じ込め効果しか期待できない上、不純物で汚染された部位は非発光再結合層の機能を有するため、発光効率を上げにくい。そしてこのようなバルク型活性層では60%程度の内部量子効率しかなく、さらに内部量子効率を高める必要がある。
内部量子効率を高める方法として、例えば特許文献2などに示されているように多重量子井戸(MQW)構造を用いる方法がある。
このようにMQW構造をとることにより、量子井戸への閉じ込め効果によって発光効率を高めることができる。しかしながら、MQWの各層の厚さは数〜十数nmと半導体内の電子のド・ブロイ波長程度であるため、バルク型の活性層の場合と比べると大幅に各層の厚さは薄く、前述したように活性層に与える不純物拡散の影響が大きくなる。MQWにおける活性層の総厚をバルク型程度に増やせば解決できる可能性もあるが、大幅に層数を増やす必要があり、活性層の自己吸収で内部量子効率は低下する。
また、MQWに擬似的な形で、ド・ブロイ波長以上の膜厚に各層を設定して、少ない層数で発光効率を高める方法もある。この場合、不純物拡散は適切に制御されるため、寿命試験時に問題がおきにくく、長寿命の発光素子の作製が可能である。AlGaInP系以外の別の材料系でも別組成の層を挟むことでMg拡散抑制の効果が示されており、例えば特許文献3などに同様の効果を見ることができる。
しかし、各層の膜厚がド・ブロイ波長以上の場合は、活性層と活性層の間に設ける障壁層におけるトンネル現象は起こらないため、活性層から隣接する他の活性層へのキャリア輸送減少はホッピングに頼るしかない。電子は有効質量が小さいため、ホッピングは比較的容易だが、正孔は有効質量が電子よりも大幅に大きく、障壁層を越えるホッピングの統計的確率は電子に比べて低下する。このため、特にキャリアが少ない低電流域では、活性層におけるキャリア注入効率の低下とそれに伴う発光効率の低下が発生する。
また、キャリア注入効率が低下すると直列抵抗成分の増大を招く。この効果は発光ダイオードのような低電流域で使用するデバイスにおいては大きな問題となる。例えば、活性層よりワイドバンドギャップの材料を挿入することによって直列抵抗成分が増大することは、特許文献4に示されている。しかし、キャリアのホッピングがしにくくなるという事はキャリアの閉じ込め効果が増すことと同義であり、活性層に閉じ込められるキャリアの効果により発光効率は上昇する。
具体的には、特許文献5のような構造において、活性層の厚さを50nm、障壁層の厚さを50nmと設定して、量子効果を用いない9層障壁層を設けた多重活性層型AlGaInP系発光素子において、発光出力はバルク型活性層を有する構造の発光素子と比べて増大する。また、MQWのような数〜十数nm程度の極薄膜構造と比べて光活性部を構成する各層の膜厚が比較的厚いため、特許文献2に示される効果により、GaP厚膜成長中のMg拡散がMQW構造に比べて抑制されるため、長寿命の発光ダイオードが実現できる。
しかしながら、活性層と活性層の間に波動関数が重ならない活性層よりもバンドギャップの大きい障壁層が挿入されているため、20mAの電流を流すのに必要な電圧値が2.5〜3.0V程度と、バルク型活性層の場合の電圧値1.9Vより著しく増大する。
また障壁層の厚さを10〜20nm程度まで減らしても、直列抵抗成分はバルク活性層の1〜2割程度高い水準に留まると共に、障壁層の厚さを減らすことで閉じ込め効果が弱まり、発光出力も低下する。前述の膜厚よりも薄くすると、活性層の厚さは変わらなくなるため、活性層における量子効果を利用することができず、直列抵抗成分の高いだけのバルク型活性層と同様の特性を示すにとどまる。
従って、n型またはp型、あるいはp側とn側両者に30μm以上の厚い膜厚を有するGaP窓層を有するAlGaInP系発光素子において、高い内部量子効率と低い直列抵抗成分と、長寿命を有する発光素子を実現することは現状の技術では困難であった。
特開2006−32837号公報 特開2003−46200公報 特開平06−283825公報 特開平11−251687公報 特開2004−128443公報
Applied Physics Letters Vo.74 No.15 pp.2230−2232
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、GaP厚膜の成長を伴う発光素子において、従来のバルク型活性層の長寿命、低抵抗という利点を維持しつつ、多重活性層型発光素子の持つ高い発光効率(特に内部量子効率)を両立させた発光素子を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明では、少なくとも、(AlGa1−xIn1−yP(0<x<1、0.4≦y≦0.6)からなるp型クラッド層及びn型クラッド層と、前記p型クラッド層及び前記n型クラッド層に挟まれた(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦0.6、0.4≦y≦0.6)からなる少なくとも2層以上の活性層と、該活性層よりAl組成が高い(AlGa1−xIn1−yP(0<x≦1、0.4≦y≦0.6)からなる障壁層とを有する構造の化合物半導体基板を用いて製造された発光素子であって、前記活性層と前記障壁層は交互に積層されたものであって、前記活性層と前記障壁層の界面に、該活性層よりAl組成が高く、かつ該障壁層の最大Al組成より低い、厚さ0.5〜1.7nmの領域を有するものであることを特徴とする発光素子を提供する。
活性層にp型不純物が存在する場合、非発光再結合中心になるため、内部量子効率が低下することになる。しかし、本発明のように、活性層と障壁層の界面に、該活性層よりAl組成が高く、かつ該障壁層の最大Al組成より低い、厚さ0.5〜1.7nmの領域を設けることによって、活性層よりAl組成が高い故、活性層よりもp型不純物が滞在しやすくなっており、活性層より相対的に高濃度のp型不純物として作用する障壁層を活性層に直接接触させることを回避できる。このように直接接触を防ぐことで、その領域における界面準位の影響のみが主となり、キャリアの消滅を低減することができる。そのため、p型キャリアの正孔とn型キャリアの電子による発光再結合確率を高めることができ、そして内部量子効率を高めることができる。従って、高発光効率且つ長寿命の発光素子とすることができる。
また、活性層よりAl組成が高く、障壁層の最大Al組成より低い領域の厚さを0.5nm以上とすることで、p型不純物が活性層に直接接触することを確実に防止することができる。そして1.7nm以下とすることで、Vfが増加し消費電力が大きくなってしまう不具合の発生を防止することができる。すなわち、低抵抗且つ高発光強度の発光素子とすることができる。
ここで、前記活性層の厚さが、15nm以上50nm以下であることが好ましい。
このように、活性層の厚さを15nm以上とすることで、より確実にp型クラッド層から拡散して障壁層に滞留するMg等のp型不純物の拡散により活性層で発生する欠陥の影響を低減することができるため、素子寿命試験時や実際の通電時に光出力が低下することもなく従来のバルク型と同等の寿命特性が得られるとともに多重構造によるキャリアの閉じ込め効果を発揮させることができる。また、50nm以下とすることで、Vfが増加し消費電力が大きくなってしまう不具合を防止できる。
また、前記障壁層は、前記n型クラッド層に近い側の障壁層が前記p型クラッド層に近い側の障壁層に比べてAl組成が同じか高いものとすることが好ましい。
このように、障壁層のうち、n型クラッド層に近い側の障壁層がp型クラッド層に近い側の障壁層に比べてAl組成が同じか高くすること、即ちp型クラッド層に近い側の障壁層のバンドギャップをn型クラッド層に近い側の障壁層のバンドギャップより同じか小さくすることで、n型キャリアをp型クラッド層近傍まで拡散できるようにすることができる。
また、p型キャリアはn型キャリアより有効質量が重いため、障壁層におけるキャリアホッピング確率がn型キャリアより低かったが、上述のように障壁を下げることで、p型クラッド層側での障壁のホッピング確率を増加させることができ、活性層中での滞在確率を増加させることができる。そしてその結果、バンドギャップが均一の障壁層を有する場合に比べ、活性層中にn型、p型両者のキャリアを均一に分布させることができる。これらの効果によって、直列抵抗の減少と同時に内部量子効率の向上を図ることができる。
そして、前記p型クラッド層からの距離が前記n型クラッド層からの距離と比べて近い障壁層のAlの組成比xが0.6≦x≦1とすることが好ましい。
このように、p型クラッド層からの距離がn型クラッド層からの距離と比べて近い障壁層のAlの組成比xを0.6≦x≦1とすることで、より直列抵抗の低い障壁層とすることができる。
更に、前記障壁層の厚さが、5nm以上50nm以下であることが好ましい。
このように、障壁層の厚さを5nm以上とすることで、トンネル効果によるキャリアの透過を抑制してキャリアの閉じ込め効果をより増加させることができ、更に発光効率を高めることができる。また、50nm以下とすることで、キャリアホッピング確率が低下することを抑制できる。
そして、前記活性層は、前記p型クラッド層に最も近い活性層の厚さが、最も厚さの薄い活性層の2倍以上の厚さとすることが好ましい。
このように、p型クラッド層に最も近い側の活性層の厚さを最も薄い層の2倍以上の厚さとすることで、p型キャリアに比べて障壁層のホッピング確率が高いn型キャリアが、障壁層を越えた場合でもp型クラッド層に近い側の活性層に滞在する確率を増加させることができる。またp型クラッド層に近い側の活性層の方が厚いため、n型キャリアに比べて障壁層のホッピング確率が低いp型キャリアを活性層に多く滞在させることができる。これによって活性層中にn型、p型両者のキャリアが均一に分布するようになる。従って、直列抵抗の減少と同時に内部量子効率の向上を図ることができ、低抵抗且つ高発光効率の発光素子とすることができる。
以上説明したように、本発明によれば、GaP厚膜の成長を伴う発光素子において、従来のバルク型活性層の長寿命、低抵抗という利点を維持しつつ、多重活性層型発光素子の持つ高い発光効率(特に内部量子効率)を両立させた発光素子が提供される。
本発明の発光素子に用いられる化合物半導体基板の概略の一例を示した図である。 本発明の発光素子に用いられる化合物半導体基板の発光層のバンドギャップの大きさの一例の概略を示した図である。 本発明の発光素子に用いられる化合物半導体基板の発光層のバンドギャップの大きさの他の五つの例の概略を示した図である。 本発明の発光素子に用いられる化合物半導体基板の発光層のバンドギャップの大きさの他の一例の概略を示した図である。 本発明の発光素子に用いられる化合物半導体基板の発光層のバンドギャップの大きさの他の一例の概略を示した図である。 本発明の実験例2において、領域を設けた場合(本発明)と設けない場合(従来技術)の発光素子の、活性層厚さに対する発光出力の関係を示した図である。 本発明の実験例2において、領域を設けた場合(本発明)と設けない場合(従来技術)の発光素子の、活性層厚さに対する寿命特性の関係を示した図である。
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、GaP厚膜の成長を伴う発光素子において、従来のバルク型活性層の長寿命、低抵抗という利点を維持しつつ、多重活性層型発光素子の持つ高い発光効率(特に内部量子効率)を両立させた発光素子の開発が待たれていた。
そこで、本発明者は、上記課題の解決手段について鋭意検討を重ねたところ、活性層と活性層よりAl組成が高い障壁層が交互に積層された構造を有する化合物半導体基板の活性層と障壁層の界面に、該活性層よりAl組成が高く、かつ該障壁層の最大Al組成より低い、厚さ0.5〜1.7nmの領域を設けることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。図1(a)は本発明の第一の形態の発光素子、図1(b)はそれに用いられる化合物半導体基板の概略、図1(c)はバンドギャップを示した図である。
図1(a)に示したように本発明の発光素子10は、少なくとも、化合物半導体基板100と、その表面上に形成された電極11からなるものである。
そして図1(b)に示すように、この半導体基板100は、例えば、少なくとも、第一層として厚さが30〜150μm、ドーピング濃度が5.0×1017〜5.0×1018atoms/cmのn型GaP層101、第二層として厚さが5〜50nm、ドーピング濃度が1.0×1018〜1.0×1019atoms/cmのn型InGa1−XP(0.5<x<0.9)緩衝層102、第三層として厚さが0.1〜1.5μm、ドーピング濃度が1.0×1017〜1.0×1018atoms/cm(ドーパントはSiまたはSe)のn型(AlGa1−xIn1−yP(0.5≦x≦0.7、0.45≦y≦0.55)拡散抑止層103、第五層として厚さが0.1〜1.5μm、ドーピング濃度が1.0×1017〜1.0×1018atoms/cm(ドーパントはMgまたはZn)のp型(AlGa1−xIn1−yP(0.5≦x≦0.7、0.45≦y≦0.55)拡散抑止層109、第六層として厚さが5〜50nm、ドーピング濃度が1.0×1018〜1.0×1019atoms/cmのp型InGa1−XP(0.5<x<0.9)緩衝層110、第七層として厚さ5〜200μmのp型GaP窓層111を有し、第三層と第五層の間の第四層として発光層112からなるものである。
そしてこの発光層112は、例えば、厚さ0.5〜1.5μm、ドーピング濃度が1.0×1017〜1.0×1018atoms/cm(ドーパントはSiまたはSe)の(AlGa1−xIn1−yP(0<x<1、0.4≦y≦0.6、特には0.6≦x<1、0.45≦y≦0.55が好ましい)からなるn型クラッド層104、厚さ0.5〜1.5μm、ドーピング濃度が1.0×1017〜1.0×1018atoms/cm(ドーパントはMgまたはZn)の(AlGa1−xIn1−yP(0<x<1、0.4≦y≦0.6、特には0.6≦x<1、0.45≦y≦0.55が好ましい)からなるp型クラッド層108、第三層及び第五層のいずれの層よりもAl組成の少ない少なくとも2層以上で厚さが15〜50nmである(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦0.6、0.4≦y≦0.6、特には0≦x≦0.6、0.45≦y≦0.55が好ましい)からなる活性層105、活性層105と活性層105の間にあり、少なくとも1層以上で厚さが15〜50nmの(AlGa1−xIn1−yP(0<x≦1、0.4≦y≦0.6、特には0<x≦1、0.45≦y≦0.55)からなる障壁層106とによって構成されており、そして活性層105と障壁層106の界面に、該活性層105よりAl組成が高く、かつ該障壁層106の最大Al組成より低い、厚さ0.5〜1.7nmの(AlGa1−xIn1−yP(0<x≦1、0.4≦y≦0.6、特には0<x<1、0.45≦y≦0.55が好ましい)からなる領域107を有するものである。
また障壁層106は、図1(c)に示すように、活性層105よりバンドギャップが大きく、またn型クラッド層104及びp型クラッド層108よりバンドギャップが同じか小さいものであり、かつ活性層105と障壁層106は交互に積層されたものとなっている。
活性層にp型不純物が存在する場合、非発光再結合中心になるため、内部量子効率が低下するが、活性層と障壁層の界面に、該活性層よりAl組成が高く、かつ該障壁層の最大Al組成より低い、厚さ0.5〜1.7nmの領域を設けることで、活性層よりAl組成が高い故、活性層よりもp型不純物が滞在しやすくなっており、活性層より相対的に高濃度のp型不純物として作用する障壁層を活性層に直接接触させることを回避できる。このように直接接触を防ぐことによって、活性層と障壁層の異種界面による界面準位の影響のみが主となり、キャリアの消滅を低減することができる。そのため、p型キャリアの正孔とn型キャリアの電子による発光再結合確率が上がり、結果として内部量子効率を高めることができる。すなわち、発光強度が従来に比べて向上した発光素子とすることができる。
また障壁層のAl組成xを0<x≦1の範囲内で活性層より高くすることで、障壁層の不純物の拡散速度を活性層と比較して遅くすることができ、これによって、不純物が活性層に滞留することを抑制することができる。従って、キャリア注入効率が上昇し、かつ光吸収を抑制できる。そして発光強度をより高いものとすることができる。
また、活性層よりAl組成が高く、障壁層の最大Al組成より低い領域の厚さを0.5nm以上とすることで、活性層にp型不純物が直接接触することを確実に防止することができる。そしてその厚さを1.7nm以下とすることで、Vfが増加し消費電力が大きくなってしまう不具合の発生を確実に防止することができ、これらによって低抵抗且つ高発光強度の発光素子とすることができる。
ここで、p型クラッド層からの距離がn型クラッド層からの距離と比べて近い障壁層のAlの組成比xを0.6≦x≦1とすることが好ましい。
このように、p型クラッド層に近い側の障壁層のAl組成xを0.6≦x≦1とすることで、従来に比べて直列抵抗の低い障壁層とすることができ、よって直列抵抗が従来より小さい発光素子とすることができる。
また、活性層の厚さが、15nm以上50nm以下であることが好ましい。
このように領域107を設けることに加えて活性層の厚さを15nm以上とすることで、より確実にp型クラッド層から拡散して障壁層に滞留するMg等のp型不純物の拡散によって活性層で発生する欠陥の影響を無くすことができる。そして光出力が低下することを抑制することができ、また従来のバルク型と同等の寿命特性を得ることができるとともに、多重構造によるキャリアの閉じ込め効果を得ることができる。
更に、50nm以下とすることで、Vfが増加して消費電力が大きくなってしまう不具合が発生することを確実に防止することができる。
そして、障壁層の厚さが、5nm以上50nm以下であることが好ましい。
このように、障壁層の厚さを5nm以上とすることによって、トンネル効果によるキャリアの透過を抑制することができる。そのため、キャリアの閉じ込め効果をより増加させることができ、更に発光効率を高めることができる。
また、障壁層の厚さを50nm以下とすることで、キャリアホッピング確率が低下するのを抑制することができる。
なお、図1では領域107内で全て均一のAl組成(バンドギャップ)となっているが、Al組成が全て均一である必要はなく、Al組成が活性層105より高く、障壁層106より低ければ、それぞれの領域内で組成が異なっていても構わない。
例えば、本発明の第二の形態として、図2に示すように、領域207のAl組成、即ちバンドギャップを除いて基本的には第一の形態と同じようなn型クラッド層204やp型クラッド層208、活性層及び障壁層を有する構造とすることができる。
そして、領域207のAl組成が、障壁層のAl組成まで連続的に変化した構造となっている。
ここで、本発明の第三の形態として、図3(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すように、障壁層のAl組成、即ちバンドギャップを除いて基本的には第一の形態と同じ構造とすることができる。そしてこの場合、n型クラッド層304a、304b、304c、304d、304eに近い側の障壁層がp型クラッド層308a、308b、308c、308d、308eに近い側の障壁層に比べてAl組成が同じか高いものとすることができる。この場合、領域307a、307b、307c、307d、307eは、例えば図3(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すようにすることができる。
また、本発明の第四の形態として、図4に示すように、障壁層のAl組成、即ちバンドギャップを除いて基本的には第一の形態と同じ構造とすることができる。領域407は図4に示すように設けることができる。
そして、障壁層のバンドギャップがn型クラッド層404に最も近い障壁層からp型クラッド層408側に最も近い障壁層にかけて順次Al組成が低くなる構造であり、このような構造とすることでVfを下げることができる。ただし、n型キャリアである電子の閉じ込め効果が若干弱くなるため、第一、第二、第三の形態と比べて内部量子効率はやや低くなる(従来よりは高い)が、Vfを低くすることができる。そのため、低Vfの発光素子を求める場合、この第四の形態のような構造の化合物半導体基板を用いた発光素子が好適である。
以上の2つの形態(第三、第四の形態)に例示されるように、n型クラッド層に近い側の障壁層のAl組成をp型クラッド層に近い側の障壁層よりも同じが高くする、言い換えればp型クラッド層に近い側の障壁層のバンドギャップの平均をn型クラッド層に近い側の障壁層のバンドギャップの平均より同じか小さくすることができる。
これによって、n型キャリアをp型クラッド層近傍まで拡散させることができるようになる。また、p型キャリアはn型キャリアより有効質量が重いため、障壁層におけるキャリアホッピング確率がn型キャリアより低かったが、このように障壁を下げることによって、p型クラッド層側での障壁へのホッピング確率が増して活性層中での滞在確率が増し、結果としてバンドギャップが均一の障壁層を有する場合より、活性層中にn型、p型両者のキャリアを均一に分布させることができる。そして、更に直列抵抗の減少と同時に内部量子効率の向上を図ることができ、より高輝度且つ長寿命の発光素子とすることができる。
更に、本発明の第五の形態として、図5に示すように、p型クラッド層508に最も近い側の活性層の厚さがn型クラッド層504に近い側の活性層の厚さよりも厚くなっており、最小の活性層厚さの2倍以上を有する構造とすることができる。この場合も、領域507は図5に示すように設ける。
このような構造とすることで更にVf値を下げることができる。ただし、第四の形態の場合と異なり、n型キャリアである電子の閉じ込め効果を弱くする影響を少なくできるため、第四の形態と比べて内部量子効率をやや高くすることができ、内部量子効率を優先させた発光素子を所望する場合、この第五の形態の発光素子が好適である。
そして、上述の第五の形態のように、p型クラッド層に最も近い活性層の厚さが、最も厚さの薄い活性層の2倍以上の厚さとすることが好ましい。
このように、p型クラッド層に最も近い側の活性層の厚さを最も薄い層より2倍以上厚くすることによって、p型キャリアに比べて障壁層のホッピング確率が高いn型キャリアが、障壁層を越えた場合でもp型クラッド層に近い側の活性層に滞在する確率を増加させることができる。
またp型クラッド層に近い側の活性層の方が厚いため、n型キャリアに比べて障壁層のホッピング確率が低いp型キャリアを活性層に多く滞在させることができる。これによって活性層中にn型、p型両者のキャリアを均一に分布させることができる。よって、直列抵抗を更に減少させることができるとともに、更なる内部量子効率の向上を図ることができ、更なる低抵抗且つ高発光効率の発光素子とすることができる。
そしてこのような発光素子の製造方法について、以下に説明するが、もちろんこれに限定されるものではない。
先ず、成長用単結晶基板としてn型のGaAs基板を準備し、洗浄した後にMOVPEのリアクターに入れる。
そして、先に導入したGaAs基板上に、n型InGaP緩衝層、更にn型AlGaInP(拡散抑止)層をエピタキシャル成長させる。
更に、n型AlGaInP層の表面上に、MOVPE法により、n型クラッド層をエピタキシャル成長させる。
次に、n型クラッド層の表面上に、活性層(例えば厚さ15〜50nm)と障壁層(例えば厚さ5〜50nm)を、Alの組成比xを変更して、所望の構造となるように、適宜MOVPE法でエピタキシャル成長させて発光層を形成する。
ここで、活性層と障壁層の界面に、厚さ0.5〜1.7nmの範囲で、該活性層よりAl組成が高く、かつ該障壁層の最大Al組成より低い領域を必ず形成する。
また、障壁層のバンドギャップは活性層より大きく、且つn型クラッド層及びp型クラッド層より同じか小さくなるようにする。
そして、活性層は少なくとも2層以上、障壁層は少なくとも1層以上とし、活性層と障壁層は交互に積層させる。
更に、n型クラッド層、p型クラッド層には必ず活性層が隣接するような構造とする。
その後、p型クラッド層、p型AlGaInP(拡散抑止)層、p型InGaP緩衝層を、最表面側の活性層の表面上にMOVPE法によりエピタキシャル成長させて、MOエピタキシャル基板を得る。
次に、p型GaP窓層を形成する。
この窓層の形成では、先に得たMOエピタキシャル基板をMOVPEのリアクターから取り出し、HVPE法のリアクター内に入れる。そして、Znをドープし、p型GaP窓層をエピタキシャル成長させる。
次に、GaAs基板を除去する。これによりn型InGaP緩衝層を露出させる。
そして、GaAs基板を除去することで露出したn型InGaP緩衝層の表面に、n型GaP基板を貼り付けるか、またはHVPE法を用いエピタキシャル成長によりn型GaP層を形成することで、化合物半導体基板を得ることができる。
上記MOVPE法やHVPE法によって気相成長させる際には一般的な条件を用いればよい。
そしてこの得られた化合物半導体基板を切断し、チップに加工して、電極付け等を行うことで、発光素子が得られる。
以下、実験例を示して本発明をより具体的に説明するが、もちろん本発明はこれらに限定されるものではない。
(実験例1)
上述の第一の形態(図1)のような発光素子において、障壁層の厚さを15nm、層数を9層とし、活性層の厚さを15nm、層数を10層とし、活性層と障壁層の界面の領域(活性層より高Al組成、障壁層より低Al組成)の厚さを0〜2.2nmまで変化させて発光素子を作製し、その発光素子の出力上昇率、20mAの電流を流すのに必要な電圧(Vf)を評価した。その評価結果を表1に示す。表1中の出力上昇率[%]はバルク型活性層の発光素子の発光出力からの出力上昇分で表記している。
Figure 2010171272
表1に示すように、活性層と障壁層の界面に領域が無い場合に比べて、領域を設けることで出力上昇率が格段に高くなっていることが判る。しかし、2.2nm以上の厚さの領域を設けた場合では、障壁が増加するため、顕著なVf上昇を示す。従って、設ける領域は、0.5〜1.7nm程度の厚さが適していることが判った。
(実験例2)
上述の第一の形態(図1)のような発光素子において、障壁層を9層とし、厚さを15nm、領域を設けない場合(従来技術)と領域の厚さを1nm(本発明)とした場合に、活性層の厚さを15〜60nmまで変えて作製した発光素子の発光出力の結果を図6に、寿命特性の結果を図7示す。ここで発光出力は積分球輝度であり、寿命特性は50mA通電し環境温度を85℃とした加速試験にて100時間後の初期出力に対する劣化特性である。
図6に示すように、領域が存在しない従来技術の場合、発光出力は活性層厚25nm前後をピークに活性層厚が減少するにつれて減少している。活性層や障壁層に不純物が存在しない理想的な構造であるならば、活性層厚の減少につれてキャリアの閉じ込め効果が増加するため発光出力が増加するはずであるが、実験結果はその傾向とは一致しない。
一方、領域を設けた本発明の場合、25nmより活性層厚が減じても発光効率が低下することはなく、一様に発光強度が増加する。従って、領域を設ける効果によって、内部量子効率が上昇したことがわかる。一方、活性層の厚さが60nmでは、発光出力に関しては顕著な効果は認められない。このことは、障壁層の不純物による影響が60nm以上の膜厚では顕著ではないことを示している。従って、活性層の厚さが50nm以下の時に本発明の効果は顕著であると言える。
領域を設けない従来技術の場合において、活性層の厚さが25nm程度をピークとして内部量子効率に相当する出力が減ずる現象に関して、計算機によるモデリングと計算を行った。この場合、活性層と障壁層の間に、キャリアライフタイムが活性層より1/20程度短い範囲が1分子層程度、ないし1/10程度短い範囲が2分子層程度存在すると定義した場合、実験結果を上手く説明できる事がわかった。このライフタイムが短い範囲は点欠陥が他の活性層範囲より多い範囲であることを意味し、本発明のような領域はその範囲を光活性層としなくなる作用を有する。その結果、非発光再結合が減少し、内部量子効率が上昇すると考えられる。
また図7に示すように寿命特性に関しては、領域を設けた試料と領域を設けない試料を比べて寿命特性は同等以上である。このことから、領域を設けることによって寿命特性が悪化することはなく、むしろ改善されることが判った。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示される第一の形態のような発光素子において、障壁層(x=0.9)の厚さを15nm、層数を9層とし、活性層(x=0.1)の厚さを25nm、層数を10層とし、それらの界面に厚さ1nmの領域(x=0.7)を設け、発光出力及び寿命特性を評価した。ここで発光出力は積分球輝度であり、寿命特性は50mA通電し環境温度を85℃とした加速試験にて100時間後の初期出力に対する劣化特性とした。
(実施例2)
図2に示すようなバンドギャップを有する発光素子において、障壁層(x=0.9)の厚さを15nm、層数を9層とし、活性層(x=0.1)の厚さを25nm、層数を10層とし、活性層から障壁層にかけて厚さ1nmの範囲でAl組成xをx=0.4〜0.9まで連続的に変化させた領域を設けた発光素子を製造し、実施例1と同様の評価を行って各特性を調べた。
(実施例3)
図3(a)、(b)、(c)、(d)、(e)に示すようなバンドギャップの発光素子において、障壁層の厚さを15nm、層数を9層とし、活性層(x=0.1)の厚さを25nm、層数を10層とし、活性層と障壁層の界面に厚さ1nmの領域(x=0.6)を設け、障壁層のAl組成xをn型クラッド層に近い4層についてはx=0.9とし、5層目から9層目については以下のように変化させた発光素子を各1ヶずつ計5種類製造し、実施例1と同様の評価を行って各特性を調べた。
図3(a)の場合は、障壁層の高さを全てx=0.8とした。
図3(b)の場合は、障壁層の中央部からp型クラッド層側にかけてAl組成が最大値(x=0.9)から領域307bと同じ(x=0.6)になるように連続的に変化させた。
図3(c)の場合は、障壁層の中央部はx=0.9とし、両側1/3ずつはx=0.9から領域307cと同じ(x=0.6)になるように連続的に変化させた。
図3(d)の場合は障壁層の中央部はx=0.9とし両側1/2ずつはx=0.9から領域307dと同じ(x=0.6)になるように連続的に変化させた。
図3(e)の場合はp型クラッド層方向にx=0.8からx=0.72まで0.02ずつ減少させた発光素子を製造した。
(実施例4)
図4に示すようなバンドギャップの発光素子において、障壁層の厚さを15nm、層数を9層とし、活性層(x=0.1)の厚さを25nm、層数を10層とし、障壁層のAl組成xをn型クラッド層に最も近い層(x=0.9)からp型クラッド層に最も近い層(x=0.73)まで0.03ずつ順次低下させた発光素子を製造し、実施例1と同様に各特性を調べた。
(実施例5)
図5に示すようなバンドギャップの発光素子において、障壁層(x=0.9)の厚さを15nm、層数を8層とし、活性層(x=0.1)の層数を9層とし、その厚さはp型クラッド層に隣接する活性層のみ50nmとし、その他は25nmとした発光素子を製造し、実施例1と同様に各特性を調べた。
(比較例1)
実施例1において、厚さ1nmの領域(x=0.6)を設けなかった以外は実施例1と同様の条件で発光素子を作製し、同様の評価を行って各特性を調べた。
実施例1〜5、比較例1の結果を表2にまとめて示す。
Figure 2010171272
表2に示すように、いずれの実施例も、従来の発光素子である比較例に比べて出力および寿命が増加していることが判った。
実施例1と実施例2の比較では得られた素子特性に大きな差異はない。この事は傾斜組成か均一組成かにかかわらず、本発明の領域を設ける効果は有効であることを示している。
また、実施例3の各結果は、実施例1及び2よりVf低減と出力の低下が起こっている。ただし、この傾向はキャリアの閉じ込めを弱めたことに起因するものであり、領域の効果が減じられたことを示しているわけではない。
また実施例4及び5も同様の傾向にあるが、キャリア閉じ込め効果とのトレードオフであり、領域の効果を減じているものではない。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
10…発光素子、
11…電極、
100…化合物半導体基板、
101…n型GaP層、
102…n型InGaP緩衝層、
103…n型AlGaInP(拡散抑止)層、
104,204,304a,304b,304c,304d,304e,404,504…n型クラッド層、
105…活性層、
106…障壁層、
107,207,307a,307b,307c,307d,307e,407,507…領域、
108,208,308a,308b,308c,308d,308e,408,508…p型クラッド層、
109…p型AlGaInP(拡散抑止)層、
110…p型InGaP緩衝層、
111…p型GaP窓層、
112…発光層。

Claims (6)

  1. 少なくとも、(AlGa1−xIn1−yP(0<x<1、0.4≦y≦0.6)からなるp型クラッド層及びn型クラッド層と、前記p型クラッド層及び前記n型クラッド層に挟まれた(AlGa1−xIn1−yP(0≦x≦0.6、0.4≦y≦0.6)からなる少なくとも2層以上の活性層と、該活性層よりAl組成が高い(AlGa1−xIn1−yP(0<x≦1、0.4≦y≦0.6)からなる障壁層とを有する構造の化合物半導体基板を用いて製造された発光素子であって、
    前記活性層と前記障壁層は交互に積層されたものであって、
    前記活性層と前記障壁層の界面に、該活性層よりAl組成が高く、かつ該障壁層の最大Al組成より低い、厚さ0.5〜1.7nmの領域を有するものであることを特徴とする発光素子。
  2. 前記活性層の厚さが、15nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記障壁層は、前記n型クラッド層に近い側の障壁層が前記p型クラッド層に近い側の障壁層に比べてAl組成が同じか高いものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子。
  4. 前記p型クラッド層からの距離が前記n型クラッド層からの距離と比べて近い障壁層のAlの組成比xが0.6≦x≦1であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光素子。
  5. 前記障壁層の厚さが、5nm以上50nm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光素子。
  6. 前記活性層は、前記p型クラッド層に最も近い活性層の厚さが、最も厚さの薄い活性層の2倍以上の厚さであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光素子。
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